コガネハナガサ

Leucoinocybe auricoma (Har. Takah.) Matheny, Southeastern Naturalist 19 (3): 456 (2020)

Basionym:

Mycena auricoma Har. Takah., Mycoscience 40: 73-80 (1999)


マレーシア産 “Trogiacrinipelliformis Corner (1996)並びに八重山諸島に分布するキジムナハナガサの近縁種です。

傘が平開すると一晩で萎れるヒトヨタケ型の子実体に加え, ウラベニガサ型の子実体およびニセホウライタケ属を想起させる偽アミロイドに染まる厚壁の毛状皮嚢体を持つ性質においてクヌギタケ属とは異質です。キヌカラカサタケ属(Leucocoprinus)型の子実体の類型を持つマダガスカル産Corrugaria 属 (Metrod 1949) と多くの点で共通する性質を有します。

基質特異性は確認されていませんが、主にコナラの枯れ枝から発生し、あまり見かけない珍しいキノコです。

コガネハナガサの類似菌は、沖縄県、台湾、 オーストラリア東部、中国雲南省、東南アジア (マレーシア、インドネシア、ベトナム) など、熱帯~亜熱帯地域を中心に最近発見例が相次いでいます

最近、コガネハナガサは広義の Clitocybula に系統的に近縁とされているアセタケ型の子実体を形成する Leucoinocybe に転属されています (Matheny et al. 2020)。しかし、キヌカラカサタケ (Leucocoprinus) 型のコガネハナガサとは外観的に似ても似つかないことから、系統的に相同性が近い場合でも、核かミトコンドリアか扱う遺伝子領域の範囲のとりかたや、外群(outgroup)の置き方により、解析結果と解釈は大きく異なる場合があるので、さらに精度を高めた分子系統解析が必要になるかもしれません。