シニアのネット利用調査(資料と報道)

シニアのネット利用調査(資料と報道)

熊本日日新聞に下記の記事が載っていた.

そのまま新聞を引用させてもらった.記事が取り扱っている資料はPDFファイルで見ることができる.

●シニアと情報~デジタル時代のシニアマーケット Download

「ネット利用したくない」半数 県内シニア層」 2012年02月16日 熊本日日新聞記事

県内在住の60歳以上のシニア層のうち、情報源として インターネットを利用している人は約3割にとどまり、「利用したくない」という人が半数に上っていることが財団法人地域流通経済研究所(熊本市)の調査で分かった。インターネットの普及が言われる中、テレビや新聞など既存メディアや、知人の薦めを重視する実態が浮かんだ。

昨年11月、県内在住の60歳以上の男女3千人を調べ、803人が回答。首都圏でネットを利用するシニア層620人も加えた。

県内シニアのネット利用の頻度は「週1回以上使う」が29・7%。「今後利用したい」が17・4%。これに対し、「利用したくない」は52・9%。

年代別のネット利用は60代が45・8%で、70代以上は13・7%に減少。ネットを利用しない理由は「日常生活に必要ない」が最も多く、「興味がない」「直接人と会話する方が安心」と続いた。

普段の情報源では、県内シニアは「テレビのニュース」がトップで、新聞記事、テレビの情報番組、家族からの薦め、折り込みチラシ−の順。商品やサービスを選ぶ際、県内シニアは友人・知人など人の意見を重視するのに対し、首都圏シニアはネット情報を参考にする傾向が目立った。

同研究所は「ネットを駆使するシニア層は大都市圏に多く、地方ではまだ見えにくい。県内では現状の情報源に満足している人もおり、多様化するシニアの動向を踏まえた情報発信法やサービス提供が商機を生む」としている。(中原功一朗)

新聞記事と調査資料の内容を読み,新聞(見出し,記事内容)と調査資料とでは少々異なる印象を受けた.

調査資料には,「(あまり)利用したくない」、「必要性を感じない」の合計(以下、「利用したくない」と書いてある.ところが,新聞は「ネット利用したくない」が半数と毛嫌いしているかのような印象を与え過ぎている.インターネットの情報より新聞等の従来型の情報を大切にしていると言いたいのだろうが,情報を提供する側の現状分析が不十分である.

熊本の会社,商店,公共機関の情報を得ようとしても見つからないことが多い.Google等の検索サイトで調べると,検索項目はヒットするが,住所,店舗,電話,地図情報がほとんどである.一言で言えば目的とする会社等が自分でwebページを持っていないので,それ以上の情報を得ることはできないことが多い.

インターネットを使っても,それなりの情報が得られないということである.具体的に言えば,旧国立大学に勤務していた頃,コンピュータや理化学器具を納入していた業者もそろそろホームページくらいは創っているだろうと思い,検索してみると中央の情報収集・提供サイトが作っている上記のような情報(住所,電話,地図)ばかりである.電話番号が分かれば電話すればよいというのが現状である.特に熊本は出身高校別にまとまる傾向があり,商売もそのレベルの付き合いが物を言う地域だから人の意見を尊重するという調査結果と一致する.

地元大学で,情報処理教育を始めたのは昭和59年,卒業生は48歳くらいになっている.それ以降にならないとキーボードを操るのは無理と思う.そういう意味では,「50%が利用したくない」というのは当たり前と言えそうである.しかし,情報がないのに週に一度は使う人が30%,情報が得られるなら使ってみたいという人が約20%いるというのは大したものである.

資料には,また次の様に書いている.

首都圏モニターは「とても役立つ」とした情報源が多く、特に友人・知人や家族など周りの人とのコミュニケーションによる情報を利活用していることがうかがわれる。

「インターネットの情報検索」を「とても役立つ」情報源と回答した比率が半数近くを占める首都圏モニターが、役立つ情報源として従来型のメディアも利活用していることがわかり、興味深い結果であった。

まさに,この文章が示すように都市圏には情報があるが,熊本には情報がないのである.インターネットを使えと言っても無理ということをお年寄りは本能的に感じているのだろう.(2012/02/22)

追記

・この世代は新聞を読むのに老眼鏡をかける人も多い.私は記事がWEB版にあれば拡大して読んでいる.

・熊本市のホームページには,過去の市政だより (2004年~2010年)は[PDF]があるが,キーワードを入力してくださいとなっている.ドイツ・ハイデルベルク・サマー・サイエンススクール派遣学生報告書は直近のものは掲載されてるが,過去のものはない.数年前の教え子の記事は消去されていた.データベース化する発想がないようだ.

・大学も同じ傾向である.リアルタイムにしろとは言わないが,掲載内容が古い.ホームページがないと肩身が狭いというだけの存在である.