Power Mac G4 QuickSilverの改造最終版

静音化とCPUアップグレード

医薬品の在庫管理に使用していたPower Mac G4 QuickSilver (M8705J/A, 2002 購入時 800MHz) は,薬局閉局後ほとんど使用することはなく放置していた.CPUは800MHzから1.4GHzへアップグレードしているので,OS X 10.4.11でエクセル等の表計算専用マシンとして使用する分には何ら問題はない.ところが,QuickSilverは,ファンの音がウルサイという点できわめて評判のよくないパソコンである.人の出入りのある店舗や事務所では気にならないが,静かな書斎での思考を伴う執筆等の利用には向いていない.

Power Mac G5はそれなりに静穏化が計られているが,夏場エアコンを高めに設定すると急速冷却のため突然ファンが高速で回りだし,騒音を撒き散らす点ではQuickSilverと同じである(クーラーの利いた部屋での利用を前提にして設計されているとは思うが・・).2006年,CPUがIntelになってからのiMac, Mac miniなどのデスクトップパソコンでは音を気にすることはなくなった.今となっては,Power Mac G4 QuickSilverは「異常さ」を感じる.本系列パソコンの騒音に関しては発売当初から問題になっており,多くの静音化の試みがネット上に報告されている.

秋葉館オリジナルAKB-MCG4-14(1.4GHz)



Sonnet Encore/ST G4 1800MHz 2M

Apple PCの戦略転換に伴うIntel Macへの移行後,しだいに時間が経つてくると,Power Macに対するソフト面のサポートが打ち切られ利用しにくい状況になってきた(インターネット閲覧ソフト等).そろそろPower Macとも完全に決別する時が来たようである.そこで手持ちの複数のPower Macを退役させる前にQuickSilverの静音化を試みてみた.静音化のためにわざわざ冷却ファン等を購入したわけではない.自作Windowsパソコン用に購入したものや,別のMacに使用しているファン類の性能を調べ,ノイズレベルの低いものを選択し,交換を試みた.ついでに,CPUは秋葉館オリジナルAKB-MCG4-14(1.4GHz)に代えて,手持ちのアップグレードカード Sonnet Encore/ST G4 1.8GHz 2M(Sonnet installer v3.1 CD付)を用いて,初期性能の2倍以上の高速化を図った.このカードは以前「円高」を利用して米国のPCショップから購入したものであり,現在は販売終了になっている.

ファンは電源ケース内部も含め4種すべて交換した.下記のファン群の組み合わせで劇的に静音化したので,参考までに記しておきたい.

ファンに関しては,風切り音を軽減するためのファン形状の改良や振動を押さえる技術,さらには軸受けの改良等で静音化が計られているようである.新旧ファンは,見た目では違いがあるとは思えないが,個々のファンを12V電源に繋いで手にもって回転させてみると個体差の大きいのに驚く.

結論としては,QuickSilverは製作コスト削減のため,発展途上国のいい加減な部品を使った欠陥商品に近い存在であったと言わざるをえない.そう思いながらウエブ情報を見ていると,あるパソコン冷却器メーカーが「静音化キット」なるものを発売していた.QuickSilverに関しては電源ボックス内のファンを止めて電源ボックスの前後にインとアウトのファンを付けるというアイデアである.パンフレットには半田ごて等を使う必要のない「劇的な改善策」と書かれている.私は電源ボックスを引っ張り出しファンを交換した.かなり苦労すると聞いていたが,意外と簡単に実行できた.

ついでに使用していないSSDを起動ディスクとして使用できるようにした.

現在,主に使用しているマシンは Mac mini,まれにG5 (M9454J/A),分子軌道計算は Windows BTO Centurion (core i7, OS Windows7, 64bit)である.

10年前にQuickSilverが登場した時は, Pentium4, 2GHzのWindows PCより速いと言われていた.しかし,最近のCPUを搭載したマシンとは比較にならない.Super πというソフトで104万桁のπ計算に必要な時間は,本機では76秒,Mac mini (Core2duo 2GHz)では25秒,Core i7 2600K 3.4GHzのWindowsマシンでは10秒であった.

1.8GHzCPUの放熱板溝に直角に5センチファン,右に吸気用6センチファン

電源ボックス内に8センチファン(排気),その下に12センチファン(排気)

SSD(左)と2個のHDD

本稿編集中

なお,今回の改造で, 悪名高い騒音マシンQuick Silverは意外に消費電力が小さいというメリットがあることが判明した. メール,ウエブ閲覧(主にテキスト情報),ワープロ,表計算など通常の使用にはまったく問題はない,さらに過去の高価なソフト資産(旧OS専用の化学式描画ソフト等)が有効に活用できる.しばらくは, フイルムスキャナー (Coolscan III, OS9), ホームページ編集等に使用するつもりである.


追記

◯現在購入できるファンは3ピン,macは2ピンである.5センチ,6センチファンは,mac側のピン抜け防止プラスチック片を切り取り3ピンのソケットを刺した.プラス,マイナスの電源のみを利用し,端のピンは遊ばせた.12センチファンは12V電源ソケットから直接2ピンで接続できるアダプタが添付されているのでそれを利用した.電源ボックス内の8センチファンはケーブルを切断し半田で接続,1ピンは遊ばせた.

◯無線LAN子機を旧式のAirMacカードから最新のUSB子機に変更した結果,明らかに通信速度が上昇した.Mac PPCで使用できるUSB子機はあまり多くない.今回はPlanex社製の二機種 (GW-US54Mini2W 54Mbps, GW-USNano2-M 150Mbps) を使用した.

(2012/9/11)


参考資料

M8705J/A - Apple (PDFファイル)

株式会社シムラ 冷却ファン