太陽光発電量は0.2%程度

(太陽光発電促進付加金値上げ関連)

太陽光発電量は0.2%程度(太陽光発電促進付加金値上げ関連)

マスコミやインターネット上で,電力各社が4月から実施する「太陽光発電促進付加金値上げ」が話題になっている.標準家庭(使用料 300kwh)の場合,11年度の2~21円から12年度は7~45円と値上げになる.北海道電力が一番安い7円であり,九電は45円で最も高い.

このところ電力会社の言動が国民に信用されていないので,値上げと聞くと反発が強いが,このことは昨年すでに総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会・電気事業分科会買取制度小委員会において審議され,決定していることである.

経済産業省ホームページの「平成22年度の太陽光発電買取制度に係る太陽光発電促進付加金の決定について」の中で以下のように記載されている.

以降に電気をご利用の皆様にご負担いただくことになります。」

「平成21年11月から太陽光発電の新たな買取制度 が開始され、太陽光発電で作られた電気のうち、余った電気をこれまでの2倍程度の価格で電力会社が買い取ることになりました。買取りに要した費用は、電気 をご利用の皆様に太陽光サーチャージとしてご負担いただくことになります。

中略

なお、平成21年分の買取りに要した費用は平成22年度分と一括して、平成23年度4月

平成22年度に負担する費用は少額のため発生していないが,平成21年と22年に買取りに要した費用は合わせて,平成23年度4月以降に負担することになっている.ソーラーパネルの導入を推進するためには必要なことかもしれないが何となく釈然としないものがある. この制度を一言で言えば,隣近所の太陽光発電の電力は設置していない隣人が買ってやっているということである.塵も積もれば山となるで少額でも年を重ねればかなりの金額になる.

原発事故の保障で揺れている東京電力の西澤俊夫社長は、一般家庭の電気料金の値上げ申請の際、「燃料代がかさみ、株主への責任などもあるので、値上げは事業者としての義務であり権利でもある」と訳の分からないことを言っている. 今後,石油や液化プロパンの高騰(中東,円安問題)でガス会社も値上げをするだろう.同じ理屈が見え隠れする

原発事故の後,世の中は反原発のムードが高まり,太陽光,風力等の再生可能エネルギーで解決できるような気分になってしまった.しかし,電力会社の専門家や学者はそれが簡単ではないことを知っている.代替エネルギーの普及率は原発の発電量と較べると微々たるものであり,どんなに急いでもかなりの時間と費用がかかる(上図参照).

事故を起こした福島第一原発(1号機〜6号機)全体(稼働率80%)の2009年度の年間発電量は32,949,000,000キロワット時(32.949テラワット時)であった.全国の家庭に設置されているソーラー発電装置96万件の年間総発電量は3.7TW程度である(2010のデータ).今後,この約9倍の864万世帯が設置すれば福島第一原発に匹敵する電力が確保できる.全国に設置されている原発の総発電量に占める割合は福島原発の10倍,30%(300TW)に上る(上図参照).電力関係者は原発は当面廃止できないことを熟知しているため,開き直っている可能性もある.そのことが先の発言に象徴される電力会社の態度につながっているとしか思えない.

電力会社は「虚偽報告」や「やらせメール」などで信用をなくしているため,この程度のプレゼンテーションで終わっているとしか思えない.

今冬は,電気やガスが止められて極寒の中で亡くなっていたという報道を何回も見聞きした.電気,ガス会社の仕事はもはや利潤追求を目的とした商売ではない.人間の生命を維持する仕事であることを肝に銘じるべきである.しばらくは,何を言っても信じてもらえないだろう.信頼を取り戻すには原点にもどるしかない.(2012/3/4)


資源エネルギー庁 エネルギー白書2010 ---- 図【第213-2-3】発電電力量の構成(2009年度)