新幹線_電源喪失

新幹線_電源喪失

昨夜,テレビのテロップに九州新幹線運休中という文字が映し出されていた.

地震の緊急速報かと思ったが,そうではないのであまり気にしなかったが,今朝下記の記事を見て驚いた.

開業一周年を迎えた九州新幹線の電源が喪失し6時間停止したとのことである.

電源喪失は原発だけかと思っていたが,どこにもありうることを知らせてくれた点で貴重な事例と考えるべきである.

原発電源のバックアップは2重では少ない,3重それ以上のバックアップ電源が必要である.

偶然と思うが,同夜のニュースでは,九州電力の玄海原発では移動式の大型電源車が津波の来ない丘の上に配備されたと報道していた.「必要はないと思うが福島原発の例もあり準備した」といっていた.運転再開のためのデモのひとつであることは明らかである.

病院なども可能性がある.停電時に起動するはずのジーゼル発電機が故障することもあるだろう.

昔,電電公社(NTT)の無線中継所のバックアップ電源装置を見学したことがある.常時無負荷状態で軽く回転しており,停電になったらすぐに切り替わりフル回転するという話であった.

電話回線,各社の放送,その他の通信が陸上のパラボラアンテナ間で中継されていた.現在はどうなっているか知らないが,その後,時代の進歩で,人工衛星中継や光ケーブルが実現している.

送電に関しては進歩があるとは思えない.街中電線を引っ張りまわす方式は昔も今も変わらない.これが無線で出来たら景観もよくなるだろう.

電気といえば,ソーラーでやればよいという人が多い.しかし,前にも紹介したように莫大な費用がかかる.それに不安定である.それなら蓄電池(バッテリー)に貯めておけばよいという人がいるが,実際は簡単ではない.車の場合はエンジンが動いている間は充電しているからバッテリーが機能しているように見えるだけである.実際にハイブリッド車で電池だけで走ってみたことがあるがすぐに警告が出る.電気自動車が実用化されつつあるが,電池に人間が跨って走っているようなものである.大量の電気を貯めておくメガ蓄電は科学技術の進歩した現在でも実現していない.定常運転をしなければならない原発の余剰電力を蓄電するため,揚水発電というシステムが利用されている.水力発電所で発電に使った下流の水を上流のダムに汲み上げ,貯めておいて必要になったら水力発電するわけである.効率が悪いが現時点では最良の方法である.

新幹線のバッテリー上がりとは言語道断,自家用車で前照灯や室内灯を点けた状態でどの程度もつか実験するような実習(訓練)があったのだろうか.

14日の正午のニュースでは,陳謝内容,マニュアルにない想定外の事例,今後予備のバッテリーを積む等のことを言っていた.(2012/3/14)

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九州新幹線6時間停止 列車の電源喪失

2012年3月14日 01:17 カテゴリー:社会 九州 > 福岡

13日午後4時ごろ、福岡県筑後市の九州新幹線下り久留米-筑後船小 屋間の架線にビニール(縦3・1メートル、横2・1メートル)が引っ掛かっているのを、新大阪発鹿児島中央行き「さくら557号」(8両編成、乗客約 280人)の運転士が発見、非常停止した。架線の送電も緊急停止され、列車は乗客を乗せたまま、現場に6時間余り立ち往生した。JR九州は復旧作業のた め、一時、上下線で運行を見合わせた。

JR九州によると、ビニールを見つけた運転士はショートなどの事故を避けるために、架線から列車への送電を止める運転台の「保護スイッチ」を押し、列車を停止させた。列車の電源で非常灯などは点灯させた。

現場に駆け付けたJR九州の作業員が同日午後6時13分ごろ、ビニールを除去。しかし、停止時間が長引き、列車のバッテリーが既に上がっていたことから、パンタグラフが作動せず、自力走行が不可能になった。

このため、新鳥栖駅で待機中だった博多発鹿児島中央行き「さくら421号」が現場に向かい、同日午後10時7分、「さくら557号」と連結。約30分かけて筑後船小屋まで押し、乗客を運んだ。14日午前0時4分、乗客はさくら421号に乗り換え、鹿児島中央に向かった。

このトラブルで九州新幹線は上下線とも約6時間全面ストップした。JR九州によると、停止から約20分後、「上り線まで止める必要はない」と上り線への送 電再開を決定。しかし、運転台からの保護スイッチの解除ができず、午後5時20分ごろ、運転士が車両の屋根にあがって装置を手動で解除した。

このトラブルでダイヤが乱れ、上下線とも停車駅から発車できない新幹線が続出。JR九州は一部在来線の発着区間を延ばして対応した。同社によると、筑後船小屋で下車した乗客の大部分は、「気分がすぐれない」と不調を訴えたという。

=2012/03/14付 西日本新聞朝刊=