2018年1月6日(土)~8日(月)
登った人:榎本 + 24名 (ガイド3名、ツアー参加者22名)
行程:
1/6
自宅(3:00)-花園IC-安曇野IC-(6:15)宮城ゲート駐車場(9:30)-(13:50)中房温泉
1/7
中房温泉(7:05)-燕岳登山口(7:15)-(8:03)第1ベンチ-(8:45)第2ベンチ-(9:25)第3ベンチ-(10:15)富士見ベンチ-(11:05)合戦小屋(11:20)-(12:45)燕山荘(13:05)-(13:45)燕岳(14:05)-(14:40)燕山荘
1/8
燕山荘(8:00)-(8:45)合戦小屋(9:00)-(10:25)第1ベンチ-(11:05)中房温泉(11:20)-(14:50)宮城ゲート駐車場(15:10)-(15:30)安曇野しゃくなげの湯(16:20)-南佐久IC-本庄児玉IC-(22:00)自宅
昨年12月23日(私の誕生日です)、恒例の雪の上高地散策へ行ってから、雪の槍穂を見たいという思いが・・・。 ネットを見ていたら燕岳の山小屋「燕山荘」が年末年始は営業しており、燕山荘で雪山ツアーを催しているとか。燕岳からは槍穂見えるはず。年末と正月は3日間のツアーだが、年末年始休み明けの3連休は1泊2日のツアーで時間的にも金額的にも丁度よい。早速申し込む。ただし、 ツアー自体は1泊2日だが、早朝に中房温泉集合のため、前日に中房温泉に泊まらなくてはならないので結局2泊となる。ツアー代31,000円。この値段は高いか、それとも・・・ 。
1/6(土) 曇りのち雪
冬期は宮城ゲートから中房温泉までの林道12.5Kmが通行止めとなるため歩かなくてはならない。宮城ゲートには臨時駐車場が設置されるが、そんなに広くはない。満車時はさらに1.3Km下の駐車場に停めなくてはならない。年末年始の燕岳は人気があるそうで、満車になる前に宮城駐車場に止めたいと思い、深夜に駐車場まで来て車中泊を考えたが、やはり布団がいいなあと思い、自宅を早朝出発とする。
2:30起床、昨夜荷物は全部車に積み込んでいる。お湯を沸かしてテルモスに入れるだけだ。いつものように自宅近くのコンビニに寄り、朝食と昼食とコーヒーを購入する。関越道、信州道、長野道を走り安曇野へ。駐車場が空いていることを願いながら宮城ゲートへ。75%ほどの駐車率。停められた。良か ったあ。まだ日の出前。8時くらいまで寝ようとシュラフに潜り込むがなかなか寝られない。うとうとしているうちに8時になり、おにぎり、菓子パン、コーヒーの朝食。で、出発。
宮城ゲート駐車場(空いてました)
宮城ゲート(さあ歩くぞ!)
観音峠(中房温泉まで約1/3歩いたところ)
中房温泉(やっと着いた、結構疲れたね)
駐車場には雪はない。すぐ上の宮城ゲートの横をすり抜け、舗装された林道を進む。4時間の林道歩きの始まりだ。ところどころ雪が残っており、凍っている。30分ほど歩いて、リップクリームを忘れたことに気付く。日焼け止めクリームは持っているから大丈夫かな。もう戻る気はないです。このあたりから道は真っ白になる。滑ることはなく雪を踏むのが心地よい。道路には中房温泉からの距離が書かれた標識があり、あとどの位かがわかる。1時間ほど歩くと標高も上がり、空気が冷たくなってきた。ちょっと風も出てきたようだ。
あと4Kmの標識で昼ご飯にする。カップラーメンとおむすびだ。すぐ信濃坂の登りになり、下りとなる。この下り道、帰りはきつそうだなと思いながら歩く。そしてまた登りとなる。有明壮を過ぎて川を渡ると斜度が増す。やっと中房温泉に到着。今日の宿だ。1泊2食9,700円を支払い、部屋に入ると、すでに3人のおじさんがいた。2人は私より年上、もう一人は40歳くらいで3人ともソロとのこと。部屋にはテレビとガスファンヒーがある。ここは山小屋ではなく、温泉旅館なのです。まずは温泉だ。
中房温泉は8か所の源泉があり、それぞれ泉質が違うそうだ。一番近い露天風呂へ入る。雪が舞っており、良いですねえ。2人先客がいて、この温泉や、山の話をする。今日ここに泊まっている人は、明日燕岳に登る人だとか。まあ、雪道12.5Km歩いて温泉だけに来る人はいない、とは言わないけど・・・。温泉を出て部屋に戻ると、ビールとおつまみが待っていた。3人の方からの差し入れで、夕食まで、ごちそうになってしまった。3人とも夜行バスで来たので昼前にここに着いたそうだ。温泉と飲むことぐらいしかやることがないと言っていました。皆さん燕岳には何回も登っているとのこと。いろいろと情報を聞けたのは良かった。おいしい夕食後、すぐ寝てしまった。
1/7(日) 快晴
朝食後、荷物をまとめ、玄関前に集合する(6:50)。前半は樹林帯で暑いと聞いていたので、上のアウターは着ずにリックに入れた。ツアー参加者は22人、ガイドは3人だ。点呼をし、ガイドの自己紹介があり、注意事項の説明の後、出発する。今朝の燕山荘は晴れ、気温マイナス16℃、風速10メートルとのこと。この時期では好天気だそうだ。登山口ですぐにアイゼンを装着する。そして急登だ。ツアーなのでゆっくり歩いているが、アイゼンに慣れていないことやこの辺りの雪はまだ深くなく木の根っこにアイゼンの爪を引っ掛けながらの登りは辛い。10分ほど歩いたところで、ストックに体重をかけたら、ぽっきっと折れてしまった。カーボンのストックも折れるのですね。安物はだめですね。この先不安。 第1ベンチで休憩中、ストックのバスケットを落としたというおじさんがいて、私の折れたストックについていたバスケットをあげてしまった。今思えば、予備に取っておいても良かったのにね。
出発前(思ったほど寒くない)
合戦小屋(富士山がよく見える)
昨日同室の3人が言っていた通り、合戦小屋までは樹林帯で風がなく非常に暑かった。結構汗をかいた。途中の第1ベンチ、第2ベンチ、第3ベンチ、富士見ベンチは休憩にはちょうど良い間隔なので、歩くスピードを調整できそうだ。今回はツアーなのでガイドに付いて行くだけだけど・・・。第3ベンチを過ぎたところで、富士山が見えた。なんだか感動。また、大天井岳への稜線も見えてきた。表銀座だ。蛙岩もよく見える。富士見ベンチからの急登が終わり、道が平坦になると合戦小屋だ。集団登山ではトイレ渋滞は必至。ひとりだったら、ちょっと道を外れてしちゃうのですが・・・。天気は最高。ガイドの方に、この先、着込んだほうがよいか聞いたところ、今日は大丈夫とのこと。
ここからはストックをピッケルに持ち替える。すぐに急登となり森林限界を越える。本来ならここから強烈な風が来るそうだ。今日は全く風が無い。森林限界を越えると、燕岳が見えた。ここからの燕岳は稜線にお団子がめり込んでいるように見える。ここからは急な稜線上の道で、かわいい雪庇がある。これから大きく育つのでしょうね。突然、槍ヶ岳が見えた。穂先は雪がなく、岩がむき出しだ。すごい感動。去年常念に登った時は一瞬しか見えなかったからね。燕山荘は見えているが、その手前の急登が辛そう。冬道はなるべく直登するのだそうだ。斜面のトラバースは雪崩の危険があるためとのこと。
燕岳が見えた!(この斜度を直登です)
槍が見えた!(大感動です)
燕山荘に到着。ちょっと風があり寒かったのでアウターの下にライトダウンを着る。ここに荷物を置いて燕岳を目指す。緩い上り下りの道はちょっとだけ雪が付いている感じ。風で飛ばされてしまうとの こと。岩場でのアイゼンは歩きにくい。40分位で燕岳頂上に到着。小屋前では風があったが頂上は風が無い。で、景色がすごい。まず、真北に後立山連峰の針ノ木、鹿島槍、左回りに立山・剣、水晶に鷲羽、笠ヶ岳、槍ヶ岳と迫力の北鎌尾根、穂高、表銀座の大天井、常念、遠くに南アルプス、富士山、両神山も見える。八ヶ岳、浅間山、妙高・火打、雨飾・・・。要は360度の大展望だ。ガイドさん曰く、天気の良い日でも後立山連峰や立山は見えないことが多いので、今日は写真をたくさん撮って下さいとのこと。
槍ズーム
富士山もズーム
燕岳頂上で自撮り(この撮り方、みんなやるのね)
槍をバックに(モロ逆光)
立山と剣
燕山荘からの燕岳
小屋に戻り、まず部屋へ行く。部屋と言っても2人用の蚕棚です。同室(同棚)の方は桶川からのおじさん。GWの燕山荘ツアーにも参加したとのこと。同じ埼玉県人で意気投合し、ビールを買って食堂へ行く。中房温泉で同室だった二人と鉢合わせ。4人で乾杯する。ビールを飲み終わり、お代わりを買おうか迷っていると桶川おじさんがワインを1本持ってきた。「ワイン飲めますか?」「オフコース!」。昨日の同室の一人も合流し、ワインで乾杯。おつまみも持ってきて頂いた。ワインもつまみも旨かった。考えてみれば、今日の昼食は、クリームパンとチョコバーだけだった。さて夕食。小屋の夕食は豪華でした。中房温泉の食事より良かったです。食事後、小屋のオーナから燕岳について、雪山の危険について、天文についての講演が1時間ほどあり、面白く聞けた。特にコマクサの保護についてと、雪山での低体温症、カノープスという星がここから見えるという話は面白かった。その後ツアー参加者有志の飲み会(小屋から大量のワインの寄付あり)があり、ガイドさんも含め、いろいろな話ができた。ところで、髭のガイドさん、どこかで会ったことがあるなあと思っていたのだが、2年前に北八ッで行われた雪山フェスタで初心者冬山体験の時の講師であることが判明。あのときは・・・、と話が盛り上がる。小屋内は廊下にも石油ストーブが置かれ暖かかったが、布団に入ると逆に熱くて寝づらかった。
1/8(月) 吹雪のち雪のち時々みぞれ
出発は8時とのこと。おいしい朝食を食べ、ゆっくり準備をする。7時の外気温はマイナス14℃。玄関から外を見た感じではちょっと吹雪いているようだ。8時前、表へ出るが風が強く吹雪いており寒い。慌ててネックウォーマとゴーグルを出す。さて、出発。山小屋も今日で閉まり、次の営業は4月下旬とのことだ。急な尾根を下っていく。アイゼンを付けての下りは不安だ。前を歩いている人が踏んだところをなぞるように歩く。西側からの横殴りの吹雪、一定の強さの風ではないので、強風が吹いた時はちょっとふらつく。ガイドさんから、一番強い時の風で15m/s位とのこと。20m/sを超えたら耐えられるのかなあ…。あと、32m/sを超えると歩けなくなるらしい。
合戦小屋まで下りると、うそのように風がなくなった。小雪はちらついている。第3ベンチと第1ベンチで小休止を取り、中房温泉に無事到着。ツアー解散式では燕岳登頂証明書を頂いた。最後にガイドさんから、今回はまれにみる好天候でしたが、冬山はこういうものだと思わないでください、との注意があった。確かに。私の今までの雪山、北八、天神平、赤城とここ燕では晴天に恵まれている。肝に命じなくては。
解散式(お世話になったガイドさん)
カーブミラーで自撮り
ここから12.5Kmの林道歩きだ。天候はというと雪が降ってはいるが、寒くない。ガイドさん達も、これから下るとみぞれか雨になるかもと話していた。北アルプス雨男伝説は・・・。荷物をまとめ、桶川おじさんと歩き始める。この人、歩くのが速い!なんでも単身赴任で静岡まで帰るそうだ。1時間ほど歩いたところの覆道(雪よけのトンネル)で別れ、私はコーヒータイム。お湯を沸かし、菓子パンでエネルギー充填。覆道を出て歩き始めると、雪がみぞれになってきたが、またすぐに雪になった。
宮城ゲート到着。すぐに着替えて、温泉を目指す。温泉は「しゃくなげの湯」だ。大人700円。中房温泉の有明荘と同じ源泉をパイプラインで引いているそうだ。早速露天風呂。うーん、幸せ。お土産を買いにカーナビで道の駅検索。帰りは関越が混んでいるだろうと思い、一般道を走るが、佐久手前で関越は順調とのラジオからの情報で、南佐久から関越に入る。22:00、帰宅。
今回、良かった点は天候に恵まれたことだ。この好天は私の日ごろの行いでしょう。山の神様はちゃんと見ていてくれるのですね。もう一つは、雪山初心者としてツアーに参加したことだ。学ぶことが多かった。今回はピッケル、アイゼンの滑落停止講習や、ワカンでのラッセル講習、雪洞作り講習は日程的にできなかったが、GWに行われる燕山荘ツアーではみっちり教えてくれるとのこと。GWだとラッセル講習はやらないかな。ツアー代、ちょっと高いけど参加しちゃおうかなあ。とにかく無事に帰れたことと、素晴らしい展望に感謝感謝。