2025.09. 26 全国通訳案内士1次筆記試験合格発表(予定)
一般常識試験対策としては、まず第一に『観光白書』を確認すること。例年、第Ⅰ部観光の動向からガッツリ出ます。
*目次* ◎は、要チェック
明日の日本を支える観光ビジョン https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/suishintaisei/vision_koso.html
交通政策審議会第48回観光分科会 配布資料 【資料1】令和6年版観光白書について(概要版) https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001743038.pdf
目標
*地方部での外国人延べ宿泊者数 2020年7,000万人泊 2030年1億3,000万人
*外国人リピーター数 2020年2,400万人 2030年3,600万人
*日本人国内旅行消費額 2020年21兆円 2030年22兆円
*2025年向け。一般常識試験対策としては、前年度の観光白書の熟読に加え、試験年度の観光白書にも目を通すことが必要である。
以下、出典は、日本政府観光局(JNTO)さんです。
訪日外客数とは(JNTO HP F&Qより)
日本を訪れた外国人旅行者の数です。
法務省の出入国管理統計からJNTOが独自に算出しています。
国籍に基づく法務省集計による外国人正規入国者から、日本を主たる居住国とする永住者等の外国人を除き、これに外国人一時上陸客等を加えた入国外国人旅行者のことです。駐在員やその家族、留学生等の入国者・再入国者は訪日外客数に含まれます。乗員上陸数(航空機・船舶の乗務員)は訪日外客数に含まれません。
出典:日本政府観光局(JNTO)
2024年度訪日外客数と出国日本人数
出典:日本政府観光局(JNTO)
日本滞在中の旅行消費額の推移がわかります。 (2023年までの統計です。コロナ下の2021・2022年の統計はありません)
出典:日本政府観光局(JNTO)
最新の訪日外客数における各国・地域別内訳です。
2023年との比較グラフになっています。
2023 年の訪日外国人旅行者数を国・地域別にみると、アジア主要市場4からの訪日外国人旅行者数が
1,949.5 万人となり、全体の 77.8%を占めた。
東アジアでは、韓国が 695.8 万人と主要 23 市場5のうちで最も多く、台湾(420.2 万人)、中国
(242.5 万人)と続き、全体の 62.6%を占めた。
東南アジアは、ASEAN(東南アジア諸国連合)の主要6市場6からの訪日外国人旅行者数が 362.8
万人となり、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナムからの旅行者数は過去最高を記録
した。
北米主要市場7からの訪日外国人旅行者数は 247.2 万人となり、米国、カナダからの旅行者数は過去
最高を記録した。
欧州主要6市場8からの訪日外国人旅行者数は 121.3 万人となった。
オーストラリアからの訪日外国人旅行者数は 61.3 万人となった。
その他の地域では、南米が 9.9 万人、アフリカが 3.8 万人であった。
以上観光白書(令和6年)より
2023年度分です。
訪日外国人旅行者の滞在と消費のいずれも三大都市圏に集中している背景には、三大都市圏からの
入国者割合が上昇したことが一因として考えられる。2023 年は、2019 年と比べ、三大都市圏にある空
港のうち成田国際空港及び東京国際空港(羽田空港)からの入国者割合が増加した。他方、福岡空港
を除き、地方空海港は回復が遅れており、2019 年と比べ入国者割合が減少している。この背景には、
新型コロナウイルス感染拡大前の 2019 年には 215 万人であった訪日クルーズ旅客の回復の遅れも影響
している。
(観光白書)
PDF (国土交通省 観光庁) https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001742979.pdf
*2023年訪日外国人旅行消費額 5兆3,065億円
*旅行消費額の多い国・地域 (1)台湾(2)中国(3)韓国(4)米国(5)韓国 上位5か国・地域で、訪日外国人旅行消費額全体の65.3%を占める。
*2023年一般客1人当たり旅行支出 21.3万円
費目別にみると、宿泊費7.4万円と最も高く、次いで買い物代5.6万円、飲食代4.8万円の順で高い。
その他の項目も今一度押さえておくこと。
PDF(国土交通省 観光庁) https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001754303.pdf
• 国籍・地域別の訪問都道府県数は、日本からの距離が近い国では訪問数が少なく、日本から遠方の国では訪問数が多い傾向。
• 訪日旅行全体の平均泊数が長い国籍・地域からの旅行者ほど訪問都道府県数が多い。
• 2019年と比較すると、東アジア4か国では大きな変動が見られないが、東南アジア、欧州、米国、オーストラリアは「4都道府県以上」の構成比が10ポイントほど増加した。平均訪問数も0.4~0.7ポイント増加している。
PDF (国土交通省 観光庁) https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001754304.pdf
• 2023年4-12月の観光・レジャー目的における訪日外客数は、約1,608万人(2019年同期比95%)。
• 国籍・地域別では、中国の減少傾向が顕著(2019年同期比29%)。台湾、香港、タイ、マレーシア、ロシアも減少。
• 一方、これらを除く市場からは増加。特に韓国は約211万人増加(2019年同期比183%)。また、米国は39万人増加した
(2019年同期比154%)。
観光指標は、各分野について設定された項目に対し、客観的なデータ測定による現状把握、目標の設定、取
組・対策の実施、達成状況のモニタリング及び検証結果に基づく改善という循環を繰り返すことにより、観光が
地域に与える影響のプラス面を最大化し、マイナス面を最小化するための指針を示すものと位置付けられる。
このような背景の下開発された持続可能な観光指標が、「日本版持続可能な観光ガイドライン(Japan
Sustainable Tourism Standard for Destinations,JSTS-D)」である。このガイドラインを各地方自
治体や観光地域づくり法人(DMO)等が活用することにより、地域での多面的な現状把握を可能にし、継続的
なモニタリングと証拠資料(エビデンス)に基づいた観光政策や計画の策定、それらに基づく持続可能な観光地
マネジメントの促進を目的としている。
「日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)」(本体)観光庁資料 https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/810000952.pdf
持続可能な観光に関する用語集 (観光庁資料) https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/810000953.pdf
○2023年の日本人国内旅行消費額は21兆9,101 億円(2019年比0.1%減、前年比27.7%増)となった。
○日本人国内旅行消費額のうち、宿泊旅行消費額は17兆7,960 億円(2019年比3.7%増、前年比29.7%増)、日帰り旅行消費額は4兆1,141 億円(2019年比13.8%減、前年比19.7%増)となった。
出処:『旅行・観光消費動向調査2023年年間値(確報) 』2024年4月30日観光庁
訪日外国人旅行者数は、2019 年までは、ビザの戦略的緩和や訪日外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充、CIQ3体制の充実といった施策を進めるとともに、航空・鉄道・港湾等の交通ネットワークの充実、多言語表記をはじめとする受入環境整備、魅力的なコンテンツの造成、日本政府観光局(JNTO)等による訪日プロモーション等により、過去最高を更新していたが、2020 年から 2022 年までの訪日外国人旅行者数は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、年間を通じて大きく減少した。訪日外国人旅行者数は、2022 年6月の外国人観光客の受入再開、同年 10 月の水際措置の大幅緩和等により徐々に回復しはじめ、2023 年に入ってからは東アジアを中心に大きく増加し、同年 10 月には 2019 年同月を超え、年間では 2,507 万人(2019 年比 21.4%減)となった。
[国・地域別]
2023年の訪日外国人旅行者数を国・地域別にみると、アジア主要市場からの訪日外国人旅行者数が1,949.5万人となり、全体の77.8%を占めた。
東アジアでは韓国が695.8万人と主要23市場のうちで最も多く、台湾(420.2万人)、中国(242.5万人)と続き、全体の62.6%を占めた。
東南アジアは、ASEAN(東南アジア諸国連合)の主要6市場からの訪日旅行者数が362.8万人となり、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナムからの旅行者数は過去最高を記録した。
北米主要市場からの訪日外国人旅行者数は247.2万人となり、米国、カナダからの旅行者数は過去最高を記録した。
欧州主要6市場からの訪日外国人旅行者数は121.3万人となった。
オーストラリアからの訪日外国人旅行者数は61.3万人となった。
その他の地域では、南米が9.9%、アフリカが3.8%となった。
2023年の訪日外国人旅行消費額は、5兆3,065億円(2019年比10.2%増)と過去最高となった。
国籍・地域別にみると、台湾が最も大きく、ついで中国、韓国、米国、香港の順であった。2019年と比較すると、中国の構成比が低下した一方、韓国や米国等の構成比が上昇した。
2023年の訪日外国人旅行消費額を費目別でみると、全体に占める割合は、宿泊費が34.6%と最も高かった。
[2023年費目別にみる訪日外国人旅行消費額]
宿泊費(18,345億円・34.6%)、買物代(14,043送円・26.5%)、飲食費(11,955億円・22.5%)、交通費(5,999億円・11.3%)、娯楽等サービス費(2,700億円・5.1%)
以下、『令和5年版 観光白書 第Ⅰ部 観光の動向 』国土交通省 https://www.mlit.go.jp/statistics/content/001630305.pdf
による。
2020年(令和2年)からインバウンド需要はほぼ蒸発し、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等
重点措置による行動制限に伴い国内旅行も大きく減少となるなど、新型コロナウイルス感染拡大
は、観光関連産業に甚大な影響を与えた。このため、深刻な影響が続く観光関連産業の事業継続と
雇用維持を図るため、関係省庁が連携し、支援を図ってきた。
2022年(令和4年)は、オミクロン株による新型コロナウイルス感染症の感染拡大、中国のゼロ
コロナ政策、2月から続いているロシアによるウクライナ侵攻や欧米におけるインフレの加速等の
想定外の展開となった。
観光については、2022年(令和4年)3月には、まん延防止等重点措置が全面解除され、同年10
月には全国旅行支援の開始に加え、水際措置の大幅緩和により観光需要が大幅に増加するなど、回
復の傾向がみてとれる。
訪日外国人旅行者数は、2019年(令和元年)までは、ビザの戦略的緩和や訪日外国人旅行者向け
消費税免税制度の拡充、CIQ 3 体制の充実といった施策を進めるとともに、航空・鉄道・港湾等の
交通ネットワークの充実、多言語表記をはじめとする受入環境整備、魅力的なコンテンツの造成、
日本政府観光局等による対外プロモーション等により、過去最高を更新していたが、2020年(令和
2年)及び2021年(令和3年)の訪日外国人旅行者数は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、水
際措置の強化の継続などにより、年間を通じて大きく減少した。2022年(令和4年)の訪日外国人
旅行者数は、6月の外国人観光客の受入再開後、10月の入国者数の上限撤廃、個人旅行の解禁、
ビザなし渡航の解禁等の水際措置の大幅緩和等により大きく増加し、同年12月には2019年同月比
で54.2%まで回復、年間では約383万人(2019年比88.0%減)となった。2023年(令和5年)も回復
傾向が続き、4月は、2022年(令和4年)10月以降単月では最多の194.9万人となり、2019年同月
比で66.6%まで回復した。
2022年(令和4年)の訪日外国人旅行者数を国・地域別にみると、アジア主要市場 (韓国・中国・台湾・香港・タイ・シンガポール・マレーシア・インドネシア・フィリピン・ベトナムおよびインド)からの訪日外国人旅行者数が279.1万人となり、全体の72.8%を占めた。
東アジアでは、韓国が101.3万人と主要22市場 5 のうちで最も多く、台湾(33.1万人)、香港(26.9万人)と続き、全体の47.0%を占めた。
東南アジアは、ASEAN(東南アジア諸国連合)の主要6市場 6 からの訪日外国人旅行者数が93.5万人となった。
北米主要市場 7 からの訪日外国人旅行者数は37.9万人となり、このうち米国は32.4万人となった。
欧州主要5市場 8 からの訪日外国人旅行者数は19.6万人となった。
オーストラリアからの訪日外国人旅行者数は8.9万人となった。
その他の地域では、南米が1.8万人、アフリカが1.5万人であった。
2022年(令和4年)における訪日外国人旅行者による日本国内における消費額は、試算によると、
8,987億円(2019年比81.3%減)となった。特に2022年(令和4年)以降の四半期毎の消費額の推移を
みると、2022年(令和4年)10月の水際措置の大幅緩和以降、同年10-12月期においては2019年
同期比で約5割まで回復、2023年(令和5年)1-3月期においては2019年同期比で約9割まで回
復した。
2022年(令和4年)の訪日外国人旅行消費額を費目別にみると、全体に占める割合では、宿泊費
が34.2%と最も高かった。
2022年試算値:宿泊費(3,071億円・34.2%)、買い物代(2,361億円・26.3%)、飲食費(2,032億円・22.6%)、交通費(920億円・10.2%)、娯楽サービス費(597億円・6.6%) (観光庁「訪日外国人消費動向調査」)
2018年(平成30年)以降の訪日外国人旅行者一人当たり旅行支出の推移をみると、2021年(令和3年)10-12月期の調査再開後、一人当たり旅行支出が増加した。これは新型コロナウイルス感染拡大防止のための渡航制限等により観光目的客が大きく減少したことから、親族・知人訪問や留学など中長期滞在者の割合が増加し、一人当たり旅行支出を押し上げたものと考えられる。その後、水際措置の段階的緩和に伴う短期の観光目的客の回復により、一人当たり旅行支出は低下傾向にあり、2019年(令和元年)に最大であった中国からの訪日旅行者数の動向など今後の傾向を注視していく必要がある。
世界の国際会議開催状況をみると、2020年(令和2年)以降は新型コロナウイルス感染症の影響
により、開催件数が大幅に減少したが、2022年(令和4年)には新型コロナウイルス感染拡大前の
2019年(令和元年)の約5割まで回復した。地域別にみると、欧州では2019年比で約6割、北米で
は同年比約5割まで回復している一方、アジアでは同年比約2割にとどまっており、国際会議の再
開は、2022年(令和4年)時点では、欧米と比べるとアジアでは回復が遅れている様子がみられる。
アジア大洋州における国・地域別の国際会議開催件数をみると、2022年(令和4年)は、新型コ
ロナウイルス感染拡大前と同様の対面開催及び新型コロナウイルス感染症の影響によりオンライン
参加も可能にしたハイブリッド開催とも日本が1位となった。ただし、新型コロナウイルス感染拡
大前の2019年比での開催件数の回復度合いをみると、日本は、合計開催件数でみて約4割の回復
にとどまっており、韓国、シンガポールなどと比べて回復が遅れていることがわかる。
2022年(令和4年)の出国日本人数は、前年から増加し、277.2万人(2019年比86.2%減)となった。
月別にみると、同年1月においては2019年同月比で約5%の回復となっているが、同年12月においては、2019年同月比で約25%まで回復している。また、2023年(令和5年)も回復傾向にあり、同年4月は、2019年同月比で約34%まで回復している。
民間調査会社による全国主要ホテルの平均客室稼働率は、2022年(令和4年)10月の全国旅行支
援開始や水際措置の大幅緩和以降はおおむね70%台、2019年同月比で約9割に回復しつつある。
(宿泊旅行統計調査(観光庁)https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/shukuhakutokei.html)
日本人延べ宿泊者数について三大都市圏と地方部で比較すると、2022年(令和4年)は三大都市
圏では1億7,563万人泊、地方部では2億6,158万人泊となった。
2022 年(令和4年)の延べ宿泊者数を地方ブロック別にみると、関東が 13,593 万人泊(全体の
29.9%)、近畿が7,448万人泊(同16.4%)、中部が4,985万人泊(同11.0%)となり、同3地域で全国
の延べ宿泊者数の57.3%を占めた。
日本人延べ宿泊者数を地方ブロック別にみると、関東が12,735万人泊(全体の29.1%)、近畿が
7,057万人泊(同16.1%)、中部が4,912万人泊(同11.2%)となり、同3地域で全国の日本人延べ宿泊
者数の56.5%を占めた。
◎企業の状況
*売上高 観光に関連する産業である宿泊業、飲食サービス業、陸運業 9 、生活関連サービス業 10 についてみると、宿泊業の売上高は、2022年(令和4年)3月のまん延防止等重点措置の全面解除以降、増
加傾向にある。
*営業利益 本業で得たもうけである営業利益について、宿泊業をみると、2022年(令和4年)10-12月期には新型コロナウイルス感染拡大以降、初めて黒字に転換した。
*経常利益 2020年(令和2年)から2022年(令和4年)にかけての経常利益の推移は、観光関連産業のどの産業も営業利益とほぼ同様の動きとなっている。
*倒産・休廃業・解散の動向 民間調査会社によると、2022年(令和4年)の宿泊業(負債1,000万円以上)の倒産件数は76件(前年比11.6%減)となり、前年より件数は減少したものの、新型コロナウイルス感染症関連の倒産は55件と約7割を占めている。
一方、旅行業の倒産件数も前年と比べて減少しており、そのうち新型コロナウイルス感染症関連の倒産が約9割を占めている。
これまでの分析でみたように、行動制限の緩和等により経済活動が回復するなか、観光関連産業の経営は回復に向かってはいるが、引き続き事業継続と雇用確保へのきめ細かな支援が必要である。
◎雇用の状況
*労働需要 宿泊・飲食サービスについてみると、2023年(令和5年)3月調査では、まん延防止等重点措置の全面解除や全国旅行支援の開始、水際措置の大幅緩和等により、人員不足感が高まっている。
*雇用者数 産業別の雇用者数の動向をみる。宿泊業、飲食店、その他の生活関連サービス業における雇用者数の前年同期比は、全産業や製造業、運輸業・郵便業と比較して、2020年(令和2年)から2021年(令和3年)にかけて大きく減少したが、2022年(令和4年)の後半から回復傾向にある。
*賃金 毎月の支給給与である現金給与総額について、宿泊業・飲食サービス業は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020年(令和2年)に大きく減少し、厳しい状況となったが、2021年(令和3年)10月からは回復傾向にある。
2022 年の企業収益の振り返りと 2023 年度の見通し - 内閣府 による
2022 年通年の企業収益は、製・非製造業ともに増収増益となり、特に経常利益は両者ともに過去最高益となるなど、総じて好調であった。その結果、全規模全産業での経常利益は 93.3 兆円と、従来の最高益であった 2018 年の 84.3 兆円を 1 割以上も上回る結果となった。
製造業では、輸送用機械、一般機械、情報通信機械、電気機械などが大きく増益となった。これらの業種は、海外売上比率が高い加工業種であるという点が共通し
ており、円安の影響もあって利益が押し上げられたものと考えられる。一方で、窯業・土石、石油・石炭、パルプ・紙などの素材業種では減益となっており、円安による輸入コスト増加の影響が大きく厳しい状況となった。非製造業では、世界的な資源価格の高騰等を背景に総合商社を中心に卸売・小売が大きく増益となった。また、ウィズコロナ下での人流回復やコンテナ船市況の好調により陸運や水運等が好調となったほか、生活関連サービスや宿泊・飲食といったコロナ禍で厳しい状況が続いてきた業種でも増益となった。
『令和4年度(2022年度)の 中小企業の動向』中小企業庁 による
ビジネスホテルにおいては2022年以降最
も高い客室稼働率であったものが、シティホテルが徐々にその消費水準を回復させていることが確認できるなど、宿泊施設によって足下の状況が異なっていることが分かる(観光庁『宿泊旅行統計調査』ベース)。
さらには、宿泊業において、感染症流行により旅行需要が変化する中、従来の団体旅行客向けから個人客向け旅館に刷新する事業を行っている取組があることが確認されている。具体的には、新たにスイートルーム宿泊客を対象とした特別な個室食事処等を設置し、客前料理の提供など、「ライブ感」、「非日常感」、「特別感」を堪能できるプランを創設し、高級旅館というイメージを高めブランド価値の向上に取り組んでいる。このように、感染症流行等の厳しい状況にある中でも、顧客ターゲットの変更や提供サービスの刷新・ブランド価値向上等の新たな取組を通じて、売上高を回復している企業も見られることが分かる。