2025.09. 26 全国通訳案内士1次筆記試験合格発表(予定)
昨今のデジタル化・ネットワーク化の急速な進展、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が、コンテンツの創作・流通・利用の各場面で大きな変化をもたらしています。DX時代における社会・市場の変化やテクノロジーの進展に柔軟に対応するとともに、深刻な海賊版による被害の対策を含め、「利用円滑化」と「権利保護・適切な対価還元」によるコンテンツ創作の好循環の実現を図り、その効用を最大化する著作権制度・政策を推進することが急務となっています。文化庁では、これらの諸課題に対応するための取組を推進しています。
文化庁ホームページ より
著作権テキスト(文化庁・118p) PDFダウンロード →https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/textbook/pdf/94089201_01.pdf
以下は、観光庁研修テキスト(第1版)による
観光庁研修テキスト (第1版) 第5章 コンプライアンスより
通訳案内士法第三十二条に関連して、通 訳案内の業務上、全国通訳案内士が特に把握して おくべき法令の一つである 。
以下は、第5章コンプライアンス の第1 著作権法より
人々の暮らしや歴史・文化の姿を伝える全国通 訳案内士の業務では、様々な著作物を使用して説 明を行う場合も多い。例えば、あるお寺について 紹介する際に、写真や DVD 等をお客様に見せた り、ガイドブックの説明文を利用したりするかも しれない。 これらの映像作品や言語作品は著作物に該当 するため、利用にあたっては、著作権法に定めら れたルールを順守する必要がある。ここでは、著 作権に関する基本的事項について確認する。
文芸、学術、美術、音楽等の作品は、人間の思
想や感情を創作的に表現したものである。この表
現されたものを「著作物」、その創作者を「著作者」、
著作者に付与される法的権利を「著作権」という。
著作権法は、そうした著作物、著作者、著作権
等に関係するルールを定めた法律である。
(目的)
第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコ
ード、放送及び有線放送に関し著作者の権利
及びこれに隣接する権利を定め、これらの文
化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者
等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に
寄与することを目的とする。
「著作権」は国際条約等に基づき、図 1 に示す 権利で構成される。それぞれの権利の詳細は資料 編・資料 2 に示す。
著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作 的に表現したものであって、文芸、学術、美術又 は音楽の範囲に属するもの」と定めている。 資料編・資料 3 に具体例を示すが、上記の定義に 当てはまるものは全て著作物に該当する。
著作権は、著作物を創作したタイミングで発生 し、権利を得るための手続きは一切必要無い。 また、著作権の保護期間は、原則として著作者 が著作物を創作した時点から死後 70 年間と定め られている。例外を含めて整理すると資料編・資 料 4 のとおりとなる。 なお、保護期間を経て著作権が消滅した著作物 は、誰でも利用できるようになる。 (5) 海外の著作物について 著作物は国境を越えて利用されるため、世界各 国は条約を結ぶことで、お互いに著作物を保護し 合っている。日本は著作権に関する主要な国際条 約に加入しており、大半の国々と保護関係にある。
著作物は国境を越えて利用されるため、世界各 国は条約を結ぶことで、お互いに著作物を保護し 合っている。日本は著作権に関する主要な国際条 約に加入しており、大半の国々と保護関係にある。
著作物が自由に利用できる場合について 著作権法は、他人の著作物を利用する際には、 原則として著作者の許諾が必要と定めている。 しかし、一定の条件を満たせば、著作者の了解 を得ずとも無断で利用できる場合がある。例えば 次のような場合である。
・私的使用のための複製
・学校等の教育機関における複製
・営利を目的としない上演・演奏 等
その他の場合を含めた著作物を自由に利用で きる場合の一覧を資料編・資料 5 に示す。
上図出処:交易社団法人著作権情報センターより
著作物を利用する際には、できる限り利用方法等を詳しく説明したうえで、文書で、その利用方法、許諾の範囲、使用料の額やその支払方法などを合意して契約を結ぶ必要があります。
なお、この図では利用許諾を得るための手順を説明しましたが、新たな著作物を創作してもらいそれを継続的に利用するような場合には、著作権の譲渡を受ける契約を結ぶこともよく行われています。この場合でも、利用方法、許諾の範囲などを詳細に確認しておく必要があることは変わりありません。このように著作権が譲渡されている場合、第三者が当該著作物を利用する際には、著作者ではなく著作権者に許諾を得ることが必要です。ただし、この場合でも著作者人格権は著作者に残りますので、著作者人格権を侵害するような方法での利用はできません。
また、既存の著作物を利用しようとする場合に、著作権者の所在を調べてみたところその所在が分からず連絡がとれないために利用許諾を得ることができないというケースがあります。このような場合には、文化庁長官の裁定を受け、補償金を支払って利用する方法もあります。
(3)著作権の種類
「著作物って何?」(出処:公益社団法人著作権情報センター該当ページ)
著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義しています(著作権法第2条第1項第1号。以下、著作権法の場合は条文番号のみを記述します)。
↓
著作権法 第一節 著作物
(著作物の例示)
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。
全国通訳案内士の業務においては、他者の著作 物を使用する場面が多々ある。 しかし、著作権者から許諾を得ずに著作物を利 用した場合の罰則は、極めて厳格である。しかも、 その責任の範囲は全国通訳案内士個人にとどま らず、旅行会社等へも及ぶ場合もある。例えば、 全国通訳案内士が募集型企画旅行に旅程管理主 任者として添乗した際に著作権侵害行為を行っ た場合、旅行の実施主体である旅行会社も責任を 負う可能性がある。 したがって、全国通訳案内士にとって著作権に 係る基本的な知識・ルールを学ぶことは非常に重 要であり、通訳案内業務において他者の著作物を 利用する際には、本書で説明した利用手順に従う 必要がある。
〇パブリックドメイン〇
パブリックドメイン(public domain)とは、著作物や発明などの知的創作物について、知的財産権が発生していない状態または消滅した状態のことをいう。日本語訳として公有(こうゆう)という語が使われることがある 。
パブリックドメインに帰した知的創作物については、その知的財産権を行使しうる者が存在しないことになるため、知的財産権の侵害を根拠として利用の差止めや損害賠償請求などを求められることはないことになる。その結果、知的創作物を誰でも自由に利用できると説かれることが多い。しかし、知的財産権を侵害しなくても、利用が所有権や人格権などの侵害を伴う場合は、その限りにおいて自由に利用できるわけではない。また、ある種の知的財産権が消滅したとしても、別の知的財産権が消滅しているとは限らない場合もある(著作物を商標として利用している者がいる場合、量産可能な美術工芸品のように著作権と意匠権によって重畳的に保護される場合など)。また、各法域により法の内容が異なるため、一つの法域で権利が消滅しても、別の法域で権利が消滅しているとは限らない。したがって、特定の知的創作物がパブリックドメインであると言われる場合は、どの法域でどのような権利が不発生あるいは消滅したのかを、具体的に検討する必要がある。
そもそも創作性を欠くなどの理由により保護すべき知的創作物にならない場合(例えば、著作権の場合は思想または感情の創作的表現でなければ著作物にならないので、単なるアイデアにとどまる場合や、境界線や海岸線などの記載しかない地図のように想定される表現が限られるようなものは、そもそも創作性を欠くので知的財産権が発生するか否かという問題自体が生じないし、ライセンス付与も本来ありえない)もあるが、著作物や発明の要件を満たしていながら、知的財産権が発生しない場合、または発生した権利が消滅する場合としては、以下のようなものがある。
*権利が発生しない場合
◎権利取得に必要な手続・方式の不履行
◎その他、法が権利付与を否定する場合
*権利の消滅
◎保護期間の満了
例えば、特許権は特許出願の日から20年をもって消滅し、著作権は著作者の死後50年または70年をもって消滅するものと規定する国が多い(著作権の保護期間)。創作活動は先人の成果の上に成り立っていることは否定できないため、創作後一定の期間が経過した場合は恩恵を受けた社会の発展のために公有の状態に置くべきとの価値判断によるものである。
◎承継人の不存在
民法などの原則をそのまま適用すれば、知的財産権はいずれの場合も国庫に帰属するはずである(民法959条、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律239条3項)。しかし、著作権法など知的財産に関する法律では、知的所産であり広く国民一般に利用させるのが適切として、特別規定を置き権利を消滅させることとしている。
相続人不存在の場合、特許権などは、相続人の捜索の公告の期間内に権利主張をする者が表れなかった場合に権利が消滅するのに対し(特許法76条)、著作権は、それに加えて特別縁故者に対する相続財産の分与もされなかった場合(民法959条に該当する場合)に初めて権利が消滅する(著作権法62条)という差異がある。
◎権利放棄
図の出処:著作物等の保護期間の延長に関するQ&A(文化庁)
平成28年の「TPP整備法」により、すべて死後70年に変更。
・私的使用のための複製(著作権法第 30 条)
・付随対象著作物の利用(著作権法第 30 条の2)
・検討の過程における利用(著作権法第 30 条の3)
・技術の開発又は実用化のための試験に用いるための利用(著作権法第 30 条の4)
・図書館での複製
・自動公衆送信(著作権法第 31 条)
・引用(著作権法第 32 条)
・教科書への掲載(著作権法第 33 条)
・拡大教科書の作成のための複製(著作権法第 33 条の 2)
・学校教育番組の放送など(著作権法第 34 条)
・学校における複製など(著作権法第 35 条)
・試験問題としての複製など(著作権法第 36 条)
・視覚障害者等のための複製(著作権法第 37 条)
・聴覚障害者等のための複製(著作権法第 37 条の 2)
・非営利目的の演奏など(著作権法第 38 条)
・時事問題の論説の転載など(著作権法第 39 条)
・政治上の演説などの利用(著作権法第 40 条)
・時事事件の報道のための利用(著作権法第 41 条)
・裁判手続などにおける複製(著作権法第 42 条)
・情報公開法による開示のための利用(著作権法第 42 条の 2)
・公文書管理法による保存のための利用(著作権法第 42 条の 3)
・国立国会図書館法によるインターネット資料の複製(著作権法第 42 条の 4)
・翻訳、翻案等による利用(著作権法第 43 条)
・放送などのための一時的固定(著作権法第 44 条)
・美術の著作物などの所有者による展示(著作権法第 45 条) ・公開の美術の著作物などの利用(著作権法第 46 条)
・展覧会の小冊子などへの掲載(著作権法第 47 条)
・インターネット・オークション等の商品紹介用画像の掲載のための複製(著作権法第 47 条の 2)
・プログラムの所有者による複製など(著作権法第 47 条の 3)
・保守・修理のための一時的複製(著作権法第 47 条の 4)
・送信障害の防止等のための複製(著作権法第 47 条の 5)
・インターネット情報検索サービスにおける複製(著作権法第 47 条の 6)
・情報解析のための複製(著作権法第 47 条の 7)
・コンピュータにおける著作物利用に伴う複製(著作権法第 47 条の 8)
・インターネットサービスの準備に伴う記録媒体への記録・翻案(著作権法第 47 条の 9)
・複製権の制限により作成された複製物の譲渡(著作権法第 47 条の 10)
(公益社団法人著作権情報センターHP より引用 http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime7.html)