2025.09. 26 全国通訳案内士1次筆記試験合格発表(予定)
日本を代表する風景地として自然公園法(昭和32年法律第161号)に基づいて指定されている全国34の国立公園のうち12の国立公園が、令和6年3月から令和8年2月にかけて指定90周年を迎えます。
動画では、環境特別広報大使として日本の国立公園の魅力を広く発信している、俳優で歌手の柴咲コウさんが、動画のナレーションを務め、12の国立公園のひとつである阿蘇くじゅう国立公園からお祝いのメッセージを寄せるとともに、国立公園だからこそ守られてきた美しい自然風景と、そこに息づく人々の暮らしや多様な伝統・文化などの魅力について紹介しています。国立公園とともに生きる地域の方々にもインタビューし、国立公園の恵みと、そこを守る意義・重要性についてもコメントをいただいています。→動画 (柴咲コウさん国立公園指定90周年記念メッセージ)
令和6年から令和8年にかけて指定90周年を迎える12の国立公園
定義:
日本を代表するすぐれた自然の風景地を保護するために開発等の人為を制限するとともに、風景の観賞などの自然に親しむ利用がし易いように、必要な情報の提供や利用施設を整備しているところであり、環境大臣が自然公園法に基づき指定し、国が直接管理する自然公園です。
特徴:
狭い国土に大勢の人が住み、昔から土地をさまざまな目的で管理・利用してきた日本では、アメリカやオーストラリアなどのように国立公園の土地すべてを公園専用とすることが難しいです。そのため、日本の国立公園は、土地の所有に関わらず指定を行う「地域制自然公園制度」を採用しており、国立公園内にも多くの私有地が含まれています。国立公園内に住んでいる人も多く、農林業などの産業も行われていることから、国立公園の管理は、人々の暮らしや産業などとの調整をしながら進められています。保護の面でも利用の面でも多くの利害関係者がいることから、多様な主体の連携による「協働型管理運営」が重要となっています。
『目的と役割』日本の国立公園~国立公園とは 環境省より
歴史:
明治44年(1911年)に「日光を帝國公園となす請願」が議会に提出され、その後多くの人々の要望が高まって昭和6年(1931年)に国立公園法が制定され、それに基づいて昭和9年(1934年)3月16日に瀬戸内海、雲仙、霧島の3箇所が日本初の国立公園に指定されました。
その後、昭和32年(1957年)には国立公園法が全面的に改定されて自然公園法が制定され、国立公園、国定公園、都道府県立自然公園といった現在の自然公園体系が確立されました。日本の素晴らしい風景の保護と適正な利用の増進のために様々な制度や仕組みを整えながら、きめ細かな管理ができるようにして、現在に至っています。北は北海道から南は沖縄、小笠原諸島まで国立公園は34箇所になり、毎年多くの人が利用しています。
『国立公園80年の歴史』日本の国立公園~国立公園とは 環境省より
参考:日本の国立公園(環境省)『国立公園年表』写真入りの表でわかりやすい。
日本の国立公園
日本は、地理的、自然的条件によって、変化に富んだきめの細かい美しい自然風景に恵まれている。その代表的に優れたものを国立公園として指定し、風景の保護を図るとともに、国民の保健・休養・教化に資するために1931年(昭和6)国立公園法が制定された。アメリカなどの先例に倣い、国の設定する自然公園という基本的な考え方に異なるところはないが、公有地・私有地に関係なく公園地域を指定する「地域制」によった点で、公園としてまったく新しい概念を確立した。1957年(昭和32)に国立公園法にかわって制定された自然公園法のなかでも、国立公園に関しては、国立公園法の考え方はそのまま踏襲され、「わが国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地」について、環境大臣は中央環境審議会(旧、自然環境保全審議会)の意見を聞き、区域を定めて指定するものとされている。国立公園の指定は、1934年3月、瀬戸内海、雲仙(うんぜん)(1956年雲仙天草)、霧島(1964年霧島屋久(やく)を経て2012年(平成24)霧島錦江湾(きんこうわん))の3公園が指定されたのを最初に、同年12月、阿寒(あかん)(2017年阿寒摩周(ましゅう))、大雪山、日光、中部山岳、阿蘇(あそ)(1986年阿蘇くじゅう)の5公園が、さらに1936年2月、十和田(とわだ)(1956年十和田八幡平(はちまんたい))、富士箱根(1955年富士箱根伊豆)、吉野熊野、大山(だいせん)(1961年大山隠岐(おき))の4公園の指定によって当初の12候補地の指定が完了した。しかし、戦争のために実質的な進展はみられなかった。
第二次世界大戦後、伊勢(いせ)神宮を含む伊勢志摩一帯の自然風景の保護のため1946年伊勢志摩国立公園の指定が行われたのに刺激されて、国立公園指定の要望が全国的に現れ、1955年までに、支笏洞爺(しこつとうや)、陸中(りくちゅう)海岸(現、三陸復興国立公園)、磐梯(ばんだい)朝日、上信越高原、秩父(ちちぶ)多摩(2000年秩父多摩甲斐(かい))、西海(さいかい)の6公園の指定が行われた。その後1957年の自然公園法の制定とともに体系的な指定が計画されて、知床(しれとこ)、南アルプス、白山(はくさん)、山陰海岸が国立公園となり、さらに1971年自然公園行政が環境庁自然保護局(現、環境省自然環境局)の所管に移ってからは、1974年までに利尻礼文(りしりれぶん)サロベツ、小笠原(おがさわら)、足摺宇和海(あしずりうわかい)、西表(いりおもて)(2007年西表石垣)の自然性の高い国立公園が指定された。その後1987年に北海道の釧路(くしろ)湿原を、また、2007年に日光国立公園の尾瀬地区を中心とした区域を分離して新たに指定している。2012年には霧島屋久国立公園が霧島錦江湾国立公園と屋久島国立公園に分割され、2014年には沖縄海岸国定公園の慶良間(けらま)地域が慶良間諸島国立公園として分離独立、2015年にも上信越高原国立公園の西部地域が妙高戸隠(とがくし)連山国立公園として分離独立した。2016年には沖縄のやんばる国立公園、2017年には奄美(あまみ)群島国立公園が指定され、2019年の時点では、34国立公園、総面積2万1907.92平方キロメートル、国土面積に対する割合は5.8%となっている。国立公園の区域は法律に基づく公園計画によって特別地域(73%、特別保護地区を含む)、普通地域(27%)が指定されて、風致景観の維持が図られている。公園の利用施設は、道路、園地、ビジターセンター、自然研究路、公衆便所、避難小屋などの基幹的な公共施設が国費または国庫補助をもって整備が進められている。日本の国立公園は世界中でもっとも高度に利用されており、年間の利用者は2016年で3億5916万人に達している。[池ノ上容]
『鈴木敏・沢田晴委智郎著『公園の話』(1993・技報堂出版)』▽『飯沼二郎・白幡洋三郎著『日本文化としての公園』(1993・八坂書房)』▽『公園緑地行政研究会著『改正都市公園制度Q&A』(1993・ぎょうせい)』▽『栗山浩一・庄子康編著『環境と観光の経済評価――国立公園の維持と管理』(2005・勁草書房)』▽『森田敏隆写真『日本の国立公園』上下(2007・山と溪谷社)』▽『久末弥生著『アメリカの国立公園法――協働と紛争の一世紀』(2011・北海道大学出版会)』▽『畠山武道・土屋俊幸・八巻一成編著『イギリス国立公園の現状と未来――進化する自然公園制度の確立に向けて』(2012・北海道大学出版会)』▽『小野寺浩他著、国立公園研究会・自然公園財団編『国立公園論――国立公園の80年を問う』(2017・南方新社)』▽『加藤則芳著『日本の国立公園』(平凡社新書)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)『日本の国立公園(国立公園)』
1934.3
2020年地理に出題。
[瀬戸内海国立公園]
瀬戸内海の主要部を占める国立公園。国立公園法により1934年(昭和9)雲仙(うんぜん)地区、霧島(きりしま)地区とともに最初の国立公園に指定。当初の指定区域は広島、岡山、香川の3県にまたがる島々の景勝地であったが、1956年(昭和31)に拡張されて、紀淡海峡、鳴門海峡(なるとかいきょう)、豊予海峡(ほうよかいきょう)、関門海峡(かんもんかいきょう)の4海峡に囲まれた地域に及び、沿岸10県、海域を除く陸地面積は669.34平方キロメートル。海域は瀬戸内海の大部分(大阪湾・播磨灘(はりまなだ)・伊予灘・周防(すおう)灘の大部分と燧(ひうち)灘の四国沿岸を除く)を占め、海域を含めるとわが国最大の国立公園となった。特色は、白砂青松の多島海、潮流の激しい海峡などの自然景観と、海路を媒介に繁栄した文化の遺産である遺跡、史跡、社寺である。著名な景勝地としては、紀淡海峡、兵庫県の六甲山、室津(むろつ)・赤穂御崎(あこうみさき)などの西播(せいばん)海岸、家島(いえしま)諸島、淡路(あわじ)島、岡山県の日生(ひなせ)諸島、牛窓、金甲山、王子ヶ岳、鷲羽(わしゅう)山、笠岡(かさおか)諸島、広島県の鞆(とも)、野呂(のろ)山、休(やすみ)山、厳(いつく)島(宮島)、山口県の周防(すおう)大島、笠戸島、大島半島、火の山と関門海峡、徳島県の鳴門海峡、香川県の小豆(しょうど)島、直島(なおしま)諸島、屋島、五剣(ごけん)山、五色台、琴平(ことひら)山、塩飽(しわく)諸島、愛媛県の佐田岬と豊予海峡、広島県と愛媛県にまたがる大三島(おおみしま)・生口島(いくちじま)・因島(いんのしま)・大島などを含む芸予(げいよ)諸島、大分県の姫島(ひめしま)などがある。[由比浜省吾]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
[瀬戸内海]
本州西部と四国の間にある海域。更新世中期(約 38万年前)に,琵琶湖から有明海にいたる地盤が陥没して備後灘以東に第1次の瀬戸内海が形成された。その後の海水準面の変動により,陸化したが,今日のような形になったのは約 8000年前と推定されている。面積は約 9500km2で,東西に細長く,東は大阪湾,西は九州でかぎられる。播磨灘,備後灘,燧灘(ひうちなだ),安芸灘,伊予灘,周防灘の各灘と淡路島(最大),小豆島のほか,備讃諸島,塩飽諸島,芸予諸島,防予諸島の各諸島からなる。紀伊水道,豊後水道で外海とつながる。鳴門海峡,来島海峡は急潮で名高く,水深は大。かつては豊富な水産資源に恵まれていたが,沿岸の埋立地に工場が立地したため,水質の汚濁が著しく,水産業は衰微。塩田もほぼ消滅。島でミカンなどの果樹や花卉を栽培する。また,山陽地方の沿岸は鉄鋼,石油化学関係の大工業地域を形成。古くから畿内と九州を結ぶ海上交通の要路。1988年4月本州四国連絡橋の一つ,瀬戸大橋(児島-坂出ルート)が開通,本州から四国へ鉄道で渡れるようになった。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
[雲仙霧島国立公園]
長崎県南東部島原半島の雲仙岳を中心とした地域と,熊本県南西部天草諸島および鹿児島県北西部獅子島,伊唐島,長島の海岸地域からなる自然公園。面積 282.79km2。1934年雲仙地区を日本最初の国立公園八つのうちの一つとして指定。1956年天草地区,1967年天草五橋沿線を追加指定した。雲仙地区には雲仙岳を中心とする火山群と雲仙温泉,小地獄,別所地獄などの温泉群が含まれる。ミヤマキリシマ,イヌツゲ,シロドウダンなど国の天然記念物に指定された植物群落があり,また春のウンゼンツツジ,秋の紅葉,冬の霧氷は特に美しい。早くから国際的な観光保養地として開かれた地区で,各種の施設が整っている。天草地区では,天草松島など内海の静かな多島海景観と,天草灘に臨む下島西岸の力強い断崖海岸の景観とが好対照。下島の東岸,南岸には天草海域公園地区,富岡海域公園地区,牛深海域公園地区があり,天草諸島東側には沈降海岸特有の屈曲の多い湾入が各所に見られ,海水浴場も多い。この地区には各地に隠れキリシタンに関する史跡もある。1990年には雲仙岳を構成する火山群の一つ普賢岳が噴火,長崎地方に大きな被害を与えた。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
宮崎県,鹿児島県に広がる自然公園。面積 365.86km2。1934年霧島国立公園として指定。1964年錦江湾(鹿児島湾)と屋久島地域が編入され,霧島屋久国立公園と改称。2012年錦江湾奥部の姶良カルデラ(→カルデラ)が編入されたのに伴い,屋久島地域を分離して現名称に変更された(→屋久島国立公園)。霧島地域では,霧島山地の韓国岳,高千穂峰などの火山群,御池,大浪池などの火口湖,ミヤマキリシマ大群落やアカマツ林などによる自然景観,桜島などの遠望の美しさと,えびの高原温泉,霧島温泉郷などの温泉群が中心。錦江湾地域は桜島周辺,湾奥の姶良カルデラ,薩摩半島南東端の指宿温泉,開聞岳(924m),池田湖,鰻池,長崎鼻一帯,および大隅半島南西端の佐多岬とその北部海岸一帯からなり,地形,植生などの面で興味深いところが多い。公園域内には桜島海域公園地区,佐多岬海域公園地区,神瀬海域公園地区,神造島海域公園地区,若尊鼻海域公園地区,若尊海山海域公園地区,重富干潟海域公園地区がある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
1934.12
北海道中央部,石狩山地の主要部を占める日本最大の国立公園。面積2308.94km2。1934年指定。大雪火山群(大雪山),十勝火山群,石狩岳山群の火口,湿原,雪渓と高山植物,針葉樹の原始林におおわれた山体,峡谷と温泉の層雲峡,然別(しかりべつ)湖や糠平湖などの景観が特色で,ナキウサギ,エゾリス,高山チョウも生息。白金,糠平,愛山渓,天人峡などの温泉が登山,スキー,探勝の基地で,旭川市,上川町,富良野(ふらの)市,帯広市などから交通の便がある。探勝期は7〜9月が最適
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディア
北海道東部、釧路(くしろ)総合振興局管内の北部を中心に一部オホーツク、十勝(とかち)両総合振興局、根室振興局管内に及ぶ国立公園。1934年(昭和9)「阿寒国立公園」として指定。2017年(平成29)8月、公園区域の一部拡張(神の子池および摩周カルデラ外輪山山麓)とともに名称を変更し、「阿寒摩周国立公園」となった(面積914.13平方キロメートル)。摩周、屈斜路(くっしゃろ)、阿寒の三大カルデラを中心に、雄(お)阿寒岳(1370メートル)、雌(め)阿寒岳(1499メートル)、アトサヌプリ(硫黄(いおう)山。508メートル)などの火山、摩周湖、屈斜路湖、阿寒湖などの火山性湖沼がある北海道の代表的火山公園である。
東部の摩周カルデラと屈斜路カルデラを中心とする「摩周地域」と、西部の阿寒カルデラを中心とする「阿寒地域」の大きく2地域で構成される。
摩周地域には、日本最大級の屈斜路カルデラを中心に、摩周湖とこれを取り巻くアトサヌプリ、カムイヌプリ(摩周岳。857メートル)などの火山がある。摩周カルデラ周辺ではダケカンバの純林が見られるほか、アトサヌプリ周辺ではハイマツやイソツツジなどの大群生が広がる。眺望スポットとして、摩周カルデラ地区では、摩周湖と摩周岳に臨む、道道52号沿いのカルデラ壁にある第1、第3展望台、屈斜路カルデラ地区では、屈斜路湖と和琴(わこと)半島を一望する、カルデラ壁上の美幌(びほろ)峠(495メートル)が有名。
阿寒地域には、原生林に囲まれ特別天然記念物のマリモで知られる阿寒湖、オンネトーなどの湖沼がある。また周囲にはエゾマツ、トドマツ、ミズナラなどの針広混合林があり、雄阿寒岳や雌阿寒岳山麓ではアカエゾマツの純林をみることができる。眺望スポットとして、ペンケトウ、パンケトウの両湖水を見下ろす双湖(そうこ)台が知られる。観光基地は阿寒湖温泉である。なお、阿寒湖は2005年(平成17)に、ラムサール条約登録湿地となった。[古川史郎・編集部 2018年5月21日]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
参考ページ:環境省HP日本の国立公園『阿寒摩周国立公園』公園の特長
日本最大のカルデラ地形、火山・森・湖が織りなす広大な景観
栃木・群馬・新潟3県にまたがる国立公園。1934年指定,1954年鬼怒川・塩原・那須の3地区を編入。2007年尾瀬地域分離。日光地域は日光東照宮など2社1寺のある日光山内と,男体山,中禅寺湖,戦場ヶ原,日光湯元温泉を中心とする奥日光に分かれる。鬼怒川地区は鬼怒川・川治両温泉と五十里(いかり)湖,塩原地区は塩原温泉郷,那須地区は那須岳と那須温泉郷が中心。2005年11月に奥日光の湿原がラムサール条約登録湿地となる。観光基地は日光市など。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディア
新潟県,富山県,長野県,岐阜県に広がる自然公園。面積 1743.23km2。1934年指定。日本アルプスの一部,飛騨山脈と乗鞍火山などを含む北アルプスの地域を占める。更新世の氷河で形成された山や谷の地形,カールや氷食谷をもつ高山が多く,白馬岳(2932m),立山(3015m),槍ヶ岳(3180m),穂高岳(3190m)の連峰が典型的。白馬岳は高山植物が多く雪渓が美しい。乗鞍岳(3026m),立山にはケーブルカー,バスが通じ登山者が激増。五色ヶ原や雲ノ平の溶岩台地,薬師岳(2926m)付近などでは,美しい高原の景観に加え,原始林や高山植物群落に覆われ,日本第1の山岳景観を呈する。カモシカ(→ニホンカモシカ)やライチョウもみられる。黒部峡谷の黒部ダムから下流仙人ダム付近までは,1964年国の特別名勝,特別天然記念物に指定。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
九州中部,熊本県と大分県に広がる山岳・高原自然公園。阿蘇山を中心とした阿蘇地域,久住山,由布岳,鶴見岳などの火山群を中心としたくじゅう地域からなる。面積 726.78km2。1934年阿蘇国立公園として指定。日本で最初に指定された八つの国立公園の一つで,数次の区域変更を経て 1986年現名称に改称された。阿蘇山は世界的に有名な大カルデラで,標高約 900mの外輪山に囲まれ,中央火口丘に中岳,高岳,根子岳,杵島岳,烏帽子岳の阿蘇五岳がそびえる。付近には阿蘇温泉,栃木温泉,垂玉温泉などの温泉や仙酔峡,草千里ヶ浜,大観峰などの景勝地が多い。噴煙を上げる中岳の火口までバス(阿蘇山火口シャトル)とロープウェー(*ちよろぎ注:2019年廃止)が通じ,多くの観光客を集める。くじゅう地域は久住山,由布岳,鶴見岳などの火山群を中心に,その周辺に広がる久住高原,飯田高原などを含む山岳高原地帯。溶岩円頂丘(鐘状火山),火口湖,湿原,渓谷,温泉が景観に変化を与える。植生では広大な草原が特徴で,初夏には各地でミヤマキリシマなどの大群落が見られる。九重山のコケモモ群落も有名。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
ちよろぎ:2023/7/28 火口を覗く見学エリアが火山ガスの為見学できない場合に開く新たな見学ゾーンEゾーンが開設された。ただし、安全のために制限有。要団体行動。
詳細は阿蘇中岳火口見学 リーフレット[PDF] 。
1936年
青森、秋田、岩手の3県にまたがる国立公園。十和田湖を中心に八甲田山(はっこうださん)を含む十和田地区は、1936年(昭和11)に国立公園に指定、八幡平地区は1956年(昭和31)に追加指定された。面積855.51平方キロメートル。火山性の山地、高原、湖沼、温泉などを含み、観光の中心は十和田湖である。二重式カルデラ湖として世界的に有名で、湖岸は外輪山によって囲まれている。十和田湖から流れ出る奥入瀬川(おいらせがわ)は、四季折々の豊かな自然を映し、両岸にかかる滝とともに渓谷美で知られ、十和田湖とともに特別名勝・天然記念物に指定されている。河床と道路との差が1メートルほどで、渓流を歩きながら楽しむことができる。十和田湖の北部にそびえる八甲田火山群は、南八甲田の10峰と北八甲田の8峰からなる。冬は樹氷で知られ、春から初夏にかけては山岳スキーが楽しめる。山麓(さんろく)には酸ヶ湯(すかゆ)、田代元湯、猿倉(さるくら)温泉などがある。
八幡平地区は、最高点1614メートルの広大な高原をなす一帯と、円錐(えんすい)状火山の岩手山(2038メートル)や、秋田駒(こま)とよばれる駒ヶ岳(1637メートル)からなる。八幡平には旧火口に水をたたえた小湖沼が点在し湿原も多い。玉川、後生掛(ごしょがけ)、乳頭(にゅうとう)温泉郷など温泉が多く、植物相も豊富である。特別天然記念物に玉川温泉の北投(ほくとう)石、岩手山の焼走り熔岩(ようがん)流がある。八幡平では夏スキーができる。[横山 弘]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
奈良県,和歌山県,三重県の 3県に広がる自然公園。面積 614.06km2。1936年指定。1950年潮岬地区,1965年洞川地区(どろがわちく),1970年錆浦地区(さびうらちく),1975年鬼ヶ城以北の海岸地区,2015年和歌山県南西部の県立自然公園地区をそれぞれ追加指定。山岳,渓谷,海岸の景観が中心。大峰山脈,大台ヶ原山などの山岳地帯を中心に,北山川の北山峡と瀞八丁(→瀞峡),和歌山県の田辺市東部から新宮市にいたる熊野川流域,鬼ヶ城,七里御浜,大島,潮岬などの熊野灘沿岸,枯木灘を望む近畿自然歩道(長井坂)や展望台,三段壁,田辺湾,飛び地として吉野山,那智山を含む。吉野山は古くからのサクラの名所で,南北朝時代の歴史に富んだところとして知られる。大峰山(→山上ヶ岳)は修験道の道場で,女人禁制で有名。大台ヶ原山は約 1500mの準平原である。新宮市で海に注ぐ北山川は,上流では早瀬激流,奥瀞,瀞八丁となり,特に瀞八丁は,北山川の河床の削剥によってできた深淵である。吉野山地の天川村と五條市との境にあるオオヤマレンゲ自生地および八剣山(仏経ヶ岳)原始林はともに国の天然記念物。三重県熊野市の鬼ヶ城から和歌山県みなべ町にいたる海岸は,隆起海岸特有の地形が続き,鬼ヶ城,七里御浜(国指定史跡),勝浦,玉ノ浦,太地岬,潮岬,三段壁など南国的な海岸風景が続き,田辺湾中の泥岩岩脈のある鳥巣半島や暖地性植物群落のある神島(かしま)は国の天然記念物に指定されている。また熊野詣の本宮,新宮,那智の熊野三山(国指定史跡),那智観音,名瀑の那智滝(国指定名勝)など名勝が多い。温泉も豊富で,勝浦温泉,湯川温泉,川湯温泉,湯ノ峰温泉,椿温泉,白浜温泉などがある。紀伊半島南西の沿岸部一帯は海域公園地区に指定されている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
鳥取・島根・岡山の3県にわたる国立公園。面積319.27km2。1936年大山国立公園として指定,1963年島根半島,蒜山(ひるぜん),三瓶(さんべ)山,隠岐諸島を追加指定し改称。大山は広大な裾野(すその),蒜山は南麓の高原,三瓶山は周辺の高原の景観が特にすぐれ,スキー場も多く,三瓶山地区には三瓶温泉がある。島根半島は東の美保関付近,西の出雲大社と日御碕,隠岐諸島は白島,国賀(くぬが),知夫などの海岸景観が主体で,史跡にも富む。米子市,松江市が観光基地。2014年には三徳山の一部を指定・拡大。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディア
神奈川・山梨・静岡・東京4都県にまたがる国立公園。面積1226.90km2。1936年富士山,箱根地区指定,1955年伊豆半島地区,1964年伊豆諸島地区追加指定。富士地区は日本の最高峰富士山の秀麗な山容と山麓一帯の高原や樹海,富士五湖,溶岩樹型や風穴などの火山地形,箱根地区は箱根火山の複雑な地形と多くの温泉や史跡,伊豆半島地区は天城山一帯と堂ヶ島,波勝崎,石廊(いろう)崎などの岩石海岸,半島一帯に散在する温泉群が観光の中心。伊豆諸島地区は大島から八丈島までの伊豆七島全域を含み,三原山,八丈富士などの火山,海景,暖地性植物景観,独特の風習などに特色がある。富士地区は富士吉田,富士宮,御殿場の各市,箱根地区は小田原,熱海両市,伊豆半島地区は熱海,伊東,沼津,下田の各市,伊豆諸島地区は大島,八丈両町などが観光基地で,諸島を除き,施設,交通とも整備されているが,京浜の行楽地としてにぎわう箱根地区では自然景観の破壊も目立っている。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディア
1946年
三重県の志摩半島東部一帯と度会郡の一部を占める自然公園。面積 555.44km2。1946年指定。複雑な変化に富んだ海岸線や入江,岬,大小の島々,伊勢神宮,真珠の養殖などが観光の中心。伊勢神宮は古来信仰の中心地で,内宮・外宮の簡素な神殿と森厳な環境に恵まれている。境内に続く原生林は学術的に価値がある。志摩半島では,的矢湾奥の伊雑浦(いぞうのうら)にある伊雑宮(いざわのみや),五ヶ所湾,英虞湾,鳥羽湾などのリアス海岸と,静かな入江に浮かぶ真珠養殖施設,太平洋の荒波によって荒削りされた安乗崎,大王崎の海食崖などがある。気候が温暖なため,ツバキ,ハマユウなどの南国植物が目につく。イセエビ,アワビなど海の幸に恵まれている。伊勢市,鳥羽市が観光の拠点。賢島にはホテル,ゴルフ場があり,伊勢,鳥羽には旅館が多い。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
1949年~1950年
1958~1959年 自然公園法施行以降
参考:『「日高山脈襟裳十勝国立公園」が誕生、国内最大の24万ヘクタール…「山と海と田園風景が凝縮」』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240625-OYT1T50091/
参考:『35か所目となる国立公園「日高山脈襟裳十勝国立公園」が誕生しました!』環境省 2024年06月25日
https://www.env.go.jp/press/111250.html
令和6年5月23日に中央環境審議会より答申を受けた日高山脈襟裳十勝国立公園の指定及び公園計画の決定については、以下のとおり官報に告示されました。
今回の告示により、北海道の中央南部に位置する日高山脈一帯、アポイ岳、豊似湖、襟裳岬やその周辺海域等が新たに国立公園に指定されます。国立公園の指定は平成29年3月の奄美群島国立公園(鹿児島県)に続き、35か所目となります。
本国立公園は、南北約140kmに及ぶ脊梁山脈であり、氷河地形、高山植生及び我が国最大の原生流域を擁する日高山脈から、裾野の森林地域を通じて、切り立った海食崖や海成段丘が特徴的な海岸地域までつながる我が国最大の国立公園です。日高山脈が内陸部から海まで延々と連なる雄大さと、その山脈が原生的な自然状態を保ったまま存在する点において我が国を代表するに足りる傑出した自然の風景地です。
参考:『日高山脈襟裳十勝国立公園』Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E9%AB%98%E5%B1%B1%E8%84%88%E8%A5%9F%E8%A3%B3%E5%8D%81%E5%8B%9D%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E5%85%AC%E5%9C%92
日高山脈襟裳十勝国立公園(ひだかさんみゃくえりもとかちこくりつこうえん)は、北海道中央南部[3] にある日本最大の国立公園である。日高山脈一帯、広尾町から襟裳岬にかけての海岸線、豊似湖及びアポイ岳周辺の地域からなり、総面積24万5668 haである。2024年6月25日に日高山脈襟裳国定公園を解除し、陸域の面積を国定公園時代の2倍以上に広げ、国立公園として指定された。名称は「日高山脈襟裳十勝国立公園」とされた。
日高山脈は日本国内で原始的な自然を残しており、固有種や隔離分布する植物を数多く見ることができるのが特徴になっている。登山に関しては難度の高い山域であり、一般的な登山道が整備されていない箇所も多いため、他の山域とは異なる知識や準備を必要としている。襟裳岬は岬から1.5 kmに渡り岩礁が連続し、風が強い地域である。また、日本の白砂青松100選や「百人浜・襟裳岬」として日本の渚百選に選定されている。アポイ岳は世界的にも珍しいかんらん岩からなる山塊や渓谷、特殊な土壌条件などによって低標高ながら高山植物を見ることができる自然環境にあり、登山道も整備されている。「アポイ岳と高山植物群落」として国の特別天然記念物に指定されている[7]ほか、日本の地質百選の一つに選定されている。また、ジオパークとして2008年(平成20年)に「日本ジオパーク」に、2015年(平成27年)には「世界ジオパーク」に認定された。
襟裳岬、十勝幌尻岳、幌尻岳は国の名勝「ピリカノカ」に指定されている。