消市役所の受付で
ウルトラ男:もしもし、そこのあなた!
異星人 :ぼ、ぼくですか?
ウルトラ男:そうです。あなたです。そんな奇抜な姿でうろうろしないでください。
異星人 :あ、あなたの姿も、かなり奇抜だと・・・。
ウルトラ男:ここは市役所です。ほら、みんながあなたの姿に驚いてますよ。
異星人 :す、すみません。僕にとっては、ごく普通の衣装なのです。
ウルトラ男:お名前を教えてください。
異星人 :が、ガラモンといいます。
ウルトラ男:え?くまモン?
異星人 :あんなゆるいのと一緒にしないでください。
ウルトラ男:ガラえもん?
異星人 :ドラえもんと混同してませんか?
ウルトラ男:申し訳ない、姓(せい)を教えてください。
異星人 :え?何ですか?
ウルトラ男:苗字(みょうじ)です。ファミリーネームです。
異星人 :ど、どういえば・・・。
ウルトラ男:ドウイ・エバ ガラモンさんですね。年齢は?
異星人 :460歳・・・。
ウルトラ男:ようやく60歳ですね。外国の方ですね?
異星人 :いや、外惑星の・・・。
消防署員と消防団員
異星人 :実は、私は日本の消防団制度に感心して、私もその一員に加えていただけないかと思ってここに来たのです。
ウルトラ男:ほう、消防団に入っていただけるというのですね。
異星人 :はい、ぜひお願いしたいのです。
ウルトラ男:さきほどは申し訳ございませんでした。あなたの姿があまりにも怪しかったので・・・
異星人 :少し、質問してもいいですか?
ウルトラ男:なんなりと。
異星人 :消防署と消防団、何がちがうのですか?
ウルトラ男:消防署員は自治体の職員です。
異星人 :ということは、市の職員ということですね。
ウルトラ男:そうです。地方公務員として給与が支給されます。
異星人 :消防団員は?
ウルトラ男:非常勤公務員です。普段は別の仕事をしていて、出動要請があった時に活動します。
異星人 :ほう、地元で商店などを営んでいる人は活躍できそうですね。
ウルトラ男:そうです。消防署は専門のプロ集団、消防団は「地域の生活者としての住民防災の要(かなめ)」です。
異星人 :消防団員は、ボランティア(無報酬)なのですか?
ウルトラ男:いえ、年報酬として数万円~十数万円もらえます。さらに、出動1回ごとに数千円支給されます。
異星人 :消防団は「生計を立てるための職業」でなく、貢献することで公的な謝礼をもらう「地域住民の積極的な活動」なわけですね。
自分たちの地域は自分たちで守る
異星人 :消防団員の数は、増えているのですか?
ウルトラ男:いえ、それが、日本全国で消防団員は年々減少しており、1950年代には200万人いたのですが、現在では80万人ほどにまで減っています。
異星人 :あかん、あきまへんがな。
ウルトラ男:ガラモンさんは、関西のご出身なのですね?
異星人 :動揺すると、なまりますのや。
ウルトラ男:進学や就職で、若者が都市部へ流出してしまうのです。
異星人 :なるほど。ということは、消防団員も高齢化が進んでいるということですね?
ウルトラ男:その通りです。
異星人 :消防団の訓練や出動は、いつ行われるのですか?
ウルトラ男:主に、平日の夜間や休日です。
異星人 :ということは、サラリーマンにとっては、本業の仕事との両立はかなり負担になりますね。
ウルトラ男:おっしゃる通りです。企業によっては、消防団出動時の「職場理解」が得られないこともあります。
異星人 :年間報酬も、正直なところ、少ないですね?
ウルトラ男:はい、経済的な魅力は大きいとはいえません。
異星人 :消防団員は、男性ばかりというイメージがありませんか?
ウルトラ男:はい、女性はひとにぎりしかいません。
消防団員を増やすために
異星人 :消防団員に若者を取り入れるしくみはあるのですか?
ウルトラ男:「学生消防団」という制度があります。大学生が在学中に地元の消防団に入団できるしくみです。
異星人 :活動すると、何かいいことがあるのですか?
ウルトラ男:長野県や京都府、島根県などでは、消防団の活動実績があると、単位認定されたり奨学金の返済免除など特典があります。
異星人 :女性が消防団員に入りやすくなるような取り組みは、あるのですか?
ウルトラ男:消防団員内に女性専用チームをつくって、防災啓発や避難支援、応急手当の指導などをしているところがあります。
異星人 :三重県にもありますか?
ウルトラ男:もちろんです。津市には100名以上の女性消防団員がいて、林野火災の防御訓練や応急手当の指導、防災ずきんの作り方講習や、寸劇による防火啓発活動などをおこなっています。
異星人 :おお、女性ならではの心づかいを活かせそうですね。
ウルトラ男:女性が開く講習会などは、みんなが集まりやすい雰囲気になりますね。
異星人 :鈴鹿の消防団員の数は?
ウルトラ男:500名ほどで、そのうち女性は19人(令和2年)です。
異星人 :消防団は、地域の住民組織の一部なのですか?
ウルトラ男:企業と連携している消防団もあります。
異星人 :例えば?
ウルトラ男:鈴鹿であれば、旭化成や鈴鹿インター、漁協、農協、ホンダ、鈴鹿サーキット、ホンダロジスティクスなどがあります。機材を消防団に提供したり、勤務時間の配慮を行っています。
火災件数の減少
異星人 :火災の件数は増えているのですか?
ウルトラ男:日本では減少しています。過去10年ほどで3割ほど火事は減りました。
異星人 :どうして減ったのですか?
ウルトラ男:ストーブや暖房器具、さらには調理器具の安全性が向上したことがあります。
異星人 :なるほど。電子レンジや電磁調理器も、火事をなくす貢献をしているわけですね。
ウルトラ男:たばこを吸う人が減ったことも、火事の減少の一因です。
外国人の消防団員
異星人 :ぼくが消防団員になる方法はありますか?
ウルトラ男:もちろんです。減少する消防団員に、多くの外国の方が加わってくれています。
異星人 :日本人でなくても消防団に入団できるのですね?
ウルトラ男:はい、災害に勇気をもって対応しようという人は、大きな宝です。
異星人 :日本に外国人の消防団員はどれくらいいるのですか?
ウルトラ男:現在500人ほどいます。三重県と奈良県の県境にある御杖(みつえ)という村にも、フィンランド人の英会話講師のアンドレスさんという人がいて、みんなにアンディーと呼ばれて大活躍しています。
異星人 :御杖(みつえ)といえば、タマキの先生たちが時期になるとバイクでわさびの茎を買い求めに行く道の駅がある風光明媚(ふうこうめいび)な場所ですね。
ウルトラ男:愛知県西尾市でもボリビア国籍のトラック運転手ルイスさんが消防団員に加わっています。「頼りになる人」とみんなに慕われています。
異星人 :おお、ボリビアといえば、南米じゃないですか。
ウルトラ男:ただ、ひとつ、問題があるのです。
公権力行使への課題
異星人 :何が問題なのですか?
ウルトラ男:消防団員としての「公権力行使」が外国人には認められていないのです。
異星人 :なんですか?それは?
ウルトラ男:消防活動をしていて、関係者以外が火災現場周辺へ出入りすることを禁止したり、
延焼を防ぐために、燃え広がりそうな家屋など私有物を壊したり、
緊急時、赤信号で走行するなど交通法規の一部が免除される
といった、消防活動には絶対必要なことが、外国人には認められていないのです。
異星人 :日本は、法律で自分の首をしめていませんか?
ウルトラ男:そうですね。消防団員として地域を守ろうという大切な力を、排除することになっていますね。日本が法律を書き直していく必要があります。
異星人 :日本人ではない私が、消防団員になって日本の地域防災を担えるでしょうか。
ウルトラ男:大丈夫です。大きな声では言えませんが、私なんか、日本人ではないのに50年も前から、平和のために活躍しているのですよ。
異星人 :やっぱりそうか・・・。あなたとは、どこかでお会いしたことがありますよね?
ウルトラ男:ようやく気がついてくれましたね?ほら、〇〇〇〇マンですよ。
異星人 :どこでお会いした方でしたかね?
ウルトラ男:キーワードは「ウ・ル・ト・ラ」ですよ。
異星人 :え?ぎゅうとらの・・・ガードマン?
文責 玉木英明