AI ロボットが
ロボット:のび太くん、こんにちは。
のびた君:うわっ!びっくりした!君はだれ?
ロボット:私はAI(人工知能)ロボット、フライデーという名前です。
のびた君:古いテレビ映画で見たことがあるのだけれど。
ロボット:1966年「宇宙家族ロビンソン」に出ていました。タマキの先生たちの多くは週末の夕方、白黒テレビで見ていました。
のびた君:半世紀以上前だね。
ロボット:タマキタイムズの読者なら、およそ想像がつく昭和の良き時代です。
のびた君:君は、流暢(りゅうちょう)に日本語を話せるのだね?
ロボット:私の中には、最新のAIが組み込まれています。
のびた君:この前にAIを話題にした時は、たしかおばあちゃん型ロボット「ワシモ」だったよね?
ロボット:はい、AIを組み込めば、古いロボットをどんどん登場させられると、タマキタイムズの著者は大はしゃぎです。
勉強したくない
のびた君:ねえ、フライデー、君はどんな質問にも答えられるの?
ロボット:はい、即座に、しかも的確に答えられます。
のびた君:ようし、質問するよ!
ロボット:どうぞ、私のAIの働きは明快です。
のびた君:ぼくは勉強したくないのです。どうしたらいいですか?
ロボット:安心してください。勉強しなくても生きていけます。
のびた君:ほ、ほんまでっか?
ロボット:のび太さんは関西人だったのですね?
のびた君:い、いや、動揺すると、なまりますのや。
ロボット:勉強するかしないかは、あなたが自由に選ぶことができます。
のびた君:そうか。僕の自由なんだ。どうしてそんなことに今まで気が付かなかったのだろう。
ロボット:ただし、お気をつけください。すべてのチャンスは、勉強した人にばかり流れていきます。
のびた君:でも、生きていけるのでしょ?
ロボット:もちろんです。将来、勉強した人のいうことをよく聞いて、指示された通り、言われたとおりに働いていれば生きていけます。
のびた君:ぼくが人に指示することはできませんか?
ロボット:残念ですが、知らない人が知っている人に指示はできません。
めんどうな仕事はしたくない
のびた君:将来、ぼくは難しくてめんどうな仕事をしたくないのですが。
ロボット:大丈夫です。多く勉強した人から順に難しい仕事がまわっていきます。知識のない人には、簡単な仕事、すぐに覚えられる仕事が与えられます。
のびた君:簡単な仕事って、どんな仕事ですか?
ロボット:説明があまり必要がない仕事、自分で判断をしなくてもいい仕事です。
のびた君:例えば?
ロボット:持っていくだけ、立っているだけ、止めるだけ、切るだけ・・・などです。多くのことが複合しません。
のびた君:なるほど。それはめんどうじゃないな。
ロボット:はい、臨機応変(りんきおうへん)に対応する必要が、ほとんどありません。
のびた君:臨機応変?
ロボット:相手の要求に柔軟に対応する必要がない、ということです。
のびた君:よかった。ぼくでも気楽に仕事ができそうだ。
簡単な仕事につきたい
のびた君:簡単な仕事には、みんなが就きたいでしょ?
ロボット:いえ、競争率が高いとはいえません。
のびた君:どうしてですか?
ロボット:給料が安いからです。
のびた君:・・・あかんやないか。給料が安いなんて、いやや。
ロボット:少し動揺しているようですね。
のびた君:簡単な仕事で給料をたくさんもらうにはどうしたらいいですか?
ロボット:簡単です。長い時間働けばいいのです。
のびた君:そうか!長時間働けば、収入を多くすることができるのだね!
ロボット:その通りです。2倍の時間働けば2倍の収入が得られます。
のびた君:ようし、ぼくはヒトの3倍働いて、3倍の収入を得るぞ!
ロボット:それは不可能です。
のびた君:どうして?
ロボット:通常8時間働く人が3倍働けば、24時間働くことになります。
のびた君:・・・それって、一日中働き続けるってこと?
ロボット:はい。一日は全ての人に24時間です。
のびた君:食事も寝る時間もないってことだね?
ロボット:そのとおりです。
のびた君:フライデー、食べずに寝ずに働くのは・・・
ロボット:大丈夫、労働者の長時間労働を禁止する法律があります。労働者は守られています。
のびた君:そうか!長時間労働が法律で禁止されてるわけか!日本の国は、いい国だね!
ロボット:はい、いい国です。
のびた君:・・・でも、長時間働かなければ、給料は安いままじゃない?
ロボット:はい、安いままです。
のびた君:それって、簡単な仕事は、安い給料にしばられるってことじゃない?
ロボット:はい、そのとおりです。
のびた君:お金持ちにはなれないの?
ロボット:はい、なれません。
スポーツで生きていきたい
のびた君:ぼくはサッカーをして生きていくことが夢なのだけど。
ロボット:すばらしい夢です。プロサッカー選手になって活躍すれば栄光が待っています。
のびた君:なんだか、わくわくしてきたぞ!競争に打ち勝てばいいのだね?
ロボット:そうです。全国のサッカー選手登録数はおよそ80万人、その中で脚光をあびればいいのです。
のびた君:80万人もいるのですか?
ロボット:はい、日本サッカー協会(JFA)に選手として登録をしている人数です。
のびた君:ぼくはサッカーなら一日中やってても飽きません。
ロボット:わかります。サッカーだけでなく、ラグビーもバスケットも、テニスもゴルフも、さらに相撲や柔剣道など、自分の好きなスポーツを行うことはとても楽しいことです。
のびた君:サッカーを職業にできませんか?
ロボット:あなたのプレイが上手で、ヒトがお金を払ってでも見に来たいと言ってくれるなら、プロのサッカー選手になれます。
のびた君:野球でいうなら大谷翔平とかイチロー、テニスでいうなら錦織圭みたいになりたいのです。
ロボット:大谷翔平は、高校時代に160km/hのボールを投げて、イチローは高校3年生の地方大会の打率は7割、錦織は小学生の全国大会で優勝、中学でアメリカに留学しました。あなたは何ができますか?
のびた君:今のところは何も・・・
ロボット:あなたは何歳ですか?
のびた君:15歳です。将来の可能性は・・・
ロボット:あなたがサッカーを職業にできる可能性は、今、秒速で小さくなり続けています。
のびた君:サッカーの指導者くらいなら、なれないだろうか?
ロボット:それは指導者に対して失礼な表現です。サッカー選手たちがいうことを聞く指導者というのは、その人が現役の時にとても上手で、技を極めた人だからです。すこし上手なくらいの人では、誰もついてきません。
正選手に選ばれなかったら、ケガをしたら
のびた君:高校で正選手になれなかったらどうなりますか?けがしたらどうなりますか?
ロボット:サッカー強豪校には、一学年に30~40人、学校全体で100人以上サッカー部員がいます。あなたが欠けたくらいで学校は弱くなりません。
のびた君:ケガをしたぼく自身の将来はどうなりますか?
ロボット:サッカーで活躍できる可能性は・・・
のびた君:可能性は・・・?
ロボット:限りなくゼロになります。
のびた君:巻き返しは、はかれませんか?
ロボット:数学的に、巻き返し不可能です。
のびた君:フライデーさん、教えてください。僕がスポーツで活躍して、満足した人生を送るには、何をすべきでしょうか?
ロボット:その競技にとことん努力して技術を上げなければなりません。
のびた君:それだけですか?
ロボット:勉強して、知識を蓄えるのです。そして、スポーツ以外にも活躍できる道を、必ず用意しておくことです。
文責 玉木英明