ISO 19142:2010 Web Feature Service
現行
備考1)2017年11月の総会決議854によって、大幅な改訂が必要という理由で、committee draft (CD)案が否決された。しかし、この規格自体がキャンセルされたわけではない。従って、2010年版のこの規格は、2024年時点では有効である。
履歴
対応OGC標準:OGC 09-025r1 OpenGIS Web Feature Service 2.0 Interface Standard
対応JIS規格:なし
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:42136:en
Web地物サービス (WFS) は、インターネット上で地理情報を作成、変更、交換する方法に変化が起きたことを示している。たとえば、ファイル転送プロトコル (FTP) を使用してファイル レベルで地理情報を共有するのではなく、WFS では地物及び地物の特性レベルで地理情報に直接きめ細かくアクセスできる。Web 地物サービスを使用すると、クライアントは、必要なデータを含む、又は、場合によってはそれ以上のデータを含むファイルを取得するのではなく、必要なデータのみを取得又は変更できる。そのデータは、作成者が意図した目的以外も含めて、さまざまな目的で使用できる。
ISO 19119で定義されているサービスの分類では、WFS は主として地物のアクセス サービスであるが、地物型サービス、座標変換/変換サービス、地理形式変換サービスの要素も含まれる。
この国際規格は、基盤となるデータストアに依存しない方法で地物に対するトランザクション及びアクセスの方法を提示するWeb地物サービスの動作を規定する。そこでは検出操作、クエリ操作、ロック操作、トランザクション操作、及び保存されパラメータ化されたクエリ式を管理するための操作が対象になる。
検出操作により、サービスを調べてその機能を判別し、サービスが提供する機能の種類を定義する応用スキーマを取得することができる。
クエリ操作により、クライアントが定義した地物特性の制約に基づいて、基盤となるデータ ストアから地物又は地物特性の値を取得できる。
ロック操作により、地物を変更又は削除する目的で地物に排他的にアクセスできる。
トランザクション操作により、基盤となるデータストアから地物を作成、変更、置換、及び、削除できる。
保存されたクエリ操作により、クライアントは、サーバーによって保存され、異なるパラメータ値を使用して繰り返し呼び出すことができるパラメータ化されたクエリ式を作成、削除、一覧表示、及び記述できる。
注記: この国際規格では、アクセス制御の件は扱わない。
この国際規格は11種類の操作を定義する。
— GetCapabilities (検出操作);
— DescribeFeatureType (検出操作);
— GetPropertyValue (クエリ操作);
— GetFeature (クエリ操作);
— LockFeature (ロック操作);
— GetFeatureWithLock (クエリ及びロックの操作);
— Transaction (トランザクション操作);
— CreateStoredQuery (保存クエリの操作);
— DropStoredQuery (保存クエリの操作);
— ListStoredQueries (保存クエリの操作);
— DescribeStoredQueries (保存クエリの操作).
次に示す規格は、その内容の一部又は全てがこの規格の要件を構成する形で、本文中で参照されている。日付が記載された文献については、引用された版のみが適用される。日付のない参照については、引用規格の最新版(修正を含む)が適用される。
ISO 19136:2007, Geographic information — Geography Markup Language (GML)
ISO/TS 19103:2005, Geographic information — Conceptual schema language
ISO 19143:2010, Geographic information — Filter encoding
IETF RFC 2616, Hypertext Transfer Protocol — HTTP/1.1 (June 1999)
IETF RFC 4646, Tags for Identifying Languages (September 2006)
OGC 06-121r3, OGC Web Services Common Specification, OGC® Implementation Specification (9 February 2009)
OGC 07-092r3, Definition identifier URNs in OGC namespace, OGC® Best Practices (15 January 2009)
W3C SOAP, Simple Object Access Protocol (SOAP) 1.2, W3C Note (27 April 2007)
W3C WSDL, Web Services Description Language (WSDL) 1.1, W3C Note (15 March 2001)
W3C XML Namespaces, Namespaces in XML, W3C Recommendation (14 January 1999)
W3C XML Path Language, XML Path Language (XPath) 2.0, W3C Recommendation (23 January 2007)
W3C XML Schema Part 1, XML Schema Part 1: Structures, W3C Recommendation (2 May 2001)
W3C XML Schema Part 2, XML Schema Part 2: Datatypes, W3C Recommendation (2 May 2001)
この規格では、次に示す用語と定義が適用される。
4.1
attribute
属性
<XML> 名前と値の対であって、要素(3.1.23)に含まれるもの
注記 1:この規格では、特に示さないときは、属性はXML 属性を指す。
[ISO 19136:2007 4.1.3を参照][翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.3を参照]
[+]
4.2
client
クライアント
サーバー(4.28)からの操作(4.17)を起動させることができるソフトウェア部品
[ISO 19128:2005 4.1を引用]
4.3
coordinate
座標
n次元空間内の点の位置を示すためのn個の数値の列のうちの一つ
[ISO 19111:2007 4.5を引用]
4.4
coordinate reference system
座標参照系
原子によってオブジェクトに関連付けられた座標系(4.5)
[ISO 19111:2007 4.8を引用]
4.5
coordinate system
座標系
点にどのように座標 (4.3) を割り当てるかを規定する数学的規則の集合。
[ISO 19111:2007 4.10を引用]
4.6
element
要素
<XML>子要素、属性(4.1)及び文字データを含むXML文書の基本的な情報項目
[ISO 19136:2007 4.1.23を引用]
4.7
feature
地物
実世界の現象の抽象概念
注記1:地物は型として、又はインスタンスとして現れる。一方だけを意味するときは、地物型又は地物インスタンスという用語を使うのが望ましい。
[ISO 19101:2002 4.11を引用]
4.8
feature identifier
地物識別子
地物 (4.7) インスタンスを一意に指定する識別子
4.9
filter expression
フィルター式
XMLを使用して符号化された述語式
[ISO 19143:2010 4.11を引用]
備考1)述語式(predicate expression)とは、数理論理学の分野で用いられる述語論理の論理式である。
4.10
interface
インタフェース
実体の振る舞いを特徴付ける、名前の付いた操作の集まり
[ISO 19119:2005 4.2を引用]
4.11
join predicate
結合述語、ジョイン述語
二つの異なる実体型から特性を制約する一つ以上の句を含むフィルター式 (4.9)
注記 1:この国際規格では、実体型は地物(4.7) 型になる。
[ISO 19143:2010 4.16を引用]
4.12
join tuple
結合タプル
結合述語を含むフィルタを満足する二つ以上のオブジェクト インスタンスの集合 (4.11)
注記 1:この国際規格では、オブジェクト インスタンスは地物 (4.7) インスタンスになる。
4.13
local resource
局所資源
システムの直接制御下にある資源
注記1:この国際規格では、システムとは Web 地物サービスであり、資源はそのサービスによって直接制御されるデータ ストアに保持される。
4.14
locator attribute
位置指定子属性
値が局所資源 (4.13) 又は遠隔資源 (4.20) への参照となる属性 (4.1)
注記1:XML では、この属性は一般に href と呼ばれ、遠隔資源への URI 参照が含まれる (W3C XLink を参照)。
備考1)W3C XLinkに対応するJIS規格は、JIS X 4176:2005である。このJIS規格の5.4において "locator attribute"を「位置指定子属性」と訳し、次のような定義を与えている。
「XLink応用が遠隔の資源(又は資源素片)を見つけることを可能にするデータを供給する属性」
4.15
Multipurpose Internet Mail Extensions (MIME) type
多目的インターネットメール拡張 (MIME) タイプ
データのネイティブ表現 (正規形式) を指定する、メッセージの本文にあるデータのメディアタイプ及びサブタイプ
[IETF RFC 2045:1996を引用]
備考1)IETF RFC 2045:1996に対応するJIS規格は「JIS X 5810-1:2008多目的インターネットメール拡張 (MIME)−第1部:インターネットメッセージ本体のフォーマット」である。
4.16
namespace
名前空間
<XML> URI参照によって識別される名前の集まり。XML文書で要素 (4.6) 名や属性 (4.1) 名として使用される(W3C XML Namespaces)
[W3C XML Namespaces:1999を引用]
備考1)W3C XML namespace:1999に対応するJIS規格は、「JIS X 4158:2005 XML名前空間」である。このJIS規格の1において、名前空間は次のように定義されている。
「URI参照(RFC2396)によって識別され,XML文書の中で要素型及び属性名として使用される名前の集まり」
4.17
operation
操作
オブジェクトが変換や問い合わせを実行できるようにするための仕様
[ISO 19119:2005 4.3を引用]
4.18
property
特性
名前によって参照されるオブジェクトの様相又は属性
[ISO 19143:2010 4.21を引用]
4.19
resource
資源
要求を満たすための手段又は資産
注記1:この国際規格では,資源とは,地物(4.7)又は地物の識別可能な構成部品(例えば,地物の特性)である。
[ISO 19115:2003 4.10を参照−注記が追加されている]
4.20
remote resource
遠隔資源
システムの直接制御下にない資源
注記1:この国際規格では、システムとはWeb 機能サービスのことである。資源は、そのサービスによって直接制御されるデータストアに保持されていないため、サービスによって直接取得することはできない。
4.21
request
要求、リクエスト
クライアント(4.2) によって操作 (4.17) を起動させること
[ISO 19128:2005 4.10を引用]
4.22
relocate
再配置
新しい場所に移動又はコピーされた資源への参照の更新
例: サーバー (4.28) が GetFeature 要求 (4.21) に対する応答 (4.24) を生成する場合、参照されている地物(4.7) を応答ドキュメントにコピーする必要があるので、サーバーは参照地物に含まれる元のリンクを応答ドキュメントに配置されたコピーに「再配置」する必要がある。
4.23
resolve
解決
参照された資源を取得し、サーバーが生成した応答ドキュメントへ挿入すること
注記1:挿入は、インラインの参照を資源のコピーに置き換えるか、応答ドキュメントに配置された資源のコピーを指すように参照を再配置することによって実行できる。
4.24
response
応答、レスポンス
サーバー (4.28) からクライアント (4.2) に返される、操作 (4.17) の結果
[ISO 19128:2005 4.11を引用]
4.25
response model
応答モデル
クエリ操作 (4.17) に対する応答 (4.24) に表示される可能性のある各地物 (4.7) 型の特性を定義するスキーマ (4.26)
注記1:これは、クライアント (4.2) が DescribeFeatureType 操作を使用して取得できる地物型のスキーマである (本文第 9 条を参照)。
備考1)第9条とは、本文の"9 DescribeFeatureType operation "のことであり、ここでは「DescribeFeatureType 操作は、WFS インスタンスによって提供される地物型のスキーマ記述を返す」ことが示されている。
4.26
schema
スキーマ
モデルの形式記述
注記1:一般に、スキーマとは、オブジェクトの特性と他のオブジェクトとの関係を抽象的に表現したものである。XMLスキーマは、XMLオブジェクト (たとえば、文書又は文書の一部) の属性 (4.1) と要素 (4.6) の関係を表す。
[ISO 19101:2002 4.25を参照−注記1が追加されている]
備考1)注記1中の「XMLオブジェクト(たとえば、文書及び文書の一部)」は、「たとえば、XML文書又はXML文書の一部となるXMLオブジェクト」という意味であると考えられる。ISO/TS 19130-3:2022 3.7 に示された例、注記1、及び備考1)を参照のこと。
4.27
schema
スキーマ
<XML Schema>同じターゲット名前空間 (4.16) 内のスキーマ (4.26) 部品の集まり
例: W3C XML スキーマのスキーマ部品は、型、要素 (4.6)、属性 (4.1)、グループなどである。
[ISO 19136:2007 4.1.54を引用]
4.28
server
サーバー
サービスをする特定のインスタンス
[ISO 19128:2005 4.12を引用]
4.29
service
サービス
インタフェースを通じて、実体によって提供される機能の個別の部分
[ISO 19119:2005 4.1を引用]
4.30
service metadata
サービスメタデータ
サーバー (4.28) で利用可能な操作 (4.17) 及び地理情報を記述するメタデータ
[ISO 19128:2005 4.14を引用]
4.31
traversal
たどり、トラバーサル
<XML>どんな目的であっても,リンクを使用し又はリンクを追うこと
[W3C XLink:2001を引用][翻訳はJIS X 4176:2005 2.2を引用]
4.32
tuple
組、タプル
順序をもつ値のリスト
注記1:組の中の値の順番は変更できない。
[ISO 19136:2007 4.1.63を引用][翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.63を引用]
4.33
Uniform Resource Identifier
URI
統一資源識別子
URI
IETF RFC 2396に適合した構造をもつ、資源の統一的な識別子。
注記1:一般的な構文は、使用するスキーム名(<scheme>)及びスキーム固有部分(<scheme-specific-part>)からなる<scheme>::<scheme-specific-part>である。名前空間付きの階層的な構文は、<scheme>://<authority><path>?<query>である(RFC 2396参照)。
[ISO 19136:2007 4.1.65を引用][翻訳はJIS X 7136:2012 4.1.65を引用]
[1] ISO 8601:2004, Data elements and interchange formats — Information interchange — Representation of dates and times
[2] ISO 19101:2002, Geographic information — Reference model
[3] ISO 19109:2005, Geographic information — Rules for application schema
[4] ISO 19111:2007, Geographic information — Spatial referencing by coordinates
[5] ISO 19115:2003, Geographic information — Metadata
[6] ISO 19119:2005, Geographic information — Services
[7] ISO 19128:2005, Geographic information — Web map server interface
[8] CGI/1.1, The Common Gateway Interface, National Centre for Supercomputing Applications
[9] IETF RFC 2045, Multipurpose Internet Mail Extensions (MIME) Part One: Format of Internet Message Bodies(November 1996)
[10] IETF RFC 2396, Uniform Resource Identifiers (URI), Generic Syntax, (August 1998)
[11] OGC 02-058, Web Feature Service V1.0.0(17 May 2002)
[12] OGC 04-094, Web Feature Service Implementation Specification V1.1.0(03 May 2005)
[13] OGC 07-092r2, Definition identifier URNs in OGC namespace(22 August 2008)
[14] OGC 09-144r1, MIME Media Types for GML, OGC® Policy Document (08 February 2010)
[15] W3C XML, Extensible Markup Language (XML) 1.0 (Third Edition), W3C Recommendation (4 February 2004)
[16] W3C XLink, XML Linking Language (XLink) Version 1.0, W3C Recommendation (27 June 2001)
(2024-12-25)