ISO 19109:2015 Geographic information/Geomatics
Rules for application schema
現行
履歴
ISO 19109:2005(廃止)
対応OGC標準:なし
対応JIS規格:JIS X 7109:2009 地理情報−応用スキーマのための規則
備考1)このJIS規格はISO 19109:2005に対応する。
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:59193:en
現実のいかなる記述も、常に抽象概念であり、常に部分的であり、常に多くの可能性のある“ビュー”の中の一つに過ぎず、応用分野に依存している。
コンピュータ及び地理情報システム (GIS) の広範囲にわたる応用は、多様な分野で地理データの利用の増大をもたらしている。そして、これを可能とする現在の科学技術とともに、これらのデータへの社会の依存度は大きくなっている。地理データ集合の共有及び交換は、ますます増大する。それらはまた、作成されたのとは異なった目的でも使用される。
データがコンピュータシステムと使用者の双方によって理解されることを保証するためには、データアクセス及び交換のためのデータ構造を十分に文書化しなければならない。したがって、この規格で標準化した方法を使用して、データ及び操作についてシステム間のインタフェースを定義しなければならない。専用システムにおける内部ソフトウェア及びデータ記憶の構築については、標準インタフェースの実現を可能にするいかなる方式を使用してもよい。
応用スキーマは、一つ以上の応用システムが必要とするデータ構造及びデータ内容についての形式な説明を示す。応用スキーマは、地理データ及び他の関係するデータの両方の記述を含む。その地理データの基本的概念が地物である。
この国際規格は、地物を定義するための原則を含め、応用スキーマを作成し文書化するための規則を定義する。
この国際規格の適用範囲は、次の項目からなる。
— 論議領域からの地物及びその特性の概念モデル化
— 応用スキーマの定義
— 応用スキーマにおける概念スキーマ言語の使用
— 概念モデルの諸概念から応用スキーマのデータ型への移行
— 他の ISO 地理情報規格によって標準化されたスキーマの応用スキーマへの統合
次の項目は、適用範囲外とする。
— 応用スキーマにおける特定の概念スキーマ言語の選択
— 特定の応用スキーマの定義
— 地物カタログにおける地物型及びその特性の表現
— メタデータの表現
— 応用スキーマを他に写像するための規則
— コンピュータ環境における応用スキーマの実装
— コンピュータシステム及び応用ソフトウェアの設計
— プログラミング
次に示す規格は、その内容の一部又は全てがこの規格の要件を構成する形で、本文中で参照されている。日付が記載された文献については、引用された版のみが適用される。日付のない参照については、引用規格の最新版(修正を含む)が適用される。
IETF RFC 5646 (2009), Tags for Identifying Languages, available at <https://www.rfc-editor.org/info/rfc5646>
ISO 19103:2015, Geographic information — Conceptual schema language
ISO 19107:2003, Geographic information — Spatial schema
ISO 19108:2002, Geographic information — Temporal schema
ISO 19112:2003, Geographic information — Spatial referencing by geographic identifiers
ISO 19115-1:2014, Geographic information — Metadata — Part 1: Fundamentals
ISO 19115-2:2009, Geographic information — Metadata — Part 2: Extensions for imagery and gridded data
ISO 19123:2005, Geographic information — Schema for coverage geometry and functions
ISO 19156:2011, Geographic information — Observations and measurements
ISO 19157:2013, Geographic information — Data quality
ISO/IEC 19505-2:2012, Information technology — Object Management Group Unified Modeling Language (OMG UML) — Part 2: Superstructure
この規格では、次に示す用語と定義が適用される。
4.1
application
応用、応用システム
利用者の要求にこたえるために行われるデータの操作及び処理
[ISO 19101‑1:2014 4.1.1を引用][翻訳は JIS X 7109:2009 4.1を引用]
備考1)application systemを省略してapplicationと表記しているときは、応用システム。
4.2
application schema
応用スキーマ
一つ以上の応用システムによって要求されるデータのための概念スキーマ
[ISO 19101‑1:2014 4.1.2を引用][翻訳は JIS X 7109:2009 4.2を引用]
4.3
complex feature
複合地物
他の諸々の地物 (4.9) から構成される地物
[翻訳はJIS X 7109:2009 4.3を引用]
4.4
conceptual model
概念モデル
論議領域 (4.19) の概念を定義するモデル (4.15)
[ISO 19101‑1:2014 4.1.5を引用][翻訳は JIS X 7109:2009 4.4を引用]
4.5
conceptual schema
概念スキーマ
概念モデル (4.4) の形式記述
[ISO 19101‑1:2014 4.1.6を引用][翻訳は JIS X 7109:2009 4.5を引用]
4.6
coverage
被覆
空間定義域、時間定義域又は時空間定義域内 (4.8) の各々の直接位置に対して、決められた値域からの値 (4.20) を返す関数として機能する地物 (4.9)
[ISO 19123:2005 4.1.7を引用][翻訳は JIS X 7123:2012 4.1.7を引用]
4.7
dataset
データ集合
他と識別可能なデータの集まり
[ISO 19115‑1:2014 4.3を引用][翻訳は JIS X 7115:2005 4.2を引用]
4.8
domain
領域、定義域
明確に定義された集合
注記1:“明確に定義された”とは、定義を満足するものはすべて集合の中にあり、定義を満足しないものはすべて集合の外にあることを示す、必要十分な定義であることを意味する。
[ISO 19107:2003 4.32を参照][翻訳は JIS X 7107:2005 4.32を参照]
備考1)ISO 19107:2003 4.32の定義は、ISO TS 19103を引用している。注記についてはは、もともとは「領域は、演算子及び関数の定義域を定義するのに用いる」であったが、この版では上記の注記1に変更されている。
4.9
feature
地物
実世界の現象の抽象概念
注記1:地物は型として、又はインスタンスとして現れる。型又はインスタンスの一方だけを意味するときには、地物型又は地物インスタンスという用語を使うのが望ましい。
[ISO 19101‑1:2014 4.1.11を引用][翻訳はJIS X 7109:2009 4.9を参照]
備考1)JIS X 7109:2009には、日本独自に次の注記が示されている。
注記2:地物は元来地上の自然物及び人工物の概念を指す用語であるが,この規格では,それ以外の実世界に現れる物事を抽象化した概念も指す。
4.10
feature association
地物関連
ある地物 (4.9) 型のインスタンスを同じ又は異なる地物型のインスタンスに結び付ける関係
[ISO 19110:2005 4.2を引用][翻訳は JIS X 7110:2009 4.2を参照]
備考1)ISO 19110の対応規格であるJIS X 7110:2009では、「結び付ける」ではなく「関連付ける」としている。これでは循環的な定義とみなされる恐れがあり、また原文は"links"であり、"associates"ではないのでここでは「結び付ける」と訳した。
4.11
feature attribute
地物属性
地物の特性
注記1:地物属性は型又はインスタンスとして現れる。地物属性型又は地物属性インスタンスという用語はいずれかを意味するときに使用される。
注記2:地物属性型は名前、データ型及びそれに関連する定義域をもつ。地物属性インスタンスは、地物属性型の定義域から選ばれた属性値をもつ。
[ISO 19101‑1:2014 4.1.12を変更 – ISO 19101-1の注記及び例は削除され別の注記が追加された。][翻訳はJIS X 7109:2009 4.10を引用]
備考1)原文では引用規格を ISO 19101 としているが、その現行規格はISO 19101-1:2014であり、定義は不変であるが、例が追加され、注記が加除されている。ここで示されている注記は旧版のままなので、翻訳は、JIS X 7109:2009, 4.10を引用した。ISO 19101-1:2014の概説を参照のこと。
4.12
feature operation
地物操作
ある地物型のすべてのインスタンスが実行できる操作
例1:地物型“せき(堰)”の地物操作は“せき(堰)のかさ(嵩)を上げる”である。この操作によって、“せき(堰)”の高さが上がり、“貯水池”の水位が上がる。
例2:地物型“せき(堰)”による地物操作が“水路を航行する船を遮る”であってもよい。
[ISO 19110:2005 4.5を変更 – ISO 19110:2005 中のこの項目のための注記は削除され、二番目の例が追加された][翻訳はJIS X 7109:2009 4.11を引用]
備考1)原文では参照規格を ISO 19110:2005 4.5 としているが、その現行規格はISO 19110:2016であり、定義は不変であるが、例2が削除され、注記が一つ設けられている。
4.13
geographic data
地理データ
地球に関係した場所への暗示的又は明示的な参照をもったデータ
注記1:地球に関係した場所に暗示的又は明示的に関連する現象に関する情報を意味する用語として、“地理情報”も使用する。
[翻訳はJIS X 7109:2009 4.12を引用]
4.14
metadata
メタデータ
資源についての情報
[ISO 19115‑1:2014 4.10を引用]
備考1) JIS X 7109:2009 4.13 では、この規格の旧版及び JIS X 7115:2005 4.5 を参照して、定義を「データに関するデータ」としていたが、ここではISO 19115-1:2014が引用されているので、それに従った。
4.15
model
モデル
実世界の幾つかの側面の抽象概念
[翻訳はJIS X 7109:2009 4.14を引用]
4.16
observation
観測
特性 (4.17) の値 (4.20) を計測又は決定する行為
[ISO 19156:2011 4.11 を引用]
4.17
property
特性
名前によって参照されるオブジェクトの様相又は属性
[ISO 19143:2010 4.21 を引用]
備考1)原文で「様相」は "facet" である。この規格では特性は抽象クラス "PropertyType" として定義され、それは操作、属性又は他の地物との関連を示す具象クラスに継承されるので、様相は操作又は地物関連ということになる。
備考2)JIS X 4170:2009 UML 1.4.2の4.5.2.21にある記述に倣い "property" は特性、"characteristic" は特徴と訳す。
4.18
quality
品質
対象に本来備わっている特徴の集まりが、要求事項を満たす程度
[ISO 9000:2005 3.1.1を引用][翻訳はJIS Q 9000:2015 3.6.2を参照]
備考1)この規格の旧版の対応規格はJIS X 7109:2009であるが、その中で「品質」の定義は「明示的又は暗示的に述べられた要求を満たす能力に関する製品特性の総体(ISO 19101参照)」としていた。しかし引用元になっていたISO 19101中の定義も改訂され、定義はこの規格のものに一致するものの、二つの注記が付加されている(ISO 19101-1:2014 4.1.28参照)。
4.19
universe of discourse
論議領域
関心あるものすべてを含んだ、実世界又は仮想世界のビュー
[ISO 19101‑1:2014 4.1.38を引用][翻訳はJIS X 7109:2009 4.17を変更]
備考1)「ビュー」については、JIS X 7109:2009, 4.17では「範囲」としていた。しかし、JIS X 4170:2009 情報技術−オープン分散処理−統一モデル化言語(UML), JC.215 では"view"は「ビュー」と表記されているので、ここではそれに従った。その定義は次のとおりである。「与えられた観点又は見晴らしの利く位置からのモデルの射影で、この観点に関係しない実体を無視したものになる。」
なお、Oxford dictionaryでは、viewを次のように定義している。"what you can see from a particular place or position, especially beautiful countryside"
この場合は「展望」あるいは「眺望」ということになるであろう。
4.20
value
値
型の定義域の要素
[ISO/IEC 19501:2005 0000_5を引用][翻訳はJIS X 4170:2009 JC.213を参照]
[1] ISO 19101-1:2014, Geographic information — Reference model — Part 1: Fundamentals
[2] ISO 19104:2008, Geographic information — Terminology
[3] ISO 19105:2000, Geographic information — Conformance and testing
[4] ISO 19110:2005, Geographic information — Methodology for feature cataloguing
[5] ISO 19114:2003, Geographic information — Quality evaluation procedure
[6] ISO 19118:2005, Geographic information — Encoding
[7] ISO 19119:2005, Geographic information — Services
[8] ISO 19136:2007, Geographic information — Geography Markup Language (GML)
[9] ISO 19143:2010, Geographic information — Filter encoding
[10] ISO 19150-2: 2015, Geographic information — Ontology — Part 2: Rules for developing ontologies in the Web Ontology Language (OWL)
[11] ISO/TS 19139:2007, Geographic information — Metadata — XML schema implementation
[12] Booch G., Jacobsson I., Rumbaugh J., UML User Guide, 1999, Addison-Wesley ISBN 0 201 57168-4
[13] Grant J., Beckett D., eds. RDF Test Cases, W3C Recommendation, 10 February 2004. available at <http://www.w3.org/TR/rdf-testcases> (See N-Triples section)
[14] Miles A., Bechhofer S., eds. SKOS Simple Knowledge Organization System, W3C Recommendation, 18 August 2009, available at <http://www.w3.org/TR/skos-reference/>
[15] IETF RFC 5141, A Uniform Resource Name (URN) Namespace for the International Organization for Standardization (ISO), March 2008, available at <https://www.rfc-editor.org/info/rfc5141>
[16] OGC, Geographic Information — Simple feature access — Part 1: Common Architecture, OpenGIS Implementation Specification, 2006
[17] OMG Object Constraint Language (OCL). Object Management Group, January 2012
[18] Rumbaugh J., Booch G., Jacobsson I., UML Reference Manual, 1999, Addison-Wesley ISBN 0 201-57168-X
[19] Woolf A., Cox S.J.D., Portele C., Data Harmonization. GIGAS Contribution to GEOSS AIP-3 40pp, available at <http://www.thegigasforum.eu/cgi-bin/download.pl?f=545.pdf>
(2024-08-22)