ISO 19126:2021 Geographic information/Geomatics — Feature concept dictionaries and registers
現行
履歴
ISO 19126:2009 廃止
対応OGC標準:なし
対応JIS規格:なし
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:iso:19126:ed-2:v1:en
この規格では、レジスターとして管理される地物概念辞書のスキーマを示す。ISO 19101-1 で示されているように、地物は、地表に関係する場所に関連付けられた実世界の現象の抽象概念であり、そのデータは、収集され、維持され、配布される。
地物概念辞書は、地物を記述するために使うことができ、複数の応用領域で共有される可能性のある一連の概念に関する基本的な定義と関連情報を提供する。地物概念辞書の要素は、一つ以上の地物カタログで再利用できる。地物カタログは、多くの場合、特定の応用スキーマ、製品仕様、およびデータ集合に関連付けられる。地物カタログは、一連の地物型とその特性及び関係について、完全なテキスト仕様を提供する。地物概念辞書、地物カタログ、応用スキーマ及び製品仕様の関係の詳細については、附録 A を参照するとよい。
ISO 19135-1は、地理情報項目の登録手順を規定している。登録できる地理情報項目は、さまざまな標準に従うオブジェクトクラスのメンバーである。この規格では、オブジェクトクラスを定義し、地物概念辞書を ISO 19135-1 準拠のレジスタースキーマとして確立及び維持するために使用される規則を示している。
ISO 19135-1 は、主レジスターが、副レジスターを説明する一連の項目を保持する階層型レジスターの構造を規定している。この規格では、副レジスターが地物概念辞書及び/又は地物カタログとしての階層型レジスターのスキーマを規定する。この規格では、付随するスキーマを規定する。結果として得られる階層型レジスターは、異なる地理情報コミュニティ間の調和と相互運用性の確立のための基盤として使用できる。
レジスターとして維持される地物概念辞書及び地物カタログは、相互参照システムの一部として、さまざまな地理情報コミュニティーによって確立された同様のレジスターの情報源として使用できる。地理情報項目のレジスター内の、各項目間の相互参照は、情報コミュニティー間でレジスターの構造が異なる場合には困難になることがある。この規格は、さまざまな情報コミュニティーが地理情報相互参照システムを利用可能にできる互換性のあるレジスターを開発するための指針として使用できる。
備考1)地物概念辞書の実例として欧州委員会(European Commission)が公開しているINSPIRE feature concept dictionary(https://inspire.ec.europa.eu/featureconcept)をあげることができる。INSPIREは欧州空間情報基盤(Infrastructure for Spatial Information in Europe)のことである。
この規格では、レジスターとして確立および管理される地物概念辞書のスキーマを規定する。地物カタログのスキーマや、地物カタログをレジスターとして管理するためのスキーマは規定しない。ただし、地物カタログは地物概念辞書から派生することが多いため、この規格では、地物概念辞書と地物カタログの階層型レジスターのスキーマを規定する。これらのレジスターは、ISO 19135-1に準拠する。
次に示す規格は、その内容の一部又は全てがこの規格の要件を構成する形で、本文中で参照されている。日付が記載された文献については、引用された版のみが適用される。日付のない参照については、引用規格の最新版(修正を含む)が適用される。
ISO 19103:2015, Geographic information — Conceptual schema language
ISO 19115-1, Geographic information — Metadata — Part 1: Fundamentals
ISO 19135-1:2015, Geographic information — Procedures for item registration — Part 1: Fundamentals
この規格では、次に示す用語と定義が適用される。ISOとIECは、規格化に使用する用語データベースを次のアドレスにおいて維持・公開している。
— IEC Electropedia: http://www.electropedia.org/
— ISO オンライン閲覧プラットフォーム: http://www.iso.org/obp
3.1
compound registry
複合レジストリー
同じ項目クラス(3.17)を共有する複数のレジスター(3.19)及び共通的な特徴の協調的な管理からなるレジストリー(3.20)
注記1:"共通の特徴"は、名前やコードの割り当てのための共有名前空間になるであろう。
3.2
data product
データ製品
データ製品仕様(3.3)に従うデータ集合又はデータ集合系列
[ISO 19131:2007 4.6を引用][定義の翻訳はJIS X 7131:2014 4.6を引用]
3.3
data product specification
データ製品仕様
任意の団体による、作成、供給及び使用が可能となるような追加情報を伴ったデータ集合又はデータ集合系列の詳細な記述
[ISO 19131:2007 4.7を参照 — 注記は省略された。][翻訳はJIS X 7131:2014 4.7 を参照]
3.4
data type
データ型
その定義域内の値に対して許可される、操作を伴う、値の定義域(3.22)の仕様
[ISO 19103:2015 4.14を参照 — 注記1及び例は省略された。]
3.5
feature
地物
実世界の現象の抽象概念
例:「エッフェル塔」という現象は、他の類似の現象とともに「塔」という地物型に分類できる。
注記1:地物は型として、又はインスタンスとして現れる。型又はインスタンスの一方だけを意味するときには、地物型又は地物インスタンスという用語を使うのが望ましい。
注記2:この規格は、実世界の現象を直接扱うものではない。その抽象概念(地物の概念と地物型) と地物インスタンス(指定された地物型に従って地物を表すために収集されたデータ)のみを扱う。
[ISO 19101‑1:2014 4.1.11を参照 — 注記2及び例が追加された。]
備考1)エッフェル塔の例はISO 19110:2016 3.2にもみられる。
3.6
feature association
地物関連
ある地物(3.5)型のインスタンスを同じ又は異なる地物型のインスタンスに結びつける関係
注記1:地物関連は型又はインスタンスとして発生しうる。この規格では、特に指定がない限り、地物関連型を意味する。
[ISO 19110:2016 3.3 を参照 — 注記1が追加された。][定義の翻訳はJIS X 7110:2009 4.2を参照]
[+]
3.7
feature association concept
地物関連概念
一つ以上の地物関連(3.6)型として詳細に示すことができる概念
例:「利用可能」という地物関連概念は、「高速道路」と「橋」などの実世界の現象間の関係を記述する。ここで、一つの地物の役割は、他の地物によって与えられる(この例の場合、橋の役割(利用可能という役割)を、高速道路から与えられる)。
3.8
feature attribute
地物属性
地物の特徴
例1:「色」という名前の地物属性は「テキスト」をデータ型とする「緑」という属性値をもつことができる。
例2:「長さ」という名前の地物属性は、「実数」をデータ型とする「82.4」という属性値をもつことができる。
注記1:地物属性は名前、データ型及び地物属性に関連する値の定義域をもつ。地物インスタンス(4.1.14)の地物属性には、値の定義域から与えられた属性値がある。
注記2:地物属性は型又はインスタンスとして発生しうる。この規格では、特に指定がない限り、地物属性型を意味する。
[ISO 19101‑1:2014 4.1.12を参照 — 注記2は変更され、注記3は省略されている。]
3.9
feature attribute concept
地物属性概念
一つ以上の地物型の属性(3.8)型として詳細に規定できる概念
例:「高さ」という地物属性概念は、「人間」、「木」、「建物」などの現実世界の現象が共有できる特性として、垂直方向の長さを表す。
3.10
feature catalogue
地物カタログ
地物(3.5)型、地物属性(3.8)、一つ以上の地理データの集合に発生する地物関係及び適用できる任意の地物操作(3.13)の定義と記述法を含むカタログ
[ISO 19101‑1:2014 4.1.13を引用]
3.11
feature concept
地物概念
一つ以上の地物(3.5)型として詳細に規定できる概念
例: 地物概念「道路」は、特定の応用分野に適したさまざまな特性の集合を持つ複数の異なる地物型を示すために使用できる。旅行計画アプリケーションの場合、名前、ルート番号、場所、車線数などの限られた属性集合を持つことができるが、維持管理アプリケーションの場合、その構成の対象となる材質の各層の構造と構成を詳細に示す広範な属性集合を持つことができる。
備考1)道路という概念は、旅行計画用の情報サービスや、行政の道路情報管理システムなど、複数の応用システムの中で異なる道路型として規定され、応用スキーマや地物カタログの中に置かれる。しかし、道路を「地物概念」として扱う場合、道路概念は複数の応用システムの中で定義されるそれぞれの道路型の上にある概念になる。道路概念の場合、道路型を汎化した道路の抽象型として、捉えることができ、道路概念の定義などが地物概念辞書に記載されることになる。
3.12
feature concept dictionary
地物概念辞書
地物カタログ(3.10)で詳細に規定できる概念の定義及び関連する説明情報を含む辞書
3.13
feature operation
地物操作
地物(3.2)型のすべてのインスタンスが実行できる操作
例1:地物型"せき(堰)"の地物操作は、"せき(堰)のかさ(嵩)を上げる"である。この操作によって"せき(堰)"の高さが上がり、"貯水池"の水位が上がる。
注記1:地物インスタンスの地物属性の値は地物操作によって影響を受ける。
[ISO 19110:2016 3.7 を参照 — 注記1は変更されている。]
3.14
feature operation concept
地物操作概念
一つ以上の地物操作(3.13)型として詳細に規定できる概念
例:「交通量」操作は、操作への入力として指定された期間中に、何らかの交通地物上又は何らかの交通地物を通過すると予想される人又は車両の数を返すことができる。
3.15
hierarchical register
階層型レジスター
複数のレジスター項目の、応用領域のためのレジスター(3.19)の、構造化された集合。主レジスタと副レジスター(3.21)の集合で構成される。
例: ISO 6523 シリーズは階層型レジスターに関連付けられる。主レジスターには組の識別子スキームが含まれ、各副レジスターには単一の組織の識別子スキームに準拠する組織識別子の集合が含まれる。
[ISO 19135‑1:2015 4.1.4を参照 — 例は更新された。]
備考1)ISO 6523とは、ISO/IEC 6523 Information technology – Structure for the identification of organizations and organization parts(ISO/IEC 6523情報技術-組織及び組織部分の識別のための構造)のことである。
3.16
identifier
識別子
関連付けられているものを一意かつ永続的に識別できる、言語的に独立した文字列
[ISO 19135‑1:2015 4.1.5を引用]
3.17
item class
項目クラス
共通の特性を持つ項目の集合
注記1:この文脈では、クラスはインスタンスの集合を指すために使用されており、インスタンスの集合から抽象化された概念を指すわけではない。
注記2:この規格では、曖昧さを避けるために、「レジスター項目クラス」という表現が使用されている。
3.18
nominal value
名義値
オブジェクト、型、又はカテゴリーの名前
例:「落葉針葉樹」は、植生型を識別する名義値である。
注記1:多くの地物属性は、数値ではなく名義値になる。このような属性の値の定義域は、通常、列挙またはコードリストとして示される。
3.19
register
レジスター
関連する項目の記述を含む、項目に割り当てられた識別子(3.16)をもつ記録の集合
[ISO 19135‑1:2015 4.1.9を引用]
3.20
registry
レジストリー
レジスター(3.19)を維持するための情報システム
[ISO 19135‑1:2015 4.1.13を引用]
3.21
subregister
副レジスター
情報領域の一部から採られた項目を含む、階層型レジスター(3.15)の一部分
[ISO 19135‑1:2015 4.1.16を引用]
3.22
value domain
値の定義域
受け入れ可能な値の集合
[ISO 19103:2015 4.37を参照 — 例は削除されている。]
[1] ISO/IEC 646, Information technology — ISO 7-bit coded character set for information interchange
[2] ISO 3166-1, Codes for the representation of names of countries and their subdivisions — Part 1: Country code
[3] ISO 8601 (all parts), Date and time — Representations for information interchange
[4] ISO/IEC 9973, Information technology — Computer graphics, image processing and environmental data representation — Procedures for registration of items
[5] ISO/IEC 11404, Information technology — General-Purpose Datatypes (GPD)
[6] ISO 19101-1:2014, Geographic information — Reference model — Part 1: Fundamentals
[7] ISO 19106, Geographic information — Profiles
[8] ISO 19109, Geographic information — Rules for application schema
[9] ISO 19110:2016, Geographic information — Methodology for feature cataloguing
[10] ISO 19131:2007, Geographic information — Data product specifications
[11] ISO/IEC 19501, Information technology — Open Distributed Processing — Unified Modeling Language (UML) Version 1.4.2
[12] ISO 80000-1, Quantities and units — Part 1: General
[13] IEC 60027-2, Letter symbols to be used in electrical technology — Part 2: Telecommunications and electronics
[14] IEEE 754, IEEE standard for binary floating-point arithmetic. Revised 1990. ISBN 9996639525
[15] International Hydrographic Organization (IHO). IHO Transfer Standard for Digital Hydrographic Data. Edition 3. Monaco: IHO, 2000. Special publication S-57. (cited 14 May 2005)1
[16] Object Management Group (OMG). Unified Modeling Language: Superstructure, version 2.1.12
1 http://www.iho.int/uploads/user/pubs/standards/s-57/31Main.pdf
2 https://www.omg.org/
(2024-09-08)