本ページで検証するサイトはいずれも金融庁のサイトで公表されている金融商品取引業者の登録リストに該当が見つかりません。日本居住者に対して勧誘が行われれば違法な無登録業者ということになります。本ページで検証するサイトの少なくとも一部については日本人に向けた勧誘が確認されています。そしてXS.com、モナクサ、オンエクイティー、MIDORI FXの4つについては関東財務局から違法な無登録業者であるとして警告が出ています。
▼本サイトでの検証は名誉棄損に当たらないと考えます。→ 雑記1
本ページでは以下のサイトを検証します。
●PARKWAY MARKET (パークウェイマーケット https://www.parkway-market.com/)
●XS.com (https://www.xs.com/jp/)
●MONAXA (モナクサ https://www.monaxa.com/ja/)
●OnEquity (オンエクイティー https://onequity.com/ja/)
●ERRANTE (エランテ https://errante.io/)
●ERRANTE (エランテ https://errante.com/ja/)
●MIDORI FX (https://midorifx.com/ja)
●UTrada (ユートラダ https://www.utrada.com/ja)
●KrypFX (クリプFX https://krypfx.com/)
まず以下のサイトを検証します。
●PARKWAY MARKET (パークウェイマーケット https://www.parkway-market.com/)
これはYahoo知恵袋に質問が出てきたサイトです。まずその質問投稿を引用します。
状況がよく分かりませんが、動画投稿サイトのTikTokでパークウェイマーケットでの投資勧誘が行われているようです。示されているURLアドレスの末尾、「?referral=」以降の部分はアフィリエイターのIDと思われます。宣伝している人物はアフィリエイト報酬目当てでの勧誘を行っているものと考えられます。まず以下にこのサイトの冒頭部の画像を示します。
▼パークウェイマーケット (https://www.parkway-market.com/) [表示言語:英語、日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、アラビア語、香港語]
上の画像の下端には「FX取引」「コモディティ (商品)」「暗号CFD」「株式」という4項目の取引対象が示されています。
そしてこのトップページでは表示言語の選択肢として英語、日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、アラビア語、香港語の7ヵ国語が用意されています。しかし上の画像で「いますぐ口座開設」というリンクボタンをクリックして出てくる登録画面 (https://my.parkway-market.com/ja/auth/sign-in) では以下の画像で示すように英語、ドイツ語、日本語の3ヵ国語のみの選択肢になっています。 日本人を主な勧誘の標的としている可能性が高いです。
トップページで次に出てくるのは以下に画像を示すサイトの特長を説明している部分です。
この部分で気になるのは以下の2つの項目です。
>24/7,365 プロフェッショナル サポート
>レバレッジ2000倍
年中無休のサポートというのは普通の証券会社では有り得ませんが、週末でも夜間でも取引が行われている仮想通貨の売買に対応する為かと思われます。また2000倍ものレバレッジは非常に高いです。ところがこのパークウェイマーケットで取引出来る取引対象の取引ルールを見ると、少なくとも全ての取引対象で2000倍ものレバレッジを掛けられるわけではないようです。
メニューバーの「取引商品」という項目が「FX取引」「コモディティ (商品)」「暗号CFD」「株式」という4項目の取引対象の説明が記されているサブページにリンクされています。例えば以下は「FX取引」のサブページに示されている取引できる通貨ペアの一覧の一部です。
AUD (オーストラリアドル)を含む通貨ペアだけで11個が取引可能となっていますが、上の画像ではその内の5つの通貨ペアに関するレバレッジが示されていて、AUDCHF (オーストラリアドル/スイスフラン) の通貨ペアのみレバレッジが33倍、それ以外のAUDCAD (オーストラリアドル/カナダドル) など4つの通貨ペアではレバレッジが100倍となっています。
他の通貨ペアについてもレバレッジを確認しましたが基本的にレバレッジは100倍、スイスフランを含む通貨ペアでは33倍、トルコリラを含む通貨ペアでは5倍になっているなど100倍よりレバレッジが低い通貨ペアが複数あるようです。いずれにしろ2000倍ものレバレッジが掛けられる通貨ペアは1つも見つかりません。
同様に「コモディティ (商品)」「暗号CFD」「株式」のサブページに示されている取引対象のレバレッジも確認しましたが、やはり2000倍ものレバレッジが掛けられる取引対象は1つとして見つかりません。
>レバレッジ2000倍
という記述だけ見たらあらゆる取引対象で2000倍ものレバレッジが掛けられるような誤解が生じる可能性もあるでしょう。不適切な記述としか思えません。
次に示すのは取引開始までの手順を説明している部分の画像です。
この部分で気になるのはかなり日本語が不自然なことです。特に
>02 させるKYC認証を完了
>04 させる初回入金を完了
という部分は意味は分かりますが、日本語として明らかに不自然です。このサイトを運営しているのは海外のグループだと考えます。
次に示すのは複数種類のアカウントを説明している部分です。
4種類のアカウントが用意されているようで、それぞれ最低入金額が設定されています。
ミニ口座 最低入金額:100ドル
スタンダード口座 最低入金額:5000ドル
PRO口座 最低入金額:1万ドル
MAX口座 最低入金額:5万ドル
最低入金額が異なる複数のアカウントが用意されているというのはおそらく海外の詐欺グループによって運絵されていると思われる「検証4」で検証したエックスプロマーケッツ~Azelisファイナンス (https://azelisfinance.world/) までの21個のFXサイト、「検証83」や「検証84」で検証した一連のサイトと似ているようにも思われるのですが、アカウントの名称とか最低入金額が100ドルから始まっている点などはそれらのサイトとは異なるようにも思われます。
さらに同じ海外の詐欺グループによるサイトとの組織的な繋がりがあるかもしれないと考えた部分がサイトの脚注に記されている連絡先情報の部分にあります。
一部を抜粋して以下に書き出します。
>本ウェブサイトはParkway Global Capital Limited によって運営されています。Parkway Global Capital Limited 、登録番号No.2023-00370、登録住所Ground Floor, The Sotheby Building, Rodney Village, RodneyBay, Gros-Islet, Saint Lucia.また、アメリカとカナダにもオフィスを構えています。
>Parkway Global Capital Limitedは、お客様に安全で、規制に準拠した、信頼できる取引環境を提供することに尽力しています。本社は現在、全米先物協会(NFA, NFA ID:0557347)、米国証券取引委員会ERA(SEC,CRD: 329902)、および米国マネーサービスビジネス(MSB, MSB Registration Number: 31000247808047)によって規制されており、セントルシアの外国為替業務許可を持っています。
まず運営会社であるParkway Global Capital Limited の登録番号と登録住所が記されていますが、登録番号はいかなる組織での登録番号なのか情報がありません。一方で以下の登録住所には見覚えがあります。
>Ground Floor, The Sotheby Building, Rodney Village, RodneyBay, Gros-Islet, Saint Lucia.
この住所は本サイトで検証してきた以下の6つのサイトでも登録住所として登場している住所なのです。
▼ビッグマーケッツ (https://www.bigmarkets.com/international/ja/)
▼Ventorus (https://www.ventorus.com/ja)
▼ブルマーケッツ (https://www.bullmarkets.com/international/ja/)
▼KROXIO (https://www.kroxio.com/jp/index.php)
▼Emarlado (https://www.emarlado.com/ja/)
▼Lukインベスト (https://lukinvest.com/ja/)
そしてこれらのサイトは同じグループによるサイトである可能性が高いです。さらにこの住所はこれらのサイトの検証で説明しましたが、以下に画像を示したFORTGATE (http://www.fortgateoffshore.com/) というオフショア会社の連絡先情報に記されているセントルシアオフィスの住所と一致しているようでこのオフショア会社を利用した架空住所の可能性が高いです。
最低入金額が異なる複数のアカウントが用意されているという点に加えて、同じセントルシアのオフショア会社の住所を登録住所としているという点でもパークウェイマーケットは「検証4」、「検証83」、「検証84」で検証した一連のサイトと似ているようにも思われ、再び組織的な繋がりの可能性が考えられましたが、決定的な証拠とは言い難いです。ともあれこの登録住所が名目だけの住所である疑いはやはり濃厚です。
さらに
>登録番号No.2023-00370
という部分ですが、セントルシアの金融ライセンスの登録番号かと思ってセントルシアの金融ライセンスを管理していると思われるFINANCIAL SERVICES REGULATORY AUTHORITY SAINT LUCIA (https://fsrastlucia.org/index.php) のサイトでPARKWAY MARKETあるいは運営会社・Parkway Global Capital Limitedの登録を探してみましたがそれらしき登録は見つかりません。
さらにライセンス情報と思われる記述として以下の3件が挙げられています。
全米先物協会(NFA, NFA ID:0557347)
米国証券取引委員会ERA(SEC,CRD: 329902)
米国マネーサービスビジネス(MSB, MSB Registration Number: 31000247808047)
まず最初の全米先物協会 (NFA https://www.nfa.futures.org/index.html) については登録情報を検索できるページで「ID:0557347」を検索してみましたが左下の画像で示したように該当がありません。サイト名の「PARKWAY MARKET」で検索しても右下の画像で示したようにやはり該当なしです。
画像は省略しますが、運営会社名の「Parkway Global Capital Limited」で検索してもやはり該当なしです。元々登録が無かったのか、あるいは以前は登録があったけれども取り消されたのか分かりませんが、とにかくNFAの登録も確認出来ません。また本サイトにおける検証では何度も同じことを書いていますが、全米先物協会 (NFA) は金融ライセンスを管理する公的機関ではなく、マネーロンダリングなどを防止するための業界団体です。何らかの登録があったとしても金融ライセンスと呼べるようなものではありません。
次は
>米国証券取引委員会ERA(SEC,CRD: 329902)
という記述についてですが、米国証券取引委員会 (U.S. Securities and Exchange Commission, SEC) の公式サイト (https://www.sec.gov/) にある検索ページ (https://www.sec.gov/edgar/search/) でサイト名の「PARKWAY MARKET」あるいは運営会社名の「Parkway Global Capital Limited」を検索してみましたが、該当すると思われる情報は見つからず、登録を確認出来ません。
最後は
>米国マネーサービスビジネス(MSB, MSB Registration Number: 31000247808047)
という登録情報の確認です。アメリカでMSBの登録を得ているという主張は本サイトで検証したサイトでしばしば出てきますが、これはアメリカのFinancial Crimes Enforcement Network (FinCEN https://www.fincen.gov/) という組織でMoney Services Businesses (MSBs) の登録を得ているという主張だと思われるのでFinCENのサイトに用意されているMSB Registrant Searchのページで「31000247808047」という登録番号を入力すると以下の登録情報が出てきました。
法人名: Parkway Global Capital Limited
住所: ONE OLD COUNTRY ROAD, SUITE 320, CARLE PLACE, NY, 11514
事業内容: 405, 409, 415
住所はアメリカのニューヨーク州になっています。この住所を検索してみたところ、以下に示したThe Law Office of Alan M. Sanders, LLC. (https://sanderslawnewyork.com/) という弁護士事務所の住所に一致します。
この住所もこの弁護士事務所を利用した架空住所の疑いが濃厚です。またこれもこのサイトでは何度も書いていますが、FinCENも金融ライセンスを管理する公的機関ではなく、NFAと同様にマネーロンダリングの防止などを目的とした組織です。FinCENでMSBの登録を得ているとしてもそれは金融ライセンスと呼べるようなものではありません。
結局、パークウェイマーケットについて有効な金融ライセンスは確認出来ないということになります。
さらに連絡先情報を探して例によってパークウェイマーケットのWho Is 情報を確認しました。
まず黄色の枠で囲った部分に記されているサイトの登録・開設日は2023年10月18日となっています。そして赤枠で囲った部分に示されている登録者の情報の部分を整理して以下にまとめます。
登録者名: Ye DingFeng
登録者所属機関名: Parkway Global Capital Limited
登録者住所: Ground Floor, The Sotheby Building, Rodney Village, RodneyBay, Gros-Islet, LC05 201
電話番号: +1.2093226888
メールアドレス: wking988@outlook.com
登録者名は「Ye DingFeng」という中国系かと思われる個人名になっています。「Ye」という名字は漢字では「葉」かもしれません。住所はセントルシアになっていますが、電話番号はセントルシアの国番号 [+1-758] から始まっておらず、アメリカあるいはカナダの国番号である[+1]から始まっているようです。そしてメールアドレスは「outlook.com」というドメイン名のフリーメールのアドレスになっています。まともな金融機関の連絡先がフリーメールのアドレスなんてことがあるとは思えません。
総合的に判断してパークウェイマーケットは信頼出来る投資先とは思えません。連絡先などの情報開示は不充分、不適切であり、有効な金融ライセンスも確認出来ません。サイトの記述には矛盾する部分も確認されます。このサイトでの投資は推奨できません。
●XS.com (https://www.xs.com/jp/)
このサイトについては2024年9月25日付で関東財務局から無登録の違法業者であるとして警告が出たことで知ることになりました。以下に警告の画像を示します。
まずサイト冒頭部の画像を示します。
▼XS.com (https://www.xs.com/jp/) [表示言語:英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語、日本語、ベトナム語、中国語、香港語、タイ語、韓国語]
マレーシアのLFSA、セーシェルのFSA、オーストラリアのASIC、キプロスのCySEC、南アフリカのFSCAと5ヵ国の金融ライセンスを管理している組織からライセンスを取得していると主張しているようです。それらの国の金融ライセンスを実際に取得しているかどうかについては後述します。以下には表示言語の選択メニューを示します。英語、日本語など11の言語が選択出来るようになっています。
この冒頭部に続いて出てくるのが取引対象を説明する以下の画像に示した部分です。
外国為替 (FX)、金属、株式、エネルギー、先物、仮想通貨、インデックス、コモディティの8項目が取引対象となっているようです。「詳しく見る」と書かれたリンクボタンはさらにそれぞれの取引対象について具体的な情報が書かれているサブページに繋がっています。例えば以下は外国為替 (FX) の サブページにある取引対象となっている通貨ペアのリストの一部です。
通貨のリストはメジャー通貨、マイナー通貨、エキゾチック通貨の3つのグループに分かれており、メジャー通貨とマイナー通貨ではレバレッジが1000倍、エキゾチック通貨では500倍になっているようです。さらに上級の口座では最大2000倍までのレバレッジも可能となっているようですが、2000倍ともなると直ぐに強制ロスカットが発動してしまうでしょうからあまり意味があるとは思えません。
上の画像で気になるのは「契約サイズ」という項目で全ての通貨ペアについて10万セントとなっています。10万セントは1000ドルという意味だと思われますが、全ての通貨ペアについてドルの補助通貨単位であるセントという単位で取引単位が示されていることにはかなり違和感があります。
さらに以下に示したのは「口座タイプ」と題された部分の画像です。
トップページには「セント口座」「スタンダード口座」「プロ口座」「エリート口座」の4種類の口座が示されていますが、サブページを見ていくとさらに「VIP口座」「エクストラ口座」「クラシック口座」という3種類の口座もあって計7種類の口座が用意されているようです。こうした複数種類の口座が存在するというパターンは上で検証したパークウェイマーケット、さらにおそらく海外の詐欺グループによって運絵されていると思われる「検証4」で検証したエックスプロマーケッツ~Azelisファイナンス (https://azelisfinance.world/) までの21個のFXサイト、「検証83」や「検証84」で検証した一連のサイトと似ているようにも思われるのですが、アカウントの名称などはそれらのサイトとは異なるようにも思われます。
さらに以下に示したのは「入出金方法」と題された部分の画像です。
クレジットカード会社とかビットコインなどのロゴが並んでいますが、「詳しく見る→」と書かれたリンクボタンからリンクされているサブページには具体的な入出金方法のリストが示されています。
「国内銀行送金」「ビットウォレット」「クレジット・デビットカード」「仮想通貨」「スティックペイ」「パーフェクトマネー」「国際銀行送金」という7つの入出金方法が示されていますが、気になるのは「国内銀行送金」「ビットウォレット」「スティックペイ」「パーフェクトマネー」の4項目です。まず「国内銀行送金」というのは日本国内の銀行口座への振り込みという意味だと思われますが、日本に拠点のない企業が日本国内の銀行口座を開設するのはマネーロンダリング防止などの観点から簡単ではないはずです。「国内銀行送金」を選択した場合に指定される銀行口座の名義がどうなっているのか情報がないのですが、「XS」名義の銀行口座ではなく、収納代行業者などの名義の銀行口座が指定されるのかもしれません。この点について銀行口座情報を開示していないことについては不審を感じざるを得ません。
「ビットウォレット」「スティックペイ」「パーフェクトマネー」についてはいずれも海外送金業者と思われるのですが、合法性や情報開示に大きな問題があります。日本の法律ではマネーロンダリング防止などの観点から海外送金業務を行うには銀行あるいは資金移動業者の登録が必要となっています。
bitwallet (ビットウォレット https://bitwallet.com/ja/)
STICPAY (スティックペイ https://www.sticpay.com/ja-JP)
Perfect Money (パーフェクトマネー https://perfectmoney.com/)
の各サイトを見る限り、いずれも銀行とは思えませんから資金移動業の登録が必要になるはずです。そしてこの資金移動業については以下の説明を参照してください。
一部抜粋します。
>資金移動業とは
>銀行以外の者が為替取引を業として営むことをいいます。資金移動業を営むには、「資金決済に関する法律(以下、「法」という。)」に基づき、事前に内閣総理大臣の登録を受けなければなりません。無登録で資金移動業(為替取引)を行った場合、銀行法第4条1項に違反する無免許業者として銀行法上の罰則の適用を受けることになります。
>令和3年5月1日施行の改正資金決済法では、100万円相当額以下の送金のみを扱う第二種資金移動業の他、送金額の制限のない第一種資金移動業と、5万円相当額以下の送金のみを扱う第三種資金移動業が創設され、資金移動業が3つの類型に分かれることとなりました。
上の入出金方法の一覧で最大入金額は
ビットウォレット 制限なし
スティックペイ 1万ドル
パーフェクトマネー 3万5000ドル
となっていて100万円を超えているので送金額に制限のない第一種資金移動業の登録が必要となるはずです。しかし金融庁のサイトで公開されている資金移動業の登録リストを見てもビットウォレット、スティックペイ、パーフェクトマネーと思われる登録業者は見つかりません。登録業者の中で送金額に制限のない第一種資金移動業の登録を得ているのは以下の4社のみです。
登録番号 社名 住所
関東財務局長第00004号 株式会社ウニードス 東京都新宿区百人町2-4-8
関東財務局長第00018号 株式会社シースクェア 東京都新宿区新宿1-36-7
関東財務局長第00040号 ワイズ・ペイメンツ・ジャパン株式会社 東京都中央区日本橋2-13-12
関東財務局長第00073号 NIUM Japan株式会社 東京都中央区日本橋兜町8-1
近畿財務局長第00003号 株式会社アイビーネット 大阪府大阪市淀川区西中島5-14-5
ビットウォレットなど3社は海外送金業務を行うのに必要な登録を得ていない違法業者、いわゆる地下銀行に相当するものと考えざるを得ません。
またこれら3社については情報開示にも大きな問題があります。
まずビットウォレットのサイト (https://bitwallet.com/ja/) には住所などの連絡先情報が一切見当たりませんが、Linked-Inのアカウント (https://www.linkedin.com/company/bitwalletofficial/) には日本人のチームによってシンガポールで創設されたといったことが書いてあり、シンガポールの住所が書いてあります。
住所は以下のようになっています。
>#18-96, THE CENTRAL, 8 EU TONG SEN STREET, Singapore、Singapore、059818、SG
しかし電話番号などの情報はありません。なぜ開示しないのか疑問を感じざるを得ません。また社員の中には「Koji Ito」「Takefumi Ando」といった明らかに日本人と思われる名前が確認出来ます。
またビットウォレットは日本でも法人登録が確認されており、住所は以下のようになっています。
>本店又は主たる事務所の所在地
>シンガポール共和国ユートンセンストリート8ザセントラル#18-92
>国内における主たる事務所等の所在地
>東京都中央区晴海1丁目8-11晴海アイランドトリトンスクエアオフィスタワーY棟15階
こうした所在地情報をどうしてビットウォレットのサイトに明記しないのか、どうして電話番号を開示しないのか理解は困難です。この所在地情報が信頼出来るかどうかも分かりません。
次はSTICKPAY (スティックペイ https://www.sticpay.com/ja-JP) の場合ですが、やはり連絡先情報が見当たりません。唯一サイトの脚注部分に小さな活字で以下のような記述があるのみです。
>STIC FINANCIAL LTD (LFSA Company No. LL17331) is registered with the Labuan Financial Services Authority as a Money Broking and Payment System operator (MB/21/0073).
運営会社と思われる「STIC FINANCIAL LTD」がマレーシアの租税回避地であるラブアン島のLabuan Financial Services Authority (https://www.labuanfsa.gov.my/default.aspx) で登録を得ていると書いてあります。そこで調べてみると確かにMoney Brokersのリストの中に「STIC FINANCIAL LTD」の登録情報を確認しました。以下に画像を示します。
社名: STIC FINANCIAL LTD.
住所 : Room A18, Unit No.5-04 (Office), Level 15, Labuan Times Square, Jalan Merdeka, 87000 Labuan F.T.
電話番号 : 087- 430 440/ +44 7824 097881
メールアドレス: sean@sticpay.com
連絡担当者: Mr. Park Jinsoo-Director cum Principal Officer
住所はラブアン島になっていますが、電話番号が2つ書いてあり、一方はイギリスの国番号 [+44] から始まっています。ラブアン島が簡単にペーパーカンパニーが作れる租税回避地であることを考えるとラブアン島にスティックペイの運営会社が実在するかどうかは疑問です。またスティックペイのLinked-In アカウント (https://www.linkedin.com/company/sticpay/) を見ると以下に示したように住所はロンドンになっていますが明らかに不完全な住所です。
住所はロンドン市内ということしか分かりません。電話番号もありませんし、イギリスの法人登録を検索してみましたが見つかりません。連絡先情報の信頼性が強く疑われます。
「パーフェクトマネー」についても状況は似ています。Perfect Money (パーフェクトマネー https://perfectmoney.com/) のサイトで連絡先のページに記されている連絡先情報は以下の画像に示しただけです。
>Startup Smart Development
>Startup Smart Development is a licensed payment service provider authorized by The Autonomous Island of Anjouan with registration number 15559. Financial license L 15559 / SSD.
>Mailing address: Hamchaku, Mutsamudu, Autonomes Island of Anjouan Union of Comoros
住所はインド洋に浮かぶ島国のコモロ諸島、アンジュアン島という島になっていますが住所は明らかに不完全です。またアンジュアン島の金融ライセンスについて検索してみると以下のようなライセンス取得を代行するオフショア会社が見つかってきました。
▼Anjouan Financial Licenses (https://anjouanfinanciallicenses.com/)
▼Anjouan Corporate Services (https://anjouancorporateservices.com/)
アンジュアン島の金融ライセンスがあっても信頼性を保証するものではないと考えます。
そして以下はXS.comのサイトで英語表示にした場合の入出金手段の説明の表です。
入出金手段は「Bank Transfer (銀行振込)」「Visa & MasterCard」「Skrill」「Nereller」という4つになっていて日本語版で取り上げられていた「国内銀行送金」「ビットウォレット」「スティックペイ」「パーフェクトマネー」の4つは英語版には登場していません。
XS.comの検証から脱線して資金移動業者のライセンスなどについて長々と書いてしまいましたが、次はXS.comの検証に戻ってXS.comが取得しているという金融ライセンスについて触れることにします。既に上で書いたようにXS.comはセーシェルのFSA、オーストラリアのASIC、キプロスのCySEC、マレーシアのLFSA、南アフリカのFSCAと5ヵ国の金融ライセンスを管理している組織からライセンスを取得していると主張しています。以下ではその主張の確認を試みました。5つの金融ライセンスについてはメニューバーの「会社概要」という項目の中にある「ライセンス」という項目からリンクされているサブページに説明があります。以下に順にその説明を示していきます。
まずセーシェルの金融ライセンスに関するXS.comのサイトの記述を示します。
セーシェルの金融ライセンスを管理するFinancial Services Authority Seychelles (FSA https://fsaseychelles.sc/) で「XS Ltd」のライセンス情報を探すと確かに「Capital Markets」というカテゴリーの中の「Security dealer」というリストの中に以下に示した「XS Ltd」の登録情報が確認出来ました。
登録情報を整理して以下にまとめます。
住所: Office No. 13, Third Floor, Ebrahim Building, Victoria, Mahe, Seychelles
電話番号: +248 4671916
メールアドレス: info@xs.com
ウェブサイト: https://www.xs.com
代表者: Giorgos Kadis
確かに登録は存在しており、電話番号もセーシェルの国番号 [+258] から始まっていて矛盾はないのですが、このセーシェルの住所を検索して本サイトでしばしば引用する口コミ情報サイトのWikiFXというサイトで以下の記事を見つけました。
▼セーシェルのXSを訪問 - オフィスが見つかりません セイシェル 2024-03-06
上に示したセーシェルの登録上の住所 (Office No. 13, Third Floor, Ebrahim Building, Victoria, Mahe, Seychelles) を調査員が2023年10月27日に訪問したところ、当該のEbrahimビルディングの13号室が空室になっていることを確認したということが空室の画像付きで示されています。セーシェルの住所は名目だけで事業実体がセーシェルには存在しない可能性が高いです。
次はオーストラリアのAustralian Securities and Investments Commission (ASIC https://asic.gov.au/) でライセンスを得ているという記述を以下に示します。
記述の一部を抜粋して以下に示します。
企業番号: 141 194 934
所在地: Morris Mennilli, Suite 701 Level 7 , 92 Pitt Street , Sydney Nsw 2000
ASICライセンス番号: 374409
まずここで気になるのが住所です。この住所を検索してみると最初の「Morris Mennilli」というのが法律事務所の名称であることが判明しました。この法律事務所のサイト (https://www.m2law.com.au/) の冒頭の画像を以下に示します。
さらに右に示したのがこの法律事務所の連絡先情報です。XS.comのサイトに記されていた住所と部屋番号 (Suite 701) まで完全に一致しています。この住所はこの法律事務所の住所で間違いなく、オーストラリアの場合もXS.comの運営拠点が実在するかどうか極めて疑問と考えざるを得ません。
さらにオーストラリアの法人登録情報を探してみました。オーストラリアの法人登録情報を検索できるABN Lookup (https://abr.business.gov.au/) で「XS Prime Ltd」を検索してみると以下の登録情報が確認されました。但し企業番号は「141 194 934」ではなく、「ABN 92 141 194 934」になっています。
法人登録の日付は2009年12月18日になっています。しかし法人登録の時点からXS PRIME LTDという法人名だったわけではないようです。以下はこの法人登録のHistorical details (過去の記録) の画像です。
2009年12月に法人されてから法人名が4回も変更されていて現在のXS PRIME LTDという法人名になったのは2022年11月となっています。
Emission Capital Management Ltd 2009年12月18日~2014年6月27日
EC PARTNERS MANAGEMENT LTD 2014年6月27日~2016年4月16日
RUIZEAN FUNDS MANAGEMENT LTD 2016年4月16日~2021年1月7日
ACQUACAP LTD 2021年1月7日~2022年11月4日
XS PRIME LTD 2022年11月4日~現在
どういう理由で頻繁に法人名が変更されているのか不審を感じざるを得ません。調べてみるとこれらかつての法人名に対応したFXサイトが存在していた形跡が見つかってきました。例えば2021年1月~2022年11月まで使われていた「ACQUACAP LTD」という法人名で検索してみると既に閉鎖されているようですが、AcquaCap (https://www.acquacap.com/) というFXサイトがかつて存在していたことが本サイトでしばしば引用しているWikiFX (https://www.wikifx.com/ja/) という口コミ情報サイトで分かりました。以下がそのWikiFXのサイトにあるAcquaCapの情報の冒頭部の画像です。
このサイトがXS.comと同じグループによるサイトだったのかはサイトが既に閉鎖されている状況では確認出来ませんが、上の画像に見えるようにオーストラリアで登録されていたという点など考えると可能性はあるように思われます。また上の画像に見えるように「疑わしいライセンス」とか「クローンの疑い」とありますが、やはりサイトが閉鎖されているので確認出来ません。
そしてこの法人登録情報からリンクされているASICの金融ライセンス情報を以下に示します。
登録の日付は2022年9月1日、住所は以下のようになっています。
>GROSVENOR PLACE Level 29 225 GEORGE St SYDNEY NSW 2000
そしてオーストラリアの法人登録、金融ライセンス情報を調べていて気が付いたのですが、ここで検証対象としているXS.comのサイトとロゴが似ており、同じ法人登録のサイトであると主張するサイトが他に見つかってきました。それが以下に冒頭部の画像を示したXSPrime (XSプライム https://xsprime.com/#) というサイトです。
このサイトの脚注部分には運営会社について以下のような記述があります。
>XS Prime is wholly owned and operated by XS Prime Ltd (ABN 92 141 194 934). XS Prime Ltd is a financial services company and regulated by Australia Securities & Investments Commission (AFSL No. 374409).
Google翻訳で日本語訳すると以下のようになります。
>XS Prime は、XS Prime Ltd (ABN 92 141 194 934) が 100% 所有し、運営しています。XS Prime Ltd は金融サービス会社であり、オーストラリア証券投資委員会 (AFSL No. 374409) の規制を受けています。
「ABN 92 141 194 934」というのはまさに上で示したオーストラリアの法人登録の会社番号に一致します。1つの法人登録、1つの金融ライセンスに対して2つのサイト、本項で検証しているXS.com (https://www.xs.com/jp/) とXSプライム (https://xsprime.com/#) という2つのサイトが存在していることになります。一体どういうことなのかさっぱり分かりませんが、XSプライム (https://xsprime.com/#) のサイトも住所などの連絡先情報が書かれていない、どんな投資対象が用意されているのか情報が見つからないなど違和感を感じる部分が多くてあまり信用できるサイトとも思われません。しかし1つの法人登録、1つの金融ライセンスに対して2つのサイトが存在しているというのも明らかに異様な状況であり、どちらか一方が他方のライセンスを自らのライセンスであると主張している、クローンであるという可能性も考えられます。
次はキプロスのCYPRUS SECURITIES and EXCHANGE COMMISSION (CySEC、キプロス証券取引委員会 ) でライセンスを得ているというXS.comの記述を以下に示します。
この記述を元にCySECのサイト (https://www.cysec.gov.cy/en-GB/home/) で探してみると確かに以下に示した「XS Markets Ltd」の登録情報が見つかってきました。
登録の日付は2022年4月4日、連絡先情報は以下のようになっています。
住所: 247, Franklinou Rousvelt, Block B, 1st floor, 3046, Limassol, Cyprus
電話番号: +357 25 249 600
Fax番号: +357 25 253 415
メールアドレス: info@xsmarkets.com
登録ドメイン: www.xsmarkets.com
登録商号: XS Markets
この登録情報で問題なのは最後の登録ドメインと登録商号の部分です。これらは本項で検証しているサイトの名称やサイトのURLアドレス (https://www.xs.com/jp/) と明らかに異なっています。そこでこのキプロスのCySECの登録情報に記されている登録ドメインを検索してみると以下のXS Markets (XSマーケッツ https://www.xsmarkets.com/) というサイトが見つかってきました。
キプロスのCySECで登録を得ているのは本項で検証しているXS.comのサイトではなく、別個のXSマーケッツ (https://www.xsmarkets.com/) というサイトであるということになります。CySECの登録には登録情報に示されているようにドメイン名が限定されているので本項で検証しているXS.comのサイトはCySECで登録を得ているとは言えません。
次はマレーシアのLabuan Financial Services Authority (LFSA https://www.labuanfsa.gov.my/default.aspx) で登録を得ているというXS.comの記述を以下に示します。
>XS Finance Ltd という法人名でラブアン金融サービス機構 (LFSA)
>XS Finance Ltdは、マレーシアのラブアン連邦法に基づいて登録されています。(会社番号:LL17310、所在地:Unit B, Lot 49, 1st Floor, Block F, Lazenda Warehouse 3, Jalan Ranca-Ranca, 87000 F.T. Labuan, Malaysia)
>XS Finance Ltdは、ラブアン金融サービス機構(LFSA)の認可を受け、ライセンス番号:MB/21/0081で規制されています。
しかしラブアン金融サービス機構 (LFSA) のサイト (https://www.labuanfsa.gov.my/default.aspx) でこのXS Finance Ltd の登録を探しても登録情報を確認出来ません。またラブアン島の住所 (Unit B, Lot 49, 1st Floor, Block F, Lazenda Warehouse 3, Jalan Ranca-Ranca, 87000 F.T. Labuan, Malaysia) を検索してみるとかなり多くの法人が部屋番号まで同じ住所を所在地としていることが判明しました。そこでこれはオフショア会社などを利用した架空住所ではないかと考えて調べてみると以下のCorporate Services Trust Co Ltd (https://www.cstcl.com.my/) というオフショア会社が見つかりました。
この住所にXS Finance Ltdは実在するとは思えません。
ラブアン金融サービス機構 (LFSA) のライセンスが確認出来ない上に住所はオフショア会社を利用した架空住所の可能性が高いとなれば論外としか思えません。
次は南アフリカのFinancial Sector Conduct Authority (FSCA https://www.fsca.co.za/Pages/Default.aspx) で認可を受けているという件についてのXS.comのサイトの記述を以下に示します。
>XS ZA (Pty) Ltd
>XS ZA (Pty) Ltdは南アフリカの法律に基づいて登録されています(企業番号2023/608801/07、所在地: 38 Stella Road, Wetten, Cape Town, Western Cape, 7788)。
>XS ZA (Pty) Ltdは、南アフリカのFSCA(Financial Sector Conduct Authority)の認可を受け、ライセンス番号53199で規制されています。
この記述に基づいて南アフリカの金融ライセンスの確認を試みました。南アフリカのFSCAのサイト (https://www.fsca.co.za/Pages/Default.aspx) から登録業者の検索ページを探してFSPライセンス番号53199を入力すると確かに以下のキャプに示したXS ZA (Pty) Ltd の登録情報が見つかりました。
登録の日付は2023年10月17日、連絡先情報は以下のようになっています。
住所: 140 BAUHINIA ROAD HIGHVELD TECHNOPARK 0157
電話番号: 71 4755068
以上、5つの国での金融ライセンス情報の確認を試みましたが、全く確認出来なかったマレーシアのラブアン島でのライセンスを除いた4つの国のライセンスについては一応それらしき登録が見つかりました。しかし見つかってきた4つの国でのライセンスでも疑わしい部分があることも分かりました。セーシェルの登録住所にはXSが実在しない可能性が高く、オーストラリアとキプロスについてはそれぞれ登録されているXSというFX業者と本項で検証しているXSは別個である可能性があります。
以下に示したのは左下から右下に向けて
本項で検証しているXS.com (https://www.xs.com/jp/)
オーストラリアの法人登録を共有している可能性があるXSプライム (https://xsprime.com/#)
キプロスの登録で認められているXSマーケッツ (https://www.xsmarkets.com/)
3つのサイトのロゴの拡大です。
これらのロゴは明らかに似ている部分もありますが、互いに組織的な繋がりがあるのかどうか全く分かりません。それぞれのサイトで他のサイトに関する情報は見つからないのです。本項で検証しているXS.com (https://www.xs.com/jp/) がオーストラリアやキプロスで得ているという金融機関登録は実際にはXS.comのものではなく、オーストラリアのXSプライムやキプロスのXSマーケッツのモノである可能性も考えられます。
総合的に判断してXS.comは信頼出来る投資先とは全く思えません。XS.comでの投資は推奨できません。
詳細は分かりませんがネットを介してこのモナクサというサイトでの投資を勧誘しているようです。「所在地又は住所」の項目が「不明」となっていますがこの点に関しては後述します。
さらに日本語でモナクサでの投資を勧誘するブログ、アフィリエイトサイトも見つかってきました。
▼monaxajpのブログ (Amebaブログ モナクサ@日本オフィシャル)
間違いなく日本人を標的とした勧誘が行われています。そしてまずこれらのブログ、アフィリエイトサイトからリンクされているモナクサのサイトの冒頭部の画像を示します。
▼モナクサ (https://www.monaxa.com/ja/) [表示言語:英語、マレー語、タイ語、中国語、ベトナム語、スペイン語、ヒンディー語、日本語]
このサイトはこれまで検証してきたサイトと特に似ているようには思われません。この冒頭部に続いては以下に示したサイトの顧客数などを主張する部分が出てきます。
>すでに数百万人に信頼され使用されているテクノロジーによるスムーズな取引環境を約束します。
と書いてありますがこの文章は曖昧です。最初はモナクサのサイトを使っている顧客が数百万人いるという意味かと思ったのですが、英語版を見るとこの文章は以下のようになっています。
>We promise frictionless trading environments using technology already trusted by millions.
日本語版の「取引環境」とか英語版の「trading environments」というのはどうやらMT4、MT5、cTraderといったトレーディングアプリを意味するのではないかと思われます。モナクサが数百万人の顧客を抱えているという意味ではないでしょう。モナクサが多くの顧客を抱えていることを誇るならばともかく、MT4など他社の開発したトレーディングアプリが広く使われていることを強調して何の意味があるのかよく分かりません。
この部分に続いては以下の画像に示した部分が出てきます。
この部分に記されている情報は非常に少ないですが、「口座の種類」「プラットフォーム」「資産」と書かれた3つの四角形はそれぞれサブページへのリンクになっています。例えば左側の「口座の種類」と書かれた四角形は「口座タイプ」と題されたサブページ (https://www.monaxa.com/ja/account-types) へのリンクになっています。このサブページにあるモナクサのサイトで用意されている4種類の口座を説明する表を以下に示します。
この表を見ても4種の口座の使い分けがよく分かりませんが、口座によってFX、株価指数、金属、エネルギー、株式CFD、仮想通貨、先物などが取引出来るようです。
トップページに戻って続いて出てくるのは以下に示したボーナスに関する記述です。この部分もサブページへのリンクになっています。
サブページ (https://www.monaxa.com/ja/promotion-bonus) には以下のような記述があります。
このサブページに書いてある記述についても意味がよく分からない部分があります。最低入金金額が10万円、最高入金金額が14万5000円という部分が特によく分かりません。入金額と同額のボーナスが貰えるとありますが、毎月貰えるというのが意味がよく分かりません。常識的に考えて毎月、資金が黙っていても増えていくというのは有り得ないと考えますが、上で引用した勧誘目的と思われるブログには「資金が増えすぎる「毎月」ボーナスキャンペーン」という投稿があります。
やはり初回入金に対して毎月100%ボーナスを利用できると書いてあります。初回に10万円入金すれば毎月10万円のボーナスが得られるという意味としか思えませんが、毎月100%のボーナスを払い続けたら常識的に考えて経営が成り立つようには思われません。
日本語訳がおかしいのかと考えて英語版のサブページ (https://www.monaxa.com/en/promotion-bonus) を見ると書いてある内容が日本語版の記述内容とかなり異なっていることが判明しました。英語版の画像も以下に示します。
日本語版では「マンスリーボーナス」という1種類のボーナスしか示されていませんでしたが、英語版では100%ボーナス、50%ボーナス、ウェルカムボーナスという3種類のボーナスがあってこちらも説明が不充分でよく分からないのですが、入金額によって適用されるボーナスが異なるというシステムになっているようです。
100%ボーナス:Min 50ドル~Max 500ドル
50%ボーナス:Min 100ドル~Max 2000ドル
ウェルカムボーナス: Min 25ドル~Max 25ドル
どうやら日本人、日本の居住者に対するボーナスは規定が異なるようで日本人、日本の居住者に対するボーナスの規定は別にPDFファイルで説明されていることが分かりました。以下にそのPDFファイルの冒頭部の画像を示します。
>MONAXA MONTHLY ONE TIME 100% BONUS UP TO 145,000 JPY
というタイトルからして「MONTHLY」と「ONE TIME」という相反するのではないかと思われる2つの単語が同居していて意味がよく分かりません。そもそも日本人顧客向けのボーナス規定が英文でのみ示されているという時点で不親切としか思われません。
それからモナクサのサイトではコピートレードが可能であることが強調されています。「コピートレード」のサブページ冒頭部の画像を以下に示します。
しかしコピートレードの発信者 (マスターと呼ばれている) はモナクサ側が用意しているのではなく、誰でも希望すればなれるようです。何人のマスターがいてそれぞれどれだけの運用実績があるのか登録しない限りは見ることが出来ないようです。
次に連絡先情報を探しましたが、当初はサイトを見回しても何の情報も見つかりませんでした。上で引用した関東財務局から出た無登録の違法業者であるという警告でも「所在地又は住所」は「不明」と記されていました。しかし上で引用したアフィリエイトサイトには以下に示したように設立年、登録住所、金融ライセンスなどの情報が記されています。
住所はカリブ海に浮かぶ島国のアンギラの住所になっています。また金融ライセンスはオーストラリア、アンギラ、セントビンセント・グレナディーンで取得しているとなっています。
そこでモナクサのサイトを再度確認したところ、日本語版のサイトには連絡先情報が見たらないものの、表示言語を英語にすると脚注部分に住所が記されていることが判明しました。以下に脚注部分の記述を日本語版 → 英語版の順で示します。
日本語版には以下のような文章が記されています。
>Monaxa LtdはMonaxaグループのメンバー企業であり、セントビンセント・グレナディーン金融サービス機構に登録された事業会社で、事業会社番号は26883 BC 2022です。
カリブ海に浮かぶ島国のセントビンセント・グレナディーンで金融ライセンスを取得しているという文章になっています。上で引用したアフィリエイトサイトにはオーストラリア、アンギラ、セントビンセント・グレナディーンで金融ライセンスを得ているという記述がありましたが、オーストラリアやアンギラのライセンスについては記述がありません。また住所などの連絡先情報は見当たりません。
一方で英語版サイトの脚注には日本語版サイトには存在しない以下の2つの文章が記されています。
>Monaxa Ltd [A000001175] is registered in Anguilla, British West Indies, with a registered address at No. 9 Cassius Webster Building, Grace Complex, PO Box 1330, The Valley, AI-2640, Anguilla.
>Monaxa Ltd [GBC195868] is registered and regulated by the Financial Services Commission (FSC) of the Republic of Mauritius with an Investment Dealer License, bearing license number GB23201577.
この2つの文章をGoole翻訳で日本語訳した結果を以下に示します。
>Monaxa Ltd [A000001175] は、イギリス領西インド諸島のアンギラに登録されており、登録住所は No. 9 Cassius Webster Building, Grace Complex, PO Box 1330, The Valley, AI-2640, Anguilla です。
>Monaxa Ltd [GBC195868] は、モーリシャス共和国の金融サービス委員会 (FSC) に登録され、投資ディーラー ライセンス (ライセンス番号 GB23201577) を取得して規制されています。
英語版ではやはりカリブ海の島国であるアンギラとインド洋に浮かぶ島国のモーリシャスに登録があると書いてあります。連絡先情報としてはアンギラの住所 (No. 9 Cassius Webster Building, Grace Complex, PO Box 1330, The Valley, AI-2640, Anguilla) だけ書いてあります。電話番号などは記されていません。上で引用したアフィリエイトサイトにはオーストラリア、アンギラ、セントビンセント・グレナディーンで金融ライセンスを得ているという記述がありましたが、オーストラリアやセントビンセント・グレナディーンのライセンスについては何も触れられていません。アフィリエイトサイト、モナクサの日本語サイトと英語サイトで記載されている金融ライセンス、住所を以下にまとめます。
▼アフィリエイトサイト
ライセンス:オーストラリア、アンギラ、セントビンセント・グレナディーン
住所:アンギラ
▼モナクサ日本語サイト
ライセンス:セントビンセント・グレナディーン
住所:記載なし
▼モナクサ英語サイト
ライセンス:アンギラ、モーリシャス
住所:アンギラ
どういう理由で互いに異なる情報が記されているのか全く分かりません。上で示してきたようにモナクサのサイトはしばしば日本語版の記載と英語版の記載が異なっています。連絡先情報についても日本語版と英語版で記述が異なるというのは論外でしょう。
ともかくまずはアンギラの住所 (No. 9 Cassius Webster Building, Grace Complex, PO Box 1330, The Valley, AI-2640, Anguilla) について検索してみると私書箱番号まで全く同じ住所を登録住所としているFX業者のサイトが多数見つかってきました。
▼PSFX International (https://www.psfxpro.com/index.php) → 連絡先情報 左下の画像
▼DBG markets (https://www.dbgmarketsglobal.com/en) → 連絡先情報 右下の画像
▼FreeForex (https://www.freefx.com/) → 連絡先情報 左下の画像
▼FXCG (https://www.fxcg.com/) → 連絡先情報 右下の画像
これ以外にもかなり多くのFX業者が同じ住所の私書箱番号まで同じ住所を共有していることになっています。さらに調べてみるとAnguilla Commercial Registry (アンギラ商業登記所 http://www.commercialregistry.ai/) というサイトの法人リストで以下のFidelis Company Management Limitedというオフショア会社と思われる法人の登録情報を見つけました。やはり私書箱番号まで一致する住所を所在地としています。残念ながらこのFidelis Company Management Limitedの公式サイトは見つかりませんが、モナクサのアンギラの住所はこのオフショア会社を利用した架空住所である可能性が濃厚と考えます。
連絡先情報については例によってサイトのWho Is 情報も確認しましたが登録者情報は何も開示されていません。
ライセンスについてはアフィリエイトサイトに記されていたオーストラリアのASICで登録を得ているという件について確認を試みましたが、確認出来ません。まず「Monaxa Ltd.」という法人の法人登録をオーストラリアの法人登録情報を検索できるABN Lookup (https://abr.business.gov.au/) というサイトで「Monaxa Ltd.」の法人登録を検索してみましたが該当すると思われる法人登録が見つかりません。さらにASICの登録情報検索ページで直接「Monaxa Ltd.」の登録情報を探してみましたが、以下の画像に示すように見つかってきたのは「MONAXA AU PTY LTD」「MONAXA PRIME PTY LTD」という微妙に法人名が異なる2つの登録です。
しかも「MONAXA AU PTY LTD」については既に「Deregistered (登録取り消し)」になっています。オーストラリアで金融ライセンスを得ているという主張は確認出来ません。
改めて結論するまでもなくモナクサは信頼できる投資先とは思えません。情報開示は明らかに不充分、不適切です。住所などについて日本語版と英語版の記述が複数の点について互いに異なるというのはあまりにも異様です。また開示されている連絡先情報はアンギラのオフショア会社を利用した架空住所と思われ、電話番号の記載がないなど論外の状況です。このサイトでの投資は推奨できません。
「備考」という項目に気になる部分があります。
>なお、当該業者との関係性は不明であるが、令和6年12月26日付で警告した「FinPros Financial Ltd」及び「PU Prime Limited」と②の所在地が同様である。
複数の違法な業者で同じ住所が所在地とされているようです。この記述についてはまた後述します。
検索してみるとこのOnEquity (オンエクイティー) というサイトについて敢えてリンクはしませんが、口座開設を勧めるようなアフィリエイターもいるようで日本人に向けた勧誘が行われていることは間違いないようです。まずサイト冒頭部の画像を以下に示します。
▼オンエクイティー (https://onequity.com/ja/) [表示言語: 日本語、英語、ポルトガル語、スペイン語、アラビア語、マレー語、インドネシア語]
上の画像の下端部分にTrustpilotという口コミ情報サイト (https://jp.trustpilot.com/) でオンエクイティーが高評価を得ているということが書いてあるのですが、この件については後述します。
さらに以下は上の冒頭部の右上に見える「口座開設」という部分をクリックすると出てくる口座開設画面 (https://onequity.com/ja/register) の画像です。
この登録画面も日本語、英語、ポルトガル語、スペイン語、アラビア語、マレー語、インドネシア語の7ヵ国語対応になっていますし、
さらにこの冒頭部に続いて出てくるサイトの特長を4項目にまとめて説明している部分について画像を示します。
「迅速な対応」「隠れた手数料なし」「ダイナミックレバレッジ」「リサーチツール」の4項目が長所として挙げられているのですが、2番目の「隠れた手数料なし」については疑問があります。この点に関してはまた後述します。
さらにこの部分に続いては以下に示す取引対象について説明する部分が出てきます。
「通貨」「暗号通貨」「メタル」「株式」「コモディティ」「インデックス」の6つが取引対象になっているようです。しかし取引対象に関する情報は充分とは言い難いですし、リアルタイムの相場情報とかチャートは見当たりません。登録してログインすれば相場情報やチャートも出てくるのかもしれませんが、かなり違和感があります。
次に出てくるのは取引ツールとか自動売買などに関する情報です。以下に画像を示します。
MetaTrader4、MetaTrader5を利用可能でEAを使った自動売買も可能となっています。この自動売買というのはおそらくEAは顧客側で用意して運用する自動売買なのだと思われるのですが、オンエクイティーが用意するPAMM口座というものもあるようでサブページに簡単な説明があります。
しかし運用利回りの実績などは公表されていないようです。登録してログインすれば実績に関する資料も閲覧できるのかもしれませんが、違和感があります。
次に連絡先情報ですが、「サポートお問い合わせ」のサブページに3つの住所とメールアドレス、電話番号が示されています。以下に画像を示して連絡先情報を書き出します。
>住所
>セイシェル: CT House, Office 6C, Providence, Mahe, Seychelles
>南アフリカ: 1 Edgemere Road, Elfindale, Cape Town, 7945, South Africa
>セントビンセント・グレナディーン諸島: Euro House, Richmond Hill Road, Kingstown, Saint Vincent and The Grenadines
>メールサポート
>support@onequity.com
>電話サポート
>+2484671965
セーシェル、南アフリカ、セントビンセント・グレナディーンの3つの住所に対してメールアドレスと電話番号は1つずつしか示されていません。電話番号は[+248]というセーシェルの国番号から始まっているのでセーシェルの電話番号ということになります。
さらに連絡先と関連してサイトの脚注に示されている金融ライセンス関係の情報についても以下に画像を示します。
>OnEquity Ltdは、2007年連結証券法に従い、セーシェル金融サービス機構(FSA)の認可を受けたライセンス番号SD154の証券ディーラーとして、セーシェルで法人化されています。登録番号 810588-1.
>当ウェブサイトは、以下を含むOnEquityグループ企業によって運営され、コンテンツを提供しています:
>OnEquity Ltd、OnEquity Ltd、証券ディーラーライセンス番号SD154、FSA による認可、登録番号810588 -1、2007年連結証券法に準拠。
>南アフリカで法人化されたOnEquity (Pty) Ltd、2021/321834/07、金融セクター行動監督機構( FSCA )によってFSP番号53187で規制されています。
>OnEquity LLCは、セントビンセントおよびグレナディーン諸島の国際ビジネス会社登録官および金融サービス庁によって認められており、登録番号は286 LLC 2020です。
>ONEQ Global Ltd、キプロスに登録、会社登録HE 435383は、リマソールのAgias Zonis 22にあり、OnEquityグループ内の包括的なサービスソリューションに焦点を当てています。
ライセンス関係の記述に登場する国はセーシェル、南アフリカ、セントビンセント・グレナディーン、キプロスの4ヵ国になっています。これらの国の連絡先情報やライセンスについて順に確認していきます。まず最初のセーシェルについてですが、セーシェルの金融ライセンスを管理するFinancial Services Authority Seychelles (FSA https://fsaseychelles.sc/) のサイトで公開されている登録業者リストを探すと「Securities Dealer」のカテゴリーに以下の画像に示した「OnEquity Ltd」の登録情報を確認しました。
住所、電話番号、メールアドレス、URLアドレスしか情報がありませんが、住所はオンエクイティーのサイトに記されている住所と合致しています。またURLアドレスもオンエクイティーのサイトのURLアドレスに合致します。しかし電話番号とメールアドレスはオンエクイティーのサイトに記されている電話番号、メールアドレスと異なっています。
そしてこの連絡先情報について問題になるのが本項の冒頭で引用した関東財務局からの警告に記されている備考の記述です。
>なお、当該業者との関係性は不明であるが、令和6年12月26日付で警告した「FinPros Financial Ltd」及び「PU Prime Limited」と②の所在地が同様である。
この備考に出てくる「FinPros Financial Ltd」への警告、「PU Prime Limited」への警告を以下に順に示します。
「Office」の番号が異なるだけでセーシェルにある「CT House」に入居していることは同じです。
また以下は関東財務局から2024年3月22日付で「Capitalix」というサイトを運営する4Square SY Ltd に対して無登録の違法業者であるとして出された警告です。
この警告に出てくる4Square SY Ltdもセーシェルにある「CT House」に入居しています。
さらに検索してみるとセーシェルにある「CT House」を所在地としているFX業者のサイトが多数見つかってきました。
▼BAAZEX (https://baazex.com/Home)
住所: CT House, Office 1B, Providence, Mahe, Seychelles
▼SIFX (https://sifx.com/)
住所: CT House, Office 7C, Providence, Mahe, Seychelles.
▼ACG Markets (https://acg-markets.com/)
住所: CT House, Office 8H, Providence, Mahe, Seychelles
▼TRADE VIEW X (https://tradeview.tech/)
住所: 9A CT House, 2nd floor, Providence, Mahe, Seychelles
▼INVESTINGOR (https://investingor.com/)
住所: CT House, Office 9A, Providence, Mahe, Seychelles.
▼TNFX (https://tnfx.co/)
住所: CT House, Office 9A, Providence, Mahe, Seychelles.
▼MarketsVox (https://marketsvox.com/en/)
住所: CT House, Office 9A, Providence, Mahe, Seychelles
▼LekFi (https://lekfi.com/)
住所: CT House, Office 9A, Providence, Mahe, Seychelles
▼NAGA (https://naga-cn.com/en)
住所: CT House, Office 9A, 2nd Floor, Providence, Mahe, Seychelles.
▼TradersTrust (https://traders-trust.com/ja/)
住所: CT House, Office 9A, Providence, Mahe, Seychelles
TRADE VIEW X以降の7つのサイトはOffice 9Aという部分まで互いに全く同じ住所になっています。これはオフショア会社などを利用した架空住所ではないかと考えて調べてみると以下のDeneo Partners (https://deneopartners.com/) というオフショア会社が見つかりました。
キプロス、セーシェル、ドバイの3ヵ所の住所が示されていますが、2番目のセーシェルの住所
>CT House, Office No. 9A, Providence, Mahé, Seychelles
がオンエクイティーのセーシェルの住所 (CT House, Office 6C, Providence, Mahe, Seychelles) と酷似し、さらにTRADE VIEW Xなど少なくとも7つのサイトの住所と完全に一致しています。「CT House」がどんな建物なのか情報が見つかりませんが、オンエクイティーの住所もこうしたオフショア会社の住所の並びですし、そもそもセーシェルは簡単にペーパーカンパニーが作れる租税回避地であり、金融ライセンスについても厳格に審査されているとは思えません。この住所にオンエクイティーが実在するかどうかはかなり疑問と感じます。
次に南アフリカの住所と金融ライセンスについて調べてみました。
>南アフリカで法人化されたOnEquity (Pty) Ltd、2021/321834/07、金融セクター行動監督機構( FSCA )によってFSP番号53187で規制されています。
という記述から南アフリカのFSCAのサイト (https://www.fsca.co.za/Pages/Default.aspx) にある登録業者の検索ページからFSPライセンス番号53187を入力すると確かに以下の画像に示したONEQUITY(PTY)LTD の登録情報が見つかりました。
登録情報を以下に書き出します。
>FSP No 53187
FSP Name ONEQUITY (PTY) LTD
FSP Type Company - Private
Registration Number 2021/321834/07
Date Authorised 18/12/2023
Physical Address 1 EDGEMERE ROAD, ELFINDALE, CAPE TOWN, 7945
Telephone No 0836473347
登録番号や住所はオンエクイティーのサイトに記されていた住所と一致します。サイトに記されていなかった情報として登録の日付が2023年12月18日であることと電話番号が「0836473347」であることが分かりました。
確かに南アフリカの金融ライセンスは確認出来たのですが、この登録には引っかかる部分もあります。検索してみるとdun & bardstreet (https://www.dnb.com/en-us/) というサイトでこのONEQUITY (PTY) LTDという南アフリカ法人に関する情報が見つかりました。
さらにGoogle翻訳による日本語訳の結果も示します。
住所はオンエクイティーのサイトや南アフリカの金融ライセンスに記されている住所と一致しています。この情報がオンエクイティーの南アフリカ法人に関するものであることは間違いないと判断します。ところがこの情報で非常「業種」の部分を見るとおよそFXなどの投資に関係しているとは思えない内容になっています。
>業種: ビジネスサポートサービス 、 管理およびサポートサービス 、 管理およびサポート、廃棄物管理および修復サービス 、 ビジネスサービス、その他
一応南アフリカの金融ライセンスを得ているのだから何か金融関係の業務を行っているのではないかと思われるのですが、「ビジネスサポートサービス」といった業務はむしろオフショア会社を想像させます。またそもそも南アフリカに拠点を置くことの必然性があるのか疑問を感じますし、南アフリカの公用語を調べてみるとアフリカーンス語、英語、ズールー語など11の公用語があるとなっています。一方でオンエクイティーのサイトで選択出来る表示言語は既に上で示したように日本語、英語、ポルトガル語、スペイン語、アラビア語、マレー語、インドネシア語の8言語となっており、南アフリカの公用語の中で対応しているのは英語のみです。南アフリカで顧客を集めているようには思われません。
次はセントビンセント・グレナディーンに関する以下の住所やライセンスの記述の確認を試みました。
>セントビンセント・グレナディーン諸島: Euro House, Richmond Hill Road, Kingstown, Saint Vincent and The Grenadines
>OnEquity LLCは、セントビンセントおよびグレナディーン諸島の国際ビジネス会社登録官および金融サービス庁によって認められており、登録番号は286 LLC 2020です。
セントビンセント・グレナディーンのFinancial Services Authority St. Vincent and the Grenadines (FSA セントビンセント・グレナディーン 金融サービス庁) のサイト (https://fsasvg.com/) で「OnEquity LLC」の登録を検索してみると確かに以下の情報が見つかってきました。
活字が小さいので登録情報を日本語訳付きで以下に書き出してます。
>Name (法人名) : OnEquity LLC
>RegistrationNo (登録番号) : 286
>BusinessType (ビジネスタイプ) : LLC-Limited Liability Company (有限責任会社)
>Status (状況) : Active
>DateOfIncorporation (設立日) : 3/3/2020 (2020年3月3日)
>Agent (代理業者) : EURO-CARIBBEAN TRUSTEES LTD.
非常に気になるのは最後のAgent (代理業者) : EURO-CARIBBEAN TRUSTEES LTD. という部分です。この代理業者、EURO-CARIBBEAN TRUSTEES LTD.の公式サイト (https://www.ectl-svg.com/) の冒頭部の画像を以下に示します。
▼EURO-CARIBBEAN TRUSTEES LTD (https://www.ectl-svg.com/)
この冒頭部に書いてあるようにこのEURO-CARIBBEAN TRUSTEES LTD.はいわゆるオフショア会社です。OnEquity LLCという有限責任会社はまず間違いなくこのオフショア会社が設立したペーパーカンパニーでしょう。そもそもセントビンセント・グレナディーンの法律が分かりませんが、LLC-Limited Liability Company (有限責任会社) は共同出資者の資産を運用するような法人の形態であり、不特定多数から投資名目でお金を集めて運用するプラットフォームを提供する金融機関的な業務を行う法人ではないと思われます。
最後はキプロスの拠点に関する記述です。
>ONEQ Global Ltd、キプロスに登録、会社登録HE 435383は、リマソールのAgias Zonis 22にあり、OnEquityグループ内の包括的なサービスソリューションに焦点を当てています。
キプロスの法人は「包括的なサービスソリューションに焦点を当てている」ということで金融に関する業務には直接関わってはいないという意味なのだと思われ、「金融機関登録」ではなく、「会社登録」となっています。つまり法人登録のようなものがキプロスにあるというだけのようです。一応、キプロスの金融ライセンスを管理しているCYPRUS SECURITIES and EXCHANGE COMMISSION (CySEC、キプロス証券取引委員会 ) のサイト (https://www.cysec.gov.cy/) でキプロスにあるという「ONEQ Global Ltd」の金融ライセンスを検索してみましたが、該当なしという結果になります。
結論としてセーシェルと南アフリカの金融ライセンスは一応確認出来たのですが、セーシェル、南アフリカのいずれについても住所はオフショア会社を利用した架空住所といった可能性が高く、セーシェル、南アフリカにオンエクイティーの事業実体が実在するかどうかは極めて疑問と考えざるを得ません。
オンエクイティーのサイト冒頭で引用されているTrustpilotという口コミ情報サイト (https://jp.trustpilot.com/) でのオンエクイティーの評価について調べてみました。以下はその評価記事の冒頭の画像です。
実に898件ものレビューが投稿されていて
5つ星評価 723件 (80%)
4つ星評価 98件 (11%)
3つ星評価 24件 (3%)
2つ星評価 11件 (1%)
1つ星評価 42件 (5%)
平均が4.6星というかなりの高評価になっています。日本語で投稿されている4件の投稿は全て5つ星です。しかしあまりメジャーとは思えないオンエクイティーの評価が898件も投稿されていることに違和感を感じます。このTrustpilotという口コミ情報サイトでの評価については「検証8」で検証したFXTRADING.com (FXトレーディング.コム https://fxtrading.com/jp/) の検証でも引用しているのですが、他の評価サイトでの評価が高いとは言えないのにTrustpilotでの評価投稿は数も非常に多いし、評価も非常に高くなっているという状況です。
そこで調べてみるとTrustpilot以外の口コミ情報サイトにも投稿数はずっと少ないもののオンエクイティーのサイトに関する口コミ情報が出ていることが分かりました。
まず以下は本サイトでしばしば引用しているForex Peace Army (https://www.forexpeacearmy.com/) という口コム情報サイトでのオンエクイティーの評価です。
この評価サイトには3件のレビューが投稿され、最初の投稿は手放しで称賛する満点の5つ星評価であるのに対して残りの2件はいずれも正当な理由なく、利益を没収されたと主張し、最低の1つ星評価になっています。3つのレビューの評価平均が2.429星となっています。利益を没収されたという2件の投稿とそれぞれの日本語訳を以下に示します。
次も本サイトでしばしば引用しているWikiFX (https://www.wikifx.com/ja/) というサイトでのオンエクイティーの評価です。
このWikiFXの記事には以下に示した「リスク警告」という注意書きが付いています。
オンエクイティーの事業は南アフリカのライセンスで認められている経営範囲を超えていることが指摘されています。南アフリカのライセンスで何が認められていて何が認められていないのか調べる気にならないのですが、南アフリカの法律に照らしても違法業者ということになるものと思われます、また日本の有効なライセンスがないことも指摘されていて日本の居住者に勧誘が行われている現状に違法性があることになります。
そしてこのWikiFXの記事でもスイス、インドネシア、香港のユーザーから計3件の被害報告が出ています。その内、スイスからの投稿と香港からの投稿では隠れた手数料が課せられたとされており、インドネシアからの投稿では利益を得たのにその利益を没収されたと報告しています。
3件の被害報告以外には3件の中間値報告、2件の好評報告も投稿されているのですが、2件の好評報告についてのみオンエクイティーからの返信が寄せられています。返信しなければならないのはむしろマイナス評価の投稿に対してではないかと思います。また3件の中間値報告の内、ナイジェリアからの投稿と南アフリカからの投稿についてはスプレッドが極めて広いといった点を指摘して極めて否定的な内容になっています。
そして3件の被害報告の内、2件では「隠れた手数料が課せられた」ことについて強い不満が述べられているのですが、サイトには逆に隠れた手数料がないことを誇るような記述があることが指摘されています。確かに既に上で示したように、あるいは右にその部分だけ再掲しましたが、サイトの特長を4項目にまとめて説明している部分に
>隠れた手数料なし
>追加の取引コストや隠れた手数料がない、透明性の高い価格設定
という記述があります。
そして「取引口座」というサブページには3種類のアカウントに関して手数料などの説明を含む表があるので以下に示します。手数料に関する説明の部分を赤枠で囲って強調してあります。
これと似たような出金時に手数料を課せられたというレビューはTrustpilotのレビューの中にも複数あるようです。以下はそうした投稿の1つ (原文はポルトガル語) と日本語訳の画像です。
こうしたレビュー投稿はいずれも事実を述べているのか証拠は得難いので全て信用出来るとは言えません。Trustpilotという口コミ情報サイトで圧倒的に多い高評価のレビューとForex Peace ArmyやWikiFXで多い低評価のレビューの中でどれが真実なのか決めつけることは出来ません。
しかしオンエクイティーのサイトの「法的文書」というサブページにある利用規定などを書いたPDFファイルを見ていくと少なくとも
>隠れた手数料なし
>追加の取引コストや隠れた手数料がない、透明性の高い価格設定
という主張は極めて疑わしいことが判明しました。問題は「クライアント契約」と題されたPDFファイルの中の記述にあります。このファイルの7ページ目の末尾から8ページ目冒頭にかけて以下の画像に示した「Trading inactivity」という項目の記述があります。
この文章のGoogle翻訳による日本語訳の結果を以下に示します。
>取引休止期間
>お客様は、6ヶ月連続して休眠状態にある口座には休眠手数料が適用されることを承認し、これに同意するものとします。この期間中に取引活動、ポジションの保有、入出金が行われていない場合、口座は休眠状態とみなされます。
>6ヶ月間休眠状態が続くと、30米ドルの1回限りの手数料が請求されます。
>その後は、休眠状態が続く月ごとに、毎月5米ドルの手数料が口座から差し引かれます。
>休眠手数料は、お客様の取引口座の利用可能残高から差し引かれます。口座残高が手数料をカバーできない場合、残高はゼロに減額され、当社の裁量により口座はアーカイブまたは閉鎖される場合があります。
>お客様は、6ヶ月間の休眠期間が終了する前に、取引活動、入金、または出金を行うことで、休眠手数料を回避することができます。
6ヶ月以上取引をしないでいると30ドルの休眠手数料が課され、さらに放置していると毎月5ドルずつ差し引かれていくという規定になっているようです。大した金額ではないもののこうした休眠手数料についてはこのPDFファイルにしか規定が見つかりません。こんな分かりにくい部分にしか記述がないことを考えると
>隠れた手数料なし
>追加の取引コストや隠れた手数料がない、透明性の高い価格設定
という記述には反しているとしか思えません。
まとめとしてオンエクイティーの情報開示は明らかに不充分、不適切です。例えば記されている情報を調べてみても運営本部が何処の国にあるのかさえよく分かりません。金融ライセンスについても信頼出来るようなライセンスを得ているとは言えません。勿論、日本の金融庁で登録を得ていない時点で日本在住者への勧誘は違法ということになりますが、他国でもきちんとしたライセンスを得ていないとなればやはり相当に高リスクということになります。さらにサイトの記述には事実かどうか疑わしい部分もあります。利益を凍結されたといった被害報告が出ていることなども考えるとオンエクイティーのサイトでの投資は推奨できないという結論にならざるを得ません。
●ERRANTE (エランテ https://errante.io/)
●ERRANTE (エランテ https://errante.com/ja/)
リンクはしませんが、複数のアフィリエイトサイトで推奨されていたことで知ったサイトです。またX (旧Twitter) にはアフィリエイトサイトからのキャンペーン広告などの投稿が出ている一方で被害報告と思われる投稿も既に出ていることが分かりました。
既に被害が出ている可能性が高いです。
表題に同じエランテという名称のURLアドレスが異なる2つのサイトを書きましたが、2つ目のサイトにアクセスすると1つ目のサイトにリダイレクト (転送) されます。後述しますが、エランテというサイトはこの2つ以外にも存在していますが、日本語には対応していません。ここでは基本的に1つ目のサイトを検証します。
まず表題1つ目のサイトの冒頭部の画像を以下に示します。
▼エランテ (https://errante.io/) [表示言語:日本語のみ]
このサイトには表示言語の選択肢がなく、日本語のみの対応になっています。一方で表題2番目のエランテ (https://errante.com/ja/) の場合は直ぐにリダイレクトされるのできちんと調べることが出来ないのですが、複数の表示言語を選択出来るようになっているようです。
冒頭部に続いては以下に示したサイトの特長を説明している部分が出てきます。
さらにこの部分に続いては以下に示す「私たちは誰ですか?」と題された部分が出てきます。
この部分で気になるのは
>200K+
>Errantaのトレーダー
という部分です。これはエランタが20万人以上の顧客を抱えているという意味だと思われますが、この日本語にしか対応していないサイトだけで20万人以上の顧客を獲得しているとは思えません。この点についてはまた後述します。
さらに以下は取引対象について説明している部分の画像です。
外国為替、株式、商品、仮想通貨などかなり幅広い取引対象扱っているようです。「ダイナミックレバレッジ」というのが分かりませんが、これは説明を読むと取引対象ではなく、少ないロットなら高いレバレッジを掛けられるというシステムを意味しているようです。
さらに以下は4種類用意されている口座の説明です。
どういう使い分けなのかよく分かりませんが、最初の「スタンダード」という口座の説明に
>50ドルからの入金で始められる
とあるのでさらに多くを入金することによって上級の口座の開設が可能になって有利な取引条件が適用されるというシステムになっているのだと思われます。但し「プレミアム」以上の口座を開設するのに必要な条件 、入金額 (?)などは見当たりません。また上級の口座を開設することで具体的にどれほど有利になるのかよく分かりません。
次に連絡先情報やライセンス情報についてです。まず「お問い合わせ先」のページ (https://errante.io/contact-us/) に記されている連絡先情報です。
>お問い合わせ
>support@errante.com
>登録住所
>Suite 18, Third Floor, Vairam Building, Providence, Mahe, Seychelles
メールアドレスと登録住所としてセーシェルの住所が示されていますが電話番号はありません。
さらにサイトの脚注部分に連絡先情報とかライセンス情報が示されています。以下に示します。
記述を以下に書き出します。
>Errante Securities (Seychelles) Ltd (以下「当社」)は、セーシェル金融サービス機構(FSA)によりライセンス番号 SD038 で規制されています。
>ウェブサイト (errante.io) 上のサービスは、会社番号8425493-1でセーシェルに設立され、Suite 18, Third Floor, Vairam Building, Providence, Mahe, Seychellesに登録された住所を持つErrante Securities (Seychelles) Ltdによって提供および規制されています。Circumvenio Holdings Ltd(Registration No. HE406903)はコンテンツを提供し、事業を運営しており、本社所在地は30 Karpenisiou Street, 1077 Nicosia, Cyprus、事業所在地は67, Spyrou Kyprianou, 1st floor, 4042, Limassol Cyprusです。Circumvenio Holdings LtdはErrante Securities (Seychelles) Ltdの完全子会社です。
>その他の管轄区域におけるErranteブランド:
>Notely Trading Limited (www.errante.eu) は、CIFライセンス番号383/20でキプロス証券取引委員会(Cyprus Securities and Exchange Commission)の規制を受けています。
>ErranteはErrante Groupが所有する商標です。当サイトに掲載されているその他の商標は、各所有者に帰属します。
運営会社であるErrante Securities (Seychelles) Ltdとなっており、その登録住所は以下のようになっています。
>Suite 18, Third Floor, Vairam Building, Providence, Mahe, Seychelles
このセーシェルの住所は「お問い合わせ先」のページに記されている住所と同じです。
金融ライセンスもセーシェルのセーシェル金融サービス機構 (Financial Services Authority Seychelles https://fsaseychelles.sc/) で得ているとなっています。
またErranteブランドのサイトは他にも存在しており、「www.errante.eu」というサイトを運営するNotely Trading Limited はキプロス証券取引委員会(Cyprus Securities and Exchange Commission, CySEC https://www.cysec.gov.cy/) から金融ライセンスを得ているとなっています。
そこでこれらの情報の確認を試みました。まずセーシェル金融サービス機構 (Financial Services Authority Seychelles https://fsaseychelles.sc/) で金融ライセンスを得ているという件ですが、登録リストの「Capital Markets」→ 「Security Dealer」のカテゴリーの中に確かに運営会社とされているErrante Securities (Seychelles) Ltdの登録情報を確認しました。以下に画像を示し、記述を書き出します。
⇒Errante Securities (Seychelles) Ltd
住所: Office 15 (b), Third Floor, Vairam Building, Providence, Mahe, Seychelles
商号: Trade Name: Errante
電話: (+248) 4671981
メール: info@errante.com
サイト: https://www.errante.com
https://www.errante-global.com
https://www.errante.cn
https://www.errante.vn
https://www.errante.io
代表?: Lenas Thomas
確かに登録情報が見つかるのですが何と5つのサイトがこの登録に対応するサイトとして列挙されています。5つ並んでいるURLアドレスの内、最初のURLアドレス (https://www.errante.com) が表題2番目のアクセスするとリダイレクトされてしまうサイト、最後のURLアドレス (https://www.errante.io) が本項の主要な検証対象である表題最初のサイトに対応しています。残りの3つのサイトについてはまた後述します。
さらに金融ライセンスに関して同じグループの「www.errante.eu」というサイトを運営するNotely Trading Limited がキプロス証券取引委員会(Cyprus Securities and Exchange Commission, CySEC https://www.cysec.gov.cy/) から金融ライセンスを得ているという件についても確認を試みました。CySECのサイトで登録情報を調べると確かに運営会社のNotely Trading Limited の登録情報が見つかってきました。以下に画像を示します。
登録情報を以下に書き出します。
>Address: 67 Spyrou Kyprianou, 1st Floor, Office 101, 4042, Limassol
>Licence Number: 383/20
>Licence Date: 03/02/2020
>Company Registration Number: 394425
>Telephone: +357 25 253 300
>E-Mail: info@errante.eu
>Approved Domains: www.errante.eu
登録の日付は2020年2月3日となっています。ライセンス番号は「383/20」となっており、本項で検証しているエランテのサイト (https://errante.io/) の脚注の記述と一致しています。しかし「Approved Domain (認定ドメイン)」の項目に記されているのは「www.errante.eu」というセーシェルの金融ライセンス登録情報に示されていた5つのURLアドレスのドメインとはまた別個のドメイン1つだけです。つまり本項で検証しているエランテのサイトはいずれもキプロスの金融ライセンスの対象外ということです。
つまり本項で検証しているエランテのサイトが得ている金融ライセンスはセーシェルの金融ライセンスだけです。しかしペーパーカンパニーが簡単に作れる租税回避地として知られるセーシェルの金融ライセンスについて厳格な審査が行われているかどうかは非常に疑問です。またここで疑問なのはセーシェルの住所です。エランテのサイトの脚注に記されている住所とセーシェルのライセンス情報に記されている住所が微妙に違うことです。
▼エランテのサイトの脚注に記されている住所
>Suite 18, Third Floor, Vairam Building, Providence, Mahe, Seychelles
▼セーシェルの金融ライセンス情報の住所
>Office 15 (b), Third Floor, Vairam Building, Providence, Mahe, Seychelles
オフィスの部屋番号の部分が異なります。なぜ2つの住所が微妙に違うのか意味が分かりませんが、これらの住所を検索してみると脚注に記されている住所については以下に示したChangSam (https://chang-sam.com/) というオフショア会社の住所に一致します。
エランテのサイトの脚注に記されている住所はこのオフショア会社を利用した架空住所の疑いが濃いです。また金融ライセンスに記されている住所についてもオフィスの部屋番号が違うだけですから架空住所の可能性は考えられます。
それからERRANTE (エランテ) という名称のサイトが複数存在している件についてですが、セーシェルやキプロスのライセンス情報に記されていたドメイン名を検索して複数の互いに非常によく似たエランテというサイトが見つかってきました。但し記されていたURLアドレスあるいはドメイン名に一致するサイトが全て見つかったわけではなく、既に閉鎖されていると思われる場合もあるし、他のサイトにリダイレクトされる場合もあります。以下はセーシェルとキプロスの金融ライセンスに記されていたサイトです。
URLアドレス アクセスの結果
https://www.errante.com 表題のサイト (https://www.errante.io) に転送
https://www.errante-global.com そのままのサイトに接続
https://www.errante.cn 別個のサイト (https://errante.co/en/) に転送
https://www.errante.io 表題のサイト
https://errante.eu/ そのままのサイトに接続
さらにERRANTE (エランテ)を検索していてこれ以外にもさらに別個のエランテのサイト (https://errante.net/) が見つかってきました。つまり表題の2つのサイト以外に5つのエランテという名称のサイトが見つかってきたことになります。見つかってきたサイトはいずれも日本語には対応してないのでここでは検証対象とはしませんが以下に直ぐにリダイレクトされてしまってサイトをきちんと確認出来ない、画像の取得も困難なエランテ (https://www.errante.cn) を除く4つのエランテのサイトの冒頭部の画像を示していきます。
▼エランテ (https://errante-global.com/) [表示言語:英語、スペイン語、インドネシア語、ポルトガル語、ベトナム語]
▼エランテ (https://errante.co/en/) [表示言語:英語、インドネシア語、ペルシャ語、中国語]
▼エランテ (https://errante.eu/) [表示言語: 英語、クロアチア語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語]
▼エランテ (https://errante.net/) [表示言語: 英語、クロアチア語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、ベトナム語、アラビア語、ペルシャ語、ヒンディー語、タイ語、中国語]
これら4つのエランテというサイトは既に書いたように日本語対応していないのでこれ以上掘り下げませんが、画像を示したサイト冒頭部だけでなく、サイト全体が本項で検証しているエランテのサイト (https://errante.io/) と非常によく似ています。どうして見かけもそっくりな同じ名称のサイトがこれだけ存在しているのか分かりませんが、金融ライセンスの関係から標的としている地域ごとにサイトを用意しているのかもしれません。
ちなみに各サイトのWho Is 情報に記されているサイトの登録・開設日は以下のようになっています。
URLアドレス サイトの登録・開設日
https://errante.io/ 2019年6月18日
https://www.errante.com 1999年10月20日
https://www.errante-global.com 2021年11月12日
https://errante.co/en/ 2019年6月10日
https://errante.net/ 2019年6月18日
本項で検証しているエランテのサイトについて信用できる投資先かどうかは疑わしいです。情報開示は明らかに不充分、不適切であり、確認出来るのは信頼性が低い租税回避地であるセーシェルの住所とセーシェルのライセンスのみです。実際のところ、運営がどこの国にあるのかさえ分かりません。さらにアフィリエイターを動員してボーナスなどでエランテでの投資勧誘キャンペーンがかなり盛んに行われている様子がありますが、既に被害報告が出ているようです。このサイトでの投資を推奨されても応じないことをオススメします。
※付記1
本サイトで時々引用しているForex Peace Army (https://www.forexpeacearmy.com/) という海外のFX業者の口コミ情報サイトにエランテ (https://errante.eu/)とエランテ (https://errante.com/) に関するレビューが出ています。
投稿されている5件の口コミ投稿をGoogle翻訳で日本語訳した結果を以下に転載します。
5件のレビュー投稿の評価は極端に分かれていて満点の5つ星評価が2件、最低の1つ星評価が2件、投稿は5つ星評価だったがエランテの拠点から投稿されている自作自演と判断されてゼロ星評価にされた投稿が1件となっています。1つ星評価の2件の投稿では出金しようとしたらペナルティと称して手数料を課された、出金を拒否されたという内容になっています。安心して利用できるサイトとは思えません。
※付記2
2025年8月28日付で関東財務局からエランテについて無登録の違法業者であるとして以下に示した警告が出てきました。
●MIDORI FX (https://midorifx.com/ja)
これも上で検証したエランテの場合と同様にリンクはしませんがアフィリエイトサイトやSNS投稿で勧誘が行われているサイトです。「MIDORI (みどり)」という名称からも予想されましたが海外のFX業者を名乗っていても日本のグループによるサイトである可能性があるように思われます。まずサイト冒頭部の画像を示します。
▼MIDORI FX (https://midorifx.com/ja) [表示言語:英語、日本語のみ]
「MIDORI (みどり)」というサイト名に対応しているのかサイト全体の色調が緑系になっています。「MIDORI」は日本語の「緑 (みどり)」に由来しているように思われます。
後述しますが、このサイトの運営の所在地は南アフリカとなっています。しかしサイトの表示言語の選択肢は英語と日本語だけです。また上の画像で確認出来るように口座開設すると得られるというウェルカムボーナスも15, 000JPY、つまり1万5000円と円単位で示されています。この時点でかなり違和感があります。
この冒頭部に続いてはサイトの特長を説明する部分が出てきます。以下に画像を示します。
取引対象は通貨ペア、つまりFXだけのようです。「バイナリーチャレンジ」という項目がありますが、説明を読むとバイナリーオプションを扱っているということではなく、毎日の相場の動きを予測するイベント的なもので成績上位者にボーナスポイントを付与するとなっています。
また3つのタイプの口座があるとなっていますが、口座タイプを説明するサブページには以下の比較表があります。
口座開設ボーナス、入金ボーナスを受け取れるかどうか、スプレッド、最大レバレッジ、手数料、ロスカットの条件、最大注文数、最低入金額、取引手数料などでそれぞれ違いがあるようですが気になるのは「基本取引通貨」の項目です。サイトの表示言語が英語と日本語だけであるのと同様、基本取引通貨が米ドルと日本円の二択になっています。日本からの顧客獲得に大きな重点があるのは間違いないようです。
次に連絡先情報やライセンス情報についてです。まずサイトの脚注に以下の画像に示した記述があります。
>Midori FX(Pty)Ltdは金融セクター行動機関(FSCA)によってライセンス番号FSP 53077で登録および規制を受けており、登録所在地は697 Jacques Street, Moreleta Park, Pretoria, Gauteng, 0181, South Africa です。
>Midori FX Ltdは登記番号1234537でマーシャル諸島で設立された会社です。登録所在地はTrust Company Complex, Ajeltake Road, Ajeltake Island, Majuro, Marshall Islands MH96960です。
運営会社と思われる「Midori FX(Pty)Ltd」は南アフリカの金融セクター行動機関 (FSCA) でライセンスを取得していてライセンス番号がFSP 53077であるとあり、さらに南アフリカの登録住所が示されています。
>697 Jacques Street, Moreleta Park, Pretoria, Gauteng, 0181, South Africa
さらにMidori FX Ltdという法人がマーシャル諸島で登録されており、その所在地住所が記されています。
>Trust Company Complex, Ajeltake Road, Ajeltake Island, Majuro, Marshall Islands MH96960
加えてお問い合わせのサブページにも連絡先情報が示されています。画像を示します。
>お問い合わせ
>support@midorifx.com
>+27120043084
>本社所在地
>697 Jacques Street, Moreleta Park, Pretoria, Gauteng, 0181, South Africa
メールアドレスと南アフリカの国番号である「+27」から始まる電話番号、そして脚注に記されていたのと同じ南アフリカの住所が記されています。
まず南アフリカの金融セクター行動機関 (FSCA) でライセンス番号 (FSP 53077) でライセンスを取得しているという件について確認を試みました。南アフリカのFSCAのサイト (https://www.fsca.co.za/Pages/Default.aspx) にある登録業者の検索ページでライセンス番号のFSP 53077を入力すると確かに以下の画像に示した「Midori FX(Pty)Ltd」の登録情報が見つかりました。
登録の日付は2023年4月17日、住所はMIDORI FXの脚注とお問い合わせのサブページに記されている住所と一致しています。但し、電話番号の方は
>082 8934101
となっており、お問い合わせのサブページに記されている電話番号
>+27120043084
と全く異なります。
次にこの登録情報にも出てきた南アフリカの住所ですが、Google Street Viewでこの住所を見ると以下の画像の様に「TRX」という看板が確認出来ます。撮影日時は2023年5月となっていて「697 Jacques Street」という住所も確認出来ます。
そこで「TRX」を検索してみるとTRX Electronicsという電子部品の販売業者のサイト (https://www.trxe.com/) が見つかってきました。以下にこの業者のサイト冒頭の画像を示します。
このTRX Electronics社の連絡先情報は左の画像に示したようになっています。以下に記述を書き出します。
>Contact Us
>697 Jacques Street, Moreleta Park, Pretoria
>info@trxe.com
>+27 (0)12 997-0504
「697 Jacques Street, Moreleta Park, Pretoria」という住所はMidori FX(Pty)Ltdの住所ではなく、TRX Electronics社である可能性が高いと考えます。
またこの住所は登録住所という扱いになっていますが、電子部品の販売業者がオフショア会社的な業務も行っているとは考えにくいです。全くの架空住所である可能性も疑わざるを得ません。
次に
>Trust Company Complex, Ajeltake Road, Ajeltake Island, Majuro, Marshall Islands MH96960
というマーシャル諸島の住所についてですが、この住所については本サイトでの検証で何度も登場している住所です。具体的には本サイトで検証した以下のサイトでこの住所が所在地として登場しています。
「検証4」 トレドポール (https://tradeopol.com/ja/) → 閉鎖確認
「検証4」 ポートレイズ (https://por-traders.com/ja/) → 閉鎖確認
「検証9」 アメージングティック (https://www.amazingtick.com/amt/ja/) → 閉鎖確認
「検証9」 リルネックス (https://lirunex.jp/) → 閉鎖確認
「検証12」 ゼン・トレーダー (https://zentrader.com/ja/)
「検証12」 ザ・オプション (https://jp.theoption.com/)
「検証56」 LGトレーディング (https://www.lgtrading.com/ja/)
「検証61」 ワイズゲートキャピタルズ (https://www.wisegatecapitals.com/jp/index.html) → 閉鎖確認
「検証87」 ブル・オントレード (https://www.bullontrade.com/)
そしてこれらのサイトの検証でも書きましたが、この住所はマーシャルアイランド海事局日本支店 (https://iritokyo.co.jp/) というサイトでマーシャル諸島における法人登録を受け付けており、法人登録の案内のページによれば以下に示したように初年度650ドルで法人登録出来る住所がこの住所となっているのです。
つまりこのマーシャル諸島の住所は名目上だけの住所としか思われません。
それでもマーシャル諸島で法人登録を取得していることはマーシャル諸島のINTERNATIONAL REGISTRIES (https://www.register-iri.com/) というサイトの法人登録検索ページで確認することが出来るのでMidori FX Ltdという法人が登記番号1234537でマーシャル諸島で登録されているかどうか確認を試みました。以下に見つかってきた登録情報の画像を示します。
>Entity Number 123437
>Entity Name Midori FX Ltd.
>Entity Type Corporation
>Status Active
>Existence Date 27-DEC-2023
>Registered Agent
>Name THE TRUST COMPANY OF THE MARSHALL ISLANDS, INC.
>Address Trust Company Complex, Ajeltake Road, Ajeltake Island, Majuro, Republic of the Marshall Islands, MH 96960
確かに「Midori FX Ltd」という法人の登録は確認され、住所も一致しているのですが、Entity Number (登記番号) はサイトの脚注に示されていた「1234537」ではなく、「123437」となっています。単に記述のミスなのか、何か都合が悪くて意図的に番号を間違っているのか分かりません。登録の日付は2023年12月27日となっています。南アフリカの金融ライセンスの取得の日付が2023年4月17日ですから南アフリカのライセンスという登録の方が8ヶ月ほど先に取得されていることになります。
関連して以下にはMIDORI FXのサイトのWho Is 情報を示します。
黄色の枠で囲った部分に記されているサイトの登録・開設日は2023年11月27日となっています。時系列的にまとめると
2023年4月17日: 南アフリカの金融ライセンス取得
2023年11月27日: サイトの登録・開設日
2023年12月27日: マーシャル諸島の法人登録
となっています。
ついでにWho Is 情報の赤枠で囲った登録者情報の部分を見ると殆どの項目が非開示となっていますが、登録者の所在地が「Gauteng, ZA」であるということだけ分かります。これは南アフリカのハウテン州を意味します。
連絡先情報や金融ライセンス情報は信頼性に欠けるとしか思われません。南アフリカにもマーシャル諸島にもMidori FXの事業実体が存在するように思われないのです。
それから本サイトでしばしば引用するWikiFX (https://www.wikifx.com/ja/) という評価サイトでのMIDORI FXの評価は以下のようになっています。
南アフリカのFSCAからライセンスを得ているが、取得しているライセンスで許されている経営範囲を超えているという指摘がされています。この件に関してFSCAのサイトでライセンスで許されている経営範囲に関する情報をFSCAのサイトで探してみたのですが、残念ながら見つけることが出来ません。ともあれこうした指摘が出ていることには注意するべきかもしれません。また日本の金融庁で金融商品取引業者のライセンスを得ていないので日本に居住している人たちにMIDORI FXでの投資を勧誘することは違法であることは間違いありません。
それから本項の冒頭で書きましたが、MIDORI FXは海外のFX業者を名乗っていても実際には日本のグループが運営している可能性があるように思われます。「MIDORI FX」というサイトの名称、南アフリカやマーシャル諸島に本拠があると主張しながら表示言語の選択肢が英語と日本語の2つだけであること、基本取引通貨が米ドルと日本円の二択であることなどからその可能性が疑われたのですが、さらにその可能性を疑わせるのがMIDORI FXのメニューバーにある「コラム」という項目です。日本語版の「コラム」と英語版の「コラム」のサブページの冒頭の画像を以下に順に示します。
日本語版の「コラム」には数十件のコラム記事が並んでいるのですが、英語版の「COLUMN」には全くコラム記事がありません。これは異様です。また日本語のコラムの内容を見ても日本人向けに特化したような内容が目につきます。例えば以下は数十件のコラム記事の中で最も投稿日が古い、2025年3月19日付の「海外FXの税金は本当に高い?確定申告の仕組みと負担を減らす方法を解説!」と題されたコラム記事の冒頭部の画像です。
当たり前のことですが、税制は国によって独自のシステムになっています。しかしこのコラム記事では100%日本の税制に沿って確定申告とか税金を説明しているのです。日本の税制についてそれなりに詳しい人が書いていることは間違いありません。勿論、日本語のコラム記事を日本人以外が読むとは思えませんが、南アフリカとかマーシャル諸島に拠点があると主張している海外のFX業者が日本の税金や確定申告についてかなり詳しく、日本語のそれもかなり詳しくて長いコラム記事を数十件も投稿しているという状況にはかなり違和感を感じます。少なくとも海外のFX業者のサイトに日本の税制に基づいたこれだけの説明があるという事例は見たことがありません。
南アフリカやマーシャル諸島に本当にこの業者の拠点があるかどうか疑わしい部分があることを考えるとMIDORI FXはやはり日本のグループによるサイトではないかと強く疑わざるを得ません。
MIDORI FXでの投資は推奨しません。
※付記
2025年5月28日付で関東財務局からMIDORI FXについて無登録の違法業者であるとして以下に示した警告が出ました。
●UTrada (ユートラダ https://www.utrada.com/ja)
アフィリエイトサイトで見つけたサイトです。またX (旧Twitter) に以下に画像を示しましたが「UTrade Japan」というアカウント (https://x.com/utrada_japan) が存在しており、日本人に向けた勧誘が行われていることが確認されています。
まずサイト冒頭部の画像を示します。
▼ユートラダ (https://www.utrada.com/ja) [表示言語:アラビア語、英語、スペイン語、ハンガリー語、日本語、マレー語、ポルトガル語、中国語、香港語、ベトナム語]
以下に示したのは表示言語の選択メニューです。日本語を含む11言語に対応しています。
冒頭部に続いてはサイトの特長や取引対象を説明している部分が出てきます。以下に画像を示します。
サイトの特長を説明している部分を見るとソーシャルトレードに力を入れているようですが、これまでの運用成績に関する情報は何も開示されていないようです。
取引対象を説明している部分では「FX」「貴金属CFD」「エネルギーCFD」「インデックス指数CFD」「株式CFD」「仮想通貨CFD」の6項目が挙げられていますが、それぞれサブページにある説明を読むと決して取引銘柄は多くないようです。例えば「FX」のサブページにある説明によればメジャー、マイナー、エキゾチックの3つのカテゴリーの合計で32種類の通貨ペアとなっていて特に多いとは言えません。また最大レバレッジはメジャーとマイナーで500倍ですが、エキゾチックの通貨ペアについては50倍となっていますし、スプレッドもかなり広い通貨ペアが多いです。決して取引条件が良いとは思えません。またスワップ金利の情報などが示されていないことも気になります。
次に示すのは3種類の口座タイプに関する情報をまとめている表の画像です。
これ以外にデモ口座もあるようですが実際に取引可能な口座としては「Ultra (ウルトラ)」「Premium (プレミアム)」「Standard (スタンダード)」という3種類が用意されており、最低入金額がそれぞれ500ドル、250ドル、100ドルとなっていてスプレッドが異なるようです。但しスプレッドが最小のウルトラ口座は1ロット当たり7ドルもの手数料が掛かるようです。それ以外の違いはよく分かりません。
次に連絡先情報や金融ライセンスの情報を探しました。以下に示したのはサイトの脚注にある記述の画像です。
後半部分には
>本ウェブサイトは日本在住者を対象としておりません。
と書いてありますが、本項の最初で書いたように日本語版のXアカウントが存在していて日本の居住者を勧誘しているとしか思えません。
ライセンス情報などが書いてある前半部分を以下に書き出します。
>UTrada Limited(会社番号 LL14908) は、ラブアン金融サービス庁 (Labuan Financial Services Authority) によって認可および規制されています。ライセンス番号:MB/19/0042。 登録住所:Unit Level 11A Main Office Tower Labuan Financial Park Labuan, Wilayah Persekutuan Labuan, 87000 Malaysia
>UT Solutions LLCは、セントビンセントおよびグレナディーン諸島に登録されています。会社番号:3738LLC2024。 登録住所:Suite 305, Griffith Corporate Centre, Beachmont, Kingstown, Saint Vincent and the Grenadines
マレーシアの租税回避地として知られているラブアン島のライセンス情報と登録住所、さらにセントビンセント・グレナディーンの登録住所が示されています。まずマレーシアのラブアン島の住所を検索してみると以下に画像を示したAMS Trust (https://ams-trust.com.my/) というオフショア会社の拠点の住所と部屋番号 (Unit Level 11A) まで一致することが判明しました。
租税回避地であるラブアン島の住所ということで予想はされていましたが、この住所はまず間違いなくこのAMS Trustというオフショア会社を利用した架空住所でしょう。
さらに運営会社のUTrada Limitedがラブアン金融サービス庁 (Labuan Financial Services Authority https://www.labuanfsa.gov.my/default.aspx) から金融ライセンスを得ているという件について確認を試みました。調べてみるとラブアン金融サービス庁のサイトで公開されているList of Money Brokersの中に確かに「UTrada Limited」を確認しました。さらに以下が「UTrada Limited」の登録情報の画像です。
ここでも記述を以下に書き出します。
Name : uTrada Limited
Address : Wisma Wong Wo Lo, Lot 4A2, Suite 5, 4th Floor, Jalan Tun Mustapha, 87000 Labuan F.T
Tel No : 087-428 898
E-mail : shangping.ting@utrada.com
Contact Person : Mr. Ting Shang Ping-Principal Officer
まずラブアン島の住所が書いてありますが、この住所は同じラブアン島の住所でもユートラダのサイトの脚注に記されていた登録住所 (Unit Level 11A Main Office Tower Labuan Financial Park Labuan, Wilayah Persekutuan Labuan, 87000 Malaysia) とは全く別の住所です。この新たに出てきた住所についても検索してみましたが、「Wisma Wong Wo Lo」が実在するオフィスビルであることは確認出来たもののそれ以上の情報は見つかりません。
いずれにしろ、ラブアン島が租税回避地であることを考えればラブアン島の住所+ラブアン島の金融ライセンスという組み合わせは信頼度が高いとは到底言い難いです。
もう1つのセントビンセント・グレナディーンの登録住所
>Suite 305, Griffith Corporate Centre, Beachmont, Kingstown, Saint Vincent and the Grenadines
は本サイトの検証でしばしば登場している住所で以下に示したWILFRED SERVICES LTD (https://www.wilfredinternationalservices.com/) というオフショア会社の住所に部屋番号 (Suite 305) まで完全に 一致します。
本サイトで検証してきたサイトの内、部屋番号まで完全に同じ住所を所在地としているのは以下のサイトです。
「検証2」 BDFX (http://www.bd-fx.com/jp/) → ブルードラゴン (https://www.bd-fx.com/jp/)
「検証4」 フォレックスランド (https://www.forexland-fx.com/ja/)
「検証9」 アメージングティック (https://www.amazingtick.com/amt/ja/)
「検証12」 ジャストフォレックスゴー (https://justforexgo.com/jp)
「検証12」 HFマーケッツ (https://www.hfm.com/int/jp/)
「検証12」 ブビンガ (https://bubinga.com/ja)
「検証12」 ザ・オプション (https://jp.theoption.com/)
「検証21」 スパークグローバルリミテッド (https://japanese.sglfd.com/index.html)
「検証59」 モガFX (https://www.mogafx.com/)
「検証60」 IFSマーケッツ (https://ifsmarkets.vc/)
部屋番号まで同じ住所が多数のサイトで所在地とされていることは明らかにおかしいです。この住所も架空住所で間違いないでしょう。
サイトに示されている連絡先情報はこれだけでいずれも架空住所の疑いが極めて濃いです。つまりユートラダの実際の本拠に関しては不明のままということになってしまいます。そこでさらに調べてみると他に拠点があるような気配があるようです。例えば以下はユートラダの英語版のX (旧 Twitter) アカウント (https://x.com/utrada_global) の冒頭部の画像です。
問題は上の画像の赤枠で囲った部分です。所在地が「Sydney」となっています。普通に考えてオーストラリアのシドニーを意味するものと思われます。また以下はFacebookのアカウント (https://www.facebook.com/utrada.official/) の「自己紹介」と題された連絡先情報が記されている部分の画像です。
赤枠で囲った部分に住所と電話番号が示されています。
>Unit Level 11A, Main Office Tower, Jln Merdeka
>+61 426 788 889
住所の方はユートラダのサイトの脚注に記されていた登録住所 (Unit Level 11A Main Office Tower Labuan Financial Park Labuan, Wilayah Persekutuan Labuan, 87000 Malaysia) に基本的に一致するマレーシア・ラブアン島の住所のようです。一方で電話番号の方は[+61]というオーストラリアの国番号から始まっていてオーストラリアの電話番号と思われます。
という訳でユートラダの拠点がオーストラリアに存在する可能性が考えられました。そこでオーストラリアの法人登録を検索できるABN LookUp (https://abr.business.gov.au/) というサイトで検索してみると以下の画像に示した「UTRADA PTY LTD」という法人の登録情報が見つかりました。
登録の日付は2024年3月18日となっています。さらにこの法人登録情報からリンクされている金融ライセンス情報の画像を以下に示します。
この金融ライセンスも法人登録と同じ2024年3月18日に登録されており、大まかな住所が
>NORTH SYDNEY NSW 2060 (ニューサウスウェールズ州、ノースシドニー)
となっています。詳しい住所などが開示されていないこともあってこれらオーストラリアの法人登録や金融ライセンスが本項で検証しているユートラダのサイトに対応したものであるかどうか確証はありませんが、対応する登録と考えても矛盾はないように思われます。
しかし仮にこれが本項で検証しているユートラダのサイトに対応する登録であるならどうしてユートラダのサイトでオーストラリアの拠点や登録について言及がないのか疑問です。
それからこのサイトでしばしば引用しているWikiFX (https://www.wikifx.com/ja/) という口コミ情報サイトでユートラダの評価を見ると以下の画像に示したように10点満点の2.25点という低評価になっています。
さらに以下のような警告も出ています。
マレーシアのライセンスの信頼性が低評価になっていること、日本の有効なライセンスがないこと、さらに1件のみですがマレーシアから被害報告が出ていることが低評価の理由と思われます。また現在は確認出来ませんが、おそらく以前は香港の住所が所在地として示されていたのでは似ないかと思われるのですが、香港の住所を訪問したがユートラダのオフィスを確認出来なかったというレポートが出ています。
▼香港のuTrada訪問 - オフィスは見つかりませんでした (2025年4月1日付)
このレポートによればユートラダのオフィスの住所として示されていた
>香港湾仔魯現道18号ワンキャピタルプレイス7B室
という住所を訪問したがオフィスを確認出来なかった、この住所に実在していたのは「Easy Corp (イージーコープ)」というおそらくオフ社会社のオフィスであったという結論になっています。こうしたレポートが出た為に香港の住所に関してユートラダのサイトから情報が削除されたのかもしれません。
総合的に判断してユートラダでの取引は推奨出来ません。
※付記
2025年9月25日付でユートラダについて無登録の違法業者であるとして関東財務局から警告が出ました。
●KrypFX (クリプFX https://krypfx.com/)
Yahoo知恵袋に複数の質問が出てきたサイトです。また勧誘目的と思われるブログなどが見つかります。まずYahoo知恵袋に出てきた質問投稿を引用します。
SNSで知り合った人物 (日本語に違和感はない) にKrypFXという取引所での投資を勧誘されているということで信頼性を質問しています。勧誘してきた人物のThreadsのアカウントとAmebaブログへのリンクが示されています。Amebaブログは「kzmykk01のブログ」というブログで結城和馬と名乗る人物が2025年4月14日付の「これが令和の安定思考」という投稿1件のみとなっています。以下はその投稿の一部の画像です。
6億1000万円以上の残高が示されている銀行のご利用明細、ブランド品の紙バック、高価そうな自動車などの画像が並んでいて大金を持っていることをアピールするような内容になっています。SNSで勧誘する投資詐欺でよく見られるキラキラ生活を見せびらかすパターンに似ているように思われます。
この質問の投稿者は「SNSで知り合った人」に勧誘されてクリプFXに入金してしまったようです。ミラー口座とありますからミラートレードで運用するということのようです。
これはこの検証を書いた後で出てきた質問投稿です。SNSで「お金配り」をしている人に連絡してみたところ、KrypFXでの投資を勧められたようです。平均月利15~20%といった非現実的としか思われない運用利回りが可能であるという勧誘だったようです。長期 (3~5年)の複利運用とありますから入金してしまうと3~5年は出金出来ないのかもしれません。
これ以外にもYahoo知恵袋には少なくとも4件のKrypFXに関する質問投稿が短期間に集中して出ています。
そしてこれら4つの投稿には奇妙な共通点があります。共通点を以下にまとめます。
1. 質問者、回答者の投稿IDがいずれも投稿の当日に取得されており、これ以外に投稿歴がない。
2. 質問の投稿から短時間で回答が投稿されている。ベストアンサーが選択されている3件についてはベストアンサーの選択も短時間で行われている。
3. 回答者の結論はいずれもクリプFXについて出金もスムーズで何の問題もないなどKrypFXでの取引を推奨するような内容になっている。
これらの投稿が宣伝目的で投稿されている可能性を疑わざるを得ません。
さらに既に引用した「kzmykk01のブログ」というブログ以外にもクリプFXへの投資を勧誘するようなブログが複数見つかります。
▼krypFXの評判まとめ (投稿者:genial_alpaca450 2025年5月10日投稿)
▼krypFX 評判 出金できるのか?【検証と評価】 (投稿者:KenFX 2025年5月16日投稿)
▼KrypFXの強みとは?競争力のある手数料と優れたセキュリティ (投稿者:カイザー 2025年5月24日投稿)
▼噂のKrypFXを徹底検証!メリット・デメリット・詐欺の真実を暴露 (投稿者:海外FX研究中 2025年5月29日投稿)
▼山本のFX情報局 (投稿者:山本のFX情報局、2025年5月9日投稿)
▼adhdnahanahaのブログ (投稿者:誠也FX・cryptoマニア、2025年5月12日投稿)
▼海外FX証券会社KrypFXでの出金方法と注意点 (投稿者:rieki)
これらのブログはアフィリエイターによるものかとも思いましたが、アフィリエイトリンクは見当たりません。だとすればサイトの運営グループによるブログかもしれません。
とにかくYahoo知恵袋への質問に出てきたクリプFXというサイトにアクセスしてみることにしました。URLアドレスは最初の質問投稿に出ています。
▼KrypFX (https://krypfx.com/) {表示言語:中国語、英語、ドイツ語、インドネシア語、日本語、ポルトガル語、スペイン語}
表示言語は上の画像の右下隅に見える部分をクリックすると出てくる右に示した選択肢から選択するようになっています。
上の画像に示したサイト冒頭部には
>信頼できるプロップトレーディングパートナー
と書いてあるのでコピートレードを提供しているものと思われます。
この冒頭部に続いては以下に示した取引対象を説明している部分が出てきます。
「外国為替CFD」「株式CFD」「債券CFD」「商品」「インデックスCFD」「暗号通貨CFD」の6つが投資対象して挙げられています。しかしこれら取引対象に関する基本的な情報が不足しています。例えば外国為替に関するサブページを見ても以下に示したスプレッドを説明しているらしい表があるぐらいで通貨ペア毎の取引単位とかスワップ金利に関する情報は見当たりません。リアルタイムのチャートなども未登録の状況では見ることが出来ないようです。
さらにトップページに戻ると以下に示した「数十年にわたる経験」と題された部分が出てきます。
「数十年にわたる経験」というのはクリプFXが数十年前から事業を行っているという意味としか思えませんが、一方で「私たちについて」のサブページには以下の様な記述もあります。
>KrypFXは2018年以来、業界で最も信頼される自己勘定取引会社の一つに成長しました。
この文章からするとクリプFXは2018年に創業したようにも思われます。そこでサイトのWho Is 情報を確認しました。以下に画像を示します。
黄色の枠で囲った部分に記されているサイトの登録・開設日は2024年10月17日となっています。この検証を書いている2025年5月下旬現在でサイトの登録・開設から7ヶ月ほどしか経過していないことになります。「数十年にわたる経験」とか「2018年以来、業界で最も信頼される自己勘定取引会社の一つに成長しました」といった記述と矛盾しているようにしか思われません。
次に連絡先情報や金融ライセンス情報を探しましたが金融ライセンスに関する情報は何も開示されていないようです。以下は「接触」と題されたサブページにある連絡先情報の画像です。メールアドレスと中米・コスタリカの住所が示されていますが、電話番号はありません。「接触」というのは英語の「Contact Us」の直訳だと思われます。
Eメール support@krypfx.com
勤務時間 月曜日-金曜日 8:00 - 17:00
土曜日 9:00 - 13:00
住所 オフィス
Provincia 04 Heredia、Canton 05 San Rafael コスタリカ
コスタリカの住所を検索してみましたが、実在の住所かどうかも分かりません。
クリプFXのサイトへの国別のアクセス状況を調べると以下の画像に示したようにベトナムと日本からしかアクセスがありません。77.57%がベトナムからのアクセス、残りの22.43%が日本からのアクセスとなっています。
コスタリカに本拠があってベトナムと日本からしかアクセスが無いという状況には違和感があります。コスタリカに本拠があるという主張はどれほど信用できるか疑問を感じます。
海外業者を自称していても日本語の勧誘ブログが複数見つかることなどからも日本国内のグループによるサイトという可能性も考えられましたが、上で示したようにこのサイトの日本語は例えば「Contact Us」を「接触」と直訳するなど違和感があります。結局、クリプFXの運営がどこの国のグループなのか決定的な情報は見つかりません。そうした基本的な情報も分からないということからもクリプFXが投資先として信用出来るようには全く思えません。クリプFXでの投資を勧誘されても応じないことを強く推奨します。