検証45
本ページで検証するサイトはいずれも金融庁のサイトで公表されている金融商品取引業者の登録リストに該当が見つかりません。日本居住者に対して勧誘が行われれば違法な無登録業者ということになります。本ページで検証するサイトの少なくとも一部については日本人に向けた勧誘が確認されています。また一部のサイトについては関東財務局から警告が出ています。
▼本サイトでの検証は名誉棄損に当たらないと考えます。→ 雑記1
「検証13」、「検証14」、「検証15」、「検証16」、「検証17」、「検証18」、「検証19」、「検証20」、「検証21」、「検証22」、「検証23」、「検証24」、「検証25」、「検証26」、「検証27」、「検証28」、「検証29」、「検証30」、「検証31」、「検証32」、「検証33」、「検証34」、「検証35」、「検証36」、「検証37」、「検証38」、「検証39」、「検証40」、「検証41」、「検証42」、「検証43」、「検証44」に続いて中国系の詐欺グループによる可能性があるサイトについての検証33ページ目です。「検証46」、「検証47」、「検証48」、「検証49」、「検証50」、「検証51」、「検証52」、「検証53」、「検証54」、「検証55」、「検証56」、「検証57」、「検証58」、「検証59」、「検証60」、「検証61」、「検証62」、「検証63」、「検証64」、「検証65」、「検証66」、「検証67」、「検証68」、「検証69」、「検証70」、「検証71」、「検証72」、「検証73」、「検証74」、「検証75」、「検証76」、「検証77」、「検証78」、「検証79」にも続編があります。勧誘の手口などについては「検証13」の冒頭を参照してください。このページで検証するのは以下のサイトです。検証項目は順次追加の予定です。
●bebor (https://www.beborfx.com/zh-hk/)
●DML Markets Limited (DMLマーケッツリミテッド http://dmlfxr.com/)
●Bizoe (https://bizoefx.com/en/)
●UKG金融 (https://ukg-corp.com/jp/)
●KAIHER GLOBAL LTD (KAIHERグローバルリミテッド https://www.kaiherfx.com/jp/)
●Natural Seven Limited (ナチュラルセブンリミテッド https://nat-s.co/en/)
まず以下の4つのサイトを検証します。
●bebor (https://www.beborfx.com/zh-hk/)
●DML Markets Limited (DMLマーケッツリミテッド http://dmlfxr.com/)
●Bizoe (https://bizoefx.com/en/)
●UKG金融 (https://ukg-corp.com/jp/)
最初のbeborというサイトはYahoo知恵袋に質問が出てきたサイトでその後、関東財務局から警告対象にもなっています。2番目のDMLマーケッツリミテッド、3番目のBizoe、4番目のUKG金融のサイトはbeborのサイトからの画像検索で見つかってきたサイトで「検証21」で検証した2つのスパークグローバルリミテッドのサイトやOdinサービスグループのサイトにも明らかに似ている部分があって同じテンプレート由来、同じグループによるサイトと思われます。
まずbeborについてYahoo知恵袋に出てきた質問を引用します。
情報が少ないですがネットでbeborのサイトでの投資を勧誘されたていることだけは分かります。そしてbeborについては最初に書いたように関東財務局から無登録の違法業者として警告が出ています (以下のキャプ参照)。
関東財務局から警告が出ているということは日本人で勧誘された事例がそれなりにあるものと思われます。とにかく本項で検証する4つのサイトの冒頭部のキャプを以下に表題と同じ順 (bebor → DMLマーケッツ → Bizoe → UKG金融) で並べてみます。
表示言語の選択肢は以下のようになっています。
bebor: 英語、中国語、日本語
DMLマーケッツ: 英語、日本語、ベトナム語
Bizoe: 英語、中国語
UKG金融: 英語、日本語
サイト冒頭部の比較で4つのサイトが互いに非常によく似ているのが分かります。背景の画像は全く同じ画像でしょう。実際にはこれら3つのサイトではそれぞれ4つのパターンの背景画像がスライドショー形式で入れ替わりで表示される設定になっており、beborとDMLマーケッツの4つのパターンの背景画像は全く同じです。しかし例えばBizoeの場合は4つのパターンの内、2つのパターンがbeborとDMLマーケッツで使われている背景画像と一致していて他の2パターンは全く別の背景画像になっています。以下にbeborの2番目~4番目の背景パターン (左側)、Bizoeの2番目~4番目の背景パターン (右側) のキャプを示します。beborの2番目の背景パターンとBizoeの3番目の背景パターンが同じです。
4つのサイトが互いに似ているのはこの冒頭部だけではありません。例えば以下にマルチプラットフォーム対応を説明している部分のキャプを表題と同じ順 (bebor → DMLマーケッツ → Bizoe → UKG金融) で示します。
背景の色がbeborとDMLマーケッツの場合は青、BizoeとUKG金融は白になっているので見た印象は変わりますがノートパソコン、デスクトップパソコンのモニター、タブレットが並んでいる画像は4つのサイトで映っているチャートのパターンまで全く同じです。さらに以下に書き出しましたが上のキャプの部分に記されている文章もbeborとDMLマーケッツの場合は全く同じです。
▼bebor
世界クラスの取引プラットフォームとして、より迅速で安定した、効率的で透明性の高い取引を実現します。さまざまなデスクトップおよびMac OS、Windows、iOS、Androidなどのモバイルオペレーティングシステムに適します。
▼DMLマーケッツ
世界クラスの取引プラットフォームとして、より迅速で安定した、効率的で透明性の高い取引を実現します。さまざまなデスクトップおよびMac OS、Windows、iOS、Androidなどのモバイルオペレーティングシステムに適します。
Bizoeのサイトは日本語に対応していないので英文が書かれていますが、以下に示した文章の内容はbeborやDMLマーケッツのサイトに記されている日本語の文章と合致しているようです。beborのサイトで表示言語を英語に変更した場合の文章と比較すると全く同じ文章ではありませんが意味は同じと言ってもよいくらい似ています。
▼Bizoe
World-class trading platform; stable trading quick, efficient and transparent. For a variety of operating systems such as a desktop and mobileMac OS, Windows, iOS, Android.
▼bebor (英語表示)
A world-class trading platform, which makes your transactions faster, more stable, efficient and transparent. Suitable For a variety of desktop and operating system such as Mac OS, Windows, iOS, and Android
さらに4つのサイトの取引対象を説明している部分についても表題と同じ順 (bebor → DMLマーケッツ → Bizoe → UKG金融) で以下にキャプを示します。
最後のUKG金融のサイトを除く3つのサイトでは「主流の外国為替」「まれな外国為替」「スポットゴールド」「スポットシルバー」「インデックス」「原油」の6項目が取引対象とされており、それぞれの項目の背景に使われている画像も全く同じもののようです。beborの場合のみ6項目が変な形に配置されていますが原因不明です。基本的にスマホ向けに作られたサイトをパソコンで見て検証しているせいなのかもしれません。
最後のUKG金融の場合だけは項目名も若干異なっていますし、使われている画像も似てはいても異なる画像になっています。しかし明らかに似ていることには違いありません。
次に連絡先情報を探しましたが、開示されている情報はいずれのサイトでも極めて限定されています。beborとBizoeのサイトにはトップページに「私たちに関しては (About Us)」という項目があって世界地図に拠点らしきものが示されています。最後のUKG金融の場合も項目名は「連絡先」になっていますが同じ世界地図があってやはり拠点らしきものが示されています。しかしDMLマーケッツのサイトには相当する項目がありません。まずbeborの「私たちに関しては」の項目のキャプから示します。
記されている文章の冒頭部を以下に書き出します。
>beborは、機関投資家、個人顧客、個人顧客に最高品質の投資機会を提供します。 beborは香港に本社を置き、英国のロンドンに支社を置いています。
香港に本社があってイギリスに支社があると書いてあります。その他、添えられている世界地図には日本の東京とニュージーランドのAucklandに矢印が刺さっていて何らかの拠点があることを意味しているようにも思えますが、東京とニュージーランドについては言及がありません。
さらに上のキャプの左下にある「お問い合わせ」という項目がありますがこのリンク先の記述は以下のキャプのようになっています。
「私たちに関しては」の項目には香港に本社、イギリスに支社があるとなっていましたが連絡先情報として記されているのはメールアドレスが1つと香港の住所だけです。電話番号はありません。
>メール:service@beborfx.com
>アドレス:香港金融街国际金融中心18楼
そしてこの住所を調べてみると「国际金融中心 (国際金融中心)」が香港にある高層ビルの名称であることが分かりました。「18楼」は「18階」を意味するようです。
次にBizoeのサイトのトップページにある「About Us」のキャプを示します。
記されている文章の一部を以下に抜粋します。
>Headquartered in London 香港特别行政区九龙半岛观塘区宜安大夏8楼, is the first application of STP-ECN technology and make it popular in the market well-known broker.
この文章は文章になっていないように思われますが、ロンドンと香港に本拠があると書いてあるようです。そしてロンドンの方はそれ以上の住所が書いてありませんが、香港の方は香港特別行政区の九龍半島観塘区 (かんとうく) にある「宜安大夏」という建物の8階という住所になると思われます。beborの本社の住所となっていた香港の国際金融中心という高層ビルは同じ香港でも中西区 (ちゅうせいく) にあるようですから同じ香港の住所でも明らかに別個の住所ということになります。
さらに拠点の紹介として以下のような記述もあります。
>The principle of Holding the dedication of, Bizoe has a global customer base more than 20 countries, opened a trading account, and in the United Kingdom, China, Japan, Spain, Mexico, New Zealand, Lebanon, with a representative office operates independently, which established Bizoe leading position as the world's leading foreign exchange brokerage firm in the industry.
この文章によればBizoeはイギリス、中国、日本、スペイン、メキシコ、ニュージーランド、レバノンに駐在員事務所があるとなっています。しかしそれらの住所など連絡先情報は見当たりません。「Contact Us」のページにも以下のようにメールアドレスと香港の同じ住所が記されているだけです。
4番目のUKG金融についてもまずトップページにある「連絡先」という項目のキャプ画像を以下に示します。
項目名が「連絡先」同じ世界地図に矢印が刺さっているだけなのは同じです。但し4つの矢印が示しているのはロンドン、香港の2つについてはbeborやBizoeの場合と同じですが黄色の矢印は東京の代わりにシンガポールを示しており、青緑色の矢印はニュージーランドに刺さっているように見えても地名がAucklandではなく、「ABU DHABI (アブダビ)」になっています。アブダビと言えばアラブ首長国連邦 (UAE) の一角であるアブダビ首長国しか思い浮かびません。どうしてこういうことになっているのか理解不能です。
さらにこのUKG金融の連絡先のページを見ると以下のキャプに示しましたが記されているのはメールアドレス1つだけです。
しかもこのメールアドレス
>メールボックス ukg.forex@gmail.com
は無料登録できるgmailのアドレスです。連絡先情報がフリーメールのアドレスだけでは話になりません。
bebor、Bizoe、IKG金融について香港に並んでイギリスに本拠があると書かれているのでサイトに連絡先の記述がなかったDMLマーケッツリミテッドも含めてイギリスの法人登録を探してみるとDMLマーケッツリミテッドUKG金融についてはそれらしい法人登録が見つかりませんが、beborとBizoeについては以下に示した名称の一致する法人が出てきます。
▼BEBOR LIMITED (法人登録番号:13162236)
2021年1月27日法人登録
業種:タイヤ・チューブの再生事業
▼BIZOE LIMITED (法人登録番号:10932905)
2017年8月25日法人登録、2019年1月8日登録抹消
業種:サービス業 (未分類)
▼BIZOE LIMITED (法人登録番号:SC440604)
2013年1月18日法人登録、2017年2月21日登録抹消
業種:飲食業
しかしこれらはいずれもここで検証しているFX業者に対応するもののようには思われません。2つのBIZOEという法人はいずれも登録抹消になっていますし、BEBOR LIMITEDのみは2021年1月に法人登録されたばかりで現在でも法人登録は有効ですが、業種が全く異なります。但し、このBEBOR LIMITEDの法人登録は
>291 Brighton Road, South Croydon, Surrey, CR2 6EQ
という一連の中国系と思われる詐欺サイトの検証で頻繁に出てくる住所で法人登録されているなど気になる部分もあります。
さらに連絡先情報を求めて例によって各サイトのWho Is 情報を確認しました。以下に3つのサイトのWho Is 情報を順次示します。まずbeborのサイトのWho Is 情報です。
黄色の枠で囲った部分にあるサイトの登録・開設日は2021年1月22日となっています。赤枠の部分にある運営者の情報としては
登録機関名: Bebor Limited
所在地: Fujian, CN (中国・福建省)
とだけ書いてあります。
次はDMLマーケッツのサイトのWho Is 情報を示します。
黄色の枠で囲った部分にあるサイトの登録・開設日は2021年9月26日となっています。運営者に関する情報は何もありません。
次はBizoeのサイトのWho Is 情報です。
黄色の枠で囲った部分にあるサイトの登録・開設日は2021年3月8日となっています。赤枠の部分にある運営者の情報としては
登録機関名: Bizoe
所在地: Heilongjiang, CN (中国・黒竜江省)
となっています。
最後はUKG金融のWho Is 情報です。
運営元に関する情報は全く示されていません。サイトの登録・開設日は2021年5月30日となっています。
Who Is 情報まで探しても連絡先情報が全く見つからないDMLマーケッツやフリーメールのアドレスしか開示されていないUKG金融は言うに及ばす、同じグループによる運営としか思われないbeborとBizoeについても所在地が香港だったり、福建省だったり、黒竜江省だったりでどの情報も全く信用出来ません。
言うまでもありませんが、これらのサイトも詐欺目的で量産されたサイトの疑いが濃厚です。これらのサイトでの投資を勧誘されても絶対に応じるべきではありません。
●KAIHER GLOBAL LTD (KAIHERグローバルリミテッド https://www.kaiherfx.com/jp/)
●Natural Seven Limited (ナチュラルセブンリミテッド https://nat-s.co/en/)
KAIHERグローバルリミテッドはYahoo知恵袋に質問が出てきたサイト、2番目のナチュラルセブンリミテッドは画像検索で見つけてきたサイトです。まずYahoo知恵袋に出てきたKAIHERグローバルリミテッドに関する質問投稿を引用します。
この質問にはURLアドレスもありませんし、「Facebookで知り合った女性」に勧誘されたという点は「検証13」の冒頭で説明した中国系と思われる詐欺グループによる詐欺の手口と合致しているように思われますが、勧誘役が外国人だったかどうかなど不明な点もあってこれだけでは中国系と思われる詐欺と断定も出来ません。URLアドレスが記されていないので「Kaiher」を検索して見つけてきたのが表題のサイトです。
その後、この検証を書いた後ですが同じKaiherというサイトに誘導されて出金出来なくなったという被害者からの投稿がYahoo知恵袋に出てきました。かなり長いですが引用します。勧誘された経緯はよく分かりませんが、投稿の中にURLアドレスが示されています。
出金しようとしたところ、アナリストへの報酬を要求され、それを払うと今度はマネーロンダリングの疑いがあるからなどとさらに追加入金を要求されているようです。「検証13」の冒頭で説明したように出金しようとすると意味の分からない名目で追加入金を要求してくるというのはこの手の詐欺の常套手段になっています。そして入金方法は「みんなの銀行」というネット銀行の個人名義口座への入金だったようです。おそらく詐欺グループが詐欺目的で買い取った口座でしょう。連絡先情報として[+971]という国番号から始まる電話番号が記されていますが、この[+971]は国番号のリストで調べるとアラブ首長国連邦 (UAE) の国番号のようです。一方で住所はイギリスになっていて明らかに矛盾しています。このイギリスの住所については以下の検証にも登場します。
とにかくまずはKAIHERグローバルリミテッドのサイト冒頭のキャプ画像を示します。
表示言語の選択肢はメニューバーの右上に並んでいますが中国語、日本語、英語、ドイツ語、タイ語の5つです。そしてこのサイト全体としては特にこれまでに検証してきたサイトのいずれかに酷似しているというわけではないのですが、スライドショー形式で4つのパターンが入れ替わる背景画像の部分は上で検証したbebor (https://www.beborfx.com/zh-hk/) 以下の4つのサイトと同じ画像が使われているのです。例えば上のキャプの背景画像は比較の為に以下に再掲したbeborのサイト冒頭の2つ目の背景画像と同じ画像のようです。
この画像は画像検索してみると多数のサイトで使われていて調べてみるとPxhereというフリー素材のサイトにアップされている画像のようですからこの画像が一致しているというだけではKAIHERグローバルリミテッドとbeborが同じグループによるサイトとは言えません。しかし既に書いたようにKAIHERグローバルリミテッドのサイトの冒頭部の背景はスライドショー形式で4つの画像が入れ替わりで表示されるようになっており、他の3つの画像も上で検証したbeborなどのサイトの背景画像と一致するのです。
例えば左下に示したのはKAIHERグローバルリミテッドの冒頭部の2つ目の背景画像パターン、右下は上で検証したBizoeというサイトの4番目の背景画像パターンのキャプです。
同様に左下がKAIHERグローバルリミテッドの冒頭部の3つ目の背景画像パターン、右下は上で検証したBizoeというサイトの2番目の背景画像パターンのキャプです。
さらに左下がKAIHERグローバルリミテッドの冒頭部の4つ目の背景画像パターン、右下は上で検証したBeborのサイトの1つ目の背景画像パターンのキャプです。
4つの背景画像のパターンがbeborあるいはBisoeのいずれかのサイトの背景画像と一致するというのは到底偶然では説明できません。KAIHERグローバルリミテッドのサイトはbeborやBisoeのサイトと同じグループによって量産されたサイトで間違いないでしょう。
次に表題2番目のナチュラルセブンリミテッドのサイトについてもサイト冒頭の画像を示します。
表示言語の選択肢は英語と中国語のみで日本語には対応していません。そして上のキャプを見ただけではKAIHERグローバルリミテッドのサイトと似ているようには見えませんがこのサイトでも4種の背景画像がスライドショー形式で入れ替わる設定になっていて入れ替わりで表示される背景画像がKAIHERグローバルリミテッドなどのサイトと共通しているのです。他の3つの背景画像パターンを以下に示します。
この3枚の背景画像は上に示したKAIHERグローバルリミテッドの冒頭部背景画像の2~4枚目と全く同じであり、同時に上で検証したbeborやBizoeのサイトの背景画像とも一致しています。
さらにKAIHERグローバルリミテッド、ナチュラルセブンリミテッドのサイトの比較を続けます。以下は冒頭部に続く部分に出てくるサイトの特長を8項目にまとめて説明している部分のキャプの比較です。KAIHERグローバルリミテッド、ナチュラルセブンリミテッドの順でキャプを示します。
この部分でもKAIHERグローバルリミテッド、ナチュラルセブンリミテッドのサイトは互いによく似ているのですが明らかに異なる部分もあります。まず右上の項目に示されている最大レバレッジですがKAIHERグローバルリミテッドでは300倍、ナチュラルセブンリミテッドでは400倍となっています。
さらにもっと気になる違いがあるのは左上の最初の項目です。KAIHERグローバルリミテッドでは「アメリカの監督」、ナチュラルセブンリミテッドでは「ASIC supervision (ASICの監督下にある)」となっていていずれの場合も正方形のロゴが示されています。そしてナチュラルセブンリミテッドのサイトに書いてある「ASIC」というのはAustralian Securities & Investments Commission (オーストラリア証券投資委員会) のことと思われます。ナチュラルセブンリミテッドの場合のみですが、脚注部分に以下のキャプに示した記述があります。
>Natural Seven Limited is authorised and regulated by the Australian Securities and Investments Commission (ASIC), AFSL number ASIC328794.
日本語訳:Natural Seven Limitedは、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)、AFSL番号ASIC328794によって認可および規制されています。
また以下に示したのはASICの公式サイト (https://asic.gov.au/) で示されているASICのロゴですが、KAIHERグローバルリミテッド、ナチュラルセブンリミテッドのサイトのキャプの左上の項目に示されている正方形のロゴと一致しています。だとすればKAIHERグローバルリミテッドのサイトに「アメリカの監督」と書いてあってASICのロゴが並んでいるというのは明らかにおかしいです。
さらにASICで本当に登録を得ているならばオーストラリアの法人登録が見つかるはずと考えてオーストラリアの法人登録を確認出来るABN Lookup (https://abr.business.gov.au/) というサイトで法人登録を探してみましたが「KAIHER GLOBAL LTD」「Natural Seven Limited」のいずれについても該当がありません。金融ライセンスに関する記述は信頼出来ないと判断せざるを得ません。
次に取引対象を説明する部分を比較します。この部分についてもKAIHERグローバルリミテッド、ナチュラルセブンリミテッドの順でキャプを示します。
KAIHERグローバルリミテッドの左端の項目が「外汇 」となっていて意味が分かりませんが、これは中国語で「外国為替」を意味するようです。これらのサイトが中国系の人物によって運営されていることを示唆するように思われます。そして記されている投資対象はいずれの場合も外国為替 (FX)、CFD取引、コモディティの3項目となっていてこの部分でも2つのサイトは互いに非常によく似ています。
次に2つのサイトで連絡先情報を探しました。まずKAIHERグローバルリミテッドの場合ですが脚注部分に以下の記述があります。
>メール: ceo@kaiherfx.com
>登録住所: 4D SALISBURY ROAD WESTON-SUPER-MARE SOMERSET UNITED KINGDOM BS22 8EW
>Tel: +97 1529490022
>登録番号: 13723959
住所はイギリスになっていてイギリスの法人登録があるようです。イギリスの法人登録については以下で触れることにします。ところが電話番号は [+97] から始まっていてこれは国際電話の国番号リストと照らし合わせてもどこの国番号なのか分かりません。少なくともイギリスの国番号 [+44] から始まっていないことは確かです。
さらにKAIHERグローバルリミテッドの会社概要のページには以下に示す記述があります。
KAIHERグローバルリミテッドはイギリスに本社がある金融サービスプロバイダーであり、2004年に設立されたとあります。さらに右上にはオーストラリアのASICのロゴがありますが、ここにロゴが書かれている意味が不明です。既に上で書いたようにオーストラリアの法人登録は確認することが出来ません。そもそも本社がイギリスなのにオーストラリアのASICが出てくる余地はないでしょう。
ともかくイギリスに本社があるというのでKAIHERグローバルリミテッドのイギリスの法人登録を確認しました。以下に見つかってきた法人登録を示します。
まず法人登録の日付は2021年11月4日となっています。上で説明したようにKAIHERグローバルリミテッドの会社概要のページには2004年に会社設立と書いてありましたが、法人登録情報と全く一致しません。業種の方は金融関係となっていて矛盾はありません。そしてこの法人登録での住所は以下のようになっています。
>4d Salisbury Road, Weston-Super-Mare, Somerset, United Kingdom, BS22 8EW
これはKAIHERグローバルリミテッドのサイトの脚注部分に記されていた住所と一致しています。しかしこの住所は「検証13」以降の一連の中国系と思われる詐欺グループによる詐欺サイトの検証で繰り返し登場している住所でもあります。具体的には以下のサイトでこの住所が法人登録上の住所になっています。
「検証18」 Linkhumインベストメントリミテッド → 法人登録
「検証20」 JINGERグローバルリミテッド → 法人登録
WEIKE → 法人登録
「検証23」 キャメルファイナンシャルリミテッド → 法人登録
パットンセキュリティーズリミテッド → 法人登録
サウスセンチュリーグループリミテッド → 法人登録
アルトマンファイナンスインベストメント → 法人登録
「検証28」 CMMCIセキュリティーズインフォメーションカンパニーリミテッド → 法人登録
プラスマーケットリミテッド → 法人登録
MISNEAグローバルリミテッド → 法人登録
YUMグループグローバルリミテッド → 法人登録
EGMフォレックス → 法人登録
SAENマーケッツリミテッド → 法人登録
セントラルコーリションセキュリティーズ → 法人登録
「検証46」 グランドグローバルマーケッツリミテッド → 法人登録
Skyamインベストリミテッド → 法人登録
「検証48」 ETHERマクロキャピタルリミテッド → 法人登録
「検証57」 UNERNEYグローバルリミテッド → 法人登録
この住所にこれだけのFX業者が集中して存在するというのは非現実的としか思われず、架空住所の疑いは非常に濃いです。そしてこの法人登録の経営者情報のページを見ると以下に示すLAO, Maというカンボジア国籍、中国在住の人物が唯一の経営者として登録されています。
この人物の中国での住所は以下のようになっています。
>No. 330, Landi Avenue, Xuyang Town, Rong County, Sichuan Province, China, 643199
この住所は中国の四川省栄県 (えい-けん) という地域の住所のようです。 この住所の信頼性は疑問ですがやはりこのサイトもイギリスではなく、中国に本拠がある可能性が高いように思われます。
中国との関連は以下に示すサイトのWho Is 情報にも見られます。
まず黄色の枠で囲った部分に記されているサイトの登録・開設日は2021年11月2日となっています。上に示したイギリスの法人登録の日付が2022年11月4日ですから2日しかずれていません。イギリスの法人登録がこのサイトに対応するものであることと矛盾しません。そして赤枠で囲った部分に運営元の断片的な情報が記されています。クエスチョンマークだけの項目もありますが整理して以下に書き出します。
登録者名: 記載なし
登録者所属機関: Kaiher Global Ltd
住所: 中国・北京、101500
電話番号: +855. 719410240
メールアドレス: datangtang911@iCloud.com
住所は中国・北京となっていますが電話番号は [+855] というカンボジアの国番号から始まっています。全面的に信用することは出来ませんが、やはり中国系の組織である可能性が高いように思われます。
次にナチュラルセブンリミテッドの連絡先情報についてですが「contact us」のページにある記述のキャプを以下に示します。
>contact us
>Query email: cs@hkfame-intl.net
>Enquiry Hotline : (852) 62278236
>Complaint email: cs@hkfame-intl.net
>Address: 19th floor, Fuwei financial center, 308 des Voeux Road Central, Sheung Wan
住所は国名が記されていませんが、調べてみると香港の住所のようです。電話番号も香港の国番号である [+852] から始まっています。そしてこの香港住所にあるのは調べてみると「Fuwei financial center」ではなく「FWD financial center」というオフィスビルのようです。この住所にナチュラルセブンリミテッドが実在するかどうかは疑問です。またナチュラルセブンリミテッドについてもイギリスの法人登録がないか探してみましたが見つかりません。サイトのWho Is 情報も確認してみましたが、こちらは登録者に関する情報は開示されていません。サイトの登録・開設日は2022年3月16日となっています。
そもそもKAIHERグローバルリミテッド、ナチュラルセブンリミテッドの2つのサイトは互いに酷似していてどう見ても同じグループによるサイトとしか思われません。それなのに2つのサイトの連絡先情報は全く異なるのです。これらのサイトの連絡先情報について信頼性を強く疑わざるを得ません。そして2つのサイトのいずれについても中国系のグループの関与を示唆する情報が見つかりますが、さらに強く中国系のグループとの繋がりを示すのがナチュラルセブンリミテッドと同様にKAIHERグローバルリミテッドからの画像検索で見つかってきたwfjrzh (http://www.wfjrzh.com/zh-cn/) というサイトの存在です。このサイトは少なくとも現状では中国語にしか対応しておらず、日本人に向けた勧誘が行われるとは思われないので検証対象とはしませんが、明らかにKAIHERグローバルリミテッド、ナチュラルセブンリミテッドのサイトと似ており、同じグループによるサイトとしか思われません。以下にそのwfjrzhというサイトの冒頭部のキャプを示します。
明らかにKAIHERグローバルリミテッドのサイトに似ています。そしてこのサイトでも冒頭部の背景画像はスライドショー形式で4枚の背景画像が入れ替わりで表示される設定になっているのですがその全てがKAIHERグローバルリミテッドのサイトで使われていた背景画像と一致しています。そして上のキャプの右上に表示言語の選択肢として中国語以外に英語も選択可能になっているように見えますが、少なくとも2022年7月中旬現在で英語表示を選択すると左下に示す中国語のエラーメッセージが表示されるだけです。右下はその日本語訳です。
明らかに同じグループに属するサイトが中国語にしか対応しておらず、さらにはエラーメッセージまで中国語で出てくるとなればやはりこれらのサイトを運営しているのは中国系のグループでしょう。
そしてこれら2つのサイト、あるいは中国語にしか対応してないwfjrzhのサイトは冒頭の背景画像で偶然とは思われない共通性があることから上で検証したbebor以下の4つのサイトとも同じグループによるによるサイトである可能性が高いです。さらに「検証13」以降で検証してきた一連の中国系と思われるサイトの中にはKAIHERグローバルリミテッドなどとの繋がりが強く疑われるサイトが他にもあります。以下に示したのはKAIHERグローバルリミテッドのサイトで冒頭部にある「アカウントを開きます」というボタンをクリックすると出てくる口座開設申し込みページの画面のキャプ画像です。
この口座開設申し込みのページに限っては中国語、日本語、英語、ドイツ語、タイ語の5つの言語にしか対応していなかったトップページに対してさらにドイツ語、フランス語など計11言語に対応しているようです。
そしてこの口座開設のページには既視感を感じたので調べてみると「検証20」で検証したFLOSSリミテッドやウエルスセーリングフォレックスリミテッド、「検証30」で検証したHeHuanグローバルリミテッド、さらに「検証54」で検証したMaliksiリミテッド、「検証63」で検証したキーストンインターナショナルマーケッツリミテッド、「検証65」で検証したRazorfinリミテッドの口座開設ページとかなり似ていることが分かりました。以下には比較の為に「検証20」で検証したFLOSSリミテッドの口座開設ページ (http://account.flossfx.com/login) のキャプ画像を再掲します。
背景画像が全く同じであるだけでなく、表示言語の選択肢である11言語が全く同じで国旗アイコンや並び順まで同じです。FLOSSなどのサイトはトップページ同士を比較したのでは特に似ているとは思われないサイトですが組織的に繋がっている可能性は非常に高いと考えます。
結論としてこれらのサイトは到底信用出来るサイトとは思われません。中国系と思われる詐欺グループによる詐欺目的のサイトである可能性が濃厚であり、これらのサイトでの投資を勧誘されても絶対に応じるべきではありません。