1. 海外FX業者のリスク

海外FX業者のリスク

日本の法律では海外のFX業者についても日本語サイトを設けるなどして日本で積極的に顧客を勧誘するのならば日本の金融庁の審査を受けて金融商品取引業者の登録を行い、日本のFX業者と同じ上限レバレッジ25倍といった規制を受け入れなければなりません。登録を得ていなければ違法業者となります。以下のキャプは関東財務局から出ている海外無登録業者への警告です。

しかしレバレッジなどの規制があるからこそなのかもしれませんが無登録のままで規制も受け入れず日本からの顧客を積極的に勧誘する海外のFX業者が多数存在します。また実際には日本のグループが運営しているが海外に名目上の所在地などを用意して海外業者に見せかけた幽霊海外業者も存在するようです。法律や規制を無視していることからも分かるようにそういった業者には順法精神やモラルは期待出来ず、しばしば詐欺の舞台にもなっているようです。さらにアフィリエイト報酬目当てにこうした違法業者の勧誘を行うアフィリエイターも多数存在しますがこれも違法行為とされていることが以下に示した関東財務局から出ている海外無登録業者への警告の続きから確認出来ます。

海外FX業者は国内業者よりも有利?


ネット上にはFXをするなら海外業者の方が断然有利であるという主張がしばしば見られます。特にFX業者の比較サイトとかランキングサイトにはそうした主張が多いようです。しかし海外FX業者の優位性は個人的な意見として疑問です。海外業者を勧める比較サイトやランキングサイトなどは


1) 高いレバレッジを使える海外業者ならば少ない資金で大きな取引が可能だから大儲け出来る。


2) 相場が急に変動した結果、証拠金を超える損失が出て借金が出来ても追証がない一部の海外業者ならば借金を払う必要がない (ゼロカット)。


という2点を海外業者の有利な点 (メリット) と強調しているようです。確かにこれらは特に初心者にとっては非常に魅力的に見えるかもしれません。しかし海外業者には不利な点もあります。詐欺業者が多くて非常に危険であるという点については既に述べましたがそれ以外にも海外業者には以下の様なマイナスポイント (デメリット) があります。


1) 海外に送金するあるいは出金する為の送金手数料が掛かる。入金出金に時間も掛かる。


2) サーバーとの物理的な距離が遠いので常にチャートが遅れるし、注文を出しても注文が業者のサーバーに届くのに時間が掛かるので短期売買には非常に大きな不利になる。長期で投資するなら大きな問題ではないが長期投資では大きな変動を覚悟しなければならないので高いレバレッジを掛けられる意味がない。


3) 税金の扱いが不利。国内業者の場合、税金は約20%の定率分離課税ですが海外業者の場合には総合課税です。収入の多い人、FXで大金を稼いだ人は最高45%の所得税に加えて住民税も課せられるので半分以上を納税することになる可能性もあります。また国内のFX業者ならば損失が出た年には損失が出たことを申告しておけば3年間損失繰り越しが可能です。例えば昨年100万円の損失が出てそれを申告したとすれば今年の収支がプラスになった時に前年度の100万円の損失を今年の利益から相殺して課税額を減らすことが出来ます。これは海外業者にはないメリットです。


4) 海外業者では為替相場を考慮して自分で税務署に提出する申告書を用意しなければならない。これは特に通常なら税務署に出向いて納税申告等する必要のない給与所得者には大きな負担になるはずです。


5) 海外業者はスプレッドが大きく、スワップ金利も国内業者と比較して不利である場合が多い。スプレッドが大きいのは短期売買の人にとって非常に大きなマイナスでしょうし、スワップ金利が不利なのはFXを外貨預金代わりにして金利狙いの長期投資をする人にとって大きな不利のはずです。


またそもそも500倍、1000倍といったレバレッジ取引が可能であっても実際の取引では殆ど意味がありません。500倍、1000倍なんていうレバレッジを掛けたらポジションを持った瞬間にスプレッドのマイナス分だけで強制ロスカットが発動して損失確定になりかねません。またポジションを持ったまま安心して寝たいならば、あるいは取引が出来ない週末を迎えたいならば100倍を超えるようなレバレッジは怖すぎるでしょう。ポジションを持ったまま寝て起きたらあるいは週明けを迎えたら既に強制ロスカットを喰らって資金の大半を失うといったことになる可能性が非常に高いからです。


しかし海外業者への勧誘ではこういった海外業者の欠点や出金拒否などトラブルの事例について説明されることはありません。ひたすら高いレバレッジやゼロカットシステムが強調されるばかりです。そしてそういった比較サイトには口座開設を促す為に推奨する業者へのリンクボタンが用意されています。例えば以下は敢えてリンクはしませんが2つの海外FX業者比較サイトに見られたリンクボタンの例です。ここでは単なるキャプなので何処にもリンクはされていませんがいずれもXMという業者に口座開設を促す為のリンクボタンになっています。

そしてこういったリンクボタンが曲者です。こういったリンクボタンは単なる業者サイトへのリンクではありません。例えばここで取り上げた2つのリンクボタンはいずれも実際には以下の様なURLに繋がっています。


https://clicks.pipaffiliates.com/c?c=●●●●●●&l=ja&p=1  (アフィリエイターのIDと思われる部分を伏字)


これはXMという業者のURLではなく、URLの中に「affiliates」という文字列が見られることから分かるように明らかにアフィリエイトリンクです。つまりこのリンクを経由して誰かが業者のサイトにアクセスして口座を作るとリンクを用意したアフィリエイター (比較サイトの開設者) に勧誘報酬が支払われる仕組みになっています。このXMという海外FX業者はこの手の比較サイトで最も頻繁に推奨されている業者ですが、それはこの業者が顧客から見て最も優れた業者だからではなく最もアフィリエイターに支払われる勧誘報酬が高額だからでしょう。FX業者の比較サイトとかランキングサイトが全く信用ならない所以です。

詐欺勧誘の手口


FX関連詐欺としては単純に高レバレッジなどを強調して投資家を呼び込み、出金拒否するといった単純な手口が最初は多かったのですが、後になって自動売買システムや運用を一任出来るMAM口座とかコピートレードのシステムがある、シグナル配信が受けられる、あるいは必ず儲けられるようになるレクチャーを用意するといった宣伝文句で無知な人を誘い込み、最初から悪意を持って立ち上げられた実体のない幽霊業者に運用資金を入金させるという手口の詐欺が増えています。

右のキャプは国民生活センターのサイトにある儲かってるのに出金できない!?海外FX取引をめぐるトラブルにご注意-自動売買ソフト等を購入させ、海外FX取引に誘う手口-」という2014年6月19日付の記事にある説明図です。自動売買ソフトを販売する業者はソフトを販売するだけでなく、自らが用意した可能性が高い海外の幽霊FX業者を資金運用先として指定し、運用資金を入金するように指示してきます。自動売買ソフトではなく高収益を得ているプロのトレーダーの取引をフォロー出来るコピートレードが可能であるなどと称する場合もあります。最初は運用が順調に行われて資産が増え続けるように見えていたので安心していたら、FX業者から資金を出金出来なくなり、ソフトの代金だけでなく運用資金も根こそぎ奪われてしまうという形で被害金額がとても大きくなってしまう場合もあるようです。本サイトで検証している海外FX業者の中にもこの手口の詐欺の為に立ち上げられたのではないかと疑われる海外に活動実体があるかどうか怪しい幽霊業者と思われるものが複数含まれています。

特にこうした勧誘は単に勧誘サイトを作って勧誘するという形から始まり、その後はTwitterやInstagramといったSNSで札束や海外旅行や高級車、豪華なパーティーなどの写真を大量に掲載し、FXで大きな利益が出ているように装って無知な人を誘い込む「雰囲気商法」とか「憧れ商法」という手口が使われることが多いようです。あるいはいわゆるマルチ商法による勧誘の事例も非常に増えているようです。マルチ商法で投資詐欺の勧誘が行われる事例については「モノなしマルチ」といった言葉も生まれてきています。


友だちから誘われても断れますか?若者に広がる「モノなしマルチ商法」に注意!

 (国民生活センター 2019年7月25日)

商品がない「モノなしマルチ商法」って一体ナニ? SNSで勧誘された若者のトラブルが急増中

 (FNNプライムオンライン 2019年7月29日)


これらは国内での詐欺勧誘ですが、最近はネットを介して海外の詐欺グループに勧誘されるという事例が非常に増えています。特に急増していると思われるのが中国の詐欺グループによると思われる詐欺勧誘でマッチングサイトやSNSで知り合った中国系の美女あるいはイケメン男性から投資の勧誘を受けたら要注意です。詳しくは「検証13」以降で集中的に検証していますが、続々と詐欺サイトが立ち上げられて非常に多くの被害者が出ているようです。


本サイトではこうした危険なFX関連のサイトをすべてカバーすることは到底出来ませんがFX関連の危険なサイトを検証して被害を減らすことに繋げることを目指していきたいと思います。


尚、本サイトでは検証の公平性を保つ為に例えば優良な業者を紹介するとか業者のランキングを紹介するいったことは全くしていませんし、将来的にもそういったことをするつもりがありません。上にも書いたように基本的には海外FX業者を選択することについてメリットよりもデメリットが多くて推奨しないという立場であり、当然アフィリエイトリンクも広告もなく、完全ボランティアで運営しているサイトです。