本ページで検証するサイトはいずれも金融庁のサイトで公表されている金融商品取引業者の登録リストに該当が見つかりません。日本居住者に対して勧誘が行われれば違法な無登録業者ということになります。本ページで検証するサイトの少なくとも一部については日本人に向けた勧誘が確認されており、さらには関東財務局から違法業者として警告が出ているサイト、被害報告が出ているサイトも含まれています。
▼本サイトでの検証は名誉棄損に当たらないと考えます。→ 雑記1
本ページでは以下を検証します。
●W.L.Limited (W.L.リミテッド https://wl-fx.com/ja/index.html)
●OMEGAPRO (オメガプロ https://omegapro.world/jp/)
●CFX International Limited (CFXインターナショナルリミテッド http://www.cf-cfx.com/)
●GOOD ENOUGH FX (グッドイナフFX https://www.goodenoughtreasure.com/top)
●Liberty FX Limited (リバティーFXリミテッド https://www.libertyfx-trading.com/jp/)
●Vantage Trading (ヴァンテージトレーディング https://www.vantagetradings.com/)
●STARTRADER (スタートレーダー https://www.startraderjp.com/)
まず以下のサイトを検証します。
●W.L.Limited (W.L.リミテッド https://wl-fx.com/ja/index.html)
これもYahoo知恵袋に出てきた質問投稿で知ったサイトです。まずそれらの質問投稿を引用します。
1件目の投稿では上場がよく分かりませんが友人から勧誘されたとあります。2件目の投稿ではコピートレードを考えていてこの業者を候補にしているとあります。しかし後述しますがW.L.リミテッドのサイトを見てもコピートレードに関する記述は見つかりません。一方でTwitterに以下の投稿 (2020年11月25日投稿) を見つけました。
はっきりとW.L.リミテッドで専業裁量トレーダーのコピートレードについて書かれていて、しかも推定月利:10%~30%という異様な高利回りが可能であるとなっています。しかしコピートレードについてこれ以上の詳細情報は見つかりません。
ともかくW.L.リミテッドのサイトに行ってみました。以下が2020年7月に取得したサイト冒頭部分、日本語表示を選択した場合のキャプです。新規口座開設して入金すると5000円のボーナスが貰えると書いてあります。
このサイトでは日本語以外に英語表示を選択することが出来ます。そして以下が同じく2020年7月に取得した英語表示を選択した場合のキャプです。
何と英語表示にしてもボーナスの額は5,000 Yen (5,000円)と円単位になっています。これは異様です。後述するようにこのサイトは海外に運営本拠があることになっていますが実際に運営しているのは日本のグループではないかと疑わざるを得ません。
その後、再度2020年12月にアクセスしてみたところ、日本語表示では相変わらず5000円のボーナスが得られると書いてありますが英語表示にするとこのボーナスに関する記述が丸々消えて背景画像だけになっていました (以下の2つのキャプ参照)。
何やら違和感があるのはこれだけではありません。この冒頭部に続いて「WLの5つの特徴」という項目があります。以下はその第1項を日本語版と英語版で比較したものです。
「入出金のスピードが業界最速」とあってさらに「全国の約350の金融機関に出金が可能です」という説明書きがついています。ここで「全国」というのは日本全国の意味でしょう。そしてこの部分を英語版で見ると「approximately 350 financial institutions nationwide」と日本語版で書いてある内容の直訳になっています。これは意味が分かりません。違和感があります。この英語版の「nationwide (全国で)」の意味するところは何処の国での全国なのでしょうか?
もっと違和感があるのは同じ「WLの5つの特徴」の第5項目です。これも日本語版と英語版のキャプを以下に示します。
日本語版では「日本語サポートの充実」「日本人スタッフによる日本語サポートを提供しています。」とありますが対応する部分を英語版で見ても「Complete Japanese support (完全な日本語サポート)」「We provide Japanese support by Japanese Staff (日本人スタッフによる日本語サポートを提供しています。)」と全く同じことが書いてあります。これはどう考えてもおかしいです。これは日本語サイトが先に作られて、それを直訳する形で英語サイトが作られた為におかしなことになっているとしか思えません。やはりこれは海外の業者を名乗っていても日本人グループが作ったサイトである疑いが濃厚と判断せざるを得ません。
その運営者の所在地情報に関してですが開示されている情報は限られています。まず脚注に以下のキャプに示した住所が記されています。
>Address: Vistra Corporate Services Centre, Suite23, 1st floor, Eden Island, Mahe, Republic of Seychelles
この住所は租税回避地として有名なインド洋に浮かぶ島国のセーシェルの住所です。そして住所の先頭部分にある「Vistra Corporate Services Centre」を調べてみるとこれはセーシェルにあるオフショア会社であることが分かりました。以下がそのVistra社のサイトから取得した連絡先情報のキャプです。部屋番号まで住所が一致しており、W.L.リミテッドの事業実態はセーシェルにはないと思われます。
これ以外の連絡先情報としては以下のキャプに示したメールとLINEのリンクがあります。
このリンクから読み取るとメールアドレスとLINEのリンクは以下のようになっているようです。
メール:info@wl-fx.com
LINE:https://lin.ee/2AhGisvwa
LINEはWikipediaの記事によれば日本以外にタイとか台湾では最も普及しているメッセージアプリの様ですがそれ以外の国、特に英語圏ではそれほどメジャーな存在とは言えないとなっています。連絡手段としてLINEを使っているというだけでやはりW.L.リミテッドは実際には日本に運営元がある可能性が高いのではないかと考えたくなります。また金融ライセンスに関する記述は全く見当たらないようです。一応住所があるセーシェルの金融サービス局(Financial Services Authority Seychelles)のサイトでFX業者を含むCapital MarketsのリストにW.L.リミテッドの登録がないか探してみましたがやはり確認出来ません。つまりW.L.リミテッドは日本の金融庁で金融ライセンスを得ていないだけでなく、世界の何処の国でもライセンスを得ていない無登録業者としか思えません。信頼性は著しく低いと考えざるを得ません。
次に最初に引用したYahoo知恵袋の投稿やTwitterで発見した勧誘投稿にあったコピートレードについてです。W.L.リミテッドのサイトを見てもコピートレードに関する具体的な記述、例えばコピートレードでフォローするトレーダーの選択肢とかそのトレーダーの実績のようなものは全く見当たりません。それどころかFAQ (よくある質問)には以下のキャプに示した項目があります。
>FXの取引は還俗お客様個人で行って頂きます。
この説明を読むとコピートレードのサービスを提供しているようには全く思えません。むしろ自分でEAを用意して自動売買するのは勝手だが、コピートレードとかMAMのサービスをW.L.リミテッドが提供することは完全否定しているように思われます。
ところが一方でトップページの下のほうにある「NEWS」の項目には2020年9月9日付で以下のキャプに示した告知が出ています。
この告知を見るとW.L.リミテッドでMAM口座を扱っているとしか思えません。何故MAM口座に関する記述がこれだけしかないのか、FAQではむしろMAM口座の扱いを否定するような矛盾しているような記述があるのか理解不能です。またこのMAM口座からの出金に関する告知は日本語サイトにしか存在せず、英語サイトには存在しないようです。これも全く理由が分かりません。
さらにW.L.リミテッドはFX業者でしかもFAQには
>FXの取引は還俗お客様個人で行って頂きます。
といった記述もあるのですがW.L.リミテッドのサイトにはFX業者のサイトでまず間違いなく提供されている為替相場のリアルタイム情報やチャートが全く見当たりません。ログインしないとリアルタイム為替情報やチャートが出てこない設定になっているのでしょうか?かなり違和感があります。
結論としてW.L.リミテッドは所在地や運営者に関する情報開示が明らかに不足しており、金融ライセンスは全く得ていないようです。さらに海外業者を名乗っていても実際の運営元は日本のグループではないかと疑わざるを得ない部分が複数指摘されます。現時点では出金出来ないといった被害報告はまだ確認出来ていませんが信頼性は極めて低いと判断します。取引は推奨しません。
※付記1
Yahoo知恵袋に出てきた2021年3月8日付の質問 (以下のキャプ参照)によれば友人から勧誘されてW.L.リミテッドのおそらくMAM口座に入金したところ、残高がマイナスになったということです。友人からの勧誘はマルチ商法を疑わせるものだったようです。MAM口座で残高がマイナスになるなど有り得ないでしょう。違法なだけでなく非常に危険な業者としか思われません。
※付記2
令和4年(2022年) 9月30日付でW.L.リミテッドに対して無登録の違法業者であるとして関東財務局から以下に示す警告が出ました。
質問には友人から誘われたとありますからマルチ商法で勧誘が行われている可能性が考えられます。「14ヶ月で元金3倍らしいです」とありますからコピートレードとかMAM口座で運用を一任することが出来るようになっているのだと思われますが、「14ヶ月で元金3倍」は非現実的で危険な臭いがします。さらにこの質問に対して「オメガプロ 詐欺で検索すればたくさん出てくる」という回答がついています。確かに検索するとオメガプロは詐欺であるというネット上の情報が多数見つかるようです。ネット上の情報については後述します。とにかくOMEGAPROを検索して出てきたサイトの冒頭部のキャプを以下に示します。
右上のプルダウンメニューに国旗のアイコンが並んでいて表示言語を選択出来るようになっていますが選択肢は英語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、日本語、韓国語の6つとなっているようです。まず連絡先情報ですが、脚注に記されている連絡先情報は2020年5月からこの検証を書いている2020年12月までの間に変更があったようです。左下が変更前の歳と脚注部分の連絡先情報のキャプ、右下が変更後の連絡先情報のキャプです。電話番号などはなく、変更前はイギリスの住所とメールアドレス、変更後はセントビンセント・グレナディーンの住所があるだけです。
情報開示は明らかに不充分ですがともかくこれらの連絡先住所について調べてみました。まず以前にあったイギリスの住所です。
>Unit 3, 1st Floor, 6/7 St. Mary at Hill, EC3R 8EE, London, United Kingdom
>support@omegapro.world
この住所を検索してみるとCAPITALITE LIMITED (https://www.capitalite.co.uk/) というオフショア会社の住所 (以下のキャプ参照) と完全に一致することが分かりました。
このロンドンの住所にオメガプロの事業実体が存在するかどうか極めて疑わしいです。さらにイギリスの住所であったことからイギリスの法人登録を探してみたところ見つかってきたオメガプロ社の法人登録は以下のキャプのようになっています。
オメガプロはこの法人登録を見ると2018年11月22日に法人登録が為されていますが、赤枠で囲った部分にあるように2020年10月27日付でDissolved (解散) になっています。しかもこの法人登録の「Filliing history」の項目を見ると解散はどうやら自主的なものではなく、理由はよく分かりませんが2020年2月11日に強制的なStruck-Off (登録取り消し)の警告が出て、2020年10月27日に取り消しが執行されたことによるもののようです。オメガプロのサイトからイギリスの住所が消えてセントビンセント・グレナディーンの住所になったのはイギリス法人が解散処分になったからである可能性が高いです。そして既に解散になっていますがこのイギリスの法人登録上の住所は同じロンドン市内でもオメガプロのサイトにかつて記されていた住所
>Unit 3, 1st Floor, 6/7 St. Mary at Hill, EC3R 8EE, London, United Kingdom
とは異なる住所です。そこで法人登録上の住所
>483 Green Lanes, London, United Kingdom, N13 4BS
を検索してみると以下の2つのキャプに示したPrime Secretarial というバーチャルオフィス業者の住所に一致するようです。但しこのバーチャルオフィス業者は廃業してしまったのか公式サイトが閉鎖されているようです。
さらにイギリスの法人登録には経営者情報のページもあります。経営者として開示されているのは以下のキャプに示したMICHAEL OTRINというオーストリア国籍、オーストリア在住の人物1名のみです。
オメガプロが法人登録された際に提出された書類にはどれほどあてになるかは疑問ですがこのMICHAEL OTRINという人物のオーストリアの住所が記されています (以下のキャプ参照)。
>74 IDLHOFGASSE, GRAZ, AUSTRIA, 8020
この住所はオーストリアのGRAZ (グラーツ) という市の住所のようです。
法人登録が現在は取り消されているとは言え、一応確認されたのでイギリスの金融機関登録を担当しているFinancial Conduct Authority (FCA、金融行動監視機構)のサイトでOMEGAPROの登録を探してみましたがやはり確認出来ません。少なくともイギリスで金融機関登録を得ていることはないと思われます。
イギリスで法人登録が取り消し、金融機関登録も確認出来ないということになったので次にオメガプロのサイトに2020年12月現在で所在地となっているセントビンセント・グレナディーンの住所について調べてみました。
>Griffith Corporate Centre, Kingstown, St. Vincent And The Grenadines
この住所は「Griffith Corporate Centre」から始まっているのですが、検索してみるとGriffith Corporate Centreの公式サイトが見つかり、バーチャルオフィス業務などを行っていると書いてあります。さらにこの「Griffith Corporate Centre」について調べてみるとセントビンセント・グレナディーンのFinancial Services Authority (FSA、金融サービス機構)の公式サイト (http://svgfsa.com/) にあるSERVICE PROVIDERS (オフショア会社) のリストの中に「Griffith Corporate Centre」内の住所を登録しているオフショア会社が2件あることが分かりました (下のキャプ参照)。
この2件のオフショア会社は部屋番号は異なりますがいずれもGriffith Corporate Centreの住所です。どうやらGriffith Corporate Centreには複数のオフショア会社が入居しているものと思われます。いずれにしろこの住所にオメガプロの事業実体が存在しているとは考えにくいです。
またセントビンセント・グレナディーンのFSA (金融サービス機構)ではFX業者やバイナリーオプション業者には金融ライセンスを認めていないという告知を2018年3月29日付で出しています。以下はその告知の冒頭部分とGoogle翻訳による日本語訳のキャプです。
従ってオメガプロがセントビンセント・グレナディーンの金融ライセンスを得ていることは有り得ません。一応、FSAのサイトでオメガプロの登録や何らかの記述がないか探してみましたが見当たりません。検索してみるとスペインのCOMISION NACIONAL DEL MERCADO DE VALORES (CNMV、スぺイン証券取引委員会) から以下のキャプに示したようにオメガプロが無登録の違法業者であるという警告が出ていることが分かりました。
さらに同様の警告がフランスの金融機関登録を管轄するAutoritédes Marchés Financiers (AMF)からも出ていることが分かりました。以下はAMFのサイトに出ている2020年9月29日付の警告 (英語版)の冒頭部とこの冒頭部をGoogle翻訳で日本語訳した結果、さらに警告対象になったFX業者のリストのキャプです。複数のFX業者、デリバティブ取引や仮想通貨を扱う業者を一括して警告対象としており、警告対象となったFX業者の中に赤枠で囲ったオメガプロが出てきます。
結局、オメガプロは日本の金融庁でライセンスを得ていないだけでなく、世界中何処の国でも金融ライセンスを得ていない無登録の違法業者であり、信頼性は著しく低いと考えざるを得ません。
さらに最初に引用したYahoo知恵袋の投稿に「14ヶ月で元金3倍らしいです」とか「オメガプロ 詐欺で検索すればたくさん出てくる」といった情報があったのでこれらについても検索してみました。日本語で「オメガプロ 詐欺」で検索するだけでなく「OMEGAPRO Scam」といった組み合わせでの検索も試してみました。肯定的、否定的な両方の意見、情報が示されているかなり多くのサイトが引っかかってくるのですが、日本語のサイトは簡単に読めると思うので特に英語で書かれているサイトの中から一応は根拠が挙げられているものなど信用出来ると思われるサイトに書かれている情報を幾つか引用、紹介します。
まずTBBOBという投資詐欺の検証サイト (https://tbbob.com/) に掲載されていた「Omegapro review - a DEEP scam [warning],」という記事を引用します。記事のタイトルを日本語訳するなら「オメガプロのレビュー (悪質な詐欺の警告)」ということになります。このレビューサイトがどれほど信頼出来るのかは不明です。特定のFX業者を推奨しているようなので他の業者に低評価を付けているだけかもしれません。とにかくこのオメガプロの評価記事を見て最も興味深いのは以下のキャプに示した部分です。英語原文とGoogle翻訳で日本語訳した結果のキャプを示します。
「本当のブローカーではない」とあって文章を読んだだけではよく分かりませんが、要するにオメガプロではFX取引をすることは出来ない、その機能がないということのようです。オメガプロで扱っているのはFXで運用すると称する投資案件だけで自分でFXのポジションを売買する機能はないというのです。確かにオメガプロのサイトを見てもFX業者のサイトならば必ず用意されているであろうリアルタイムの為替情報とか外貨のチャートなどは全く見当たりません。仮想通貨も扱っているようなことが書いてありますが仮想通貨の相場情報やチャートも見当たりません。サイト冒頭には「Forex Login」「Crypto Login」という項目があるのでログインすれば相場情報やチャートが出てくるかもしれないとは思っていたのですが、このTBBOBというサイトのレビューによれば下のキャプに見えるように取引機能は「COMING SOON (近日開始予定)」とあるだけで提供されていないというのです。
そしてこのレビューはオメガプロは実際の運用などは行わずに投資名目でお金を集めてその集めたお金の一部をとりあえずの配当として払う自転車操業、いわゆるポンジースキームの投資詐欺に違いないと結論しています (以下の原文と翻訳文のキャプも参照)。
実際の運用が行われていないと断言するだけの証拠があるかどうかについては疑問ですが、確かに相場情報やチャートがない点など考えると極めて疑わしいことは確かです。
次にもう1つ、オメガプロの検索で出てきたマルチ商法関係に警告を発しているBehind MLMというサイト (https://behindmlm.com/)で見つけたオメガプロに関する記事を引用します。原文は英語ですが以下にはGoogle翻訳による日本語訳の結果のキャプを示します。この記事によればオメガプロは16ヶ月で200%というおよそ非現実的としか思われない利回りを提示して投資を募っていたようです。
この記事の最初の部分は2020年1月27日付でサイトの開設日 (2018年11月9日)とイギリスの住所がバーチャルオフィス業者の住所であるという点を指摘しています。この記事で興味深いのは2020年8月20日付で更新された部分です。情報源などは明かされていませんが、このbihind MLMというサイトの調査によればオメガプロの運営はDiliwar Singh (ディラーワル・シン)、Andreas Szakacs (アンドレアス・サカックス)という2名によって運営されており、この内、ディラーワル・シンという人物についてはオメガプロ以前にOmniaTech (オムニアテック)というポンジースキームの詐欺に関与してオムニアテックが破綻した直後にオメガプロを立ち上げているとしています。そしてこの2020年8月20日の時点でオメガプロのサイトへの悪セ氏が多い国としてブラジル、コロンビア、ナイジェリアといった国が挙げられています。これらの国でオメガプロの被害者が出ている可能性が高いということになります。
しかしこのアクセス状況はその後、かなり変化したようです。以下はこの検証を書いている2020年12月半ば時点でアクセス状況を解析出来るサイトでオメガプロへのアクセスを調べた結果のキャプです。
1日当たりの独立訪問者数は平均で17万2547人とかなり多いようです。そして問題の国別のアクセス状況のキャプを以下に示します。
かつてオメガプロへのアクセスが多かったというブラジル、コロンビア、ナイジェリアの3ヵ国の中でコロンビアとナイジェリアからのアクセスは相変わらず多いようでそれぞれ2位、3位を占めていますが、首位だったというブラジルは完全にこの国別ランキングから外れ、ブラジルの代わりに首位に躍り出ているのが何と日本という結果になっていて2位以下を大きく引き離しています。訪問者の実に半分以上、51.6%が日本からという結果から計算すれば1日平均で日本からの独立訪問者が8万9000人ほどもいる計算になってしまいます。これではオメガプロがポンジースキームによる投資詐欺であった場合、日本でかなり多くの被害者が出ることになりかねません。
検索してみると日本でオメガプロの勧誘を主導した人物がいたという話が出てきます。例えばオメガプロの公式Facebookのアカウントを見ていくと以下のキャプに示した2020年7月18日付の投稿に日本でビジネスカンファレンスを開催という報告が出てきます。
>Boom! Another EXPLOSIVE EVENT as we re-start the Asian market! ??????
>Saturday, July 18 we are live and at our biggest turnout ever, in Japan, with Dilawar Singh - CNO, Andreas Szakacs - CEO and superstar Motohiro Node leading the pack! - in Japan.
>-場所: 日本
アジアでの活動をリスタートさせる、2020年7月18日の土曜日に日本で最大のイベントを開催したと記されており、CNOの Dilawar Singh、CEOのAndreas Szakacs、そしてスーパースターのMotohiro Nodeの3名がイベントを主導したとあります。ここで最も気になるのは最後のMotohiro Nodeという日本人としか思えない名前の人物です。日本語でオメガプロを検索するとこのMotohiro Node (漢字表記は野出基弘)という名前が日本でオメガプロの勧誘に主導的な役割を果たした人物として頻繁に出てきます。
オメガプロは典型的なマルチ商法を採用していると思われ、例えばDIRTY SCAMというサイトの記事によるとどれほどの資金を集めたかなどによってランキングが上昇する条件が説明されており、下から順にAssociate (アソシエート)、Builder (ビルダー)、Silver (シルバー)、Gold (ゴールド)、Platinum (プラチナ)、Diamond (ダイヤモンド)、Blue Diamond (ブルーダイヤモンド)、Black Diamond (ブラックダイヤモンド)、Crown Diamond (クラウンダイヤモンド)の9段階のランキングがあるとなっています。
そしてオメガプロの公式Facebookのアカウントには昇格の条件を満たして昇格した人たちの紹介がしばしば出てきます。ランキングを獲得した人たちが全て紹介されているとは限らないのではないかと思いますが、日本でランキングを獲得した人たちも30人ほどが紹介されており、その中で最もランキングが高いのがそのNODE MOTIHIRO (野出基弘)という人物です。以下がその野出基弘という人物のランクアップに関するFacebookの投稿のキャプです。
この投稿の日付は2020年5月1日、獲得したランキングはブルーダイヤモンドとなっており、これは9段階の中で上から3番目ということになります。この人物が日本国内でのオメガプロ投資勧誘に大きく関与し、オメガプロのサイトへのアクセスの半分を超える部分が日本からになっているという状況を導いた上で重要な役割を果たしてきたことは確かと思われます。
こうしたランキングシステムが存在することなどからもオメガプロがマルチ商法で勧誘を行っていることは確実でしょう。そしてマルチ商法で勧誘を行っているのならばオメガプロが詐欺である可能性がますます高いように思われます。マルチ商法の勧誘報酬を出す原資を何処に求めるのか考えたらば勧誘報酬の原資も運用で生み出す必要があることになり、ただでさえ16ヶ月で200%といった非現実的な高利回りをさらに上回るような運用利回りを達成することなど到底不可能という結論にならざるを得ないからです。
結論としてオメガプロは到底信用出来るような投資先とは思えません。単に無登録の違法業者であるというだけではなく、最初から計画されたポンジースキームの詐欺であり、いずれは破綻して多くの被害者が出る可能性が極めて高いと考えざるを得ません。投資勧誘されても決して応じないことを強く推奨します。
※付記
時期は不明ですがURLアドレスが微妙に変更されたようです。
変更前:https://omegapro.world/index.php?language=jp
変更後:https://omegapro.world/jp/
ドメイン名の部分は同じなので同じサイトなのですが、変更前のURLアドレスではアクセス出来なくなっています。どういう意図があるのか不明です。またサイトの見かけがかなり変更されたようです。以下は変更後のサイト冒頭のキャプです。
●CFX International Limited (CFXインターナショナルリミテッド http://www.cf-cfx.com/)
最初に書いておきますがこのサイトのURLアドレスは暗号化されていることを示す「htttps」ではなく、暗号化されていないことを示す「http」で始まっています。これはFX業者のサイトとしてセキュリティーに明らかに問題があり、それだけで論外のレベルです。
そしてこれはYahoo知恵袋に質問が出てきたサイトで結論から言えば海外業者を名乗っていても日本のグループによる運営である可能性が高いです。まずこのサイトを知ることになったYahoo知恵袋への投稿を引用します。
なぜこの業者に口座を作ることになったのかなど何も分かりませんがとにかく検索して表題のサイトを見つけてきました。以下が見つけてきたサイトの冒頭部のキャプです。
表示対応言語は上のキャプの右上、プルダウンメニューに国旗のアイコンが見えますが日本語、英語、中国語、香港語の4つです。そしてFXでは70種類の通貨ペア、それ以外に金、銀、原油といった商品先物、株価指数CFDなども取引可能となっているというのですがリアルタイムの相場情報とかチャートは見当たりません。口座開設してログインすればリアルタイム情報も出てくるのかもしれませんが違和感があります。
次に連絡先情報とか金融ライセンスに関する記述を探しましたが殆ど情報がありません。辛うじてサイトの脚注の最後にメールアドレスのみ記されています。
>info@cf-cfx.com
それ以外には「私達について」→「はじめに」という項目の中に以下のような記述があります。
CFXインターナショナルリミテッドの本社はイギリスにあるとなっています。そこでイギリスの法人登録を検索してみましたがそれらしき法人登録は見当たりません。そこでCFXインターナショナルリミテッドについてさらに検索してみると日本に本拠があるのではないかという情報が幾つか見つかってきました。まず以下に示したサイトのWho Is 情報に運営者に関する情報があります。
赤枠で囲った部分に登録者に関する情報があります。
>Registrant Name: RYUTARO NAKANO
>Registrant Organization: CFX International Limited
>Registrant Street: Blackburne Highway
>Registrant Street: Sea Meadow House
>Registrant City: Road Town
>Registrant State/Province: Tortola, Blitish Virgin Islands
>Registrant Postal Code: P.O.BOX 116
>Registrant Country: JP
>Registrant Phone: +81.8030122795
>Registrant Phone Ext:
>Registrant Fax:
>Registrant Fax Ext:
>Registrant Email: kouji.miyaushiro@gmail.com
登録者はRYUTARO NAKANOという日本人としか思えない個人名になっており、所属機関がCFXインターナショナルリミテッド、所在地は「Blitish Virgin Islands」と記されていますがこれはおそらく「British Virgin Islands」のスペルミスで租税回避地として有名な英領バージン諸島の住所です。
>P.O.BOX 116, Blackburne Highway, Sea Meadow House, Road Town, Tortola, British Virgin Islands
この英領バージン諸島の住所は検索すると非常に多くのサイトで所在地とされているようなのでまず間違いなくオフショア会社を利用した架空住所でしょう。Who Is 情報にはさらに日本の国番号[+81]から始まり、(080)が続くので日本の携帯電話の番号と思われる電話番号と無料登録できるgmailのメールアドレスが記されています。gmailのアドレスにも「kouji.miyaushiro」という日本人の名前としか思われない部分があります。このメールアドレスや携帯電話の番号を検索すると中古車販売業者と思われるT-dash Secret Car Clubのサイト (https://secretcar.amebaownd.com/) の連絡先情報に全く同じ携帯電話番号とメールアドレスを見つけました。どうやら「miyaushiro」の漢字表記は「宮後」のようです。
このT-dash Secret Car Clubは「高級外車を中心に揃えたプレミアムカーが一般相場の半額で購入できる会員制クラブ」だそうで高級外車の画像が並んでいますが、奇妙なことに住所が見当たりません。国税庁の法人番号公表サイトで「T-dash Secret Car Club」の法人登録を探してもみましたが該当がありません。
さらにCFXインターナショナルリミテッドを検索してみるとFXの自動売買ソフトを提供し、運用先としてCFXインターナショナルリミテッドでの口座開設を推奨するサイトが複数存在するようです。まず以下は合同会社アイオーアドバイザーズというサイト (https://www.i-o-advisors.com/) の冒頭部のキャプです。
これは投資のセミナーを開催するなどしている業者のようです。このサイトには「CFX証券口座開設」というページがあって以下のキャプに示したようにシステムトレード、自動売買のシステムを提供しているようです。
但し、このシステムトレードでどれほどの運用利回りが得られているのかなど詳しい情報は提供されていません。
そしてそのシステムトレードを利用する為の運用先としてCFXインターナショナルリミテッドが指定されているようでCFXインターナショナルリミテッドでの口座開設方法が説明されています。
さらにCFXインターナショナルリミテッドへの入金方法として日本国内の金融機関の口座が指定されています。
>銀行:さわやか信用金庫
>店名:赤坂支店(032)
>口座タイプ:普通
>口座番号:1254237
>口座名義:シャ)シーエフエックスインターナショナルリミテッド
海外業者なのに日本の金融機関に口座を持っているというのは異様です。日本の金融機関で法人口座を開設するには基本的に日本で法人登録を取得することが必要なはずと思って調べると海外業者のはずなのにCFXインターナショナルリミテッドのものと思われる法人登録が見つかってきました (以下のキャプ参照)。
住所は福岡県北九州市となっていますが、入金先として指定されている口座の金融機関、さわやか信用金庫は東京、神奈川にしか支店がないようです。本当に北九州に事業実体があるかどうかは疑問かもしれません。とにかくこれは海外業者かどうか極めて疑問と考えざるを得ません。海外業者を名乗っているけれども実際の運営は日本のグループという可能性を考えざるを得ません。
一方でシステムトレードを提供している合同会社アイオーアドバイザーズの連絡先情報を探すと会社概要にはメールアドレスしかありません。
しかしセミナーの説明を見ていくとセミナーの会場がアイオーアドバイザーズセミナールームとなっており、熊本市の住所が記されていることに気が付きました。
>熊本市南区近見8丁目11-40 アイオーアドバイザーズセミナールーム
さらに合同会社アイオーアドバイザーズについても法人登録が確認され、その住所も熊本市南区の同じ住所になっています。しかし法人登録があっても自動売買システムを提供するなら金融商品取引業者 (投資助言代理業) の登録が必要のはずですが、金融庁のサイトで公開されている金融商品取引業者の登録リストを見ても合同会社アイオーアドバイザーズの登録は見当たりません。合同会社アイオーアドバイザーズも違法な無登録業者ということになると思われます。
さらにCFX-Library (https://cfx-library.com/)というサイトが見つかりました。以下がサイトの冒頭部のキャプです。
上のキャプの右上にプルダウンメニューが見えますが、表示言語が日本語、英語、中国語から選択できるようになっています。そしてこのサイトには以下のような説明があります。
>CFX International Limitedに特化した有料クラスの多数の自動売買ソフト(EA)を取り揃えたサイトです。
とあるのでCFXインターナショナルリミテッド専用の自動売買ソフト(EA)を無料配布するサイトのようです。無料でEAを提供するのはCFXインターナショナルリミテッドへの勧誘が目的としか思えません。そして有料ではなく無料で配布しているのだから金融商品取引法も特定商取引法も関係ないということなのかもしれませんがこのサイトには運営者に関する情報が何もありません。日本語、英語、中国語から表示言語を選択出来るという点からすれば運営者は海外という可能性も考えられたのですが、英語や中国語での表示を選択しても部分的に日本語の表示が残ることからやはりこのサイトも運営は日本国内のグループによるサイトの可能性が高いです。以下のキャプでは右上に見えるように英語 (English) 表示を選択しているのですが、3つのEAの名称、ビックバン。テトラ、キングギドラは日本語表示のままです。
さらに電話帳ナビというサイトで以下の口コミ投稿を発見しました。
株式会社AGという会社から年240%、月15%の利回りというCFXインターナショナルリミテッド専用の自動売買システムを勧誘され入金したところ出金出来なくなったということのようです。入金先は三井住友銀行の北九州支店だったようです。そしてこの株式会社エージーには心当たりがあります。すなわち、上で取り上げたCFXインターナショナルリミテッドの法人登録の住所が
>福岡県北九州市小倉北区城内7番11-1002号
となっていましたが、この住所が株式会社AGという別の法人の登録住所にもなっていることに気が付いていました。以下が株式会社AGの法人登録のキャプです。
この法人の現住所は
>福岡県北九州市小倉北区木町3丁目1番21号
となっています。問題のCFXインターナショナルリミテッドの法人登録の住所と一致する住所は上のキャプの下の部分にある変更履歴情報の中にあります。すなわち令和2年 (2020年) 11月9日に現住所に転居するまでの旧住所が
>福岡県北九州市小倉北区城内7番11-1002号
となっていてCFXインターナショナルリミテッドの法人登録の住所と一致するのです。株式会社AGの法人登録と比較するとCFXインターナショナルリミテッドと株式会社AGはCFXインターナショナルリミテッドが法人登録された令和2年 (2020年)7月22日から株式会社AGが転居した令和2年 (2020年) 11月9日まで3ヶ月半ほどに渡って部屋番号まで全く同じ住所に同居していたことになります。2つの法人は同じグループによって登録された法人である可能性が濃厚です。
以上をまとめるとCFXインターナショナルリミテッドは海外のFX業者を名乗っていますが、関連する合同会社アイオーアドバイザーズや株式会社AGとおそらく組織的な繋がりがあり、日本国内のグループによって運営されている可能性が濃厚です。これは本サイトの前書きでも取り上げましたが、国民生活センターのサイトに警告が出ている手口の詐欺の為の組織ではないかと疑わざるを得ません。CFXインターナショナルリミテッドでの投資を勧誘されても決して応じないことを強く推奨します。
※付記1
CFXインターナショナルリミテッドの経営者である可能性のある人物として宮後 (みやうしろ) という人物の名前が出ていましたが、この人物について改めて検索してみたところ東久邇宮国際文化褒章という褒章の受章者リストの中にCFX International LimitedのCEO (最高経営責任者) という肩書の宮後浩司という人物を見つけました (以下のキャプ参照)。令和2年3月26日に受賞したとあります。
さらに同日付の受賞者の中にCFX International Limited のExecutive Director という肩書を持つ木村昌弘という人物の名前があります。
ちなみにこの東久邇宮国際文化褒章についてはWikipediaに簡単な記述があります。非常に分かりにくいのですが、2011年に東久邇宮記念会より別れて設立された東久邇宮国際文化褒賞記念会という団体が出している褒章となっています。東久邇宮文化褒賞と東久邇宮国際文化褒賞は名前が似ていても全く別の存在のようです。そして以下のような記述があります。
>ちなみに、「褒賞」と言っても法的にはあくまで「商品」の扱いとなり、受賞を申請する公式サイトは法的にはあくまで「ネットショップ」であり、お金を支払って褒賞を受賞することは「ネットショッピング」の扱いとなる。
どうやらお金を出せば受賞できるのが実態なのではないかと思われます。そして本サイトの姉妹サイトで検証したノアコインという仮想通貨の案件など多くの非常に怪しげな投資案件に関係していた泉忠司という人物が受賞していたのも同じ東久邇宮国際文化褒章です。泉忠司本人のブログの2011年11月付の投稿に東久邇宮国際文化褒章を受章したという報告があります。
※付記2
CFXインターナショナルリミテッドと同様に合同会社アイオーアドバイザーズと関連していると思われるGOOD ENOUGH FX (グッドイナフFX) というサイトを発見したので以下に検証を書きました。組織的な繋がりの可能性も考えられます。参照してください。
※付記3
2021年11月26日付で関東財務局からCFXインターナショナルリミテッドに対して無登録の違法業者ということで以下に示す警告が出ました。
※付記4
2022年1月にYahoo知恵袋にCFXインターナショナルから出金出来ないという投稿が出てきました。以下にキャプを示しますが出金手続きをして2週間経過しても出金を確認出来ないようです。
●GOOD ENOUGH FX (グッドイナフFX https://www.goodenoughtreasure.com/top)
画像検索していて偶然見つけたサイトで結論から言えば海外のFX業者を名乗っていますが結論から言えば上で検証したCFXインターナショナルリミテッド / 合同会社アイオーアドバイザーズと組織的な繋がりの可能性がある日本のグループによる違法業者の疑いが濃厚です。以下の検証はCFXインターナショナルリミテッドの検証と併読されることを推奨します。
まず以下にサイト冒頭のキャプを示します。表示言語の選択肢は右側のプルダウンメニューから選択出来る日本語、英語、スペイン語、中国語、アラビア語、ロシア語、フランス語、イタリア語、韓国語、ポルトガル語の10言語となっています。
この冒頭部のキャプを見て気が付いたことがあります。上のキャプの右側に「使いやすさとFXの「自由」を手に入れる」と書いてあってその下にノートパソコンのイラストがありますが、この部分を拡大して以下に示します。
上の拡大したキャプで赤枠で囲って強調しましたがノートパソコンの画面の中に「アルバム」と日本語で書いてあるのが分かります。そして以下に示した2つのキャプはサイトの表示言語をそれぞれ英語、中国語に切り替えた場合のキャプです。
日本語表示を選択した場合に「使いやすさとFXの「自由」を手に入れる」と書いてあった部分は確かにそれぞれ英語、中国語になっていますが、ノートパソコンの画面の中、日本語表示を選択した場合に「アルバム」と日本語で書いてあった部分には表示言語を英語や中国語に切り替えても相変わらず「アルバム」と日本語で書いてあるのです。これは明らかに異様です。このサイトを作ったのは日本人である可能性があるように思われます。
そしてこれ以外にもこのサイトを立ち上げているのは日本のグループではないかと思われる部分があります。例えば以下は冒頭部の直下にある現在の為替レートの表ですが日本語版、英語版を示します。
日本語サイトで示されているのは主要な外貨の円建て相場です。日本語版を見るのは日本人でしょうからこれで特に違和感がありません。しかし英語版を見ても表示されているのは主要な外貨の円建て相場なのです。これは異様です。英語圏で生活している人が円建ての外貨相場を必要としているとは思えません。
さらに以下はこの為替相場の表の下に出てくる経済ニュースの欄でやはり日本語版と英語版を示します。
日本語版を見るといすゞ、西武鉄道、ファミリーマート、トヨタなど日本の企業が関係するニュースが並んでいます。そして英語版を見てもやはりいすゞ、西武鉄道、ファミリーマート、トヨタなど日本の企業が関係するニュースの英訳版ばかりが並んでいるのです。やはりこのグッドイナフFXの運営は日本人である可能性が非常に高いように思われます。
そこでグッドイナフFXの連絡先情報を確認しました。以下に会社概要のキャプを示します。
>会社名 GOOD ENOUGH TREASURE co.ltd
>所在地 Intershore Chambers, Road Town, Tortola, British Virgin Islands,
電話番号やメールアドレスは見当たらず、連絡先情報で開示されているのは租税回避地として有名な英領バージン諸島の住所だけです。そしてこの英領バージン諸島の住所は例えばIntershore Consult (https://www.intershore.com/site19/bvi-overview/) というオフショア会社の住所と矛盾しないようです。この住所にグッドイナフFXの事業実態が存在するかどうかは極めて疑わしいと考えざるを得ません。また経営者に関する情報や金融ライセンスに関する記述も見当たりません。日本で金融商品取引業者の登録を得ていないだけでなく、いずれの国でも金融ライセンスを得ていないとなれば信頼性は著しく低いものと判断せざるを得ません。
関連してグッドイナフFXのサイトのWho Is 情報を確認してみました。以下にキャプを示します。
残念ながら登録者に関する情報は公開されていませんがオレンジ色の枠で囲った部分にあるRegistrar (レジストラ)、すなわちドメイン名を地域インターネットレジストリに登録を行う業者としてお名前ドットコム (https://www.onamae.com/) およびGMOインターネット (https://www.gmo.jp/) という2つの日本のインターネット関連業者が挙がっています。やはりグッドイナフFXの運営元は日本のグループである可能性が濃厚と考えます。
さらに上で検証したCFX International Limited (CFXインターナショナルリミテッド) の検証でCFXインターナショナルリミテッドを運用先として指定する自動売買システムを提供する合同会社アイオーアドバイザーズという無登録の投資顧問業者について触れましたが、同じ合同会社アイオーアドバイザーズがCFXインターナショナルリミテッドに加えてグッドイナフFXも資金運用先として指定したことが判明しました。合同会社アイオーアドバイザーズのサイト (https://www.i-o-advisors.com/) にグッドイナフFXでの口座開設や自動売買システムの設定などを説明するページがあります。以下にこのページから一部抜粋して説明します。
まずページの冒頭にシステムトレードを開始したいなら口座開設というリンクが用意されています。この「いますぐ口座開設」と書かれたリンクボタンのURLアドレスは以下のようになっています。
>https://goodenoughtreasure.com/individual?ref=5onvt714yj
最後の「ref=5onvt714yj」の部分は明らかにアフィリエイターのIDでしょう。少なくともこのリンクをクリックして口座を開設すると合同会社アイオーアドバイザーズがアフィリエイト報酬を得ることになると思われます。
さらにこのページを見ていくと口座開設の際に必要な項目の入力について説明があります。以下はその冒頭のキャプです。
活字が小さくなって分かりにくいので上のキャプの画像の部分を拡大して以下に示します。
グッドイナフFXのサイト名やURLアドレス、さらにはグッドイナフFXのロゴが確認出来ます。さらにシステムトレードをグッドイナフFXで稼働させる為の設定の説明が続きます。
そしてCFXインターナショナルリミテッドの場合と同様、入金方法の説明まであります。
入金先はCFXインターナショナルリミテッドの場合と同じく、GMOあおぞらネット銀行の銀行口座です。但し口座の名義はグッドイナフFXではなく「ティーポータル (カ」となっています。この「ティーポータル (カ」についても検索してみましたが情報が見つかりません。法人登録も見つかりません。
合同会社アイオーアドバイザーズとグッドイナフFXの関係が明確ではありませんが、グッドイナフFXが海外業者を名乗っていても実際には日本国内のグループ運営と考えられること、上のCFXインターナショナルリミテッドの検証で書いたCFXインターナショナルリミテッドと合同会社アイオーアドバイザーズの関係性など考えるとアイオーアドバイザーズとグッドイナフFXについても実際には同一グループによる運営である可能性も考えられるように思います。
とにかくグッドイナフFXには情報開示など数々の疑問があり、日本だけではなく海外でも金融ライセンスを得ていないことなど考えると到底信用出来る業者とは思えません。現時点ではこの業者について被害報告など確認されているわけではありませんが取引は全く推奨出来ません。
●Liberty FX Limited (リバティーFXリミテッド https://www.libertyfx-trading.com/jp/)
これはネット検索していて偶然見つけたサイトですが検索してみると日本語での勧誘目的と思われるSNS投稿などがネット上に確認されます。自動売買システムなどと組み合わせて日本国内で投資勧誘が行われていることは間違いありません。まずリバティーFXを検索して見つかってきた勧誘目的と思われる投稿を幾つか示します。
▼水先案内人の船長ロシータ 航海日記 時々、独立支援 (Ameba ブログ 2021年9月20日投稿)
▼FX.ea.IntraX FX情報ブログ (2020年11月16日投稿)
ここで出てくる「IntraFX」というのは自動売買システムのようです。
▼PPP@聖杯ハンター @fxtrader_ppp (Twitter投稿 2021年10月20日投稿)
このCT-TRADE SYSTEMという自動売買システムについてはランディングページが以下にあります。
>特定商取引法に基づく表記
>販売社名 リーベルコンサルティング合同会社
>運営統括責任者 丸山 大輔
>所在地 東京都港区南青山2-2-15
>電話番号 +81 (050) 3743-6363
>メールアドレス icic-soudan(at)gmail.com お問い合わせの際には(at)を@に変更してご送信ください。
>お支払い方法 銀行振込 クレジットカード
ここで東京都港区南青山の住所はワンストップビジネスセンターというバーチャルオフィス業者の住所である疑いがあります。さらにメールアドレスが無料登録できるgmailのアドレスで電話番号は050局番のIP電話 (局番から所在地情報が分からない) となっていてこのリーベルコンサルティング合同会社の連絡先情報は情報開示として明らかに問題があります。またこのリーベルコンサルティング合同会社の法人登録 (法人番号 3012403002775) を見ると平成28年 (2016年) 7月8日に法人登録されてから既に2回転居していることになっていて違和感があります。さらに自動売買システムを提供するならば金融庁で金融商品取引業者 (投資助言代理業) の登録が必要なはずですが、金融庁のサイトで公表されている金融商品取引業者のリストを見てもリーベルコンサルティング合同会社の登録は見当たりません。違法な無登録業者の疑いが濃厚です。
そしてかなり長い前置きになりましたが結論から言えばこのリバティーFXは海外のFX業者を名乗っていますが、実際の運営は日本国内のグループである疑いが濃厚です。まずサイト冒頭のキャプ画像を示します。
表示言語の選択肢はキャプの右上に星条旗と日の丸の国旗アイコンが並んでいますが英語と日本語だけです。そしてこの冒頭部を見ただけでこのサイトは日本人運営なのではないかという感触を持ちました。まず日本語表示を選択した状態でこの冒頭部の背景画像は4パターンがスライドショー形式で入れ替わるようになっています。上のキャプは最初のパターンで以下のキャプが2つ目の背景画像が表示された状態の冒頭部のキャプです。そして以下が2つ目の背景パターンのキャプです。
LINEでサポートすると書いてあってQRコードやアカウントIDが記されているのですがLINEは全世界的には決してメジャーなメッセージアプリではなく、主に日本や台湾などアジア圏でのみ使われています。そして以下が英語表示を選択した場合のサイト冒頭のキャプです。背景画像のパターンはこれ1種類であり、スライドショー形式で入れ替わるようになっていません。
つまりLINEのサポートアカウントに関する情報は英語版の冒頭部には情報がないし、英語表示を選択した状態でLINEのアカウントに関する情報はサイトの他の部分にも全く見つかりません。あるいはLINEアカウントに代わるサポートの連絡先情報も英語表示では全く記されていないようです。これは明らかにおかしいです。
またこのリバティーFXには3種類のアカウント (STANDARD、MAM、ECN) があるとなっていてその3種類のアカウントに関する説明が出てきます。この3種類のアカウントの内、STANDARTアカウントの説明を日本語版 (左下) と英語版 (右下) で比較してみます。
最大レバレッジ400倍とかスプレッドとか取引単位といった情報が書いてあるのですが異様なのは一番下の「最低入金額」の項目です。日本語版で最低入金額が10,000JPY (1万円) になっているのですが、英語版を見てもやはり最低入金額が10,000JPY (1万円) になっています。さらにキャプは省略しますが、ECHアカウントの説明でもやはり最低入金額の項目が日本語版、英語版共に10,000JPY (1万円) になっています。これは明らかに異様です。このリバティーFXのサイトを立ち上げているのは日本人ではないかと考えざるを得ません。
しかし会社概要の項目にある連絡先情報は以下のようになっています。
>社名 Liberty FX Limited
>住所 1st Floor, iCOUNT Building, Kumul Highway, Port Vila, Vanuatu
>登録 バヌアツ金融サービス委員会 会社番号:700355
>香港オフィス Level 9, The Hong Kong Club Building 3A Chater Road, Hong Kong Central, Hong Kong
>TEL +852 8125 6503
バヌアツに本社(?) があって他に香港にオフィスがあるとなっていますが金融ライセンスは租税回避地で簡単にペーパーカンパニーが作れるバヌアツのみでバヌアツの拠点に関する電話番号は記載がありません。とにかくこれらの住所について調べてみました。実は本項の冒頭にネット検索していて偶然リバティーFXリミテッドのサイトを見つけたと書きましたが、「検証5」で検証したFRM DEALING LTD (FRM ディーリングリミテッド https://frmdealing.com/) でも同じ住所 (Level 1, iCount House, Kumul Highway, Port Vila, Vanuatu) が所在地となっており、このバヌアツの住所を検索してリバティーFXのサイトが見つかってきたという経緯になります。こうした状況からも分かるようにこのバヌアツの住所はオフショア会社の住所であることが最初から予測されました。バヌアツ金融サービス委員会の登録番号と称するものが記されているのでバヌアツの金融ライセンスを扱っているVFSC (Vanuatu Financial Services Commission) のサイト (https://www.vfsc.vu/) でリバティーFXリミテッドの登録を探してみると確かに以下の登録情報が見つかってきました。700355という登録番号も合っています。
登録の日付は2021年3月30日となっています。この検証は2021年11月末に書いているので8カ月ほど前に登録されていることになります。
登録は確かに確認されるのですが何しろバヌアツは有名な租税回避地ですからリバティーFXリミテッドの事業実体が本当にバヌアツに存在するかどうかは疑問です。実際にこの登録情報を見ると「Registered Agent」という項目があり、この登録を代行して取得したと思われるオフショア会社の情報が出てきます。以下がそのオフショア会社の情報です。
ここに出てくるI COUNT LIMITEDという会社のサイト (http://www.icount.biz/) を探して確認しましたが確かにこのI COUNT LIMITEDの業務内容は法人登録の取得や口座の開設などまさにオフショア会社のものであり、リバティーFXリミテッドの登録はI COUNT LIMITEDが代行して取得したものと思われます。リバティーFXリミテッドのサイトに記されていたバヌアツの住所もI COUNT LIMITEDの住所ですからこの住所にリバティーFXリミテッドの事業実体があるとは思えません。
さらにリバティーFXリミテッドの香港オフィスの住所 (Level 9, The Hong Kong Club Building 3A Chater Road, Hong Kong Central, Hong Kong) も問題です。この住所を検索してみると以下に示したSERVCORPというバーチャルオフィス業者の拠点の住所に一致します。
この香港の住所にもリバティーFXリミテッド実在する可能性は低いです。
そこで例によってサイトのWho Is 情報に登録者に関する情報がないか確認してみました。
赤枠で囲った部分に登録者の連絡先情報がありますが住所はバヌアツのオフショア会社の住所になっていて意味がないです。本当に使われているかどうかは分かりませんが最後の行にメールアドレスだけ記されています。
>info@libertyfx-trading.com
しかしここで注目するべきはむしろ上のキャプの緑色の枠で囲った2ヵ所だと思います。
>Registrar URL: http://www.onamae.com
>Registrar: GMO INTERNET, INC.
リバティーFXリミテッドのサイトのドメイン名は日本のお名前ドットコムという業者から購入していること、さらにサイトの開設にやはり日本のGMOインターネット社を使っていることが分かります。さらに調べてみると幾つかリバティーFXリミテッドのサイトと同じIPアドレス (219.94.215.35.) 上のサイトが見つかってきました。以下はそのリストです。
このリストに出てきた6つのサイトを調べてみました。
▼西福製茶株式会社 (http://nishifukuseicha.co.jp/) 福岡県八女市の製茶会社
▼せいうんメディックス (http://www.seiun-medix.co.jp/) 熊本県荒尾市の調剤薬局
▼ふるさと昆虫YASU (http://www.furusato-konchuu.com/) 熊本県のカブトムシなど昆虫の通販サイト
▼株式会社アヴァンス (https://avance6623.com/company.php) 福岡県福岡市中央区の不動産業者
▼銘菓 お多福餅本舗 (http://www.otafukumochi.jp/) 福岡県北九州市の和菓子店
▼株式会社ディアレスト (http://dear-s.jp/dearest/) 福岡県福岡市博多区の不動産賃貸仲介業者
要するにIPアドレスを共有しているサイトは業種はバラバラですが全て日本の企業のサイトばかりです。それも何故か分かりませんが九州の企業のサイトばかりです。海外の業者が日本の業者を使ってドメイン名を取得し、日本の業者のサーバーにサイトを開設するということが絶対にないとは言いませんがこれらのサイトと海外のFX業者を名乗るリバティーFXのサイトが同じIPアドレスを共有しているという状況にはかなり違和感があります。ちなみにこうした奇妙な状況は「検証6」で検証したTASNIC-CAPITAL (タスニックキャピタル https://tasnic-capital.com/) の場合にも確認されています。
やはりリバティーFXリミテッドのサイトを運営しているのは既に上でサイトの記述などから可能性を指摘しましたが日本のグループである可能性が極めて高いと考えざるを得ません。
そして連絡先情報の開示、信頼出来る金融ライセンスなど欠いていることを考えても到底信用出来るFX業者とは思えません。さらにこれも連絡先情報の開示や金融商品取引業者の登録などを欠いている自動売買システムの運用先として指定されているとなれば信頼性は極めて低いです。本サイトの前書きでも指摘した手口の詐欺に利用されていたとしても不思議ではありません。投資を勧誘されても決して応じないことを強く推奨します。
※付記1
WikiFX (https://www.wikifx.com/ja/) という海外の口コミ情報サイトにリバティーFXでの被害報告が2件出ています。いずれも投稿の時期は2021年10月で1つはパキスタン、もう1件はチリからの報告になっています。参照してください。
※付記2
2024年6月20日付でリバティーFXについて関東財務局から無登録の違法業者であるとして以下に示す警告が出ました。
※付記3
上に示した関東財務局からの警告のちょうど1ヶ月後、2024年7月20日付でリバティーFXリミテッドのサイトに以下に示したサービス終了の告知が出ていることが分かりました。
この告知のわずか6日後、7月26日までに出金依頼をするようにという告知になっていてあまりにも急としか思えません。この告知に気が付かなかった顧客もいたかもしれません。
●Vantage Trading (ヴァンテージトレーディング https://www.vantagetradings.com/)
Yahoo知恵袋に複数の質問が出てきたサイトであり、関東財務局から無登録の違法業者であるとして警告も出ています。まずYahoo知恵袋に出てきた質問投稿を引用します。
質問はこれだけでどういう経緯でこの質問を投稿することになったのか全く情報がありませんが、示されているURLアドレスは表題のヴァンテージトレーディングのサイトのURLアドレスにアフィリエイターのIDと思われる部分「?affid=NjczMzg%3D」が付け加わっているのでアフィリエイト報酬目当てのアフィリエイターに勧誘されている、あるいはアフィリエイターの作った勧誘サイトを見て質問しているものと思われます。いずれにしろ日本人に対してヴァンテージトレーディングでの口座開設と投資が勧誘されているものと思われます。
ヴァンテージトレーディングでの取引を始めようとしているようですが、入金方法について質問しています。どういう経緯でヴァンテージトレーディングでの取引を始めることになったのか経緯は不明です。いずれの投稿でも取引を始める以前の段階で出てきた質問ということになります。
さらに2024年6月20日付で関東財務局から無登録の違法業者として以下に示したヴァンテージトレーディングに対する警告が出てきました。
こうした警告が出てくるというのも日本で金融ライセンスを得ていない状況で日本人 (日本居住者) に投資勧誘が行われていることを示しているものと思われます。
とにかくこのサイトの冒頭部の画像を以下に示します。
▼ヴァンテージトレーディング (https://www.vantagetradings.com/) [表示言語: 日本語、英語、マレー語、インドネシア語、タイ語]
表示言語の選択肢は右に示した言語選択メニューから分かるように日本語以外に英語、マレー語、インドネシア語、タイ語の4言語となっています。しかしこのサイトを見た印象としてこのサイトは実際には日本人 (日本居住者) 向けのサイトではないかと思われるのです。
このサイトで日本語表示を選択した状態では上に示した冒頭部で4種類の画像がスライドショー形式で入れ替わる設定になっています。以下には2番目、3番目、4番目の冒頭部の画像を示します。
4種類の冒頭部画像では「最大150万円の期間限定ボーナス」「取引するほど、Vポイントが貯まります」「貯めたVポイントは交換可能!」「現金交換!」「預金金利最大年率13%」「年末ミリオンジャンボ2024」といった異様に好条件の顧客獲得目的と思われるキャンペーンが提示されています。
しかし日本語以外に選択可能な英語、マレー語、インドネシア語、タイ語の4言語を選択してみるとサイト冒頭の様子が全く異なります。例えば以下は英語版のサイト冒頭の画像です。日本語版以外では冒頭部の画像は固定で1つのパターンしか存在しませんし、ボーナスとか現金化できるポイントなどの顧客勧誘キャンペーンに関する情報は一切ありません。
またここでは日本語に対応していないサイトなのでここでは検証対象としませんが、「Vantage (ヴァンテージ)」というロゴも一致するサイトが他に少なくとも2つ存在します。以下にやはりサイト冒頭部の画像を示します。
▼Vantage (ヴァンテージ https://www.vantagemarkets.com/) [表示言語: 英語、ドイツ語、スペイン語、アラビア語、フランス語、ポルトガル語、エストニア語、スウェーデン語、ベトナム語、タイ語、香港語、マレー語、インドネシア語、モンゴル語、中国語、韓国語、ロシア語、カザフスタン語、タガログ語]
▼Vantage (ヴァンテージ https://www.vantagemarkets.co.uk/) [表示言語: 英語のみ]
これら2つのヴァンテージというサイトは互いに非常によく似ています。上に示したサイト冒頭部はいずれの場合も右側の部分がムービー (動画) になっていますがヴァンテージトレーディング (https://www.vantagetradings.com/) 日本語版にあるようなボーナスとかポイント付与といった大盤振る舞いの顧客獲得キャンペーンは行われていないようです。
またヴァンテージ (https://www.vantagemarkets.com/) は多言語に対応していますが、その中に日本語は含まれていません。連絡先情報としてケイマン諸島、オーストラリア、セーシェル、イギリス、南アフリカの住所が記されていて実際の本拠が何処にあるのかよく分かりません。
もう1つのヴァンテージ (https://www.vantagemarkets.co.uk/) というサイトは英語のみのサイトでURLアドレスのドメイン名が「uk」というイギリスの国別ドメインになっていることから基本的にイギリス居住者向けのサイトではないかと思われます。記されている連絡先情報の電話番号や住所もイギリスの電話番号、イギリスの住所になっています。
おそらくですが、本項で検証対象としているヴァンテージトレーディングのサイトはこれら2つのヴァンテージのサイトと同じグループによるサイトではないかと思われます。別個のサイトになっているのはおそらく金融ライセンスの関係でしょう。日本の金融ライセンスを取得することが困難で日本の金融庁から無登録の違法業者認定されてしまうと2つのヴァンテージのサイトのライセンスや信頼性に問題が生じるということを考えて新たに日本人 (日本在住者) 向けのサイトを立ち上げたということではないかと思われます。
表題のヴァンテージトレーディング (https://www.vantagetradings.com/) のサイトに戻りますが、冒頭部に続いて出てくるのはサイトの特長を説明している以下の画像の部分です。
>24時間、日本人スタッフがサポートします。
と書いてあり、日本人顧客の獲得に力を入れていることが分かります。
さらに気になるのは
>10年以上の運営実績とライセンス保有
という部分です。しかしこのサイトの以下に示したWho Is 情報を見ると黄色の枠で囲った部分に記されているサイトの登録・開設日は2023年11月9日となっています。この検証を書いている2024年10月上旬時点でサイトの登録・開設から1年も経過していない新しいサイトであることが分かります。このサイトについて「10年以上の運営実績」があるとは言えません。
また上に示したWho Is 情報の赤枠で囲った部分を見ると運営会社名と思われる「Vantage Prime Limited」の所在地がHK (香港) であることだけが情報開示されています。
そこで「10年以上の運営実績」というのは日本語に対応していない2つのヴァンテージというサイトが10年以上前から運営されているという意味かと考えてやはりWho Is 情報を調べてみましたが登録・開設日は以下のようになっています。
サイト名 (URLアドレス) 登録・開設日
ヴァンテージ (https://www.vantagemarkets.com/): 2017年12月17日
ヴァンテージ (https://www.vantagemarkets.co.uk/): 2017年12月18日
これら2つのサイトは2017年12月に登録されていて登録・開設日は1日違いです。やはりこの検証を書いている2024年10月上旬時点で「10年以上の運営実績」があるとは思えません。この点についてはまた後述します。
次に出てくるのは「ヴァンテージが選ばれる理由」と題されたやはりサイトの特長を説明している部分です。
1000倍という非常に高いレバレッジが掛けられることを売り物にしているようです。またサイト冒頭にも同様の記述がありましたが
>想定年利13%の利回りで初心者にも人気。
と書いてあり、預金金利13%も売り物にしているようですが、メニューバーの「キャンペーン」の項目の中にある「金利13%! Vプレミアム預金」というサブページに13%の金利を獲得する条件が記されています。
この説明を読んでもよく分からないのですが口座にお金を入金するだけでは13%の金利を得ることは出来ず、毎日5000米ドル以上の口座残高を維持する、毎週累計0.5ロット以上の取引を行うなど複数の条件を満たさないと13%の金利を得ることは出来ないようです。またドル建てで証拠金を保有しなければならないように解釈出来ますが、その場合にはドル売りのポジションを持ってリスクヘッジしない限り、為替差損を被るリスクも生じることになると思われます。
トップページに戻りますが、他にサイトの特長として強調されているのは最大1000倍というレバレッジとゼロカットシステムです。それら2つの点についてそれぞれ説明があります。まず最大1000倍のレバレッジです。
書いてあることに間違いはないのですが、1000倍もレバレッジを掛けたらほんの少し思惑と逆に動いただけで簡単にロスカットされて損失確定になってしまうでしょう。こうしたレバレッジのプラス面だけ強調する説明は片手落ちであり、個人的な意見として好きになれません。
同様に以下はゼロカットシステムの説明です。
>トレーダーは借金のリスクを負わずに安心してFX取引を行うことができます。
などと書いてありますが、証拠金不足で強制ロスカットが発動すれば損失が確定することに変わりありません。特に1000倍ものレバレッジが可能であるなら強制ロスカットが発動すれば資金が殆ど失われることになるでしょう。リスクの説明が不充分と感じます。
次に出てくるのは「いつでも、どこでもFX。」と題された部分です。やはり画像を以下に示します。
この部分で最も気になるのは左下の
>優秀なトレーダーのコピーが簡単に可能
という項目です。いわゆるコピートレードが可能ということだと思われるのですが、詳細が全く分かりません。一体どれほどの運用利回りの実績が得られているのかといった最も基本的な情報も見当たりません。
さらに以下は取引対象について説明している部分の画像です。
「暗号通貨」「FX」「株式CFD」「金・銀」「インデックス」「エネルギー」「ETF」「ソフトコモディティ」の8項目が取引対象になっているようです。
次に連絡先情報についてですが、開示されている情報は限られており、以下に示した脚注部分に住所とメールアドレスだけ記されています。
商号:Vantage Prime Trading Limited.
本社:10 Manoel Street, Castries, St. Lucia
電子メール:support@vantagetradings.com
連絡先情報はカリブ海に浮かぶ島国のセントルシアの首都・カストリーズの住所とメールアドレスだけで電話番号がありません。またセントルシアの住所を検索してみるとかなり多くの法人の住所として使われていることが判明しました。その中で特に気になったのはGORDON & GORDON CO (https://gordongordonandco.com/) という弁護士事務所です。以下に示したようにこの弁護士事務所の住所はヴァンテージトレーディングの住所と一致する住所に私書箱番号が付いた住所になっています。
電話番号: +1 (758) 452 - 2311
メールアドレス: help@gordongordonandco.com
住所: 10 Manoel Street Box 161, Castries, St. Lucia W.I.
そもそもセントルシアが租税回避地 (タックスヘイブン) として知られる国ですし、この弁護士事務所の「Legal Services」というサブページに記されている業務内容を見るとペーパーカンパニーの登録、管理などに関すると思われるいわゆるオフショア業務が含まれており、この住所はこの弁護士事務所を利用した架空住所の疑いが相当に濃いものと思われます。またこのサイトには金融ライセンスに関する記述が全く見当たりません。
それからここで検証したヴァンテージトレーディング (https://www.vantagetradings.com/) のサイトと同じグループによると思われる2つのヴァンテージというサイト、
▼ヴァンテージ (https://www.vantagemarkets.com/)
▼ヴァンテージ (https://www.vantagemarkets.co.uk/)
について本サイトの検証でしばしば引用しているForex Peace Army (https://www.forexpeacearmy.com/) というFX業者の口コミ情報サイトにレビューが出ています。 そのレビューを一部抜粋して引用します。
このレビューの評価は満点が5つ星の内、2.333星という決して高評価とは言えない評価になっています。そして低評価の理由についてForex Peace Armyの運営による説明が加えられています。その説明部分を以下に示します。
さらにこの部分についてGoogle翻訳による日本語訳も示します。
ヴァンテージ (https://www.vantagemarkets.com/) は以前は別のURLアドレス (https://www.vantagefx.com/) を使っていたようです。実際にこの以前に使われていたURLアドレスにアクセスしてみると現在のURLアドレス (https://www.vantagemarkets.com/) にリダイレクトされることを確認しました。またこの以前に使われていたURLアドレスのWho Is 情報を調べてみると以下に示したように黄色の枠で囲った部分に記されている登録・開設日が2009年11月20日となっています。
上で
>10年以上の運営実績とライセンス保有
という記述に対してWho Is 情報で示されるサイトの登録・開設日から7年未満しか経過していないということを指摘しましたが、この以前に使われていたURLアドレスの時期から通算すれば確かに15年近く前から運営実績があったということになるものと思われます。しかしURLアドレスが途中で変更になった理由が分からないのは気になります。
またForex Peace Armyの記述の続きを読むとさらに気になる部分が出てきます。まずアフィリエイター (IB) にアフィリエイト報酬の支払いを拒否したということがあり、支払いを拒否されたアフィリエイターがForex Peace Armyに苦情を投稿したようです。ヴァンテージ側は報酬の支払いに同意する代わりに投稿の削除を要求したようでトラブルになっていたようです。
また詐欺サイトを運営していた、後に懲役3年の判決を受けた人物を警告があったのにIBとして認めていたとか、Forex Peace Armyに従業員による自作自演と考えられる肯定的なレビュー投稿を繰り返しているといったことも書いてあります。どうやらヴァンテージの経営者には問題があるということでしょう。
さらにこれもFX業者の口コミ情報サイトであるWikiFX (https://www.wikifx.com/ja/) のヴァンテージ (https://www.vantagemarkets.com/) の項目を見るとオーストラリアなどで金融ライセンスを得ている一方で顧客から過去3ヶ月で34件という大量のクレームが寄せられているという注意喚起が出ています。
そしてシンガポール、ボリビア、フランス、タイ、トルコ、チェコ、ケニアなど世界各国から出金できないといった内容での投稿が並んでいます。
こうした状況を考えるとヴァンテージは世界的に苦情が殺到していてこれまでのサイトでは稼ぐことが困難になり、これまで未開であった日本に狙いをつけて日本語対応の新しいサイトを開設し、ボーナスなど破格の条件で顧客を集めているのではないかと疑わざるを得ません。日本でライセンスを得ていない違法な無登録業者であるというだけでなく、非常に危険な業者の可能性が高いものと考えられ、この業者での投資は全くオススメ出来ません。
※付記
恐れていたようにヴァンテージでの被害事例と思われる投稿がYahoo知恵袋に出てきました。
口座を開設して入金したもののいきなり取引が出来ず、原因も不明、サポートに連絡してもパスワードが異なるなどと言われて解決できない状況に陥っているようです。
出金を試みているようですが、「提出」ボタンを押しても反応しないということで出金できなくなっているようです。論外の状況です。
やはり非常に危険な業者としか思えません。
●STARTRADER (スタートレーダー https://www.startraderjp.com/)
このサイトについてSNSやアフィリエイトサイトで盛んに勧誘が行われていることに気が付いたので検証対象にすることにしました。以下は勧誘用というよりは「パートナー」と称するアフィリエイターを募集する為のX (旧Twitter) のアカウントです。
スタートレーダーのサイト自体に記述は見当たらずに確認出来ないのですが、アフィリエイトサイトでは上で検証したヴァンテージのグループに属しているという記述があるのでヴァンテージトレーディングに続けて検証することにします。
まず以下がサイト冒頭の画像です。
▼スタートレーダー (https://www.startraderjp.com/) [表示言語:日本語、英語]
実はSTARTRADER (スタートレーダー) というサイトは複数存在するようでSTARTRADER (スタートレーダー https://www.startrader.com/jp/) というサイトが存在していて日本語を含む多言語 (日本語、英語、中国語、韓国語、マレー語、ベトナム語、タイ語、インドネシア語、アラビア語、香港語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語) に対応していることを以前に確認していたのですが、このサイトは日本からアクセスしようとすると以下の様なメッセージが出てアクセス拒否されるようになっています。
さらに以下は後述しますが、スタートレーダーのオーストラリアにおける金融ライセンスについて調べていて見つかった同名のサイトです。このサイトは英語と中国語にしか対応していません。
▼スタートレーダー (https://www.startraderprime.com.au/) [表示言語:英語、中国語]
さらにネット検索していて気が付いたのですが、日本語表示に対応したSTARTRADER (スタートレーダー https://www.startradervn.net/jp/) というサイトが最近まで存在していた形跡が見つかります。以下はスタートレーダーについてGoole検索して出てきた検索結果の1つですが、URLアドレスが本項で検証しているサイトや以前に確認された日本からアクセス出来なくなっているスタートレーダーのサイト (https://www.startrader.com/jp/) とは異なります。
本項で検証するサイトは日本語と英語にしか対応していないこと、URLアドレスが日本を意味すると思われる「jp」を含む「startraderjp.com」となっていること、さらに後述しますが、サイトが登録・開設されたのが2024年6月18日となっていてかなり新しいサイトであることなどから判断しておそらく以前から存在するスタートレーダーのサイト (https://www.startrader.com/jp/) が金融ライセンス上の問題から日本からのアクセスを排除せざるを得なくなり、代わりに日本居住者向けの受け皿として新たに開設されたサイトではないかと思われます。しかし、本家と思われるスタートレーダーのサイト (https://www.startrader.com/jp/) を確認出来ませんから本当にこれら2つのサイトが同じグループによるサイトかどうか確認することが困難です。
本項の検証対象であるスタートレーダー (https://www.startraderjp.com/) のサイトに戻って冒頭部に続いては以下の画像に示したサイトの特長を6項目にまとめて説明している部分が出てきます。
詳しい情報が欠けていますが、特筆すべきような特長は無いように思われます。
トップページでまず気になったのは以下の画像に示した「STARTRADERが金融委員会のメンバーになる」と題された部分です。
スタートレーダーが金融委員会という組織に加盟していて、その金融委員会という組織は紛争になった際に対象となる顧客は最大2万ユーロの補償を受けることが出来ると書いてあります。この「金融委員会」という組織については初耳なのですが、どうやら上の画像の左側に見えるコイン型の画像に書いてある「The Financial Commission」の日本語訳が「金融委員会」だと思われたので「The Financial Commission」について検索してみました。すると「The Financial Commission (金融委員会)」のものと思われるサイト (https://financialcommission.org/) が見つかってきました。 以下に見つかってきたサイトの冒頭部の画像を示します。
The Financial Commission (金融委員会 https://financialcommission.org/)
さらにこの「The Financial Commission」の「Our Members」と題された加盟業者のリストを見ると以下に示したように確かにスタートレーダーがロゴ付きで出てきます。
但しこのリストのスタートレーダーのロゴからリンクされているのは本項で検証しているスタートレーダーのサイト (https://www.startraderjp.com/) ではなく、日本からのアクセスが拒絶されるスタートレーダーのサイト (https://www.startrader.com/jp/) です。これで本項で検証しているスタートレーダー (https://www.startraderjp.com/) がThe Financial Commissionに加盟していると言えるのかどうか疑問です。またそもそもThe Financial Commissionという組織が信頼できる組織なのかどうかも疑問です。ちなみにThe Financial CommissionのサイトにはWarning List (警告リスト) という取引を推奨できない業者のリストもあります。そしてこの警告リストの中にもSTARTRADER (スタートレーダー https://www.startsxraderes.cc/) というサイトが含まれています。
この警告対象になっているスタートレーダー (https://www.startsxraderes.cc/) というサイトは既に閉鎖されているようですが、以前に「検証78」で検証対象としており、中国系と思われる詐欺グループによる詐欺サイトと考えられます。「検証78」ではもう1つ、STARTRADER (スタートレーダー https://www.startraderes.com/jp.html) というやはり中国系と思われる詐欺グループによると思われる詐欺サイトについても検証しています。
やや脱線したので「The Financial Commission」に話を戻しますが、この「The Financial Commission」のサイトを見ると連絡先情報は以下のようになっています。
連絡先情報を以下に書き出します。
>Contact Info:
>Phone: +1-929-353-7227
>Email: info@financialcommission.org
>FINACOM PLC LTD
>Suite 701, 7th Floor, South Island Place, No.8 Wong Chuk Hang Road, Hong Kong
> FINACOM MANAGEMENT LTD (Trademark Holder)
>3rd floor office, 209 Regent Street, London W1B 3HH
この連絡先情報には違和感を感じる部分があります。拠点の場所を示していると思われる世界地図にはアメリカに2ヵ所、アルゼンチン、イギリス、スイス、ギリシャ、イスラエル、ロシア、香港、オーストラリアの計10ヵ所に矢印が立っています。世界地図上の拠点の位置はかなり大雑把なものと思われ、特に香港の拠点の矢印はどう見ても中国のかなり内陸を示しており、海岸にあるはずの香港の位置からはかけ離れています。
とにかく世界地図では世界に10ヵ所の拠点があるように示されているのに対して具体的な住所が示されているのは香港とイギリスのロンドンの2ヵ所だけ、1つしか示されていない電話番号は[+1]という国番号から始まっているのでアメリカあるいはカナダの電話番号ということになります。世界地図と住所や電話番号がまるで噛み合っていません。
さらに香港の住所 (Suite 701, 7th Floor, South Island Place, No.8 Wong Chuk Hang Road, Hong Kong) を検索してみると以下に示したJEEVES FIDUCIARY SERVICES (https://jeeves-fiduciary-services.com/) というオフショア会社の連絡先情報に示されている香港の住所と部屋番号 (Suite 701) まで一致することが判明しました。この香港の住所はこのオフショア会社を利用した架空住所としか思われません。
もう1つの「The Financial Commission」の商標権者となっているFINACOM MANAGEMENT LTDという法人とその住所 (3rd floor office, 209 Regent Street, London W1B 3HH) についても調べてみるとまず以下に示したイギリスの法人登録が見つかってきました。
しかしこの法人の公式サイトは検索しても見つかりませんし、この法人登録の「Filling History」のページを見るとこの法人は法人を維持するのに必要な書類の提出を怠って休眠会社 (Dormant Company) の扱いをしばしば受けているようです。またこの法人のイギリスの住所 (3rd floor office, 209 Regent Street, London W1B 3HH) はかなり多くの法人の住所として共有されていることが分かりました。この住所もオフショア会社などを利用した架空住所の疑いが濃厚と考えざるを得ません。
こうやって調べてみると
1. 「The Financial Commission」に加盟しているのは本項で検証しているスタートレーダー (https://www.startraderjp.com/) ではなく、日本からのアクセスが出来ないスタートレーダー (https://www.startrader.com/jp/) である。
2. 「The Financial Commission」が信頼できる組織かどうかがかなり疑問である。
という2点から本項で検証しているスタートレーダーが信頼できるかどうかはむしろ疑わしいのではないかとさえ思われます。
さらにスタートレーダーのサイトのトップページに戻りますが、「The Financial Commission (金融委員会)」のメンバーであることを主張している部分に続いて出てくるのは以下の画像に示した投資の安全性を確保する為にLLOYD`S (ロイズ) で100万ドルまで保証される保険に加入していると主張している部分です。
そして保険に加入していることを証明するということでPDFファイルがアップされています。
この書類を見ると右上にWillis Towers Watson Public Limited Company (ウィリス・タワーズワトソン・パブリック・リミテッド・カンパニー) というアメリカの保険会社のロゴが確認出来ます。ロイズと保険契約を結んでいることを強調していますが、実際に保険契約を直接的に結んでいるのはこのウィリス・タワーズワトソンという保険会社でロイズは再保険などの形で保険契約に関わっているということなのかもしれません。そして保険の内容が問題です。この書類から一部を抜粋して日本語訳と共に示します。
>COVER:
>The Insurer shall, on the occurrence of an Insolvency Event during the Policy Period, pay to the Insured for the benefit of Claimants, an amount equal to the Ultimate Net Loss of each Claimant subject to the terms, conditions, exclusions from and limits of liability set out in this Policy.
>補償内容:
>保険期間中に破産事由が発生した場合、保険会社は、本保険に定める条件、条項、責任の免除および限度額に従い、請求者の利益のために被保険者に各請求者の最終純損失額と同額を支払うものとします。
>SUM INSURED:
>Up to USD 1,000,000 per Claimant, subject to and in accordance with the limits and the terms and conditions of the Policy.
>保険金額:
>請求者 1 人あたり最大 1,000,000 米ドル。保険の限度額および条件に従い、これに従います。
スタートレーダーが経営破綻した場合に最大100万ドルまで保証するという内容のようです。但しスタートレーダーのサイトの記述によれば2万ドルまでは免責で2万ドルを超えて最大100万ドルまでの損失を補償するという内容になっています。
しかしこの書類1枚で本当に保険契約が結ばれているのかを確認できるかどうかよく分かりません。責任者のサインなども含まれていませんし、この書類がアップされているURLアドレス (https://www.startraderjp.com/pdf/startrader-llc-lloyds-evidence-of-insurance-certificate.pdf) はスタートレーダーのサイトのアドレスになっています。 これが保険会社のサイトにアップされている書類ならばある程度信頼できるものではないかと思いますが、スタートレーダーのサイトにアップされている状況では内容をそのまま信用してよいのか判断出来ません。
次にスタートレーダーのサイトの脚注に記されている連絡先情報や金融ライセンス関係の記述を以下に示します。
4つの文節に分かれている記述を書き出してそれぞれ日本語訳を示します。まず最初の文節です。
>STARTRADER LLC is a company duly incorporated in Saint Vincent & The Grenadines under Number 228 LLC 2019 to provide margin FX and CFDs trading services for global investors.
日本語訳:STARTRADER LLC は、セントビンセントおよびグレナディーン諸島に LLC 228 号として正式に設立された会社で、世界中の投資家に証拠金 FX および CFD 取引サービスを提供しています。
カリブ海に浮かぶ島国のセントビンセント・グレナディーンに登録があるというのですが、住所とか電話番号といった連絡先情報は全く示されていません。ともかくセントビンセント・グレナディーンの登録について確認を試みました。セントビンセント・グレナディーンの金融ライセンスを管理しているFINANCIAL SERVICES AUTHORITY (FSA http://svgfsa.com/) のサイトで「STARTRADER LLC」を検索してみました。すると以下に示した登録情報が確かに見つかってきました。
Name: STARTRADER LLC
Registration No: 228
Business Type: LLC-Limited Liability Company
Status: Active
Date of Corporation: 2019-12-11 09:32:33
Agent: EURO-CARIBBEAN TRUSTEES LTD
確かに登録は見つかったのですが、これは租税回避地 (タックスヘイブン) として有名なセントビンセント・グレナディーンという所在地から予測されるようにまず間違いなくペーパーカンパニーです。この登録情報には「Agent」という項目があってその「Agent」が「EURO-CARIBBEAN TRUSTEES LTD」であるとなっているのですが、調べてみるとこの「EURO-CARIBBEAN TRUSTEES LTD」はペーパーカンパニーの設立などオフショア業務の会社であることが分かりました。以下に「EURO-CARIBBEAN TRUSTEES LTD」の公式サイト (https://www.ectl-svg.com/) の冒頭部の画像を示しますが、明確に「Offshore Services」の会社であることが示されています。
つまりセントビンセント・グレナディーンに「STARTRADER LLC」の登録があることは確認出来たものの、名目だけのペーパーカンパニーであるものと考えられ、事業実態がセントビンセント・グレナディーンにあるとは思えません。
次に脚注の記述の次の文節を以下に書き出して日本語訳も示します。
>STARTRADER LIMITED is regulated by the Seychelles Financial Services Authority (FSA), License No. SD049. Our registered address is located at Block B, Room 2, No. 2, Global Village, Jivan's Complex, Mont Fleuri, Mahe, Seychelles.
STARTRADER LIMITED は、セイシェル金融サービス機構 (FSA) の規制を受けており、ライセンス番号は SD049 です。登録住所は、Block B, Room 2, No. 2, Global Village, Jivan's Complex, Mont Fleuri, Mahe, Seychellesです。
セントビンセント・グレナディーンと同様に租税回避地 (タックスヘイブン) として知られ、インド洋に浮かぶ島国のセーシェルで金融ライセンスの管理を担っているセーシェル金融サービス機構 (FSA) から金融ライセンスを取得しているというのでFSAのサイト (https://fsaseychelles.sc/) で登録情報を探してみると以下の画像に示した登録情報が見つかってきました。
以下に登録情報を書き出します。
>Business Name: STARTRADER LIMITED
>Type: Securities Dealer
>Email: support@startrader.com
>Website: https://www.startrader.com
>Address: Block B, Room 2, No.2, Global Village, Jivan’s Complex, Mont Fleuri, Mahe, Seychelles
しかし「Website」の項目に書いてあるURLアドレスは本項の検証対象であるスタートレーダーのサイトのURLアドレスではなく、日本からアクセス出来なくなっているスタートレーダーのサイトのURLアドレスです。そもそも租税回避地であるセーシェルで金融ライセンスを取得しているとしても厳格な審査が行われているとは思えませんが、示されている登録情報のURLアドレスが異なるのですから本項で検証しているスタートレーダーのサイトがセーシェルで金融ライセンスを取得しているとは言えないはずです。
脚注の記述で次に出てくるのは以下の文章です。
>STARTRADER INTERNATIONAL PTY LTD is an authorised Financial Service Provider (“FSP”) registered and regulated by the Financial Sector Conduct Authority (“FSCA”),registration number 2022/435897/07.
STARTRADER INTERNATIONAL PTY LTD は、金融セクター行動監督機構 (FSCA) に登録および規制されている認可金融サービス プロバイダー (FSP) であり、登録番号は 2022/435897/07 です。
この文節に出てくる金融セクター行動監督機構 (FSCA) はどうやらどこかの国の金融ライセンスを管理している組織なのだろうと思われるのですが、この文章にはFSCAがどこの国の組織なのか情報がありません。しかしスタートレーダーのサイトのメニューバーにある「会社紹介」という項目から選択出来る「なぜSTARTRADER?」という項目からリンクされているサブページ (https://www.startraderjp.com/company/) には以下の画像に示す「私たちの規制」という項目があります。
この世界地図の画像で「セーシェルのFSA」「南アフリカのFSCA」「オーストラリアのASIC」から金融ライセンスを得ているということが示されているようなので脚注の記述に出てきた金融セクター行動監督機構 (FSCA) というのは南アフリカの金融当局を示すものと考えられました。そこでこの南アフリカでのライセンスの確認を試みました。南アフリカのFSCAのサイト (https://www.fsca.co.za/Pages/Default.aspx) から登録業者の検索ページを開き、「STARTRADER INTERNATIONAL PTY LTD」の登録を探すと確かに以下の画像に示した「STARTRADER INTERNATIONAL PTY LTD」の登録情報が見つかりました。
登録情報を以下に書き出します。
FSP No: 52464
FSP Name: STARTRADER INTERNATIONAL PTY LTD
FSP Type: Company-Private
Registration Number: 2022/435897/07
Date Authorized: 23/09/2022
Phisical Address: SUITE 306, THE COLOSSEUM 3 RIEBEEK STREET CAPE TOWN 8001
Telephone No: 081 3555 300
まず住所ですが、この住所は検索しても実在の住所かどうかさえ確認出来ません。「CAPE TOWN (ケープタウン)」は確かに南アフリカのかなり大きな都市ですが、「RIEBEEK STREET」が実在するかどうかもよく分からないのです。そしてここで気になるのは登録の日付が2022年9月23日となっていることです。
一方で以下は本項で検証しているスタートレーダーのサイト (https://www.startraderjp.com/) のWho Is 情報の画像です。
このWho Is 情報で黄色の枠で囲った部分に記されているサイトの登録・開設日は2024年6月18日となっています。南アフリカの金融セクター行動監督機構 (FSCA) のライセンス取得の日付が2022年9月23日ですからライセンスが取得されてから2年近くが経過してから本項で検証しているスタートレーダーのサイト (https://www.startraderjp.com/) が立ち上げられていることになります。これは明らかにおかしいです。この登録はここで検証しているスタートレーダーのサイト (https://www.startraderjp.com/) の登録ではないように思われます。ちなみにこのWho Is 情報の赤枠で囲った部分に記されている登録者情報を見ると殆どの項目が非開示ですが、所在地が香港になっていることだけは分かります。
脚注のライセンス関係の記述の最後はオーストラリアでの登録に関するものになっています。
>STARTRADER PRIME GLOBAL PTY LTD is regulated by the Australian Securities and Investments Commission (ASIC), ABN no. 65 156 005 668, AFSL no. 421210.
STARTRADER PRIME GLOBAL PTY LTD は、オーストラリア証券投資委員会 (ASIC) の規制を受けており、ABN 番号は 65 156 005 668、AFSL 番号は 1999/10 です。 421210。
この登録情報を確認する為にまずオーストラリアの法人登録情報を確認出来るABN Lookup (https://abr.business.gov.au/) というサイトで「STARTRADER PRIME GLOBAL PTY LTD」の法人登録を探してみると確かに以下の画像に示した法人登録情報が見つかってきました。
法人番号は「ABN 65 156 005 668」、法人登録の日付は2012年10月12日となっています。そしてこの法人登録情報の「Historical details (履歴)」のページを見ると以下のようになっています。
このオーストラリア法人は2012年10月12日に登録されていますが登録当時の法人名は「GKFK FINANCIAL SERVICES AUSTRALIA PTY LTD」だったようです。その後、20215年4月21日に法人名が「CHARTERPRIME PTY LTD」に変更され、さらに2023年11月10日に現在の「STARTRADER PRIME GLOBAL PTY LTD」に変更されています。2度に渡って法人名が変更されていることになります。
そしてこの法人登録情報からリンクされている、この法人についてオーストラリア証券投資委員会 (ASIC) から出ている金融ライセンスの情報を以下に示します。
どういうことなのかよく分からないのですが、金融ライセンス取得の日付は2012年2月29日となっていて、法人登録の日付 (2012年10月12日) よりも7ヵ月以上早いです。そしてこのオーストラリア法人の所在地はニューサウスウェールズ州のシドニーになっています。
そしてここで重要なのはこのオーストラリアの法人登録、金融ライセンスに対応しているのは本項の検証対象であり、日本語に対応しているスタートレーダーのサイト (https://www.startraderjp.com/) ではなく、上で示した日本語に対応していない (英語と中国語にのみ対応の) スタートレーダーのサイト (https://www.startraderprime.com.au/) ではないかと思われます。この日本語非対応のスタートレーダーのサイト (https://www.startraderprime.com.au/) の脚注には法人番号とか住所の情報が記されています。以下に画像を示します。
記述を日本語訳と共に以下に書き出します。
>STARTRADER PRIME GLOBAL PTY LTD (ABN 65 156 005 668) is an authorised and regulated Australian Financial Services Licence holder – AFSL no. 421210. STARTRADER PRIME GLOBAL PTY LTD is the issuer of the products described on this website and Product Disclosure Statement (PDS) and is authorised to provide financial services in Australia.
>STARTRADER PRIME GLOBAL PTY LTD (ABN 65 156 005 668) は、認可および規制を受けているオーストラリア金融サービスライセンス保有者です (AFSL 番号 421210)。STARTRADER PRIME GLOBAL PTY LTD は、この Web サイトおよび製品開示ステートメント (PDS) に記載されている製品の発行者であり、オーストラリアで金融サービスを提供することが認可されています。
>registered address: SUITE 701 LEVEL 7 , 65 YORK STREET , SYDNEY NSW2000
>business address: Level 35, 31 Market Street, Sydney NSW 2000, Australia
>Email: support@startraderprime.com.au
>登録住所: SUITE 701 LEVEL 7 , 65 YORK STREET , SYDNEY NSW2000
>事業所住所: Level 35, 31 Market Street, Sydney NSW 2000, Australia
>メール: support@startraderprime.com.au
ここに示されているSTARTRADER PRIME GLOBAL PTY LTD という法人名や法人番号 (ABN 65 156 005 668) はまさに上で示したオーストラリアの法人登録情報に合致します。
こうして調べてみるとSTARTRADE (スタートレード) というサイトが複数存在し、本項で検証しているスタートレードのサイト (https://www.startraderjp.com/) の脚注に記されている「セーシェルのFSA」「南アフリカのFSCA」「オーストラリアのASIC」から金融ライセンスを得ているという主張についてはそれぞれ金融ライセンス自体は確認出来るものの、それらのライセンスは本項で検証しているスタートレードのサイト (https://www.startraderjp.com/) に付与されているものではなく、他のスタートレードのサイトに付与されているものである可能性が高いものと考えます。逆の言い方をすれば本項で検証している日本語対応のスタートレードのサイトに与えられていることが確認される金融ライセンスは存在しません。また所在地情報などは極めて曖昧でどこに本拠があるのかなど五里霧中ですし、電話番号などの情報も見当たりません。
このサイトも安心して投資できるサイトとは思われません。