令和7年2月1日掲載 64回生 林 義祐氏寄稿(第五十六回目掲載)
オランダ在住の 林 義祐氏(64回生・岡谷市出身)のご寄稿「オランダの生活・歌日記: 2025年1月 序文」を下記に掲載いたします。林様、ご寄稿いただきありがとうございます。
今月はトランプ米新大統領就任と欧州の危機について林様のご見解を頂戴しました。たいへん興味深い内容ですので、皆様のお目通しをお願いします。
数日以内に第五十七回目掲載として「オランダの生活・歌日記 2025年1月」を掲載いたします。
同窓の皆様のコメントやご感想をお待ちしています。(名取宛メール: antimarck@yahoo.co.jp)
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2025年 1月歌日記:序文
欧州の危機
-2025年 欧州はどうなる?-
目次
A はじめに
A-1 華々しいスタートのアメリカ
A-2 内憂外患の欧州
B EUの誤算
B-1 EV車の誤算
B-2 脱炭素キャンペーンの行き詰まり
B-3 トランプ政権との違い
C ドイツの状況
C-1 シュルツ政権の後退
C-2 ドイツ経済の悩み
C-3 AfDの伸⾧とマグデブルグ事件
C-4 イーロン・マスクの干渉
C-5 2月総選挙の展望
D フランスの状況
D-1 揺れる政局
D-2 バイル新内閣の現在の状況
D-3 国債格付け引き下げ
D-4 今後の見通し
E 英国の状況
E-1英国の外交政策
E-2 日本との関係
F まとめ・EUの危機
A はじめに
A-1 華々しいスタートのアメリカ
1月20日にトランプがアメリカ大統領に就任し、正式にトランプ政権が発足した。トランプは19日、首都ワシントン近郊のアーリントン国立墓地で無名戦士の墓に献花した後、支持者を集めた「勝利集会」で演説。「明日、(バイデン政権下の)4年の長きにわたる衰退の幕を閉じ、強さと繁栄、威厳、誇りを持つ米国の新たな日々を始める」とスピーチした。20日昼ごろに連邦議会議事堂で就任宣誓式に臨み、正式に新政権を発足させた。
◆第1次政権で掲げた「米国第一主義」は依然中心スローガンで、バイデン政権から政策を大きく転換させる見通しである。トランプは初日から多数の大統領令を発して、政策転換を印象づける構えだ。その主な政策は;
・メキシコとの間の「国境の壁」建設の本格再開、
・原油・天然ガスの掘削・輸出規制緩和、
・電気自動車(EV)の購入補助金撤廃、
・温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からは再び脱退。同協定はバイデン政権が復帰したものを再び脱退するのだから、二転三転となる。
・不法移民の国外追放。移民問題に関しては、トランプ政権一期目で、大統領補佐官であったスティーブ・バノンによると、「50本から60本の大統領令を適用する」という。また「経済関係の大統領令も発令されると思う。すぐさまそうするだろう。大統領令であらゆることが即刻指令される」とのことである。合計で100本を超える大統領令のようだ。まるで合法的(Legitimate)な革命である。
◆ さらに、第二次政権の目玉政策になるのが、関税の引き上げだ。トランプは、外国製品への関税を一律に引き上げることで、購買力が旺盛な米国で自国製品が売れるようになると説明している。外国企業に対して米国内に製造拠点を置くよう促す目的もある。日本製品も関税引き上げの対象になる可能性があり、日本政府・企業は新政権の出方を注視している。米国第一主義のトランプにとっては、日米同盟を結んでいる日本とても容赦なく関税をかけてくる可能性がある。ただ、米国内は人件費などコストも高いため、結果的に消費者が割高な製品を買わされることになるという批判もある。トランプ次期政権が「関税引き上げ」を武器に使って、外国との通商交渉に持ち込み、何らかの譲歩を引き出す戦略をとる可能性もある。「恫喝外交」と言われる所以である。いずれにしても安倍元首相がいなくなった日本では、現石破政権ではとても太刀打ち出来ないであろう。
◆ 外交ではロシアのウクライナ侵攻への対応が注目される。「24時間以内に終わらせる」との発言は後退させたが、早期停戦を実現するためにロシアやウクライナと交渉するとみられる。現時点ではプーチンもゼレンスキーも自国のためになる停戦条件を一歩も譲る気が無いから、これがいかにして落着するのか、ハラハラするような状態である。
中国に対する強硬姿勢はバイデン政権と同様だが、就任前から習近平国家主席と電話協議するなど「トップ外交」には意欲的だ。
◆ 「トランプ効果」は既に表れている。2023年10月にパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスが越境攻撃したのを契機とするイスラエルとハマスの戦闘は、第二期政権発足直前に6週間の停戦が発効した。交渉にはトランプ氏の特使も関与。バイデン政権が手間取ってきた課題で「交渉力」を見せた。しかしながら、1月23日のニュースによると、ガザ停戦合意の発表後も、イスラエルはヨルダン川西岸の、ハマスの根拠地を爆撃して30余名の死傷者を出したとのこと。まだまだ先行は不透明である。
他にもトランプ効果が既に現れているものに、トランプのデンマーク領「グリーランド要求」がある。トランプは第一次政権の時も「グリーンランド」割譲希望を表明したが、その時は「グリーンランドは売り物ではない」と一言のもとに撥ねつけられ、その後コロナ騒ぎが起こり立ち消えになっている。今回また割譲要求したのは、安全保障の観点から、中国やロシアに先を越されないようにと先手を打ったものと思われる。北極海の氷が年々溶けて、今や中国はヨーロッパに向かう北極航路を開発中という。またグリーンランドの豊富な地下資源も魅力だ。ロシアも同様で、地政学的に重要なグリーンランドは俄然世界の注目を集めることになった。今回もデンマーク政府は「グリーンランドは売り物ではない」と再度言明したが、その後デンマークのフレデリクセン首相は1月15日に「グリーンランドの独立の是非はグリーンランド自身が決めることである」とトランプに伝えている。トランプにとっては一歩前進である。デンマークの自治領であるグリーンランドは世界最大の島であり、人口約56,000人(主としてイヌイットとデンマーク系住民)で鉱業・漁業が主産業である。アメリカとの関係は良好で、最近の世論調査では、回答者の57%が「アメリカへの併合」に好意的だという。(藤井厳喜氏) 自治領には、チューレ空軍基地など米軍の施設もある。トランプ政権発足後1月23日に、デンマークのラスムッセン外相とアメリカのマルコ ルビオ国務長官が電話会談して、今後アメリカと協議を行うことに合意した。また一歩前進である。ロシアや中国の首脳の心中は穏やかではないだろう。
他に、トランプはアメリカが開削したパナマ運河を、カーター大統領時代にパナマに移管したのだが、そのパナマ運河を還してほしい、と表明していて、パナマ政府は断固拒否している。しかしこれはトランプがどこまで本気で言っているのか分からない。中国がパナマ運河にかなり投資しているから、牽制球を投げただけのなのか、或いは米海軍が頻繁に運河を利用するのに、通行料が高すぎるからそれを何とかしたいと思っているのかもしれない。暫し注視である。
◆ いずれにしても、発足したトランプ政権は事前準備も十分なうえ、今回は殆どの閣僚がトランプの政策を熟知・支援しているので、非常にスムーズに始動している。意気揚々と新しい世界に踏み出したと言ってよいだろう。就任式やその後の演説・集会などの盛り上がりはすごかった。アメリカだけではない。世界中が歓喜の渦を巻き起こしていた。これまでの閉塞感が吹き飛んでしまうような意気込みを感じる。言ってみれば最高レベルの機能・設備と人員を揃えた、世界最大の空母打撃群が怒涛の出航を成したと言った感じである。果たして今後はトランプの言う“アメリカの黄金時代”を迎えることが出来るかどうか、どんな落とし穴が待ち受けているかどうか、これからの4年間は目を逸らすわけにはいかない。
A-2 内憂外患の欧州
◆それに比べると最近のヨーロッパはどうなってしまったのだろう。昨年の後半は、米国大統領選挙の話題で世界は溢れかえっていたが、欧州発の良いニュースは殆どなかったと言えるのではないか。ロシア・ウクライナ戦争でも戦場は東欧(ウクライナ)だが、完全に米国・バイデン政権主導で、欧州は米国のロシア制裁に加担するだけでそれも最後は支援疲れで殆ど何もできず、バイデンの億ドル単位の支援ニュースだけが主要メディアで話題になっていた。またNATOはウクライナがNATO加盟国でないことから、積極的にできることは何もなく、水面下でウクライナ兵士の訓練などを、CIAと共に担っているだけであった。停戦仲介などはNATOのミッションというより政治的・外交的な分野ということで、NATOはフィンランド(2023年)とスエ―デン(2024年)が新たに加盟したこと以外は沈黙しているかのようであった。特にトランプの一期目に、NATO分担金を巡ってトランプから、いくつもの加盟国が約束通りGDPの2%を払っていないと厳しく糾弾され、それ以来米国との関係がぎくしゃくしてしまい、意思の疎通を欠いたことは否めない。ロシア・ウクライナ戦争は、NATOもEUも仲介に入るチャンスも余裕も無いまま、膠着したバイデン時代を過ごし、戦争による膨大な犠牲者と経済的損失を引き起こしただけだった。「戦争を起こさない、巻き込まれない」を信条とするトランプは、そのために力(軍事力と経済力)で当事国に圧力をかけ紛争を鎮めてきた。一見矛盾するように見えるが、それがMAGA達成の道だと理解しているのである。そのため彼は、アメリカの軍事力を質・量とも世界最大のものにするという考えでいるのである。世界はそんなトランプの再登場を待っていたかのよう騒ぎである。
アメリカに比べて、EU域内で主要国のドイツとフランスの政治的不安定が続き、シュルツもマクロンも自国を安定させることも十分でなく、ましてやEU全体が一丸となって動くという状態には程遠く、脱炭素プロジェクトの計画変更などもあり、EUの地盤沈下は目を覆うような有り様である。
EUの直面する問題はそもそもEUが創設されて以来維持されてきた制度が、時代の流れ・世界情勢の変化と共に反グローバリズムの機運が強まり、制度自体が批判の対象となったことに起因する。「内憂」に関してはEU がEU内部から批判され、 「外患」に関してはNATOやWTOがトランプの批判の対象となっている。EUとし ては、問題が指摘される既存の制度を破壊するのではなく、改革して存続させようとしているのだが、多くの利害関係者が納得する改革方針を提示し、遅滞なく実行に移すことが できるか、その危機対応能力が試されていると言えよう。
今後欧州(EU&英国)はどうなるのか、果たして今後数年を無事に乗り切れるかどうか、等大いに気になる。そういうわけで、トランプは一応華々しく滑り出したことであるから、そこはしばらく様子見ということにして、それとは対照的な欧州の今後がどうなるかを以下に考えてみたい。
B EUの誤算
B-1 EV車の誤算
◆ EUでは、2035年までにガソリン車の新車販売が禁止される予定で、EV自動車へのシフトが進められてきた。しかし今、EVの需要が鈍化し、大手自動車メーカーはEV偏重だった方針の転換を余儀なくされている。2024年に入ってから、ヨーロッパ自動車工業会が発表するヨーロッパの主要31か国の新車販売台数では、EVの販売台数が鈍化し、前年割れとなる月が散発しているのだ。
特に落ち込みが激しいのはドイツで、2024年8月には前年同月比で約70%減となった。2023年12月にEVへの補助金プログラムが突然、打ち切りとなったことから、消費者の間で高額なEVへの拒否感が広がったとされている。2024年末まで補助金プログラムを続ける予定だったが、それにはコロナ対策で使われなかった予算を転用することにしていたのがドイツの憲法裁判所はこれを認めず、政府はプログラムの中止を余儀なくされたのが補助金打ち切りの理由である。その後も予算編成をめぐって連立政権が崩壊し、2025年2月に総選挙が行われることになっている。ドイツは今選挙戦の最中なのである。
◆ EVへの急速なシフトを進めてきたヨーロッパだったが、ここにきて需要の鈍化で、メーカーも戦略の見直しを発表せざるを得ない事態になっている。
ドイツの「メルセデス・ベンツ」グループは2024年2月、“全ての新車を2030年までにEVにする”という方針を撤回。理由については「顧客に押しつけてまで人為的に目標を達成しようとするのは、理にかなっていない」として、EVの需要鈍化を挙げている。
スウェーデンの「ボルボ・カー」も“2030年までに販売する車の全てをEVにする”としていたものの、2024年9月、この計画を撤回すると発表。「EV化と持続可能性において業界をリードしていくが、現実的かつ柔軟な姿勢で臨んでいく」と、EV偏重だった方針を転換させた。言ってみれば、EU(政府)に対する造反である。
他にも、アップルがEVの「アップル・カー」の開発を中止したり、ドイツのフォルクスワーゲンがEV新車販売の鈍化による業績悪化で、初となるドイツ国内の工場閉鎖を一時、打ち出すなど(その後、回避)、急速にEVへのシフトが見直されているのが現状だ。
◆ こうした状況の中で、ヨーロッパでは「2025年問題」を抱えている。EUの市場では年間に販売される新車の平均の二酸化炭素排出量に上限が設定されていて、2025年からさらにその規制が厳しくなる予定だ。ただそのためには、自動車メーカーがさらに多くのEVを販売しないと達成が困難となっていて、規制に違反した企業への多額の罰金をめぐっては、ヨーロッパ自動車工業会が「緊急の措置を求める」とする声明を出して反発している。
「2035年にHV(ハイブリット車)も含めたガソリンなどで走るエンジン車の新車販売を禁止する」というEUの目標に関しても、見直しを求める声が自動車メーカーのみならず各国政府からも相次いでいて、EUは自らが課した規制と向き合う必要に迫られている。
◆ さらには、中国がEVで世界覇権を握ろうとして国を挙げてEVへの支援を続けていることに、対策を立てなければならない。中国は蓄電池の技術面で他国に大きなリードを取っていることからだ。その上、中国政府が補助金を投入しているため、相対的に低価格で他国へ輸出することが可能になっていて、価格面でも他国メーカーにとって脅威となっている。昨年(10月)にEUは中国製のEVに対して追加関税を課すことを発表した。具体的には、それまでの関税率に最大35.3%を上乗せする形で、メーカー別に異なる追加関税率が設定されている。中国は当然強く反発し、「断固反対。同意しないし、受け入れられない」と声明を出している。その上、中国商務部はEUに対して「即座に誤りを正し、対話と協議を通じて貿易摩擦を適切に処理するよう」求めた。EUと中国の“EV 戦争”の様相となった。EUもここで妥協するわけにはいかないから必死の感じである。ここで中国に負けたら、EU域内に示しがつかないからである。ただでさえEU内の政治的な立場の違いで結束が乱れて、EUそのものが地盤沈下を続けている中で、ここは踏ん張りどころと認識していたことだろう。WTOルールを守っている場合ではない、と言った必死さである。ぞの後中国は、EU側が中国側と協議を続ける姿勢を示していることに留意するとし、「貿易摩擦のエスカレートを避けるため、できるだけ早期に双方が受け入れ可能な解決案を見いだすことを望む」とも呼びかけた。この問題が一体どのように落着するのだろうか‥? 今後の成り行きから目を離せない。
B-2 脱炭素キャンペーンの行き詰まり
◆欧州連合(EU)の欧州委員会とドイツ政府は3月25日、これまでにEU議会が採択していた2035年でエンジン車の新車販売を禁止する法案について、2035年以降も条件付きで内燃機関(エンジン)車の新車販売を認めることで合意したと発表した。さらに続く28日に同委員会はエネルギー相の閣僚理事会を開き、2035年以降も「e-fuel」と呼ばれる合成燃料を使用する場合に限り、エンジン車の新車販売を認めることで正式に合意した。
EUは当初、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス削減策の一環として、ハイブリッド車を含むすべての内燃機関(エンジン)車を禁止する方針だった。いっぽうで、大規模な自動車産業を抱えるドイツを中心にイタリア、ポーランドなどが反対の意を表明していた。
事の経緯を辿っていくと、欧州委員会は2021年、「2035年以降のエンジン車の新車販売禁止」に関して、温室効果ガスの排出削減に向け、ハイブリッド車(HEV)を含むエンジン車の販売を事実上禁止する法案を発表した。EU加盟国と主要機関が2022年に政治的に合意、欧州議会が同年2月に法案を採択したことで、加盟国の正式承認を残すのみとなっていた。
いっぽうで、主要な自動車メーカーが多数存在するドイツが雇用などへの影響を懸念し、承認手続きの最終局面で反対を表明。欧州委員会との協議を続けていた。ここに至って今回の協議の結果、地球温暖化対策としての世界的な脱炭素化に向けて、電気自動車(EV)の普及をリードすることを狙っていたEUは、方針転換を迫られることになった。
なお、今回の合意について具体的な内容は明らかになっておらず、今後、他のEU加盟国も交えた正式な手続きの中で示される予定だ。
B-3 エネルギー高騰、危機感増す
◆ 欧州大陸でもこれまでのような脱炭素の勢いは衰えつつある。
・ドイツは「エネルギーベンデ(転換)」というスローガンの下、最も急進的なエネルギー政策を取ってきた。脱炭素推進だけでなく、脱原発も同時に進めてきた。だが、これまで頼ってきた安価なロシアの天然ガスが入手できなくなり、エネルギーコストが高騰し、エネルギー集約産業は苦境に立ち、産業空洞化に拍車がかかっている。
世界最大の化学メーカーである独BASFは100億ユーロ(約1兆5600億円)を投資して化学工場を建設しているが、その立地は中国だ。独フォルクスワーゲンは71億ドルを、独BMWは17億ドルを投じて電気自動車(EV)工場を北米で建設する。まさに産業空洞化である。
経済・気候大臣と外務大臣という二つの重要ポストを占めている緑の党は一連のエネルギー政策の不評が祟り、かつては高かった支持率が激減し14%まで下がった。対照的に脱炭素政策に異議を唱える唯一の政党であるドイツのための選択肢(AfD)は支持率が20%と緑の党を大きく超えるまでになった。ドイツ主要政党はAfDは極右であるとして批判し、その弱体化に躍起である。
・イタリアの右派メローニ政権は、産業が対応できないとして、欧州連合(EU)の一連の脱炭素の取り組みに反発している。建築物の省エネ、ガソリン・ディーゼル自動車を廃止する計画、産業部門の排出量削減などに、ことごとく疑問を呈してきた。
・オランダの農民市民運動党(BBB)は、生態系保全と脱炭素を目的とする農業部門の窒素排出規制に反対する党として2019年に設立された。急速に支持を集め一昨年3月の地方選挙では第1党になった。これで連立政権は打撃を受け、その後7月には崩壊した。11月の連邦議会選挙でもBBBが躍進すれば、オランダの環境政策は大幅に見直されるだろう。
・ポーランド政府は2035年のガソリン・ディーゼル車の禁止等、複数の規制についてEUを提訴し、石炭依存を削減する計画は延期した。ポーランドも10月に選挙を控えている。
・欧州大陸ではすでに右派ないし右派中道政権が次々に誕生しており、さらに広がりを見せるかもしれない。そうすると、欧州でも脱炭素の見直しは進むことになるだろう。
B-4 トランプ政権との違い
トランプのアメリカは脱炭素政策・温暖化対策では大きく違っている。EUとは真逆のものもある。 その主なものは ・原油・天然ガスの掘削・輸出規制緩和、 ・電気自動車(EV)の購入補助金撤廃、・温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からは再び脱退、等である。石油・ガスなどは掘って掘って掘りまくれなどと息まいているのだから、これではEUがいくら脱炭素政策を進めても、世界の空気はきれいにはならないだろう。温度の低減目標も達成できないだろう。アメリカと、大手CO2排出国は、中国、インドとあり、この御三家でEUの削減量は帳消しになってしまうのではないか。それでも脱炭素政策を進めるということには虚しさが残る。たとえEUが完璧に脱炭素を成し遂げても、北極・南極の氷は溶け続けるだろうし、ツバルが水没を免れることは、他の手を打たない限り、不可能ではないだろうか。たとえ目標数値をクリアしても何の意味もない。それでも止めないのは、壮大な脱炭素産業が定着・また計画中であり、それを今更止められないということなのではないだろうか?つまり脱炭素には失敗しても、脱炭素産業の経済が回ってさえいれば構わない、ということなのではないか?世界中のCO2排出国が揃って立ち向かわない限りナンセンスということである。そんな疑心暗鬼に捉われる脱炭素計画である。
C ドイツの状況
C-1 シュルツ政権の後退
◆ 2024年12月16日、ドイツ連邦議会でオラフ・ショルツ首相に対する信任投票が実施され、反対多数で否決された。これを受けて、ショルツはフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー大統領に議会の解散を提案。任期満了を待たない2025年2月23日に総選挙が実施されることとなった。
ドイツの首相は議会を解散する権限を持たないため、ショルツは早期の解散総選挙をおこなうために否決されるとわかっていた信任投票を敢えて実施した形になる。ショルツの社会民主党(SPD)は信任票を投じたが、連立を組む緑の党は棄権。野党はすべて不信任に票を投じた。
否決されることが確実な信任投票にショルツが自ら打って出た理由は、11月に自由民主党(FDP)が連立を離脱したことで政権が少数派に転じ、政権運営が困難になっていたからだ。国防やインフラへの支出をさらに拡大しようとするSPDと緑の党に対し、財界や事業者寄りのFDPは財政規律の堅持を強硬に主張し、予算案で折り合いがつけられなかった。
◆ 連立が崩壊した以上、早期解散は誰もが望む流れだ。ショルツは、ここで改めて国民の信を問うて新たに安定した政権を築くチャンスと見ている。他方で野党は、ショルツ政権の支持率の低さから政権交代のチャンスだと張り切っている。
しかし、早期に選挙がおこなわれても、それがドイツの安定につながるかどうかはわからない。なぜなら、いずれの党も議会で安定多数を取れそうにないため、結局は妥協のもとで連立を組むことになり、自分たちの支持者の期待に応えられる見込みがないからだ
現時点の世論調査でSPDを抜いて2位に躍り出ている右派の「ドイツのための選択肢」(AfD)は、EUやユーロ圏から離脱して独立した経済主体となることや、原子力や化石燃料への回帰こそが、ドイツの産業の空洞化を食い止めると主張する。ドイツのことはドイツが決める、という反グローバリズムの主張である。まるでトランプの「アメリカ ファースト」と同じである。
このように、経済政策ひとつとっても、各党の政策は異なっている。それに加え、移民政策やロシアに対する態度なども異なる。
◆ ドイツの三党連立政権は、中道左派の社会民主党(SPD)、緑の党、自由市場主義の自由民主党(FDP)から成り立っていた。
だが、国の予算を巡る議論が数ヵ月にわたって膠着していた。争点となっていたのは、福祉政策、気候対策、そしてウクライナ支援(ドイツは米国に次ぐ支援国)だったという。(英紙「ガーディアン」)
そして米国でトランプの再選が決まった6日、SPDのオラフ・ショルツ首相は、FDP党首のクリスティアン・リントナー財務大臣を解任し、連立政権は崩壊した。
◆ 政局不安定に関しては、中道右派のキリスト教民主同盟・同社会同盟からなる同盟(Union)を首班とし、それに中道左派の社会民主党(SPD)が参加する大連立政権が成立することで春にも収束するだろうと見られている。オラフ・ショルツ首相は退陣し、代わってUnionからキリスト教民主同盟のフリードリヒ・メルツ党首が新首相に選任される公算が大きい。
ドイツでは右派の民族主義政党である「ドイツのための選択肢」(AfD)が旧東ドイツを中心に有権者の支持を集めているが、その思想的な問題を理由に、有力政党のいずれもがAfDとの連立を拒んでいる。AfDは「極右・ポピュリスト政党」ということになっているが、実際は反移民・反グローバリズムの右派政党に過ぎない。
Unionが安定して政権を運営するためには、SPDと組み、連邦議会で議席の過半数を得るしか術はない。一方のSPDも、政治に影響力を行使するためにはUnionと組むしか方法がない。UnionとSPDに残された選択肢は大連立以外にないのである。
大連立政権は「決められない政治」に陥る傾向が強いが、UnionもSPDも背に腹は代えられない。政権成立後、ただちに2025年予算が下院で可決され、ドイツの財政運営は正常軌道に復するだろう。言い換えれば、最短でもドイツの財政運営は晩春か初夏にならない限りは正常化しない。それまで、景気には財政面から下押し圧力がかかる。
◆ 大連立政権の最大の課題は、保守化するドイツの有権者の民意をどう取り入れていくかにある。
右派のAfDのみならず、左派政党からスピンオフしたザーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)のように、左派からも民族主義政党が誕生し、一定の支持を得ている。そうした民意に配慮しないと、大連立は支持を失い、政情がさらに不安定化する。
C-2 ドイツ経済の悩み
◆ ドイツの景気には、今や牽引役が見当たらない。本来なら景気のドライバーとなる輸出が、今は人件費高や原材料高で競争力を失っている。それに、主力の市場である米国は、ドナルド・トランプ新大統領の下で保護主義の性格を強める。中国市場でも、景気低迷と民族系企業の勃興でドイツ企業の収益率が低下している。ひところのドイツ経済の力強さは今や消えてしまっている。輸出が不調であれば、内需、特に個人消費が圧迫される。業績の悪化を受けて、ドイツの大企業は続々とリストラ計画を発表している。世界最大の完成車メーカーであるフォルクスワーゲンがドイツ国内の工場を閉鎖することは日本でも衝撃的に報じられたが、そうでもしない限り、フォルクスワーゲンさえ体力が持たないというほどなのである。
C-3 AfDの伸長とマグデブルグ事件
◆ ドイツにおいては最近のAfD(ドイツのための選択肢)の支持率の伸びは著しい。前回のドイツ第1テレビの世論調査では、AfDの支持率が19%で、現在の政権党である社民党(SPD)を抜いて第2位となった。ドイツの第1党は依然としてCDU/CSU(キリスト教民主/社会同盟)で、彼らは現在、野党だが、今回のアンケートでは支持率29%。一方、政権党である社民党は没落が止まらず、たったの17%で第3党に落ち込んだ。現政権は社民党SPDと、緑の党、自民党(FDP)の3者連合政権であるが、その支持率は3党併せても31%と壊滅的である。その上与党内では何を決めるにしても喧嘩ばかり。しかもそれを収める力がショルツ首相には不足しており、ドイツ政治はカオスが続いている。それが、黙っていてもAfDの支持率が上がっていくという結果にもつながっているのだ。AfDは、2013年、EUの金融政策に抗議した経済学者が立ち上げた党だった。2015年、メルケル前首相のいわゆる「難民ようこそ政策」を批判し、支持層を広げた。しかしAfDの台頭は既成政党にとっては由々しき問題であり、間もなく全政党によってAfD潰しが始まり、さらには憲法擁護庁などの公的機関も加わって、今ではAfDを反民主主義政党として禁止する試みまでが着々と進んでいる。彼らによれば、AfDはすでに、投票してはならない党、連立してはならない党なのであった。すべての政党の幹部が「AfDとの連立は絶対にない」と公言し、AfDはいつか潰せるはずだと思っていた。メディアはメディアで、AfDの政治家をトークショーから締め出し、彼らの主張も伝えず、AfDの議員が左翼にさまざまな妨害を受けてもニュースにもせず、ただ闇雲に「反移民」「反人道」「反EU」「反民主主義」のとんでもない極右の党だと思わせる報道を、堂々と続けてきた。一昨年はチューリンゲン州のゾンネンベルク町の首長にAfDのゼッセルマン氏が決まってドイツ政財界に衝撃が走った。 公営放送のMDRのトップは、「民主主義を守るため、観光、経済をはじめ、すべてのレベルでゾンネベルク郡をボイコットする」とツイート。どういう権限でそんなことが言えるのか無茶苦茶である。民主主義政治の下でAfDが強くなっているにもかかわらず、民主主義を守るためにAfDの台頭を阻止するというのは、完全な矛盾だ。今後もAfDが伸び、それにもかかわらず皆で迫害し続けると、ドイツは早晩、機能不全に陥るのではないかAfDは、以下のような政策を掲げている。:
• 移民受け入れの全面的な停止 • 難民申請者の迅速な送還 • ドイツ文化や価値観の「保護」 • EUからのさらなる自治権の確保 など。トランプとよく似ている。。ドイツには健全な保守が必要だ、と思わせる。
◆ 2024年12月20日にドイツ東部のマグデブルクで、買い物客でにぎわっているクリスマスマーケットに車が突っ込み、5人が死亡し、200人以上が負傷した。犯人はサウジアラビア出身の50歳の男で、現場で拘束された。事件の背景や動機についてはまだ明らかになっていないが、犯人は医師であり、2006年からドイツに住んでいたという。最近、SNSでドイツの難民政策を批判する投稿をしていたことが報じられている。当初犯人は極右政党「AfD」の支持者或いはシンパだと報じられていたが、AfDの地元幹部はこれを否定している。
◆ ところが後日、ナオミ・ザイプというドイツでは知られているインフルエンサーが 「クリスマス市場事件の犯人についての真実」なる報道をおこなった。それは1)犯人は元イスラム教徒の無神論者ではなく、AfDやイーロン マスクのフアンでもない。実際犯人は過激なシーア派イスラム教徒である。そのことは多数のツイートやチャットのリークからも明らかになっている。2)ドイツ人を大量虐殺するという彼の計画は、サウジアラビア人女性によってドイツ当局に知らされたが、警察は彼女の警告を無視した。」というものであった。それはつまり、ドイツのグローバリスト メディアはこれまで移民推進を図ってきていたのでこの事件で、移民に反対してきたAfDの支持が高まることを怖れたため、人々の非難がAfDに向かうように報道したということであった。このことが暴露されてからAfDの支持率が逆に高まったというのは皮肉なことであった。
C-4 イーロン・マスクの干渉
◆ トランプ政権の一員になる前のイーロンマスクはAfDについて、次のようにコメントしている。1)なぜAfDに対して一部の人から否定的な反応があるのか? AfDを「極右」だと言い続けているが、私が読んだAfDの政策は過激のようには聞こえない。私が何かを見逃がしているのかも。 2)ドイツを救うのはAfDだけである。
このコメントに怒ったショルツ首相は「我々には言論の自由があり、それは億万長者にも適用される。しかし、言論の自由は、正しくないことを言ってもいいということでもある。」
今後のAfDの行方は、ドイツ国内だけでなく、ヨーロッパ全体の政治情勢にも影響を与えるであろう。民主主義と多様性を守るためには、AfDの主張の背景にある社会的不安や、ドイツ統一後の地域格差を解決する取り組みなどが求められるのであろう。AfDの共同党首アリス・ワイデルとイーロンはオンライン会議でもよく息の合っているところを見せているが、これを快く思わない政権側は、イーロンが内政干渉をしていると言って非難している。
C-5 2月総選挙の展望
◆ 連立政権が崩壊し、連邦議会(下院)が解散したドイツでは、2月23日の総選挙まであと1カ月もない。世論調査では野党の統一会派「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」が支持率でリードし、排外主義的な右派「ドイツのための選択肢(AfD)」が2位につける。景気低迷を背景に、経済対策や移民・難民政策が主な争点となっている。今、ドイツではインフラの劣化が大きな問題になっている。鉄道だけではない。アウトバーン(高速道路)も1960年代に建設されたものが老朽化している。また、高速インターネットも十分な投資が行われてこなかった。スマホやWi―Fi(ワイファイ)の電波も悪いところが多く、不満が多い。ドイツの慢性的なデジタル技術への投資不足が身近なところにもうかがえる。
最大の争点は、経済低迷からどう抜け出すかだろう。主力であるはずの自動車産業で工場閉鎖などがおこなわれている事態は、ドイツの経済がいかに失速しているかを物語っている。 どのようにして経済を再び成長軌道に乗せるか・・?
◆ ドイツメディア「ZDF」などによると、現在世論調査で1位の支持率を得ており、次の政権で首相を出すと目されている最大野党で中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)は、労働市場に入らないドイツ人の多さが生産性を損なっていると考え、働いていないドイツ人に働いてもらうために、給付金の削減や、法人税および中低所得者の所得税の引き下げを主張している。 人工知能や量子コンピューティングなど先端分野への積極投資を主張する。さらに、「メイド・イン・ジャーマニー」の企業には税制優遇措置を設けると公約している。
◆ 現時点の世論調査でSPDを抜いて2位に躍り出ている右派の「ドイツのための選択肢」(AfD)は、EUやユーロ圏から離脱して独立した経済主体となることや、原子力や化石燃料への回帰こそが、ドイツの産業の空洞化を食い止めると主張する。
ドイツは原発を止めたあとに、ウクライナ戦争関連でノルドストリームが爆破されロシアからの天然ガスの供給が断たれた。ガス代が高騰し長期的に高止まりである。経済成長は2年間ゼロのままなのである。フォルクスワーゲンは創業以来初めて国内の工場の閉鎖と人員削減に追い込まれた。とにかくドイツは混乱している。そして、現在のショルツ首相の連立政権は崩壊し、政権交代は確実である。だが、これがショルツの不人気のせいだとばかりとは言えない。 世界的にトランプを始めとして、反グローバリズムの波は高まっているのだ。
D フランスの状況
D-1 揺れる政局・
◆ 2025 年度予算を巡る対立から、フランスの国民議会(下院)は2024年12月4日、内閣不信任決議を賛成多数で可決した。これにより、昨年 9 月に就任したばかりのバルニエ首相は、在任期間わずか3か月で内閣総辞職に追い込まれた。フランス で内閣不信任案が成立するのは1962年以来、約60年ぶりとのことである。 原因は2025 年度予算を巡る与野党の交渉が決裂したことだ。バルニエ政権が 10 月に示した財政再建 のための緊縮的な予算案に、左派連合の新人民戦線(NFP)や極右の国民連合(RN)といった野党勢が 猛烈に反発していた。バルニエ首相は電力税の引き上げを撤回するなど、極右の要求を一部受け入れていたものの、さらなる譲歩を求めたRNと折り合いをつけることが出来なかった。 バルニエ政権は憲法 49 条 3 項を用いて、議員投票を経ずに予算案を強行採択しようとしたが、これに反発したNFPとRNが内閣不信任決議案を提出。不信任案が可決されたことで、バルニエ政権の予算 案は廃案となった。2025年度予算は廃案となったものの、当面は2024年度予算に基づく暫定予算が執行されることになり、フランスが政府閉鎖やデフォルトに至るリスクは小さい。
フランスでは、憲法の規定で選挙実施後 1 年間は議会を解散することが出来ないと定められている。 前回の下院選挙は2024 年 6月30日2に実施されたばかりのため、2025 年夏までは総選挙を実施するこ とが出来ない。
◆ 内閣不信任で辞職を迫られたバルニエ氏の後継首相にマクロン大統領が選んだのは、自身に近い中道政治家のバイル氏。バイル政権への協力と引き換えに各党がどのような政策を要求するか、それにより財政運営がどの程度緩やかになるかに注目される。新首相就任から数時間後、財政赤字の継続的な削減が困難であるとして、大手格付け会社がフランス国債の格下げを発表した。財政運営への不安が広がっている。
◆ 新首相が穏健左派の取り込みに成功する場合も失敗する場合も、下院の解散が解禁される今年後半以降、再び総選挙が行われる可能性が高い。マクロン路線の継続と受け止められかねないバイル氏の首相就任は、次の選挙で政権に加わる政党に逆風となりかねない。また、極左と穏健左派の間で亀裂が生じており、次の選挙で左派が統一会派を結成できない場合、極右政党に有利に働く可能性がある。新首相就任が政治安定につながる可能性は低い。
D-2 バイル新内閣の現在の状況
◆ バイル首相は2024年12月13日に就任し、過去1年で4人目の首相となった。バイル政権は中道派を中心とした非多数派政権で、マクロン大統領を支持する中道勢力と小規模な中道右派政党が参加している。新内閣は36人の閣僚で構成され、そのうち半数以上がマクロン大統領を支持する中道政党や前政権の閣僚経験者である。
バイル首相は、極右政党「国民連合(RN)」のマリーヌ・ルペンや中道左派「社会党(PS)」との協議を進め、政権基盤の安定を図っている。特に、予算案の成立に向けて、分裂した議会の一角から支持を得るための取り組みを行っている。ルペン氏は、次期政権が財政赤字削減に性急でないアプローチを取る限り、協力する用意があると述べている。
新政権は2025年1月3日に初の閣議を開き、1月14日にバイル新首相の所信表明演説が行われた。極左政党「不服従のフランス(LFI)」は内閣不信任案を再び提出する方針を固めているが、極右政党は新政権の政策の中身を吟味するとしており、この段階では内閣不信任案に投票しない意向を示唆している。フランスの政治情勢は依然として不安定であり、今後の展開に注目が集まっている。
D-3 国債格付け引き下げ
◆ バイル新首相の就任から数時間後の14日深夜0時過ぎ、大手格付け会社ムーディーズはフランスの国債格付けを「Aa2」から「Aa3」に引き下げると発表した。同社は10月末の格付けレビューでは格付けを据え置いたが、今回は「次期政権が来年以降も財政赤字を持続的に削減できる可能性は今のところ非常に低い」と指摘し、事前に予定されていなかったタイミングで格付けを変更した。これにより大手3社の格付けは「AA-」相当で並んだ。今後も財政再建が進まなければ、他社が格下げで追随し、シングルA格への転落も視野に入ってくる。フランスの国債利回りには、一段の上昇圧力が及ぶことになろう。
D-4 今後の見通し
◆ 新政権は今年の早い段階で2025年度予算案の策定を改めて目指すことになる。その際、穏健左派を取り込む形での政権発足に成功していれば、政権基盤は安定するが、歳出拡大圧力が強まり、財政再建が遠退くことになる。穏健左派の取り込みに失敗し、バルニエ内閣同様に共和党と中道会派が支持する政権が誕生している場合、2025年度予算を成立させることは事実上不可能となる。議会採決を迂回する特別な立法手続き(憲法49条3項)を使って予算成立を目指せば、バルニエ首相と同様に内閣不信任で総辞職に追い込まれる。議会運営は停滞し、下院選挙が解禁される今年後半以降、議会の解散・総選挙が行われる可能性が高い。
穏健左派を直接・間接的に取り込む形の政権が発足した場合も、次期政権は短命政権に終わる可能性が高い。左派と右派、親マクロン派と反マクロン派の政策協調は難航が避けられない。首相任命を巡る確執がフランス国民の間で広く知れ渡ったとしても、マクロン大統領に近いバイル首相が率いる政権の誕生は、マクロン路線の継続と受け止められ、次の下院選挙で政権に参加する政党への逆風となる可能性がある。また、今回の首相選出で、極左と穏健左派の間に亀裂が生じており、次の下院選挙で左派が再び統一会派を結成できるかは不透明だ。その場合、極左と穏健左派との間で左派票が割れ、極右政党に有利に働く可能性がある。新首相就任が政治安定につながる可能性は低い。
E 英国の状況
E-1英国の外交政策
◆ 英国は2024年7月の総選挙で労働党が14年ぶりに政権を奪回し、キア・スターマー氏が首相の座に就いた。同月に二つの国際的な会議に出席したことで、新首相は内外へのお披露目となるチャンスを得て、ラッキーなスタートを切ることができた。その会議とは、一つは、7月9日にワシントンDCで開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席したことであり、もう一つは、7月18日にチャーチルの生誕地ブレナム宮殿で欧州政治共同体(EPC)をホストすることである。EPCとは、欧州連合(EU)の加盟国とそれを取り巻く国々による緩やかな会合である。会合と言っても組織・制度的なものではなく、イベントを通じて意見を交わすような集まりである。2022年にフランスのマクロン大統領の提唱により、第1回会合が開催され、今回第4回目の会合を英国がホストしたものである。EU加盟国に加えて、EUへの加盟候補国(9カ国)、潜在的加盟候補国(コソボ)、英国、スイス、ノルウェー等の幅広い欧州諸国が参加している。
英国の評判がブレクジットを通じて、ボリス・ジョンソン時代に混沌となってしまったものを、真面目な中道派による安定的な政府という見方に変える効果もあっただろう。
◆ NATO、ウクライナ、米国、中国といった外交政策の重要分野の多くにおいては、政権が代わっても多くの継続性が保たれるということを示している。トランプとは違うところである。ワシントンDCにおいて、スターマー首相はNATOに対する「揺るぎない」支援を明言した。NATOへの支持をしっかりと打ち出すことは、労働党が政権担当能力を持つことを示すためにスターマーが重視している点でもある。
英国のウクライナに対する支持にも変わりがない。これは、スターマー首相がウクライナのゼレンスキー大統領に伝えたところである。新政権も、必要な期間にわたり30億ポンド(38億ドル、GDPの0.1%)の支援を行うとの前政権の約束を維持する考えである。
労働党は英米関係を重視する党であり、当時11月の米大統領選挙で誰が当選しても、両国関係を良好に保つ考えであることを行動で示している。それはラミー新外相が、国防費をもっと上げろというのは、米国が欧州に求めていることだと欧州の同僚に伝えていることからもわかる。
中国についても、前政権の政策が継続する可能性が高い。消費財の貿易には開放性を維持しつつ、原子力、電気通信等の分野での中国の投資には慎重な見方をとることになろう。
◆ 一方、別の分野では変化が見えている。英国がEUから完全に離脱したのは2021年1月1日からであり、それ以降の英国は、欧州とは意識的に距離をとり、欧州以外のところで成果を上げ、EUから離脱したことのメリットをアピールしようとした。 EUと距離をとる外交をせざるを得なかった保守党政権とは異なり、労働党のスターマー政権にはそうした桎梏(しっこく)はない。 労働党は欧州とより親密な関係を望んでいる。ラミー新外相は、ドイツ、ポーランド、スウェーデンと、EU加盟国を訪問した。 さらに、EPCの会合では、移民、エネルギー、安全保障といった問題について討議し、二国間会談も行われた。新たな好機を開くのに前向きである。
◆ 労働党は、EUへの再加盟、EUの単一市場への再加盟は考えないとしている。一方、食料品についての貿易、教育や研究における連携等とともに、安全保障・防衛面での協力についての新たな形の合意を求めている。EUのボレル外交・安全保障担当上級代表はラミー英外相をEU外相会合に参加するように示唆した。現在ではブレグジットが失敗だったという者が世論調査で過半数を超えているものの、2016年~19年のほぼ4年間の経験で英国国民は「こんな筈では無かった」と思ったとしても、国政の相当の時間とエネルギーをかけてブレグジットを議論してきた事実があるので、その結果を覆すのは容易ではないということだろう。
EUとの関係以外でも、労働党政権は、パレスチナとの関係やグローバル・サウスとの関係についても、再構築を図っていくことになると思われるが現時点ではそのスキームは見えていない。。
E-2 日本との関係
◆ 保守党政権がEUと距離をとる外交を行っていた時期は、日本やインド太平洋地域への注目度が上がった時期であった。「欧州以外のところで成果を上げる」ための狙いの一つとなったことで、追い風が吹いていた。日英包括的経済連携協定の締結や、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への英国の加盟は、そうした成果の一端でもある。空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群の横須賀寄港(2021年)も実現した。
今後、次期戦闘機についての日英伊三国での共同開発、空母「プリンス・オブ・ウェールズ」の日本寄港(2025年予定)等の計画がある。労働党政権の下で英国がより欧州外交に戻っていくことで、これまでの追い風が弱まる可能性は否定できないが、世界におけるアジアの比重の増大を踏まえ、英国が日本との関係やインド太平洋地域への関与を強化する流れを継続することを期待したいものである。この分野はトランプの対中国政策がどのように推移していくかで大きく影響を受けると思われる。トランプは現時点では習近平とトップ外交を展開しようとしているようであるから何が起こるかは見通しがつかないところがある。状況の推移を注視するしかないところである。
E-3 英国の経済状況
◆ 英国は、いくつかの外交課題に直面する一方で、低成長や多額の公的債務の重荷に苦しみ、高齢者介護や公的医療保険制度(NHS)をはじめとする公共サービスへの投資を求める大きな国内圧力にさらされている。実質賃金は過去十数年ほとんど伸びていない。所得低迷と住宅価格高騰が相俟って、平均的な労働者の住宅取得は困難さを増している。財政赤字の拡大と高齢化の進展で、行政や福祉サービスの維持が難しくなっている。税負担は第二次世界大戦後で最も高い。
米モルガン・スタンレーは27日、英国の2025年の国内総生産(GDP)の伸び率を0.9%と、従来の1.3%から引き下げた。英経済の減速と労働市場の低迷の兆しを要因とした。ゴールドマン・サックスとJPモルガンも1.0%未満の成長率を予想している。イングランド銀行(英中央銀行)の予想は1.5%増。一時的な公共支出の増加による短期的な景気浮揚などが反映されている。
一方で17日に出されたIMFの予想では英国の2025年の経済成長率見通しを1.6%とし、24年10月に示した予想から0.1%ポイント引き上げた。主要7カ国(G7)では米国とカナダに次いで3番目に高い成長率となる。OECDも24年12月、英国の25年の成長率の予測を1.7%と、従来の1.2%から引き上げた。2024年7月の英労働党による新政権発足以来、景気減速に直面しているリーブス財務相にとっては追い風となりそうだ。
英予算責任局(OBR)による25年の成長率見通しは2%、26年は1.8%となっている。税負担が重くなる労働党政権の予算を巡って企業活動に影響が出たことから、24年第3・四半期に英経済は停滞した。イングランド銀は24年第4・四半期もゼロ成長になると予想している。
このように予想する側により、0.9%~2%と幅が広い。スターマー首相は経済拡大を大きな目標にしていて、「成長、成長、成長」と気合を入れている。何はともあれ、EU加盟国ではない英国だが、EUを離脱して経済的に苦しい状態では、何のための離脱だったかと言われてしまう。スターマー政権の奮闘に期待したいところである。
F まとめ・EUの危機
◆ これまで述べてきたように、EU加盟国(27ヶ国)は決して一枚岩ではない。EUはグローバリズムの象徴のような面もあるが、その実体は国境を取り払ったと言っても、それは国境管理を失くして通行の自由を認め、域内一律の課税で財物もサービスも、原則共通通貨で自由に売買できるということであり、各国の政体や経済主体はそれぞれの国が責任を持つのは変わらない。各国は分担金をEU(政府)に払うが、当然国単位では富める国とそうでない国との格差は存在する。財政逼迫した国はEU政府から支援を受けることが出来るが、支援を受けるにあたっての条件は厳しい。また経常的にそのような状態が続けば富める国側からは、自分たちの税金は他の国を助けるためのものではない、という不満が出てくる。 しかし格差はあっても、EU船出した後も順調に航海を続け、いくつか問題はあるにしても世界的には歴史上まれに見る成功例として加盟国、加盟希望国は増えていった。
◆しかしその繁栄に暗雲が射しこんできたのは、2015年前後あたりから、シリアやイラク、イランなどにおける戦争や紛争で、難民が欧州に大量に流れ込んでくるようになってからであった。当初は、人道的な観点から欧州各国は、EUの方針として積極的に難民を受け入れ、ドイツなどはメルケルの積極推進で、1年で100万人を超える難民を受け入れた。ハンガリーのように、国を挙げて難民反対ということで軍を動員して国境を閉じた国もあった。当時EU加盟国であった英国にも大量の難民が流れ込んだ。この欧州の問題は世界中の耳目を集めた。しかし最初難民を受け入れていた国も、難民が受け入れ国の習慣や社会基盤に脅威を与えることが多くなるにつれ、各地で確執が起こった。ドイツのケルンでは大晦日の夜に、ケルン大聖堂広場で1000人を超える難民が、現地住民女性に対する集団性的暴行を加えるという事件が発生して大きな社会問題となり、同時に反難民・移民の機運が高まり、それまでの難民を歓迎していた風潮も逆転していった。反難民の動きはドイツばかりでなく、フランス、スエ―デン、英国でも大きくなっていった。ドイツ東部ではAfD(ドイツのための選択肢)がこの時結成され(2013年)、反移民、反グローバリズムを党是として反EU、親ロシア、原発賛成などを主張したため極右政党とみなされた。最初は小さな存在であったAfDは次第に賛同者が増え、同時にEU各国内にも似たような組織が出来ていった。フランスでは国民連合(旧国民戦線)が既にかなりの支持者を集めていた。オランダにも反移民・反イスラムを唱える自由党が一定の支持を集めるようになっていた。
◆ この難民問題を境として、EU加盟国の中では難民を含めて反移民・反グローバリズムを唱える政党があちこちに作られていった。それまでの既成政党も含めてEU内でも無視できないプレゼンスを示していた。各党とも基本は反移民、反グローバリズムであるが、その他にも党によっては反イスラム、親ロシア、或いは原発賛成など、各国の政治状況や社会問題に応じて違った主張もあり、それぞれに応じて支持を得ている。その数と党名・党首は主な国のものでも【下記】のような具合である。必ずしも全部が反EUの立場をとっているわけではないが、EU政府(HQ)にとっては悩ましい問題である。
◆ 2024年6月上旬に行われた欧州議会選挙では、統合推進派の4大会派(これまでのEUの中心勢力)が合わせて過半数を制したものの議席数は改選前から後退した。それに対して、反EU極右ポピュリズム勢力は拡大、前回2019年選挙では全体の17%だったが、今回は26%に躍進した。そのEU懐疑派は118議席から187議席となった。 この極右ポピュリズムの勢いは、7月に行われたフランスの解散総選挙の結果にも示され、ルペンの国民連合RNは改選前の88議席から143議席へと大幅に議席を拡大し第2党となった。RNの動向が政局を大きく左右する事態になったのである。
◆ フランスの・ルペンの国民連合(RN)やドイツのAfDがもし(将来)選挙で過半数を獲得したりしたら、EU脱退の国民投票に繋がる可能性もある。そうなったらブレクジットの再来である。その結果はEU解体とか分裂とかの悪夢もあり得る。その時はNATOも今のままではいられないだろうから分裂にはなるだろう。まあそれは考え過ぎとしても、EU全体としては脱炭素プロジェクトの方針変更で足元が揺れ動き、更に経済低迷で加盟国の大多数は苦しい対応を余儀なくされており、2025年も先行きが見通せない。現在以上の地盤沈下は確かだろうから、2025年はこれまでで一番危機的状態に陥るのではないだろうか。
【記】
① ドイツ :政党名/ドイツのための選択肢(AfD)、党首/アリス・ヴァイデル&ティノ・クルパラ、党創立/2013年
② フランス :政党名/国民連合(RN)、党首/マリーヌ・ル・ペン、党創立/1972年(旧 国民戦線)
➂ イタリア :政党名/イタリアの同胞(FdI)、党首/ジョルジャ・メローニ、党創立/1991年
④ オランダ :政党名/自由党(PVV)、党首/ヘルト・ウイルダース、党創立/2006年
⑤ ハンガリ- :政党名/フィデス=ハンガリー市民同名(Fidesz)、党首/ヴィクトル・オルバーン、党創立/1988年
⑥ オーストリア:政党名/自由党(FPO)、党首/ノルベルト・ホーファー、党創立/1956年
⑦ ポーランド :政党名/法と正義(PiS)、党首/ヤロスワフ・カチンスキ、党創立/2001年
注:⑤⑥⑦は既にその国の政権党である。EU政府と方針が合わずに、とかく確執がある。
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以上
林義祐
* 文中敬称略
* 参考資料:
及川幸久・藤井厳喜・HARANO TIMES: YouTube
北野幸伯・河添恵子・丸谷元人・三橋貴明:メルマガ
ジェトロ・第一生命経済研究所・大和総研:資料
Bloomberg・JB Press・BBC・NewsWeek: 他
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オランダ在住の 林 義祐氏(64回生・岡谷市出身)のご寄稿「オランダの生活・歌日記: 2025年1月」を下記に掲載いたします。
林様、今月もご寄稿ありがとうございます。パソコンの不調でご心労の中、送付いただき恐れ入ります。同窓の皆様のコメントをお待ちします。
(名取宛メール: antimarck@yahoo.co.jp)
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2025年1月:歌日記
12月末日 <Farewell to Ingrid>
☆ 広い墓苑芝の緑が目に沁みる 旅立つ棺は野辺送り待つ
☆ 異国にて初めて土葬に立ち会いて 穴の深さと仕掛けに驚く
☆ 地表には長方形のひつぎ板 金棒操作でそっと沈み出し
☆ 棺載せた厚板音なく着底し 葬送者順に紙の花落とす
1月2日(木)<町中が花火好き>
☆ 大晦日花火の喧騒嘘のよう 町は静まり正月に浸る
☆ 娘来て家族会議が始まりぬ 今年のプランあれやこれやと
1月3日(金) <晴天の夜>
☆ 犬連れて夜の散歩の頭上には 北斗七星くっきり輝く
☆ オリオンの大きな四角久しぶり 変わらぬ三つ星不思議なロマン
1月4日(土) <娘一家(?)が帰る>
☆ 正月をのんびり過ごした娘と犬 アムスへ帰る名残り惜しんで
☆ 犬2匹猫一匹連れ大移動 犬は嫌がるここが大好きで
1月5日(日) <これでも冬まっ盛り>
☆ 朝みればうっすらと銀世界 フローミスの帽子静かに佇む
☆ 午前中で雪は消えゆき芝緑 オランダ今年暖冬らしき
1月6日(月)<冬の庭>
☆ ティーゼルの粗き姿の終わり花 棘まで愛し冬の庭には
☆ ミーロには豊作嬉しヒメリンゴ 日がな通いし食糧倉庫
1月7日(火)
☆ 温室のぶどう棚整枝1時間で 首痛くなり今日はそこまで
☆ 朝から雨温室以外作業なく PCにて今年のフォルダー準備
1月8日(水)
☆ クリスマスの電飾徐々に終わる中 人目引く飾り未だ残りぬ
☆ スーパーの飾り今年の目玉とて 引退できず輝き続け
1月9日(木) <ガス代高騰ボイラー使用抑制>
☆ 湯たんぽの湯温も緩む起床どき 部屋の温度は15度を切り
☆ 省エネの波が我が家に押し寄せて 陽光パネル存在感無し
☆ 妻急にあちこち消灯して回る 皿洗い機をやめれば済むに
1月10日(金)<冬の庭>
☆ ティーゼルの粗き姿の終わり花 棘まで優し冬の庭には
☆ ミーロには豊作嬉しヒメリンゴ 日がな通いし食糧倉庫
1月11日(土)<素晴らしい快晴>
☆ 快晴のコバルトブルーの空高し オランダの冬例外があり
☆ 陽光を受けて運河は波もなく 岸辺の樹々を果てなく映し
1月13日(月) <葉が落ちて形のきれいな樹が現れ>
☆ 散歩道きれいな樹形の庭木あり 扇が天を煽ぐかのよう
☆ 団扇の骨素直に天に伸びている この木何の木暫し見惚れ
☆ 夏の頃緑繁れる木なるゆえ 全貌知れる冬なればこそ
1月14日(火) <アコニーツ/キバナセツブンソウ>
☆ 1月も半ばというにアコニーツ 早くも咲きだす春を待てずに
☆ 寒気満つオランダの冬の庭にても 出番を無視のフライングの花
1月15日(水)<霧雨の散歩>
☆ 朝の空暗い灰色霧深し 終日晴れぬ冬の一日
☆ 夜散歩ヘッドライト点け霧の中 雨にはあらねどコートは濡れる
☆ 霧雨とはこれを言うかと合点する これまで霧で濡れたことなく
1月16日(木)<娘の飼い犬が急病>
☆ 娘から緊急電話 ロミ(*)病気 動かぬと言われ妻オロオロし
☆ かかりつけロミの獣医は当地在 急遽娘はロミを連れ来る
1月17日(金)
☆ エコー検査ロミは胆石との診断で ともかく原因分かりほっとし
☆ 来週にロミは手術を受けるとて しばらく我が家に居候となり
1月18日(土)
☆ 夜散歩資材置き場で犬吠える 見ればイタチが休んでおり
☆ イタチの目灯りを受けて緑色 怯える顔にごめんと立ち去る
1月19日(日) <小鳥の食糧庫>
☆ ピラカンス コトネアスター マユミの実 鳥食べあとはヒメリンゴだけ
☆ アオガラは小さく身軽池の端 苔を掴んで逆さに水飲む
1月20日(月) <終日気温上がらず>
☆ 庭の木々寒さ厳しく霧氷着く 暫しの命冬の花が咲き
☆ 一日中気温上がらず冬の花 短い命を一日長らえ
1月21日(火) <寒い風の中に草花の芽>
☆ 次々とスノードロップが芽を出して 小さな花芽早くも見える
☆ フェンス外水仙もまた伸びており 鮮やかな緑落ち葉貫き
1月22日(水)
☆ 知らぬ間に季節は移る冬とても いつまで厳しい顔でいられず
☆ 欧州の冬はいつまで続くやら 政治経済春は遠かり
1月23日(木)
☆ 胆石の手術を受けたロミ帰宅 意識朦朧見る影もなく
☆ 常ならば犬が通れば吠えるロミ 通る犬見ても全く吠えず
1月24日(金)<悪いニュース続く>
☆ 手術後のロミの経過は良くなくて 娘の必死の介護が続く
☆ シモンまた心臓手術後重篤と 連絡が来て家じゅうがパニックに
1月25日(土) <PC不調>
☆ PCが不調で今月歌日記 全く進まず憂鬱な日々
☆ Email 受信できても送信は 不可とは不思議プロに頼む
☆ このケースThuderbirdは日本語で プロも分からず困り果てたり
1月26日(日)
☆ 最悪は今月発信できないこと それを避けるに代替案は・・?
☆ OCN受信はOKそれならば 送信はGmailとチラリと思う
1月27日(月)
☆ Chris来て3時間PC診てもらう 遂に解決ドッと感謝し
☆ 歌日記今から始めて間に合うか できるとこまでやることにする
1月28日(火)
☆ 一日中パソコン向かい外に出ず 皮肉なことに太陽燦燦
☆ 進捗は捗らずして気は焦る できるとこまでと開き直りたリ
1月29日(水) <春はそこまで>
☆ ふと見ればクリスマスローズ咲いていて 庭には春の兆しが見える
☆ スノードロップ2日見ぬうち丈伸びて 可憐な蕾恥じらうごとく
1月30日 (木) <節分の花>
☆ 節分は近かりキバナセツブンソウ その日に合わせ蕾膨らみ
☆ 黄花持つクリスマスローズも仲間入り 春は確かに忍び寄っており
1月31日(金) <娘に託された犬>
☆ 手術後のロミの回復順調で 世話する妻は愁眉を開く
☆ 家の外通る人見てロミ吠える 悪癖もまた回復したらし
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以上
【庭のスライドショー写真は、冬の花は少なく、それも全部この日記中にて触れていますので、お休みです】
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掲載(了)