令和6年2月1日掲載 64回生 林 義祐氏寄稿(第三十六回目掲載)
オランダ在住の 林 義祐氏(64回生・岡谷市出身)のご寄稿「オランダの生活・歌日記: 2024年1月 序文」を下記に掲載いたします。林様、ご寄稿いただきありがとうございます。
混沌とする世界情勢。林様はオランダからどう見ておられるのでしょうか。今月も掲載させていただきます。
1週間以内に第三十七回目掲載として「オランダの生活・歌日記 2024年1月」を掲載いたします。
同窓の皆様のコメントやご感想をお待ちしています。(名取宛メール: antimarck@yahoo.co.jp)
2024年1月 歌日記・序文
2024年の幕開け
はじめに
昨年(2023年)の世界情勢はロシア・ウクライナ戦争が膠着状態になったと思うと、ロシアが攻勢を強めたり、また同じようにウクライナもロシアに打撃を受けながらも盛り返したり、西側諸国のウクライナ支援疲れで、ウクライナにとっては先行きが見通せないような状態になったりした。外部から、マスメディアのニュースでしか判断できない我々には何がどうなっているのか、本当にウクライナはまだ戦争継続ができるのか、アメリカの支援が滞るようになったら、一体どうなってしまうのか・・? 全く分からないうちに10月には中東でハマスがイスラエルに侵攻するという思いもかけない事態が発生し、さらに混乱に拍車がかかることになってしまった。
悪いことにはイスラエルの反撃は憎悪剥き出しの攻撃であり、まるでパレスチナ・ガザを殲滅せんばかりの非道なもので、大量の一般市民が犠牲になっている。昨年10月7日の戦争勃発以来、これまでのパレスチナ側の死者は約2万5千人に上ると言われ(3万2千人という報道もある)、そのうちの1万人は子供たちだという。ネタニヤフ首相は政権内右派強硬派の突き上げとアメリカ始め世界の世論との板挟みになりながらも、自身の弱味を握られていることから強硬派を抑えることができない。一体この先どう言う形で戦争を終わらせようと考えているのだろうか・・?ハマスの後ろにイランやロシア、中国の影が見え隠れして、イエーメンやレバノンも反イスラエル・アメリカ色を強めていて一触即発の状態なのである。アメリカはウクライナ・ロシア戦争に加えて、パレスチナ戦争にも介在せざるを得ない事態になっていて、空母打撃群を中東に派遣したり、また移動させたりと、忙しいことである。
ウクライナ問題、パレスチナ問題に加えて、台湾問題にも火が着いたらアメリカは世界の3カ所でやり繰りをしなければならなくなるのでとても無理な状況になりそうだと思われていたが、台湾問題は1月16日の総統選で頼清徳総統誕生となって、中共は国内の経済事情が悪化していることから、今アメリカと事を起こすのは賢明ではないと判断したのだろうか、いったんは矛を収めて作戦の転換を図るようにも見えて、それはそれでさしあたって戦争回避につながることから歓迎されることではある。
上記のような状態で、2024年には何がどうなるだろうと考えてもとても難しい気がする。これまでの色々な価値観や判断基準がこの1~2年で全く変わってしまって、世界が共有していた多くの秩序、信頼、知見等が意味の無いものになってしまったからである。
今回はウクライナ・ロシア戦争、ハマス・イスラエル紛争の両方を絡めながら問題点を考えてみたい。
国際秩序の崩壊
国際秩序が守られるということは、「国際社会のメンバーが互いの立場の違いを認めながらも、協調関係を成り立たせるために必要なルールと規則を遵守している状態」、と言える。ルールと規則を守ることが法の支配であり、国際間の法の支配に従うことが国際秩序を守る・維持するということである。
問題なのは、ある国(主権国家)が対象相手国によって、または紛争の性質・内容によってケースバイケースで国際秩序や平和、正義(justice)、そして国際人道法に対する定義を使い分けているという国際政治の現実だという。 (島田久仁彦氏)
調停グループに参加する国際政治の専門家によると「現在の国際社会はダブルスタンダードどころかmultiple standardsが蔓延っており、スタンダード(基準)を主張する国が、自国の利害に基づいて定義を自在に変えて、自らの行動や言動を正当化する矛盾に満ちた世界だ」と島田氏は表現している。
その現実がまさに私たちが目にしている各国のロシア・ウクライナに対する態度、イスラエル・ハマスの戦争に対する態度、そしてアフリカや中南米、アジアで長年続く紛争・戦争・内戦に対する態度(ほぼ無関心)として表れているという。
この矛盾に満ちた対応は、一貫した姿勢と認識に基づく対応を阻むだけでなく、ルールを遵守し、相互に利害を尊重し合うという国際協調体制を根本から覆し、結果、いわゆる“国際秩序”を崩壊させたのではないかという。崩壊の兆しはもうずいぶん前からあったのだが、それを決定づけてしまったのが、ロシアによるウクライナ侵攻による世界の分断を経て、現在進行形のイスラエルとハマスの戦争を巡る各国の対応なのだと。
コロナのパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻以前はまだ【自由民主主義】【基本的人権の尊重】【国際人道法の遵守】【武力侵攻の禁止】といった理念が意識され、違いを受け入れつつも、国際社会の安定と平和という朧げな目標の下、国際協調体制がなんとか成り立っていたのだが、ウクライナ、そしてその後のイスラエル・パレスチナ問題の再燃、世界中で顕在化する格差の拡大などが幾層にも重なり、“明日に向かって協調”するよりも “失ったもの・奪われたものをいかに取り戻していくかという実利主義”に基づいた対応が力を持ち出しているとのこと。
島田氏の言わんとしていることは、これまで世界が曲がりなりにも維持し続けていた、国際間の法の支配・その遵守を、ウクライナ侵攻とガザ紛争が決定的に破壊することになった、ということであろう。その結果、例えば発展途上国やグローバルサウスと言われる国々も、ロシアによるウクライナ侵攻に対する反応は、自国の実利に照らし合わせて対応を考え、ロシアの武力侵攻という事実に対しては非難するものの、欧米諸国とその仲間たちが構成し、参加を迫った対ロ包囲網と経済制裁からは距離を置き、ロシアや中国とも、欧米諸国とその仲間たちとも適切な距離を保ちつつ、しっかりと利益を確保するという現実的な戦略を取っている。
またイスラエルとハマスの問題についても、人道的な観点から即時停戦と迅速な人道支援の必要性に触れつつも、事態からは距離を置き、自分たちへの飛び火を非常に警戒する安全保障戦略を取っていて、これでは全世界的な共同歩調をとって問題解決に向かって前進するなどということは及びもつかないことになる。
これはまた、以前は一段と高い理念であった共通理解からも距離を置くことにもつながってしまった。例えば【主権国家が他国に対して武力侵攻するというのは、現在の世界においてはあり得ない】という理解であったが、約2年前のロシアによるウクライナ侵攻によって完全に否定されてしまった。そしてロシアがウクライナ全域を対象に攻撃を仕掛け、ウクライナを攻撃しつつ、その背後にいるNATOに対して「ロシア、そしてロシアの裏庭に構うな」というメッセージを突き付け、国際社会の分断を鮮明にしている。
さらにロシアは、厳しい制裁にも関わらず、弾道ミサイルの量産体制を強化して来るべき一斉攻撃に備えているようである。そこに北朝鮮やイランなどからの“つなぎ”支援を得てさらに時間稼ぎをしているし、トルコもNATO加盟国としてウクライナに無人ドローンを供与してロシア攻撃に参加している半面、ロシアにも武器を供与して、しっかりと利益を得ている。全く仁義なき戦いである。自国の利益に叶うことならあとはどうにでもなれとばかりである。
アメリカ政府における対ウクライナ支援のための資金が枯渇し、欧州各国も対ウクライナ支援を控え始める中、ロシアは苦境から回復し、弾道ミサイルを量産して攻撃態勢を整え始めるという現状が存在することで、もしNATOがウクライナを見捨てるような事態になれば、ウクライナの存在は危ぶまれるし、その波が一気にユーラシアの近隣諸国に押し寄せる可能性が出てくる。その状態が2024年中に起こっても少しも不思議ではない感じである。
ゼレンスキーの苦悩
ゼレンスキー大統領が国外にいる18歳から60歳の成人男子をウクライナに呼び戻して徴兵するという方針を示したことで、一気にゼレンスキー大統領に対する反対の声が拡大し、国内における政治的な支持基盤が脆弱になり始めているという分析結果も出てきている。その背景には、もちろん、ロシアによる、ウクライナのインフラを徹底的に破壊し、補給路を断ち、揺さぶりをかけるという厳しい心理戦がウクライナ国民に対して行われていることも絡んでいるだろう。
その厳しい状況のウクライナに対して、EU諸国はこれまで自国が掲げる絶対的なルールである基本的人権の尊重や汚職の撲滅といった規範の不履行には目を瞑り、ロシア憎しでウクライナの後ろ盾となってきた。さらにはEU自体も支援が遅延することへの非難をかわす狙いでウクライナのEU加盟交渉の開始を提示したが、今、多方面から欧米諸国の勝手なダブルスタンダードが指摘され始め、次第に他国の案件から手を退き、自国ファーストの内向きの政治に傾く傾向が顕著になってきている。それが欧州各国で表出する右派の躍進と国家主義体制の構築として見られるようになってきている。
そういった状態の中で、昨年10月にハマスがイスラエルに攻め入って、イスラエルが過剰な報復攻撃を始めたことで世界中が、ハマス(パレスチナ)側と、イスラエル側に2分される形となって報道合戦が繰り広げられ、その余波でウクライナ・ロシア戦争がまるで霞んでしまったこともゼレンスキーにとっては痛手であったろう。アメリカの世論がバイデンのウクライナ支援をサポートしてくれなかったら、ゼレンスキーは立つ瀬がないのに、そのバイデンがイスラエル支援で忙殺されてしまっているからである。さらにバイデンは今秋の大統領選挙が迫ってきている中で、現時点では劣勢を伝えられていることもあって、頭の中ではこちらの方が気がかりなのではないだろうか? バイデンは高齢だとか、失政続きだと言われようが、自分から選挙戦を降りることはない。彼には大統領で居続けなければならない個人的な理由があるからである。バイデンはF.D.ルーズベルトのように戦時大統領になればこの問題を抑え込むことができると思っているのだろう。戦時大統領の一番の使命は戦争に勝って国益を守ることであるから、大統領の個人的なスキャンダルなぞ2の次になるというわけである。戦時大統領の認定は議会の承認が必要で、いろいろ難しいことはあるだろうが、大統領でありさえすれば何とかなる。DSのパワーはとてつもなく大きいからである。そうなったときは、2024年は歴史上大きな傷跡を残す年になるだろう。
ゼレンスキーは、ウクライナの戦争遂行能力や勝利への道筋が先細りになりつつあるのを、ひしひしと感じているのではないか・・?
それにはさらにアメリカのウクライナ支援が、バイデンの思うように進んでいないことも大きな苦悩である。先週バイデンはアメリカのつなぎ予算にサインしたが、その中にはウクライナ支援は盛り込まれていなかった。バイデン政権がこれまでのようにウクライナへ巨額の支援をしたくとも、議会がそれを許さなかったからである。アメリカが支援できなくなったらゼレンスキーも終わりである。11月のアメリカ大統領選でトランプが勝ったら彼(トランプ)はその時点でウクライナ支援をストップすると公言しているからゼレンスキーは万事休すということになる。選挙は水物と言うが、今の時点でバイデンが再選されると予想している人はアメリカのメディアにおいても殆どいないことから、ゼレンスキー&ウクライナにとっては2024年は大変な年であり、悲劇の年となりそうである。この予想を回避する方法は、3月頃にバイデンが健康を理由に選挙戦を辞退し(DSによって引きずりおろされ)、代わって民主党が誰か勝てそうな候補を立ててくることである。大方の予想ではそれはミシェル・オバマということであるが果たしてどうなるのだろうか・・? 3月5日のスーパーチューズデイから目が離せない。もし候補者交代となれば、まさに波乱の2024年ということになりそうだ。
1月の動き:広がる戦火
イスラエルとハマスの戦いにおいて、アメリカ政府は今秋に予定されている大統領選挙および議会選挙への影響を考慮して、国内のユダヤ人層の支持固めのためにイスラエル寄りの姿勢を鮮明にしているが、その思惑も、アメリカの言うことを聞かずに暴走するイスラエルのネタニヤフ首相・政権の存在と、アメリカ国内のユダヤ人若年層による、政府批判とパレスチナ支持の表明と拡大により、崩れ去りそうになっている。 過去においては先に攻撃を仕掛けた側 (例:ハマス)が100%悪いと非難されたものが、イスラエルが逆にこれをハマス殲滅のチャンスと捉えて、大過剰反撃を行い一般市民や子供たちを大量に犠牲にしたことからジェノサイドだとイスラエルに対しても世界中から轟轟たる非難が向けられているのだ。 イスラエル政権の高官がスイスの会議に出席したとき、スイス側からジェノサイドの容疑で告訴されたという異例の事態も発生している。(逮捕はなしとのこと)
アメリカでは国内において政府が用いるダブルスタンダードを非難され、民主党内部でも左派が公然とバイデン政権を非難し始め、さらに国際社会においてアメリカのリーダーシップと信憑性が非難に晒されている現状を受けて、バイデン政権の対イスラエル支援に変化の兆しが見られるようになってきている。
今でも基本的にはイスラエル向きの姿勢は堅持しているが、今月アラブ諸国とイスラエルを訪問したブリンケン国務長官もイスラエルに対して苦言を呈し、過剰な防衛はイスラエルを崩壊させるかもしれないと懸念を表明した。また「アメリカ政府はこれ以上、イスラエルを支持できない可能性がある」旨、ネタニヤフ首相に伝えたという。
そして、イスラエルは沈黙しているが、先々週(1月8日)起きたイスラエルによるヒズボラの幹部暗殺事件は、これまで人質解放の交渉に尽力してきたカタール政府を憤慨させ、「すべての和平と人質の生命を守るための試みを一瞬で吹っ飛ばし、地域におけるデリケートな安定を崩しかねない愚行」(カタール首相兼外相)という非難が出ている。イスラエルはまるで頭に血が上った右派強硬派に翻弄されているのではないかと思われる事態で、大いに懸念されている。政権内強硬派のある閣僚は紛争の初期のころには、核使用を辞さないようなことを述べていた。これは前述のようにネタニヤフが右派強硬派に汚職スキャンダルに絡んで弱味を握られているから、アメリカの言うことを聞いて強硬派を押さえつけようとしても、強硬派はそれに対して、閣僚辞任をすると脅しているので、そうなったらネタニヤフ政権は即瓦解してしまうことになり、自分の保身のためにも強硬策を採る以外にできない話なのである。ネタニヤフはカタール政府が、戦闘停止の仲介を取っていることに「なぜカタールがそんなことをするのか? 金をもらっているからだ」などとトンデモ発言をして、カタール政府を驚愕させている。自分でも何を言ってるか分かっていないのだろう。完全に浮き上がっている、としか言いようがない。
そこに今年に入って起きたイラン革命防衛隊の幹部の殺害(シリア)や故ソレイマニ司令官の追悼式典におけるISによるテロなどが重なり、次第にアラビア半島およびペルシャ湾岸諸国も、ずるずるとイスラエルとハマスの血で血を洗うような凄惨な戦いに引きずり込まれつつあると言える。
これは口頭ではパレスチナ・ガザとの連帯を叫びつつ、実質的には何もしない方針を取ってきたサウジアラビア王国やUAE、ただでさえ不安定なイラク、反米反イスラエルを明確にするイエーメンのフーシ派、等中東諸国にイランへの戦火の飛び火が現実になりかねない、そして自分たちも巻き込まれる可能性がある事態がそこまで来ているということを告げている。現にイエーメンの親イラン武装組織フーシ派に対して1月22日に米英軍が攻撃をかけている。英国のスナク首相は「すべての標的が破壊されたのを確認した」と成果を強調した。直接的な攻撃に加え、数日以内にフーシへの資金支援を対象とした経済制裁を発表すると明らかにした。
カタール政府経由の報道によると、少し前まではハマスの軍事リーダー側も話し合う用意があると発言していたようだが、今週の呼びかけに対しては「時期はもうとっくに過ぎており、イスラエルからの残虐な攻撃の結果、ガザの破壊と市民の虐殺が止まないことを受け、ハマスは徹底的に戦うことにする」と回答し、戦闘の休止も人質の解放も拒み、代わりにイスラエルに対する攻撃を再拡大させた。1月24日にはイスラエル軍側に約30名の死者がでた。
一方また1月24日にロシアとウクライナ間で、ようやくできた合意に基づき捕虜交換が行われるはずだった、ロシア軍の輸送機IL76がウクライナ人捕虜65人の輸送中にミサイル攻撃を受けて墜落し、搭乗員74人全員が死亡した事件は、ロシア、ウクライナ両者の主張や説明が食い違っていて真相は不明であるが、解決ムードを一転させる可能性が大いにある。
戦火は両方の紛争地帯を中心に確実に広まっている。アメリカ・バイデン政権にとってはロシア・ウクライナ戦争だけでも十分な重荷であるところに、ハマス・ウクライナ紛争が、頃合いを見たかのように、突発しててんやわんやというところである。
更に北朝鮮は、ロシアと急接近して軍事上の結びつきを強化している。今や韓国を敵性国家と認定して、いつでも侵攻しかねない勢いである。北朝鮮の近年の核兵器開発は格段の進歩を遂げ、最近核弾頭を着けた巡航ミサイルを、潜水艦から発射するテストも成功したと豪語している。すべてロシアとの軍事提携が実を結んでいるようである。
ロシア・ウクライナ戦争とハマス・イスラエル紛争が併存することになってしまった。これは果たして偶然なのだろうか・・? その裏には隠された負の力学が作用しているのではないか・・? プーチンは9月の段階でハマスの攻撃計画を知っていた筈だ。そこで同月、金正恩に会い、核ミサイル開発支援を加速させた。朝鮮半島の緊張を更に高め、米国の戦力を東欧、中東、朝鮮半島に分散させる狙いではないか。今月の北朝鮮の軍事挑発のおかげで、米空母は朝鮮半島に釘付けになり、イラン核施設空爆は不可能になったのである。 ハマス→イラン→ロシア→北朝鮮(→中国) の繋がりを考えるとあり得ない話ではない。
そんな“陰謀論”を考えてしまうような、新しい年の幕開けである。
2024年は全く神経がピリピリする年になりそうである。
(以上)
林義祐
【参考資料】
* 島田久仁彦 メルマガ
* 藤井厳喜 メルマガ
* 及川幸久「黒いシナリオ」
* 鍛治俊樹 メルマガ
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オランダ在住の 林 義祐氏(64回生・岡谷市出身)のご寄稿「オランダの生活・歌日記: 2024年1月」を下記に掲載いたします。
林様、今月もご寄稿ありがとうございます。同窓の皆様のコメントをお待ちします。
(名取宛メール: antimarck@yahoo.co.jp)
2024年 1月 : 歌日記
1月1日(月)
☆ 日本では花火師が打つ花火でも オランダにては誰もが打ち上げ
☆ 大晦日単発連発花火上げ 夜道の散歩硝煙たなびく
☆ 街中が音と光の競演で こんな熱中異常そのもの
☆ 零時ちょうど新年祝う人々が 花火見ながら家の前に立つ
☆ 隣り合う2軒はどこかで年の瀬か Ens,Vermeer(*)と祝賀述べあう
(*)別の2軒の隣人
1月2日(火)
☆ 年初め日本で地震羽田事故 我が家も手術暗雲スタート
☆ オソロシや全身麻酔受けた後 目覚めてみれば手術済んでおり
☆ 麻酔して記憶も痛みも何もなく すぐに目覚めたとしか思えず
☆ 麻酔してスキップした時間シームレス 手術異次元で行われたらし
☆ 二人して朝早くから病院へ 無事に終わればドッと安堵する
1月3日(水)
☆ 手術後は喉が痛くて声嗄れも 今日既に声話し易くなり
☆ Biopsyその結果出るは10日後で それまで何も結論つかず
☆ 寝正月代わりに術後休養日 何もせずして一日過ごす
☆ あれほどに花火音した日も遠く 犬も落ち着き静かな新年
1月4日(木)
☆ 昨年の重要ファイル整理して アーカイブ格納恒例作業
☆ 新しき年のファイルを準備して 名前を付ける年始の作業
1月5日(金)
☆ 庭回り凍結防止3カ所の 蛇口保護する遅ればせながら
☆ これまでに蛇口の破裂無いものの 幼時のトラウマ凍結防止
1月6日(土)
☆ 温室のぶどう棚手入れ遅れたり 剪定方法意見合わずに
☆ 薄暗い午後に始めてすぐ夕べ 片付け明日まずは夕餉どき
1月7日(日)
☆ 今年初青空となり寒桜 咲き出し平和を実感
☆ 初雪は2センチ程の形だけ 風なき庭は静まり返る
1月8日(月)
☆ ヘルボラス寒気の外に凛と咲く 玄関脇で人を出迎え
☆ 年の瀬にミニアマリリス贈られて 早くも咲きだす家の中の春
1月9日 (火)
☆ 冬の日は限りなく低く天動き 我が影長く10mも
☆ 小鳥の餌ピーナッツバターはよく売れて あっという間に一つは空に
1月10日(水)
☆ マホニアは冬でも芽を出し花つける 冬に咲く花おろそかにできず
☆ トキソウは玄関内の大鉢で 春に備えて栄養蓄え
1月10日(水)
☆ マホニアは冬でも芽を出し花つける 冬に咲く花おろそかにできず
☆ トキソウは玄関内の大鉢で 春に備えて栄養蓄え
1月12日(金)
☆ Biopsy結果を聞きに病院へ 妻と二人で一日Outing
☆ 喉頭がん無罪放免喜ぶも 3ヶ月後に様子見ると医者
☆ 体の部位どこもガンになる候補だと 医者の言葉に反論できず
1月13日(土)
☆ 水仙が芽を出し真っすぐ天を衝く 春の兆しに心は軽く
☆ 天候が不順な冬のさ中でも 自然はあまた忘れはせずに
1月14日(日)
☆ オウバイも春の花とは思うだけ 英語ではちゃんとWinter Jasmineと
☆ 庭の中三カ所にあるオウバイも 感覚鋭しちらほら咲き出しぬ
1月15日(月)
☆ 小正月伝統行事どんど焼き 郷里の雪の広場今遠く
☆ お歳とり注連縄飾りお年玉 古き風習唯に懐かしき
1月16日(火)
☆ 寒の冬芝生地面の凍る中 モグラ活発塚いくつも出来
☆ 硬い地面今は手が出ず口惜しいが 春よ早よ来い穴全部塞ぐ
1月17日(水)
☆ 夜1時トイレするためディバ外に 長く戻らずとんだ騒ぎに
☆ 老い犬が我を起こすはトイレゆえ 寝不足といえど叱るもできず
1月18日(木)
☆ 出張から戻りし娘犬猫を 連れ戻しに来安堵と哀惜
☆ ロミ(*1)帰る急に空気は冷え込んで 夜の散歩も独り味気なし
☆ 朝早くディバ(*2)歩行中突然に 腰から崩れ暫し動けず
☆ 老い犬は16歳で最近は 加速度つけて弱まりており
(*1 娘の飼っている犬) (*2 我が家の犬)
1月19日(金)<清田直紀=中学校教師・短歌投稿者 / 北野幸伯=投稿紹介者>
【今日の短歌 能登半島地震を伝える 20240116】
・被災地の中学生が集団で 疎開する記事を生徒に伝える
・子供らは顔上げ我が手の新聞に 目をやり耳を傾けて聴く
・今すぐに何かが出来るわけじゃない それでも知って欲しい現実
・自分なら疎開できるか想像を 試みるから優しさが育つ
・何事も我が事の如く思い寄せ 強く優しい人に育てよ
1月20日(土)
☆ 夜来の雪キツツキ餌求めやって来る 3つの瓶を独り占めで食べ
☆ ほかの鳥キツツキ食事中遠慮して 洗濯ロープでひたすら待っており
1月22日(月)
☆ 白銀の輝くばかり朝の庭 白だけで描く自然カンバス
☆ 積雪は僅か5センチ少ないが 雪に陽が射す今季初めて
1月24日(水)
☆ 夕食後雨降る中を犬の散歩 いちブロック行かぬにびっしょりとなり
☆ 真夜中に暴風雨の吹き荒れる 雪にはならぬオランダの冬
1月25日(木)
☆ デスクトップ突然ダウン動かずに あれこれトライ絶望となる
☆ 午後になり覗いて見れば壁紙が 出ており急ぎパスワードを入れ
☆ パソコンが元に戻って動きだす 理由分からず少しも喜べず
1月26日(金)
☆ 寒風に香りヴィバーナム咲き出すも 風が消し去る匂いあらばこそ
☆ この花は葉のなき枝に花が着く 惜しまれるのは纏まらぬ樹形
1月27日(土)
☆ 月見ればあそこにスリム(*1)滞在と 思えど何かピンとはこずに
☆ 1月の満月ウルフ(*2)と呼ぶらしき 昔のロマン科学に霞む
(*1 SLIM=Smart Lander for Investigating Moon)
(*2 アメリカ・インディアンの呼称)
1月28日(日)
☆ 鳥餌器アイデアグッズ贈られる 大きな鳥は止まれぬ仕組み
☆ 面白いと思いつ設置も鳥は来ず 餌台が他に数あるからか
1月29日(月)
☆ 大輪の白アマリリス咲き出して 部屋の空気が引き締まるよう
☆ 赤い花ミニ・アマリリスも咲き出して 部屋の中ではまさしく春に
1月30日(火)
☆ アマリリス2本の茎が揃い咲く 大きく豪華な花のボールに
☆ 昨日より一段と冴えるアマリリス 白く輝く花嫁衣裳
1月31日
☆ Gmail受信メールチェック1月から 厳しくなると言われて焦る
☆ Gmail受信者に無事着くのかと 該当者宛てテスト重ねる
(以上)
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* 1月の写真 24枚・スライドショー
掲載(了)