令和6年3月1日掲載 64回生 林 義祐氏寄稿(第三十八回目掲載)
オランダ在住の 林 義祐氏(64回生・岡谷市出身)のご寄稿「オランダの生活・歌日記: 2024年2月 序文」を下記に掲載いたします。林様、ご寄稿いただきありがとうございます。
このところの予断を許さない世界情勢。林様はオランダからどう見ておられるのでしょうか。今月も掲載させていただきます。
1週間以内に第三十九回目掲載として「オランダの生活・歌日記 2024年2月」を掲載いたします。
同窓の皆様のコメントやご感想をお待ちしています。(名取宛メール: antimarck@yahoo.co.jp)
2024年2月: 歌日記 序文
はじめに
今月の世界の動向は以下のような事態に注目が集まったと言えるだろう。
1)ハマス・イスラエル戦争の状態とその行方。 2)ロシア・ウクライナ戦争&ナワルヌイ急死の衝撃。3)トランプが再選されたら、ロシア・ウクライナ戦争はどうなるか。
これらの事態をじっくり分析して、この先どうなるかを考えてみたいが、とても内容が大きく重要なものばかりであるので、全部はカバーできない。また上記3)においては、トランプ再選でロシア・ウクライナ戦争がどうなるか?という検討の他に、さらにその後の世界秩序はどうなるかも併せて考えてみたいところだが、今回は1)のハマス・イスラエル戦争に絞って考えてみたい。他のトピックスも重要だが、ハマス・イスラエルの状況は今最も危険で重大な局面にあると思われるからである。
【A】 イラン・イスラエルが一触即発の状態
★ 今は辛うじて何とか抑えている
ガザ紛争は、イスラエル軍の攻撃による死者数が2月初旬で2万8千人にも及んだ。特に一般市民の犠牲が甚大である。女性や子供を多く犠牲にしているためジェノサイドだ!として多くの西側諸国で非難されている。
国連の国際司法裁判所(ICJ)は1月26日、イスラエルに対し、パレスチナ自治区ガザ地区でのジェノサイド(集団虐殺)を防ぐためにあらゆる対策を講じるよう、暫定的に命じた。ただし、戦闘の停止は命じなかった。 この裁判は、イスラエルがガザ地区でジェノサイドを行っているとして、南アフリカが起こしたもの。南アフリカ政府は、判決が決まるまでの間、イスラエルに軍事行動を即時停止させるよう、ICJに求めていた。一方のイスラエルは、南アフリカの主張には「全く根拠がない」と、訴えを否定している。
・ イスラエル軍が、イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けていることについて、ブラジルのルラ大統領が、ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)になぞらえてイスラエルを批判し、波紋が広がっている。反発したイスラエル側が19日、駐イスラエルのブラジル大使を呼び出して抗議した一方、ブラジル側は大使を本国に呼び戻す、としている。
★ 1月末に起きた、ヨルダン北東部の米軍拠点に対する親イラン派ヒズボラのドローン攻撃によって、アメリカ側に3名の死者と40名を超える負傷者が出た。アメリカは親イラン派組織への大規模な反撃を実行し、そのためアメリカとイランの間の緊張をかなり危険な水準まで高めている。
これまでのところ、アメリカ政府とイラン政府は互いに牽制し、それぞれの軍事行動を激しく非難しているが、同時に直接的な交戦に繋がりかねない事態を必死に避けようとするという非常にデリケートなバランスを模索している。イランはヒズボラのアメリカ拠点への攻撃の後、革命防衛隊の幹部がヒズボラに赴いて、それ以上の軍事行動をしないよう説得したという。
イランにとっては、長年続く経済制裁は確実にイラン経済の首を絞め、今、アメリカとその同盟軍による攻撃に対峙するためのリソースは確保できないという現状がある。
しかし「これ以上、アメリカや英国の思うようにされるのは許せない。アメリカとの戦争もやむを得ない」という超強硬派が一定の力を持っているのも確かだ。
★ 米国側としては、イランに対する軍事行動は、イラン革命防衛隊によるイスラエルへの攻撃のトリガーを弾くことを意味し、これまで76年間にわたってひたすらに支えてきたイスラエルを安全保障上の危機に晒すことを意味することになる。
軍事力ではイスラエルがイランを上回るとされ、イスラエルについては公表しないものの核兵器を持つことは明らかで、イランがイスラエルを攻撃するような事態になった場合、現在の極右政党が力を持つイスラエル政府はかなり極端な報復を行う方向に進むと考えられる。ネタニヤフが政権内の極右派を抑えることは、ネタニヤフの個人的理由も絡んで、ほぼ難しいとみられている。
【B】 核の使用が現実になるようなケースはあるのか・・・!?
イスラエル政府が極端な報復を行う場合、アラブ諸国の強烈な反攻と反発を引き起こし、トランプ政権下で進められたアブラハム合意は意味をなさなくなり、再度、イスラエルに対してアラブ諸国が牙をむくというシナリオがかなり有力になる。そのような場合、アメリカは、同じ中東地域ではあるが、大きな動乱に少なくとも2正面(イランとアラブ諸国)で対応する必要が出てくるが、国内では激しい大統領選挙と共和党・民主党のせめぎ合いが進行する中、その余裕があるかどうかは不確かである。これまで極度に大盤振る舞いの対ウクライナ支援を通じて、国内の武器弾薬のストックをかなり減らしており、イスラエルに展開しているアイアンドームも早期に追加できる状況にないため、効果的な対応は不可能ではないかと言われている。
★ アメリカとしては、「イランとの直接的な交戦は希望しない」というぎりぎりのメッセージを送っていて、それを受け、イラン政府側も1月31日にはカダイブ・ヒズボラやフーシー派に対して攻撃の停止を“要請”して、反米組織に自制を促しているが、問題はカダイブ・ヒズボラやフーシー派のようにイランの影響力が十分に機能する組織とは違い、イランと徒党は組むが、イランの支援も指図も受けない反米・反イスラエル組織が暴発し、イランの知らない間にアメリカ・イスラエルへの攻撃に踏み切ったら、恐らくそこから後は拡大戦争に向けた究極の戦いを始めるしか選択肢がなくなる可能性が高まってしまう。
その際、イランを攻撃するのは誰か?アメリカか?それともイスラエルか?
ガザでのシームレスな軍事作戦を続けるイスラエルに、今、イランを相手にする余力があるかどうかは定かではないが、アメリカが出て来ずに、イスラエルとイランの恐ろしい交戦になった場合、アラブ諸国を巻き込んだ地域戦争が再燃し、恐らく破壊的な結果を招くだろう。
★ しかしそれがもし、米議会の一部議員たちが主張するように、アメリカがイラン本土を攻撃し、アメリカを直接的に巻き込む交戦になった場合は、上記の破壊的な結果に加え、全世界に広がるテロ攻撃の連鎖に発展し、現在進行形で同時に起きている諸々の地域紛争と相俟って、一気に戦火が広がることも予想される。
アメリカ国内で、超党派での支持が得られている革命防衛隊のコッズ部隊幹部の暗殺や親イラン派への攻撃は、その扱いを一歩間違えると、世界戦争に一気に発展しかねない導火線となる可能性がある。忍耐と理性の維持は難しいが、暴発は偶然であれ、意図的であれ、一瞬で全てを壊滅させてしまう。
★ その可能性を左右するのが、イスラエルとハマスとの終わりなき戦いが「いかにして、いつ頃」終わるのかというポイントなのだ。カタールとエジプトを中心としたたゆみない仲介努力は、アメリカも巻き込んで、いろいろな外交交渉に発展し、様々な落としどころを探る態勢になっているが、イスラエルに圧力をかけきれないアメリカ・バイデン政権の曖昧さと、一度振り上げた拳を下せないネタニエフ政権とハマス、そして自身の権力維持を最優先にするネタニエフ個人の利害などが、複雑に絡み合って、なかなか進展が見られない状況なのである。
2月の2週に入って、「65日間の停戦と人質の全員解放」という調停案が作成され、イスラエルとハマス双方に提案されたが、結果的に物別れとなってしまった。
BBCの報道によると、一番の隔たりとなっているのは要するに、完全な戦闘終結の実現方法をめぐる食い違いのようだ。例えば;
・ ハマス側はイスラエル部隊の完全撤退と、家を追われたガザ住民の帰還をもっと早く実現できるよう要求。
・ ハマスが完全停戦を要求しているのに対して、イスラエルの交渉担当者は、受け入れ可能なのは数週間の一時停戦のみだという姿勢だ。
・ ネタニヤフはガザ地区での「絶対的勝利」以外は受け入れられないと述べた。
★ 2月20日、国連安全保障理事会は米ニューヨークの国連本部でパレスチナ自治区ガザ地区に関する即時停戦を求める決議案を採決した。しかし米国の拒否権でまたも否決された。日本や中国、フランスなど理事国15カ国のうち13カ国が賛成したが、常任理事国でイスラエルを支持する米国が拒否権を行使した。英国は棄権した。米国がガザに関する安保理決議案で拒否権を発動させたのは、修正案への反対1回を含めて計4度目になる。
米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は「停戦の条件を確認できないまま停止することは、人質解放をめぐる外交交渉などに悪影響を及ぼす」と分かったような、分からないような理由を述べたが、これではいつまでたっても停戦なぞ実現しないであろう。2月最終週には、パリで停戦協議を行うことが予定されている。
・2月24日、アメリカとイギリスはイエーメンの反政府組織フーシ派の拠点18ヶ所を空爆した。共同作戦は4回目となる。今のところは辛うじて抑えられているが、何かの理由でイランとアメリカとの間で戦闘が始まったら・・、と思うと背筋が冷える。
・2月27日 パリで行われているガザ停戦協議の内容が明らかになった。「すべての軍事行動の40日間の停止」「パレスチナの囚人とイスラエル人の人質の交換を含む」等が骨子で、ガザの病院や食料品店の修復の他、毎日500台の援助トラックがガザに入るなどの内容が含まれるという。米交渉団はイスラム教のラマダン(断食月)が3月10日に始まる前に停戦と人質解放で合意するよう強く働きかけて来た。バイデンは訪問先のNYで「3月4日までの停戦入りを望んでいる」と表明した。
ハマス高官は「これまでハマスが要求している、戦闘の恒久的終結やイスラエル軍の撤退には踏みこんでいない」とコメントした。
微かに光が射しこんできた感じであるが、まだ分からない。この1週間が肝心な時だと思われる。
【C】 このままいくとどうなるか
★ イスラエルは、ハマスに捕らわれているイスラエル人を全員解放すれば、停戦協議に応じる考えのように聞こえるが、ハマスとしては、イスラエルが人質全員を取り返したら俄然やりたい放題に攻撃される恐れがあるから、簡単に人質全員解放には応じられないのだ。それはこれまでイスラエル側が、“ハマスを殲滅する” とか “絶対的勝利以外は受け入れられない”などと公に言明していることからとても信じられないのだろう。
・ ハマスはここで安易な妥協をすれば、イスラエルに全滅に近い殺戮状態に追い込まれてしまう。それはパレスチナ人を追放してイスラエルだけの国家をパレスチナの地に栄えさせたいという、イスラエルの野望を肌身で感じて理解しているからだ。
・ イスラエルからすれば、今は待ちに待った千載一遇のチャンスで、この機に乗じてパレスチナの地からパレスチア人を追い出すか、彼らの自治区をなくしたいと考えているのだろう。そのように考えているならば、国連の勧める、パレスチナでの2国家共存などというのは聞く耳も持たないのであろう。一方、イスラエルが最も気になるのが、西側諸国がパレスチナ国家を承認してしまうことだろう。これはどこか発言力、或いは政治力のある国が国家承認をしたら、西側諸国ばかりかグローバルサウス、反アメリカの国々が続々と続くだろうから、それがイスラエルの一番神経を使う心配事であろう。もしそういう事態になったらもはやパレスチナの地を独り占めすることは不可能になってしまうからである。そんなことは考えすぎだという人がいたら、そもそも1948年にイスラエルが建国されるときのシオニスト(ユダヤ人)が所有していた土地はパレスチナの7%に過ぎなかったのが、国連決議181号により、ユダヤ人国家(イスラエル)が約56%の地域、アラブ人国家が約43%となり、エルサレムが特別な都市として国際管理地区(予定)であったのを思い出してほしい。
これではパレスチナ全土を自らの土地と考えるパレスチナ人が受け入れるはずがなかった。また周辺のアラブ諸国がパレスチナ人に同調した。そのため第1次中東戦争が勃発し、シオニストはアラブ各国軍を撃破してイスラエル国家を守った。停戦が成立した時には、国連決議をはるかに上回る77%の領土をイスラエルが支配していた。だがパレスチア南部のガザ地区はエジプト軍が押さえていた。そしてヨルダン川西岸地区はヨルダンが制圧した。つまりパレスチナがイスラエル、エジプト、ヨルダンの三国に分割されたわけであり、パレスチナ人の国はそのどこにもなかった。この戦争で70万人のパレスチナ難民が周辺諸国へ流出した。
・ その後第2次、第3次中東戦争が続き、特に第3次戦争(1967年)ではダヤン将軍率いるイスラエル軍がたった6日でアラブ国軍を撃破し、終わってみればエジプトはガザ地区とシナイ半島を、ヨルダンは西岸地区全域を、シリアはゴラン高原をイスラエルに奪われていた。イスラエルの領土は5倍に拡大していた。
・現在はガザ地区とヨルダン川西岸地区がパレスチナ人が住んでいる地区なのだが、そこにもユダヤ人入植者が無法にも押し入って、家・畑を接収したり破壊したりしている。他人の家でも、パレスチナ人の家は自分の家にしてよいと思っているのだ。抵抗したら銃で撃っているのだからパレスチナ人にとってはこの世の地獄だ。 どこにでも入植するから地図を見ると虫が食った葉のようにあちこちに穴が開いている感じである。蚕食という言葉がぴったり理解できる、ゾッとする地図模様である。
当初アラブ人国家の土地が43%だったというのが今は8%くらいになってしまったという記事を見た。正確に知りたいと思っても資料がない。Chat GPT に確認しても「現在、パレスチナ人の土地はさらに変化しており、紛争や入植活動によって領土が蚕食されています。正確な現在の割合は複雑であり、さまざまな要因によって変動しているため、一概に言えません。しかし、パレスチナ人の土地は依然として減少していると言えます。」という有様である。蚕食された土地全部を計測して、全体の大きさ・広さ等調べようとしても無理だということであろう。
★ イスラエルとしては今一歩のところで、全パレスチナを自分の支配下に置くことができる所に来ているのだから、このチャンスを逃がしたら次のチャンスはいつか分からないし、来ないかもしれない。何が何でもパレスチナ全部を獲りたい。決着をつけたうえでパレスチナ人をどうするかはまた考えようということだろうか?まるでその昔ユダヤ人がゲットーに押し込まれたように、どこか特別な場所に押し込めたいのだろうか・・? どういう権利があって、パレスチナ領土全部取りなんかできるのだろう。パレスチナ人・国家と併存したい、しても良いと考えていたら、もっと上手い、賢い方法はいくらでもあるだろうに、全くその気がない。相手を攻め滅ぼすしか考えていないみたいなのである。同じアブラハムを始祖とする民族なのに、ユダヤ人の苛酷さは信じられないものがある。これではイスラエルがパレスチナ全土を獲得したとしても、(アメリカの一部以外に)祝福する国は殆どないであろう。ただ嫌われるだけである。今後の方向はかなりこの線に近い結末に向かうのではないかと危惧される。
【D】 そもそもの疑問 (感想)
★ 1948年のイスラエル建国前までの歴史に関しては、どちらかと言うと、ユダヤ人も可哀そうな人種だなーという思いもあった。今でもそういう気持ちはあるのだが、今回の、イスラエルのパレスチナ人に対する暴虐には、イスラエル建国以来今回のハマスとの戦いまでを含めてまったく許せるものではないと思っている。ハマスが先に攻撃したのは勿論決して良いことではないが、1948年にパレスチナの地に勝手にイスラエル国家を建設して、何度かの戦争の結果パレスチナ・アラブ国家を撃破したイスラエルは、その都度国土領土を増やしていった。パレスチナ人は家・土地・国を奪われ、アメリカの支援を受けたイスラエルは、国連決議も何のその、入植活動ではやりたい放題であった。この30年くらいで、パレスチナ人はとうとうヨルダン川西岸地帯と、ガザ地区に押し込まれ辛うじて生き残っているようなものである。テロ活動で対抗しようにも、それも大きな力はなくこのままいけばパレスチナはいつ消滅してもおかしくない状態になってしまった。 今度のハマスの襲撃は、このまま座して死ぬよりは、勝算はなくても、討って出ようとばかりの決死の覚悟の現れと言えるだろう。
そもそも、ユダヤ人が2000年以上前に離れて、よその土地に移った土地には他の部族が住んでいるのは分かっているのに、なぜそこは自分たちの土地だと主張出来るのだろう? 軋轢を避けるための政治的、倫理的な解決方法は考えなかったのだろうか?
・ 2000年以上前にここに住んでいたからここは俺たちのものだというロジックには呆れるばかりだ。2000年も前に離れた土地にはもうユダヤ人の主権なんてある筈がない。主権はそのあとに2000年間住んだアラブ人のものだ。20年、200年ではなく2000年なのである。アラブ人はその間営々と人間の、また社会の営みを続けていたのだから主権は完全にアラブ人のものである。主権のないところに入ってアラブ人を追い出す、銃で脅して、殺人までして、家や畑を作って居座るというのは泥棒であり人殺しである。国家レベルで行ってはその行為は侵略戦争と同じことになる。
もし民族自決の原則が厳格に適用されるならば、大多数がアラビア人である以上は主権がアラビア人のものであることは明示的であり、少なくとも移民(ユダヤ人)のものにならないことは、国際法上の常識であり、特に協定の必要なく理解されていた筈だ。パレスチナの住人は皆、パレスチナは全部自分たちの土地だと思っていたのである。ユダヤ人が政治的パワーゲームに勝ったから暴虐・虐待が許されるというのはどうしても認められる話ではない。
★ どのようにしてそんな無法な話が受け入れられたかということは、理解に苦しむが、これはその当時の世界情勢を理解しなければならない。
一番の発端はやはり「バルフォア宣言」だ。(以下、Wikipediaより)
『第一次世界大戦が始まって2年たった1916年夏、戦いは消耗戦の様相を呈し、イギリスが講和を模索していた時、ドイツ在住のシオニストがイギリスのロイド・ジョージ戦時内閣に現れて、「諦めるのはまだ早い。アメリカがイギリスの味方として立ち上がればイギリスは勝つことができる。私たちが、アメリカがイギリスの味方となり、ドイツと戦うよう保証しましょう。約束はただ一つ。戦勝の暁にはパレスチナの地にユダヤ人国家を樹立させることです」ということを提案した。 そして英国の外相バルフォアはこの条件を呑んだ。』
そして、シオニスト連盟会長の ウオルター・ロスチャイルド宛に以下のようなメールを認めた。(Wikipedia続き/原語=英文)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『外務省
1917年11月2日
親愛なるロスチャイルド卿
私は、英国政府に代わり、以下のユダヤ人のシオニスト運動に共感する宣言が内閣に提案され、そして承認されたことを、喜びをもって貴殿に伝えます。
「英国政府は、ユダヤ人がパレスチナの地に国民的郷土を樹立することにつき好意をもって見ることとし、その目的の達成のために最大限の努力を払うものとする。ただし、これは、パレスチナに在住する非ユダヤ人の市民権、宗教的権利、及び他の諸国に住むユダヤ人が享受している諸権利と政治的地位を、害するものではないことが明白に了解されるものとする。」
貴殿によって、この宣言をシオニスト連盟にお伝えいただければ、有り難く思います。
敬具
アーサー・ジェームズ・バルフォア』
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・ ここでは英国は、パレスチナにユダヤ人のために、“National Home” を設置するのを、好意的に見ている、と言ってるだけであり、ユダヤ人のための国家を建設する、などとは決して言ってないのである。さらに、パレスチナに住む人々のもろもろの主権を害するものではない、と念押しをしているのである。そしてロスチャイルド(卿)に向かって、英国政府の承認をシオニスト連盟に伝えてくれと言っている。
★ National Home 設置がなぜ、イスラエル国家建国になってしまうのか? 一つの国を建国するなどということは周辺国を巻き込んだ、膨大な議論・交渉・エネルギー・費用・時間が必要なことから、とても英国一国だけで決定、実行できることではないから、National Homeレベルの表現になったのであろうが、これを自分たちに都合の良い解釈に曲げて突き進んだのがシオニストグル-プであろう。 ドイツ在住のシオニストというのがどんなグループの誰なのかは不明だが、アメリカにいるシオニストも含めて、このイスラエル建国プロットの黒幕はシオニスト、ということは確かだ。そのシオニスト連盟の会長がウオルターロスチャイルドでは、何をかいわんや、ということになる。英国は第一次大戦の戦費国債を、ロスチャイルド資本に多額に引き受けてもらっている上、以後においてもユダヤ資本の支援が大事となれば、そのシオニストの希望通りに進めたいが、かと言って世界的な非難も受けたくないという思慮から、パレスチナ人にも気を遣っているふりをしているだけではないか、と疑ってしまう。その裏ではロス家とは阿吽の呼吸で繋がっており、「どうぞこちらの意を汲んだ上で自由にやってくれ・・!」と言っているとしか思えない。
★ 英国政府のやり方は、「フサイン・マクマホン協定-1915年」、「サイクス・ピコ協定-1916年」をみても、決して外交の王道をいくものではない。自分たちの都合の良いように決めて、それを秘密に進めている。要するに狡いのである。このバルフォア宣言も、英国が後々非難されないように、バルフォア外相からウオルター・ロスチャイルドに、まるで日常の挨拶でもするかのように軽く書かれている。決して、公的な協定、同意書、覚書と言った形式を取っていない。ウオルター・ロスチャイルドがシオニスト連盟会長であるのは知らないものはない筈だが、「シオニスト連盟にお伝えください」などととぼけている。あとでイギリス政府やウオルタ-・ロスチャイルドが非難の矢面にたたされないように、言葉巧みに書かれている。(英文はWikipedia 参照のこと )
★ バルフォア宣言は、その後の中東の歴史に大きな影響を与えた出来事であり、多くの議論と論争を引き起こしている。もっと言えば、パレスチナ人・民族を大量虐殺で地獄の底に突き落とし、民族滅亡の危機にまで追い込んだルートコーズ、根本原因である、と言っても過言ではない。
【E】 もう一つの疑問:シオニズム運動
★ 1894年にフランスで起きた、当時フランス陸軍参謀本部の大尉であったユダヤ人のアルフレド・ドレフュスがスパイ容疑で逮捕された冤罪事件は「ドレフュス事件」と言われる。ドレフュスはユダヤ人であることもあって、不利な審理・裁判の結果、終身禁固刑を言い渡され、フランス領ギアナの離島に送られた。しかし、後に真犯人の情報漏洩者が別の人物であることが判明し、ドレフュスは無罪とされた事件である。
ドレフュス事件は反ユダヤ主義の新聞で取り上げられ、そのことからユダヤ人に対する偏見を公に露呈することになった。オーストリア人記者テオドール・ヘルツルはユダヤ人であることから、この事件を取材してユダヤ人国家建設の構想を明確にし、1897年にバーゼルで第1回シオニスト会議を主宰した。ここからシオニズム運動が盛んになっていく。
シオニズム運動は、ユダヤ人の民族的・宗教的アイデンティティを再確立し、パレスチナにユダヤ人国家を建設することを目指した政治的・社会的運動である。テオドール・ヘルツルがその創始者とされ、シオニストと呼ばれる活動家たちがこの運動を推進した。
この事件はのちのシオニズム運動やイスラエル建国に大きな影響を与えた。
★ テオドール・ヘルツルはオーストリア人記者で、ユダヤ人である。彼はユダヤ人に対する差別・偏見を目のあたりにして憤然となり、ペンの力で自分の主張を広めたのだろうが、1894年にドレフュス事件が起こり、1897年にバーゼルで第1回シオニスト会議を主宰したという。そしてイスラエル建国は1948年、第1回シオニスト会議から約50年後である。これは早い。ユダヤ人は2000年近く定住地を求めて世界中に散らばって行ったのである。ディアスポラの先ではリーダーはラビであり、政治家とか企業人ではない。つまり結束を呼びかけられても、個々ばらばらで動いていたのがユダヤ人グループなのである。シオニストと一口で言うが、ヨーロッパ、中東、アジア、アメリカ等世界中にいるわけだから、これをたった半世紀でまとめて建国までもっていったというのは信じられない速さである。その間のまとめ役は勿論ヘルツル一人ではなく、たくさんのユダヤ人が協力していたと思うが、主たるリーダーはヘルツル以外に誰がいたのか、またはどんな組織が中心にいたのか、その経緯を調べても判然としない。宇宙空間の小惑星に散らばっている岩石屑のように、世界中に広がっているユダヤ人を同じベクトルに向かって統一するのは大変な事業である。まず、ユダヤ人に対する憐みの情・実行するための情熱・政財界の幅広い人脈・国際間のネットワーク、根気・時間、さらに莫大な資金力がなければならない。とても簡単な話ではない。ヘルツルはユダヤ人国家建設地としてエルサレムのあるパレスチナには必ずしも拘らず、アルゼンチンもウガンダ(アフリカ)も候補地になっていた。シオニストの協力者が支援したとしてもヘルツルが半世紀に亘ってこの大事業を成し遂げることは無理だった。(ヘルツルは1904年に心臓病で死亡。44歳)
★ しかし最後の段階になるとウオルター・ロスチャイルド(1868-1937)がシオニスト連盟会長として名前が出てくる。19世紀になってからシオニスト運動は盛んになったということだが、これはどういうことか? 私の疑問は、やはり最初から或いは途中からでも、ロスチャイルド家は関わっていたのではないか? ロスチャイルドが名前だけでも出していれば、そのネームバリューは絶大であるから、世界中のユダヤ人の輿望を担っていたのではないか? そしてすべてのシオニストがロスチャイルドの存在を心強く思い、彼のもとに結束してついて行こうと思っていたのではないか? ロスチャイルドが後ろについていて、ロビー活動をしている、と思えば建国時のイスラエル国家の首脳陣も安心してやりたい放題でパレスチナ人、アラブ国家を平気で蹂躙できたのではないか? という疑問である。そうでなければこれほど見事に統一されたシオニズム運動、国際間の連携も図られなかったと思われるからである。やはりユダヤ国際資本家ロスチャイルド抜きには近現代の歴史は理解できないようである。
パレスチナ人を犠牲にしてイスラエルを建国したプロットの黒幕はシオニストであると先述したが、それはパレスチナ側からの見方であり、ユダヤ人から見たらイスラエル建国の功労者はシオニストということになるだろう。ヘルツルはのちにイスラエル建国の父と呼ばれるようになった。ユダヤ人にとっては偉大なヘルツルだが、パレスチナ人にとってはいくら憎んでも憎み足りない輩であろう。ヘルツルも結果的に今日のような惨状が起ころうとは夢にも思っていなかっただろう。
(以上)
林義祐
オランダ在住の 林 義祐氏(64回生・岡谷市出身)のご寄稿「オランダの生活・歌日記: 2024年2月」を下記に掲載いたします。オランダの早春の風景や美しい花々には目を魅かれます。
林様、今月もご寄稿ありがとうございます。同窓の皆様のコメントをお待ちします。
(名取宛メール: antimarck@yahoo.co.jp)
2024年 2月 : 歌日記
2月1日(木)
☆ 月変わり待ってましたとアコニーツ 群れで咲き出す春の魁
☆ 幼な児のテルテル坊主の形して アコニーツ春の陽浴びて光る
2月2日(金)
☆ ニュースでは去年のオランダ異常気象 Hottest・Wettest記録更新と
☆ 年雨量年気温とも最大で 統計で知る異常な年と
2月3日(土)
☆ 白樺は大木なれば冬通じ 強風で落ちた細枝びっしり
☆ 芝の上落ちた細枝掻き集め プラスチックシリンダー3杯も
2月4日(日)
☆ この庭にモグラ以外ノネズミも 共存しており嬉しくはなく
☆ 外壁に沿ってトンネルあるを知り 庭への隘路に竹柵打ち込む
2月5日(月)
☆ 夏の日に咲いた朝顔蔓残る きれいにしようと重い腰上げ
☆ 壁一面金網竹棒絡んだ蔓 根気よく外しやっとスッキリ
2月6日(火)
☆ 本当に林千勝は罪作り 垂涎の的続々発刊
☆ 読みだすと夢中になって止まらない 庭仕事遅れ家人に不評
2月7日(水)
☆ 雨強くウオーキングする気にならず 暖炉にあたりヌクヌク過ごす
☆ 万歩計7千目標半分も いかず心が疚しく感じ
2月8日(木)
☆ クリス(*)来て古いパソコン捨てる件 やっとその気になりディスク取り出す
☆ XPディスク全ての過去はその中に あると思えば忸怩たる思い
(*) 近所のコンピューター マニア
2月9日(金)
☆ ユダヤ人なぜにこれほど嫌われる 虐げられて国も持たずに
☆ 土地持たず軍も持たずに経済で 世界を征して弱者が王者に
☆ 強者でも弱者にカネで勝てないと 分かれば憎む人間の性
☆ ハマスとの戦争以来虐殺で 前にもまして嫌われだした
2月10日(土)
☆ 娘来てロミとディバ(*)との再会は 人なら祖母と孫娘のよう
☆ 孫娘喜び勇んで駆け巡る 祖母もてあまし眼だけで追いかける
(*)ロミ:娘の犬の名前。ルーマニアの捨て犬。ディバ:我が家の老犬
2月11日(日)
☆ ディバ床に崩れ落ちて立てず 後ろ足藻掻くも唯空を切る
☆ 脳梗塞かもしれないと思うだけ 何もできず毛布に寝かせ
☆ 今月で16歳の老犬は じっと我見つめ無言の訴え
2月12日(月)
☆ 一夜明けディバ何とか歩き出し 食事もできて二人ともホッとする
☆ 正午には外への散歩スム-ズで トイレもOKしばらく様子見に
2月13日(火)
☆ 夜散歩香りビバーナム匂いたち 思いついてフラッシュで撮る
☆ 昼日なか絵にはならないビバーナム 夜の闇にはくっきり浮かび
2月14日(水)
☆ 税金の通知送りしとメールくる 新システムにてその先分からず
☆ “新ファイル” 開いてそこから”わが政府“ すべて蘭語で遅々と進まず
2月15日(木)
☆ ボクサスの垣根無惨に虫に喰われ 高さ半分に切ることに決め
☆ 昨年に半分に切った株からは 今年新芽伸びこれならと安堵
2月16日(金)
☆ チューリップ季節に先んじ届けられ 暗い空でも春の訪れ
☆ 水仙もドッと蕾が膨らんで 直ぐにも咲きそう春は駈け足
2月17日(土)
☆ ひょろひょろと伸びたクロッカス土筆のよう 玄関前に自然と生え
☆ この場所は冬陽は薄く不十分 それでも春を感じて伸びる
2月18日(日)
☆ 白樺の切り株の跡キノコ出る 大きく硬く石化したごとく
☆ ミニ花壇守るためにとキノコ狩り シャベルは効かずバールで叩く(*)
☆ ようやくに無数のキノコもぎ取れば 花壇も壊れ無惨な様
☆ なぜキノコ 石と見紛うほど硬い これまで見聞きしたこともなく
(*)キノコの柔らかみなぞ微塵も感じない物体で、裏側の白い部分は、石突き状態でコンクリートのよう。
2月19日(月)
☆ ハーグにてエリトリア人同士暴動で 車焼いては警察出動(*)
☆ 同国人外国において暴動は 理解ができぬ自国でやるべし
(*) 紅海に面した小さな国で、体制派と反体制派が争っていて、
何も関係のないオランダ・ハーグで暴動となったもの。
2月20日(火)
☆ 巣箱掃除 小さな卵残っており 孵化せぬまま見捨てられたか
☆ シジュウカラ群れで飛び交うその前に 厳しい自然に勝たねばならぬ
☆ 緑色新しい巣箱設置する 今年は全部巣立つを願う
2月21日(水)
☆ ガレージ横古い廃材片づける 軽トラ荷台いっぱいに捨て
☆ 隣家との境はコニファー植えてあり デッドスペース陽もあたらずに
☆ このスペース有効利用何が良い? 思案投げ首アイデア湧かず
2月22日(木)
☆ 反プーチン ナワルヌイ獄死オランダの 世論抗議の署名集め出し
☆ 妻属すコミュニティでも署名集め 今日の署名は2人だけだと
2月23日(金)
☆ スノーボール剪定後の枝チョップして 夜11時までも頑張り
☆ 外は雨納屋の中での作業にて 所狭しとバッグが並ぶ
2月24日(土)
☆ ピーターがコンポスト土カルチェにて 運んでくれて感謝に堪えず
☆ バケツにて50杯ほどの黒土は 庭への追肥妻は喜ぶ
2月25日(日)
☆ 夕方に5軒隣りのアンドレ家 火災起こして消防車来る
☆ キッチンから火が出て無惨枠組みを 残すだけなり家は全焼し
☆ アンドレは火傷を負いて入院し 87歳孤独は哀れ
☆ アンドレの奥さん去年亡くなりて 今年は火事とは何たる不幸
☆ 消防車その大きなこと驚きぬ まるで二階建てモンスター重機
2月26日(月)
☆ 暗い空花はいくつか咲いてるも 春の気分は今一つ足りず
☆ トサミズキ水仙プリミュラ春告げる 空が晴れれば言うことはなく
2月27日(火)
☆ パンパスは冬の庭独り守り抜き 春来たりなば去り行くさだめ
☆ 槍折れて穂先は薄れ消えるのみ 兵パンパス夢の後なり
2月28日(水)
☆ 庭先のフェンス外側道路沿い キバナ水仙勢いよく咲く
☆ 居間からは見えぬ外側フェンス沿い 散歩人だけが楽しむ花なり
2月29日(木)
☆ 久しぶり明るい陽浴び心浮き 樹々の影新鮮シャッター押す
☆ 散歩道乗馬楽しむ少女あり 幸せ親娘溢れる笑顔
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今月の庭・花の写真 / スライドショー (25 枚)
掲載(了)