オランダ在住の 林 義祐氏(64回生・岡谷市出身)のご寄稿「オランダの生活・歌日記: 2025 年 11 月 歌日記序文」を下記に掲載いたします。林様、今月もご寄稿いただきありがとうございます。
今月はイスラエル・ハマス戦争について分析と論考を提供いただきました。大変参考になります。
数日以内に第七十一回目掲載として「オランダの生活・歌日記 2025年11月」を掲載いたします。
同窓の皆様のコメントやご感想をお待ちしています。(名取宛メール: antimarck@yahoo.co.jp)
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2025 年 11 月:歌日記・序文
イスラエル・ハマス戦争
【はじめに】
イスラエルはなぜハマス攻撃を止めないのか? なぜ世界中から非難されても、難民キャンプに発砲したり、食料受け取り中のパレスチナ人を攻撃するのか? イスラエル人の中でさえも反対する人が多いというが、ネタニヤフはなぜ和平協議を拒むのか?等、全く理解できません。
最近知ったことですが、2023 年 10 月 7 日の、ハマスによるイスラエル攻撃は、イスラエルの仕組んだ罠であって、ハマスはまんまとその罠に嵌ってしまったということが言われたり、イスラエルのモサドがハマスの攻撃を知っていてやらせたとか、ハマスの襲撃がやり易いように、境界の壁から離れていたり、或いは司令官の命令で、境界線からは退避するよう言われていたり、耳を疑うような YouTube ニュースが発信されたりと、まるで陰謀論そのもののような感じです。
更にはその背景としてイスラエルの最終目標は、パレスチナ人を排除して、“グレーター イスラエル”を現パレスチナ領域やシリア、エジプト領の一部も含んで建設する、そしてそれは旧約聖書の中にある教えの通りの昔に戻ることであるというようなことが解説されており耳目を疑うような話に聞こえます。
・イスラエルは「ハマスを殲滅する」という言葉を使ってますが、これはひとえにネタニヤフ政権の超右翼グループが主張していることであって、ネタニヤフは汚職スキャンダルの情報をこの政権内の強硬派に握られているため、拒否すると強硬派は政権から離脱すると脅しており、そうなればネタニヤフ政権は瓦解して、汚職疑惑のネタニヤフは収監される可能性が高いとのことです。
・中東に 30 年余も滞在してビジネスを行ってきた石田和靖氏は、中東事情については日本で一番詳しいジャーナリストと言われているようですが、彼はこの説を主として YouTube で主張しているので、私としては嘘だとも思えないのです。しかし世界中が、悪いのは先に攻撃したハマスであってイスラエルは100%悪くはない、とされている中で、この陰謀論的な説は十分分析してからでないと結論は出せません。
それで私は2023 年 10 月 7 日のハマスの奇襲攻撃以来の経緯を時系列的に調べてみて、両者による戦闘や、応酬のやり取り、国連や主要国の仲介・停戦案に対する合意事項の順守や破棄の理由、その結果引き起こされた事態等についてどちらが、何を本気で、どのように紛争解決を願っているかを調べてみました。
それらが、まず国際主要メディアではどのように報道されているかを示し、その対比として、石田和靖氏の説明がどのようなものかを比較してみたいと思います。石田氏の説明は主要メディアでは陰謀論とか陰謀論的とレッテルを貼られているようですが、皆さんもどう思うか、比較してみてください。
【第 1 章】 公式国際報道の見解・立場
要点まとめ 世界の主力メディアによる公式な報道では石田和靖氏の説は「2023 年 10 月 7 日のハマス攻撃はイスラエルが仕組んだ罠であり、ネタニヤフ政権は聖書的な“グレーター・イスラエル”構想を背景に強硬策を進めている」という陰謀論的な見方としている。これは公式な国際報道とは異なる立場である。以下のように時系列で整理すると理解しやすい。
石田和靖氏の説:時系列的な経緯と陰謀論的要素
① 発端:2023 年 10 月 7 日ハマス攻撃
・ハマスがイスラエル南部を奇襲。多数の民間人が犠牲に。
・石田氏の見方では「イスラエルは攻撃を事前に察知していた可能性が高い」とされる。モサドが知らないはずがなく、敢えて防御を弱めて「攻撃を誘発した」とする。
② ネタニヤフ政権の思惑
・ネタニヤフは汚職疑惑や裁判を抱え、政権維持に強硬派の支持が不可欠。
・超右翼勢力は「パレスチナ人排除」「ヨルダン川西岸・ガザの完全支配」を掲げる。
・石田氏は「ネタニヤフは彼らに逆らえば失脚・投獄されるため、和平協議を拒否している」と解説。
③ グレーター・イスラエル構想
・背景に旧約聖書の「エゼキエル書」などの預言を信奉するシオニスト思想。
・イスラエルの最終目標は「聖書に記された領土の回復」であり、ガザやヨルダン川西岸だけでなく、シナイ半島やエジプト領の一部まで視野に入れるとされる。
・石田氏は「宗教的使命感と現実政治が結びついている」と強調。
④ 国際社会と批判
・国際世論は「ハマスが先に攻撃した」としてイスラエルの自衛権を認めるが、難民キャンプ攻撃や人道危機で批判が集中。
・石田氏は「イスラエルは批判を承知で軍事行動を続ける。目的はパレスチナ人の排除であり、イスラエルにとって「停戦はむしろ不利」と説明。
⑤ アメリカ・トランプの関与・トランプは過去に「イラン核施設爆撃」や「中東リヴィエラ構想」を語り、イスラエル寄りの姿勢を示してきた。
・石田氏の解釈では「米国の後ろ盾があるため、イスラエルは強硬策を取れる」。
・ネタニヤフとトランプの関係は「互いに政治的利益を共有するもの」とされる。
⑥ 今後の展開
・石田氏は「ガザ戦争は再燃する可能性が高い」と警告。
・ヒズボラやイランの関与が拡大すれば「中東全域戦争=エゼキエル戦争の前夜」と位置づける。即ち「イスラエル対中東アラブ諸国大連盟」との戦争が起きる可能性。
まとめと考察
・石田氏の説は陰謀論的要素が強い:イスラエルが攻撃を誘発した、聖書預言に基づく領土拡張を目指す、ネタニヤフが強硬派に縛られている、など。
・公式報道との違い:国際社会は「ハマスのテロが発端」とするが、石田氏は「イスラエルの戦略的罠」とみる。
・理解のポイント:この説は事実というより「イスラエル強硬派の思想と政治的背景」を説明する枠組み。信じるかどうかは別として、分析材料としては有用。
・こうして時系列で整理すると、石田氏の主張は「①攻撃誘発 → ②ネタニヤフの政治的弱み → ③聖
書的領土構想 → ④国際批判を無視 → ⑤米国の後ろ盾 → ⑥戦争拡大」という流れになる。
主要なイスラエル・パレスチナ和平努力の 30 年の流れ
1993 年のオスロ合意から始まり、幾度も交渉が試みられたが、暴力の再燃や政治的対立で挫折を繰り返している。以下は代表的な和平プロセスの時系列。(太文字で背景が黄色の箇所は挫折・失敗のケースを示す)イスラエル・パレスチナ和平努力のタイムライン(1993–2023)
1993 年:オスロ合意
・PLO とイスラエルが相互承認。パレスチナ暫定自治を認める歴史的合意。
・「二国家解決」への最初の具体的ステップ。
1995 年:オスロ II 合意
・ヨルダン川西岸・ガザで自治拡大。
・しかし同年、ラビン首相が暗殺され、和平の勢いが失速。
2000 年:キャンプ・デーヴィッド会談
・バラク首相とアラファート議長が米国仲介で交渉。
・エルサレムの主権や難民問題で決裂。
・直後に第二次インティファーダ(アクサー蜂起)が勃発。
2002 年:アラブ和平イニシアティブ
・サウジ提案でアラブ諸国が「イスラエルの占領地撤退とパレスチナ国家樹立」を条件に和平を提示。
・イスラエルは受け入れず。
2007 年:アナポリス会議
・米国主導で再交渉。二国家解決を再確認。
・しかし具体的進展なし。
2013–2014 年:ケリー国務長官の仲介
・交渉再開を試みるが、入植拡大やガザ情勢悪化で失敗。
・2014 年以降、公式な和平交渉は途絶。
2020 年:アブラハム合意(*)
(*)アブラハムの宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)の始祖でかつユダヤ民族(イサク)とアラブ民族(イシュマエル)の共通の父祖であるアブラハムの名に因んで「アブラハム合意」と名付けられた。
・イスラエルとUAE・バーレーンなどが国交正常化。
・パレスチナ問題は置き去りにされ、和平交渉はさらに停滞。
2023 年:ハマス攻撃とガザ戦争
・10 月 7 日のハマス攻撃で情勢が一変。
・以降、和平交渉の可能性はほぼ消滅し、国際社会の関心も「停戦」や「人道支援」に集中。
まとめ
・和平交渉は「合意→挫折→暴力再燃」の繰り返しで、持続的な成果は得られていない。・二国家解決は国際的に支持され続けているものの、現実には入植拡大や政治的分断で遠のいている。
・2014 年以降は事実上交渉停止、2023 年の戦争でさらに困難な状況に。
この流れを押さえると、現在の戦争が何回にもわたる「和平努力の失敗の延長線上」にあることが理解できる。トランプの仲介で合意の一部が実行されたが、一番重要な項目は後回しになっていて、また失敗の延長戦上に戻ってしまう可能性もある。
イスラエル国内の和平支持派と強硬派の対立構造
・和平支持派の立場: 二国併存を現実的な安全保障の枠組みと捉え、占領の終結・入植の凍結・パレスチナ国家の樹立(非武装化などの条件付き)を通じて、長期安定を目指す。イスラエル側ではハダシュ、メレツ、労働党などの左派・穏健派が伝統的に支持し、パレスチナ側ではファタハや「第三の道」などが支持基盤。二国解決は国連枠組みで提起・支持され、歴代イスラエル政府も一時的に条件付きで容認した局面があった(例:2009 年バル=イラン演説の条件付き容認)近年も国際社会は停戦と二国解決の再重視を表明している。
・強硬派の立場: ヨルダン川西岸の恒久支配・併合志向、入植拡大、二国案への反対を掲げる勢力。宗教右派や民族主義右派(例:宗教シオニズム、ユダヤの力、ノアム)を含む連立の一角が、入植地建設権限・治安閣僚ポストを握り、政策を右傾化させている。西岸入植者の第二・第三世代には「ここは生まれ故郷」という認識が強く、入植の違法性への認識が薄い世代的要因も指摘されている。
・国際法・人権の視点: 1967 年以降の占領と入植政策は国際法上の違法性が繰り返し問題化し、
ICJ は分離壁の違法性などを示す勧告的意見を示した。国連総会は占領政策の法的帰結に関する意見照会を ICJに求めている。国内外の人権団体は、ガザを巡る軍事行動と人道状況に厳しい批判も行っている。
・対立は領土だけでなく、宗教・史観・安全保障の記憶が絡み合う構造で、度重なる戦争・テロ・報復の連鎖が妥協を困難化させている。
二千年前からのディアスポラの継承
・二千年前の出発点: 古代ユダヤ王国の滅亡とローマ支配の中でユダヤ人の離散(ディアスポラ)が進み、ユダヤ共同体は各地でラビを中心に宗教・法・教育を核にアイデンティティを維持した。ディアスポラは後に多民族にも用いられる一般概念になったが、ユダヤの歴史で特に中心的概念である。
・20 世紀の再編: 近代シオニズム運動と移民政策(1950 年帰還法など)によって、離散共同体とイスラエル国家が再び結びつき、経済・技術発展にも影響を与えた。1990 年代の旧ソ連圏からの大量移民受け入れは社会構成と政治傾向に大きな変化をもたらしたと分析されている。「世界のトップになる方針」や陰謀論的言説について;
・国家方針としての覇権目標: イスラエル国家の公式目標は安全保障・生存・民主的統治・技術・経済発展であり、「世界のトップ支配」を掲げる政策文書はない(陰謀論と言われる根拠の一つ)。 政治右派の一部は領土・治安で強硬だが、これは地域的安全保障・宗教的史観に基づく主張である。
・陰謀論的主張の扱い: 国際政治の分析では、右派政権の右傾化と入植政策、停戦や二国案への反発、閣僚発言の過激さなどが「実証的に観察される行動」として批判されているが、それを「世界支配の陰謀」と解釈するのは根拠を欠くとされる。右派連立の構成と政策権限、国際的批判の対象は具体的に確認可能な範囲である。
・人権・国際法上の懸念: 入植拡大・占領政策・ガザでの戦闘行動については、国際機関・メディア・専門家の厳しい監視と批判が続いている。これは検証可能な事実関係と法的枠組みの議論に基づくもので、陰謀論とは異なる領域と言える。
二国併存への見方(宗教右派の立場)
・宗教右派の一般的傾向: 宗教シオニズム系や極右政党は、ヨルダン川西岸の全面的な併合や恒久支配を主張し、二国併存には否定的である。一方、イスラエル国内には二国解決を支持する穏健
派・左派が継続的に存在し、国際社会も停戦後の統治像として PA の統治強化と二国解決を再提示している。
・世論の分断: 政権は右傾化しても、国内には停戦・人道配慮・入植見直しを求める抗議も根強く、支持率の低迷や政策論争が続いている。
【感想-1】
こうしてみると、いかにネタニヤフ内閣内の、極右勢力(宗教シオニズムと超正統派など)が問題の解決を阻んでいるかが理解できる。この点に関しては、石田氏の考えが陰謀論的だと思う人も、同意せざるを得ないのではないだろうか。
(注)2025 年 10 月 13 日にトランプ仲介による、第1段階の合意が実施された。トランプはイスラエル議会で自画自賛したが、この合意に反対の強硬派の議員は議会も欠席している。彼等は2 国家併存にも反対で、第 2 段階ではもっと難しい内容が含まれており、いつまたイスラエルによるハマス攻撃が再燃するか分からない。その時はこの第 1 段階合意もまた失敗の延長戦上に位置することになる。
イスラエルには本当にパレスチナト共存するような解決案などは、はなから受けつける気が無いのではないか・・?と思える。つまり和平努力なぞは眼中にないのを、いかにも努力しているように見せて、最後は NG に持って行く、というような… 和平交渉の歴史を振り返ると、イスラエル側が「努力しているように見せながら、最終的には譲歩しない」という印象を持つ人は少なくない。特に、入植地の拡大や安全保障を理由にした強硬姿勢が続いているため、「共存の意思が本当にあるのか?」という疑問が繰り返し浮上している。
ただし、どうしてそうなるか(失敗するのか)という点についてはいくつかの複雑な要素がある:
安全保障の論理:イスラエルは「パレスチナ側が武装闘争を続ける限り、譲歩は危険」と考えている。
・入植地問題:ヨルダン川西岸の入植地は国内政治で強硬派の支持基盤。譲歩すると政権が揺らぐ。
・国際社会への演出:和平交渉に参加することで「努力している姿勢」を示しつつ、実際には譲歩を避ける。
パレスチナ側の分裂:ガザのハマスと西岸のファタハが分裂しているため、イスラエルは「交渉相手が一枚岩でない」と主張。
つまり、イスラエルが「和平努力を演出しつつ、実際には拒否する」という見方は、国際的にも一部の研究者やジャーナリストが指摘している構図である。ただし、イスラエル国内にも和平を望む市民運動や知識人は存在していて、社会全体が一枚岩で「拒否」しているわけではない。この問題の本質は、表向きの交渉と裏側の政治的計算が常に合致していないためだと言えるだろう。
【第2章】 石田氏らによる、陰謀論的と言われる報道・解説の内容
(注)以下の内容には石田氏による論述の他にも、全体の流れを分かりやすくするための説明も含まれ
ている。例えば、第一段階合意の説明、アメリカ仲介の和平計画の今後と課題、等である。
【A】 2023/10/07 のハマス奇襲の不可解
A-01 両地域を隔てるガザの壁
ガザとイスラエルとの境界は 8 メートルもの高さの壁で隔てられている。この壁はイスラエルの電子技術を駆使して、超過敏な感知装置で守られている。例えば蝿一匹でも作動するほど鋭い感知装置だという。世界最高レベルの諜報機関といわれるイスラエルの”モサド“が、ハマスの奇襲を見逃がす筈は無い。モサドはホロコーストの責任者を、地球の裏側の国まで追いかけて、逮捕しイスラエルの法廷で裁判にかけたほどの優秀な諜報機関であることは世界中で広く知られている。
A-02 イスラエル軍の不可解な動き
しかしながら奇襲の日の、その時間帯の前後 6 時間は持ち場を離れなさい、という指令が軍の上部から兵士に向かって発せられていたという。この指令の件は、持ち場の兵士からもちらほら話が漏れ出して、米国のメディアでも報道されているという。
A-03 イスラエルが必要な、戦争するための正当な理由
イスラエルとしては、ハマスを徹底的に潰すためには、奇襲テロへの復讐、といった程度の戦いでは十分ではない。本格的な戦争を仕掛けて徹底的にハマスを攻撃したい。イスラエルとしてはその本格的な戦争を始める正当な理由が欲しかった。つまりハマスはその罠に嵌ったということである。
A-04 奇襲後のイスラエル内外の対応、和平案の合意
・2023 年 10 月 7 日のイスラム組織ハマスによる奇襲攻撃を受け、イスラエル国内では、情報機関や軍の対応の遅れ、政府の責任を問う声が高まった。
イスラエルの世論調査によると、約 30%の人が、戦争が起こるだろうから、国外に脱出したいと希望している。また2 国家容認は約 75%が賛成している。残り25%がシオニスト(強硬派)支持とのことである。 一般のイスラエル人はネタニヤフ政権に反発し、ネタニヤフ退陣要求のデモが起こった。
・野党や国民は、この事件の経緯や政府・軍の対応を検証するための独立した調査委員会の設置を求めた。要望は「ズラット研究所」(シンクタンク)も加わってイスラエルの高等裁判所に提出された。同高等裁判所はネタニヤフ首相に通知し、30 日以内に返事をするよう求めた。ネタニヤフは「戦争が終わったら調査委員会を設置する」と言明し、これまで設置を引き延ばしてきた。調査委が調べを始めても、戦争が再び起これば、結論はいつ出るか分からない。その可能性もある。(石田和靖氏)
ガザ和平案の第 1 段階合意: 2025 年 10 月 9 日、イスラエルとイスラム組織ハマスの間で、ガザ地区における戦闘終結に向けた和平案の第 1 段階で合意がなされた。この合意は、即時停戦、人質解放、支援物資の搬入などを内容としている。
国際首脳会議:2025 年 10 月 13 日、エジプト政府の主催により、ガザ地区の恒久的な平和と復興を目指す国際首脳会議がシャルム・エル・シェイクで開催された。この会議には、アメリカのトランプ大統領、エジプトのエル シーシ大統領、カタール、トルコなどの首脳を含む 20 カ国以上が参加し、和平に関する文書に署名した。
政府の対応: ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ガザでの戦闘が終結した後に調査委員会を設置する意向を示していた。そして、奇襲からほぼ2 年後 2025 年 11 月 16 日、イスラエル政府は正式に調査委員会の設置を決定した。 しかし、政府側が調査項目などの決定に関与する可能性があるため、野党側からは「独立性に欠ける」との批判も出ている。
【B】 イスラエルの国内事情
B-01 ネタニヤフに2つの試練
(1) 「司法改革」の実行。
ネタニヤフは司法を行政の下に編成替えしたい。裁判所を内閣の下に置けば彼の思うように政策を実行するのが容易になると考えている。(改革制度の実行は現在はストップの状態である)
(2) ネタニヤフの汚職疑惑。
ネタニヤフは汚職疑惑の中心におり、首相の職を離れたら、裁判の結果によっては収監される可能性が高いと言われている。第 6 次内閣組閣の時は連立を組む相手が不足していたが、それを救ったのが下記の超右翼の(当時の)野党である。
・イタマル・ベン・グヴィル(現・国家安全保障大臣、「ユダヤの力」党首): ガザ攻撃の停止や人質解放交渉に強硬に反対し、もしネタニヤフが停戦に傾けば連立を離脱すると繰り返し脅迫している。
・ベザレル・スモトリッチ(現・財務大臣、「宗教シオニスト党」党首): ベン・グヴィルと同様に強硬派の立場を取り、政権に圧力をかけている。
これらの議員や政党は、ネタニヤフ政権が議会で過半数ギリギリの議席しか持っていないことを背景に、自党の要求を通すために、連立を離脱すればネタニヤフ政権は瓦解するため、離脱という手段を用いて圧力を強めている。これらの政党は、ハマスとの停戦交渉における譲歩に頑として反対している。ネタニヤフは自身の政治生命保身のためにも、世界中で起きている停戦・和平工作要求にも関わらずハマスとの妥協はできない状態なのである。
・また、徴兵法案をめぐる対立では、「シャス」や「ユダヤ・トーラ連合」といった超正統派政党が連立離脱を示唆したこともある。ユダヤ・トーラ連合の 2 つの派閥は、その支持者の多くが軍隊への入隊ではなくユダヤ教の経典の勉強に専念していることから、彼らの兵役免除を広く法的に認める法案をめぐる意見の相違を理由に、連立政権から離脱すると発表した。この問題は、入隊が義務付けられているユダヤ系イスラエル人の間で長年の争点となっており、ガザ戦争が始まって軍事力への需要が高まったことで、その亀裂はさらに深まっている。
因みに連立与党を構成する党の名称は、リクード(ネタニヤフ首相の党)、ユダヤ・トーラ連合(超正統派政党)、シャス(超正統派政党)、宗教シオニスト党(極右政党)、ユダヤの力(極右政党)、ノアム(極右政党)の 6 党である。6 党で議会(クネセト) 定員 120 名)の過半数(61 名)をわずかに上回る 64名である。6月 12 日に行われたクネセト解散の予備審議・評決の結果解散は否決されていた。(反対 61 票、賛成 53票で否決)
・しかしながら、議会解散の投票(政府を倒し、新たな選挙を招く)は、予備審議で否決された案件は、手続き上の理由から、野党は年末まで提出できない。それゆえネタニヤフの政権運営は来年まで持っても、そのあとのことを考えれば、薄氷を踏むような思いであろう。
B-02 ガザ和平案の合意実施の難しさ
(1)10 月に国際首脳会議で合意されたイスラエルとハマスの間で、ガザ地区における戦闘終結に向けた和平案の第 1 段階で合意がなされた。この合意は、即時停戦、人質解放、支援物資の搬入などを内容としている。人質の交換においては、イスラエルの攻撃によってトンネル内が破壊され、瓦礫の下に埋まずまった遺体を探すのは特に困難であった。一日や二日の作業では不可能である。しかし時間がかかって遅くなると、イスラエルの攻撃に口実を与えてしまう。またイスラエルは容赦しない。
(2) イスラエルとイスラム組織ハマスが 13 日、パレスチナ・ガザ地区をめぐる停戦合意の第 1 段階として、パレスチナ人収監者(約 2000 人)と生存するイスラエル人人質(20 人全員)をそれぞれ解放した。2 年にわたるガザでの戦争終結に向けた重要な一歩となった。トランプ米大統領はこれを、「中東における歴史的な夜明け」だと述べた。
(3) トランプが仲介した 20 項目からなる段階的な和平計画の後半部分には、課題が山積しており、この計画を進めるための交渉は厳しいものになると予想される。
・ハマスは死亡した最大 24 人の遺体も引き渡すことになっていたが、13 日夜にイスラエル側に引き渡されたのはその一部だけだった。
・トランプはイスラエルの国会で演説を行ったが、ガザでの戦闘継続を望む一部議員は出席しなかった。
(4) アメリカ仲介の和平計画、今後と課題
・トランプが仲介したガザ和平計画によると、「ガザは、ガザ住民のための公共サービスと自治体の日常的な運営に責任を負う、専門的かつ政治色のないパレスチナ委員会の一時的な暫定統治下に置かれ」、「平和評議会が監視・監督する」。その後、改革を実施したパレスチナ自治政府(PA)に権限が移譲されるとされる。
・しかし、計画の後半には難しい交渉が待ち受けている。
争点となっているのは、ガザにおけるイスラエル軍の撤退範囲と時期、ハマスの武装解除、将来的なガザ統治体制などだ。ハマスはこれまで、パレスチナ国家が樹立されなければ武装解除には応じないと表明している。外国によるガザ統治案も拒否している。
ネタニヤフは、パレスチナ自治政府が戦後のガザ統治に関与することに反発している。
・トランプはこれまでに、ガザはアメリカが管理し、そこを「中東のリヴィエラにする」と発言している。
第 2 段階に向けた交渉の開始時期について問われると、トランプは「すでに始まっている」と答えている。
・前述のように、ハマスは 2023 年 10 月 7日にイスラエルを攻撃し、約 1200人を殺害、251 人を人質として拘束した。これに対するイスラエルの反撃により、ガザではこれまでに少なくとも 6 万
7000 人が殺害されていると、ハマスが運営するガザ保健当局は発表している。国連などの国際機関は、この数字を信頼できるものとみなしている。
石田和靖氏によると、「ハマスはテロリストである。だがその 10 倍ものテロリスト集団が第 6 次ネタニヤフ内閣だ「とのことである。
国連によると、ガザの建物の約 90%が損傷または破壊されている。
B-03 イスラエル・シオニストたちの究極目標
(1) イスラエルのパレスチナにおける入植活動は、イスラエル建国(1948年)以来 70 年も続いている。イスラエルは国連の 2 国家併存決議も無視して、パレスチナ領(全体の 46%)に対して残虐非道な方法で入植を拡大してきた。そのやり方は、ブルドーザーを使ってパレスチナ人の家を破壊して、住人を追い出し、そこにイスラエル人用のマンションを建設し、イスラエル人が引っ越してくるというもの。イスラエル兵士の護衛付きであったり、時に抵抗するパレスチナ人を射殺したりした無法ぶりであった。その結果、パレスチナ人が住んでいる領域面積は領域全体の約 20%未満になったとされている。イスラエルが無法に奪ったパレスチナア人の土地は、こうしてどんどん既成事実化されパレスチナ人はなす術を知らない。そして最後にはテロ組織ハマスにしか頼れなかったのである。
(2) 70年も経過して、現在の無法入植地に住むイスラエル人も 2世代、3 世代が主力になってきている。その人たちにとっては無法入植地で生まれ育ったといっても、そこを返還してイスラエル側に移るなどと言うことは考えもつかないことになっている。何と言っても生まれ故郷なのである。
・ 彼等には入植地の返還や 2 国家併存などは決して同意できない。そのため彼らはその信条ゆえにイスラエルの極右政党に属して反対運動を展開している。第 6 次ネタニヤフ内閣を支えている超右翼の強硬派の中にはこのような人物が多く所属している。
(3) 強硬派のユダヤ・トーラ連合の 2 つの派閥は、その支持者の多くが軍隊への入隊ではなくユダヤ教の経典の勉強に専念している。超正統派は兵役免除・宗教教育などの内政課題が主争点で、宗教右派は別グループで、政治的争点(領土併合)を主導するのは宗教シオニズム系が中心。
・入隊が義務付けられているユダヤ系イスラエル人が大勢なのに、兵役免除の強硬派が存在することは、長年の争点となっており、ガザ戦争が始まって軍事力への需要が高まったことで、その亀裂はさらに深まっている。ユダヤ・トーラ連合は自分たちの主張が受け入れられないならば連立を脱退するとネタニヤフを脅したことがある。
・ 超正統派が兵役を免除されてまでして、何を勉強しているかというのは、公式には明確にされていないが、考えられることの一つは、ユダヤ 3000 年の歴史を掘り起こし、カナンの地(現パレスチナ)がいかにユダヤ伝来の地であるか、という理論構築を様々な角度から行っているのではないかと思われる。たとえば AD135 年にユダヤ人はハドリアヌスローマ皇帝にカナンの地を追放され、ユダヤ人のディアスポラ生活が始まったが、2000 年という流浪生活後パレスチナに戻って来て、そこがいかに自分たちの土地であるかということをどのようにして主張できるか?そんな難問を侃々諤々やり合ってるのかもしれない。
ユダヤの選民意識というのは、神学上の概念であるが、超正統派の人々は「自分たちは神から選ばれたエリートであり、どんな困難があっても最後は神がユダヤを救ってくれる」、とまるでエゼキエル戦争の預言を信じているかのようである。そのエゼキエル予言においては、イスラエルが自力で生き残る見込みがない圧倒的な戦力差であるものの、神が超自然的な介入によって敵の侵攻軍を壊滅させ、イスラエルとその地を守る、となっている。そこまで信じているのではどんな論理的・合理的説得も受け付けることはないだろう。
(4) Greater Israel
・ 最近よく聞く言葉に「グレイター イスラエル」という言葉がある。文字通り今よりもっと広範に拡張されたイスラエル領土という意味のようだ。 ヨルダン川西岸地方もエルサレム土地全部も、ガザもシリアのゴラン高原も全部イスラエルのものにしようという考えの様である。シリアのダマスカス辺りまで狙っているというからユーフラティス川のすぐ近くまで版図にしようという考えのようだ。またエジプトのナイル河左岸までも含むというからこの考えはとても現実的には思えない。グレイター イスラエル実現を本気になって考えているとした
ら、確かに現時点でのハマス殲滅は必須の目標であろう。何が何でも世界中が反対しても無視して成就させなければならない第一ステップであろう。もしかしていつの日にか、例えば来世紀には可能になるよう今からその線に沿って準備を進めようと思って言っているのかもしれない。ここまで飛躍するとは恐れ入ったこと
である。とてもついて行かれないが、彼等には世界のトップに君臨するという究極の目標なのであろうか・・・?
まあこれは陰謀論もそこまで来たか・・!?と思うだけである。
【感想-2】
ハマス奇襲の不可解さは石田氏の説明を聞くと、「うーん、なるほど」と思わせるが、最終的に実体証拠があるわけではない。例えば司令官が「ガザの壁を前後 6 時間離れよ」と指示したことになっているが、兵士がそれを証拠を持って示したわけでもなく、また米国の報道にそのことが掲載されたというが、それもまた事実としての証拠は示されていない。陰謀論と言われる所以である。
しかしハマスの奇襲で起こった戦争を、イスラエル側に立って、過去からの歴史を踏まえて考えてみると、概略的には次のようなタイムラインではなかろうか。
① ユダヤ人(イスラエル人)は約 2000 年のディアスポラを経て、1948 年に旧約聖書でいうカナンの地(パレスチナ)に念願の国家建設を果たした。
②ようやく国家建設を果たしたが、そこには既にパレスチナ人・アラブ人が 2000 年間住んでいた。国連はこの地に2 つの国家が併存する形で、イスラエルの国家を認めた。パレスチナ人にとってはその地は先祖伝来の土地でユダヤ人は外敵である。当然受け入れられず戦争が起こった。
③4 度の中東戦争で、アメリカの支援と軍事力に優れたイスラエルが勝利して、更に越境する形でパレスチナ側においても入植活動をするようになった。
④イスラエルは 2 国家併存決議を無視して、力でパレスチナに侵攻し、世界的な非難を浴びても入植を拡大し、パレスチナの領土は46%だったのが 20%(?)くらいにまで縮小した。
⑤イスラエルは 1967 年からシリア領のゴラン高原をも実効支配し、軍事力で周辺国を圧倒した。
⑥PLO(パレスチナ解放組織・アラファト議長)の権利が承認され(1974 年)、テロリスト集団ハマスも活動を活発にし、以後パレスチナは中東の火薬庫となって騒乱が続いてきた。
⑦アラファト議長の死後、アッバス議長が自治区の後を継ぎ、ヨルダン川西を拠点とし、ガザ地区を拠点とするテロリスト集団ハマスと2 つの勢力となった。アッバス議長はハマスに比べ温厚であり、最近のイスラエルの攻撃目標はハマスが中心となった。
ということで、パレスチナ全体を支配したいイスラエルにとって、ハマスは不倶戴天の敵となったのであろう。ハマスを殲滅すればパレスチナはイスラエルの独壇場である。ネタニヤフ政権はハマスを殲滅或いは無力化すれば天下晴れてパレスチナは自分のものになる。これを何とかして潰すには軍事力に優れたイスラエルにとっては難しいことではないが、戦争を始める大義名分がなくてはまずい、ということでハマスがイスラエルを先に攻撃して多大な犠牲者を出した、というシナリオが描かれたというのは決しておかしくはない。これで国際社会は、先制攻撃をかけたハマスが 100%悪い、イスラエルは被害者である、とメディアの報道が続いてきた。
これは陰謀論だろうか?私にはそうではないように思える。実によく考案されたモサドらしいプロットに見える。なぜならば、ネタニヤフ政権内の極右強硬派は、何としてもハマスの芽を摘み取ってしまいたいから、どんなに戦局が有利になって、普通ならそこを落としどころとして和平案作成の段階に入る筈が、何回もそのチャンスがあったにもかかわらず決して戦争を止めないようにネタニヤフに迫っていたからだ。和平が成ったら、ハマスの残党が残ってしまう。それだと将来に禍根を残す。またぶり返すかもしれない。今この有利な状態のときに徹底してハマスを潰し(殲滅し)後顧の憂いなく次の目標(例えばグレイター・イスラエル)に向かいたい。そう考えていればハマスを一人残らず片づけることや、ガザからパレスチナ人を追放することも容赦なく実行できると思われる。ジェノサイドと非難されても今が正念場だと思っているのだろう。ここを逃して和平が成ってしまったら次のチャンスはいつ来るか分からない。だからあれほど停戦に反対し、和平協議も実行されそうになるとすかさずハマスに攻撃をかけ、ハマスの報復を招来し、和平会議の計画を延期したり、中止に持って行き、和平会議の仲裁国をも怒らせてきたのだろう。トランプ仲介の合意が実行されても堅い信念を持った強硬派の議員はトランプの演説にも出席しなかった。哀れなネタニヤフは停戦すれば強硬派から政権離脱と脅され、和平協議に持ち込まなけらば世界中から非難されるばかりである。しかし自分の政治生命がかかっているからとにかく政権が瓦解したら一巻の終わりということで、このハマスの奇襲プロットをモサドと共に仕上げたのではないだろうか・・?
陰謀論であるかどうか?という判断は私には、7-3 くらいの感じで、事実であろう(=陰謀論ではない)という感じがする。状況証拠の総和は限りなく事実であると示唆しているが、決定的な事実証拠に欠けていればそれはもう陰謀論としてレッテルを貼られるのはよくあることである。よく言われることに、事実は一つだけでも、立場の違いの数だけ真実がある、ということで人の立場によって解釈が違うということである。そこに恣意的なレッテル貼りをしたら、その評価はほぼ固定化してしまう。特に大手マスコミや、国の言論統制などでレッテルを貼られたら国民はもう目が見えなくなってしまう。これを避けるには、マスコミが言っていることと他のグループなど(ミニメディアなど)の両方の主張を比べて判断するのが必要なことだと思う。一方だけのインプット(ニュース)では判断を誤ることになることはよくあることである。
私が、大手国際報道と石田和靖氏の主張を聞き比べて、そこから石田氏の説は陰謀論とは言えないな・・と思ったのは、イスラエルは戦局が有利であっても、何が何でもハマスを潰すという覚悟を決して曲げず、遂行に邁進していたことである。普通は勝っているときは有利な条件で和平に持って行かれるのが当然であり、それで和平に向かって落ち着くのが、逆にあくまで「停戦反対、ハマスを完全に潰す」というのでは裏に何かある、と考えなくてはならない。イスラエルはハマスと戦争して完膚なきまでに叩き潰したい。それは簡単だが、どうやってハマスにイスラエルを攻撃させるか、戦争を始める正当な理由が必要だった。
ハマスに奇襲攻撃をかけさせるのには成功したが、そのあと異常なまでにハマスを報復攻撃した。勝っても戦争を止めないのだ。停戦協議などには目もくれずに逆に妨害した。「ハマスを殲滅する」と怒りに震えたネタニヤフのパーフォーマンスは国際社会においても理解され支持さえ受けた。日本からも上川外相がイスラエルに行き、イスラエル支持を表明した。0-100%でイスラエルは悪くない、ハマスが 100%悪いという図式になった。ハマスにイスラエルを奇襲させ、その復讐のためハマスを徹底的に潰す、という“陰謀“は成功し、”事実“となった。しかしそれを認めない公式報道は石田氏らの見解を”陰謀論的“見解と表現している。
しかしそのあとネタニヤフはやり過ぎた。物凄い勢いでハマス兵士ばかりでなく、家を焼かれた一般パレスチナ人が避難しているテント村に銃撃をかけたり、人道支援の食糧運搬車を通行止めにしたり、食料受け取りに来たパレスチナ人を銃撃し地獄絵図模様となった。
一般国民を大量に虐殺し、南アフリカからはジェノサイドと非難され ICJ裁判所に訴えられた。国際社会のあちこちの国でも反イスラエルの抗議デモが頻発した。国内外の潮の流れが変わったのだった。ガザの
8m の高さの壁のトリックも、ちらほらイスラエル兵士から漏れ出したというのも、さもありなんというところである。
因みに石田氏はグレイター イスラエル構想という件には、ちらっと触れているだけで、イスラエルの領土拡大欲望の現れと説明している。グレイター イスラエル構想というと陰謀論的響きがあるが、領土拡大は現実に入植拡大やゴラン高原の実効支配などで行われていることから違和感を感じないということだろう。
またイスラエル人には選良意識が強く将来は世界のトップに立つ、というのは石田氏ではなく以前に馬渕睦夫氏が触れていた説明である。
【感想―3】
イスラエルで行われた世論調査では、イスラエル人の 75%が、イスラエル・パレスチナ2 国家併存に賛成をしているとのことである。25%は反対という。75%もの人が併存に異議を唱えていないのに、なぜそれが国政に反映されないのか?ネタニヤフ第 6 次政権が、過半数 61 人に対して僅か 3 人オーバーの 64 人しかいないというならいつでも国政選挙で、反ネタニヤフ(反リクード票)が優勢になって政権交代になりそうなものなのになぜ交代が起きないのだろう? それはやはりこれまで述べてきたように、極右強硬派がネタニヤフを搦めとって思うままに操っているので、ネタニヤフはその魔手から逃れられないのと、更に自分も汚職疑惑で政権が交代したら自分の政治生命が危ない、ということで、毒を食わば皿までも・・ということで危ない綱渡りをしているということだろうか。 そのためにはイスラエル内でのかなりの言論統制や恐怖政治が行われているのかもしれない。ただ主要メディアがそれを報道していないだけかもしれない。
ここはなんとか良識あるイスラエル人マジョリティーによって早くに政権交代を図ってもらいたいものである。そのための国内勢力がどうなっているか不明であるが、何と言ってもあのユバル・ノア・ハラリのような洞察力鋭く、国際社会におけるイスラエルの立場をよく理解しているであろう偉才たちに期待して運動の波を起こしてもらうしかない。そのためのステップとして、トランプのような強引な仲介者をして、極右強硬派がぶち切れて政権から離脱せざるを得ないような政策を取らせるのが良いだろう。例えばガザはアメリカ支配下でリヴィエラ化する、その管理(スタッフ)はパレスチナ人に委ねる、安全はアメリカが担保する、というようなものである。そうすれば強硬派はパレスチナ領からパレスチナ人を追放することはできない。それが恒常的に安定化すれば強硬派の勢力は自ずと小さくなっていくであろう。このアイデアはパレスチナからハマスを一人残らず追い出すより有効であり周辺諸国や世界中に対しても説得力があるというものだ。
さらにまた、ガザ沖合に眠っている大油田を、アメリカ主導でパレスチナ人の力で掘削し、その利益が出るようになったら、パレスチナ併存国家に投資するようにすれば、パレスチナはそれ以上に望むことはあるだろうか? ネタニヤフハどうなるか? 彼とはDeal を結び、告訴は取り下げ、彼は政界を引退しどこかで1市民として余生を送るようにすれば波風は立たないだろう。アメリカ CIA 初の女性長官だったジイナ・ハスペルが罪を認めて、収監される代わりに新しい IRS 社会番号をもらって、どこかの町で 1 市井人として過ごしているように・・・!
勿論まだ他に知恵を絞ればいくつかのアイデアがある筈だ。
<以上>林 義祐参考資料
石田和靖氏:メルマガ、YouTube
BBC news : アラブニュース
江南タイムス:NY タイムス(アーカイブ)
Jetro 資料:中東情報生成 AI:MS Copilot
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オランダ在住の 林 義祐氏(64回生・岡谷市出身)のご寄稿「オランダの生活・歌日記: 2025年11月」を下記に掲載いたします。
林様、今月もご寄稿ありがとうございます。同窓の皆様のコメントをお待ちします。
(名取宛メール: antimarck@yahoo.co.jp)
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2025 年 11月:歌日記
11 月 1 日(土)
☆ 娘来て犬 2 匹連れ散歩行く フォスタの森は深い秋の色
☆ この森は Su-にとっては初めてで 興奮してはロミと駆けっこに
11 月 2 日(日)
☆ 新しく越してきた隣家 5組もの カップル集いお披露目パーティー
☆ 新当主ヘリッツ農家にして芸術家 各種作品見るほど驚く
☆ 絵も描けば金物石物彫刻も ガラス工芸 庭まで自作
11 月 3 日(月)
☆ 外壁を 1週かけてペンキ塗り 庭フェンス設置 Gerrit(*)若し
☆ 我よりは 10 歳以上若い彼を見て 自分が来た当時を思い出し
☆ 木戸作りフェンス設置庭造り 独力でした 20 年前の我
11 月 4 日(火)
☆ 満月を明日に控えた夜の道 一面の雲で真っ暗闇に
☆ 娘の犬アムスに帰り我一人 誰にも会わず思索の夜道
11 月 5 日(水) <ビーバー・ムーン>
☆ 霜月の満月今宵隠れたり これではビーバーも嘆いてるらん
☆ オランダの晩秋いつもストームと ジクジク雨で恨めし季節
11 月6日(木)
☆ スーパームーンオランダにては良く見えず パリ モスクワ分テレビで見たり
☆ 月見れば宇宙現象神秘的 心乱れる妖しき気分
(Net より拝借)
11 月 7 日(金)
☆ 夜散歩運河沿い道広大で 人影もなく月を独り占め
☆ 月明り仄かに照らす道筋は ライト点けずに気分よく歩く
11 月 8 日(土)
☆ スーパーに“緑カボチャ(*)“なる かぼちゃあり オランダ人も理解食用カボチャと
☆ 中サイズ一つ購入冬至まで 半分残して昔偲びたし
☆ 子供の頃冬至にかぼちゃ食べたこと 父母弟妹懐かしきかな
(*) “Groene pompoen” (緑のカボチャ)。オランダではカボチャは殆ど黄色で大きく、ハローウインやクリスマスの飾り用で食用とは思われていない。最近日本のカボチャが “Kabocha”と書かれて売られるようになってきた。店によっては“Groene pompoen”と書かれている。
11 月 9 日(日)
☆ 妻は言う日本の着物一着を 壁に飾りて楽しみたいと
☆ 我「ン?」何で そんなことする?思いつも 浮世絵模様の小物飾ってみる
☆ 思い出すオーストラリアの友日本にて 豪奢な着物壁にかけており
11 月 10 日(月)
☆ 寒桜いつの間にやら咲いており 葉に隠れていて気付きもせずに
☆ 夜散歩ライト点ければ花模様 この樹意外と成長途上
11 月 11 日(火)
☆ 家の中ケーププリムローズよく咲いて 新しい花毎日開く
☆ この花はコップの水で発根し 妻はいくつも作り人に上げ
☆ 可憐な花慎ましくつましく品もよく プリムローズは愛される花
11 月 12 日(水)
☆ 白樺の大木 2 本葉を落とし 庭は一面黄色の絨毯
☆ 我が家横小さな道に隣家から 大量の葉が落ち秋は店仕舞い
11 月 13 日(木)
☆ ぽかぽかと陽が射す居間のクルミ袋 最後のステップ屋内乾燥
☆ 居間なれば天気気にせず置いておく 今年の収穫これにて完了
11 月 14 日(金)
☆ 天気良くヒメリンゴ・楓コラボして ここだけ庭が豪華に見える
☆ 秋の陽にオランダ楓燃え立ちて 真紅が映える最後の化粧
11 月 15 日(土)
☆ 白樺の大木 2 本天を衝く 空澄み渡り空気の旨し
☆ 銀杏また黄葉を青い空に撒き 終わりの美学清々しきなり
11 月 16 日(日)
☆ バラアーチ夏に終わり花摘んだあと 蕾続々今また咲き出し
☆ バラの木は冬なき国の出身か 迫りくる冬とタイムレースとなり
11 月 17 日(月)
☆ 娘と来たペット 3 匹大騒ぎ 勝手知ったるセカンド ハウス
☆ 犬たちは多分この家別荘で 走るに広く自由気儘で
11 月 18 日(火)
☆ マホニアは秋から冬にかけて咲く 花少なき冬サポートして
☆ 花の名は「マホニア ヤポニカ」江戸のころ シーボルト持ち込み想像したる
11 月 19 日(水)
☆ サワシ柿ヘタをウイスキーにちょっと漬け 密封袋でボイラー室に
☆ 5 日目に味見をすればちょうどよし 甘味もありてこれならいける
☆ 両隣り少しだけでも上げられる オランダ人柿あまり知らぬゆえ
11 月 20 日(木)
☆ 洗車した車の屋根に黄葉落ち 千代女になれず憮然としたり
☆ Sneek へ遠出をすれば雨降りて 車体は汚れ洗車意味なし
11 月 21 日(金)
☆ 珍しや冷たく澄める天空に 北斗七星低く掛かりたり
☆ 地平の上北斗七星横たわり 北極星は天央高く
11 月 22 日(土)
☆ 丈低く小さな木なれど柿の実は びっしり生り 100個に近く
☆ 葉が落ちて柿のツリーが出現し 道行く人が珍し気に見る
☆ オランダでこれまで柿の木見てはいず 我が家の柿はネットで注文
11 月 23 日(日)
☆ 今日 12個柿収穫しサワシ柿 リキュールで代用結果はいかに
☆ 先週はウイスキー使いサワシたり テストで 3 個結果美味にして
11 月 24 日(月)
☆ 首筋のホクロを除去の小手術 たった 5 分で終わり驚く
☆ 年と共にホームドクターに会うが増え 真摯で親切得難きドクター
11 月 25 日(火)
☆ ヘーゼルの太幹 3 本切り取るに 庭師の仕事その速きこと
☆ 梯子掛け温室のガラスに落とさぬよう 小分けに切りゆく妙技の速さ
☆ 幹 3 本切られヘーゼル哀れなり 妻はそれ見て可哀そうと言う
☆ その昔妻の父親が植えた木ゆえ 妻の気持ちは複雑ならむ
☆ オーロラを見たいと娘トロムソ―(*)へ 今の若者なんでもやるか
☆ 友人と一緒といえど最北の地 理解を超えて親は沈黙
☆ 送られてきたオーロラの写真見て 感興も湧かず我老いたりと
☆ 喜望峰トロムソ―と行き地球上 南北踏破それが目標か
(*)Tromso. ノルウエー最北端の町。人口約 5 万人。Aurora で知られる
11 月 27 日(木)
☆ 初雪の雪片大きくどれだけの 雪になるかと思えばすぐ止み
☆ ハリネズミまだ子供のよう皿の上 独り占めして夢中で食事
11 月 28 日(金)
☆ 冬来れば庭の花消えるその時に パンパスだけは独り気を吐く
☆ ティーザーまた堅い殻して冬を越す パンパスに負けじ枯れ木も賑わい
11 月 29 日(土)
☆ 雁渡る声が聞こえる霧の夜 体内磁石無事に導け
☆ 暗い空街灯浮かぶ霧の海 散歩する我波に漂う
11 月 30 日(日)
☆ サワシ柿前回の結果は好評価 今回さらに 22個仕込む
☆ 柿の木に残る柿まだ多く お裾分けさらに急がねばならぬ
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清陵関西支部同窓の皆様
今年も歳末となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
毎月、HPに「オランダの生活・歌日記」を寄稿していただいています64回生の林 義祐氏より、12/23付でSeason's Greeting(季節のご挨拶)をいただきましたので、お知らせいたします。以下のリンク先です。 ⇒ https://x.gd/gatdJ
林様、誠にありがとうございます。今後もご寄稿を楽しみにしております。
先月、11/26 の歌日記で林様の娘さんがノルウェーのTromso にオーロラを見に行ったことを詠んでおられますが、その時掲載された写真とお見受けします。⇒ https://x.gd/aOYXa
大変美しい写真と存じます。
以上ご報告まで。お世話になりました。良いお年をお迎えくださいますよう。
75回生 名取和一