下記は以下のアーカイブに移行しました。
令和4年2月9日 64回生 林 義祐氏寄稿(第一回目掲載)
オランダ在住の 林 義祐氏(64回生・岡谷市出身)のご寄稿「オランダの生活・歌日記」を掲載いたします。本寄稿は林氏と同回生である土橋支部長が林様に了解をいただき、掲載の運びとなりました。土橋支部長のご尽力にお礼申し上げます。そして林様のご好意に感謝いたします。
掲載に当たっては2回に分け第一回目(今回)では、土橋支部長の紹介文と「オランダの生活・歌日記: 2022年1月 序文」を掲載いたします。さらにおよそ一週間後の第二回目に「オランダの生活・歌日記 2022年1月」を掲載いたします。
オランダをはじめ欧州の政治・軍事・生活状況の生の声を届けていただきました。
同窓の方々の本寄稿への感想やコメントを募集いたします。メールで名取宛お送り願います。送付者の了解が得られれば、本サイトに掲載させていただきます。
林義祐(64回生 岡谷市出身)さんの紹介と
『オランダの生活・歌日記』の掲載について
2022-2-7
土橋 勝
林さんは下記の経歴の方で、私共64回生の約20人が集うZoom会議(毎週土曜日)にオランダから参加されていますが、それと共に、政治的・社会的ニュースを欧州の視点で『オランダの生活・歌日記』にまとめられ、送って戴いています。国内報道とは異なる点も多々あり、毎月、大変興味深く読ませて戴いていますが、同期生その他一部の方だけではなく、広く同窓生にも公開をお願いしたところ、承諾を得ましたので、当ホームページに掲載致します。どうぞお楽しみください。
林さんの経歴
1966年 慶応大学・法律学科卒。 同年 日本IBM 入社
1968年 英国IBM 出向
1970年 日本IBM 帰着
2001年 日本IBM 退職
オランダに住まわれているわけ
英国駐在中にオランダ人の奥様と結婚され、1970年の帰国以来、30年間、共に日本で暮らしておられましたが、退職後はオランダに住むことになり2004年に一家で移住されました。 オランダではアムステルダムから北東に車で1時間ちょっとの小さな町に住まわれ、今年で17年間になるそうです。初めは日本語教師をし、趣味のテニスを楽しむ生活だったそうですが、日本語教師をお止めになった今は生活の一番の中心はガーデニングで、1年中忙しいとのことです。
『オランダの生活・歌日記』について
日本の友人・知人に、オランダでどんな生活をしているかを知らせるために書き始め、毎月末、一回送付しているそうです(ただし、日本に帰省している月はなし)。現在約130人に発信しているとのことです。
短歌は全くの自己流で、日記の代わりに書いているそうで、誰の指導も受けていないとのことです。
オランダの生活・歌日記: 2022年1月 序文
英国及びEUのトピック
【短評】昨年末に、今年1月の欧州の全体的な問題は、ロシアのウクライナ侵攻危機、欧州過半の国におけるエネルギー危機、オミクロン変異株によるコロナ問題であろうとしたのだが、1月も終わりとなるにつれても問題は解決されたと言えるものは一つもない。しかしそれぞれに危機の度合いで差が見えてきた。
★一番危機的な問題は、ロシアのウクライナ侵攻があるかないかということである。交渉次第では解決しそうなようでもあるし、いつ決裂になるかもしれない、という綱渡り的な状態が続いている。
1月21日にブリンケン米・国務長官と露・ラブロフ外相がジュネーブで会談し、ロシアの要求に対して米国が次週に回答することになり、1月27日に米国が書面にて回答したが、ロシアの要求を拒否するという内容であった。文書は非公開である。テレビ会議や電話協議を行い、両者が主張を展開したり非難し合ったりし、更に対面会議をスイスで2回も行い、ロシアの要求に対して米国が後日回答したりしている。一方ウクライナ大統領が米国やメディアの対応はパニックを煽るようなものだと表明し、迷惑がっているようである。ブリンケン長官とラブロフ外相は、2月初めの週にも、侵攻阻止のための協議を行うという。一見わけの分からないような交渉が続いている。最後の米国の回答文書が非公開というのは何か意味あるものなのだろうか? プーチンの振り上げた拳の落としどころはあるのだろうか? それが無ければ侵攻も避けられないかもしれない。どこか疑問符のつく ”ウクライナ侵攻” 騒ぎではあるが、しばらくは目が離せない危機的状態である。
★一方エネルギー問題は、ロシアのウクライナ侵攻があれば、ロシアとドイツ間のガスパイプライン「ノルド2」は開通させない、とバイデン大統領は示唆しており、もしそうなればロシアにとっては大痛手であるが、EU諸国にとってもガスの供給をロシアに依存し過ぎているので今冬はどうなるかという大きな問題になった。ところが1月28日の日経記事によると、「ロシアに天然ガスを依存する欧州が米国や中東からの代替調達に動いている。日本経済新聞社が船舶の位置を捕捉する衛星データを分析したところ、欧州海域では液化天然ガス(LNG)の運搬船が7割増えた。天然ガスの多くはロシアから陸路で輸入しており、ウクライナ問題で止まることを懸念しているためだ。過去最低水準にある天然ガスの在庫の減少を止め、どれだけ増やせるかは欧州のロシア戦略を左右する。」と報道されて、ともかくも最悪のシナリオは免れることができそうな感じである。
★コロナ禍の問題は、オミクロン株の出現とその推移によってちょっと事情が変わってきたような気がする。当初オミクロン株が報告されたときはこれは大変だと思われたものが、その後の経過分析で、感染力はとても強いものの、重症化率は低いようで、それに応じて国ごとに独自の対応策を打ち出してきている。例えば英国は1月28日時点では、一日の新規感染者は8万9千人であるが、政府はコロナ規則をイングランドでは全廃してしまい、スコットランドやウエールスでは緩和となっている。経済のためということと、オミクロンはインフルエンザと同じ扱いということであろう。 デンマークも規則を全廃した。ドイツも感染者は11万6千人もいるのにオミクロンは ”Under Control” ということで緩和に向かっている。オランダは7万4千人であるが、1月25日に規則を大幅に緩和して、事実上のロックダウン解除である。ただしフランス、イタリア、ロシアはそれぞれ 39万人、14万3千人、8万9千人、と多く、緩和の報道は伝わってきていない。 日本も6万人とか7万人とか聞くが早くピーク アウトのニュースを聞きたいものである。
★これ以外のニュースとして英国で昨年コロナでロックダウンしているときに首相官邸や政府機関において、ルールに反して集まって飲食したりしたのが報道され、国民の怒りを買っている。最初はコロナの下でフラストした人が集まってビールでも飲んだか、などと思ったのだが、野党は国民への侮辱だと怒り、与党も一部の議員は首相を攻撃していて、連日 “Party Gate” という言葉で報道している。1月30日にはロンドン警視庁が捜査を開始したという報道がなされた。野党やメディではジョンソン首相の辞任を求める声が多く、結構な騒ぎである。何やら「桜を見る会」の騒ぎを思い出してしまう。
★また他に、英国ではブレクジットから派生した貿易問題で、通関業務の煩雑さで英国側は多大な負担がかかっているとして、これを改善しようとEUと話し合っているのだが、EUは離脱協定の変更は国際法違反だとして反対しており、依然として解決していない。英国は遂に実力行使で一方的に通関時のチェックを廃止する可能性が高まってきており、来月以降が注視される。
●1月3日 【英国】 ブレグジット世論調査:1年後、有権者はEU離脱が英国の利益を損なったと考えている INDEPENDENT
*英国が欧州連合(EU)の経済構造を完全離脱してから1年が経ち、英国の人々は、ブレクジットが良いことよりも、国に害を与えたと考えている。
ブレグジットは2021年も政治の支配的なテーマであり続けた。インディペンデントの独占的な「サバント調査」は、12月10-12日に英国で2,096人の成人に質問した。経済からリスク分野、英国の国境管理能力に至るまでの問題について、より多くの有権者がブレグジットが英国の地位を改善したよりも悪化したと考えていることを明らかにしている。(以下)
★10人中6人(57%)は、ボリス・ジョンソンが2016年の苦い国民投票キャンペーン中にブレグジットがどのようなものになるかについて彼らに嘘をついたと信じている。そして明確な差によって、有権者はブレクジットによる社会への影響結果は;
(A)”残留キャンペーン派の予測(フォーキャスト)とその後増加したリスク” は、
(B)”EU離脱派がNHS(National Health Service)のために週3億5千万ポンド(約490億円)の額が使えると喧伝したジョンソン氏のバスツアーに依る主張など含めた離脱派キャンペーンの約束” よりも正確であることが証明されたという。【(A)の方が(B)よりも正確にイメージを伝えていたということ】
★経済全般に関しては、44%がブレグジットが有害であり、24%が有益であると述べた。また離脱キャンペーンの中心的な約束の一つである英国の国境をコントロールする能力でさえ、ブレグジットが助けになったと言ったのはわずか23%で、43%が事態を悪化させたと言う。
★41%は、英国は団結しなくなったと言い、24%が結果として団結したと述べた。そして39%は、英国は世界的な影響力が低いと述べた。一方23%の人が前より影響力を持ったという。
★ブレグジットがこれまで英国の利益にどのような影響を与えたかと尋ねたところ、約38%が損害を与えていると述べ、わずか27%が問題を改善したと述べた。離脱派有権者の間でも、ブレグジットは英国の利益に良いと言ったのはわずか39%で、34%は違いはないとし、18%は有害だと言った。
★51~49%の僅差の過半数であるが、回答者は再び投票することができれば、EUに再加盟することを選ぶだろうと答えた。特に若い有権者は新たな加盟のために古い有権者よりも非常に熱心に答えた。
回答者の半数以上(51%)は、ある時点で再加入に関する国民投票を望み、そのうち39%が今後5年以内に投票するべきだと答えたが、問題を再開すべきではないと答えたのはわずか32%である。
この数字は、ジョンソン氏の主張に大きな打撃を与えることを意味する。 というのも、前回の選挙での彼の行動基盤の中心は、「EU離脱は英国に大きな“押上げ ”をもたらし、新たな自信、楽観主義、団結の精神を助長する」ということを主張していたからである。
★離脱日を記念して本日発表されたメッセージの中で、首相は、EUとの貿易協力協定(TCA)は、英国企業が世界中で「新たな貿易機会を得る」ことを可能にし、英国の国益に適した規制体制を政府が確立することを不要にしたと述べた。しかしながら、彼がブレグジットの恩恵として歓迎した70の貿易協定項目の大部分は、英国が既にEU加盟国として享受していた取り決めを維持する「更改」協定に過ぎなかった。他の政府の数字は、オーストラリアとニュージーランドとの貿易が、――EU離脱後に予想される4%の損失と比較してーー、GDPをわずか1%だけ押し上げることを示唆している。
★ジョンソン氏が主張する他の利点には、より速いCovidワクチン接種の実施、ポイントベースの移民制度の導入、アルコール関税の簡素化、タンポン税の廃止、パイント(ビール)グラスの側面のクラウンスタンプの回復が含まれていた。
「我々が近代的でダイナミックで独立した国として繁栄できるように、ブレグジットの利益を最大化する」ことを約束した。 そして「仕事は終わっておらず、勢いを維持しなければならない」と、彼は付け加えた。「今後1年間で、私の政府は、ブレグジットの約束を果たし、我々の新しい自由がもたらす巨大な可能性を有効利用するために、さらに速く進むだろう」と述べた。しかし、今日の世論調査は、EU離脱の恩恵を経験している有権者はほとんどいなかったと示唆している。
★残留派キャンペーンの第一人者であるマイケル・ヘッセルティン元副首相はインディペンデント紙に、この調査は、英国のブレグジットの想定される利益について誤解させられていた、という有権者の認識の高まりを反映していると語った。
「イギリス国民はだまされた」とヘッセルティン卿は言った。「ブレグジット運動は、国民の不満のムードを引き起す様々な感情的偏見に基づいていた」 「この世論調査は、人々が欺瞞の規模を認識するにつれて、ますます混乱を反映している。今から1年後、それは悪化するだろう」と言った。
*英国は2020年1月31日に正式にEUを離脱したが、移行期間中は単一市場と関税同盟にとどまり、2020年12月31日午後11時までブリュッセル(EU)の法律を遵守し続けたことを意味した。
【コメント】
INDEPENDENTの世論調査によれば、英国はEUから完全離脱したあと1年経っても依然として真っ二つに割れていると言える。これまでいくつかの調査では、GDPが上向いているとか、経済回復に光明が見えているとかいった希望を持たせるような結果が散発的に発表されたりしたが、今回の調査は国民の声をそのまま反映していることから、実態はかなり期待を外れていると考えた方が妥当ではないだろうか。国民は日々の生活でブレクジットからくる生活への影響を肌身で感じているからである。
またジョンソン首相への期待も当初の好意的な見方から、かなり上がったり下がったり振幅が大きかったように思える。さらに首相にとって痛かったのは、コロナ パンデミックのロックダウン中に閣僚の一人が、ルールを無視して家族で旅行をしていて国民の怒りを受けたり、更にロックダウン中に首相官邸でパーティが開かれたりしたのを暴露されたりして国民の不信を買ってしまったこともあった。
ブレクジットの結果に対する不満は、政府とコロナパンデミックに対する不満が重なっているのかもしれない。そういう意味では猛烈な嵐をかいくぐった1年であったと言えるだろう。結果が全てであるから、首相にとっては今後失地回復のため、コロナ禍からの脱出、経済の回復、国民生活の安定、EUとの関係修復、等において全力を挙げなければならないということである。これが軌道に乗れば、分裂した国論も徐々にベクトルが一致してくるのではないだろうか。
●1月12日【英国】ジョンソン英首相、ロックダウン中の「飲み会」を「心から謝罪」 BBC News
*イギリスのボリス・ジョンソン首相は12日の議会で、2020年5月に首相官邸の庭で開かれた「飲み会」に参加していたと認め、謝罪した。
その時期英国は新型コロナウイルス対策で、厳しいロックダウンが実施されていた。与党幹部からも辞任を求める声が出ている。
「飲み会」をめぐっては、英ITVニュースが10日、ジョンソン氏の首席秘書官マーティン・レノルズ氏の名前で100人以上に招待メールが送られていたと報道。目撃者はBBCに、当日は30人ほどが参加し、ジョンソン氏と婚約者のキャリーさん(現夫人)もいたと話した。他世帯の人とは屋外で1人としか会えない厳格なロックダウン中、「飲み物持ち寄り」のパーティーが開かれ、ジョンソンが参加していたとの報道を受け、国内では怒りが高まっている。ジョンソン氏は12日の首相質疑で、国民の怒りはもっともだとして謝罪。その怒りを鎮めることに努めた。
問題となった2020年5月20日の集まりについては、25分ほど出席したと説明し、激務の「職員たちに感謝する」のが目的だったとした。そして、「職務上のイベントだと、暗に信じていた」と述べた。一方で、「今思えば、みんなを屋内に戻すべきだった」とも話した。「職員に感謝する別の方法を探るべきだった。厳密には(感染防止対策の)ガイダンスを守ったものだったと言えたとしても、そうは思わない人が大勢いるであろうことを自覚すべきだった」
ジョンソン政権はすでに、パンデミック対策が敷かれていた2020年11月から12月にかけ、首相官邸を含む政府機関で複数のクリスマスパーティーが開かれていた問題の対応に追われている。内閣は現在、レベルアップ・住宅・コミュニティー省のスー・グレイ第二事務次官に一連の報告について調査を依頼している。ジョンソン氏は質疑の中で辞任の意思を問われると、その結果を待つよう繰り返した。
★国民を侮辱
最大野党・労働党党首のサー・キア・スターマーは、首相の弁明について、「あまりにばかげていて、イギリス国民を侮辱するものだ」とした。そして、ジョンソン氏は「まともな行動を取り、辞任する」よう求めた。スコットランド国民党(SNP)のイアン・ブラックフォード下院院内総務は、保守党議員らに対し、首相を辞任させるよう呼びかけた。自由民主党党首のサー・エド・デイヴィーも、ジョンソン氏は辞めるしかないと述べた。エド氏はロンドン警視庁に対し、ジョンソン氏の「飲み会」出席について捜査するよう求める書簡を送っている。
★与党内からも辞任を求める声
この日のジョンソン氏の議会での声明は、与党内でさまざまに受け止められている。同党のスコットランド支部にあたるスコットランド保守党のダグラス・ロス党首は、首相質疑後にジョンソン氏と「難しい会話」をしたと話した。また、保守党の党首選を開催する立場の1922年委員会に、首相不信任の書簡を提出する考えだと述べた。「彼は首相だ。当時のルールを実施したのは彼の政府であり、自らの行動の責任を取らなくてはならない」保守党の議員54人が1922年委員会に書簡を提出すれば、党首選が開かれる。影響力が大きい議会特別委員会の委員長を務めるウィリアム・ラグ議員は、首相の立場を「維持できない」との見解を示した。同氏はBBCラジオ4の政治番組で、「首相の今後およびこの国を誰が治めるのかは、官僚による調査の結果で決まるべきではない」と話した。
議会の別の委員会の委員長を務めるキャロライン・ノークス議員も、首相は「保守党のブランド全体を傷つけた」とし、直ちに辞任すべきだと述べた。閣僚経験があり、ジョンソン氏に批判的だったこともある同氏は、ITVのロバート・ペストン氏に対し、「残念だが、彼はお荷物のように思える」、「今すぐ辞めるか、3年後に総選挙で辞めるかだ」と話した。
★与党には擁護論も
一方、一部の保守党議員や閣僚からは、首相が心から悔いていることが伝わってきたと擁護論も出ている。ドミニク・ラーブ副首相兼法相は、ジョンソン氏を支持する立場を示している。ラーブ副首相は、ジョンソン氏が何があったのかについて「とても明確に説明」し、ルール違反をしたとの「見方」があることについて謝罪したと話した。
イケル・ゴーヴ住宅・地域社会・地方政府相も、1922年委員会で首相への支持を表明した。同委員会の会合を前にBBCの取材に応じたゴーヴ氏は、「首相が謝罪したのは正しい」ことだったと述べた。そして、「グレイ氏の報告がまとまるのを全員が待つことが大事だ」とした。
リズ・トラス外相とリシ・スーナク財務相も、議会終了後にツイッターで、ジョンソン氏への支持を表明した。トラス氏とスーナク氏は共に、次期保守党党首・首相候補と目されている。
BBCのローラ・クンスバーグ政治編集長は、ジョンソン氏の議会での説明と謝罪は、同氏にわずかな時間的余裕を与えるだろうと説明。ただ、与党内での求心力は失われているとし、多くの議員が辞任を望んでいるとした。そして、首相の辞任がどのように、いつ起こるのか、慌ただしい話し合いがなされていると報告した。
★首相官邸や政府機関で行われた飲み会・クリスマスパーティー:
2020年:
5月10日:ジョンソン首相は、2020年3月に始まったロックダウンから脱却する「最初の慎重な一歩」を発表。しかし「互いに距離を取るルールを守る」よう国民に要請し、「順守のため、違反者への罰金額を引き上げる」と述べた。この時は不要不急の外出は禁じられており、他世帯の人とは1人だけ、屋外での運動の最中だけ会えるとされていた。
5月15日:英紙ガーディアンは、この日に首相官邸の庭にジョンソン首相やキャリー夫人、スタッフ17人が集まり、ワインやチーズを片手に談笑している写真を報じた。ジョンソン氏は、この日について説明を求められた際、写真は「仕事中の人たち」を撮ったものだと釈明した。
5月20日:ITVニュースによると、首相官邸の庭で「社会的距離を取った飲み会」が開催され、レノルズ首席秘書官の名前で100人以上に招待メールが送られていた。目撃者はBBCに、当日は30人ほどが参加し、ジョンソン氏と婚約者のキャリーさんもいたと話した。ジョンソン氏は1月12日の首相質疑で25分ほど出席していたことを認めたが、「職務上のイベントだと、暗に信じていた」と述べた。
11月5日:新型ウイルスの感染者が再び増えてきたこの日、イングランドでの2度目のロックダウンが開始された。ジョンソン首相は記者会見で、「在宅勤務ができない場合の出勤、教育、日常生活に必要な活動や緊急時」以外は外出できないと説明。勤務に関する以外での、屋内での他世帯との集まりは禁止された。
11月13日:複数の消息筋によると、首相官邸でこの日、リー・ケイン広報部長の退職に伴う「即席の飲み会」が開かれた。しかし職員らは自分のデスクでアルコール飲料を飲み、午後8時半までには解散したという。
11月13日:同じ日の夜、ジョンソン夫妻が住むダウニング街11番地(首相官邸の隣の建物)の上の階で、官邸職員が首相夫人キャリーさんを囲む会が開かれた。情報筋は建物中に音楽が鳴り響いていたと述べているが、キャリー夫人の報道官などは、集まりがあったことを否定している。この日は、ジョンソン首相の上級顧問だったドミニク・カミングス氏が退任した日でもある。
11月27日:カミングス氏の助手だったクリオ・ワトソン氏の退職に伴うパーティーが、首相官邸で開かれた。正式に企画されたものではないものの、アルコール飲料が配られ、ジョンソン首相がスピーチをしたという。
12月2日:2度目のロックダウンはこの日に終わったが、ジョンソン政権は地域の感染状況に応じて行動制限を分ける「ティア(段階)」制度をイングランドで実施。ロンドンは2番目に警戒度が高いティア2となり、「勤務上」必要な場合以外は、他世帯の2人以上が屋内で集まることが禁止された。
12月14日:タイムズ紙は、この日に保守党本部の地下で「承認されていない集まり」が開かれていたと報道。保守党はこの報道を認めた。このパーティーは、今年5月のロンドン市長選に保守党から出馬したロンドン市議会のショーン・ベイリー議員のスタッフが開いたもの。同議員はこれを受け、市議会警察・犯罪委員会の委員長職を退いた。
12月15日:複数の情報筋がBBCに、この日に首相官邸でクリスマスのクイズ大会が開かれたと証言している。電子メールで招待状が送られ、6人1組で参加するように指示されていたという。首相官邸はこのクイズ大会はビデオ通話で参加する「バーチャルな集まり」だったとしているが、実際には室内にチームで集まった職員もいたとみられている。タブロイド紙サンデー・ミラーは、このクイズ大会にジョンソン首相がビデオ通話で参加している写真を掲載した。
12月16日:ロンドンが最大警戒レベルの「ティア3」に格上げされた。マット・ハンコック保健相(当時)は、クリスマスを前に「みなが慎重になることが重要」だと呼びかけた。しかしその後、この日に運輸省でパーティーが開かれていたと報じられた。同省は「不適切」で「職員の判断が間違っていた」と謝罪した。
12月18日:一連の報道の発端となったクリスマスパーティーがこの日、首相官邸で開かれた。タブロイド紙ミラーが12月1日に、最初に報じた。BBCが得た情報では、パーティーでは食べ物やアルコールが出て、様々なゲームもあり、真夜中を過ぎても続いたという。
労働・年金省での集まり:労働・年金省は、「主要な」職員らが「複数回」にわたり、新型ウイルス対策の制限が敷かれている期間に夜遅くまで残業し、アルコールやテイクアウトの食事をとっていたと認めた。サンデー・ミラーはその後、テリーザ・コフィー担当相の下で働いているとされる職員らが繰り返し、終業後に明け方まで飲み会を開いていたと報じた。
【コメント】
一国を動かす政治家や官僚トップは、自分たちが作ったルールを国民は遵守するべきであると思うのは当然としても、自分たち自身はそれが、国の根幹を動かしたり左右するものでもない限り、あまり厳格には守ろうとする意識が無いように見える。選良意識みたいなものが身についていて無意識的に動いているのかもしれない。オランダの王位継承者であるアマリア王女も成年記念で友人や関係者を集めて100名ほどのパーティーを開いたのであるが、ロックダウン中であるということは何も気にしなくて実行している。メディアに報道されても、何が問題なのか分からないようである。英国首相官邸文化同様、どうも庶民感覚とはギャップがあるようだ。
日本でも安倍元首相の「桜を見る会」のニュースがひところよく報道されていたが、ジョンソン首相のケースも隠蔽体質は通底するものがあるようだ。しかし報道された英国のケースでは、正直言ってちょっと違和感を覚える。ヨーロッパを巻き込むロシアのウクライナ侵攻の緊張が高まっているときに、こんなことで騒いでいる時ではないだろう、ということである。というのも英国はEUを抜けたと言ってもNATOの枠組みでは米国に次いで重要で、欧州ではナンバーワンの位置づけにあるからである。ジョンソン首相が動画ニュースで出ずっぱりでParty Gate について喋っているのを見ると、”そんな時ではないぞ。NATOはどうするんだ?” と思ってしまうのだ。
こコロナ禍のさい中に起こったフラストレーションの発散だと思えば、同情もできるというのは甘い考えなのだろうか。「甘い」と言われても、これが英国のお国柄とはちょっと思いたくないものである。
●1月25日【EU・米国・ロシア】 緊迫するウクライナ情勢 ロシア、なぜここまで強硬? Nikkei
*よく分かる3つのポイント:米政府は24日、ウクライナ情勢の緊迫を受け、東欧地域に最大8500人規模の米軍を派遣する準備に入った。ロシアがウクライナに侵攻した場合、ロシアの銀行によるドル取引を停止することなどを含む厳しい制裁を科す方針も明らかにしている。それでもロシアは隣国ウクライナが欧米主導の軍事同盟の北大西洋条約機構(NATO)に加盟しないとの確約を求め、交渉は難航している。なぜロシアのプーチン政権は強硬姿勢でウクライナにこだわるのか。3つのポイントをまとめた。
① ロシアとウクライナの歴史的な経緯とは
② 「大国復活」目指すプーチン氏の野望とは
③ なぜNATOの東方拡大をここまで警戒するのか
★ロシアとウクライナの歴史的な経緯
「ロシア人とウクライナ人の歴史的な同一性について」。プーチン大統領は2021年7月にこう題した論文を発表し、「1つの民族」だと主張した。ウクライナをロシアの勢力圏に取り戻すことが自らの使命だと考えているようだ。
ロシアとウクライナ、ベラルーシは同じ東スラブ民族で、統一国家の始まりは9世紀から12世紀ごろまで栄えたキエフ・ルーシにある。中心地は現在のウクライナの首都キエフだった。その後も現ウクライナ領には独自の国が長く形成されず、ロシア帝国やポーランドなどの支配下に置かれた。
ウクライナはほぼ20世紀を通して旧ソ連の一部であり、本格的な国家として歩み始めたのは1991年のソ連崩壊後だ。欧州連合(EU)とロシアに挟まれた影響力争いの舞台となり、政権も親欧米と親ロシアとが交互に発足した。2014年に民主化を求める親欧米派による政変で親ロ派政権が倒れると、ロシアはクリミア半島を一方的に併合し、ロシア系住民の多い東部にも侵攻した。
★「大国復活」目指すプーチン氏にとってのウクライナ
ウクライナは4000万を超す人口と広大な国土を持つ旧ソ連第2の大国だ。ウクライナなしでロシアは帝国にはなれない――。ブレジンスキー元米大統領補佐官はこう述べたことがある。「大国の復活」の野望を抱くプーチン氏にとって、ウクライナを自らの勢力圏にとどめることは絶対条件だ。
ロシアは13世紀から15世紀にモンゴルに支配され、19世紀初めにナポレオン率いるフランスにモスクワを占領された。第2次世界大戦でもナチスドイツに国土深く攻め込まれた。こうした経緯もありロシアは伝統的に安保意識が強いとされ、プーチン政権は安保を重視する治安機関や軍関係者ら保守強硬派の影響力が強い。ロシアと欧州の真ん中に位置するウクライナが欧米陣営に加わるのを容認することは国民感情の面からも極めて難しい。
★なぜNATOの東方拡大をここまで警戒するのか
第一回目掲載(了)