令和6年5月1日掲載 64回生 林 義祐氏寄稿(第四十二回目掲載)
オランダ在住の 林 義祐氏(64回生・岡谷市出身)のご寄稿「オランダの生活・歌日記: 2024年4月 序文」を下記に掲載いたします。林様、ご寄稿いただきありがとうございます。
このところの予断を許さない世界情勢。林様はオランダからどう見ておられるのでしょうか。今月も掲載させていただきます。
1週間以内に第四十三回目掲載として「オランダの生活・歌日記 2024年4月」を掲載いたします。
同窓の皆様のコメントやご感想をお待ちしています。(名取宛メール: antimarck@yahoo.co.jp)
2024年 3月歌日記:序文
なぜアメリカはイスラエルをこれほどに支援するのか
< イスラエル・ハマス紛争の内面 >
【A】 経緯と現状
◆ 今回の戦闘は、2023年10月7日にハマスがイスラエルを奇襲攻撃し、約1200人を殺害、240人以上を人質にとったのが発端だ。今回、先に手を出したのはハマスだが、その後の批判は、むしろイスラエルに集中する。
イスラエルのネタニヤフ首相は即座に「ハマスをせん滅する」と宣言し、空爆と地上部隊による激しい攻撃を開始した。ハマスによる一部人質の解放を条件にした、7日間の「戦闘休止」を経て、イスラエル軍の攻撃は範囲を広げ、激しさを増した。ガザ当局によれば、12月20日時点で死者は2万人を超えた。その4割は子どもという。ガザは、瓦礫の山と化し、人口の8割が住まいを追われた。
イスラエルは奇襲を受けた直後から水、食料、燃料、医薬品といった基本的な生活必需品のガザへの搬入を厳しく制限した。ガザ市民は、最低限の食べ物や飲み水の確保にも苦労し、衛生状態が悪化する中、行き場を失った。「生き地獄」(国連幹部)に取り残されたのだ。
◆ この惨状に、中立を基本とする国連幹部や米国の友好国からも「おぞましい状況と甚大な犠牲に動揺している」(国連のグテレス事務総長)、「戦争にもルールがある。イスラエル人もパレスチナ人も、罪のない命の価値は同じだ」(カナダのトルドー首相)と異例の批判が上がった。
イスラエルが11月15日、ガザ北部最大のシファ病院の攻撃に踏み切ると、アラブ諸国を中心にイスラエルの国際人道法違反を非難する声が国際社会全体に広がった。
【B】 アメリカとイスラエルの関係
1.イスラエルの自衛権
◆ 10月18日に開かれたガザ情勢に関する安保理会合で、議長国ブラジルが調整を尽くし、提出した決議案に対し、米国が唯一、反対票を投じ、拒否権により葬り去った。
決議案は、ガザ市民の生命にかかわるような人道支援を行うため、戦闘の一時的停止を促していた。日本は賛成票を入れていた。安保理で唯一のアラブからの国だったアラブ首長国連邦(UAE)も「完璧な文言ではないが、順守されるべき原則を示した」と支持した。しかし、米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は、「イスラエルの自衛権への言及がない」と約3年ぶりに拒否権を行使したのだ。アメリカはイスラエルと特別な関係にあり、バイデン政権は「先に仕掛けたのはハマスである。イスラエルには自衛権がある」とイスラエルを擁護していた。
◆ 自衛権について、国連憲章51条が定める自衛権は、急迫性などの一定の厳格な条件下でのみ認められるものである。確かにハマスが先に仕掛けたが、「イスラエルの反撃・攻撃は明らかに均衡を欠き、過剰だ」と指摘されている。例えば、ブラジルのダネゼ大使は「人道上の大惨事を前に、安保理が機能不全に陥っていることは、国際社会のためにならない」と名指しを避けつつも、米国を批判した。棄権したロシアのネベンジャ大使は「我々は米国の偽善と二重基準を目の当たりにした」と大演説をぶった。
米国もさすがに、まずいと思ったのだろう。11月15日には、「子どもの命を救うような人道支援を目的に、イスラエルとハマスに戦闘休止を求める」という安保理決議案には反対せず、棄権にとどめた。英国、ロシアも棄権に回り、戦闘開始から5週間以上を経て、ようやく国連安保理は関連決議の採択にこぎつけた。
2.イスラエルがパレスチナに回帰した経緯
◆ 歴史を大まかに見れば、ユダヤのダビデ王がユダヤ人の国を建国したのはBC10世紀で(首都エルサレム)、その後バビロンの捕囚やその解放を経て、ローマ帝国初代皇帝オクタビアヌスのAD6年に、ローマの属州となった。ローマがキリストを処刑し(AD 30頃)のちにキリスト教を公認してから、異教には従えないユダヤ人は反発し、皇帝ネロの治世に第1次ユダヤ戦争が勃発、エルサレムは破壊されてしまった。(AD 70) ローマ帝国がその領土を最大化したころ(AD120頃)皇帝ハドリアヌスはエルサレム神殿を再建し、ユダヤ人に皇帝崇拝を強要した。更に皇帝はエルサレムをローマ風の都市に改造しようとした。その一環としてヤハウエ宮殿を破壊した。それに反発したユダヤ人はエルサレムで暴動を起こし、皇帝の逆鱗に触れ、第2次ユダヤ戦争の結果、宮殿は炎上し、ユダヤ人はエルサレムから追放となってしまった。ディアスポラの始まり(AD135 ~)で、以後ユダヤ人は中東のほかアフリカ、ロシア、欧州などに離散した。各地で迫害を受けることが多く、いつの日か故郷の地に帰るというのが悲願となった。
◆ (時計の針を一気に飛ばして)20世紀初めの第1次大戦において、英国は当時この一帯を領土としたオスマントルコと戦うにあたり、戦費調達を目的に、ユダヤ系財閥ロスチャイルド家に、「支援してくれれば、いずれパレスチナの地にユダヤ人の国の建設を後押しする」と約束した。(パレスチナに帰還したいという、ユダヤ人全体のシオニズム運動については2月歌日記で詳述している)
問題なのは、英国が同様の約束をアラブ人にもしたことだ。さらに、仏露にはこの地の分割も持ちかけた。「3枚舌外交」と言われる。近現代史におけるパレスチナ問題の直接的な根本原因は、イギリスの「三枚舌外交」によって1948年にイスラエルが現在の地に建国されたことに始まったと言える。以後、イスラエルはパレスチナ人の住んでいた地域に入植を進め、何度か和平の機運は高まったものの、イスラエルとアラブ諸国、パレスチナは現在に至るまで対立を続けてきたのである。
◆ その後、パレスチナは英国の委任統治領となり、この間、主に東欧からのユダヤ人移民が急増した。第2次大戦を経て、国連総会は1947年にはユダヤ人とアラブ人の二つの国をパレスチナの地に作り、エルサレムは国際管理下に置くという決議を採択した。 しかし、この地に住んでいるパレスチナ人は「なぜ自分たちの土地にユダヤ人の国を作らなければならないのか」と猛反発し、周辺のアラブ諸国も同調した。
1948年5月14日にイスラエルが建国を宣言すると、その翌日、ヨルダン、エジプト、シリアなどアラブ諸国がイスラエルに攻め入った。第1次中東戦争である。戦争は断続的に73年の第4次まで行われ、イスラエルは都度占領地域を拡大していった。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によれば、イスラエルの建国によって約70万人のパレスチナ人が家や土地を追われ、生計の手段を失った。シリア、ヨルダン、レバノンに逃れ、難民生活が世代を超えて続く。この3か国でUNRWAがパレスチナ難民と認定する人は現在約計336万人に上るという。
3.欧米諸国のイスラエルに対する負い目
◆ 1942年をピークに、ナチスドイツはポーランドのアウシェビッツ等でユダヤ人の徹底的大虐殺を行い約600万人のユダヤ人が犠牲になった。米国や英国はユダヤ人の強制収容施設で異常な事態が起きている情報を把握していながら米英も欧州主要国も32ヶ国が参加してユダヤ人難民救済についてフランスで会議を開いたにもかかわらず、具体的な救援の手を差し伸べなかった。各国とも自国の不況が深刻化するのを恐れ、難民の受け入れを増やそうとはしなかった。
米国ルーズベルト大統領は、ユダヤ人に冷たく、ドイツから脱出を図るユダヤ人を乗せたセントルイス号を米国に入港させようとはしなかった。
◆ 1945年にルーズベルトが急死すると、副大統領のトルーマンが大統領に昇任した。トルーマンはホロコーストへの個人的な同情があった上に、大統領再選の時はユダヤ系団体から厚い支持を受け、米国の親イスラエル政策はトルーマン大統領から始まったと言われる。トルーマンはイスラエルが1948年に建国を宣言するとそのわずか11分後に国家として承認した。アッと思わせる米国の親イスラエルぶりである。この時から米国とイスラエルは自他ともに認める「特別な関係」になったと言える。
・ 米ソ冷戦が激化すると、ソ連はエジプトなどアラブ諸国に積極的な軍事支援を行った。これに対し米国は、中東地域で唯一の民主主義国家であるイスラエルとの関係を緊密化した。イスラエルは地域における「米国の戦略的資産」となった。
・ 1979年にはイランで革命が発生し、米国に敵対するようになった。イランが核開発などを推進し、地域で力を増す中、米国にとってイスラエルの重要性は増した。
・ イスラエルは米国最大の被援助国で、1946年から2023年の間の援助総額は実に1587億ドルに上る。(約22兆円)インフレを勘案すれば、この額は倍程度になるとみられる。
・ イスラエル建国後、米国におけるイスラエル・ロビーも「ホロコーストの歴史を繰り返させない」と活動を活発化させた。米イスラエル広報委員会(AIPAC)などは豊富な資金を背景に全米有数の圧力団体に成長した。民主、共和両党に献金し、親イスラエル議員の誕生とイスラエル寄りの政策立案を後押しする。反イスラエルとみなす候補者を落選させる運動も恐れられるようになった。
・ 米国内のユダヤ系人口は約750万人。イスラエル国外では最もユダヤ系が多いが、米国全体の人口比でみれば2・4%にすぎない。だが、ユダヤ系は教育熱心で、政財界からエンタメ界まで人材を輩出する。バイデン政権の主要閣僚を見ても、ブリンケン国務、イエレン財務両長官がユダヤ系だ。
・ 財界のユダヤ系は多い。トランプ大統領(当時)が2018年5月、国際的非難の中、駐イスラエル米大使館をテルアビブからエルサレムに移転したのも、大口献金者だったユダヤ系カジノ王の願望に沿うものだったとされる。
・ さらに有権者の4人に1人とされるキリスト教福音派はパレスチナにユダヤ人国家があることを極めて重視し、親イスラエル政策を後押しする。
◆ 国際金融資本家はそのルーツからしてユダヤ系だが、彼らは1907年にFRBを設立して、個人銀行が中央銀行の役割を担うことに成功した後は、幾多の政争後、政治の表舞台には立たないようにして、金権力をもとに政権を背後から操る一大勢力となった。この勢力は当然ながらユダヤ人国家のイスラエルを支持している。影の政府とか、国家内国家とか呼ばれているが、近年インターネットが発展してからはディープステート(D/S)と呼ばれることが多くなった。その勢力がイスラエルを支持しているのだから、米国とイスラエルは「特別な関係」にあるのは当たり前のことなのである。しかしそのことは誰も黙っていて、一般国民も理解してはいなかった。ネットが発展してからもネットで発信する大手マスメディアがD/Sの影響・コントロールのもとにあるから、NYタイムスもワシントンポストも、CNN, ABC, NBS等大手メディアも政府の政策を非難したり、批判することはまずない。当たり障りのないことだけを発信するだけである。都合の悪いことは発信しない、というのが米国の現状なのだ。(マーク・レヴィン「失われた報道の自由」)
この「特別な関係」に基づいて、過去においては、国連安全保障理事会において、1979年にはイスラエルの入植に対する非難決議案で棄権したり、2011年には入植非難決議案に拒否権を行使して廃案に追い込み、2023年にはガザ地区への救援物資の供給を行うための一時停戦を求める決議案を、米国は拒否権を行使して否決している。つまりイスラエルはどんな無法なことをパレスチナにおいて実行しても米国が後ろに控えているから、極端に言えば何でも心配なく行えるような状態なのである。こうして米国(の政権)とイスラエルは常に特別な関係にあるのである。
◆ 例外的なケースとして、2020年8月にトランプ政権の仲介で「アブラハム合意」が締結され、イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)が国交正常化を遂げた。そのあとバーレーン、スーダン、モロッコ、が続いたことで中東情勢は安定に向かうかと思われた。しかしながら、同年12月に第六次ネタニヤフ政権が発足したが、この内閣は過激な極右勢力(シオニスト)との連立政権であったため状況は一変し、元に戻ってしまった。パレスチナへの入植がどんどん増えていったのである。しかもそのやり方は、武装したイスラエル軍が、突然パレスチナ人の自宅に上がり込み、強制退去させる。女性や子供が抵抗すればその場で射殺するということが日常的に行われるようになったのである。殺人であり、強盗である。こんな無法なことが許されていいものか?アラブ圏のメディアは、毎日の死傷者の数を掲載していたという。日本の交通事故死傷者の報道を思い出させる異常事態であり、イスラエルはやりたい放題で、ハマスの抗議など馬耳東風である。そんなことをしていたらいつか必ず大々的なテロ・戦闘が起こるのは目に見えていたということであるが、案の定2023年10月7日のハマス側のイスラエル侵略が起こったのである。
4.イスラエルの反撃と世界の非難
◆ 今回の戦闘は、2023年10月7日にハマスがイスラエルを奇襲攻撃し、約1200人を殺害、240人以上を人質にとったのが発端だ。今回、先に手を出したのはハマスだが、その後の批判は、むしろイスラエルに集中する。それほどイスラエルの復讐・反撃は凄まじかった。ネタニヤフ首相は「ハマスを殲滅する」と宣言し、空爆と地上部隊とで激しい攻撃を行なった。ガザは瓦礫の山と化し、人口の8割が住まいを追われた。12月末の時点で死者は2万人を超え、その4割は子供だという。
イスラエルが11月15日、ガザ北部最大のシファ病院の攻撃に踏み切ると、アラブ諸国を中心にイスラエルの国際人道法違反を非難する声が国際社会全体に広がった。
ウクライナを侵略したロシアに対しては、欧米は一般市民を殺害することで人権や人道主義という普遍価値をないがしろにしたと非難し制裁を加えた。ところがイスラエルの戦争犯罪が疑われる行動には目をつぶっていて、アラブ諸国や他の国もこれはダブル・スタンダードだと非難した。
◆ 米国の有権者にも変化がみられる。ガザでの民間人被害が拡大するにつれ、ミレニアル世代(1981~96年生まれ)やZ世代(97~2012年生まれ)がパレスチナ人に同情的になっているのだ。
ピュー・リサーチ・センターが23年11月27日から12月3日に実施した調査では、「イスラエルの対ハマス軍事作戦は行き過ぎか」との問いに「そう思う」と答えたのが65歳以上では16%だったのが、18~34歳では38%と倍以上だった。特に、民主党を支持するとした18~34歳では56%が行き過ぎとの認識を示した。
・ NPR(全米公共ラジオ)が10月11日に実施した合同世論調査でも、「米政府はイスラエル支持を公言するべきだ」と答えた人はベビーブーム世代(1946~64年生まれ)では83%だったのに、ミレニアル世代とZ世代では48%にとどまった。
・ 世界各地でも反イスラエルの抗議活動が増えている。例えば、アメリカ・ニューヨークのコロンビア大学、サンフランシスコのゴールデンゲートがデモで一時封鎖、ドイツ・ベルリン、英国・ロンドン、フランスなどで、世界41か国に上る。イスラエル国内でも起こっているのだ。オランダでもイスラエルを糾弾するデモ活動がしばしば行われており、これは過去のケースではあまり見られなかったことである。またハマス非難・イスラエル支持のデモも同時に行われたりと、これまでの抗議活動とは様相を異にしている。
・ 4月27日時点では、全米大学キャンパスで逮捕された学生数は10日間で700人以上。抗議が行われている大学は62校。2日間で1.6倍に急増している。
【C】.米国・イスラエル間の「特別な関係」は続く
1.バイデン政権がイスラエルの過剰攻撃を非難
◆ アメリカではバイデンが、4月9日のTV でイスラエルのネタニヤフ首相について、パレスチナ自治区ガザ地区で「間違い」を犯しているとの考えを表明した。バイデンは「彼(ネタニヤフ)のやっていることは間違いだと思う。彼のやり方には賛成しない」と述べた。
バイデン政権はこのところイスラエルに批判的な姿勢を強めているが、不十分だとの意見が政府関係者からも聞こえている。
バイデンはそれより前に、アメリカがイスラエルを支持し続けるかは、同国がより多くの食料と医薬品をガザに入れるかにかかっていると警告していた。
・ アメリカでは民主党内においても、政府のイスラエル支持を批判する声が高まっている。バイデンはここ数週間、イスラエルの半年にわたる軍事行動やネタニヤフについて厳しい言葉を発している。米国とイスラエルの「特別な関係」が何か変わって来たのだろうか・・? そうとは思わない。アメリカからイスラエルへの爆弾、ミサイル、弾薬などの軍事物資の供給は、途絶えることなく続いている。 4月20日には米下院イスラエルに対し約260億ドル(約4兆円)を支援する追加予算案が可決されている。これを見ても分かるようにバイデンは口では厳しいことを言っているが、これは自分への支持を上げるためのリップサービスみたいなもので、特に大統領選を控えて若年層を取り込むことに力を入れているだけのことである、と思われる。
◆ そうした時に、4月22日に「米政府は人権侵害疑惑でイスラエルIDF部隊(国防部隊)に制裁方針」.というニュースがでて驚いた。 イスラエルの同盟国アメリカはこれまで、IDF部隊への援助を停止したことはないのである。ネタニヤフは「全力で闘う」と反発、という。どう考えたらいいのだろう。特別な関係は変容しつつあるのか?バイデンは本気なのか・・・?
・ しかし、やはりこれも、政権内外の批判をかわす為のバイデン方式であろう。ネタニヤフも全力で戦う、なんて言っているが、制裁なんて具体的な内容は全然明らかではなく、反発しているうちにイランとの戦争が始まったりしたら、うやむやになってしまうのではないか。また大統領選では勝っても負けてももう制裁の話は関係なくなるだろう。つまり一時凌ぎの苦肉の策ということである。本質は変わらない。米国とイスラエルの「特別な関係」は続く、と思われる。
そう思う理由の一つは、イスラエルで1977年に首相になったベギン氏が在任中に米国での首脳会談に出向いたとき、当時上院議員であったジョー・バイデンは、「(パレスチナの)女も子供もどんどん殺してしまえ」と極端な言辞を使ったというのだ。 ベギンは帰国後に「バイデンには驚いた」とそのことを述べている。(伊藤貫氏) つまりバイデンは心底から、パレスチナにイスラエルとパレスチナ国家を建設するなどということは考えていないのだ。ただイスラエルだけが米国のために、中東の橋頭保となっていれば良いのである。それが米国の国益に資するという考えなのだろう。現に彼が大統領になってからも、中東の政策に関して、「パレスチナとイスラエルの2国併存を!」などと述べたことはただの一度もない。そんなことは全く考えていないからである。
2.この戦争が終ってからの本当の問題
◆ 今回の、ハマス・イスラエル戦争が、何らかの形をとって一応終わったとして、その後のことを考えると、ある種恐怖を感じる。
仮にイスラエルが、殲滅とはいかなくても、「もう十分だ。これでもうハマスは立ち直れないだろう」というレベルで完勝したとして、その荒廃したガザを誰が、どこの国が、どのようにガザを復興し、統治するのか。イスラエルがすべてを取り仕切ろうとするのか。米国がイニシアチブを取って何か進めることはあるのか。或いは国連が中心になって計画するのか? 全くその先の姿が描けないのである。国連なら、2国併存をあくまで進めるだろうか?とてもそんな力はないし、イスラエルの反発は必至だからこの線では進まないだろう。イスラエルが主導して戦後処理をするというのは、さらに新たな問題を作り出すことになるだろう。他のアラブ諸国が黙っているはずがないと思われるからである。中心となる骨組みが決まらぬまま、なんだかんだとやっているうちに、イランやイスラム過激派がガザに介入してくるのは目に見えている。ガザは新たなテロ・戦闘の温床になるだけだ。
3.究極の解決
◆ 究極の解決なんてあるのか?それは米国とイスラエルの「特別な関係」を終わらせることである。勿論簡単なことではないが、そうしないことにはこの問題の根本解決は得られない。米国が後ろ盾になっていないとなれば、いくらイスラエルと言えども、やりたい放題にはできない。世界中を相手に戦うことになるからである。バイデンではだめだ。先述のように彼はパレスチナやアラブ諸国を一顧だにしていないからである。トランプとてできない。トランプは福音派の支持を受けているし、身内にもユダヤ系がいる。ただトランプだと別の形でこの兇獣を慣らし、パレスチナとイスラエルの両者に恩恵を蒙らせるようなことができるかもしれない。例えば、イスラエルがガザの沖合の油田開発をするにあたって、資金や技術の調達を支援することで、イスラエルと同じくパレスチナ(ガザ)を同等に扱うことで、イスラエルを普通の、米国の同盟国にするということを可能にすることができる。イスラエルが反発したら同盟関係も破棄すると明確にすることである。これがうまく機能すれば、イスラエルも中東では自分一人で生きてはいけない、ということを理解するだろう。
・ 何はともあれ、米国のドルが基軸通貨から降りる前に行わなければならないから、急務なのである。しかしD/Sが黙っているだろうか? 当然反発する。しかしながら、トランプは大統領選の公約に 「D/S 解体」を謳っているから、D/Sはその対応だけで精一杯であろう。D/S解体と言ってもどこまでやる気なのかもわからないが・・ せいぜい官公庁の高級官僚の入れ替えぐらいで終わるかもしれない。或いはD/Sとのバトルをやっているうちにあっという間に4年の任期は終わって、元の木阿弥になるかもしれない。それは米国の終焉が近づくことだ。米国が先に覇権国の地位から退いてしまえば、イスラエルが野に放たれた兇獣になる可能性だってある。しかしその心配は、USドルが基軸通貨から転落した時には、一番大きな打撃を受けるのはFRBであり、D/Sである。つまり兇獣は一匹オオカミに変じて格段に弱い存在になっているはずだ。イスラエルと米国の「特別な関係」は消滅する、と思いたい。
[以上]
林義祐
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オランダ在住の 林 義祐氏(64回生・岡谷市出身)のご寄稿「オランダの生活・歌日記: 2024年3月」を下記に掲載いたします。
林様、今月もご寄稿ありがとうございます。同窓の皆様のコメントをお待ちします。
(名取宛メール: antimarck@yahoo.co.jp)
2024年 4月 : 歌日記
4月1日(月)
☆ 夏に向け庭のポーチに日除け張り 三角布を空中に吊る
☆ ヘーゼルの木陰でコーヒー ランチなど 夏場の庭の憩いのポーチ
4月2日(火)
☆ オランダのAOW(*)を知らずして 所得税また理解できずに
☆ オランダで企業年金は給与だと 言われ困惑我サラリーマン?
(*) Algemene Ouderdom Wet = General Old Age Act=一般老齢法
強いて日本語に訳した”一般老齢法“では意味不明だが、中身は”一般(高齢者)年金法”である
4月3日」(水)
☆ ムスカリとフリチラリア揃い咲き 前庭春の可憐なコラボ
☆ フリチラリアあちこちの庭咲いており 我が家もいつしか群落となり
4月4日(木)
☆ ジューンベリー勢いよく咲くサクラなみ 見ているだけで元気をもらう
☆ 家の前5年ほど前のサクラ苗 今や花咲き通りを覆う
4月5日(金)
☆ 日本語のタイツリソウはめでたいが 英語はよくないBleeding Heart
☆ 赤いハート形は鯛で数多し 白タイツリソウ鯛に似合わず
4月6日(土)
☆ 午後になり24℃とウナギ上り 今季最高真夏日となる
☆ 当地では夏でも20度半ばくらい 湿度も低く涼しい避暑地
4月7日(日)
☆ タンポポは春の咲きだし可愛らし 終わりは怖し空舞い侵入
☆ 庭の外いつもタンポポ見たときは 即抜く種が庭へ舞う前に
4月8日(月)
☆ 西洋のコマクサ咲いて八ヶ岳 3万株のコマクサ想う
☆ 銀扇花きれいな紫咲きそろう 花から銀扇思いもつかず
4月9日(火)
☆ 長い影二つの部屋を通って伸びる オランダ北国分かる日の出どき
☆ 日の出後の一瞬居間から玄関へ 開いたドアから影は伸び行く
4月10日(水)
☆ サハラ砂漠砂塵オランダに飛んでくる チューリップ畑に夕陽は燃える
☆ オランダの風車を入れたカマリ写真(*) 我が家近くでは撮れぬ写真なり
4月11日(木)
☆ 傘の花気がつかぬ間に咲いており 初々しさは咲いたばかりか
☆ 開花前寄り添う蕾の愛らしさ やんちゃ坊主の集まりみたい
4月12日(金)
☆ 新技術無公害水素エネルギー 光半導体日本の希望
☆ 日本には世界に冠たる技術力 確かにあると元気をもらう
4月13日(土)
☆ 妻と行くLeeuwarden病院へ 天気良くしてドライブ気分
☆ ガン検査ドクターの診断15分 病院往復2時間もかけ
4月14日(日)
☆ 娘帰国犬猫連れにやって来る 帰らないとロミ座りこみスト
☆ この家でロミは存分跳びまわり それにも増して吠えまくった日々
4月15日(月)
☆ ヤマシャクの勢いの良さ惚れ惚れす くれし人逝き形見となりし
☆ この庭はポルダーなれば粘土質 花にも土壌の好きずきがあり
4月16日(火)
☆ 今日の日は53年目記念日で お日柄も良く花々の祝い
☆ 人生はどんなに長く生きたとて 常に憂きことあるは悩まし
4月17日(水)
☆ 朝未明キツツキ食事にやって来る 早起き鳥は瓶を独り占め
☆ キッチンの窓から見えるキツツキは 人がいるとて逃げもしなくなり
4月18日(木)
☆ 高く伸び笹竹今や見苦しく 半日かけて50本ほど切る
☆ ブッシュの中びっしり笹竹生い繁り ヘッドライト点け根元から切り
4月19日(金)
☆ 朝未明Diva発作で起こされて てんやわんやの一日スタート
☆ 座薬与えしばらく安静歩き出す 5回目の発作心臓強し(⋆)
☆ 老い犬は常に妻のあと付いて回る まるで幼児と母親のよう
*獣医言うDiva老衰も心臓は16歳よりとても若いと
4月20日(土)
☆ カケス来る近頃飛来頻繁で 今日は大きなオスとカップルなり
☆ 生態を全然知らぬカケスだが 近くで営巣して欲しきもの
4月21日(日)
☆ 郊外のチューリップ畑満開も 天気が悪く人出少なし
☆ 雹が降る黒雲の下鑑賞に 一人畑を行く人のあり
4月22日(月)
☆ 森の道かつては野ウサギよく見たが ここ4・5年は一匹も見ず
☆ 野ウサギは病気の流行りで減ることも あるとは聞くがそればかりならず
☆ 以前には白兎いた森の隅 ブッシュは刈られ宅地となりて
☆ 環境の変化が理由というならば ウサギはもはや戻らぬことに
4月23日(火)
☆ 花壇の隅覆いつくしたラムソンは ぎっしり密集凄まじい繁茂
☆ 遠目には白いブルーベルに見える花 妻は毎年梳くをルールに
4月24日(水)
☆ いつの間にスズランスイセン表庭に 裏庭からいかにここに進出か
☆ 本物のスズランも咲く表庭 これもびっしり押すな押すなと
4月25日(木)
☆ リラの花青空の元清々し 北国の花の風情を見せて
☆ ハナミズキ植えて10年経つけれど 大きく伸びぬが花はきれいに
4月26日(金)
☆ モグラ塚大小合わせ7つ出る 根気よく全部木の枝打ち込み
☆ 前庭でみっともないと地中深く 20余本打ち少し様子見に
(*)前庭は道路との間にフェンスも垣根もない。モグラ塚は丸見えなので、出来るたびに杭を深く打ち込んで“モグラ追い出し作戦“
を実施している。一昨年始めたのだが、かなり効果はあった。しかし罠とは違ってモグラを他の地に追いやるだけである。
4月27日 (土) < King’s Day >
☆ 年一度王様の日とはお祭り日 町の広場はガラクタ市に
☆ 子供主体親は支援で蚤の市 人は溢れる平和の象徴
4月28日(日)
☆ 夏控え温室窓にペンキ塗る 水彩ペンキローラーで一気に
☆ オランダの夏は涼しくも温室は 30度超えて葡萄守るため
4月29日(月)
☆ 霜の朝樹間を抜けて陽が昇る 湯気立つ大地一日の始め
☆ 運河またゆらゆら昇る蒸気靄 平和そのもの大地の鼓動
4月30日(火)
☆ 成子百合オランダにては人気あり 日本の花とばかり思いて
☆ 故郷の野山でよく見た成子百合 異国の地にてお目にかかるとは
4月(続き)
☆ 今年初庭にひらひらクジャク蝶 春の陽射しに花から花へ
☆ 蝶も鳥も小動物も年毎に 消長あればよく来たと迎え
4月 (続き) <群生4種>
林義祐
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4月の庭・花のスライドショー
→ URL :https://img.gg/v9WMH9G
[以上]
掲載(了)