令和7年5月1日掲載 64回生 林 義祐氏寄稿(第六十二回目掲載)
オランダ在住の 林 義祐氏(64回生・岡谷市出身)のご寄稿「オランダの生活・歌日記: 2025年4月 序文」を下記に掲載いたします。林様、今月もご寄稿いただきありがとうございます。
賛否やことの是非はともかくとして、トランプ大統領の真の目的は何なのか?本当に難しいところと思いますが、林様の論考は多くの情報と示唆を与えてくださっています。ぜひお目通しをお願いいたします。
数日以内に第六十三回目掲載として「オランダの生活・歌日記 2025年4月」を掲載いたします。
同窓の皆様のコメントやご感想をお待ちしています。(名取宛メール: antimarck@yahoo.co.jp)
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2025 年 4 月 歌日記:序文
はじめに
4 月末日で、トランプ就任以来 100 日を迎える。この間のトランプの精力的な活動は休むことなく続き、大量の大統領令の発出や SNS による国民への直接の語りかけで米国中及び世界中に大きなうねりを巻き起こした。そのほとんどがトランプの政策にショックを受けたり、非難したり、また猛烈な反対意見を呈するものであった。 肯定的反応は殆ど見られなかった。めちゃくちゃだ、と言われ拒絶反応を示されている改革や政策はいくつもある。主なものだけでも以下のような具合である。
1)4 月 2 日に世界 185 ヶ国への相互関税をかけるということで世界中の各国首脳や金融界、企業経営者は、完全にトランプに振り回された。一率 10%の関税をかけ、更に国ごとに、米国との貿易収支の内容によって40~50%、中には100%前後(中国の場合)の追加関税をかけるというものであった。しかしその内容は二転三転し、課税対象項目が変更になったり、課税開始時期も 90 日間の延⾧になったりと、トランプ陣営の場当たり的な動きが世界をさらに混乱に陥れた。それに伴い株式市場の乱高下も激しく、連日にわたってニューストップを占める有様であった。
トランプの仕掛けた貿易戦争は、スタートは爆走であったが、米国内の有力大企業の CEO などが続々反対表明をすることで、トランプの一時の強硬な態度も腰砕け気味である。しかしその状態で現時点では各国との個別交渉が続いている。日本も今後の交渉について連日メディアはいろいろな観点から報道しており関心は高い。
2)さらにまたイーロンマスクを⾧とする DOGE(Dept. Of Gov. Efficiency) は米国政府の支出には 90%近くもの無駄な組織や歳出があるとして、一大カットの大ナタを振るいだし USAID (US Agency of International Development)は特にそのターゲットとなる省庁の縮小・解体、大規模な人員カット、歳出対象プログララムの削除、などで空前の反対運動まで引き起こしている。特に教育機関などへの援助金廃止などでは世界に名を知られたハーバード大学への援助金廃止・大学運営方針への介入、などで大きな反響を呼び、一大抵抗運動も起きている。米国内だけでも大変な抗議が起こっているが、これらはほんの一部で、外国にある組織に対する米国からの援助も突然ストップになったりして、各方面から非難と怒りの声が噴き出している。特にガザにおける難民・市民への食糧支援は、米国および西側諸国からの食糧搬送停止、職員 6,000 人の解雇等で食料備蓄は底をつき人々は明日の食糧にも事欠き苦しんでいる。
3)他にも大きな非難を浴びているのが移民問題で、国境警備・管理強化における不法移民流入防止は当然であるが、既に米国に不法に入国してこれまで定住してきている大量の不法移民を、全部その出身国へ強制送還するというものである。米国に定住している不法移民はトランプによると 1000 万~ 2000 万人ということで、これだけの人間を探し出して、母国に送還するとなると何年かかることか、子供はどうするのか?両親だけ送還して子供は残すのか?一緒に送還するのか? 子供は米国育ちだから人権問題を含めて複雑な選択となるだろう。 他にも不法移民であって犯罪者などを、「敵性外国人法」を発動し、238 人のベネズエラの犯罪組織集団「TDA」のメンバーを逮捕し、エルサルバドルの刑務所に移送して世の中に大きなショックを与えた。
刑務所内の集団収監人写真は全く異様なもので、身震いするような光景である。当然エルサルバドルの政府が米国からの資金提供を受け入れる形である。最高裁の判事が、移送差し止めの命令を出したがそれを無視したこの移送は最高裁の内部でも賛否両論があり、米国メディアでは問題となった。敵性外国人法適用とフェンタニル密輸防止は、表向きの理由とされているが、実際にはトランプが不法移民対策を強化するための象徴的・政治的な措置と見られているようだ。
また米連邦捜査局(FBI)は 4月 25 日、不法移民の逮捕逃れを手助けしようとしたとして、ウィスコンシン州ミルウォーキー郡裁判所の裁判官を公務執行妨害の疑いで逮捕した。地方裁判所の裁判官をその構内で逮捕したということで、大きなニュースとなっている。三権分立は今や風前の灯火なのか?
他にもいくつか、トランプ流のやり方で暴走している案件を箇条書きにしてみる。
4)ロシア・ウクライナ戦争の停戦を仲介しているトランプは、全くプーチン寄りで、まるでプーチンの飼い犬のようである。ウクライナ(ゼレンスキー)には何の停戦後の安全保障の保証もない。威丈高のアプローチでゼレンスキーを脅しているかのようである。
5)トランプはパレスチナ・ガザを米国が管理して、将来は国際的なリゾート地にする、パレスチナ人は出て行ってもらう、というアイデアを打ち上げた。冗談かと思ったが本気のようだ。
6)カナダを米国の 51 番目の州にしたい。グリーンランドを買いたい。拒否するなら軍事力を行使することも辞さない。というようなトンデモ発言も本気のようだ。 月末にはパナマ運河ばかりか、スエズ運河にも言及して、「パナマとスエズ運河は、米国の船舶航行の時は無料にせよ」とぶち上げた。
ここではいくつかの革命的な政策の全部についてその理由を検討する余裕はないが、特に重要と思われる貿易戦争とウクライナ・ロシア停戦問題の 2 点に絞って検討してみたい。そのあとこれらの改革がどのように落着するか(或いは決裂するか)を考えてみたい。
◆ ドナルド・トランプは、不動産業で成功し財を成したが、ビジネスの世界から政治の世界に関心を持つようになってから、数十年に渡って人々に注目されながら活動する中で、その政治姿勢は大きく変化してきた。しかし 1980 年代から一貫していることがある。それは、「関税は米国経済を活性化させる上での有効手段だ」という信念である。そして今、大統領の座を賭けて、それが正しいと示そうとしている。
確かに国家財政を安定させるためには、何も徴税権を実行するまでもなく、他の手段で国にとって有効で十分なインカム ソースで、それによって米国経済が活性化されるならそれで構わない(原則)わけである。例えばリビアのカダフィ大佐は在任中は、同国の石油資源から得られる収入で、国民は税金も教育費も無料で豊かな生活を送っていた。サウディアラビアも程度の差こそあれ、石油から得られる収入を、国民生活に還元していた。
また米国レーガン大統領は、米国民の“所得税“として払われる膨大な金額が、IRS(国税庁)に名目上所得税として納められるが、それが政府の収入にはならず、直接 FRB(個人銀行)の懐に入ってしまう仕組みを調べていて、暗殺されそうになった。レーガンは一命をとりとめたが、そのあと調査を継続することはなかった。つまり米国は全国民の所得税を税収として活用していなかったのである。何に使われたのかと言うと、FRB に引き受けてもらった国債の利払いに充てられていたのである。国民の全所得税がインカムソースとして使われずに、利息として外部(FRB)に払われていたという驚くべき状態が隠されていて、政府の関係者以外や国民にも隠されていたのである。それでも基軸通貨としてのドルが全てをカバーしてくれていて、いくら赤字になったとしても国債を発行して FRB がドル紙幣を刷り続けたから米国経済は世界最強経済国として循環していたのである。
レーガン以来、米国大統領は誰もこの問題にタッチしなくなったが、今回トランプが登場して DS(Deep State)を潰す、FRB を弱体化させると公言しているが、どこまで、何をやるかは定かではない。今後の話であろう。
◆ トランプは4 月2 日新たな関税措置を発表した。演説では同盟国、競合国、敵対国を問わず、幅
広い国々を対象にするものだった。関税を以てして、米国経済を活性化しようというものだった。演説の中で、⾧年にわたって関税を支持してきたことに言及。同時に、北米自由貿易協定
(NAFTA)のような自由貿易の取り決めや、世界貿易機関(WTO)にはトランプは批判的だったと振り返った。
また、今後数日間は「グローバリスト」や「特別な利害関係者」らの反発が起こるだろうが、それでも自分の直感を信じてほしいと、国民に要望。
「忘れてならないのは、私たちと対立する人々が過去 30 年間に出した貿易に関する予測はすべて、完全に間違っていたということだ」と述べた。
今回の世界中を巻き込んでの貿易戦争の大騒ぎは、一つには、これまでの世界の経済活動を根本から変えようとするトランプ政権の一大改革計画、と もう一つはアメリカの莫大な貿易赤字は、ドルが基軸通貨として機能しているうちはドル紙幣を刷りまくることで容認できるが、ドルの信頼が失われつつある昨今の情勢のもとでは、今のうちに貿易収支を改善すると同時にアメリカの貿易収支・経常収をできるだけ改善しなければならない、という 2 点から引き起こされていると思われる。つまり基軸通貨としてのドルを守り、アメリカの覇権を維持しようという壮大な計画のもとに、大統領の一存に近い形で、議会に諮るわけでもなく、メディアを通じて国民のコンセンサスを得るでもなく、短兵急に実行されたためだということだということである。言ってみれば大統領の “経済クーデター” みたいなもので、だから大きな反動があるのは当然のことであろう。
◆ ここで、元 USTR 代表のライトハイザー氏と元 Fox News のアンカーマンであったタッカーカールソンが対談して、なぜトランプは貿易関税で改革を図ろうとしているのか?という議論をしていて、その内容が示唆的であるので見ておきたい。対談では、トランプ政権の関税政策が主なテーマであった。内容は大きく分けて3つに絞られる。
1) “純国際投資ポジション”/米国の富の流失
ライトハイザーは“純国際投資ポジション”という指標により、近年の米国経済の変動(衰退)を説明した。
(以下)
・ アメリカ人の持つ海外資産から、外国人の持つアメリカにおける資産(主として米国債)を引いたものは 今はマイナス 23.5 兆ドルである。
・ 20 年前はこの値は 3 兆ドルであった。つまりアメリカ人は国内に十分な資産を持っていた。
・ それが過去 20 年間に、アメリカの富は海外に流失した。20 年間の間に20 兆ドルの資産が海外に流失したのである。
・ これはグローバリゼーションがアメリカに与えた最初の重いパンチであった。
2) テクノロジーの遅滞
・ 海外(特に中国)で作る方が、安くて効率が良いということでアメリカの企業は続々と中国に進出し、そこで生産したものをアメリカに輸出することによって莫大な利益を上げるようになった。
軽工業製品ばかりでなく、最新技術を駆使した開発や製造が中国にて行われるようになるのに時間はかからなかった。かくしてアメリカの製造業は空洞化し、殆ど没落してしまった。
・ 個人用 PC、半導体、レアアース、ソーラーパネル、核エネルギー関連などはかつてはアメリカがリードしていたものである。67 技術項目の内 57 技術項目が中国優位となってしまった。これらは 5 年前には中国に負けていたものは 3 種目だけであったものである。
3)中産階級の崩壊
・ 労働者の貧困と中産階級の没落は目も当てられないものだった。仕事を失い、25 年間給料が上がらず、人々は将来に対する希望も無かった。アメリカ中西部のかつては自動車などの製造業で活気が溢れていた地域や町々では、アルコール依存症が増え、覚醒剤に溺れ、挙句は自殺者が増大し、アメリカ
の平均寿命は8 年縮んだ。この地帯は“ラストベルト(Rust Belt)“と呼ばれている。この地帯では
1%の人が 50%の中産階級の資産の総和を占めている。今は貧困率35~40%、大卒比率は 20%と言われる。またRust Beltだけの問題でなく、全米の多くの地域にこの状態は広がっている。
◆ 米国の累積貿易赤字は膨大な額で現在 185 兆ドル、約 25,900 兆円=約25 京円。日本のGDP を550 兆円とすると、その 47 倍にもなる。
◆ ヘッジファンド運営会社シタデルの創業者ケン・グリフィン氏は、トランプ米大統領が引き起こした貿易戦争が、企業経営者の今後4年間の成⾧戦略を狂わせていると語った。「トランプ大統領は、問題がどこにあるのかを見抜く力に非常にたけている」と発言。「だが、動きがあまりにも素早く、場当たり的で、本来の問題を解決しようとする中で多くのものを壊してしまっている」と述べた。 グリフィン氏は、米国が自国の信用を「リスク」にさらしているとし、トランプ氏の関税政策は逆効果になりかねないと警告した。これら関税には、大半の国に対する一律 10%の基本関税と、鉄鋼・アルミニウムに対する 25%の関税が含まれる。
関税についてグリフィン氏は「誰も米国で急いで製造業を立ち上げようとはしない」と述べた。「こうした政策の揺らぎは、達成しようとする本来の目標を実際に損なうものだ」とも述べた。
グリフィン氏は「残念なことに貿易戦争は今や混乱と不合理な領域にあり、われわれはサプライチェーンについて考えることで精一杯でそれに時間を割かれている」と発言。こうした批判は多くの企業家の間では、多かれ少なかれ共通のもののようでトランプもそれを知っているから、政界や学会、メディアからの批判とは一線を画して気にしているようだ。大手著名経営者(CEO)や起業家たちからの声が厳しくなるにつれ、トランプもひと頃の勢いの良さが弱まっている感じである。
◆ 改革の反動は、相互関税・貿易戦争に反対する人たちばかりではない。貿易戦争は国家間の争いであるが、DOGE による組織解体に対する反対は国内組織の解体で、実質生活の糧を奪われる米国民とその賛同者からの反動である。米国民の約半分は民主党支持であるから、その人たちは基本的に全員トランプに反対であり、また共和党支持者もかなり反対しているとみられる。米国内のデモンストレーションは激化しており、YouTube で見る限り、人々は完全にトランプの壮大な改革なんぞは二の次で、単純にトランプの一方的な有無を言わさぬ政策実行、とマスク DOGE の前例を見ぬ規模の大きな解雇や強引なやり方に怒り、憤慨しているように見える。そしてそれはまた当然の帰結であろう。誰も喜ばない改革なのだ。 喜ぶのは提唱者本人ととその関係者だけである。
トランプの今回の措置には、アメリカが他国との貿易戦争をエスカレートさせ、関係強化を図ってきた同盟国を遠ざけてしまうリスクもある。例えば、アメリカは日本と韓国を、中国の膨張主義的野心に対する防波堤とみなしている。ところがそれら 3 カ国は最近、アメリカの貿易政策への対応で協力していくと発表した。
◆ もしトランプが成功すれば、第 2 次世界大戦の焼け跡からアメリカが中心となって築き上げた世界経済秩序を、根本から再構築することになる。トランプは、そうすることでアメリカの製造業を再建し、新たな収入源を生み出し、アメリカをより自立させるとともに、新型コロナウイルスの世界的流行の時期に大打撃をもたらしたグローバルサプライチェーンのショックから回復すると約束している。
困難な目標であり、多くの人が非現実的だと考えている。しかし、戦争を終わらせ、地理的な名称を変え、新たな領土を獲得し、連邦政府のプログラムと労働力を解体することなどによって、自分の歴史的評価を確立しようと固執しているように思われるトランプにとって、これは最大かつ最も意味のある目標だ。それは、トランプが言うところの、アメリカの「解放の日」なのだ。はっきりしているのは、2日の発表をトランプが実行に移すなら、歴史的な変化を生むことはほぼ確実だということだ。問題は、それが業績として歴史に刻まれるのか、それとも悪評として歴史に残るのかだ。
トランプは演説ではプラスの面だけを強調していたが、それは彼の措置が米経済と自らの政治的地位にもたらす可能性のある高いコストを隠すものだった。だがトランプは、その価値はあると言った。演説の最後の最後で次のように述べて、大統領としての疑念の小さな影を、無視するかのように締めくくった。
「この日が、何年か後に人々が振り返って、『彼は正しかった』と言うような日になることを願っている」
◆ トランプの希望に反して、トランプの一連の政治行動に抗議するデモが 19 日、同国各地で実行され、多くの人々が参加した。
このデモは、「50 抗議、50州、1 運動」を意味する「50501」という呼び名で知られるもの。この日は米独立戦争の開戦から 250 周年に当たり、デモはそれに合わせて開催された。デモ隊のプラカードには、トランプ政権を英国の王政に例えて、「王政は要らない!」と書かれたプラカードが多く見られた。 ホワイトハウスの前や、電気自動車(EV)大手テスラの販売店の外、多くの都市の中心部で、デモ参加者らはさまざまに怒りを表明した。中米エルサルバドルに手違いで強制送還されたキルマー・アブレゴ=ガルシア氏の帰国を求める人も多くいた
◆ 前出のグリフィン氏は、「トランプ大統領は、問題がどこにあるのかを見抜く力に非常にたけている」と発言。「だが、動きがあまりにも素早く、場当たり的で、本来の問題を解決しようとする中で多くのものを壊してしまっている」と述べたが、それは余りにも短兵急で、国民に納得させる時間も、準備もしないで、国民をいきなり新しい世界に飛びこませてしまったから起こったようなものである。
大切なのは、国民全般による、認識の「パラダイムシフト」である。つまり、「関税のない世界」から「関税のある世界」へと戻るということを分からせ、納得させればいいのだがそれを何もしないまま強行した。これでは国民も納得する筈がない。もともと世界は関税があるのが当たり前だった。米国も建国以来、1962 年まで保護主義を続けてきた。特にイギリスが世界最先端の工業国家であった時代、米国は自国の未成熟な産業を守るために高関税政策を導入し、国力を強化してきた。しかし、
1962 年のケネディ政権以降、米国も「自由貿易」を旗印に徐々に関税を撤廃していった。その結果、製造業が海外に流出し、アメリカの製造業は空洞化してしまい、競争力を失っていったのである。
現在のイギリスでも、製造業に関して非常に深刻な事態が進行している。象徴的なのは、ブリティッシュ・スティールが、国内最後の高炉を今年 5 月までに閉鎖するという決定を下したことだ。これにより、イギリス国内から鉄を生産するための最も重要な設備である高炉が完全に姿を消すことになる。
産業革命後、⾧らくイギリスの全盛期を担ってきた製鉄業にとって極めて深刻な打撃である。アメリカではこのような事態を深刻に受け止め、国内で再び鉄鋼やアルミニウムの生産を復活させるべく、製造業の再構築に取り組もうとしている。
そのためには、一定の保護政策、つまり関税政策が必要なのだ。これまでのように、関税がどんどん引き下げられ、自由貿易が当然とされた時代から、各国が自国にとって重要な産業を関税で守ることが当たり前の時代へと、国際貿易の構造が大きく変わろうとしているのである。この「パラダイム シフト」が十分に認識されていないために、多くの人々が心理的に動揺し、それが株式市場の急落を招いているということが言えるようだ。アメリカの実体経済に悪材料があるわけではまったくない。(藤井厳喜氏)
B-3 トランプ政権の経済政策が向かう先は?
◆ 確かに、高関税政策によってアメリカ国内で輸入物価の上昇は予想される。しかし、トランプ政権はすでに大規模な減税を行う方針を明言しており、議会もこの方針に全面的に協力する構えである。さらに大胆な規制緩和が進められることにより、企業活動が一段と活性化される見込みである。加えて、国内でのエネルギー生産が大幅に拡大される予定である。石油や天然ガスの採掘が活発になれば、エネルギー価格は下がり、それに伴ってインフレも収束に向かうと見込まれる。インフレが落ち着けば、連邦準備制度(FRB)も安心して金利を引き下げることができ、経済全体の好循環が期待されるということだ。。
さらに重要なのは、アメリカでは現在、AI を中心とした新たな産業革命が進行中であるという点だという。この技術革新によって、アメリカ経済はこれから「黄金時代」を迎えると、藤井厳喜氏は自信を持って言っている。こうした⾧期的な展望と経済の構造的変化を踏まえれば、今回の株価の下落は一時的な「ノイズ」に過ぎず、むしろ本質的な経済の強さを見誤るべきではないと言っている。(同上:藤井厳喜氏)
【C】 ロシア・ウクライナ戦争停戦協定
C-1 経緯
◆ 4月 21 日付毎日新聞によると トランプ政権は、ウクライナに「クリミアをロシア領に」と提案したという。その内容は、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は 20 日、トランプ政権がロシアの侵攻を受けるウクライナに対し、ロシアが実効支配するウクライナ南部クリミア半島を米政府がロシア領として承認することなどを含む戦争終結に向けた提案を行ったと報じた、というのだ。
米国政府が「クリミア半島を『ロシア領』」として承認する、というこれまでゼレンスキーを始め西側首脳の共通理解とは裏腹の内容である。停戦を仲介する米国政府が「クリミア半島を『ロシア領』」と承認するのではとんでもない提案だ。歴史を思い出しても考えられないことである。*エカテリーナ2世時代の1783年、ロシア帝国は、クリミア・ハン国を併合した。
*1917年、ロシア革命。
*1922年、ソ連誕生。
*1954年、クリミアは、ソ連ロシア共和国からソ連ウクライナ共和国に移管された。
*1991年 12 月、ソ連崩壊。 クリミアは、【 独立ウクライナ 】の領土になり、【 ロシアもそれを認めた 】。
*2008年、プーチンは、「ロシアは(クリミアも含む)ウクライナの領土を認めており、クリミア侵攻はありえない!」と語っていた。
信じられない人は証拠映像を見てほしい。ロシア語で話しているが、英語の字幕があるので、理解できるはず(北野幸伯)
*しかし、2014年3月、プーチンは約束を破ってクリミアを併合した。
*そして今、トランプは、「クリミアがロシア領である」ことを認めるという。
いつも強気なトランプのハチャメチャな言動。
*「カナダはアメリカの 51 番目の州になればいい!」
*「グリーンランドを買収する!売らないのなら、軍事力行使の可能性も否定しない!」
*「パナマ運河を取り戻す!軍事力行使の可能性も否定しない!」 (最近はスエズ運河も無料航行させろと言っている)
*「ガザは、アメリカが所有する!パレスチナ人は全員出て行ってもらう!」
などなど、超強硬な発言を繰り返しているが、唯一プーチンに対しては、「ポチ」のようにふるまっている。なぜか? 考えられるのは;
1)対中戦略で、トランプは、中国に勝つために、ロシアをアメリカ陣営に引き入れようとしている。日本、米国、ロシアで中国を封じ込めれば一番良い方法と言える。
2)トランプは、「ビジネスマン」だから、世界観が違う(?) 国際関係、地政学、戦略を全然学んだことがないトランプは、これまでの大統領とは全然違う世界観をもっている。たとえば、これまでのアメリカ大統領にとって 32 ヶ国からなる巨大軍事同盟 NATO は、最大の【 資産 】であった。ところが、ビジネスマントランプから見ると、「強いアメリカが、自腹をきって、弱い 31か国を守っている」、つまり【 最大の負債 】である。「NATO は損だ!」と見ている。同じように、トランプから見ると、「全然関係ないウクライナを支援するのは、【 損だ!】と考えているので、なるべく速く戦争を終わらせたい。だから、ロシアの要求を丸のみしている。これも、結構納得できる理由だと思われる。
◆ トランプは、「24 時間でウクライナ戦争を止める!」と豪語していた。どうやって?彼は、「ディール」するつもりはなく、最初からプーチンの要求を丸のみすることを決めていた。(北野氏) 具体的には、
*今の前線での停戦 つまりロシアは、2022年9月に一方的に併合した4州(ルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、へルソン州)の実効支配を続けることができる。
*ウクライナは NATO に加盟させない ウクライナは、「トランプは親プーチンだから仕方ない」と、この二つの条件を受け入れた。
*しかし、「停戦期間に十分休養したロシア軍が再侵攻してきたら困る」ということで、たった一つ条件を出した。
それは、「停戦後のウクライナの安全を保証してくれ」と。当然の要求である。 するとトランプは、「安全保障は欧州が提供する」といい、要はアメリカは「関係ない」と突っぱねた。
2月 27 日の「ロイター」。『ウクライナの安全保障、米国ではなく欧州が保証=トランプ大統領』
〈トランプ米大統領は26日、ロシア・ウクライナ戦争の終結に向けた合意を巡り、ウクライナに対する安全保障は米国ではなく欧州が提供すると言明した。〉
ウクライナは、クリミア、4州奪還も、NATO 加盟もあきらめた。
しかし、プーチンは、さらに要求を出してきた。
*ウクライナの非武装化
*政権交代である。
要するに、「ゼレンスキーを失脚させて、丸腰になれば停戦してやる」と。丸腰にさせて、その後どうするのか?
当然、停戦期間が終わったら、再侵攻してウクライナ全土を併合するつもりであろう。ゼレンスキーは裁判にかけられ有罪になりシベリア流刑となるかもしれない。
このように、「高めの要求」を出しているのは、プーチンだけである。
トランプは、「クリミア、4州の実効支配」も「ウクライナのNATO 非加盟」も受け入れた。
そして今回は、「クリミアをロシア領とアメリカが認めるから、停戦に合意していただけませんか?」と、プーチンさまにお伺いを立てている。
トランプは、また 185ヶ国に相互関税をかけておきながら、唯一ロシアだけは関税を免れているのだ・・! どうなっているのだ、一体?
あまりにもトランプの「ポチ化」がひどいので、一部のアメリカ上院議員は、「トランプは、ロシアの工作員だ」と確信しはじめている。
以下の動画 17 分 50秒ぐらいからを見てほしい。米国上院の軍事委員会でのやり取りである。マークリー民主党上院議員はトランプはロシアのスパイだと信じているようである。
信じられない。トランプがロシアの工作員だなんて・・ まさに陰謀論そのものだ。 しかし実際は、どうなのだろう???
ネット上では 「本物のフェイクニュース攻撃受けたトランプ、「元 KGB 工作員」情報駆け巡る」ということで、以下の内容を伝えている。
「1987 年、モスクワでトランプをリクルート 旧ソ連の諜報機関 KGB が 1987 年、モスクワ訪問中のドナルド・トランプ氏(当時 40 歳)を工作員として採用し、「クラスノフ」(Krasnov)というコードネームを与えていた――。」
2 月下旬、当時 KGB 第6 局所属諜報部員だったアルヌール・ムサエフ氏(71、現在ウィーン在住)がフェイスブックに書き込んだ告発文が全世界を駆け巡った。
米メディアは沈黙、欧州メディアは「噂の拡散」事実を伝える。しかしフェイクニュースだとしても、公の場(国会)で議論の対象となるだけでも、どこか隙がある、政治家としては信念に欠ける、ということではないだろうか? 米国民としても苦虫を噛み潰したような気分であろう。党派に関係なく。
C-2 大統領になったら即停戦させる??
◆ トランプは記者に、この発言について質問された時、「あれは唯言ってみただけだ」としらばっくれた。
彼は大統領一期の頃と違って、自分の言動に責任を持たなくなってきている。人を煙に巻くようなことを言ってシラーっとしているのだ。
ロシア・ウクライナ戦争を、大統領になったら一日で止めてみせると言われれば誰もがどのようにして? とか、トランプなら何か手を持ってるだろうから・・と期待を持たせてあわよくばそれでニュースの話題の中心になりたいと思っているかのように振舞う。冗句だと言うなら余りにも Poor joke というものだろう。
白けて顰蹙を買うだけである。
C-3 停戦仲介の反動
◆ トランプはゼレンスキーのことを、「独裁者」とか「そこそこに成功したコメディアン」とか「多額の米国の金(支援金)を持ち出した・・」とかいかにも悪意を感じるコメントをして、聞いているこちらが不愉快になってしまう。本人は正直ににコメントしているつもりかもしれないが、もしそうならボキャブラリー不足か文章力欠如人間ということだろう。これはもう人間性の問題である。プーチンに大しては絶対そんな言い方はしない。ある記者が-ゼレンスキーが独裁者ならプーチンはどうなのか?と聞いたところ、そんなことは言わない。(独裁者なんて呼ばない)と答えていた。全くもってゼレンスキーにはとことん腹を立てているか、バカにしているかのようである。一国の大統領、しかも米国大統領である。権謀術数を使わなくてもよいから、もっと太っ腹で大きなハートの持ち主であることを示してほしいものである。【D】 感想
D-1 トランプ改革が世界経済に与える影響。主要メディアの反応。
◆ 世界経済への影響を懸念
*アナリストらは、トランプ氏による貿易戦争の激化によって、アメリカで物価上昇と経済成⾧の鈍化が起こる可能性が高いと予測。一部の国については、景気後退に陥る可能性があるとしている。
*国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミストのケン・ロゴフ氏は、「彼はたった今、国際貿易システムに核爆弾を落とした」と BBC に話した。
*格付け会社フィッチ・レーティングスの米国経済調査部門トップのオルー・ソノラ氏は、今回の措置によってアメリカの関税率は 1910 年当時の水準になると予測。「これはアメリカ経済だけでなく、世界経済の状況までも一変させるものだ」、「多くの国が不況に陥るだろう」と述べた。
*米コーネル大学のグスタヴォ・フローレス=マシアス教授(政府・公共政策)は、「物価上昇がすぐに現実のものとなる可能性が高い」と指摘。トランプ氏のこの日の発表は、第 2 次世界大戦後にアメリカが創設に貢献した国際貿易システムが「崩壊しつつある」ことを意味すると述べた。
*第 2 次トランプ米政権発足から 29 日で 100 日となった。日本を含む各国への関税措置や連邦準備制度理事会(FRB)の人事を巡り方針が二転三転し、国内外で混乱が拡大している。
安全保障分野の閣僚らには情報管理に関する不祥事も発生。「米国第一」を掲げ強気の政権運営を続けるが、先行きへの不透明感が高まり、熱気に陰りも見え始めている。
*ワシントン・ポスト紙が今月実施した世論調査ではトランプ大統領の支持率は 39%で、就任直後から 6 ポイント下落。トランプは 28 日、ソーシャルメディアで、調査結果は「フェイク」だと主張。
「米国を再び偉大にするために闘い続ける」と訴えた。
*国内産業の再興を掲げるトランプ氏は 5 日、各国に10%の関税を一律に課した。さらに9 日、約 60 の国・地域を対象に貿易赤字額に応じて上乗せ関税を発動したが、翌 10 日に 90 日間停止した。米株、米ドル、米国債の「トリプル安」が影響したとみられ、一貫性のなさを露呈。145%に達した対中関税の引き下げも検討中とされる。
以上のように大方の主要メディアではトランプ改革に対する否定的な見解ばっかりである。第二次大戦後半世紀以上かけて世界が作り上げてきた、金融や経済の秩序や、相互協力、自由貿易体制を一晩でひっくり返そうというのだからその反動や怒りは大きなものである。トランプ自身も朝礼暮改になったり、共和党政権内でも不協和音が聞こえてくる。
私は 2016年トランプが大統領になったとき以来、それまでの大統領とは違う、国民の利益を考え、アメリカ第一主義で、反グローバリズムであり、伝統的なネオコンや影の政府の影響を受けない、一般ビジネス界出身の政治家ということで、この人は本当に米国のことを考えている人間だ、多少柄は悪いが、それとて自分の言葉でとことん主張ができる人間で悪くはない。と感じた。それ以来トランプに好感を持ってきたのだが、今回の相互関税による貿易戦争は、根本的な大きな構想には同意できるが、戦略的に行動しているかとなると大いに疑問がある。 物価上昇などの痛みは一時的なものであり、最終的には関税が「公正な貿易」を取り戻し、米国の製造業を救うのに役立つのではないかと見ていた。しかしこれだけの広範な内容を、世界 185 ヶ国に対して実行するには、あまりにも短兵急である。もっとじっくり計画し、段階的に進めていってもいいのではないかと思われてならない。そもそもこれだけのビッグプロジェクトを大統領令で実施するというのが不思議だ。議会に諮り、国民のコンセンサスを取り、その上で反対を押し切っていくならまだしも、いきなり世界中に向かって命令をするというのはかなり大統領権限逸脱に思えるし、国内は分断されていて半分は確実に反対するだろうから、こんな無茶苦茶な導入では、すぐに暗礁に乗り上げてしまうだろう。また、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の締結国に関税を適用した後に猶予し、相互関税を導入した後に 90 日間の猶予を行うなど、一体何をやってるんだ!と思ってしまう。最初から USMCA があるということは分かっているはずだ。
*トランプ大統領が経済を悪化させたとの回答(50%)が改善したとの回答(21%)を大きく上回った。回答者の 56%はトランプ大統領の関税政策が「度を越している」と答えた。米国が同盟国との貿易でほとんど恩恵を受けているとの回答も 68%に達した。関税政策+DOGE の省庁解体政策への批判がトランプの施策全体の支持を引き下げている、ということだろう。
しかしこの混乱はいずれ何らかの着地点を見出すだろうが、以下に述べる話には着地点はない。
私は、トランプが今年第 47代大統領に就任して以来、それまでのトランプからは理解できない不可思議な言動・行動が続出し、政治家としてのトランプの人間性にクエスチョン マークが付いてしまい、今でも疑心暗⿁なのである。それは一つは米国がガザを取得し、そこをリゾート地として有効利用する。パレスチナ人には出て行ってもらう。という構想を打ち出したことと、もう一つはロシア・ウクライナ戦争で、トランプは停戦協定を結ぶ仲介をするにあたって、ウクライナとロシア双方の条件を確認し、纏めるべきところをウクライナを無視してプーチンの言い分ばかりを聞き入れて停戦協定を結ぼうとしているのがはっきりして、ゼレンスキーが完全に無視され、ウクライナの領土はロシアに編入されるだろうという内容で、挙句にはゼレンスキーを貶めるような言葉で無視するのにショックを受けたのである。それは前述【C】章で述べたように、ウクライナもガザも存亡の危機に陥る話なので、着地点が見えないということである。経済の話はそれとは違って、最悪のケースでも何らかの着地点はあるだろうということである。
D-2 2026 年中間選挙
◆ トランプが改革を猛スピードで進めるのは、2026年の中間選挙までに良い結果を出して、選挙を有利に進めたいという思いがあると思われる。しかしそうは言っても、あまりにも反トランプ勢力が強くなってしまえば猛スピードも逆効果となってしまう。世論調査による今のトランプへの支持率は完全にレッドラインであるから、今後トランプも計画を立て直してもっと国民の支持を高めるような方策をとるのではないかと思われる。とにかく今のやり方ではだめだ。このまま行って中間選挙で負けたら、トランプの壮大な野心も腰砕けになるに違いない。
◆ 直近の G20 財務相・中央銀行総裁会議では、参加国は、トランプ米政権の関税強化政策で高まる経済の不確実性に警告を発し、開かれた貿易体制を支持した。
議⾧国の南アフリカのゴドングワーナ財務相は閉幕後の記者会見で「保護主義の否定と多国間貿易体制の支持が、広く受け入れられた」と語った。また会議ではグローバル化の恩恵について振り返りがあり、参加国は世界貿易機関(WTO)を基盤とした「開かれた、ルールに基づく、透明性のある貿易体制」を支持した。経済の不均衡を助⾧し、貿易摩擦を悪化させる政策を見直す必要があるとの指摘もあったということである。しかし共同声明の発表はなされなかった。今の状態ではどの国も確とした二者択一は出来ないのであろう。
しかしこの会議の大勢はトランプの狙いとは逆の方向に向いている。この方向性が世界においても米国においても広く理解され賛同がさらに広がると、トランプの立場は非常に厳しいものになると言わざるを得ない。中間選挙は予断を許さないものになるからだ。このことから推測すると、今年の後半には中間選挙への見通しが結構はっきりするだろう。2024 年の大統領選挙で圧勝したものの、今回のトランプの関税政策には党内でも動揺が広がっており、共和党が危機感を抱いていることからすると、簡単には共和党有利という状態にはならないだろう。
◆ 私自身についても、これまで記述してきた内容は、トランプの非を唱えるものであっても、それを以て中間選挙に対して、トランプ・共和党を支持するとか不支持とかの二択択一を鮮明にするものではない。できないからである。 実際それほど大きな地殻変動であって、たとえトランプの大構想に賛成する人であってもその実現性においてはこれだけの混乱が起きては結果的にできないのではないかと疑うはずである。とにかく前代未聞の“革命“なのだ。唯々手に汗を握って見ているしか能がないのである。
でも私はそれでよいと思っている。別に評論家でもない私の立場では、自分がどう思っているかをストレートに表せばいいのだと思う。両方の主張に耳を傾け、その上で判断する。そしてその判断が難しいものなら、「判断できない」と素直に言うしかない。今の時点で自分の判断を確然と表明できる人は、よほどの経験豊かな経済評論とか国際政治のアナリストであろう。そういう人がいるとしたら、その人は大統領なんかよりももっと優れた、洞察力や見識を持った、人類全体を救えるような人であろう。
(以上)林義祐*文中敬称略
*参考資料 藤井厳喜・北野幸伯・島田久仁彦 各氏メルマガ
BBC・Jetro 解説 張陽氏・他 YouTube
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64回生 林 義祐氏より5/6付で「2025年4月 序文」に誤りがあり、訂正するとのご連絡をいただきました。訂正内容については以下の文書にあるとのことです。
下記に掲載いたしますので、皆様、お目通しいただきますようお願いいたします。
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オランダ在住の 林 義祐氏(64回生・岡谷市出身)のご寄稿「オランダの生活・歌日記: 2025年4月」を下記に掲載いたします。
4月26日に詠まれた歌の「キングズデー」は国王のお誕生日をお祝いする祭日だそうです。国王誕生日 (オランダ) - Wikipedia
林様、今月もご寄稿ありがとうございます。同窓の皆様のコメントをお待ちします。
(名取宛メール: antimarck@yahoo.co.jp)
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2025 年 4 月:歌日記
4 月 1 日 (火)
☆ 新月を過ぎたばかりの三日月が 鋭く光る夕べの西空
☆ 満月は世の中明るく照らすけど クレッセント闇を切り裂くナイフ
4 月2日 (水)
☆ 夏時間スタートしこれから半年は 明るい季節気分も弾む
☆ 庭仕事冬の残滓は片づけた 播種育苗と次のステップに
4 月 3 日(木)
☆ 強風が一日吹き荒れパンパスは 敢えなく倒れもはやこれまで
☆ 倒れても穂先は元気輝いて 束ねて立てる二度目の勤め
4 月 4 日(金)
☆ 運河先広大農地をトラクター 2 台が終日作業するが見え
☆ 夏にては居間から見える楽しみが 青々繁る緑の絨毯
4 月 5 日(土)
☆ 辛夷咲くモクレンと違う粋のよさ 生気溢れる若者のよう
☆ 前隣り通るその都度見入りたリ 我が家にも欲しい白い貴公子
4 月 6 日(日)
☆ 青い空白いモクレンコラボして 春の佳き日にコンチェルト奏で
☆ 下枝は地面に近く背丈ほど 花びらしっとり深い落ち着き
* 右側街灯手前から数えて 5 番目が我が家の位置。
4 月 7 日(月)
☆ 冬終わり芝刈り機また出番となる 研ぎに出したるマシン戻り来る
☆ 先月来雨の降らぬ日が続いており 土は白茶け芝はボコボコに
☆ 予報ではまだ 2 週間は雨降らず このままいけば芝はピンチに
4 月 8 日(火)
☆ パンパスにロープ三重に巻き葉を剪定 一人でワーク他に術無く
☆ 必要なのはロープ巻きのコツと根気だけ フルに作業し二日もかかり
L. 剪定前 ロープを下から三重に巻く R. 作業後
4 月 9 日(水)
☆ 楓の木花壇に育つを移植する どこに移すか さんざん思案
☆ 日本から持ってきた楓の 2 代目で 捨てたくはなく妻も決めかね
4 月 10 日(木)
☆ 花壇用園芸花の廉売で 妻と二人で 5 種類も買い
☆ スパニッシュマーガレット今年も買いもとめ 食卓先でお相伴務め
4 月 11 日(土)
☆ 早速にハンギングバスケット取り掛かる ああだこうだと注文多く
☆ バスケット吊り下げるチェーン足りずして 手製の工夫遜色なかり
4 月 12 日(土)
☆ コンポスト枠を支える柱折れ 取り換えるのに無い知恵絞る
☆ 50 キロの敷石 2 枚動かすに 腕力衰え痛切に知り
*造築後 10 年。どうしても土中の柱が腐る。
4 月 13 日(日)
☆ 裏庭のガレージドア板壊れ 修理とペイントしばし精を出し
☆ ドア裏の板も今にも壊れそう 難しい場所で思案は続く
4 月 14日(月)
☆ 夏に向けぺブルポーチに日除け張る 卓や椅子洗いズボンびっしょり
☆ 夏の時日除けのもとで飲むコーヒー 思えば涼風今にも吹きそう
4 月 15 日(火)
☆ 楓の木日本楓で人気あり 2 代目苗が近所に養子に
☆ この苗は落ちた種から育ちしを ひょんなことから望まれたもの
4 月 16 日(水)
☆ アケビ咲く高い銀杏の上までも 毎年咲くが実は生らずして
☆ 原因は自家不和合性もう 1 本の アケビ必要手配できずに
☆ 自家受粉させようといつも思うけど 季節の過ぎるは電光石火
4 月 17 日(木)
☆ 勿忘草手間もかからず庭中に 群叢で咲く春の定番
☆ この花はグランドカバーの位置づけも 主役に負けぬ庭のまとめ役
4 月 18 日(金)
☆ ムスカリの花は少しく減少し このまま行けば絶える恐れあり
☆ 日本ではあまり見かけぬムスカリも 当地は多くあまりケアせずに
4 月 19 日(土)
☆ ダスローク今年も元気大群叢 去年減らした箇所元どおりに
☆ 今年さらに半分ほどは減らしたい さもなくば庭乗っ取られ
4 月 20 日(日)
☆ 春の庭色とりどりに咲きこぼれ 暖かい陽射し行く春惜しむ
☆ タイツリソウ無垢にして白いその花はブロークンハートの名前に合わず
4 月 21 日(月)
☆ 郊外のチューリップ畑咲きだして オランダの春まさにピークなり
☆ チューリップ畑の先端靄の中 天と地平が混然となる
☆ 花の畝ウネっているを始めて見る 地形の理由か?見ていて飽きず
*畝作りは機械化されているので、曲がり畝を作るのは難しいだろうと思われる。たとえ、畑の地形が 歪なものであっても、直線の畝だけで仕上げることは、曲り畝より遥かに容易だろう。オーナーは遊び心のある人でチャレンジしたのではないか?
4 月 22 日(火)
☆ ブルーベル青・白・ピンク様々に 春を寿ぐ一大集団
☆ ピンク色今年初めて見たもので 自然交配で来年いかに
4 月 23 日(水)
☆ ヤマシャクの勢いの良さ天を衝く 一日一センチは伸びているよう
☆ 芝刈り後モグラ撃退器ぽつねんと 昼も夜間も使命を果たし
4 月 24 日(木)
☆ ヒメリンゴ今年もドッと満艦飾 小鳥たち冬になってもこれがある
☆ プリミュラは可憐な顔した侵略者 ジキタリス駆逐我が世の春謳歌
4 月 25 日(金)
☆ 当地にはメジロ・ウグイスはいないけれど コマドリ毎日来て慰められ
☆ 我が家の庭 テリトリーにしてるコマドリは いつも独りでパートナーいつ来るや
4 月 26 日(土)
☆ キングスデイ人々集う町広場 オランダ国王国民に好かれ
☆ 天候に恵まれ賑わう蚤の市 老いも若きも平和を享受
4 月 27 日(日)
☆ 壁掛けのポットにパンジーよく咲いて 我が世の春を謳歌しており
☆ 終わり花朝一で摘むが日課なり 摘めば摘むほど花はよく咲く
4 月 28 日(月)<夜の写真>
☆ 群生で咲くアケビ花夕べには すっきり素敵な芳香漂う
☆ 散歩中気づいてアケビ開いてるか 確かめたくて写真を撮りぬ
⋆アケビびっしりで、親木(銀杏)の幹が埋もれている。やはりアケビは閉じていなく、開いて芳香を放っていた。
4 月 29 日(火)
☆ アンブレラプラントただに茎伸びて 花だけ咲かす変りものなり
☆ この花はいつごろ庭に来たものか 覚えなくしてひっそりと咲く
*左から: 硬い花芽が卵のよう。→ 花芽が開きだした。 → 満開(右) 花期は 1 週間ぐらい
4 月 30 日(水)
☆ イースターの休暇が過ぎて春連休 人々旅行に周辺国へ
☆ 我が家では娘ヨルダン出張で 犬猫預かり毎日散歩
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◆ 4月庭・内外の写真
・スライドショー 写真:55 枚 URL→ https://img.gg/ziyxt9M
・2025 年 4 月スライドショー花・庭等の名
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