雑記4
▼本サイトでの検証は名誉棄損に当たらないと考えます。→ 雑記1
●ネットで勧誘する海外の詐欺グループによる投資詐欺に遭った場合の対処について
まず要点をまとめておきます。
1. 詐欺グループの特定や騙し取られたお金を取り戻すことは残念ながら極めて困難。
2. 警察の相談窓口で対処を相談して相談記録を残すことは二次被害を防ぐなどの意味で重要。被害回復型の詐欺にも要注意。
3. お金を取り戻せるといった広告を出している弁護士事務所などに頼ってもお金を取り戻せる可能性はほぼ期待できない。手付金を失うだけになる事例が多く推奨できない。
これら3つの項目に分けて順に説明していきます。
1. 詐欺グループの特定や騙し取られたお金を取り戻すことは残念ながら極めて困難。
本サイトで検証している仮想通貨関連のサイトや姉妹サイトで検証しているFX業者などのサイトは海外の詐欺グループによる詐欺サイトである場合が多く、非常に多くの被害者が出ているようです。そして残念ながら海外の詐欺グループによりネットで勧誘されて投資詐欺に遭ってしまうとお金を取り戻すのは極めて困難です。但し本サイトの「検証63」以降や姉妹サイトの「検証13」以降で検証している一連の中国系と思われる詐欺グループによる詐欺では入金額が比較的少なく、10万円程度ぐらいまでの場合には最初は普通に出金出来る場合もあるようです。これは最初は少額の出金には応じて信頼出来る投資先であると思い込ませてさらに大きな金額を引き出す為の詐欺グループの戦略と思われ、実際に一度は出金できたことで信頼してしまい、大きな被害に繋がってしまう場合もあるようです。
しかしこの段階を過ぎてしまうとお金を取り戻せる可能性は殆ど残されていません。出金するには税金とか保証金とか証拠金といった意味不明の名目での追加入金が必要と言われたらそれは事実上の出金拒否です。その時点で出金は見込めません。追加入金に応じたところでまた別の名目でのさらなる追加入金を要求されるか、連絡が途絶えてしまうということになるのがお決まりのコースです。追加入金を要求されたら絶対に応じてはいけません。
なぜお金を取り戻すのが困難なのかと言えばまず詐欺グループを特定できるような情報は殆ど残されていない場合が多いからです。例えば入金方法もお金に困ったような人や日本で技能実習生などとして働いていた外国人労働者から買い取ってきた銀行口座を指定して入金させるという手口あるいは匿名性の高い仮想通貨建ての送金を指定してくるというのがパターンになっています。いずれもお金の流れを追うことは極めて困難です。そもそも日本の警察の捜査権も海外には及びませんから詐欺グループが海外所在となれば捜査できることもその時点で限定されてしまいます。そして詐欺グループが特定できなければお金を取り戻せません。特に本サイトの「検証63」や姉妹サイトの「検証13」で説明した中国系と思われる詐欺グループについては非常に巨大な組織になっているようで以下のような記事が出ています。
▼ロマンス詐欺関与の5万人超の中国人が逮捕。金融犯罪の拠点もみえてきた!みえてくる返金の道筋に課題も (多田文明 Yahooニュース)
この詐欺は海外ではPig Butchering Scam (豚の屠殺詐欺) と呼ばれていますが少なくとも万単位の中国人が騙されてあるいは自ら高収入を得る為にミャンマーにある詐欺グループの拠点で働かされているという内容の報道になっています。ミャンマーは事実上の内戦状態にあるような国で法的な取り締まりも充分ではないということもあって詐欺グループの拠点になっているのかもしれません。中国政府も詐欺組織への対処を試みているようですが撲滅は困難という状況のようです。
またミャンマーではなく、タイで日本人を標的とした中国系と思われる詐欺グループの拠点が摘発されて報道されたこともあります。
▼【独自】狙われる日本人…被害者激白「まさかタイで」 国際“ロマンス詐欺”集団摘発 (2022年7月24日) (ANNnewsCH、Youtube動画)
摘発されたのは中国人20人、タイ人4人ということですが、これは勧誘役の拠点であり、いわば詐欺組織の末端と思われます。首謀者が摘発されなければ詐欺は新たな勧誘拠点、新たな勧誘役を用意してまた続くでしょうし、お金を取り戻すことも困難と考えられます。
2024年4月にもやはりタイで詐欺グループの拠点が摘発されたというニュースが出てきました。
▼【独自】中国人らの投資詐欺摘発 タイ拠点に専門家の名前使い日本人を標的(2024年4月7日) (ANNnewsCH)
▼翻訳機能を使い日本人相手に投資詐欺 タイ拠点の詐欺グループを摘発 中国人らが主導か|TBS NEWS DIG (TBS NEWS DIG Powered by JNN)
▼日本人がターゲット!有名人をかたる投資詐欺グループ初摘発か 日本人はだまされやすいとみられている! (多田文明 Yahooニュース)
中国人とタイ人からなる詐欺グループ63人が拘束されたということですが、これも勧誘役の為の拠点の1つが摘発されただけで詐欺グループの壊滅には程遠い可能性が高いです。
さらに同種の詐欺は日本以外の国でも多くの被害者を出しているようです。
▼「豚のぶった切り詐欺」被害、世界で11兆円以上-米大教授らが調査 (2023年3月1日 Bloomberg)
この記事ではアメリカの大学教授らが発表した暗号資産 (仮想通貨)の流れを追跡してPig Butchering Scam (豚の屠殺詐欺) と呼ばれている詐欺の被害額が世界で750億円 (約11兆円) にもなっているという研究結果を報じています。しかし日本における同じグループによると思われる詐欺では本サイトで取り上げた多数の事例を見ると仮想通貨建ての送金だけでなく、お金に困った人などから買ってきた銀行口座に入金させるという手口でも集金が行われていますからこれでもまだ過小な推測なのかもしれません。いずれにしろ少なくとも11兆円おそらくはそれ以上という巨額の被害が本当に出ているのだとすればやはり恐ろしいことです。
2. 警察の相談窓口で対処を相談して相談記録を残すことは二次被害を防ぐなどの意味で重要。被害回復型の詐欺にも要注意。
お金を取り戻すことが困難である理由を説明しましたが、お金を取り戻すことが困難であっても放置してよいということにはなりません。こうした詐欺では個人情報や身分証明書を提出を要求される場合が多く、それらが他の人の勧誘などに悪用されたという例が報告されています。提出してしまった個人情報や身分証明書が他の人の勧誘に使われたりすれば当然詐欺に加担していることを疑われかねません。そうした二次被害を防ぐ為に警察の相談窓口で対処を相談して相談記録を残すことを推奨します。途中で詐欺の可能性に気がついて金銭的な被害を免れることが出来た場合でも個人情報や身分証明書を提出してしまっているならばやはり警察で相談記録を残すべきです。
勧誘された経緯を説明できるようにスクリーンショットなどを確保した上で警察相談専用電話 「#9110」番に連絡してください。金銭的な被害がなかった場合には警察ではなく、消費生活センターでも同様に相談記録を残すことで二次被害を防ぐ助けになるかもしれません。
さらに入金方法が日本国内の銀行のおそらく個人名義の口座を指定されて入金するというパターンだった場合には当該の口座を凍結出来ないかについても警察で相談してください。何らかの事情があって口座にお金が残っている場合も稀にあるようですからお金を取り戻すことに繋がる可能性がありますし、口座を凍結出来れば被害の拡大を防ぐことに繋がる可能性もあります。
それから提出してしまった個人情報の中にマイナンバーが含まれているならば不正に使用される可能性もありますから居住している自治体でマイナンバーの変更を申請するべきと思われます。変更を申請する為には警察でマイナンバーが流出して悪用される可能性があることを認めてもらう必要があるようです。詳しい手続きの手段は以下を参考に地元自治体で確認するようにしてください。
▼マイナンバーを変更するには (東京都江東区)
▼マイナンバーの変更手続き (東京都府中市)
尚、2024年1月になって事例が確認されたのですが詐欺グループが被害者を二重に騙す被害回復型の詐欺を狙っている可能性が高いようです。以下は以前に姉妹サイトの「検証56」で検証していたPOIPEXというサイトで被害を受けた被害者からYahoo知恵袋に投稿された質問です。
シンガポールのモリソンフォスターという法律事務所の宮内あるいは同じモリソンフォスター法律事務所のシンガポール支店に所属する内田俊光と名乗る人物から電話が掛かってきて詐欺グループが摘発されて貴方が被害を受けていたことが確認されたので返金するが、その為に10%の供託金が必要であるという説明を受けたようです。そしてモリソンフォスター法律事務所 (https://www.mofo.jp/index.html) は実在の法律事務所で宮内望というアソシエイト、内田光俊という弁護士がパートナーとして在籍しているようです。そして内田光俊弁護士の所属はシンガポール事務所ではなく、東京事務所で間違いないようです。電話連絡してきた人物はシンガポール支店の内田光俊を名乗っていたようですからやはりこれは実在の弁護士の名前を語った詐欺勧誘を疑わざるを得ません。そしてモリソンフォスター法律事務所からは2024年2月6日付で以下に示す警告記事が出ました。
連絡先や被害額を知っているということからこれは同じ詐欺グループが被害者からさらにお金を引き出そうとしている可能性が高いように思われます。そしてこの電話を掛けてきた電話番号 (050-6871-4967) を調べてみると「怪しい番号」という口コミ情報サイトで以下の3件の投稿を見つけました。
短期間で複数の同様の事例が出てきていることからかなり広範に同様の手口で被害者からさらにお金を引き出そうとする被害回復型と呼ばれる手口の詐欺が行われている疑いが濃厚です。電話番号は最近まで取得に契約者の本人確認が義務付けられておらず、特殊詐欺などに使われることが多い050局番のIP電話の番号であったことも詐欺の疑いと矛盾しません。
仮に詐欺グループが摘発されても被害額全額が回収されて戻ってくることは有り得ません。別の弁護士事務所や別の弁護士の名前を語った同様の詐欺を狙った電話が掛かってくることも予想されます。厳重な注意が必要です。
さらに中国系と思われる詐欺グループによるものかどうか現時点で判然としないのですが、弁護士事務所ではなく、キプロスの金融ライセンスを管理しているCyprus Securities and Exchange Commission (CySEC、キプロス証券取引委員会 https://www.cysec.gov.cy/home/) の名を語って詐欺被害者からお金を巻き上げようとする被害回復型の詐欺が行われているようです。この詐欺についても以下のYahoo知恵袋に出てきた質問投稿から知ることになりました。
CySEC (キプロス証券取引委員会) 所属を名乗る人物から質問の投稿者が以前に詐欺に遭って失ったお金を返金できるという電話が掛かってきたようです。実際にこの質問の投稿者は詐欺に遭ったことがあり、詐欺グループが逮捕されたというのですが、信用は出来ずにこの質問を投稿したようです。
この質問投稿を見ての個人的な意見としてもCySEC (キプロス証券取引委員会) は日本の金融庁に相当する金融ライセンスの管理を行う組織であり、詐欺グループを検挙してお金を回収して被害者に返還するといった業務を行うかどうか極めて疑問です。そこで検索してみるとCySEC (キプロス証券取引委員会) のサイトの偽サイトが多数確認されているとか、CySECの職員を名乗ったおそらくは詐欺師と思われる人物が接触してくるといった事例が報告されているようで当のCySECのサイト (https://www.cysec.gov.cy/home/) に5件の警告が出ていることが分かりました。
▼Fake websites impersonating CySEC detected (CySECを装った偽のウェブサイトが確認されました) (2022年11月22日付)
▼Impersonation of CySEC representatives (CySEC職員へのなりすまし) (2022年11月22日付)
▼Impersonation of CySEC representatives (CySEC職員へのなりすまし) (2023年5月18日付)
▼Individuals impersonating CySEC representatives (CySEC職員へのなりすまし) (2023年9月7日付)
▼Individuals impersonating CySEC representatives (CySEC職員へのなりすまし) (2023年10月10日付)
最後の2023年10月10日付の警告を以下に示します。
この文章をGoogle翻訳で日本語訳した結果を以下に示します。
>重要な警告
>CySEC 代表者になりすます個人
>キプロス証券取引委員会 (CySEC) は、2023 年 9 月 7 日の警告を受けて、ソーシャル メディア プラットフォーム Instagram でユーザー名「cysec_cy」の偽アカウントを特定したことを発表します。このアカウントは悪意を持って作成されており、CySEC に属していません。この Instagram アカウントを通じて、CySEC の役員または代表者を装った人物が、CySEC の監督下にある企業に関連する偽の補償請求の解決と引き換えに投資家に手数料を請求しています。上記に加えて、CySEC は次の点を強調します。
>• CySEC は電話で連絡したり、一方的に通信を送信したりすることはなく、財務データやその他の個人データを要求することもありません。
>• 投資家は、何らかの行動を起こす前に、info@cysec.gov.cy に連絡して、通信の真正性を確認するよう CySEC に要請します。 • CySEC からの本物のメールには、gov.cy で終わるアドレスが含まれていますが、詐欺師がこれらを複製したケースもあります。
>• CySEC には、個人投資家からいかなる目的でも手数料を徴収する権限や管轄権はなく、代理で手数料を徴収する人を任命する権限もありません。
>• CySEC は、集団訴訟、補償制度、自然人または法人、または公的機関または民間機関間の支払いを承認、検証、監視しておらず、いかなる形でも関与していません。
>• CySEC は、同様のケースが発生した場合に複数の公開警告を発行しており、次の Web サイトで公開されています: https://www.cysec.gov.cy/en-GB/public-info/warnings/cysec/
>• CySEC の投資家向け詐欺の見分け方ガイドは、こちらでご覧いただけます - キプロス証券取引委員会 | CYSEC ガイド: 詐欺を回避する方法
>CySEC は、CySEC からの迷惑な通信には注意を払い、上記のいずれかまたはすべて、または同様のことを主張する人に金銭を渡さないように一般市民に呼びかけています。
>ニコシア、2023 年 10 月 10 日
この警告文からもCySECの職員、関係者を名乗る人物が電話やメールで詐欺の被害者に連絡してきて補償請求が可能であると称して手数料を請求しているということが分かります。そしてCySECの職員、関係者が個人に電話やメールアドレスで連絡することは決してないとして注意を呼び掛けています。またCySECのアカウントと称してInstagramに詐欺グループによると思われるアカウント (cysec_cy) を特定したこと (現在このアカウントは削除されている模様)、本物のCySECからのメールは「gov.cy」で終わるメールアドレスを使っているはずだが、ニセのCySECから送られてくるメールのアドレスでも同じドメイン名が使われていることもあることなどが記されています。
さらに以下はニュージーランドのFinancial Markets Authority (金融市場局 https://www.fma.govt.nz/consumer/) のサイトで見つけた2023年12月14日付の警告文と2024年2月のアップデートです。
2023年12月付の警告文の部分についてはCySEC職員、関係者を名乗って接触があったら注意するべきとあってCySECがCySECのニセサイトが登場して詐欺の被害者に電話やメールで連絡があり、お金を取り戻す為の手数料を請求したり、個人データーを要求する「recovery scam (被害回復型の詐欺)」が行われているということを警告しています。基本的な内容はCySECからの警告と同じです。
そして2024年2月の更新として付け加えられた部分にはCySECの職員や関係者が(詐欺被害者)個人に電話やメールで接触することは絶対にないといったCySECからの警告と同様の内容に加えて確認されているCySECのニセサイトや被害回復型の詐欺の勧誘に使われているメールアドレスの情報が示されています。
▼ニセのCySECサイト
www.cysec-regulatory.com; www.Cysecs.group; www.cysecgov.com; www.cysecsupport.online; www.cysec-support.online; www.cysecgov.com
▼ニセのCySECからの連絡に使われているメールアドレス
contact@cysecs.group; ThomasBa@cysec.si; regina.bosko@cysec.financial; ThomasBa@cysec.fo; MichaelKy@cysec.fo; ThomasAn@cysec.ec; emmarocall@cysec.icu; JamesCar@cysec.fo; JamesCar@cysec.si; olivia.parp@cysec.financial; DanielRa@cysec.fo; JessicaVe@cysec.ec; JessicaVe@cysec.fo; jamesdewinter@cysec.st; AndreasTh@cysec.si; MilicaNi@cysec.si; DanielR@cysec.fo; CameronKi@cysec.ec; LeeHi@cysec.ec; EnzoCa@cysec.fo; MarkMa@cysec.ec; support@coinbasemy.com; ScottWa@cysec.ec; GeorgeDi@cysec.ec; GeorgeDi@cysec.fo; GeorgeDi@cysec.si; info@cysec-gov.net; ElizaEl@cysec.ec; KamillaRu@cysec.ce; AntonisVo@cysec.ac.
そして以下がこの警告で取り上げられているCySECのニセサイトの1つ (https://www.cysecgov.com/) の画像です。
また以下もニュージーランドのFinancial Markets Authority (金融市場局) のリストには含まれていませんが画像検索で見つかってきたニセモノを思われるサイトです。
▼CySECのニセサイト (https://www.cysecgov.cc/)
一方で以下が本物のCySECのサイト (https://www.cysec.gov.cy/en-GB/home/) の画像です。
一見しただけでは気が付かないであろう程、2つのニセサイトは本物のCySECのサイトに似ています。しかしよく見ると「LATEST BOARD DECISIONS (最新の委員会の決定)」などの項目に並んでいる記事の日付が本物のサイトでは2024年8月の最新の日付になっているのに対し、1つ目のニセサイト (https://www.cysecgov.com/) では2020年10月30日の記事が最新、2つ目のニセサイト (https://www.cysecgov.cc/) では2023年8月8日の記事が最新になっています。ニセサイトではこうした記事が更新されていないのだと思われます。また本物のサイトでは個々の記事をクリックすればそれぞれ記事の内容を見ることが出来ますが、2つのニセサイトでは記事をクリックしてもリンク先が存在しないようで、記事を読むことが出来ません。
既に書いたようにこれらCySECのニセサイトが本サイトで多数取り上げている中国系と思われる詐欺グループによる詐欺サイトと組織的に結びついているかどうかは明確ではありません。しかしこうした投資詐欺に遭ってしまった場合には、特に個人情報が流出している場合には二次被害の可能性は常に警戒しておくべきです。
さらにキプロスのCySECではなく、イギリスのFinancial Conduct Authority (FCA、金融行動監視機構 https://www.fca.org.uk/) を名乗っての被害回復型の詐欺ではないかと思われる事例についてやはりYahoo知恵袋に質問が出てきました。
この質問の投稿者は仮想通貨が行方不明になった経験があるということですが、どういう状況で仮想通貨行方不明になったのかはよく分かりません。とにかくイギリスのFCAを名乗る人物から連絡があって1000万円の凍結資産を発見して貴方に銀行振込で返還出来るがその為に銀行口座の残高を330万円にするように指示されたようです。
そこで調べてみると当のFCAのサイトにFCAを名乗って情報を聞き出そうとする事例が確認されているという警告が出ていることが分かりました。以下に警告の原文とGoogle翻訳による日本語訳を示します。
FCAを名乗る人物はメール、電話あるいは郵便で接触してくるということですが、メールの場合にはFCAの正規のメールアドレス (メールアドレスのドメイン名が「fca.org.uk 」) 以外のメールアドレスでFCAを自称している場合が多数確認されているとして注意を呼び掛けています。銀行口座に330万円の残高を積むように指示し、口座情報を聞き出そうとして次のステップがどうなるのか予測が難しいですが、極めて危険としか思えません。
3. お金を取り戻せるといった広告を出している弁護士事務所などに頼ってもお金を取り戻せる可能性はほぼ期待できない。手付金を失うだけになる事例が多く推奨できない。
本項で説明しているような海外の詐欺グループによると思われる詐欺について検索すると簡単にお金を取り戻せる、取り戻した実績があるなどと主張する弁護士事務所などの広告が多数出てきます。しかし既に説明したように詐欺グループの特定さえも困難であるのが現実なのにお金を取り戻した実績があるといった主張が事実であるかどうかは極めて疑わしく、弁護士会などでも問題になっているのが現状です。例えば以下は東京弁護士会から出ている注意喚起です。
▼国際ロマンス詐欺案件を取り扱う弁護士業務広告の注意点 (東京弁護士会)
架空の事例が表示されているとか現実として充分な回収が出来るケースが少数であるにも関わらず、被害額の多くを回収できるような説明をしているといったケースは違法性が疑われますし、非常に悪質と感じます。さらに東京弁護士会からは以下の続編も出ています。
▼国際ロマンス詐欺案件を取り扱う弁護士業務広告の注意点2 (東京弁護士会)
そして良心的とは言い難い弁護士による被害を避ける為の指摘が出てきます。
要するに弁護士に依頼するならば直接弁護士と面談し、説明を受けて納得した上で契約するべきということです。弁護士資格が必要な被害者との面談に弁護士が参加しないのは非弁行為と呼ばれ、違法性があります。医師免許を持っていない人物が医療行為を行ったり、教員免許を持っていない人物が教職を務めたりするのが違法であるのと同じです。
弁護士から直接説明を受ければそうした非弁行為は避けられるという主張なのですが、個人的には詐欺グループの特定が困難な海外の詐欺グループによる詐欺ではお金を取り戻せる可能性がまずありませんから弁護士に依頼するのは無駄だと思います。お金を取り戻せる可能性があるのは入金方法が日本国内の銀行の口座に入金することを指示されるというパターンで速やかに口座を凍結出来て運よくお金が口座に残っていた場合だけと考えられます。そして銀行口座の凍結ならば弁護士に依頼しなくても警察で、しかも無料で可能です。弁護士に依頼する意味を見出せません。
他の弁護士会から出ている注意喚起も幾つか引用しておきます。
▼国際ロマンス詐欺その他投資詐欺案件の依頼にあたってのご注意 (第二東京弁護士会)
▼国際ロマンス詐欺や投資詐欺等を取り扱う弁護士の広告にご注意ください! (大阪弁護士会)
そして実際に弁護士に手付金を払って契約したのに放置されたといった事例に関して記事も出ています。
▼国際ロマンス詐欺、甘くない2次被害…弁護士「必ず回収できる」と着手金請求 (読売新聞 2023年11月22日付)
また違法な非弁行為 (名義貸し) を行っていた弁護士が懲戒請求を受けたり、逮捕されたという事例も出てきました。
▼ロマンス詐欺救済をうたい、非弁の疑い 大阪弁護士会が懲戒請求 (朝日新聞デジタル 2023年12月20日付)
▼ロマンス詐欺の被害金回収うたい「非弁提携」疑い、38歳弁護士を懲戒請求…1800人から9億円受領か (読売新聞 2023年12月20日付)
▼「ロマンス詐欺の被害金回収」かたり1億円集めたか、名義貸した弁護士ら4人を逮捕 (読売新聞 2023年12月5日付)
▼国際ロマンス詐欺「被害金の回収」を謳って着手金を受け取る“悪徳弁護士”の実態 専門家は「被害金が戻ってくるケースはほぼない」 (NEWSポストセブン/Yahooニュース 2023年12月30日付)
▼標的は「国際ロマンス詐欺」被害者 財産回収うたう悪徳弁護士事務所の実態 (2024年1月26日 産経新聞)
逮捕された弁護士については所属していた東京弁護士会の会長からの談話が発表されています。
国内の詐欺グループによる詐欺ならば、特に詐欺グループを特定できるだけの情報があるならともかく、詐欺グループの特定が困難である海外の詐欺グループによる詐欺の場合はこうした事例からも弁護士に依頼するのは手付金を失うだけに終わる可能性が非常に高いものと考えざるを得ません。弁護士事務所などにお金の回収を安易に依頼することはお勧めしません。もし既に弁護士に依頼してしまい、問題があると思われるケースについてはまずは当該弁護士の所属する弁護士会に対処を相談されることをお勧めします。
さらに弁護士以外でもお金を取り戻すなどと同様の勧誘を行っていると思われる事例も確認されています。例えば以下はYahoo知恵袋に出てきた質問です。
仮想通貨を騙し取られる詐欺に遭った質問者がTwitterで「5万円のサーバー料金」を払えばお金を取り戻すと主張する人物と知り合ったということですが、やはり詐欺としか思えません。こうした詐欺被害に遭って心が弱っている人の窮地に付け込んでお金を騙し取ろうとする詐欺は極めて悪質と感じます。