検証23

このページではトークンペイ、REGトークン、MOVEトークン、ファウンテンコネクト、ロード、ユニゾンという6つの仮想通貨に関して検証を行います。これらの中で最初のトークンペイ以外の5つは同じグループに属する案件の可能性が濃厚です。そしてクリプトクリック社はそれらの5つの案件に関係するグループの一部である可能性があります。

●TokenPay (トークンペイ www.tokenpay.com/)
●REGAIN [REGトークン] (リゲイン project-regain.io/jp/)
●MOOVER [MOVEトークン] (ムーバー moover-contrib.tech/jp/)
●Crypto Click Limited (クリプトクリックリミテッド crypto-click.com/ja/)
●Fountain Connect (ファウンテンコネクト fountain-connect.com/jp/)
●LODE [LDGトークン] (ロード lode.network/ja/)
●Unizon [UZNトークン] (ユニゾン unizon.io/jp/)


それではトークンペイの検証から始めます。

●TokenPay (トークンペイ www.tokenpay.com/)

本サイトで検証しているのは多くが日本国内に運営元がいると思われる仮想通貨、仮想通貨関連投資ですがこれは海外由来のようです。但し日本語でのセミナーやイベントなどに加え、アフィリエイターを使った宣伝など日本からの投資を重点的に狙うような活動が見られたので検証対象にすることにしました。

まずTwitterの公式アカウントの冒頭部です。「The World's Most Secure Coin 世界で最も安全なコイン」を標榜しているようです。

そしてこのTwitterのアカウントは基本的に英語で書かれているのですが所々に日本語での投稿が出てきます。例えば2017年12月11日に開かれた「日本語オンラインセミナー」の告知が複数回投稿されていますし、

公式サイトのブログにも同様の日本向けの案内があります。

ざっと見たところTwitterにも公式サイトにも日本語と英語以外での書き込みなんてありませんし、オンラインセミナーとCEOが出席してのイベントも日本以外で開催の予定が見つかりませんからこの案件が特に日本人を重要なお客と考えているのは疑いありません。そしてアクセス状況を解析出来るサイトで調べてみると日本からのアクセスがページビュー、訪問者数で約15%を占め、国別でアメリカに次ぐ2位になっています。

日本からのアクセス増加には以下のキャプにあるようなTwitterでの大量の宣伝投稿も関係していると思われます。どんな根拠があるのか分かりませんが「将来千倍になることも」といった強気の見通しが書かれています。そしてこのキャプの時点でこの投稿のリツイート数が2万回越えです。

このつぶやきに含まれているリンクのURLは以下のようになっています。

>https://www.tokenpay.com/?rc=●●●●●

公式サイトと思われるサイトの末尾に●●●●●で示した伏字の部分が付いています。伏字部分はアフィリエイターのIDでしょう。同様のアフィリエイトリンクやLINEや勧誘ブログへのリンクはYoutubeに多数アップされた宣伝動画にも見られます。英語あるいはそれ以外の外国語版の動画が山ほどありますが、日本語の動画も見られます。

「ICOのトークンペイ(TokenPay)は何倍になるのか?」

元ホストの仮想通貨総合研究所 2017/12/08 に公開

仮想通貨ラジオ 2017/12/13 に公開

「TokenPay(トークンペイ)ICO!最新匿名通貨への高騰期待MAX」

藤原の情報発信チャンネル 2017/12/20 に公開

英語でしかも1時間以上の長い動画なので見る気になりませんがトークンペイのCEO、Derek Capoへのインタビュー動画などというものもTokenPayの名義でアップされています。

そしてアフィリエイト報酬目的の各種宣伝投稿でリンク先ともなっていた公式サイト(www.tokenpay.com/)があります。公式サイトには残念ながら英語版しかありませんが71ページもあるWhite Paper (ホワイトペーパーと呼ばれる説明書、企画書)が用意されています。以下の検証は公式サイト、ホワイトペーパーを中心に行い、場合によっては補足的にブログや動画の情報も参考にします。

まず例によって連絡先情報からです。以下のキャプに見えるように所在地は租税回避地として有名な英領バージン諸島で電話番号がありません。

これ以外の連絡先情報はメールアドレスと幾つかのSNSのアカウントのアドレスぐらいです。

■公式アカウント一覧

https://www.facebook.com/tokenpay

https://www.twitter.com/tokenpay

https://t.me/joinchat/GgZih0NrYt2F11oXwQ11Cg

https://bitcointalk.org/index.php?topic=2400499.0

https://medium.com/tokenpay

https://github.com/tokenpay

そして英領バージン諸島の住所は調べてみると明らかに不完全な住所です。Google Mapに住所を入れてみるとかなり広い範囲(南北300メートル、東西200メートルぐらい?)が「Wickhams 2」という住所に該当することが分かります。

そもそも英領バージン諸島という租税回避地、オフショア会社が多数存在するような場所が住所になっているという時点でトークンペイの本拠がこの住所に実在するかどうかは疑わしいものとなり、さらに住所が不完全で電話番号もないとなれば情報開示、発行元の信頼性に関しても高い評価は出来ません。

次にトークンペイの特徴とされている事項を箇条書きにしてみます。

1) 安全性と匿名性が高い仮想通貨である。

2) 同じく高い安全性、匿名性を特徴とするVerge(ヴァージ)という仮想通貨の開発者がトークンペイの開発にも加わっている。

3) 発行上限は2500万枚。

4) 銀行を買収あるいは銀行と提携してトークンペイと連動させることによりクレジットカードの発行なども行って利用者の利便性を高める。

5) プレセールが2017年12月7日~2018年1月17日まで6週間に渡って行われる。1週毎に購入者へのボーナス額と紹介者に支払われるアフィリエイト報酬の条件が悪くなる。

6) 購入の支払い手段はビットコイン払いのみ。価格は1ビットコイン当たり3000トークンベイ(ボーナス除く)。最小購入単位は0.01ビットコインで30トークンペイ(ボーナス除く)。

まず最初の安全性と匿名性の問題ですが、技術的な説明にホワイトペーパーでもかなりの紙数が割かれているものの実際にトークンベイがどれほど安全性、匿名性に優れるのかは私個人に技術的知識がないことでもあり、評価出来ません。但し、匿名性が優れた仮想通貨であれば脱税、マネーロンダリング、武器や薬物など違法な物資の購入、ランサムウエアによる身代金要求など犯罪に使われる可能性も高くなるのでプラス評価ばかりは出来ません。高い匿名性が各国政府などによって逆に問題視されてトークンペイの流通が禁止されるような事態さえ考えられないことではありません。

また匿名性については別の同じく安全性や匿名性に優れたVerge(ヴァージ)という仮想通貨の開発者であるSunerokという人物がトークンペイの開発にも加わっていることを強調していますが、これは個人的には異様なことのように感じられます。何故なら仮想通貨の価値が高まるかどうかについて最も重要なのは決済手段として優れていることが認められて需要が発生するかどうかにかかっているはずです。安全性や匿名性に重点を置いて開発された仮想通貨が複数開発されれば互いに競争相手となって需要を奪い合うことになります。それなのに同じ開発者が複数の開発コンセプトが似た仮想通貨の開発に参加するのは競争相手を利する行為となり、「どちらも成功しない可能性」を高くするだけではないかと思います。

また開発チームが本当にセキュリティ問題の専門家なのか疑いたくなるような事態も発生しているようです。以下のキャプは何故か公式Twitterでリツイートされている日本からのつぶやきですがアフィリエイトリンクを踏んでトークンペイを購入した人達の個人名が丸見えになっていた状況があったようです。この様なネガティブな投稿をリツイートしているTwitterの管理人は日本語の理解力が不足しているのかもしれません。

「■投資女子のビットコイン取引所★」と題する日本語の勧誘サイトにも2017年12月11日に行われた日本語セミナーでの質疑内容が記されていてこの個人情報流出問題について質問があったようです。

>Q:TokenPayは匿名通貨であることを売りにしているにもかかわらず、リファエルボーナスの部分で登録者の名前が出るのはどうかと思いますが、どのようにお考えでしょうか?

>A:いい質問ですね!

>Tokenpayは透明性を確保しています。しかしICO参加の最初だけ名前がでますが、その後の取引はすべて匿名になります。(なので安心してください)

個人的にはこんな回答では到底安心など出来ませんし、開発チームのセキュリティ技術レベルにも大いに疑問を感じずにはいられません。

トークンペイの特徴に戻りますが第4項の銀行を買収してクレジットカードの発行や法定通貨との両替など銀行業務と連動させるという計画についてもどれほどのプラスに評価出来るのか疑問です。公式サイトの以下の図によればトークンペイを販売して得た資金の内、30%を銀行の買収(Acquire Bank)に充てる計画になっています。

ホワイトペーパーなどにある当初の説明によればバヌアツという南太平洋の島国にある銀行を買収するあるいは提携する計画で交渉中だが銀行名は明かせないということになっていたのですが、その後スイスあるいはEU圏内の銀行を買収あるいは提携する計画に変更したといった記述が公式サイトにあります。しかし銀行を買収する為に集めた資金の30%も注ぎ込むという事業計画が妥当かどうかは極めて疑問です。さらにシステムの開発などに資金の20%、マーケッティングに5%、マネージメントなどに15%が使用され、資金決済に使えると思われるExchange Liquidityにはたったの30%しか割り当てられていません。

ちなみに公式サイトによればプレセールで最大5000ビットコインを調達出来るということになっており、1ビットコインが100~200万円の範囲と考えれば全部で50~100億円の資金調達ということになります。銀行の買収に集まった資金の30%を充当する計画なのですから買収資金は15~30億円ということになります。日本の銀行の株式時価総額を調べてみると地方銀行でも100億円以上なのでこの程度の資金では買収出来ません。かなり規模の小さな銀行しか手が届かないでしょう。

そして買収した銀行が利益を出せなければ事業の足を引っ張ることになるし、そもそも集めた資金は仮想通貨として決済に使う際の決済資金として使うのが基本でしょう。銀行の買収は単なる使い込みとしか思えませんし、金融機関のライセンスが欲しいだけならば既存の銀行を買収する必要などなく、租税回避地としても知られ、おそらく審査基準のそれほど厳しくないバヌアツにでも新たに金融機関登録をすればコストも安く済むような気がします。金融業界に詳しくありませんが事業計画として妥当なのかどうか疑問が残ります。

プレセールの計画内容、アフィリエイターへの販売報酬にも大きな疑問があります。下の表は公式サイトにあったプレセール期間中のボーナスとアフィリエイターへの報酬を示したものです。

例えば2017年12月7日からの1週間ではボーナスとリファレル(勧誘報酬)の割合がそれぞれ100%になっています。つまり100万円分のトークンペイを誰かが買うと実際にはボーナス分と合わせて200万円分のトークンペイが手元に届き、さらにアフィリエイター(紹介者)にも100万円分のトークンペイが発行されることになります。入ってくる資金が100万円で発行するトークンペイは300万円分という大盤振る舞いです。トークンペイを乱発すればインフレになる、つまりその価値は販売時の値札の水準を保てなくなる可能性が高いはずです。またこれだけ高額の勧誘報酬を出しているからTwitterや動画、ブログを使った勧誘が執拗とも思われるほどに連発されている現状に繋がっているということのようです。上でも引用しましたが「■投資女子のビットコイン取引所★」と題する日本語の勧誘サイトにある2017年12月11日に行われた日本語セミナーでの質疑内容にもこの大盤振る舞いに関する質疑があります。

>Q:何故トークンペイ・TokenPayリファラルを100%にしようと思ったのでしょうか。そのようなリファラルレートは、上場直後の売り抜けを誘発し、価格の乱高下を招くと考えなかったのでしょうか。

>A:限られた予算でPRするためです。できるだけ早い期間に多くのひとにTokenpayを知ってもらうための作戦でした。できるだけ多くの人がアカウントを作ってくれれば、他のサービス(他のブロックチェーンの包括的サービス)もアピールすることが出来ます。リファラル100%にした事情は、そういった戦略も背景にあります。トークンペイTokenpayが安売りされてしまう懸念はありますが、長期的な観点ととらえていただければと思います。

個人的にはこれは投資家のことを考えた方策ではなく、上場後に暴落してもいいからとにかく出来るだけ多くの投資を集めることだけを重視した愚策としか思えません。

そして最後に1ビットコイン=3000トークンベイというビットコイン建てでトークンベイの販売が行われていることにも違和感があります。ビットコイン相場の変動が極めて大きくて予想が困難なこと、銀行の買収など主要な資金の使い道を考えると法定通貨建てでコインを販売しないのは不合理とさえ思えます。既存の銀行を買収するならビットコイン建てではなく法定通貨建てで行われることになるはずですから相場が乱高下しているビットコイン建てではなく法定通貨で資金を募った方が買収計画などの計画が立てやすいはずです。仮にビットコインの相場が大きく下落したりすれば集めた資金の価値が大幅減少して事業計画全体が危なくなるはずです。また上で検証したように運営元の連絡先情報が極めて曖昧でオフショア会社を利用した架空住所の疑いも濃いのに販売もビットコイン建てに限られるのはビットコインの匿名性を悪用して経営者の所在に関する情報を極力隠すのが目的なのではないかと疑いたくなります。

さらに理由は分かりませんが公式Twitterに立て続けに出ている3件の投稿(#1#2#3)によればアメリカ人あるいはアメリカに在住している人たちへのトークンペイの販売を停止し、返金に応じているようです。

そしてこれら3件の投稿には何故アメリカ人およびアメリカ在住者に限って販売停止&返金という措置になったのか質問が出ていますが明確な返答はないようです。例えば理由を問う投稿に対してJoe Doeというハンドル名で「Because U.S. government regulations (アメリカ政府の規制によるもの)」という短い返答があっただけです。

他の返信も見ていくとこれはScam (詐欺)に違いないと断言する投稿が幾つも見られ、さらにはSpectrecoin (スペクターコイン)という別の仮想通貨の運営元(?)がトークンペイはスペクターコインのコードを盗んで名前だけ変更したものであると主張し、さらにはトークンペイのTwitterアカウントからブロックされたと主張しています。これは非常に強い詐欺の兆候であるとも書いています。

ちなみに上で示した国別のトークンペイ公式サイトへの国別アクセス数の中でアメリカはアクセス数の2割以上を占めて1位でしたからアメリカの投資額は相当に大きな割合を占めていた可能性が高いですし、トークンペイの公式サイトには

>There are NO REFUNDS OR EXCHANGES once BTC has been exchanged for TPAY. (トークンペイを購入したらビットコインは返金しません。)

という一文もあるので販売を停止して返金に応じているのだとすればやはりこれは異様な事態と考えざるを得ません。販売停止&返金の理由が示されないことから考えてアメリカ政府による摘発逃れの為の販売停止&返金であると考えるのが最も素直な解釈と感じますし、Twitterでの誰のものとも分からない投稿内容はどれも安易に信じることは出来ませんが少なくとも危険な兆候があるのは確かだと思います。結論としてこの仮想通貨についても投資は避けるべきと考えます。


●REGAIN [REGトークン] (リゲイン project-regain.io/jp/)

この案件はページの冒頭にも書きましたが次項以下で検証するMOOVER [MOVEトークン] (ムーバー moover-contrib.tech/jp/)、Fountain Connect (ファウンテンコネクト fountain-connect.com/jp/)、LODE (ロード lode.network/ja/)、Unizon (ユニゾン unizon.io/jp/)と非常に類似点が多いことから同じグループによる可能性が濃厚です。次項以下の検証と併読してください。

まずこれは知恵袋に出ていた以下の質問をきっかけに検証対象にすることにしました。

Twitterでも複数のアカウントから宣伝投稿が繰り返し行われています。

REGトークンという仮想通貨を発行して資金調達を行い、高利回りで運用して配当を出すという投資のようです。しかし結論から言えばこれはHYIP (ハイプ High Yield Investment Program)と呼ばれる有り得ない高利回りとネズミ講方式で勧誘し、仮想通貨で入金させるのを特徴とする詐欺との類似性が高いように感じます。例えばマイニングで利益を出して高配当を出すという点で「検証13」で扱ったビットクラブと似ている部分があると言えるかもしれません。

検証対象は公式サイトと公式サイトからダウンロード出来るホワイトペーパー(事業計画書)です。検証対象にはしていませんが@Pressというサイトのプレスリリース記事(企業の発表をそのまま掲載する記事)にはホワイトペーパーの要約もあるので概要を知るには役立つかもしれません。これもここでの検証対象にしていませんが、勧誘目的(アフィリエイト報酬目的)と思われるサイトもかなりの数があるようです。

仮想通貨で億り人

はじめての仮想通貨投資

仮想通貨投資を初心者にも丁重に

まず検証の第一歩として例によって連絡先情報を探しましたが公式サイトの下端に以下の様な記述があるのみです。

>REGAIN©2017 All rights reserved. Dubai, United Arab Emirates / contact@project-regain.io

>Upon discussion with all involved parties, we will not disclose our headquarter address. Please understand that this is a security measure to prevent any sort of risk in hacking of funds collected through crowdsale, or leaks of confidential information (technical details, contract documents, etc).

連絡先情報として開示されているのはメールアドレスと中東・アラブ首長国連邦(UAE)のドバイという大まかな住所だけ。連絡先住所を開示しない言い訳として、「関係者筋と協議した結果、ハッキングされてクラウドセールで集めた資金や秘匿するべき情報 (技術情報や契約書など) が盗まれないように本部の住所は開示しないこととした」といったことが書いてあります。ちなみにこのサイトは表示言語を英語と日本語から選択出来ますが基本は英語で書かれており、日本語を選んでも大半は英語表記のままです。そしてこの不完全な住所や情報を開示しないという言い訳の部分は全部英語のままです。しかもこのサイトは記述内容がコピーペースト出来ない設定になっていて引用しようとすれば1字ずつタイプ打ちするしかありません。

私は決してセキュリティ問題に詳しいわけではありませんが、この言い訳には全く説得力がありません。住所を隠せばハッキングされにくくなるなんて話しは聞いたことがありません。また電話番号もないのはいかなる理由でしょうか?情報開示において明らかに不適切、不合格と判断するしかありません。

関連して投資をする際の入金手段はビットコインで払い込む方式になっているようです。これはまさにHYIPの特徴の一つであり、匿名性の高い仮想通貨での送金受け入れを利用することにより、銀行口座などから事業の主催者を突き止められるのを避けているのではないかと疑いたくなります。ここでも情報開示を避けていることになります。

次に投資の概要ですがホワイトペーパーによればREGトークンという仮想通貨を発行して資金調達を行い、これを仮想通貨のマイニングに使うマイニングマシン(ハードウェア、ソフトウェア)の開発に充てて利益を得るというのが大筋のようです。以下はホワイトペーパー28ページからの抜粋引用です。

>10.3 REG トークンの特徴、権利

>私たちが用意するREG トークンは、以下の特徴、権利があります。

>・ 当社が受け取る利益のうち60% を分配して得られる権利があります

>・ 配当の権利はスマートコントラクトにより確実に自動で実行されます

>・ プライベートブロックチェーンにより秘匿性が重視されています

>・ REG トークンは独自ウォレットで管理されます

>・ 配当は独自ウォレットにBTC で支払われます

>・ 1REG トークンあたりの配当は0.034 BTC/月〜が想定されます

>・ 配当日は月末日( 12:00 PM UTC+4) 締めの翌月15 日( 12:00 PM UTC+4)払いです( ※ 9)

>・ 配当を得られる権利は、マイニング市場の著しい変化が起きない限り半永久的に与えられます

>・ REG トークンの取引はICO 終了後可能になります。

>※ 上記の数値は、マイニングの環境が現在の状況から、全ての条件が変わらないという前提での試算となります。

(引用終了)

上の引用の中で特に気になる部分を太字で強調しましたが利益の60%をREGトークンの保有者=出資者に払うとなっています。しかも配当は半永久的に与えられるなどと書いてあります。マイニングマシンは常に最新のハードに更新しなければマイニングの競争に勝てなくなることが避けられないというのが常識なのにどうやって「半永久的に」配当が出せるのか分かりません。ホワイトペーパーではソフトの更新を強調しているようですがハードの更新なくしてマイニング競争で永遠に勝者であり続けるなんて絵空事としか思えません。

この説明を読んでもどれほどの投資利回りが得られるのかよく分からないのでさらにホワイトペーパーの32ページから書いてある「資金調達のスケジュール」のクラウドセール第一段階という部分を抜粋引用します。

>発行トークン 5000REG

>価格 1REG=4000 USドル

>期間 2017年12月22日 (12:00PM UTC+4)~2018年02月01日 (12:00PM UTC+4)

>マイニングマシン稼働開始 2018年03月15日~

>配当開始 2018年04月15日~

>報酬 1REG=0.034BTC / 月 (報酬見込)

>月利 13.6%

>年利 163.2%

>ボーナス 5万USドル以上の所有者に+5% 1REG=0.037BTC / 月 (報酬見込)

>月利 14.8%

>年利 177.6%

>マイニングマシン業界目標到達シェア 27%

5000枚のREGトークンが4000ドルで全て売れると2000万ドル(1ドル=100円で計算して20億円)の資金調達ということになります。さらにこの第1期以降も同様の資金調達が続き、最終的には2018年11月までの間に4期に分けて全部で65000枚のREGトークンを売り出し、全部が予定価格で売れると資金調達総額は2億8200万ドル(1ドル=100円で計算して282億円)という資金調達になる予定のようです。第二期以降を含むトークン売り出し計画の詳細はホワイトペーパーあるいは上でもリンクしたプレスリリース記事を参照してください。巨額の資金調達のように思えますがホワイトペーパーの28ページによれば調達した資金の3%をハードウエアの開発、4%をソフトウエアの開発に充てて残りの大半は実際に使うマイニングマシンの調達に使うとなっていますから研究開発費はトークンが全部売れても1974万ドル、20億円ほどにすぎません。これは巨大なハイテク企業の研究開発費に比べれば決して大きな数字ではありません。

そして改めて指摘するまでもないでしょうが月利で13.6%、年利で163.2%というどれほど根拠があるのか疑いたくなるような超高利回りが提示されています。しかも第1期の資金受け入れ期間が2018年の2月で終了してからわずか2カ月半後の2018年4月半ばから配当の支払いが始まることになっています。2カ月半の間にハードやソフトを開発し、開発したハードを生産して実際のマイニング事業に用いるという計画にはどう考えても無理があると思います。ホワイトペーパーの19ページには

>世界最高水準のマイニングマシン「ASICHARDMiner3.2」を開発しました。

という記述があるのですが、この「ASICHARDMiner3.2」は何処で販売あるいはレンタルされているのでしょうか?試しに「ASICHARDMiner3.2」をGoogleで検索してみましたが引っかかるのはREGAIN関係のサイトだけです。これは実在するハードなのでしょうか?

さらにこの事業計画にしっかりとした実現性があり、これほどの高利回りがかなりの確率で得られるのならば銀行やベンチャーファンドなどから資金調達することが充分に可能のはずです。それなら利益の60%も投資家に払う必要などないでしょう。何故個人から少額の資金を仮想通貨の発行という形で調達し、年利回り見込みが177.6%という異常に高い配当を出すのかと言えば最大限好意的に考えても失敗の可能性が高くて銀行やベンチャーファンドからの資金調達は不可能であるからとしか思えません。

なにしろこの計画には未確定の部分が多すぎます。例えば配当利回りについてはマイニング対象とする仮想通貨の相場の影響も非常に大きいはずです。そもそも世界最高レベルのマイニングマシンを開発出来るという根拠は何処にあるのでしょうか?誰が何処でどれほどの規模でマイニングマシンを開発しているのかも全く情報がありませんし、仮にマイニングマシンの開発を本当にやっているとしてもそれよりも性能の良いマイニングマシンを誰かが開発すれば競争に負けてしまうでしょう。またホワイトペーパーの冒頭部に以下の様な記述があります。

>プロジェクトREGAIN とは、ビットコイン市場を安定化させることを目的したプロジェクトです。 (中略)

>私たちは、その実現には、マイニング市場を健全化することが必要であると考えています。現在、ビットコインのトランザクションを完結するために必要なマイニング作業は、特定の一グループが事実上独占している状態になっています。さらに、そのグループが自身の利益のために相場操縦を行い、ビットコイン価格を故意に乱高下させるような事案まで発生しています。そのような不健全な状態を解決したいのです。

マイニングマシンを特定のメーカーが70%独占していることで相場操縦といった不正が横行しているからREGAINプロジェクトで開発したマイニングマシンで市場を席巻する(現在寡占状態にあるメーカーを駆逐する)というのです。

ホワイトペーパーの14ページにあるグラフでは2016年に70%を占めている「Company A (具体的な企業名は不明)」を追い越して2019年にはREGAINが80%を獲得するとなっています。

しかし「Company A」の寡占がREGAINの寡占に変われば相場操縦の様な不正がなくなるという論理が全く理解出来ません。マイニングマシンの供給元が誰であれ寡占ならばそれは不健全であり、相場操縦が横行することにならないのでしょうか?そもそも板の薄い仮想通貨市場なら単に巨額の資金を注ぎ込めば株式市場における仕手行為のような相場操縦は可能でしょうけどマイニングマシンの供給元とは何の関係もないように思います。

要するにこの計画を信ずるに足るような証拠、裏付けのようなものが全くない上にこんな高利回りを投資家に払う経済的合理性が全くありません。マイニングマシンの供給元と市場の健全性に関連があるという主張にも同意出来ません。しかも最初に指摘したように事業主は会社の連絡先情報さえ明らかにしていないのです。ホワイトペーパーだけでこんな事業計画を鵜呑みにして信ずる気には全くなりません。具体的な事業計画の裏付けなどが明らかにされない限り、この件への投資は推奨出来ません。


※付記

リゲインの公式サイト (project-regain.io/jp/)は閉鎖されているようです。

またこの案件についてmatomaというサイトで集団訴訟の呼びかけが行われているようです。かなり多くの被害者、かなりの金額の被害が出ているようです。

上の概要に書かれている状況を読むとやはりこれは単純なポンジースキーム (自転車操業方式) の投資詐欺であった疑いが濃いように思われます。以下で検証している同じグループによると思われる仮想通貨案件についても詐欺の疑いがさらに強くなったと考えざるを得ません。


●MOOVER [MOVEトークン] (ムーバー moover-contrib.tech/jp/)
●Crypto Click Limited (クリプトクリックリミテッド crypto-click.com/ja/)

ここで検証するMOOVER [MOVEトークン]は本ページの冒頭でも触れたように前項で検証したREGAIN [REGトークン] (リゲイン project-regain.io/jp/)、次項以下で検証するFountain Connect (ファウンテンコネクト fountain-connect.com/jp/)、LODE (ロード lode.network/ja/)、Unizon (ユニゾン unizon.io/jp/)と同じグループによる案件の可能性が極めて高いです。比較の為にそれぞれの項目も併読することを推奨します。

まずこれもリゲインと同じでTwitterで頻繁に宣伝投稿が行われています。そして中にはリゲインとムーバーの宣伝投稿が同じアカウントから行われている例も見つかります。例えば以下は「仮想通貨オヤジ」というTwitterアカウントから投稿されたムーバーの宣伝投稿およびリゲインの宣伝投稿の例です。

バナー広告での勧誘も行われており2つの広告が並んでいるのを見たこともあります。

さらにリゲインと同じで@Pressという企業からの発表内容をそのまま掲載するプレスリリース記事を掲載するサイトに資金募集の概要をまとめた記事が出ており、しかも情報提供元が両方とも「Crypto Click Limited (クリプトクリックリミテッド)」というアフィリエイト広告関係の会社になっています。これが表題の2つ目の会社です。

MOOVERのプレスリリース記事 (2017年11月30日掲載)

REGAINのプレスリリース記事 (2017年12月20日掲載)

このクリプトクリック社は謎の多い組織です。社名が「Crypto (暗号)」から始まっていることから判断して暗号通貨(仮想通貨)専門のアフィリエイト広告関連企業と思いますが、単にムーバーやリゲインの案件の広告を担当しているだけでなく、クリプトクリック社の公式サイトのページによればクリプトクリック社が「Crypto Click Market (クリプトクリックマーケット)」という仮想通貨取引所を2018年1月上旬にオープンするということまで書かれています。

しかも上場対象に関する説明は

>現在トークンセール中のMOOVERをはじめ、12月7日情報公開予定の第2弾ICO案件など、今後CCAが取り扱うすべてのICOトークンを対象に、上場体制を整備しています。

となっていてここで「12月7日情報公開予定の第2弾ICO案件」というのはリゲインのこととしか思われません。MOVEトークンとREGトークンは2018年1月上旬にオープン予定の同じ取引所で取引されることになる予定ということです。さらにクリプトクリック社のサイトには以下のキャプに示すようにCCコインというクリプトクリック社独自の仮想通貨の発行も最終決定ではないが検討中であり、勧誘報酬もこのコインで支払うことを考慮していると言った記事もあるのです。

自ら取引所を開設し、さらに独自の仮想通貨も発行するとなればクリプトクリック社は実はリゲインとムーバーの黒幕的な存在ではないのかと疑いたくもなります。

ちなみにクリプトクリック社のサイトにはCEOを名乗るAiko Shimizuという女性の挨拶動画が掲載されており、自分は日本で生まれたが海外生活が長く現在は香港で活動していると英語で自己紹介しています。

しかし香港の会社なら中国語表記が出来るのが当然と思われるのにクリプトクリック社のサイトでは表示言語が英語と日本語しか選択出来ませんし、英語表記を選択すると表示できるコンテンツが日本語表記の場合と比べて大幅に減少してしまいます。そしてアクセス状況を解析出来るサイトで見るとクリプトクリック社のサイトへの99%以上が日本からのアクセスです。

さらにクリプトクリック社のサイトにリンクが用意されているFacebookのアカウントTwitterのアカウントは共に基本的に日本語で書かれていて時々英語での書き込みがあるという程度です。

クリプトクリックのサイト(crypto-click.com/ja/)を見ても連絡先情報が全く見つかりません。そこで再度調べるとクリプトクリックのプレスリリース記事の末尾にクリプトクリック社のサイトのURLがもう一つ存在することに気が付きました。そのサイト(crypto-click.hk/ja/)には事業内容などについて殆ど具体的な説明はなく、アクセス数も圧倒的に少ないのですが連絡先情報として住所とメールアドレスが記されています。

>20/F, Tower 535, 535 Jaffe Road, Causeway Bay, 999077 HONG KONG

但しこの香港の住所を検索するとどうやらこれは以下のバーチャルオフィス業者の住所と一致するようです。

Wework Tower 535

>20/F Tower 535, 535 Jaffe Road Causeway Bay Hong Kong

つまりこれは架空住所と考えられます。英語などでのプレスリリース記事もネット上には見つかるので日本以外での活動が皆無という訳ではないようですが、活動の大きな部分が日本にかなり偏っているのは間違いありません。結局クリプトクリックは日本に本拠を置くアフィリエイト関連業者。あるいは少なくとも日本人が運営している業者と考えるのが最も妥当でしょう。基本的に連絡先情報が隠されていると思われる会社は到底信用出来ません。

ムーバーの検証に戻りますがムーバーとリゲインはそれぞれの公式サイトにも互いに多くの類似点があります。まずこれら2つのサイトは全く同じサーバーではないものの共にアメリカのシアトルにあるサーバーを使っています。(ちなみにクリプトクリック社の2つのサイトも同じくシアトルのサーバーです。)

さらに両方のサイトは共にコピーペーストが出来ない設定になっていて引用しようとすれば全部1字ずつタイプするしかありません。内容面でも非常に共通点が多いのですが最も明白なのは会社の所在地に関する記述です。リゲインの項目でリゲインの本社はアラブ首長国連邦のドバイにあるが詳細な所在地情報はセキュリティ上の理由から開示しないと英語で記されていると書きましたが、ムーバーについても本社はインドのカルナータカ州、バンガロールにあるが詳細な所在地情報はセキュリティ上の理由から開示しないとなっているのです。ちなみにムーバーのサイトでは表示言語を英語と日本語から選択出来るのですが日本語表示にしても詳細な住所は開示しないという説明の部分は以下の様に英語のままです。

しかもこの説明部分の文章はムーバー、リゲインのサイトでそれぞれ以下のようになっています。

▼ムーバーの説明

>Our headquarter is located at Bangalore, Karnataka, India. But upon discussion with all involved parties, we will not disclose our headquarter address. Please understand that this is a security measure to prevent any sort of risk in hacking of hunds collected through contributions, or leaks of confidential information (technical details, contract documents, etc).

▼リゲインの説明

>Upon discussion with all involved parties, we will not disclose our headquarter address. Please understand that this is a security measure to prevent any sort of risk in hacking of funds collected through crowdsale, or leaks of confidential information (technical details, contract documents, etc).

並べてみれば分かるように太文字で示した部分は一字一句が同じです。これだけ長い文章の中で異なるのはリゲインでは「crowdsale」という単語を使っていた部分がムーバーでは「contributions」に置き換えられているという一点だけです。これはどう考えても偶然とは思えません。そもそも両方ともセキュリティ上の理由で本社の住所を開示出来ないという到底納得し難い理由で住所が非開示になっている時点で同じグループによるものと疑わざるを得ません。その他にも2つの公式サイトには互いに比べてみればこれほど明白ではないものの類似点が多いです。勧誘動画、メンバー紹介、ロードマップなどの項目は特に類似性が高いように感じます。ムーバーの連絡先情報として実質的に公開されているのはリゲインの場合と同じでメールアドレスのみです。

次にリゲインとの類似性のことばかりではなく、一応はムーバーの事業計画にも触れておきます。詳しく知りたい人がいればプレスリリース記事やホワイトペーパーを読んで貰うのが適切かもしれませんが、簡単に言えば携帯電話などのモバイル機器の月間の契約通信容量が余っている人が余った容量を契約容量を使い切ってしまった人に売ることが出来るシステムを作る、MOVEトークンをこの取引の代金支払いに充てることが出来るようにするというのが概略のようです。日本の携帯電話会社のプランでは家族間でデーター容量を共有したり、友人に容量をプレゼントすることが出来るようなプランがあるようですが、それと似たようなデーター容量のやり取りを個人的つながりの無い人の間でも、あるいは契約する通信会社とか国境を越えて可能にするという話しと思われます。以下の図はホワイトペーパーの16ページにある説明図です。

2人の個人と2つの携帯電話会社が登場します。

●契約データー容量の余剰を持っている人 Mike (マイク)

●契約データー容量を使い切ってしまった人 Jean (ジーン)

●マイクの契約する電話会社 A社

●ジーンの契約する電話会社 B社

要するに通信容量枠が余っているマイクが自分の容量枠を自分の契約するA社に返納する代わりにジーンからMOVEトークンを受け取り、データー枠はA社からB社に移動させて最終的にジーンが元々マイクの持っていた枠を使えるようにするという説明のようです。

しかしまずこんなデーター容量の移動に携帯電話会社が同意するかどうかが非常に疑問です。携帯電話会社にすればこんなシステムを作れば余裕を持ってデーター枠を契約する人が減ったり、超過料金を払う人が減って自らの収益にマイナスになりかねません。国境を越えて携帯電話会社間の枠のやり取りを可能にするとなればそれなりのシステムを作るのに投資も必要でしょう。そもそも枠の売買に専用の仮想通貨を使うという意味がどれほどあるのか極めて疑問です。またホワイトペーパーなど見ても具体的にこのシステムに参加する通信会社の名前が出てくるわけでもありません。これだけの説明では通信会社側のメリットが感じられず、果たしてこんなことが実現するのか雲を掴むような話しとしか思えません。リゲインの場合と同じでムーバーのビジネスモデルも具体性や合理性に欠けているという印象しか持てません。

信用性にもビジネスモデルの合理性にも欠けるとなれば投資は推奨出来ないという結論にならざるを得ません。

※付記

クリプトクリックに対して2018年3月下旬に金融庁から警告が出たらしく、クリプトクリックのサイトに「CCA一時閉鎖について」という告知が出ていて全てのサービスを3月末で停止するとしています。しかしこのページで検証しているクリプトクリックとの関係があると思われる5つのアルトコイン案件(リゲイン、ムーバー、ファウンテンコネクト、ロード、ユニゾン)については事業が停止されたような様子はありません。

またクリプトクリックマーケットという仮想通貨取引所を設立してリゲインやムーバーといった仮想通貨を上場する予定については以下のキャプに示すように新体制で開発を継続するとあります。

しかしここで指摘してきた状況を考えればクリプトクリックマーケットあるいはその代替えとして予定されている取引所が仮想通貨交換業者の登録を金融庁から得られるとは思えません。リゲインやムーバーは上場されないまま、仮想通貨として流通することもなく終わるリスクが相当に高いものと判断せざるを得ません。以下で検証するファウンテンコネクト、ロード、ユニゾンについても同じです。


●Fountain Connect (ファウンテンコネクト fountain-connect.com/jp/)

2018年早々に新たにICOが始まることが上で検証したクリプトクリック社の公式サイトおよびTwitterアカウントで予告されていた案件です。以下は情報解禁のつぶやきです。早速検証します。

英語での書き込みしかありませんが公式と思われるTwitterアカウント (twitter.com/FTC__Project)も開設されたようです。

公式サイトはまずリゲインやムーバーの公式サイトとの違いとしてコピーペーストが可能な設定になっています。しかしそれ以外の点では予想通りリゲインやムーバーのサイトとの類似点が多く目につきます。特に勧誘動画、メンバー紹介、ロードマップなどの項目で互いの類似性が高いのはムーバーの検証でも感じたことです。

まず例によって連絡先情報ですが、クリプトクリック関係の他の2つの案件(ムーバーとリゲイン)の場合と同じでサイトの末尾に以下の様な記述があるのみです。

>Tallinn Estonia

Upon discussion with all involved parties, we will not disclose our headquarter address. Please understand that this is a security measure to prevent any sort of risk in hacking of funds collected through ICO, or leaks of confidential information (technical details, contract documents, etc).

バルト三国の一つであるエストニアのタリンという町の名前だけが書かれていてこれが会社の所在地ではないかと思われますが、ムーバーやリゲインの場合とまるで同じでこの件でもセキュリティ上の理由から本社所在地は明らかにしないという到底納得出来ない言い訳が続けて書いてあります。文章もリゲインの言い訳と「ICO」という一語を除いて一字一句同じです。

▼リゲインの説明

>Upon discussion with all involved parties, we will not disclose our headquarter address. Please understand that this is a security measure to prevent any sort of risk in hacking of funds collected through crowdsale, or leaks of confidential information (technical details, contract documents, etc).

クリプトクリック関連の案件の本社所在地は

MOOVER アラブ首長国連邦・ドバイ

REGAIN インド・バンガロール

Fountain Connect エストニア・タリン

と互いに異なっていてもほぼ同一の言い訳的な文章が書かれており、さらに公式サイトの構成などにも明らかに類似性が感じられる上にいずれもクリプトクリック社と繋がりがあるので同じグループによって運営されているとしか思えません。同時にこれらの所在地情報はいずれも信用出来ないと考えざるを得ません。所在地が信用出来なければ事業自体の信用性も疑わざるを得ません。

次に事業内容ですが、公式サイトおよび40ページもあるホワイトペーパーによれば社会貢献事業への寄付を世界から仮想通貨建てで集めて資金管理を行い、本当に社会貢献事業が行われるのか監視して適切に事業が行われた場合にのみ寄付で集まった浄財を渡すというエスクロー会社の様な役割を果たすというのが事業の内容のようです。送金手数料の無料化により寄付金の全てが社会貢献事業に投入されるようにすることも強調されています。以下はホワイトペーパーの9ページ目からの抜粋引用です。

>5. Fountain Connectの特徴

>未だ発展途上にある寄付活動を世界広め、「必要なところにだけ」支援を届けるには寄付活動の透明性を高めて無駄を省き、社会が正しい理解の上で参加を していく事が 急務となっている。 我々が「 Layla(レイラ)」と呼ぶプラットフォームはこれまで寄付活動の成長を妨げてきた 2つの課題を解決させる 。

>1. 不透明な寄付活動を一掃 。完全な透明性と確実情報公開を実現し、一人ひとりが寄付活動への参加を実感し、活動を自律的に育ていく。

>2. 寄付金の送金手数料を無くし、寄付を無駄なく必要な人のために役立てる 。

(引用終了)

そしてICOの概要は以下のようになっています。ファウンテンコネクト(FTC)1枚当たりの価格は3ドルで最小400万ドル~最大4000万ドル (1ドル=100円で換算すると4億円から40億円)を調達するとなっています。

ICOは3期に分けて行われ、2018年1月15日から始まる第1期の発行条件は以下のようになっています。第1期の場合、最低額でも15%、さらに500万ドル以上という巨額の投資をすれば20%~最大30%のインセンティブ(おまけ)が付くようです。さらにクリプトクリック社によるアフィリエイト報酬としてもおそらく相当のFTCが配られるはずです。

そしてICOで集めた資金は寄付として社会貢献事業に投入するのはなくLayla(レイラ)と呼ばれるシステムの開発、経営戦略、運営費などに使うとなっています。

そしてこの仮想通貨が世界的に社会貢献事業に集まる寄付の決済手段として認められれば仮想通貨の価値も上昇すると主張しています。以下はホワイトペーパー22ページからの引用です。

>トークンはLaylaが扱う寄付の市場規模拡大に伴い価値を高め、Appreciationされたトークンも大きな価値へと変わっていく。それは、時に支援者の生活向上貢献し新しい支援により大きな寄付として活用されるであろう。

要するに仮想通貨を買っておけば儲かりますよという話しですが、社会貢献事業のサポートや適切な寄付金の分配などという話しと仮想通貨を買っておけば大儲け出来るという生々しい儲け話が同居しているという点には大きな違和感を感じざるを得ません。そもそも4~40億円といった巨額の資金を集めて行うほどこんなシステムを作ることに価値があるのでしょうか?個人的な見解ですが所在地さえ明らかにしない上にクリプトクリックという怪しげなアフィリエイト関連会社と結びついている新興の企業が例えばユニセフや赤十字社などより高い信頼を勝ち得るなんておよそ考えられないように思います。何処かに寄付しようとする人たちから信頼を勝ち取れなければ仮にシステムを作っても使われることはなく、コインの需要が発生して価値が上昇することもないはずです。さらに振込手数料無料ならば運営を継続する為の費用は最初にICOで集める資金の10%以外に存在しないことになります。慈善事業が実際に行われているかどうか確認するなどの活動にはそれなりの人手も必要なはずなのに活動を支える収入のない組織というのは有り得ません。寄付として集まったお金に手を付けるしかないでしょうがそんなことをすれば信頼を失うのは明白です。

この案件への投資は推奨出来ません。


●LODE [LDGトークン] (ロード lode.network/ja/)

2018年2月に登場した案件で上で検証したリゲイン、ムーバー、ファウンテンコネクトと同じくクリプトクリックリミテッドと結びついているようです。まず以下はクリプトクリックリミテッドのTwitterアカウントに登場した2月6日付の投稿です。「第4弾」とあるのでクリプトクリックがこれまでに宣伝してきたムーバー、リゲイン、ファンテンコネクトに次ぐ案件であることが分かります。

そして既にクリプトクリックの勧誘報酬目当てと思われるTwitterへの投稿やブログの類もかなりの数が確認されます。以下に一部を取り上げます。

ICO研究家

仮想通貨投資で生涯年収(3億円超)を稼いだ男のブログ

爆上げ仮想通貨

へっぽこリーマン「ぺけぽん」の仮想通貨日記(暗号通貨日記)

そしてこれらのTwitterへの投稿やブログの類には

https://asp.crypto-click.com/link.php?intro=●●●●● (一部伏字)

という形式のクリプトクリックのリンクが用意されています。これらの投稿やブログの類が勧誘報酬目当てであることが分かります。

公式サイトやホワイトペーパーには一応ビジネスモデルの説明らしきものがあります。投資対象としての金(きん)の輸送、流通でのコストをカットするといった説明がありますが個人的な感想として全く説得力を感じません。仮想通貨を導入することで具体的にどんなコストが節約出来るのか全く分かりません。また採掘業者とか貴金属の販売業者を繋ぐなどとありますが具体的に参加が期待される採掘業者とか貴金属業者については説明がありません。

そしてリゲインなど他の関連案件でも問題にした連絡先情報ですがやはり公式サイトの一番下に以下のキャプに示すように住所はアラブ首長国連邦のドバイとあるだけで、他にはメールアドレス(contact@lode.network)があるだけです。

住所を開示しない理由として以下の様な文章があります。

>Upon discussion with all involved parties, we will not disclose our headquarter address.

>Please understand that this is a security measure to prevent any sort of risk in hacking of funds collected through tokensale, or leaks of confidential information (technical details, contract documents, etc).

上の検証でも触れていますが、これはリゲイン、ムーバー、ファウンテンコネクトのサイトに連絡先情報を開示しない説明として書かれていた文章と「tokensale」の一語を除いて完全に同じです。

▼リゲインの説明

>Upon discussion with all involved parties, we will not disclose our headquarter address. Please understand that this is a security measure to prevent any sort of risk in hacking of funds collected through crowdsale, or leaks of confidential information (technical details, contract documents, etc).

そして公式サイトは英語、日本語、アラビア語での表示が可能になっています。アラビア語は会社の所在地がアラブ首長国連邦のドバイであること、最高経営責任者となっているMohamed Al-Jibrilという人物もアラブ首長国連邦の出身であるとなっていることに対応しているのでしょう。問題は英語サイトにあります。まず以下は日本語サイトにある仮想通貨の発行条件を示す表です。

そして英語サイトにある同じ表のキャプを下に示します。

非常に奇妙なことに表の左側に並んでいる「最小購入額」「ボーナス」「販売数」「販売期間」という項目名が英語サイトなのに日本語で表示されています。これはどう考えても異常です。これは元々日本語版が先に作られて、それを英語版に変換した時にうっかりして日本語が残してしまったからとしか思えません。

アラブ首長国連邦の会社となっているロード、香港の会社であるはずのクリプトクリックはいずれも実際には日本のグループによって運営されていることが強く疑われます。

結論としてこの案件への投資も全く推奨出来ません。


●Unizon [UZNトークン] (ユニゾン unizon.io/jp/)

2018年3月、Yahooにバナー広告が出ているのに気が付きました。

どうやらこれも上で検証したリゲイン、ムーバー以下の4つの案件と同じでクリプトクリック社と関係する案件のようです。クリプトクリックのTwitterアカウントにもこの案件の宣伝投稿が出ています。

事前登録するとAirDropと称して(個人情報と引き換えに)数百円程度の少額の仮想通貨が貰えるというキャンペーンをやっているようです。

まず例によって連絡先情報ですが、他のクリプトクリックの案件と同じで公式サイトの一番下に日本語版でもこの部分だけ英語で以下の様な記載があるのみです。

>Zug, Switzerland.

>Upon discussion with all involved parties, we will not disclose our headquarter address. Please understand that this is a security measure to prevent any sort of risk in hacking of funds collected through Crowd Token Sale, or leaks of confidential information (technical details, contract documents, etc).

最初にスイスのツークという町の名前が書いてあってこれが会社の所在地という意味かと思います。この地名に続く詳細な住所を公開しない言い訳の文章は例によって他のクリプトクリック社が紹介する案件の言い訳とほぼ同じ、リゲインの言い訳と比較して「Crowd Token Sale」が「crowdsale」になっているだけです。

▼リゲインの説明

>Upon discussion with all involved parties, we will not disclose our headquarter address. Please understand that this is a security measure to prevent any sort of risk in hacking of funds collected through crowdsale, or leaks of confidential information (technical details, contract documents, etc).

やはりこれらクリプトクリック社の紹介する案件はいずれも同じグループが公式サイトを作っているとしか思えません。またスイスのツークという町に会社が存在しているはずなのに公式サイトで選択出来る言語は日本語(Japanese)と英語だけです。

スイスは4つの言語(ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語)が公用語として使われている国で会社の所在地であるはずのツーク州はドイツ語圏のようです。公式サイトの表示言語に日本語と英語の選択肢しか存在しないというのは明らかに異様です。スイスに会社が実在するとは到底思えません。

UZNトークンという仮想通貨の総発行枚数は5億2000万枚。販売上限(ハードキャップ)は1億8000万枚。販売価格は1枚当たり0.2ドルとなっているようです。1億8000万枚が完売すれば3600万ドル、1ドル=100円としても36億円の資金が集まることになります。

そして肝心の事業内容も誰でも加入出来るような保険を提供することとなっているようですが仮想通貨の仕組みとかブロックチェーン技術を導入することで何故保険料率が劇的に安く出来るのか全く理解出来ません。また仮想通貨と名乗っていても決済システムとして使えるようになるかどうかについて何の説明もないようです。ビジネスモデルとしての説得力に欠けています。信頼性でもビジネスモデルでも高く評価出来ません。投資は推奨出来ません。