検証 9

このページでは以下の3つの仮想通貨に関連する5つのサイトを検証しています。

●NBJ (nuribridge Japan) [Dircoin ディールコイン] (dircoin-info.com)

●NURIBRIDGE日本支社 (www.nuribranch.com)

●運営会社不詳 [PABYOSI COIN パビョシコイン]

●株式会社LastRoots [c0ban コバン] (ラストルーツ www.lastroots.com)

●c0banクラウドファンディング (c0bantrade.jp)


それでは検証を開始します。

●NBJ (nuribridge Japan) [Dircoin ディールコイン] (dircoin-info.com)

●NURIBRIDGE日本支社 (www.nuribranch.com)

これらはディールコインという仮想通貨への投資に関連するサイトです。知恵袋に勧誘を受けた、お金を振り込んでしまったという投稿が少なくとも2件出ています。セミナー形式で勧誘が行われていたようです。

助けてください。友人が詐欺にあっています。(2015/10/2)

昨年 田舎の母親が「ディールコイン」なる仮想通貨の投資話に・・・(2016/4/17)

これらの投稿を元に情報を集めて知恵ノートで検証しようとしていたのですが最近(2016年夏)になって公式サイトと思われるサイト(http://dircoin-info.com/)が閉鎖されてしまい、既に破綻していると思われます。別の言い方をすれば既に詐欺グループが逃亡しているようです。既に破綻していると思われる仮想通貨について検証しても詐欺の拡大を防ぐ役には立たないので取り上げるのを止めようかとも思っていましたが後述するようにネズミ講方式で勧誘していたことによって増殖したと思われる幾つかの勧誘サイトは残っている上に次項で検証する「PABYOSI COIN パビョシコイン」と似た部分もあるので取り上げることにしました。以下は現時点(2016年9月)でも確認出来るFacebookのアカウントのキャプです。

Dircoin Facebook.PNG

まず既に削除された公式サイト(http://dircoin-info.com/)には連絡先情報が一切ありませんでした。「お問い合わせ」の項目にもメール送信用の窓が用意されているだけでした。これだけで信頼出来ない投資先と判断するのに充分とも言えます。さらにこの削除されたサイトにあった記述を部分的に抜粋します。

>現在、世界中で注目を集めいている新しい仮想通貨、ディールコイン(Dircoin)。

>ディールコイン(Dircoin)は、アラブなどの中東の10ヶ国が、仮想通貨の存在を知り、その利便性や将来性を感じ、原油の取引などに利用できる仮想通貨を開発をしてほしいと、IT大国である韓国のビットコイン最大保有会社である、ヌリブリッジに依頼し、2010年から始まり、2015年10月に正式発表となる仮想通貨です。

「ヌリブリッジ」という会社が発行元になっていることが分かりますが既に書いたように会社の所在地情報などが皆無なのは明らかに異様です。

>ディールコイン(Dircoin)が、今注目を集めている理由は、まず韓国政府に正式に認めている点です。

>IT大国である、韓国に認められているというのは、大切なポイントです。実際に韓国では、ソウルに60店舗以上展開する、HERRY’S カフェやGKメディカルグーループといった美容外科、マセラティやフェラーリ、ランボルギーニやポルシェなどがディールコイン(Dircoin)で購入することがすでに可能になっています。

韓国政府が正式に認めていると主張して「事業者登録書」なるものを掲載していたようですがサイト自体が閉鎖されてしまった現在となってはそんな承認があったかどうかは非常に疑問です。また多くの業者がディールコインでの支払いを受け付けていると主張している点についてネット検索しても全く確認出来ません。

>現在、ディールコイン(Dircoin)では、スタートから日が浅いこともあり、ディールコイン(Dircoin)を CM(宣伝)していただける方を、募集しています。

>CM(宣伝)をして頂ける方には、その成果に応じた報酬プランをご用意しております。

以下の表で説明されていたように登録料をどれだけ払うかによって「タイトル」というものが与えられ、誰かを勧誘した場合に「タイトル」に応じた報酬が支払われるという説明が為されています。

Dircoin 会員登録.PNG
Dircoin コミッション.PNG

これは要するにネズミ講方式による勧誘です。この項目の最初に引用した知恵袋への投稿にも「紹介したら、いくらか、バックマージン」という説明が勧誘セミナーで為されていたという証言があります。これまでに出てきた仮想通貨でも同様のネズミ講方式による勧誘システムが使われていて説明を繰り返してきましたが集めた資金の一部を勧誘報酬で支払ってしまえば仮想通貨として商品やサービスを購入する時に必要になるはずの原資を失います。最初から仮想通貨として通用させるという予定が皆無であった、例えば過去に大きな被害を出したワールドオーシャンファームと同類のネズミ講組織による投資詐欺としか思えません。

表題に挙げたもう一つのNURIBRIDGE日本支社のサイト (www.nuribranch.com)については現在でも存続しています。

Dircoin 日本支社公式タイトル.PNG

但しトップページの先頭にいきなり以下のキャプに示すような2016年8月16日付の声明文のようなものが出ていてハッカーに攻撃されたとか他社との合併を準備しているとか書いてあります。意味がよく分かりませんが公式サイトが閉鎖されたこと、システムが正常に動かずおそらくディールコインの換金も出来ないといた状況に関して時間稼ぎをしているのではないかと疑いたくなるような胡散臭さを感じます。またネット検索してみるとディールコインの相場が急落した時期があったようです。

Dircoin 日本支社声明文.PNG

さらにこの「NURIBRIDGE日本支社公式ホームページ」を見ても経営者情報や連絡先情報が明確に示されていません。唯一連絡先情報に近いのは「資料室」の項目にあるメンバー仮登録用紙(意向確認)のPDFファイルです。以下のキャプに示すようにLINEのIDとメールアドレスだけ書かれています。但しメールアドレスは誰でも無料登録出来るg-mailのアドレスで投資会社の連絡先としては論外です。

Dircoin 振込確認書1.PNG

さらに同じPDFファイルに入金先の銀行口座とNubridgeの韓国本社の住所と電話番号らしきものが記されています。

Dircoin 振込確認書3.PNG

>入金銀行 りそな銀行 支店:上六支店 支店番号:113

>普通口座 口座番号:0288929 会社名:エヌビージェイ

入金口座はりそな銀行の上六支店(大阪府大阪市天王寺区)になっていて口座の名義人は「エヌビージェイ」です。「エヌビージェイ」は「nuribridge Japan」の略称でしょうか?

韓国本社の連絡先(?)は以下のようになっています。住所は韓国ソウル市のようです。

>NURIBRIDGE

>Address #700, MOKHWAMILLATE,113,TEHERANRO,GANGNAM-GU, SEOUL, KOREA

>Phone:+82-1600-8638

>URL http://www.coinxbridge.com

ようやく韓国本社に関する情報が出てきたのでこの韓国本社のサイト(www.coinxbridge.com)にアクセスしてみたのですが結論から言えばこれは韓国の会社の公式サイトとは到底思えません。

調べてみるとサーバーの所在地は韓国ソウル市なのですが、表示言語は英語、中国語、日本語の三択しか用意されておらず韓国の会社のはずなのに韓国語での表示が出来ません。

Dircoin CoinXbridge言語選択.PNG

さらに以下のキャプに見られるようにNURIBRIDGE日本支社のサイト (www.nuribranch.com)にあったのと同じような声明文の様なものが書いてあり、またしてもセキュリティ強化の為にシステムを停止するなどと書いてあります。しかもこの声明文の日付は2016年4月1日であり、5ヵ月以上に渡ってこの声明文が表示されているということは「全てのシステムが利用できない」状況が続いていると考えざるを得ません。しかもこの声明文は日本語版と中国語版が上下に並んで書かれており英語版や韓国語版は用意されていません。サイトの表示言語から英語を選んでも英語版の声明文は出てこないのです。またこのサイト(www.coinxbridge.com)には連絡先情報が一切出てきません。これは本当にディールコインを発行しているNURIBRIDGE社の韓国本社のサイトでしょうか?

Dircoin CoinXbridge.PNG

このサイトを見る限り、本当にこのディールコインという仮想通貨の発行元の本拠が韓国に実在するかどうか非常に疑問です。特に何故韓国の会社なのに韓国語表記のサイトが存在しないのかという点に関して理解不能です。そもそもGoogleで「Dircoin」を検索しても韓国語で書かれたサイトなど見つからないのです。韓国に本拠がある仮想通貨とは到底思えません。これは韓国に本拠があると主張していても実際には日本のグループによる詐欺なのではないかという強い疑いを抱かざるを得ません。

※付記

2017年12月、知恵ノートからの移行に伴って確認したところ、NURIBRIDGE日本支社のサイト (www.nuribranch.com)、韓国本社のサイト(www.coinxbridge.com)は共に閉鎖されたようです。


●運営会社不詳 [PABYOSI COIN パビョシコイン]

これは「検証8」で検証した「NAGEZENI ナゲゼニ」と同じく運営元が不詳です。「PABYOSI COIN 最新情報」という名称でTwitterにアカウントがありますが連絡先情報は皆無です。

Pabyosi Coin Twitter2.PNG

この仮想通貨を発行しているのは以下のキャプに示すように「ビットコイン長者の韓国人」であるとなっていますが、この「ビットコイン長者」の名前さえ分かりません。「PABYOSI COIN パビョシコイン」という名称も韓国語なのでしょうが、意味は不明です。Twitterの書き込みを見ると勧誘が行われると思われるセミナー情報はLINEに登録しろとなっていて登録しない限りこれ以上の情報は入手出来ないようになっています。明らかに情報開示が不充分です。

Pabyosi Coin Twitter1.PNG

検索すると英語版しかありませんが公式サイトらしきものが見つかります。

http://pbcinfo.net/

Pabyosi Coin 公式サイト.PNG

英語版しかないのにビジネス価値が1兆ウォン、取引出来高が7兆2000億ウォンと韓国の通貨単位で表記されていて違和感があります。仮に韓国に本拠があるのならばどうして韓国語での表記が出来ないのでしょう?またそもそもサイトを見ても連絡先情報が皆無ですし、運営元の名称、経営責任者の名前さえ情報がありません。

また以下のキャプにある「What is PABYOSI COIN?」という項目には従来の仮想通貨の長所を維持する一方で欠点を補った新しい概念に基づく仮想通貨であると称し、金やドルといった安全資産に投資することで資産価値を保全する一方で資産価値の向上をも狙っているので資産価値は100%保証され、さらに預けているコインに対して年間3%の金利を支払う上にコインの価値の上昇も期待出来るので非常に有利な投資であると主張しています。

しかし金やドルだって絶対に値下がりしない資産とは言えません。どうしてこれが資産価値の棄損の可能性がない100%安全な投資と言えるのか理解不能です。そもそもこれまでの仮想通貨の検証でも同じことを書いてきましたが仮想通貨を販売して得たお金を金や不動産などの資産に投資するという行為は資産の保全ではなく明らかに仮想通貨を使って商品やサービスの購入に充てるお金を使い込む不適切な行為としか思えません。

Pabyosi Coin 公式サイトWhatis.PNG

さらにパビョシコインはATM(児童払い出し機)で現金化出来るので安心という説明があるのですが、以下のキャプに見える「ATM Location」というリンクをクリックしても公式サイトと同じ内容のサイトに繋がるだけです。ATMは一体何処にあるのでしょうか?

Pabyosi Coin 公式サイトATM.PNG

パビョシコインでモノやサービスが購入出来る店舗などについても情報が皆無です。これはどう見ても信頼出来る仮想通貨とは思えません。またこれは上のディールコインと例えば

1. 韓国に本拠があるとしながらも韓国語で表示可能なサイトが存在しないなど実際に韓国に本拠があるとは思えない。

2. 連絡先情報の開示が極めて乏しい。

3. FacebookやTwitterなどSNSと各地でセミナーを開催することによって勧誘が行われている。

など幾つか共通項があるように思われます。さらにディールコインの公式サイトが閉鎖された時期からほどなくしてパビョシコインに関するサイトが立ち上がり、勧誘が開始されたようにも思われます。根拠は充分とは言えませんがこの2つの仮想通貨が同じ詐欺グループによる詐欺であっても私は一向に驚きません。当然ですがこの仮想通貨への投資は推奨出来ません。

※付記

2017年12月、知恵ノートからの移管に伴って確認したところ、公式サイト(pbcinfo.net/)は閉鎖されているようです。


●株式会社LastRoots [c0ban コバン] (ラストルーツ www.lastroots.com)

●c0banクラウドファンディング (c0bantrade.jp)

c0ban コバンという仮想通貨を販売しているようです。「株式会社LastRoots」の会社概要は以下のようになっています。

>会社概要

>会社名:株式会社LastRoots

>住所:東京都港区六本木5丁目5-1 六本木共同ビル7F

>役員

>代表取締役CEO:小林慎和

>取締役COO:上杉柾之

>取締役CTO:春名幸夫

>設立:2016年6月2日

>創業:2012年

住所は港区六本木の繁華街の真ん中、かつてはロアビルと呼ばれた有名な建物の7階になっています。創業が2012年で設立が2016年6月というのは意味が分かりません。また連絡先情報の中に電話番号がないのは明らかに違和感を感じます。実は数か月前にこのサイトを見た時には連絡先が以下のようになっていました。

>会社名:株式会社LastRoots

>住所:東京都港区六本木(2016年7月より稼働)

住所は港区六本木のみで明らかに不完全。電話番号がないのは現在と同じです。サーバーの所在地も沖縄県那覇市だったのが数か月の間に東京のサーバーに切り替えられたようです。サーバー情報を見ると東京港区六本木の会社の住所に加えて以下のキャプにある大阪府枚方市の住所が出てきます。ここには電話番号が書いてあり、六本木の会社の住所に対応する電話番号(+81.364471993 = 東京(03)-6447-1993)、と下のキャプに見られる大阪府枚方市に対応する携帯電話と思われる電話番号(+81.8055149428 = (080)-5514-9428)が確認出来ます。どうして会社概要に電話番号が書かれていないのか理解不能です。

また経営者のメールアドレスとして記載されているのは無料で登録できるg-mailのアドレスです。

Lastroots ドメイン情報.PNG

これらの連絡先情報を見るだけで信用度が高い会社とは思えません。

「c0banクラウドファンディング (c0bantrade.jp)」のサイトにはコバンという仮想通貨の説明や投資の募集概要が書かれています。目標金額5000万円に対して既に目標の倍額である1億円を超える出資が集まっているとなっています。

c0banクラウドファンディング トップ.PNG

現時点ではコバンという仮想通貨を1両=85円、最低100両から買うことが出来て取引所がオープンする時には1両=120円で取引される予定だそうです。逆の言い方をすれば現時点での換金は出来ないようです。

c0banクラウドファンディング プリセール価格.PNG

さらに以下の図でコバンの仕組みが説明されています。ラストルーツ社は投資家だけではなく、広告を出したい企業にもコバンという仮想通貨を売り、消費者はラストルーツ社の用意する広告サイトで企業の出す広告を見ることでコバンを獲得することが出来ると説明されています。さらに獲得した仮想通貨であるコバンは広告主企業の商品やサービスを購入することに利用出来るような説明になっています。

c0banクラウドファンディング c0ban広告.PNG

但しコバンを消費者に提供するスポンサー企業が広告を出すサイトには現時点で広告は用意されていません。以下のキャプにあるようにこの広告システムが稼働するのは2016年11月と予定されているようです。

c0ban広告2016年11月予定.PNG

さらにこの広告が掲載される予定のサイトには以下の様な説明もあります。

c0ban広告システム.PNG

動画(スポンサー企業の広告)を見ることでコバンが貰えるだけではなく、店舗を訪れることによってもコインが貰える、さらに今のうちにコバンを買っておけば取引所がオープンした時にコバンの価格が上昇して売買差益を得ることも可能であるというのが説明の趣旨でしょう。

しかしこれは経済的合理性のあるビジネスモデルなのでしょうか?広告を見るだけで仮想通貨が貰えるのならば、あるいは店舗を訪れるだけで仮想通貨が貰えて商品やサービスの購入に充てることが出来るのならばわざわざ今から小判を買っておくのが正しい選択になるかどうかは疑問です。さらに広告主となるスポンサー企業は商品やサービスが売れてもその代価が自ら無料で配る仮想通貨だけでは利益になりません。消費者が現金を出して買ってくれなければコバンのシステムで広告を出す甲斐がありません。

一方で広告を見てコバンを貰おうとする消費者の立場で考えるならば短時間でそれ相当の価値のコバンが貰えるのでなければコバン広告のサイトにアクセスして広告を見ようとは思わないでしょう。既に指摘したように逆にスポンサー企業は簡単に大量のコバンを渡したのでは単に商品をタダで配るあるいは大きく割引して売ることになってしまいます。どうやってバランスを取るのでしょうか?また例えば30分の広告を見ることによってコバンが1枚貰えるという条件になった時に消費者は30分の広告を見続けるでしょうか?単にパソコンや携帯を消音状態で放置してコバンだけを稼ごうとするのは目に見えていて広告効果は極めて弱いという結果に終わるような気がします。

またコバンを実際にシステムが動き出す前のプリセールで買おうと考える投資家の立場で考えるのならばコバンがスポンサー企業に大量に売れて需給が逼迫する状況が発生しない限り、コバンの値上がり益は期待出来ないように思われます。果たしてこんな広告システムでコバンの数が不足して値上がりするなんてことが期待出来るでしょうか?そもそもコバン広告のサイトに広告を出すスポンサー企業がどれほど集まるでしょうか?

個人的意見としてこのビジネスモデルが成功するとは到底思えません。運営元であるラストルーツ社の信用度にも疑いがあります。投資は推奨出来ません。

※付記

2017年12月、知恵ノートからの移行に伴って確認したところ、動画広告が掲載されるはずだったサイト(www.c0ban.com/)に広告が掲載された様子はありません。またアクセス状況を解析出来るサイトで調べたところ1日の訪問者数がわずか5人です。動画広告で利益を出すビジネスモデルが機能しているとは到底言えません。