検証80

本ページで取り上げるサイトはいずれも仮想通貨取引所 (暗号資産交換業者) に該当すると思われますが、いずれも日本の金融庁が公表している暗号資産交換業者の登録リストに該当がありません。ここで検証するサイトの多くは日本語対応しており、さらに少なくとも一部のサイトについて日本人に向けた勧誘や被害報告が確認されていて単に無登録の違法業者であるというだけでなく、詐欺目的のサイトである疑いが極めて濃厚と考えられます。

▼本サイトでの検証は名誉棄損に当たらないと考えます。→ 雑記1

「検証63」「検証64」「検証65」「検証66」「検証67」「検証68」「検証69」「検証70」「検証71」「検証72」「検証73」「検証74」「検証75」「検証76」「検証77」「検証78」「検証79で検証してきたTinderを始めとするマッチングサイト (出会い系サイト) やSNSで外国人による勧誘が行われているという共通点がある一連の詐欺仮想通貨取引所のサイトについての検証18ページ目です。「検証81」「検証82」「検証83」「検証84」「検証85」「検証86「検証87「検証88」「検証89「検証90「検証91「検証92「検証93「検証94「検証95「検証96「検証97「検証98「検証99「検証100「検証101「検証102「検証103「検証104「検証105「検証106「検証107「検証108「検証109「検証110「検証111「検証112」「検証113」「検証114」「検証115」「検証116」「検証117」「検証118」「検証119」「検証120」「検証121」「検証122」「検証123」「検証124」「検証125」「検証126」「検証127」「検証128」「検証129」「検証130」「検証131」「検証132」「検証133」「検証134」「検証135」「検証136」「検証137」「検証138」「検証139」「検証140」「検証141」「検証142」「検証143」「検証144」「検証145」「検証146「検証147」も続編があります。勧誘の手口などについては「検証63」の最初に書いてあるので参照してください。 本ページでは以下のサイトを検証します。


●QMCoin (QMコイン www.sw-coins.com/#/)

●MYMONEYCOIN (マイマネーコイン www.mmcoinweb.com/#/)

●GLOBAL DIGITAL CURRENCY (グローバルデジタルカレンシー gdct.io/dist/#/)

●Lxcoin (LXコイン lxcoin.net/dist/#/)

●Abbex (abbex.asia/)

●Abbex (www.abbex.ltd/dist/#/)

●Richcoin (リッチコイン richcoins.net/dist/#/)

●Bottcoins (ボットコインズ www.bottcoins.com/dist/#/)

これら8つのサイトはいずれも「検証63」以降で検証してきた中国系の詐欺グループによると思われる多くのサイトの中でも最も頻繁に出てくるタイプに属すると考えられるサイトです。同じテンプレートからコピペで量産されたことが明らかであるようなサイトを全て丁寧に検証しても仕方がないので全てまとめて検証することにします。尚、URLアドレスの異なるAbbexというサイトが2つ含まれていますが、「検証73」でもURLアドレスの異なるAbbex (www.abbex.group/) というサイトを検証しています。

8つのサイトの内、最初のQMコインについてはYahoo知恵袋に出金出来なくなったという以下のキャプに示した投稿が出てきたことで知ることになりました。添付されていた画像と共に示します。

自称・台湾人女性から勧誘されて一度は出金出来たので安心してしまい、30万円を仮想通貨で入金したところ出金出来なくなったという経緯は「検証63」の冒頭で説明した中国系詐欺の勧誘の典型的なやり口と思われます。このQMコイン以外の7つのサイトについてはいずれもこれまで検証してきたサイトで同じテンプレートから作られた兄弟サイトが多数見つかっていたことから画像検索を行って見つけてきたサイトです。例えば以下はQMコインのサイトにあるマルチプラットフォーム対応を説明する部分です。

ここにあるパソコンとスマホの画面の部分を画像検索に掛けてテビグローバル、リッチコインとボットコインズの3つのサイトを発見しました。同様に「検証78」で検証したBitUP Aというサイトにあるパソコンとスマホの画像を画像検索に掛けてマイマネーコイン、グローバルデジタルカレンシー、LXコイン、2つのAbbecと5つのサイトを見つけてきました。従ってQMコイン以外の7つのサイトについては勧誘されたとか被害に遭ったといった報告が確認されている訳ではありませんが、将来的に詐欺に使われる可能性も充分にあるサイトと判断して検証対象にします。

まずURLアドレスですが以下の4つのサイト

QMコイン:http://www.sw-coins.com/#/

マイマネーコイン:http://www.mmcoinweb.com/#/

LXコイン:http://lxcoin.net/dist/#/

Abbex:http://www.abbex.ltd/dist/#/

の4つについては暗号化されていることを示す「https」ではなく暗号化されていないことを意味する「http」でURLアドレスが始まっています。「http」で始まるURLアドレスは「検証72」のレモンコインの検証などでも指摘したように一連の中国系と思われる詐欺サイトでしばしば観察される特徴ともなっていますが仮想通貨取引所のサイトとして有り得ません。理由は不明ですがURLアドレスに「#」が含まれているのも一連の中国系の詐欺サイトのURLにかなり共通する特徴です。

次にそれぞれのサイトの冒頭部のキャプを示していきます。まずQMコインとマイマネーコインの2つです。

▼QMコイン (表示言語は英語のみ)

▼マイマネーコイン (表示言語は英語のみ)

わざわざ指摘するまでもなくQMコインとマイマネーコインのサイトは互いに明らかに似ています。さらにこの冒頭部は「検証72」で検証したレモンコインの冒頭部とも極めてよく似ています。以下にレモンコインのサイトの冒頭部のキャプを再掲します。

次は表題の3~8番目の6個のサイトの冒頭のキャプを順に示します。

▼グローバルデジタルカレンシー (対応言語は中国語、英語、香港語、日本語)

▼LXコイン (対応言語は中国語、英語、香港語、日本語)

▼Abbex (abbex.asia/)  (対応言語は中国語、英語、香港語、日本語)

日本語表示を選択すると以下のキャプに示した通り、何やら表示がおかしくなります。その下に示した中国語表示を選択した場合にはおかしな部分は見られません。サイトが未完成なのかもしれません。

Abbex (www.abbex.ltd/dist/#/) (対応言語は中国語、英語、香港語、日本語)

▼リッチコイン (対応言語は英語、香港語、日本語、韓国語)

▼ボットコインズ (対応言語は英語、香港語、日本語、韓国語)

リッチコインとボットコインズは互いに非常に似ていることが明らかです。さらに既視感を感じたので調べてみると既に閉鎖されているサイトですが「検証63」で検証したHKEX (hkex.us/#/) というサイト、「検証69で取り上げたTMT Global (TMTグローバル www.xttmt.com/dist/#/) というサイトと明らかに似ています。以下に順にHKEX、TMTグローバルのサイト冒頭部のキャプを再掲します。

リッチコイン、ボットコインズはHKEXやTMTグローバルと同じテンプレートから作られたサイトであることは間違いないでしょう。

この冒頭部に続いてはサイトの特長をイラスト付きで3項目にまとめて説明している部分があります。以下はQMコインのサイトからのキャプですが同じイラストと説明文の組み合わせは「検証63」以降で検証してきた中国系と思われる詐欺サイトでしばしば確認されています。

例えば以下は「検証78」で検証したBitUP A (www.bitupa.com/#/home) のサイトからのキャプですが全く同じに見えます。

そしてこれと同じイラストと説明文の組み合わせ3項目は本項で検証しているQMコイン以外の7つのサイトでも確認出来ます。さすがに見分けのつかない8つのキャプを並べても意味がないので省略しますがマイマネーコイン、グローバルデジタルカレンシー、LXコイン、Abbex (abbex.asia/)、Abbex (www.abbex.ltd/dist/#/)、リッチコイン、ボットコインズの7つのサイトでもこれと同じイラストと説明文の組み合わせが確認出来ます。但しグローバルデジタルカレンシーの場合のみ以下のキャプに示した通り、イラスト部分の青かった部分が赤になっている色変わりバージョンになっています。何故このサイトだけ色変わりになっているのかは全く不明です。

ちなみにその後、「検証87」で検証したFHIndex (FHインデックス www.fhindex.top/dist/#/)というサイトでもグローバルデジタルカレンシーと全く同じではありませんが同様の色変わりバージョンが登場しています。

これら3つの特長をまとめた部分に続いてはマルチプラットフォーム対応を説明する部分があります。既に上で説明したようにこの部分にあるパソコンとスマホの操作画面の画像を画像検索に掛けることによってQMコイン以外の7つのサイトを見つけてきたので当然ながら本項で検証している8つのサイトに同じ画像がありますが8つの画像を並べても仕方がないので省略することにします。

そしてトップページの一番下には8つのサイトに共通して脚注があります。まず以下にQMコインとマイマネーコインの脚注部分のキャプを順に示します。気になった部分を色枠で強調してあります。

これら2つのサイトで赤枠で囲った「blex Global Station」という部分には違和感があります。文章としては「blex Global Station」に口座を作って快適なトレードをしましょうという意味になっているのですがそれぞれのサイトの名称はQMコインとマイマネーコインであって「blex」ではありません。さらに黄色の色枠で囲った部分にも活字が小さい上にコントラストがはっきりしなくて非常に読みにくいのですが

>©Copyright 2019 BLEX. All rights reserved. 

と書いてあります。比較の為に例えばLXコインのサイトの相当部分を見ると以下のキャプに示した様に「Lxcoin」と書いてあります。

LXコインのサイトでは「Lxcoin」と書かれていることから考えるとQMコインとマイマネーコインの上のキャプで赤枠、黄色の枠で囲った部分には本来は「blex」ではなく、それぞれ「QMCoin」、「MYMONEYCOIN」と書かれているべきではないかと思われました。同じグループによるblexというサイトがまた別個に存在しているのではないかと考えて検索してみましたが見つかりません。こうした奇妙な状況から推測するにおそらく既に閉鎖されているけれどかつては「blex」というサイトが存在していてblexのサイトをテンプレートにしてQMコインとマイマネーコインの2つのサイトを作る時に誤って「blex」と書かれていた部分を修正し忘れた為にこうした違和感のある状態になっているのではないかと考えられました。単なる推測ですがこの可能性はかなり高いように思います。

それ以外の5つのサイトについても脚注部分のキャプを示していきます。まず以下は順にグローバルデジタルカレンシー、Abbex (abbex.asia/) 、Abbex (www.abbex.ltd/dist/#/)の3つのサイトの脚注部のキャプです。

ここまで脚注部のキャプを示した6つのサイトでは共通して脚注の右側に英語表記ならば「Contact Us」、日本語表記なら「連絡先」と書かれた部分があり、Facebook、TwitterなどSNSのアイコンが並んでいるのですが、これらのアイコンはいずれのサイトでも単なる画像データーでリンクにはなっていません。つまりSNSへのリンクが連絡先に結び付くような形に見えますが、実際には何の連絡先情報も無いのです。

最後に残ったリッチコイン、ボットコインズの脚注部のキャプです。

まず気になったのはリッチコインの脚注で赤枠で囲んだ部分です。活字が小さくなって読みにくいですが「Bottcoins 簡単な介紹」と書いてあります。「介紹」は「紹介」の間違いだと思われますがリッチコインのサイトなのに「Bottcoins」と書いてあるのは元々リッチコインのサイトがボットコインズのサイトをテンプレートにして作られていてサイトに転換する時に修正を忘れたからではないかと思われます。ボットコインズの脚注の相当部分を見るとこの位置にはリッチコインのサイトと同じく「Bottcoins 簡単な介紹」と書いてあります。上で説明したQMコインとマイマネーコインのサイトにもテンプレートになったサイトからの修正漏れと思われる部分があったのと同じパターンでしょう。

連絡先情報についてはリッチコイン、ボットコインズの両方とも脚注右端の「連絡先」と書かれている部分にメールアドレスが書かれています。

リッチコイン:richcoinshk@gmail.com

ボットコインズ:chenzihao350@gmail.com

いずれも無料登録出来るgmailのメールアドレスであり、仮想通貨取引所の連絡先情報がこれだけしかないというのは話にならないと思います。

連絡先情報については幾つかのサイトのWho Is情報に断片的な情報が見つかります。まず以下にAbbex (abbex.asia/)とAbbex (www.abbex.ltd/dist/#/)のWho Is情報を示します。

それそれのWho Is情報で赤枠で囲った部分に登録者の所在に関する情報があります。

▼Abbex (abbex.asia/)

Registrant Organization: 福特斯国际金融集团有限公司

Registrant State/Province: 香港

Registrant Country: HK

Abbex (www.abbex.ltd/dist/#/)

Registrant Organization: FORTES INTERNATIONAL FINANCIAL GROUP LIMITED

Registrant State/Province: xiang gang

Registrant Country: HK

漢字表記と英語表記の違いがありますが両方とも香港の福特斯国际金融集团有限公司 (英語名はFORTES INTERNATIONAL FINANCIAL GROUP LIMITED)が登録者となっています。この香港の法人について調べてみましたが香港の法人登録らしきものは見つかるものの2017年9月27日に登録されていることが分かるだけでやはり住所などの連絡先情報も記載が無く、ネットでこれ以上の情報が見つからないことから実態のないペーパーカンパニーの可能性が高いように思います (以下のキャプ参照)。

これ以外のサイトではキャプは省略しますがリッチコインのWho Is情報では登録者の所在地が中国四川省成都市、ボットコインズのWho Is情報では同じく中国安徽省となっています。リッチコインとボットコインズは互いに非常に似たサイトなので登録者の所在地が全く異なるということはWho Is情報にもデタラメが書かれているのかもしれません。

最後に各サイトで取引されている仮想通貨について触れておきます。以下は左から順にQMコイン、マイマネーコイン、グローバルデジタルカレンシーのサイトで取引されている仮想通貨のリストです。

これらのリストにある仮想通貨の多くはビットコイン (BTC)、イーサリアム (ETH)などメジャーな仮想通貨、仮想通貨データーベースのCoinMarketCapで情報が見つかる仮想通貨ですが、全く情報が見つからない取引所独自と思われる仮想通貨が1個ないし2個見つかります。QMコインの場合にはQMCとQQCの2つ、マイマネーコインの場合にはMMC、グローバルデジタルカレンシーの場合にはGHBという仮想通貨がそれぞれのサイトの独自仮想通貨と思われます。そこでこれらの仮想通貨のチャートを確認しようとしましたがこれら3つのサイトでは残念ながらいずれもチャートを見ることが出来ません、

例えば右はQMコインのサイトでQQCという謎の仮想通貨の日足チャートを出そうとしたのですが空白のままです。実はQMコインのサイトではビットコインなどのメジャーな仮想通貨のチャートも出てきません。

その他、例えばLXコインのサイトでは取引されている仮想通貨のリストさえログインしないと見ることが出来ない設定になっているようです。勿論チャートも見ることが出来ません。極めて不明朗と考えざるを得ません。

結論として最初に書いたように既に出金出来なくなったという被害報告が出ているQMコインだけでなく、本項で検証した8つのサイトはいずれも信用に値するとは思えません。勧誘されても応じないことを強く推奨します。