検証30
このページでは以下を検証します。
●GRAM [TON Token TONトークン] (グラム www.ton-sale.com/ 他複数サイト)
●Shivom [OMIX Tokens, OMIXトークン] (シボム shivom.io/)
●Genetic Technologies Limited (ジェネティック・テクノロジーズ・リミテッド gtgcorporate.com)
まずは多数の詐欺サイトが出現していると思われる案件の検証を始めます。
●GRAM [TON Token TONトークン] (グラム www.ton-sale.com/ 他複数サイト)
この項目はYahoo知恵袋での質問に対する回答として書いたものです。
最初に書いておきますが状況はかなり複雑で全体像を把握するのが非常に困難です。既に閉鎖されたサイトなども存在するようで実際には多数の怪しげなグループが暗躍してそれぞれ偽サイトを立ち上げている状況と思われます。おそらく少なくない被害者が既に出ているものと思われますが何故こんな状況が許されているのか理由はよく分かりません。
まず知恵袋の投稿を元に調べてみると現時点(2018年3月上旬)で非常にややこしいことに表題のサイト以外にもコピペして作ったとしか思われないサイトが少なくとも4つ、表題のサイトを合わせれば5つも確認されます。後述しますが同様のサイトがいくつか存在していたようであり、全部で類似のサイトが幾つあったのかさえよく分かりません。とりあえず現在確認されるサイトは以下の7つです。最初の5つは検索で出てきたもので残りの2つは知恵袋に新たに出た質問に登場したサイトです。これだけで非常に怪しい印象を受けます。
https://www.telegram-offering.com/
7つのサイトは互いに酷似していて殆ど見分けがつきませんが、既に始まっているPre-ICOの売れ行き状況はそれぞれのサイトで何故か全く異なります。例えば表題のサイト (www.ton-sale.com/)では2018年3月4日現在で予定販売数1200万枚の内、89%が売れているとなっていますが、
5つ目のサイト(gram-ico.info/)では同時刻に予定数の32%しか売れていないことになっています。
ちなみにアクセス数を解析出来るサイトで調べてみるとアクセス数では5つ目のサイトへのアクセス数が1日当たり550回ほどで10回以下のアクセスしかない他の6つのサイトよりもかなり多いようです。7つも同じサイトがあるのは明らかに異常ですが7つのサイト全てが怪しいサイトなのか、それともどれか1つは真正のサイトで他の6つが詐欺を意図したサイトなのかこれだけでは分かりません。それでも同じサイトとしか思えないサイトを全部確認するのも大変なので以下の検証では主に表題のサイト(www.ton-sale.com/)と表題のサイトからダウンロードしたホワイトペーパーを検証していくことにします。
まずこれらのサイトにある記述を読むとこの案件は紙飛行機型のアイコンで知られるインスタントメッセンジャーを提供しているTelegram (テレグラム)が募集しているICOということが強調されています。日本ではLINEがメッセージアプリとしては最も使用者が多くてテレグラムはメジャーな存在ではないのでしょうがホワイトペーパーによれば世界的には2億人のテレグラムのユーザーいて、それらのユーザーを中心にTONトークンという仮想通貨を普及させる予定となっています。この説明が本当ならばそれなりに普及が見込める有望な仮想通貨という印象を持つのがむしろ自然でしょう。ちなみにGRAMというプロジェクト名(?)はテレグラム(Telegram)という単語の後半部に由来し、TONというトークンの名前は用意されているホワイトペーパーによればTelegram Open Networkの頭文字を取ったもののようです。
まずこのテレグラムというメッセージアプリの開発元の創設者、運営者はPavel Durov (パーヴェル・デューロフ)という人物です。Wikipedia英語版やTech Crunchの記事によればロシア出身のパーヴェル・デューロフ氏はロシアで運営していた「VKontakte.com」というSNSサイトの経営者の地位を株主の造反で奪われてロシアを脱出し、現在はドイツで弟のPavel Durov氏と共に非営利の法人としてテレグラム (www.telegram.org/)を運営しているようです。表題のGRAMのサイトにある運営者の項目にも創業者兼CEO (最高経営責任者)、共同創業者兼CTO (最高技術責任者)としてデューロフ兄弟の名前が出ています。つまりTONトークンの発行事業に関してもこの兄弟が責任者ということになります。
テレグラムの経営を主導するデューロフ兄弟が仮想通貨事業でも主導的役割を担い、2億人というテレグラムの利用者を仮想通貨の利用者として想定しているのですから当然テレグラムの公式サイト (www.telegram.org/)でも仮想通貨事業に関して何らかの記述があるものと考えたのですが関係するような記述は全く見出せませんし、7つもあるGRAMのサイトへのリンクも全く見つかりません。そこでさらにPavel Durov氏のTwitterアカウントやテレグラムのTwitterアカウントを見たところ、関連すると思われる投稿を見出しました。まず2018年1月21日付のデューロフ氏のツイートです。「GRAMを買わないかというオファーを見かけたら以下のテレグラムのアカウントに情報を寄せてください」と書かれています。情報を提供先とされたテレグラムのアカウントは既に閉鎖されているようです。
この投稿に対して数十件の情報提供の投稿がTwitterへの返信の形で寄せられ、それぞれの投稿者が複数のサイトについて報告するとともに真偽を問うています。例えば以下の投稿では「telegramfoudation.org」というサイトが偽物なのかという質問に対してテレグラムの公式アカウントからそのサイトは偽物であるという回答投稿が付いています。
ちなみにこの「telegramfoudation.org」というサイトは現在では閉鎖されたのかリンクをクリックしても「502 Bad Gateway」というエラーメッセージが表示されるだけです。このURLアドレスは現在確認される7つのGRAM (TONトークン) 関係のサイトのURLのいずれとも異なるので少なくとも8つ目のGRAM関係のサイトが存在していたと考えざるを得ません。しかしこの投稿以外の情報提供投稿、真偽を問う投稿に対しては運営側から真偽を確認する回答は付いていません。
さらに時期がさかのぼりますが、2017年12月22日にはパーヴェル・デューロフ氏のアカウントから以下の投稿が為されてます。テレグラムからの公式発表は全てテレグラムの公式サイトで発表するので他のサイトにある情報は全て偽情報の可能性が高いという警告です。
この投稿に対して仮想通貨事業のニュースは偽情報なのかという質問投稿が付いていますが、パーヴェル・デューロフ氏の回答は仮想通貨の件について直接回答せずに複数の偽サイトを確認しているので注意してくださいというだけのものになっています。
少なくとも現在見ることが出来るデューロフ氏の投稿には仮想通貨事業が詐欺であると直接的に明言するものは見当たらず、曖昧な印象を受けます。しかし以下の3つのサイトにはデューロフ氏が明確にテレグラムによるICOを否定した投稿をしていたという記述があります。いずれの記事にもデューロフ氏によるTwitter投稿のキャプ画像が付いていて投稿日は2018年1月16日となっています。
▼steemit 「Gram ICO is a scam, Telegram CEO says Scam alert! 」
▼A to Z FOREX 「Gram ICO is a scam, Telegram CEO says」
▼VARCHEV 「Telegram CEO officially confirms Gramtoken.io ICO as FAKE」
但しこれら3つのサイトはいずれも口コミサイト的なサイトのようであり、情報源としての信頼性はあまり高くないように思いますし、デューロフ氏がScam (詐欺)と断言しているのは「gramtoken.io」という特定のサイトなのか、それともテレグラムの仮想通貨と称するGRAMに関するサイトの全てを否定しているのか曖昧です。ちなみにここで出てくる「gramtoken.io」というサイトもこの項目の最初に列挙した7つのGRAM関係のサイトのいずれともURLが異なるので9つ目のサイトということになるかもしれません。但し少なくとも9つ存在していたと思われるサイトのいずれかが真正のサイトであるならばデューロフ氏が真正のサイトに言及しないということは想定し難いように感じられます。
さらに検索を続けているとテレグラムが実際に仮想通貨を発行して巨額の資金を調達したという記事がここ数日で複数出ていることに気が付きました。但し資金調達はまず巨額の資金を投入出来る大口の投資家限定で行われたようです。例えばForbesという大手のメディアに2018年3月2日付で出た「Dear Crypto Enthusiasts, Forget The Telegram ICO, It's Not For You (仮想通貨の熱狂的なファンの皆さん、テレグラムのICOは貴方向きではないので忘れましょう。)」というタイトルの記事から一部抜粋します。
(デューロフ氏の出身国である)ロシアでは既にプロの投資家がテレグラムのICOにお金を投資しているけれどもこれは(限られた投資家だけに開かれた)プライベートセールの形で行われており、アメリカから参加出来るのはプロの投資家だけであるとなっています。その最低投資額はテレグラムの部外者の場合には2000万ドル(1ドル=100円で計算して20億円)、デューロフ氏の「お友達」の場合でも最低50万ドル(同じく5000万円)からの投資になると書かれています。さらに記事の続きにはこのICOで売られたトークンには最低2年間のロックアップ期間(転売出来ない期間)が設けられていて近い将来の上場も予定されていない、つまり長期投資家専用のICOであるといったことも書かれています。また一般の投資家が参加出来る一般的なクラウドセールの形でのICOは予定されていないといった記述もあります。そしてテレグラムのICOでの資金調達額は「anywhere from $4 billion to $5 billion. (40億ドルから50億ドル程度)」つまり1ドル=100円で計算して4000億円かから5000億円程度というこれまでのICOの中でも1番の巨額になるとも書かれています。(この資金調達額については複数のメディアで全く異なる数字が出ていますがこの検証では本筋ではないので深く追及しません。)
テレグラムのICOがこういった巨額の資金を投資出来る大口投資家限定で行われていたのだとすれば本項で検証してきたような誰もが投資出来る形になっている複数のサイトは全てテレグラムのICOが行われるというニュースに乗じておそらく複数の詐欺グループが立ち上げた詐欺サイトということになりそうです。複数の詐欺サイトが出現している件については同じForbes誌の「Telegram ICO: Scam Among Cryptocurrency Scams」と題する2018年2月17日付の記事に記述があって具体的には以下の7つの詐欺サイトが確認されていると書かれています。
gramtoken.io
tgram.cc
ton-ico.com
ton-gram.io
grampreico.com
gramtoken.tech
驚くことに本項目の最初に確認した7つのサイトはこの7つの詐欺サイトと全く重複していません。驚くほど多くの詐欺サイトが存在していたことになります。これらの中で特にデューロフ氏もTwitterで注意を呼び掛けていたという「gramtoken.io」という詐欺サイトについてはTech Crunchというサイトに2018年1月20日付で詳しい記事が出ていて1月半ばに閉鎖されるまでに500万ドル(約5億円)以上を騙し取ったと噂されていると書かれています。
テレグラムがこれだけ多数の詐欺サイトが出ている現状を認識しながら何故もっと明確に警告を発しないのか非常に疑問ですが、厳重な注意が必要と思われます。
※付記
さらに偽サイトが増え続けているようです。既に閉鎖されたと思われるものも含めて並べてみます。偽かどうかの判断はしていませんが本物のサイトが多数共存するとは思えないので大半は偽サイトでしょう。デザインが明らかに異なるサイトもあるので複数のグループがフィッシング詐欺のようなことをやっているのだと思われます。最後のサイトはウイルス対策ソフトから危険なサイトとして警告が出ました。アクセスは推奨出来ません。
https://gram-token.tech (閉鎖済み)
http://gram-coin.org
https://tongram.info/
https://blockchainbch.net/
http://www.telegrami.io/
https://gram-ico.net/
http://telegramico.online/
https://www.gram-ico.com/ (閉鎖済み)
https://ico-gramtoken.info/ (閉鎖済み)
http://ton-token.com/
http://www.tongram-ico.com/
https://tokensale-telegram.org/
http://etherbots.org/
http://legram.org/
https://teiegram.pro/ (閉鎖済み)
https://țon.com/
https://grams.technology/
https://www.cryptongram.org/ (ウイルス対策ソフトから警告。)
●Shivom [OMIX Tokens, OMIXトークン] (シボム shivom.io/)
●Genetic Technologies Limited (ジェネティック・テクノロジーズ・リミテッド gtgcorporate.com)
今のところ日本語での勧誘はそれほど多くはないようですが幾つかの日本語ブログや日本語の動画でも勧誘が行われ、日本語のプレスリリース記事も出ているようなので取り上げてみることにしました。概要は以下にある日本語のプレスリリース記事(会社側発表をそのまま記事にしたもの)を読むのが簡単かもしれません。いずれのプレスリリース記事も日付は2018年3月7日です。
>【ミュンヘン2018年3月7日PR Newswire=共同通信JBN】
*ブロックチェーン・ゲノミクスのパイオニア企業がナスダック上場の分子診断企業と提携、ゲノム・データの「クリティカルマス」によってがん検知を加速へ
>ブロックチェーン駆動の「固有ID」ゲノム・データベース・プラットフォームであるShivomは7日、有力な分子診断企業Genetic Technologies Limited(ASX: GTG; NASDAQ: GENE)と重要な提携を結び、世界の何百万もの個人のがん検知を加速すると発表した。
この案件では集めた資金の投資先が1つの企業に全て振り向けられるようですし、仮想通貨投資名目でも決済手段としての機能などは最初から殆ど想定されておらず、議決権の伴わない株式投資みたいなものに近い印象を受けるので仮想通貨の発行元であるシボム社だけでなく、投資先であるジェネティック・テクノロジー社についても投資の適否を考える上で極めて重要な要素と考えて検証することにしました。
まず例によってシボム社の連絡先情報から探しましたが明確な情報が全く見つかりません。公式サイトの「Contact」のページには幾つかメールアドレスが並んでいるだけです。国別のメールアドレスはイギリス、ドイツ、インド、アメリカの4カ国となっています。
>United Kingdom sally@shivom.io
>Germany axel@shivom.io
>India gourish@shivom.io
>USA henry@shivom.io
>General Enquiries info@shivom.io
>Investment Enquiries invest@shivom.io
また以下のキャプは公式サイトの「Documents」というページからダウンロード出来る「Pitch Desk」というホワイトペーパー的な文書の最後のページにある連絡先情報ですがメールアドレスと幾つかのSNSのURLアドレスが書いてあるだけで住所とか電話番号は全く見つかりません。シボム社が何処の国の会社なのかさえ分かりません。
但し上で引用したようにプレスリリース記事の発信元と思われるミュンヘンという地名が出ていること、あるいはFacebookのアカウントの「基本データー」という項目にある電話番号は以下のキャプに示すように[+49]というドイツの国番号から始まっています。
またシボム社自体がアップしているわけではありませんがYoutubeにある以下の紹介動画のタイトルではシボム社を「German Start-up (ドイツのスタートアップ企業)」と紹介しています。
しかし一方でシボム社がドイツの企業と考えると不自然な部分もあります。まずシボム社がドイツの企業であるならばシボム社の公式サイトに英語版しかないことは明らかに不自然です。上で引用した投資家向けの「Pitch Desk」というホワイトペーパー的な文書も英語版しか用意されていません。やはり公式サイトの「Document」というページからダウンロード出来る「Executive Summary」というもう1つのホワイトペーパー的な文書は英語版以外に何故か中国語版と韓国語版が用意されているようですがドイツ語版は見当たりません。ドイツの企業であるとするなら非常に不自然です。
またシボム社は仮想通貨発行で資金調達する件に関してDigitalX (デジタルX www.digitalx.com/)という会社から助言を得ているようです。以下のキャプはデジタル・エックス社がシボムの案件を含む2件のICOでアドバイザー契約を結んだという記事のタイトルです。
デジタルX社の公式サイトにもシボムのICOを含めて10件ほどのICOに関わったことが記されています。このデジタルXという企業も連絡先情報が全く明らかにされておらず、怪しげな雰囲気が漂うのですが公式サイト冒頭にはデジタルXが(オーストラリアの)パースと(アメリカの)ニューヨークに本拠を置く企業であると書いてあります。
シボム社がドイツに本拠を置いているならばアドバイザーとしてオーストラリアとアメリカに拠点があるデジタルX社を選択するのは不自然に感じます。公式サイトや投資家向けの目論見書にドイツ語版がないこと、そして後述しますが集めた資金の投資先がオーストラリアの企業となっていることなど考えるとシボム社の明示されていない本拠は実はドイツではなくオーストラリアにあるのではないかと考えたくなります。総合的に考えてシボム社の情報開示は極めて不充分で信用度も低いと結論せざるを得ません。
次に資金投入先であるジェネティック・テクノロジー社についてですが、これはアメリカのNASDAQ株式市場に上場しているオーストラリアの企業となっています。主要な株式市場に公開されている企業ですから当然連絡先情報は公開されていて特に問題は感じません。
>Genetic Technologies Limited
>60 Hanover Street, Fitzroy Vic 3065, Australia
>Telephone +61 3 8412 7000
>Facsimile +61 3 8412 7040
しかしこの企業の経営状態にはかなり問題があるように思います。ジェネティック・テクノロジー社の決算情報はYahoo Japanに日本語版がありますが残念ながら2015年度までしか見ることが出来ないのでYahoo USAやMarket Watchにある英語版の決算情報を主に見ていくことにします。そして決算情報を見るとこのバイオ企業の決算はお世辞にも良好とは言えません。以下はYahoo USAにあった過去4年の売上(Revenue)と収支(Earnings)をまとめた棒グラフですが、毎年の収支が800万豪ドルから1000万豪ドル程度の赤字決算。一方で売り上げは過去4年、毎年大幅な減少を続けています。
そして例えば直近の2017年度の決算では年間売上額が51万8500豪ドルしかないのに赤字額が840万豪ドルと売上高の16倍以上です。これは悲惨な決算状況としか言い様がありません。そして極めて危ない経営状態を反映してジェネティック・テクノロジー社の株価は本項を書いている2018年3月現在、1.35ドル前後と極めて低い水準にあります。市場での企業価値評価は到底高いものとは言えません。何とかして売り上げを劇的に拡大して収支を大幅改善出来なければNASDAQ株式市場から上場廃止になったり、経営破綻してしまう可能性だって充分にあると考えざるを得ません。
またこの企業主力商品は非遺伝性の乳癌のリスクを図る「BREVAGenplus」という医療用のテストキットのようですが、プレスリリース記事など読むと仮想通貨の発行で集めた資金を使って数百万人のゲノム配列(遺伝子配列)データーを収集して病気との関連をさらに調べるといったことが書いてあります。そして収集した数百万人分のゲノム配列データーをブロックチェーン上のデーターベースで保存するといった計画が書いてあるのですが、ゲノム配列のデーターをブロックチェーン技術を使って保存することの意味が分かりません。改ざんされにくいという特質を持つブロックチェーンは例えば仮想通貨の帳簿管理などには非常に有用な技術であることは分かりますが、究極の個人情報と言われる個人の遺伝子配列情報のデーターベースでは改ざんされるリスクよりもデーターの流出のリスクを低くすることが重要なはずでブロックチェーン技術の使い道として正しいのか疑問を感じます。正直言って無理矢理仮想通貨とゲノムデーターベースを結び付けようとしているだけではないかと感じます。
発行する仮想通貨についても簡単に触れておきます。名称は以下のキャプに見えるようにOMIX TOKENS (OMIXトークン)となっています。
「Benefits of omiX tokens (OMIXトークンの利点)」に並んでいる項目を見るとDNA配列解析キットを入手出来るとかゲノムデーターベースへのアクセスが可能になるとか医療研究者でもない一般人には全く縁のなさそうなBenefits (利点、利用価値)ばかり挙げられています。一般的な決済手段として使われるようになる予定は最初から考慮されていない、単にDNA配列のデーターベースを作るなど研究投資に充てる資金集めだけを目的とする名目だけの仮想通貨と考えざるを得ません。
シボム社の情報開示が不充分であることなどからして信用度は高くありませんし、集めた資金の投資先の現状や将来性など考えるとこの仮想通貨への投資は推奨しません。ジェネティック・テクノロジー社の将来性に賭けてみたいという投資家がいたとしてもOMIXトークンを買うより、ジェネティック・テクノロジー社の株式に投資した方がマシな選択になる可能性が高いと判断します。
※付記
この件に関してYoutubeでシボムへの投資を募っていた複数のいわゆるユーチューバーを相手に集団訴訟がenjinというサイトで呼びかけられているようです。KEITASASAKI Top CryptoCurrency Japan&Malaysia佐々木啓太、ネオ投資家TAKAHIRO、The Freedom 仮想通貨通信など10人を超えるユーチューバーの名前が訴訟対象として挙げられています。