検証26

このページでは以下の3つの案件を検証しています。

●CloudMiner (クラウドマイナー www.cloudminer.biz/)
●Earn-Bitcoin Miner (アーンビットコインマイナー www.earn-bitcoin.io/)
●Hero Token (ヒーロートークン herotoken.io)


それでは検証を始めます。

●CloudMiner (クラウドマイナー www.cloudminer.biz/)

この項目も知恵袋に質問が出たので回答として書いているものです。一応イギリスの業者のサイトということになっていますが、日本語表示も可能なサイトになっています。知恵袋の質問は以下のようになっています(一部アフィリエイトのID部分は伏字)。アフィリエイトリンクが露骨に貼り付けられているので質問を装ったステマかもしれません。

>twenty7_and_lifeさん 2018/1/2801:35:33

>BTCのマイニングでcloudminer.bizというのは詐欺でしょうか?

>https://www.cloudminer.biz/?a=●●●●●

>最高でも60万出資すれば毎日30万ほどもらえるとか美味しく感じるのですが。。。。。。

(引用終了)

早速調べてみると2017年12月25日に作られたばかりの新しいサイトのようですが、マイニングを行って利益を出すという投資のようです。お試し用の無料ソフトに加えて投資額が0.005~0.5ビットコイン (ビットコイン1枚が120万円として6000円~60万円)の4つのコースがあり、それぞれ投資額と期待される収益は以下のようになっています。

CloudMiner v1.0 FREE (無料)

獲得レート: 10 Satoshi/min

1日の収益 0.00015 BTC

ベーシック・バージョン 1.1 (投資額0.005 BTC)

獲得レート: 110 Satoshi/min

0.0016 BTC 毎日

アフィリエイト収益 30%

スタンダード・バージョン 1.2 (投資額0.025 BTC)

獲得レート: 690 Satoshi/min

0.01 BTC 毎日

アフィリエイト収益 40%

■スタンダード・バージョン 1.3 (投資額0.125BTC)

獲得レート: 3500 Satoshi/min

0.05 BTC 毎日

アフィリエイト収益 50%

プレミアム・バージョン 1.4 (投資額0.5 BTC)

獲得レート:17360 Satoshi/min

0.25 BTC 毎日

アフィリエイト収益 60%

この数字が本当なら最高額のプレミアム・バージョンなら1日の配当利回りが50%、2日間で投資額の0.5BTCを回収することが出来てしまうことになります。年間利回りは50%の365倍で18250%となるはずです。しかしこの説明の直ぐ下には以下の様な記載もあります。年間利回りが541.68%だそうです。一体どちらの数字が正しいのか英語版を確認しても同じことが書いてあるだけで分かりません。

いずれにしろ非現実的としか思われない超高利回りですが、さらに「アフィリエイト収益30~60%」と書いてありますからこれも異常としか思われないアフィリエイト報酬であり、アフィリエイト報酬を差し引いて実際にマイニングに振り向けられる資金が大幅に減少しても18250%あるいは541.68%といった超高利回りを達成するなど到底出来るとは思えません。

またマイニングをするならばハード(高性能のマイニングマシン)の更新が常に必要となるはずですし、高額の電気代や人件費も必須ですから一度投資すれば永遠に高い配当が約束されるとは思えません。しかし本件では配当が何時まで支払われるかについて記述は見当たりません。ビットコインのマイニングで収益を得るという投資は既に「検証13」でビットクラブという案件を取り上げましたが、ビットクラブの場合には600日あるいは1000日という配当が出る期間が限定されていたのと対照的です。また同じビットコインのマイニング事業のはずなのにクラウドマイナーの配当は非現実的と思われたビットクラブの配当よりさらに高いです。具体的にはビットクラブが1000日=約2年9ヵ月(33ヵ月)で投資したお金が4~5倍になるという話しだったのに対してクラウドマイナーは1年間の配当利回りが18250%あるいは541.68%なのですから低い数字でもビットクラブの2~3倍、大きな数字ならばビットクラブの100倍近い配当が出ることになってしまいます。ビットクラブの配当でも非現実的と思われたのに同じビットコインのマイニングという事業でクラウドマイナーの配当利回りはビットコインの相場が大きく上昇したことを考慮しても夢物語としか思えません。

またこれだけの利益が確実に得られる事業ならば個人投資家から小口の資金を集めて高額の配当を出す経済的合理性がありません。事業者は自分たちで銀行などからの借り入れでも資金を調達して自分たちだけの為に事業を行って利益を享受するのが普通の考え方のはずです。

さらにこの案件については2017年12月25日にサイトが立ち上がって1カ月ほどしか経過していないのに既に英文で詐欺サイトであるという指摘が複数出ているようです。例えばGeek Pubというサイトで詐欺と結論している根拠を見ると以下のように書かれています。

>The bottom of their site is plastered with reviews from customers. (中略) They stole the photos from public websites, and some of the people are actually semi-famous enough to recognize!

サイトの一番下に顧客の声を紹介している部分があるけど、ここで顧客の写真として貼り付けられている写真はネット上にある写真を盗用したものであるといったことが書いてあります。

そして例えば「10万ドル稼げた」と証言しているChloe Morningstarという女性の写真はGoogleの画像検索機能を使って検索すると実際にはAdelle Charlesという女性の写真を盗用したものであると指摘しています。実際にクラウドマイナーのサイトにあるChloe Morningstarの画像を画像検索にかけてみると確かにAdelle Charlesのインスタグラムのアカウントが見つかり、同じ画像であることは間違いないようです。

同様にAlex Fosterという顧客についても画像検索するとDespreneur.comというサイト(despreneur.com/)の編集長であるTomas Laurinaviciusという人物の画像を盗用したものと思われます。全く同じ写真と思われるものが幾つかのサイトに確認されますが、以下の画像比較の右側の画像はCampfiresというクラウドファンディングのサイトで見つけたものです。アイコンに使われている画像は異なりますが同じ人物のTwitterアカウントも確認されます。

同様に連絡先情報のページを見ると以下に示すマイニング設備の前に立つ男性の写真がありますが、

これはどうやらGenesis Miningという大手マイニング会社の共同創業者でCEOであるMarco Strengという人物であることが幾つかのサイトで確認されます。例えば「znaypravdu.com」というサイトのMarco Streng氏のインタビュー記事の画像と同じものと思われます。

ついでにクラウドマイナー社の連絡先情報を見ると以下のようになっています。

>CLOUD MINER PRO LTD

>Founder

>Benjamin Frost

>Registered office

>High Road, London, East Finchley, United Kingdom, N2 9ED

連絡先情報にあるのは創業者の名前とイギリスの住所だけで電話番号はありません。またこの住所を調べてみると番地がないので明らかに不完全な住所であり、High Roadという数キロメートルはあると思われる道の何処に会社があるのか全く分かりません。

住所になっているイギリスの法人登録を調べると社名と住所が一致する法人登録が見つかりますがこちらの住所も不完全、さらに経営者は公式サイトに創設者として出ていたBenjamin Frostという名前ではなく、AHMAD, Sharifah Nadiah Binti Syedというマレーシア在住のマレーシア人になっています。しかもこのマレーシア人が唯一の登録されている経営者です。

公式サイトにある経営者情報と会社登記にある経営者情報が全く一致していないことになります。電話番号がないことなどと併せ、イギリスに本当に会社が実在するかどうか極めて疑問です。ちなみにこのマレーシア人は2017年8月にクラウドマイナー社と別にBITCOIN SPLIT TRADING LIMITEDという別の法人も立ち上げており、その住所はクラウドマイナー社と全く同じ住所です。

そしてこの業者による被害報告と思われるものがネット上に幾つも見つかります。例えばTwitterには既に出金出来ないといった投稿が出ています。

あるいはYoutubeにはクラウドマイナーから出金出来ない、詐欺であるといった趣旨の英語の動画が多数アップされています。例えば以下の動画を投稿した「Walt Bateman」という人は0.25ビットコインを払って「バージョン1.2」をダウンロードしたそうですが、出金可能額が溜まる度に出金を試みて実際に出金出来たのは6回中1回のみであったと報告しています。

有り得ないほどの高利回り、公式サイト上で公開されている情報にも多くの疑義があることなどから信頼出来る投資先とは到底思えません。投資は推奨しません。

※付記

2018年12月に確認したところ、クラウドマイナーのサイトは閉鎖されたようです。しかし一方でクラウドマイナーと同じグループによると思われる案件が立ち上がっているのを発見しました。以下で比較検証してありますから参照してください。



●Earn-Bitcoin Miner (アーンビットコインマイナー www.earn-bitcoin.io/)

2018年12月に右にキャプを示しましたがYoutubeで見かけたバナー広告で知る所となったマイニングの案件です。後述しますが明らかに上で検証したクラウドマイナーと類似性があり、同じグループによる案件の可能性が高いのでここで検証することにしました。このバナー広告だけ見ても案件名が分かりませんがクリックすると勧誘動画にリンクされており、この案件の宣伝であることが分かりました。英語版しか存在しないようですが日本向けにも勧誘が行われていると判断します。そして以下はアーンビットコインのサイトの冒頭にあるロゴと投資プランの説明図の部分のキャプですが明らかに配色やデザイン、そして4つの投資プランの説明に付いているロゴなどがクラウドマイナーの説明やロゴと酷似しています。クラウドマイナーの項目にあるキャプ画像と比べて頂ければ互いのサイトが偶然とは到底思えないほど似ているのが分かると思います。

投資プランの内容も互いに非常に似ています。例えばクラウドマイナーとアーンビットコインマイナーの一番投資額の少ないプランは共に「ベーシックバージョン1.1」という名称になっていてその条件は以下の様になっています (アーンビットコインマイナーについては日本語訳)。

■アーンビットコインマイナーのベーシック・バージョン1.1 (投資額 0.02ビットコイン)

獲得レート: 146 Satoshi/min (1日当たり 0.0021024 BTC)

アフィリエイトボーナス 15%

■クラウドマイナーのベーシック・バージョン 1.1 (投資額0.005 BTC)

獲得レート: 110 Satoshi/min (1日当たり0.0016 BTC)

アフィリエイト収益 30%

細かな数字は違いますが、プランの名称が一致しているだけでなく非常にクラウドマイナーと似た案件であることが分かります。またアフィリエイト報酬が付いていることも分かります。。つまりネズミ講方式で拡大するスキームの案件ということになります。

アーンビットコインマイナーの投資額が2番目以降の3つのプランは順に

■スタンダード・バージョン1.2 (投資額 0.1ビットコイン)

■スタンダード・バージョン1.3 (投資額 0.5ビットコイン)

■プレミアム・バージョン1.4 (投資額 1,79ビットコイン)

となっており、これらのプランの名称は完全にクラウドマイナーと同じです。さらにクラウドマイナーでも本案件でも無料で加入できるプランがあるようです。

■Earn-Bitcoin Miner v1.0 FREE (無料)

こちらでも10%のアフィリエイトボーナスが付いているようです。投資額とか還元されるビットコインの数字などは異なりますが無料プラン+4段階の有料プランがある点、その名称、アフィリエイト報酬獲得の権利が付いている点などクラウドマイナーと同様の仕組みと言えるでしょう。少なくとも独自に考えられたプランが偶然これだけ似てしまうということはおよそ考えられません。同じグループによる案件であると考えざるを得ません。

次に連絡先情報ですがアーンビットコインマイナーの連絡先情報は以下のキャプに示すようにイギリスの住所が示されているだけで電話番号などはありません。運営企業名はEARN BTC MINING LTDとなっています。

>EARN BTC MINING LTD

>42 Gower Street, London, United Kingdom, WC1E 6HA

イギリスの法人登録を探してみると確かにこのロンドンの住所で以下のキャプに示したEARN BTC MINING社の法人登録が見つかります。法人登録は2018年4月3日となっておりかなり新しい法人ということになります。

イギリスに法人登録がある点はクラウドマイナーと同じですがその住所や経営者は互いに異なります。クラウドマイナーの経営者はマレーシア在住のマレーシア人になっていましたが、EARN BTC MINING LTDの経営者はイギリス在住のイギリス人であるJOHNSON, Stevenという人物になっています。但しこの人物のイギリスの住所は法人の住所と同じであり、他に情報もないのでどれほど信頼出来るかはかなり疑問です。マイニングに必要な設備が何処にあるのか、どれほどの利益が出ているのか、どれほどの会員数が集まってどれほどの投資額がありどれほどのマイニングマシンが稼働しているのかといった具体的な情報も皆無です。これでは本当に集めた資金でマイニングが行われているかどうかさえ危ういです。

この案件はクラウドマイナーと同じグループによる案件であることはほぼ確実と思われ、クラウドマイナーで被害報告と思われるものが確認されていること、情報開示が極めて不充分であることなどを考えると信頼性は極めて低いと判断せざるを得ません。さらに他のマイニング案件の検証でも触れていますが、ビットコインの相場が一時期よりも大幅に下落したり、マイナー間の競争が激化したことでマイニングでは利益が出なくなっている現状があるようです。

ビットコイン急落で採掘業者も打撃-損失拡大で閉鎖迫られる恐れ (Bloomberg記事 2018年11月27日)

ビットコイン価格の下落で、中国のマイニング業者が「悲鳴」、投資家からは「貧乏に逆戻り」との声も=中国メディア (Searchina記事 2018年11月21日)

こうした状況を考えるとこの案件への投資は全く推奨出来ないという結論にならざるを得ません。

●Hero Token (ヒーロートークン herotoken.io)

フィリピン発の案件のようですがYoutubeに勧誘目的の日本語の動画が複数アップされている、勧誘目的の日本語のブログなども幾つか存在しているなど日本でかなり活動が確認されるので検証対象にすることにしました。アクセス解析によれば以下のキャプに示すように2018年1月現在で訪問者の76.3%、ページビューの79.3%が日本からと圧倒的です。一方でフィリピン発の案件のはずなのにフィリピンからのアクセスは1%以下のようで日本からのアクセスばかり多いことに少なからず違和感を感じます。

これだけ日本からのアクセスが多い背景として現在は何故か閉鎖されているようですが最近まで「https://herotokens.io/jp」というURLアドレスで日本語サイトが存在していたようで「Hero Token」をGoogle検索するとその痕跡が見つかります。

さらに日本語版のホワイトペーパーが以下のURLアドレスに用意されていることになっています(不用意にアクセスしないように一部を伏字)。

h●●ps://s3-ap-southeast-1.amazonaws.com/herotoken/Hero%2BWhitepaper_Japanese.pdf

しかしこのホワイトペーパーにアクセスしようとするとウイルス対策ソフトから「危険なwebページ」であるという警告が出ました。

代わりに英語版のホワイトペーパーをダウンロードしようかとも思いましたが怖いので断念しました。この時点で充分に危ないサイトとしか思えませんが、ホワイトペーパー無しでは検証材料が不足です。仕方がないので公式サイトに加えてホワイトペーパーの内容が部分的に転載されていると思われる以下の様な勧誘目的のブログや動画も検証材料として引用して出来るだけの検証を行うことにしました。

WEB DAYS ソフトバンクとアリババが出資しているICO!

仮想通貨で家を買う!低年収リーマンの投資ブログ

【仮想通貨】ソフトバンクが出資している注目のICO『HERO』とは?(動画)

ソフトバンクが出資している仮想通貨★HEROの将来性や可能性について解説(動画)

タイトルだけ見てもソフトバンクと中国のネット通販大手・アリババが出資している案件であるという点が強調されています。この点に関しては後述します。

まず例によって連絡先情報を確認しようとしましたが、ヒーロートークンの公式サイトには全く情報が見当たりません。上に並べた勧誘サイトなどにも会社の連絡先情報に相当するものは見当たりません。かなり違和感があります。但し運営元はPawnHero (ポーンヒーローpawnhero.ph)というフィリピンのネット質屋であるとなっています。例えば仮想通貨で家を買う!という勧誘サイトには以下の様な記述があります。

>PawnHeroが、ブロックチェーンを活用したオンライン信用評価システムを基にした無担保ローンに事業を拡大するため、現在ICOを予定しています。

このポーンヒーローという会社については連絡先情報が公式サイトに一応記されています。但し何故か電話番号は見当たりません。

>7/F W Global Center, 9th Avenue Corner 30th Street, Bonifacio Global City, Taguig, Philippines 1634

そしてこのポーンヒーローという会社は日本のソフトバンクから出資を受けていることが公式サイトに記されています。(アリババから出資を受けているとは一切書かれていません。)

検索したところ、ソフトバンク傘下のKaizen Fundというベンチャーファンド(?)がポーンヒーローに金額は不明ですが出資したという2016年3月付の記事をTECH IN ASIAというサイトで見つけました。Inside Retailというサイトにも同様の記事があります。これらのサイトがどれほど信用出来るのか分かりませんが出資については一応裏付けが取れたことになります。

しかしポーンヒーローの公式サイトを見ても仮想通貨事業に関する記述は一切見つかりませんし、ヒーロートークンの公式サイトなどへのリンクも見当たりません。逆にヒーロートークンの公式サイトにはポーンヒーローのサイトへのリンクがあります(以下のキャプの右下)。

ポーンヒーロー社は本当に会社としてヒーロートークンの事業に参加しているのかが分かりません。唯一ポーンヒーロー社のものと思われるTwitterアカウント以下の様な投稿があるのを見つけました。

つまりトークン関係の投稿はヒーロートークンの専用アカウントに出すことにしたからそっちを見てくれということのようです。ポーンヒーロー社がトークンと距離を置こうとしているのではないかと考えてしまいます。

またヒーロートークンの公式サイトにはソフトバンクに加えてアリババからも出資を受け入れているような事が書かれています。

しかしここにある説明文をよく見ると

>PawnHero has received funding from

となっています。ヒーロートークンのサイトにある記述なのにソフトバンクやアリババからポーンヒーローが出資を受けていると書いてあるのです。

(その後、ヒーロートークンのサイトからソフトバンクとアリババのロゴは削除されました。この項目の最後に「付記」の形で説明してあります。)

ヒーロートークンの仮想通貨事業にソフトバンクやアリババが出資しているという証拠は検索しても見つかりません。出資先の全てが公開されているとか報道されている訳ではないので検索して見つからないからと言って出資していないと断言することは出来ませんが、仮にソフトバンクがポーンヒーロー社のネット質屋事業に出資していることをもって、ヒーロートークンという仮想通貨の事業にも出資しているという言い方をしているならばそれは正しくないと思います。同様の指摘は複数の日本語勧誘サイトにもあります。例えばWEB DAYSというサイトには以下の様な記載があります。

>注意:厳密にいうと、ソフトバンクが投資しているのは、オンライン質屋のPawnHeroに対してです。(中略) Heroトークンへの出資に関しては記述が見当たりません。なので、ソフトバンクが投資している!といって、先走らずに、冷静に判断しましょうね。

実際にはヒーロートークンのサイトには「Team and advisors」という経営に関与している人たちのリストがあって9人の名前と写真が出ていますが、9人の中でポーンヒーロー社と関係があるのは筆頭に挙がっているDavid Margendorff氏だけのようで他の8人は肩書を見る限り、ポーンヒーロー社と無関係のようです。つまりICOの主体はポーンヒーロー社という扱いになっているのですが、実際にはポーンヒーロー社の共同創業者であるMargendorff氏が個人で仮想通貨事業を主催しているように見えるのです。

ちなみにヒーロートークンの「Team」の中で最大勢力となっているのは3名が加わっている「Satoshi Citadel Industries」の所属者です。

>John Bailon CEO and Co-founder, Satoshi Citadel Industries

>Miguel Cuneta CCO and Co-founder, Satoshi Citadel Industries

>Sam Kaddoura CFO, Satoshi Citadel Industries

この「Satoshi Citadel Industries」という会社はフィリピンのブロックチェーン技術を利用する金融工学関係企業ということになっているのですが、この企業名には聞き覚えがあります。すなわち「検証13」で検証したノアコインの件で新しい提携先として登場した企業です。例えばノアコインの広告塔役を担っている泉某という人物の動画(の5分10秒辺り)にも左のキャプに示すようにSatoshi Citadel Industries (SCI)の名前が出てきます。またノアコインの勧誘サイトの一つにもSCIとの提携が大きく取り上げられています。ノアコインについては個人的に全く信用していないのでSCIについてもどう評価したらよいのか分かりません。

そしてポーンヒーロー社、ヒーロートークンの両方に筆頭で登場するDavid Margendorff氏のインタビュー動画がYoutubeにアップされています。動画投稿者は「Bloomberg TV Philippines」、投稿日は2017年12月5日です。

この動画の中でMargendorff氏は少なくとも3回、低金利で余裕資金の運用に困っている人が多い日本から資金を調達して高金利のフィリピンで運用するといった形で「日本」について触れています。日本からの投資を相当あてにしていることが分かります。ヒーロートークンのサイトへのアクセスの8割近くが日本からのアクセスであったことは偶然ではなかったようです。

さらに日本からの資金呼び込みを担っていると思われるのがヒーロートークンのサイトの経営陣の2番目にリストされているNorbert Gehrkeという人物です。肩書はゴールドマンサックスとバークレーズで経営責任者をやっていたとあるだけで現職については記載がありません。

この人物について調べてみるとTwitterのアカウントが見つかり、東京都新宿区在住となっているのです。

>Norbert Gehrke

>@norbertgehrke

>Lead, follow, or get out of the way!

>Shinjuku-ku, Tokyo

>meetup.com/tokyofintech/

>2011年4月に登録

肩書は「meetup.com/tokyofintech/」となっています。そしてTwitterの投稿など見るとGehrke氏が主催して2018年2月6日に東京で勧誘セミナーを予定していることが分かりました。

>2018年2月6日火曜日 19:00 21:00まで

>東京都目黒区目黒2-11-3 印刷工場1階

ヒーロートークンの公式サイトで経営陣の2番目に挙がっている人物が東京在住で東京での勧誘セミナー開催を主催しているという状況は明らかにヒーロートークンの出資を集める標的を日本に絞っているということでしょう。だからアクセスの8割近くが日本からなのだと思います。それならば何故元々存在していた日本語サイトが削除されているのか理由が気になります。思い当たる可能性は1つしかありません。すなわち「検証25」のレンダーズコインの項目で詳しく説明しましたが日本の金融庁が

>ICO が投資としての性格を持つ場合、仮想通貨による購入であっても、実質的に法定通貨での購入と同視されるスキームについては、金融商品取引法の規制対象となると考えられます。

という方針を打ち出しているのでヒーロートークンについても金融商品取引法の規制対象にされることを避けたいと考え、日本での勧誘を出来るだけ目立たないようにしようとしているあるいは警告を受けて日本語サイトを閉鎖したといった状況ではないかと疑いたくなります。金融商品取引法の対象になるかどうかの判断基準として重要と思われる配当についても日本語勧誘ブログに以下の様な記述があります。

>HEROトークンは所持しているだけで、利息収入の最大20%を受け取る権利を有する事が出来る。

具体的にどれほどの配当が出るのか明確ではありませんが、これは金融商品取引法の規制対象になる可能性高いと思います。だとすれば日本を標的に投資勧誘することには違法性があることになります。この問題を意識してか、公式サイトには以下の様な文章がつい最近まで存在していました(その後削除?)。

>Legal team

>We have partnered with a highly experienced legal team with experience in Crypto Currencies and Blockchain. We have procured legal opinions that confirm, that the HERO Origen Token is not a security or a financial instrument under the laws of Switzerland and the British Virgin Islands.

要するにスイスと英領バージン諸島の法律に照らしてトークンが規制の対象になる「証券」ではないという主張です。しかし実態として日本からの投資が大きな割合を占めていると思われる上に経営陣のNo.2が日本在住なのですから日本の法律に照らして合法かどうか検討して日本の法律に従うべきでしょう。

その他、この案件には気になる点が多いです。まず、トークンの購入は仮想通貨払いに限られている点が問題です。公式サイトには以下の様な記述があります。イーサリアム、ビットコインなど7種類の仮想通貨での支払いのみを受付け、ドルなどの法定通貨による入金は受けないとなっています。また販売価格もヒーロートークン1枚=イーサリアム0.05枚という形で示されています。

ヒーロートークンの公式サイトには一切連絡先情報がないことは指摘しましたが、仮想通貨払いしか受付けないというのも他の案件でも散々同様の指摘をしてきたように銀行口座を用意出来ないあるいは用意したくない為ではないかと考えたくなります。

さらに公式サイトにはトークンを売って得た資金の行先について以下の様な記述があります。

>Hero Foundation

>All of the proceeds from the sale of the Hero Origen Token will be donated to a non-profit Foundation we are establishing in Switzerland.

>The main purpose of the Foundation is to promote financial inclusion, transparency, and efficiency in emerging markets.

要するに集めた資金をスイスに設立する非営利財団に全て入金するとあります。その目的は「新興市場における金融の包摂、透明性、効率性を促進すること」となっていますが意味が分かりません。フィリピンで明らかに営利事業に属する消費者金融とか質屋に該当するような商売をするのに何故スイスの非営利団体なんでしょうか?スイスの法律ではトークンが金融関係の法律の規制を受ける「証券」に該当しないという主張がありましたが、法律の規制を避ける為にスイスの財団を使うのでしょうか?これでは「透明性」とは程遠いと感じます。

最後にヒーロートークンの上場に関してですが、公式サイトによれば2018年3月9日にQRYPTOSという取引所に上場するとなっています。

>Exchanges

>HERO tokens start trading on Friday, March 9th on QRYPTOS Exchange. More exchanges are following. Read the latest here

しかしBTC dreamという勧誘サイトによればこのQRYPTOSという取引所に口座開設を試みたところ、日本在住、日本国籍の場合、口座開設出来ないようです。

つまり他の取引所に上場するまで換金の方法が存在しないことになります。明らかに日本からの投資取り込みに注力しているのにこの取引所への上場を選択した意味が分かりません。これは逃げ道のない危険な投資になる可能性を覚悟しなければなりません。投資は推奨しません。

※付記

ヒーロートークンのサイトから投資家としてロゴが示されていたソフトバンクとアリババのロゴが2月5日に削除されたようです。

そして「medium.com」というサイトでロゴが削除されたのはアリババからヒーロートークンにアリババのロゴを使用する権利を与えた覚えがないから削除しろという要求があったことによるものでソフトバンクとアリババがKaizen Fundを通してポーンヒーローに出資したことは事実であると説明しています。以下は説明の一部のキャプです。

>Today we were asked to remove the Alibaba and Softbank logo from the herotoken.io website. This doesn’t change the fact that both companies are invested in PawnHero through the Kaikaku fund.

ソフトバンクとアリババが出資したのはヒーロートークンではなくポーンヒーローなのですからポーンヒーローが仮にヒーロートークンの仮想通貨事業に出資しているとしてもヒーロートークンのサイトからロゴを削除しろというアリババの主張は当然かと思います。