検証53

このページでは以下を検証しています。検証項目は順次追加の予定です。

●EVERY PROJECT 一般社団法人みんなのブロックチェーン [EVEOトークン、EVEGトークン] (everyonecompany.or.jp/)
●ATAIX (ataix.com/) 
●Bybit (バイビット www.bybit.com/ja-JP/)
●クリプトトレードアルファ (cryptotrade-alpha.com/) 
●クリプトトレードアルファ『為替オートトレードシステム』(cryptotradealpha.com/fx-system-lp)


まず以下の2つのサイトから検証します。

●EVERY PROJECT 一般社団法人みんなのブロックチェーン [EVEOトークン、EVEGトークン] (everyonecompany.or.jp/)
●ATAIX (ataix.com/) 

これはEVEO (EVERY ORIGINAL)、EVEG (EVERY GOLDPEG) という2種類の仮想通貨を海外の取引所に上場させるという案件の様です。2つ目のATAIXというサイトはこの2つの仮想通貨が上場される仮想通貨取引所のサイトです。

右は宣伝目的と思われるTwitterの投稿からのキャプです。ATAIXという取引所のロゴも並んでいます。しばらく前からこうしたTwitterに宣伝投稿が行われていることに気が付いていましたが以下のキャプに示したYahoo知恵袋での質問を見て検証対象とすることにしました。

この知恵袋の質問には表題の公式サイトと思われるサイトへのリンクがあります。このサイトにある情報は残念ながら限られているので検索して見つけてきた検証の参考にしたサイトなどを以下にまとめておきます。まずプレスリリース記事が見つかってきました。

@Press:現役芸能人・著名人約500名が集結した“EVERY PROJECT” 次世代スタープロデュースアプリ「Photap」を開発開始 エストニア取引所で上場が決定 (投稿日:2019年4月24日、発信元:一般社団法人みんなのブロックチェーン)

このプレスリリース記事にはホワイトペーパーへのリンクが付いています。ホワイトペーパーは@Pressのサイトからもダウンロード可能になっています。

日本語翻訳版ホワイトペーパー

英語版ホワイトペーパー

日本語翻訳版ホワイトペーパー @Press

英語版ホワイトペーパー @Press

ホワイトペーパーと並んで運営元となっている「一般社団法人みんなのプロックチェーン」の組織図なるものもアップされています。

一般社団法人みんなのブロックチェーンの組織図

但しこれらのホワイトペーパーの表紙タイトルは例えば日本語版の場合、「次世代スタープロデュースアプリ Photap (フォタップ)」となっていて仮想通貨のホワイトペーパーとは思えないようなタイトルになっていてかなり違和感があります。この「スタープロデュースアプリ」については後述するビジネスモデルの評価の中で取り上げることにします。

さらに勧誘目的と思われるブログの類も幾つか見つかります。

なかもとの一人立ち (本案件に関する記事が2019年5月現在で14本あります。)

仮想通貨投資の実践日記:Every project

【株式投資ブログ】

以下の検証ではこれらを主な検証対象とします。

まず例によって連絡先情報を探しましたが公式サイトにもプレスリリース記事にもホワイトペーパーにも情報が見つかりません。公式サイトの脚注には

>EVERY PROJECT 一般社団法人みんなのブロックチェーン

と運営組織の名前と思われる法人名が書いてあり、プレスリリース記事の配信元も同じく「一般社団法人みんなのブロックチェーン」となっていますが、その社団法人の所在地、連絡先情報については記されていません。公式サイトには「お問い合わせ」という項目があるのですがメール送信用の窓があるだけです。メールアドレスさえ開示されておらず明らかに問題があります。

そこで国税庁の法人番号公表サイト「一般社団法人みんなのブロックチェーン」の法人登録を探すとようやく所在地情報が出てきました。

法人登録が行われたのは平成30年 (2018年) 6月6日とかなり新しく、所在地は「兵庫県姫路市石倉21番地3」になっています。しかしこの所在地情報には大きな問題があります。すなわちこの住所は実在が確認出来ない住所なのです。例えばGoogle Mapで実在の住所を調べると地図の中に指定の地番の場所がフラッグで示されるのに対し、この姫路市の住所を調べると右のキャプに示した様に地図の中で姫路市石倉の全域が囲まれて示されます。これは姫路市石倉という住所は実在しても「石倉21番地3」という地番が存在しないことを意味しています。

以下はYahoo!地図で見た姫路市石倉の実在する地番リストの冒頭部分ですが実在する地番は13番、20番の次が24番となっていて21番は欠番になっており、「石倉21番3」という地番、住所が実在しないことを確認出来ます。これは異様です。

しかも法人番号公表サイトによればこの実在が確認出来ない住所で以下のキャプに示した様に「一般社団法人みんなのブロックチェーン」を含めて4つの法人が登録されていることが分かりました。

合同会社しんごろーファンド (法人番号:7140003011825、登録日:平成29年1月6日)

株式会社みんなの会社 (法人番号:2140001098919、登録日:平成27年10月5日以前)

株式会社モバチュー (法人番号:6140001063992、登録日:平成27年10月5日以前)

Googleストリートビューや航空写真で見る限り、姫路市石倉は田畑も残るのどかな郊外の町という雰囲気で複数の事業法人が入居するオフィスビルが存在しているような場所とは思えません。同じグループがこれらの法人を立ち上げている可能性が高いと考えるのが妥当と思われたのでこれらの法人についても調べてみるとやはりこれらは互いに関連のある法人であるようです。そしてこれらグループ企業、法人を運営している中心人物がホワイトペーパーのチームという項目にプロジェクト運営 【主要メンバー】の筆頭で挙がっている金谷真吾という人物の様です (下のキャプ参照)。肩書は「みんなのブロックチェーン理事長/プロジェクトリーダー」となっています。

そしてWANTEDLYというサイトにこの金谷真吾という人物のプロフィールがアップされているのを見つけました。仮想通貨案件の運営元となっている「みんなのブロックチェーン」に加え、姫路市石倉の住所で法人登録されている計4つの法人が全てこの人物の関与する法人のリストに含まれています。

これらの企業の幾つかについて調べてみましたが、例えば「株式会社地域活性化マガジン社」とか「みんなのICO」などのように法人登録もホームページも見つからないものもあります。「みんなのブロックチェーン」と同じ姫路市石倉の住所に法人登録されていた他の3法人の中では「合同会社しんごろーファンド」も名称だけからすると私募ファンドのようなものではないかと思われますが、法人登録以上の情報が見つかりません。

活動が確認出来るものについても全て整理するのは非常に困難ですが、例えば「みんなのブロックチェーン」と同じ姫路の住所に法人登録がある「株式会社みんなの会社」だけでも焼肉、焼き鳥、広島焼などの飲食店事業、ホームページ作成などのIT関連と称する事業、さらにはFXのシグナル配信事業なども行っているとなっています。例えば以下の精肉店+焼肉店も「みんなの会社」の傘下の様です。

▼和牛熟成肉販売店まるい (37com.co.jp/19/)

この熟成肉販売店のサイトのURLアドレスは「37com.co.jp」となっていますが「37」は「みんな」を意味するようです。そしてこの熟成肉販売店の「店舗・運営会社」のページ (37com.co.jp/19/corp/ )には「みんなの会社」傘下の企業ページのリストがあります。そしてその中には投資関連事業もあるとなっています。具体的に以下の3つが「みんなの会社」の投資関連事業を形成しているとなっています。

▼投資家@新吾朗(しんごろー)の実践式!株式投資道場 (kabudoujyou.com)

▼みんなのFX道場~月間ブログアクセス100万PVのカリスマトレーダーのシグナル配信(37com.co.jp/fx)

▼株ドル名波はるかのプレミアムショッピングモール (kabudoru.shop-puro.jp)

しかしこの3つの投資関連事業のサイトにアクセスしてみると2019年5月現在でもサイトが生きているのは2番目の「みんなのFX道場」だけで他の2つは閉鎖されているようです。

左下のキャプは今でも残っている「みんなのFX道場」のサイトの冒頭部ですがFXのシグナル配信で初心者でも1か月に10万円稼げるとなっています。右下のキャプの最後には「お試し1ヶ月体験入門は「無料」」とありますから1ヶ月後は有料配信になるということでしょう。

有料でFXのシグナル配信を行うならば金融庁に金融商品取引業者 (投資助言代理業)の登録が必要ではないかと思われますが、金融庁のサイトで公表されている金融商品取引業者のリストには「みんなの会社」も「みんなのFX道場」も該当がありません。違法な無登録業者の疑いがあります。

また「投資家しんごろーの株道場」(shingoror.net/)というサイトが存在するようです (右のキャプ参照)。いわゆるランディングページのような作りで売買情報を配信しているようで「無料配信期間は最大2ヶ月とありますから有料で投資顧問業務を行っているように思われます。運営者として紹介されている「投資家・実業家 しんごろー」という人物 (下のキャプ)は「みんなのブロックチェーン理事長/プロジェクトリーダー」である金谷真吾という人物でしょう。

但しこの「投資家しんごろーの株道場」というサイトには特定商取引法に基づく表記のようなものが一切ありません。最初だけは無料配信だから (販売している訳ではないから) 特定商取引法も適用されず、情報開示は必要ないという考え方かもしれませんが、無料期間が終了すれば有料になるのでしょうし、かなり違和感があります。運営元である企業・法人の名称さえ示されていないので金融商品取引業者の登録があるかどうかも不明です。

「みんなのFX道場」や「投資家しんごろーの株道場」というサイトについては金融商品取引業者の登録に関する情報がないことに問題と書きましたが、一方で金谷真吾のプロフィールにあった企業リストの中には金融商品取引業者の登録を得ているものがあります。それが投資顧問業となっているフィデリア株式会社です。この社名で検索して見つかるフィデリア株式投資顧問のサイト (fidelia.unifas.co.jp/ )にある「特定商取引法に基づく表記」および「金融商品取引法に係わる表示」からのキャプを以下に示しましたが近畿財務局長(金商)第384号という登録番号が明示されています。この登録は金融庁が公表している登録リストでも確認されます。

しかし金谷真吾のプロフィールでは金谷真吾が投資顧問業フィデリア株式会社 CEO/CFOであるとなっていたのに上に示した様にフィデリア株式会社のサイトでは代表者・運営責任者氏名が藤崎慎也となっています。責任者が最近交代したのか、あるいはフィデリアという投資顧問会社が複数存在するのかこれでは分かりません。ちなみに法人番号公表サイトでは「フィデリア」という法人の登録は1件しか見つかりません。また金融商品取引業者の登録を得ている業者がグループに存在するのならば何故「みんなのFX道場」や「投資家しんごろーの株道場」のサイトにその名義を使わないのでしょうか?どれほど信頼できる情報なのか分からないのでリンクはしませんが、フィデリアという投資顧問について検索すると酷評する意見が複数見つかるようです。こういった悪評を見られたくない意図があって「みんなのFX道場」や「投資家しんごろーの株道場」のサイトにフィデリアという投資顧問業者の名前を出していないのかもしれませんが、少なくとも適切な情報開示がなされているとは言い難いと思います。

次に「みんなのブロックチェーン」と同じ姫路市石倉の住所に法人登録されていた3法人の1つ、株式会社モバチューについてですが、これもかなり複雑なことになっています。まず法人登録が同じ姫路市内に2つ存在するようです。


株式会社モバチュー (法人番号:6140001063992、登録日:平成27年10月5日以前)

所在地:兵庫県姫路市石倉21番地3

株式会社モバチュー (法人番号:1140001065647、登録日:平成27年10月5日以前)

所在地:兵庫県姫路市苫編南2丁目360番地1

2つ目の法人登録の所在地、「姫路市苫編南2丁目360番地1」という住所は実在する住所の様です。そして右は上でも引用したみんなの会社の傘下である「和牛熟成肉販売店まるい」の「店舗・運営会社」のページ (37com.co.jp/19/corp/ )からの引用ですが、みんなの会社のグループ企業として株式会社モバチューがリストされており、株式会社モバチューの2つのサイトのURLアドレスが記されています。

>オフィシャル http://mbchu.co.jp

>PCポータル http://mbchu.net

そして以下に示したのがここにある株式会社モバチューのオフィシャルサイトの冒頭部のキャプです。

このサイトにはキャプに見えるように

>集まるメール配信システム「モバチュー」。携帯販促ASPのモバチュー・システム。スマートフォン完全対応

と書いてあり、スマホを利用したマーケッティング関係事業をやっているようですが会社概要 (右のキャプ) を見ると所在地は2つ目の法人登録、実在しない方の住所ではなく、実在している姫路の住所になっており、代表取締役は金谷真吾です。ちなみにこの会社概要には電話番号がありません。

何故こうなっているのか全く分かりませんが「株式会社モバチュー」の2つの法人登録は両方とも本件と関係のある企業グループに関係しているものとしか思えません。

そしてこの案件の運営元になっている「一般社団法人みんなのブロックチェーン」についてですが、まず上で引用したプレスリリース記事にリンクがあったみんなのブロックチェーンの組織図を以下に示します。

この組織図を見ると 「肉」「魚」「米」「飲食優待」「旅行」「地域名産品」「馬投資」「車投資」「美容・健康店舗」「芸能プロジェクト」「コンサート/オリジナル商品」などのブロックチェーンとか仮想通貨とは全く関係のなさそうな項目やその担当者(?)が並んでいることに気が付きます。特に「馬投資」「車投資」といった項目がよく分かりませんが、日本語版ホワイトペーパーの13ページ目にある「主要業界プロジェクト運営担当」の項目によれば馬主協会理事とかブランド車販売ライセンス多数保有/カジノ世界大会入賞者といった人物が「みんなのブロックチェーン」のプロジェクトを担当しているようです。

「馬投資」というのは競走馬の馬主になるような事業、「車投資」というのもブランド車とかビンテージ車を投資目的で購入するような事業としか思えません。

どうやら「一般社団法人みんなのブロックチェーン」は組織名から想像されるようなブロックチェーンや仮想通貨に特化した組織ではなく、かなり多角経営でしかも飲食とか馬投資、芸能といった事業項目があることから非営利とは思えません。むしろお金になりそうなことを何でもやっているという印象さえあります。ところが一方で日本語ホワイトペーパーではこの案件が「一般社団法人」によって運営されており、「非営利」のプロジェクトであると強調されているのです。例えば以下は日本語ホワイトペーパーの3ページ目にある記述のキャプです。

日本語ホワイトペーパーにはこの案件が「非営利」であるという記述がこれも含めて4回出てきますし、英語版ホワイトペーパーでも「non-profit」である記されています。

例えばWikipediaの「一般社団法人」の項目によれば「一般社団法人」は設立も容易で従来の社団法人とは違い公益の有無は問われず、営利事業を行うことも認められているようですから一般社団法人を名乗ることに問題はないのでしょうが、「馬投資」や「芸能プロジェクト」をやっている法人が非営利型のプロジェクトを強調することにはかなり違和感があります。

またみんなのブロックチェーン組織図の中の「各部門別代表理事」という部分を見ると「仮想通貨」の部分を担当している代表理事は「名波」となっています。当然ホワイトペーパーの12ページにある「プロジェクト運営 【主要メンバー】」の項目では仮想通貨事業の代表理事である「名波」という人物について経歴とか実績について説明があるべきではないかと思いますが、実際のホワイトペーパーで「名波」という名前が出てくるのはプロジェクトの運営側ではなく、ホワイトペーパーのタイトルにもなっている「次世代スタープロデュースアプリ Photap (フォタップ)」というSNSアプリのようなもの (?)にコンテンツを提供する役を担うと思われる「フォタップメンバー(芸能人・著名人)」あるいは以下のキャプに示した「仮想通貨インフルエンサー」のリストです。

仮想通貨インフルエンサーというのはおそらく仮想通貨についてSNSなどで情報発信している人たちで本案件の仮想通貨、EVEO (EVERY ORIGINAL)、EVEG (EVERY GOLDPEG) という2種類の仮想通貨を宣伝普及する役割を担う人たちということでしょう。

みんなのブロックチェーンの組織図に仮想通貨部門の担当理事として書かれていたのは名波という名字だけですが、他に名波という人物はホワイトペーパーに見つかりませんし、かなり珍しい苗字なのでこの人物がみんなのブロックチェーンで仮想通貨部門を担当していると考えざるを得ません。

そこでこの名波はるかという人物について調べてみるとWikipediaに「名波はるか」の項目がある他、Twitter、Instagram、ブログなどが見つかってきます。

名波はるか Wikipedia

名波はるか Twitterアカウント

名波はるか Instagramアカウント

株ドル名波はるかのマネー&アンチエイジングブログ


これらを部分的に読んでみましたが右のキャプに示したTwitterアカウントのプロフィール欄によれば元々はグラビアとか着エロのモデルなどをやっていた人の様で仮想通貨の事業運営責任者となれるほど専門知識などを持っているかどうかについてはかなり疑問です。

そして最も頻繁に投稿していると思われるTwitterでも少なくとも最近1か月間の投稿の中に本案件に関するようなつまり「みんなのブロックチェーン」とかEVEO (EVERY ORIGINAL)、EVEG (EVERY GOLDPEG) という2種類の仮想通貨に関するような記述は出てきません。

Twitterで最も頻繁に出てくるのは経済的に成功しているということを主張したいのかカナダへの海外旅行に関する投稿と「検証42」で検証したCross Exchange (クロスエクスチェンジ)という取引所とクロスエクスチェンジから発行される配当型の取引所トークン、XEXトークンの勧誘目的と思われる投稿です。アフィリエイト報酬目的と思われるリンクもしばしば出てきます。ちなみに配当型のトークンには法的問題などもあることは「検証42」で指摘した通りです。

要するに名波はるかという人物が「みんなのブロックチェーン」で仮想通貨担当理事を務めているという裏付けは見つかりません。この仮想通貨案件は上場などの大きな節目を迎えているはずなのにそれに関係する投稿もなく、本人はカナダに旅行に出かけているのですからむしろ本案件に関係している可能性は低いのではないかという印象を持たざるを得ません。

仮にこの名波はるかという女性が仮想通貨事業の担当責任者ではないのだとすれば「名波」という仮想通貨の専門家が他にいて「みんなのブロックチェーン」による仮想通貨事業を主導しているのでしょうか?最大限好意的に考えてもホワイトペーパーで担当者についての説明がないのは明らかに不適切と判断せざるを得ません。

次に本案件の投資対象になっているEVEO (EVERY ORIGINAL)、EVEG (EVERY GOLDPEG) という2種類の仮想通貨について分かっていることをまとめておきます。以下は日本語ホワイトペーパーからの抜粋ですが当初売り出されるのはEVEO (EVERY ORIGINAL)という仮想通貨でコイン仕様がERC20となっているのでイーサリアムのシステムを利用した仮想通貨であることが分かります。

Etherscanというイーサリアムのシステムを利用した仮想通貨のデーターベースサイトでEVEO、EVEGを探すと確かにこの2つの仮想通貨がイーサリアムベースで作られていることが確認出来ます。2100億枚、77億枚というそれぞれの総発行枚数もホワイトペーパーと一致しています。

EVEO Token

EVEG Token

そして先行して売り出されるEVEOトークンは海外の仮想通貨取引所に上場されるという形で一般に販売されるようです。複数の取引所に上場の予定とありますが、勧誘サイトやTwitterではATAIX (ataix.com/) というエストニアの取引所に口座を開設して購入することが推奨されているようです。これが表題の2つ目のサイトです。例えばなかもとの一人立ち という勧誘ブログには「エストニアの取引所 『ATAIX』の登録方法」という記事がアップされていてアフィリエイトID付と思われるリンクが用意されています。誰かがリンクを踏んで口座を開設すれば勧誘ブログの主に勧誘報酬が支払われるのでしょう。

しかしこのATAIX (ataix.com/) という取引所が何とも違和感満載です。まずエストニアの仮想通貨取引所となっていますが対応言語が英語と日本語のみです。ちなみにWikipediaの「エストニアの言語」の項目によればエストニアではエストニア語とロシア語が主要な言語の様です。また連作先情報が以下のキャプにある住所のみです。

>EuroToken OÜ, Roosikrantsi tn 2-K468, Tallinn, 10119, Estonia

電話番号も運営者情報も記載がなく、住所はエストニアの首都・タリンですがこの住所を検索してみると右のキャプに示したKRM Advisor (www.estoniancompanyregistration.com/ ) というオフショア会社の住所と似ていることも判明しました。

>KRM Advisor

>Roosikrantsi 2-KRM, 10119 Tallinn, Estonia

さらにCoin Market Capという仮想通貨のデーターベースサイトの仮想通貨取引所のリストにこのATAIXという取引所は含まれていませんし、アクセス状況を解析出来るサイトでアクセス状況を見ると1日平均の独立訪問者数が679人とかなり微妙な数字です (以下のキャプ)。さらにこのサイトは35ものサイトとサーバーを共有しているようです。セキュリティーの観点で問題があるように思われます。

そしてこの仮想通貨取引所のサイトでは一体どんな仮想通貨が取引されているのか、実際にここで検証しているEVEOという仮想通貨が購入可能になっているのかが確認出来ません。あるいは口座を作ってログインすれば取引されている仮想通貨などを知ることが出来るのかもしれませんが、取引されている仮想通貨さえ口座を持っていない人に開示されていないというのは明らかに異様です。これではこの仮想通貨取引所に口座を作る価値があるかどうかの判断さえ困難でしょう。

またこの取引所のニュースの項目を見ると「検証13」で検証したノアコインを2018年12月に上場しているようです。個人的にノアコインの案件を全く信用していないのでノアコインを上場しているということはATAIXという仮想通貨取引所の上場審査がかなり甘い可能性が高いと思わざるを得ません。

関連してATAIXのサイトには「Initial Exchange Offering」という項目があります (下のキャプ参照)。

この「Initial Exchange Offering (IEO、イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)」は新しい言葉のようですが新規に取引所で仮想通貨を売り出すといった意味かと思われます。検索してみると幾つかIEOを説明する記事が見つかってきましたが「トークンの販売を発行元が直接行うICOに対してIEOでは特定の取引所に委託して資金調達する」と説明されているようです。そしてリンクはしませんが某サイトの記事では

>ICO自体を規制している国もあり、IEOがその規制をかいくぐることができるのではないか、とも期待されている。

と記されていました。この案件でも日本の金融庁のICO規制を避ける意図があってICOではなくIEOによる資金調達方式が採用されている可能性があると思われます。但しこれで金融庁の規制を逃れているかどうかは不明です。特に海外の取引所を使うのであれば海外の取引所が日本在住者に口座の開設や取引を積極的に受け入れることが問題になる可能性が高いはずです。

そして上のキャプにはATAIX取引所でのIEOの条件が書いてあるのですが、上場費用以外の条件が全く記されていません。要するにお金さえ出せば貴方が作った仮想通貨をATAIXで売り出すことが可能ということになっていまいます (具体的な上場費用については記されていません。)。少なくともこのATAIXという取引所ではIEOで売り出す仮想通貨について厳密な審査があるとは思われません。そして本件のEVEO、EVEGという2つの仮想通貨もこのIEOの仕組みを使って売り出されるものと思われます。

ATAIXという仮想通貨取引所の信頼性を高く評価することは出来ませんし、この仮想通貨取引所でのIEOという形で仮想通貨を売り出すことについても法律逃れの意図を感じざるを得ず、公明正大なものとは思えません。むしろかなりの危うさを感じます。

最後にこの案件のビジネスモデルについてですが、結論から言えばこの点についてもかなり危ういものを感じます。まず以下は日本語ホワイトペーパーの冒頭部です。

どうやらTwitter、InstagramといったSNSの投稿、あるいはYoutube動画と同様に「パフォーマー」という人たちに何らかの投稿をしてもらい、その投稿に対して「パフォーマー」を応援する「サポーター」という人たちから「いいね!」が集まればそれがお金になるというシステムの様です。仮想通貨はこの「いいね!」の数に対応して与えられると書いてあり、最も「いいね!」を集めた人はメジャーデビューが約束されるとあります。

はっきり言ってもうこの冒頭の説明を読んだだけでこのビジネスモデルが何かを生み出せるような気が全くしません。「いいね!」を最も多く集めた「パフォーマー」のメジャーデビューが約束されるとありますが誰が約束するのでしょうか?上で引用した「一般社団法人・みんなのブロックチェーン」の組織図によれば「みんなのブロックチェーン」には「芸能」という部門があるようですからこの芸能部門がメジャーデビューをバックアップするということでしょうか?みんなのブロックチェーンの芸能部門にはどれほどの実績や芸能界での影響力があるのでしょうか?

また「いいね!」に金銭的な価値を与えてサポーターが投げ銭するという話しですが、その金銭的価値を支払うのは誰なのかよく分かりません。当初はサポーターが仮想通貨を自腹で購入して投げ銭をするのかと思いましたが、ホワイトペーパーにも公式サイトにも以下のキャプに示すようにサポーターは完全無料で参加可能とあります。

そして日本語版ホワイトペーパーをよく見ると7ページ目に「いいね!ポイントの入手方法」という項目があるのに気が付きました (以下のキャプ参照)。どうやら無料で配布される「いいね!ポイント」も存在するようで協賛企業からの提供と書いてありますが、具体的にどんな協賛企業が何の目的で配布するのか全く分かりません。

例えばYoutubeでは広告主が動画をアップした人に視聴回数に応じて報酬を支払うシステムですが、この案件では広告などに関する記述が見当たらないので何の為に協賛企業が「いいね!ポイント」を無料提供するのか分かりません。

一方で「いいね!ポイント」の価値が約0.005円となっていますが、これはかなり安い印象を持ちます。これでは「いいね!」を200回集めてようやく1円です。検索してみると例えばYoutubeの場合、動画を作ってアップしたYoutuberに支払われる広告単価は1再生あたり0.04円~0.24円という数字が出てきます。Youtubeの方が8~48倍も報酬が高いことになるし、Youtubeなら再生回数当たりの広告単価ですがPhotapの場合には「いいね!」評価を貰わないと収入になりません。

一方でPhotapの場合には明確な説明が見当たらないのですが、以下のキャプにある表によればプレミアム投げ銭と称して最大1000万もの「いいね!ポイント」をサポーターが提供することも可能となっているようです。EVEGという仮想通貨の価値は金価格に連動するとされていて、1グラム当たりの金相場が5000円の時に1000万「いいね!ポイント」はすなわち5万円の価値になるようです。 (ちなみにどういう仕組みでEVEGの相場を金相場と連動させるのかについて明確な説明は見当たりません。)

しかし「いいね!ポイント」の無償配布条件などが明示されていないので断言は出来ませんが、サポーターが1000万もの「いいね!ポイント」を無償でしかも継続的に貰えるとは思えません。1000万もの「いいね!ポイント」をパフォーマーに出す、プレミアム投げ銭を行おうとすればおそらくサポーターは自腹を切って「いいね!ポイント」、実際には「いいね!ポイント」に転換出来るEVEOとかEVEGといった仮想通貨を購入しなければならないでしょう。自腹を切ってまでパフォーマーに大量の「いいね!ポイント」を差し出してくれるサポーターが果たしてどれほどいるでしょうか?よほど著名で人気のある芸能人、有名人がパフォーマーとして参加しているのでない限り、わざわざ自腹を切ってサポーターとして参加する人が多数出てくるとは思えません。個人的見解ですが、このビジネスモデルで多数のパフォーマーとかサポーターが集められるとは思えませんし、投げ銭する目的で大量にEVEO、EVEGといった仮想通貨を購入するサポーターが多数現れるなどとも思えません。

また一方でサポーターが比較的簡単に「いいね!ポイント」を無償で大量に獲得出来るのならばパフォーマーが自らサポーターのアカウントを大量取得して自分で自分に「いいね!」を与えて自分の利益にするような不正をどうやって防止するのでしょうか?

そして「いいね!ポイント」はそのままではPhotapでの投げ銭にしか使えないのでパフォーマーがサポーターから勝ち得たポイントを投げ銭以外の目的に使おうとすれば現金化の手続きが必要になると思われます。以下は日本語ホワイトペーパーの8ページにある図のキャプで「いいね!ポイント」が各種商品、サービス、仮想通貨の購入などに使える「いいね!ぽいんと経済圏」なるものを構築するという説明になっているようです。

ちなみに上のキャプにはEVEG (金価格連動コイン)の運用/管理を行うEVERYBANKというものが登場しており、この仮想通貨案件で極めて重要な役割を担うものと考えられますが、その詳細、例えば誰が責任者となって何処に設立されるのか、どうやってEVEG相場の金価格連動を実現するのかなどについては説明が見当たりません。但し本案件公式サイトには「今後のEVERYONEについて」という項目があり、EVERYBANKの役割について若干の説明があります。少し長くなりますが以下のキャプに抜粋を示します。

まずEVERYONE、これは2100億枚という発行枚数からおそらくEVEO仮想通貨のことと思われる、がEVERYBANKの株券 [EVEB] と交換出来ると書いてあります。そしてEVERYBANKは集めた資金の運用を行って株券 [EVEB] の保有者に配当を出すとなっています。資金の運用方法、投資対象が全く分かりませんが、仮想通貨で運用するらしいことは分かります。そして仮想通貨で運用すれば年間100%の運用益を得ることは「それほど難しくない」と主張しています。どんな根拠があるのか全く不明ですが100万円を7年間、毎年2倍のペースで運用すれば1億円を超えるなどとも書いてあります。しかしこの配当を出す件については幾つか問題があるでしょう。まず毎年100%の運用益を生み出せる運用が本当に見込めるのかについて相当に疑問があります。またEVERYBANKや投資対象に関する情報開示が明らかに不足です。そしてこれはリターンを約束して投資目的で資金を募っていると考えられるので金融商品取引法の規制対象になる可能性が高いです。そして現時点で具体的情報が全く明かされていないEVERYBANKが日本の金融商品取引業者の登録を得ているとは思えません。金融商品取引業者の登録を得ずに投資目的で資金を既に募っている実態があるとすれば出資法違反などが強く疑われます。

一方でホワイトペーパーの「いいね!ポイント」と交換出来るEVEGという仮想通貨を一定数以上保有すると以下のキャプに示したような特典が得られるとしています。いずれも実現している話ではなく、これからの計画に過ぎないと思われますが、例えば1万EVEG (1EVEG=5000円とすれば5000万円相当)以上のEVEGを保有すれば各種VIP案件参加権利が得られるなどとなっていますが、そのVIP案件の説明などは見当たらず、具体性は感じられません。EVERYBANKによる投資運用とはまた別の投資案件なのでしょうか?

一方で検索していて偶然に見つけましたが、「ノーベンバーウェルネスリゾート プーケット」という東南アジア、タイの高級リゾートホテルでEVEO、EVEGでの支払いを認めているというプレスリリース記事を発見しました。

PR TIMES:プーケットの5つ星ホテル、November Wellness Resort ビットコイン決済開始

(発信元:Panacea Oriental CO.,LTD、発信日:2019年3月12日)

>ノーベンバーウェルネスリゾート プーケットはビットコイン、ツイッターで話題のエブリワンコインの決済を3月1日から開始しました。

このプレスリリース記事ではビットコインに加えて「エブリワンコイン」での決済も開始したとあります。EVEO/EVEGではなく「エブリワンコイン」という言い方には違和感がありますが、プレスリリース記事には以下のキャプに示すように本案件公式サイトのURLアドレス (https://everyonecompany.or.jp/) が登場しています。

さらに「ノーベンバーウェルネスリゾート プーケット」のサイト (https://novemberwellresort.com/) に行ってみると以下のキャプに示すようにプレスリリース記事の内容を確認出来る記事がありました。

但し、「ノーベンバーウェルネスリゾート プーケット」のサイトは全編英語で書かれているのにこの仮想通貨での決済を開始したという記事だけは日本語で書かれていて非常に違和感があります。このホテルの経営者は島貫峻亘という日本人の様ですが、この仮想通貨を持っているのは日本人だけという認識があるのでしょうか?

またEVEO/EVEGでの決済を認めているのはこのタイのリゾートホテルしか見つかりませんし、このタイのホテルの件も本案件の公式サイトやホワイトペーパーに見つかりません。本来ならばEVEO/EVEGでの決済を認めるホテルが登場したことは重大な、しかもポジティブなニュースのはずですから公式サイトやホワイトペーパーで取り上げられてしかるべきではないかと思うのですが、ここでも違和感を感じます。またこの案件の中心人物と思われる金谷真吾という人物は特に関西方面で営業している焼肉店などかなりの数の飲食店などの経営に関与しているのですから、EVEO/EVEGの普及に取り組むつもりならば当然、それら日本国内の飲食店でもEVEO/EVEGでの決済を導入するのが普通ではないかと思います。それなのにそうした動きは全く確認出来ません。ここにもかなり違和感があります。一体この金谷という人物は本気でEVEO/EVEGという仮想通貨を決済手段として普及させるつもりがあるのでしょうか?


総合的に判断してこの案件には少なからず疑問点があり、運営組織や運営者の信頼性も高く評価出来ません。投資としての側面も持つならばライセンス関係にもかなり問題があります。またビジネスモデルにはかなり疑問点があって成功を確信出来るようなものではありません。この案件への投資は推奨しかねるという結論にならざる得ません。


●Bybit (バイビット www.bybit.com/ja-JP/)

これはレバレッジを掛けて仮想通貨取引が出来るいわゆる仮想通貨FXの業者の様です。シンガポールの業者ということになっていますが日本語対応しており、Yahoo知恵袋に出てきた以下のキャプの質問で知ることになり検証対象として取り上げることにしました。利益が出ているつもりで取引を繰り返していたら実際には大きく元本を減らすことになってしまったというのが投稿内容になっています。

この質問にはバイビットのサイトのURLアドレスが書かれていないので検索して表題のバイビット公式サイトを見つけてきました。同時にバイビットへの口座開設を勧誘する勧誘サイトが多数存在することが判明しました。

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以上12の勧誘サイトには例外なく、以下の様な明らかにアフィリエイターのID付のリンクが用意されています (アフィリエイターのID部分を伏字)。

https://www.bybit.com/app/register?affiliate_id=●●●●●●

https://www.bybit.com/app/register?ref=●●●

アフィリエイターがこれだけ集まっているというのはおそらくそれなりのアフィリエイト報酬 (勧誘報酬)を支払っているということでしょう。そしてアフィリエイト報酬狙いのサイトですから当然ですがこれらのサイトではバイビットの利点が強調されており、記述内容をそのまま鵜呑みにすることは危険と思われますが以下の検証の参考にもします。

勧誘サイト以外にはYoutubeに勧誘目的と思われる動画も幾つかアップされていることを確認しました。日本語の動画を以下に挙げておきます。

【仮想通貨】プロ配信に無料ご招待!! 仮想通貨FX(Bybit)の登録・参加方法を簡単解説!! ビットコインFX BITMEX (投稿者:仮想通貨・仮想通貨FXで離婚危機から復活【投資家ヨシ】)

Bybit仮想通貨取引所ウェブサイト概要 (投稿者:Bybit Official)

2つ目の動画の投稿者は「Bybit Official」となっていて真偽は分かりませんが、この仮想通貨FX業者の運営による公式動画ということになると思われます。この「Bybit Official」という投稿IDでは13本の動画がアップされていますが、日本語の動画はこの1本だけです。この項目の最初に書いた様にこの業者はシンガポールの業者ということになっているのですが、日本語での勧誘動画を用意しているということからも日本の顧客獲得に非常に積極的と考えられます。

そして例えば勧誘サイトの筆頭に挙げたポインの仮想通貨ハマって(中毒って)ます!!というサイトにはバイビットの利点が以下の様にまとめられています。

一般的に外国為替の場合などよりもスプレッドが大きいはずの仮想通貨の取引で100倍ものレバレッジを掛けることがどれほど実用的な意味があるのかは個人的に疑問ですが、上限レバレッジは大きければ大きいほど良いと考えている特に初心者も多いようなので日本国内の仮想通貨交換業者における仮想通貨FXのレバレッジ上限が4倍に制限されているのと比べ、100倍のレバレッジも可能と聞けば大きな利点と考える人も多いでしょう。資金を超える損失が出た場合の追証が発生しない、実質的な損失補填制度も法律で損失補填が禁じられている日本の金融機関では有り得ない制度です。

そして公式サイトが日本語に対応しているだけでなく、日本人のカスタマーサポートもあるとされていますから日本からの顧客獲得に非常に力を入れていることが分かります。さらに日本からの顧客獲得を目指してJapan トレードバトルと称して日本居住者だけがエントリー出来る運用レースが開催され、762人の日本居住者が参加登録に必要な0.1ビットコインを入金して1位になれば3000ドルという賞金を目指しているようです (下の2つのキャプ参照)。

この運用レースには日本居住者でなければ参加出来ないようですから日本居住者を特に重要な顧客と考えて非常に積極的に勧誘の対象としていることが明らかです。しかしこの業者は日本の金融商品取引業者とか仮想通貨交換業者のライセンスを持っているとは思えません。仮想通貨FXの業者がいずれのライセンスを得るべきかのか分かりませんが、ライセンス関係に疑問があるのは確かです。

さらにこの業者の信頼性についてはかなり疑問があります。まず例によって連絡先情報を探しましたが殆ど開示がありません。左下のキャプは公式サイトの脚注にある記述ですがバイビット社はBVI (おそらくBritish Virgin Island、英領バージン諸島)にて登録され、シンガポールに本社を置くと書いてあります。しかし英領バージン諸島は有名な租税回避地 (タックスヘブン)ですから仮に英領バージン諸島で何らかの登録があるとしてもオフショア会社を利用したペーパーカンパニーの可能性が高いです。信頼性を高く評価出来るようなものではありません。またシンガポールに在るはずの本社についても連絡先情報は開示されていません。「お問い合わせ」の項目にあるのは右下のキャプに示した4つのメールアドレスだけです。

それ以外の情報としては「当社について」というページには以下の様な記述があります。

>Bybitは、2018年3月に設立されBVIにて登録された仮想通貨デリバティブ取引プラットフォームです。本社はシンガポールにあり、香港と台湾にもオフィスを構えています。

本社がシンガポール、それ以外に香港と台湾にもオフィスがあると書いてありますが3つの拠点について具体的な住所や電話番号といった情報が一切見当たりません。これは情報開示として論外のレベルだと思います。そこで本社が存在するはずのシンガポールの法人登録をシンガポール政府が運営していると思われる「Search UEN」というサイトで探してみましたがBybitで引っかかるのは以下のキャプに示しましたがBYBITECHおよび BYBITECH SERVICESという互いに関連すると思われる2つの法人だけです。

ちなみにこのBYBITECH社は公式サイト (www.bybitech.com/ ) によると建築関係のコンサルタント会社のようであり、仮想通貨とかFX取引とは関係があるように思えません。シンガポールのイエローページ (職業別電話帳)のサイトでも同様に「Bybit」を検索してみましたがやはり見つかるのはBYBITECH社だけでBybit社は見つかりません。要するにシンガポールに本社があるという主張について全く裏付けが取れません。異なる運営会社名でシンガポールに法人登録がなされている可能性は残りますがそれなら当然運営会社名を開示するべきでしょう。

さらに日本居住者を積極的に勧誘しているのに日本の金融庁で金融商品取引業者とか仮想通貨交換業者の登録を得ていないと思われる点を上で指摘しましたが、所在地さえ明示されていないのですから本社があるとされているシンガポールなどでも何らかのライセンスを得ている可能性は低いものと考えざるを得ません。

さらに経営者についても開示されている情報は極めて限定されています。以下は公式サイトからリンクされている公式インスタグラムの投稿からのキャプですが、バイビットのCo-Founder (共同創業者)としてBen Zhouという人物が登場しています。

同じ人物は英語版ですが以下の勧誘動画にも登場してインタビューを受けています。

Interview with Bybit Founder / CEO Ben! (投稿者:Crypto Face)

しかしこの人物についても経歴など殆ど何も情報がありません。唯一、勧誘サイトの1つ、「みーちゃまの仮想通貨投資search」というサイトに

>Ben Zhou氏は、元XMの中国ゼネラルマネージャー

という記述を見つけました。ここで「XM」というのは海外FX業者の1つであり、このサイトの姉妹サイトで検証の対象としています。しかしこの記述について確認は取れません。

またBen Zhouという人物の肩書はCo-Founder (共同創業者)なのですから他にも共同創業者が1人以上はいるはずなのです。しかし他の創業者については情報がありません。これ以外の運営者情報についても情報は皆無です。要するに誰が何処で運営している組織なのか殆ど情報がないということになります。この業者の情報開示や合法性には疑問を感じざるを得ません。

さらにこの業者については多数のアフィリエイト報酬目的のサイトが存在することを指摘しましたが、以下のブログにはアフィリエイトリンクが確認出来ず、記載内容も手放しでバイビットを推奨するものではありません。

Bybitについて|gokoro|note

このブログから抜粋引用します。

>ETHUSDはあやしいです。BTCUSDに比べ、急騰・急落での出来高変化に乏しいです。何かしらのbotが動いてそうです。どう思うかは各人に任せます。

>あやしい出来高に加え、Funding Rateの計算もおかしい気がしますので、筆者は利用していましたが、利用しないことにしました。

つまり相場が急激に変動する場合には出来高が増えるのが必然と思われるのにそういった出来高の変動が見られないことから実際の市場を反映しているのか疑問があるということかと思います。これが事実ならば非常に重大な問題でしょう。

総合的に判断してこの業者にはかなりの問題があります。取引は推奨しかねるという結論にならざるを得ません。


●クリプトトレードアルファ (cryptotrade-alpha.com/) 
●クリプトトレードアルファ『為替オートトレードシステム』(cryptotradealpha.com/fx-system-lp)

これはTwitterに以下のキャプに示したような宣伝投稿が出ているのに気づいたことで検証対象にしたものです。投稿には「自己資金100万円で運用を開始して3年程度で資産が1億円に!」「100万円の元手で資産1億円を生み出す方法」、「誰でもできる1億円構築術」といった刺激的な宣伝文句が並んでいます。

調べてみるとクリプトトレードアルファという会社が表題の2つのサイトを運営していることが分かりました。表題の1つ目のサイトは仮想通貨の自動アービトラージ取引により高利回り運用を行うサイト、2番目のサイトは仮想通貨ではなく外国為替 (FX)の自動売買ソフトでやはり高利回り運用を行うというサイトになっています。仮想通貨と関係しているのは最初のサイトだけですが、同じ会社が運営しているサイトですので参考の為に2つ目のサイトも簡単に検証します。ちなみにこの2つのサイトのURLアドレスは互いに非常によく似ていますが「Cryptotrade」と「alpha」の間にハイフンが入っているかいないかの違いがあって別のサイトです。

仮想通貨自動売買システムのサイト: https://cryptotrade-alpha.com/

FX自動売買システムのサイト : https://cryptotradealpha.com/


まず公式サイトはトップページ (cryptotrade-alpha.com/ ) を見ても「誰でもできる1億円構築術」に関する説明は見つかりません。トップページから「事業内容」を選択し、さらに「システムの販売・開発」の項目の中にある「仮想通貨<超高速裁定取引>自動システム」の詳細はこちら」というリンクをクリックするとようやく「暗号通貨アービトラージ自動売買」というタイトルの専用ページ (cryptotrade-alpha.com/lp ) が出現します。以下はその自動売買のページの冒頭部のキャプです。

まず連絡先情報を探すとこの公式サイトには連絡先情報が書かれたページが2つ存在しています。まずはトップページのメニューバーにリンクのある「会社概要」のページ (cryptotrade-alpha.com/company/ )です (右のキャプ参照)。

会社名が「クリプトトレード」ではなく脱字があって「リプトトレード」になっているのが気になります。さらに連絡先情報は住所だけで電話番号もメールアドレスもありません。また運営責任者も記されていませんし、業務内容には投資関係の項目がありません。トップページに投資関係の記述がないことと併せて投資関係の事業をは出来るだけ隠しておきたいという意図があるのではないかと考えたくなります。

もう一つの連絡先情報は「暗号通貨アービトラージ自動売買」の専用ページ (cryptotrade-alpha.com/lp ) の末尾にリンクのある「特定商取引法の表記」のページ (cryptotrade-alpha.com/lp )にあります。以下がそのキャプです。

こちらには住所に加えて会社概要のページには記載のなかった電話番号、メールアドレス、運営責任者の名前が記されています。

>販売社名 クリプトトレードアルファ合同会社

>運営統括責任者 冨田 幸他

>所在地 静岡県静岡市葵区春日3-6-12

>電話番号 050-3561-0588

>メールアドレス info@cryptotrade-alpha.com

わざわざ分かりにくい場所にしか記載がないのか分かりませんがこれで連絡先情報は確認出来ました。そこでさらにこの連絡先情報について調べてみました。まず法人登録を国税庁法人番号公表サイトで探すと全く同じ静岡の住所にクリプトトレードアルファ合同会社も含めて6件の法人登録があることが分かりました。

ICO CROWD合同会社 (法人番号 8080003002037)

法人番号指定年月日 平成29年10月12日

平成30年1月5日付でクリプトトレード・ガンマ合同会社より社名変更

クリプトトレード・アルファ合同会社 (法人番号 4080003002040)

法人番号指定年月日 平成29年10月12日

クリプトトレード・オメガ合同会社 (法人番号 6080003002039)

法人番号指定年月日 平成29年10月12日

クリプトトレード・シグマ合同会社 (法人番号 7080003002038)

法人番号指定年月日 平成29年10月12日

クリプトトレード・ベータ合同会社 (法人番号 9080003002036)

法人番号指定年月日 平成29年10月12日

株式会社マルワトレーディング (法人番号 8080001011089)

法人番号指定年月日 平成27年10月5日以前

これらは全て静岡県静岡市葵区春日3-6-12という全く同じ住所で法人登録されており、最後の株式会社丸和トレーディングを除く5社は全て平成29年 (2017年) 10月12日に一括して法人登録されています。しかもその社名は「クリプトトレード」で始まっています。現在は「ICO CROWD合同会社」となっているリストの最初の法人も設立当初は「クリプトトレード・ガンマ合同会社」という法人名で設立され、3ヶ月もたたない平成30年 (2018年)1月にに社名変更された法人です。そしてこれらの法人について調べてみると最初の「ICO CROWD合同会社」と最後の「株式会社マルワトレーディング」については公式サイトが見つかってきました。

まずICO CROWD合同会社のサイト (ico-crowd.jp/)を見ると以下の2つのキャプに示した様に「ICO CROWD JAPAN」という仮想通貨、特にICOに関する英文雑誌の日本語版を出版する事業、セミナーを開催するような事業を手掛けているようです。

セミナーについては「資産構築と富の伝承」という漠然としたタイトルになっていますが、おそらく仮想通貨への投資、中でもここで検証している仮想通貨自動売買システムへの投資勧誘が行われている可能性が充分に考えられます。またプレスリリース記事によれば2018年12月8日には幕張メッセで参加者1万人以上という大規模な仮想通貨関連の会議、Fintech & Blockchain Conference in Tokyoを開催するとなっていましたが、公式サイト (www.blockchainsummit.tokyo/ ) によれば下のキャプに示した様に2019年春へ延期されたようでその後も開催されたとか新たな日程が発表されたような様子はありません。

「ICO CROWD」という英文雑誌については英語の公式サイト (icocrowd.com/ ) が見つかるので英語圏の雑誌と思われますが、この英語サイトには連絡先情報が何もなく、何処の国に運営元があるのかさえ分かりません。また購読料金などについても記載がないのでICOの広告に近い記事を集めているだけの無料誌なのかもしれません。アメリカのAmazonおよびイギリスのAmazonで「ICO CROWD」を探してみましたが扱いは無いようです。ちなみに日本語版は月刊誌で1冊1000円、年間予約購読なら1年の12冊の購読料が1万円という料金で販売されている有料の雑誌のようで日本のAmazonでも扱いがあるようです。そして以下が「ICO CROWD合同会社」の特定商取引法に基づく表記のキャプです。

所在地 (静岡県静岡市葵区春日3丁目6-12)だけでなく、電話番号 (050-3561-0588)まで上で引用したクリプトトレードアルファ合同会社の所在地、電話番号と完全に一致しています。ICO CROWD合同会社の以前の名称がクリプトトレード・ガンマ合同会社であったこと、共に仮想通関簾事業を行っていることも考え合わせるとクリプトトレードアルファ合同会社とICO CROWD合同会社は別法人であっても同じグループによって運営されていることは確実でしょう。

但しICO CROWD合同会社の運営統括責任者はMASAHIRO ADACHIとなっており、上でも引用したICO CROWD合同会社から出ているプレスリリース記事によれば漢字表記は足立雅洋のようですがクリプトトレードアルファ合同会社の運営統括責任者とされている冨田幸他とは別人ということになりそうです。

もう一つ、同じ静岡市の住所に法人登録されている株式会社マルワトレーディングについては検索すると水耕栽培どっとネット (www.suikousaibai.net/)というサイトが見つかります。以下はサイトの冒頭部分のキャプですが、水耕栽培用の資材を販売する事業の様です。

このサイトの会社案内にある連絡先情報は以下の様になっています。住所が一致しているだけでなく、代表者が足立雅洋となっており、これはICO CROWD合同会社の運営統括責任者の名前、MASAHIRO ADACHI (足立雅洋)と一致しています。電話番号は異なりますがやはり同じグループで間違いないでしょう。

そしてこの株式会社マルワトレーディングの設立は平成19年 (2007年) 6月となっています。創業からほぼ12年ということになります。一方でクリプトトレードアルファ合同会社などの5社は法人登録が平成29年 (2017年) 10月ですからまだ創業2年未満です。10年以上も水耕栽培の機材を販売する事業を行っていた業者が仮想通貨の業務に乗り出して2年未満となれば経験、実績豊富とは言い難いかもしれません。

次に仮想通貨の運用で高利回り運用が行われるという件について検証します。既に上で引用したように「暗号通貨アービトラージ自動売買」というタイトルの専用ページ (cryptotrade-alpha.com/lp ) には「平均利回り14%越え」と明示されています。これだけでは「平均利回り14%超え」が年利なのか月利なのか分かりませんが冒頭で引用したTwitterでの宣伝には「100万円の資金で始めて3年間で資産が1億円越え」になるとも書いてあるので「平均利回り14%超え」はおそらく年利ではなく、月利だろうと思われます。試しに100万円の資金からスタートして月利14%で3年後に資産1億円になるかどうか試しにエクセルを使って計算してみました。月利14%の複利で計算すると

1年後 (12か月後)に481万7900円

2年後 (24か月後)に2321万2200円

3年後 (36ヶ月後)に1億1183万4200円

ということになり、確かにちょうど3年目 (36ヶ月)で100万円が1憶円を超えます。ちなみに年利は100万円が1年で481万7900円になるのですから382%ほどになります。しかしこの計算では税金が考慮されていません。仮想通貨の売買で利益を得れば年末を迎える毎に総合課税で課税されることになるはずであり、日本に住んでいる限り (投資で得た利益に対する税金がゼロの国に住んでいない限り)3年で1億円の資産を達成するのは明らかに無理です。またそもそも実際に毎月の投資利回り14%が可能かどうかについても疑問を感じざるを得ません。

まず仮想通貨のアービトラージ取引で高利回りの運用を行うという案件についてはこれまでにも幾つか検証してきました。具体的には以下の様な案件です。

AI Trade [AIトレード] → 検証46

Arbitao [アービタオ} → 検証47

ARGUS CRYPTO LAB [アルゴスクリプトラボ] → 検証27

Bit-life [ビットライフ] → 検証46

Bit Station [ビットステーション] → 検証11

USI-TECH [USI-テック] → 検証25

WEENZEE [ウィーンジー] → 検証50

これらの案件の検証でも繰り返し指摘してきましたが、仮想通貨のアービトラージ取引で高利回りを実現することが実際に可能かどうかについては非常に疑問です。まず仮想通貨市場での取引高は為替市場などに比べてかなり少ないので取引所間で相場に差が生じても、大きな注文を出せば簡単に市場間の相場の違いなど埋め尽くされてしまうことになるでしょう。本案件の様に多くの人が同じ自動売買ソフトを利用するようになれば同時に大量の買い注文、売り注文が出ることになり、安く買って高く売ることが困難になるのは必然のはずです。また仮想通貨市場は為替市場などと比べれば手数料&スプレッドの部分が大きいので市場間の相場にかなり大きな差が出ないとアービトラージ取引で利益を出せません。

さらに相場の安い取引所で買うと同時に相場の高い取引所で売るというアービトラージ取引を行うには複数の取引所に資金を分散しておいておく必要があります。相場の歪みが生じているのを確認してから資金を送金していたのでは到底間に合いません。そしてこの案件の場合、以下のキャプに示した様に国内、海外の7つの仮想通貨交換業者の相場をリアルタイムで監視して自動売買を行うとなっています。

となれば、運用資金はこれら7つの取引所に分散しておいておく必要があるはずです。その上で「暗号通貨アービトラージ自動売買」の専用ページ (cryptotrade-alpha.com/lp ) には以下の様な説明や運用例の記述があります。取引の詳細、例えばどれほどレバレッジを掛け、1つの取引にどれほどの資金を注ぎ込んだのかなど一切分かりませんが、1.5ビットコインから運用を開始して5ヵ月の運用で2.585ビットコインにまで資金が増えているとなっています。そしてその中で2019年4月分の取引の記録が示されています。

説明が明らかに不充分なので理解が困難なのですが、この取引記録を見ると2019年4月の最初の取引で得た純利益が0.211639ビットコイン、113865円となっています。2019年1月頃に1.5ビットコイン、おそらく60万円程度(?)から自動売買を始めるのに7つの仮想通貨取引所に資金を均等に配分しておくとなれば1つの仮想通貨取引所に置いておける資金は10万円にも満たないことになります。取引所当たりの資金が1月から4月までの取引で倍に増えたとしても取引所当たりの資金はせいぜい20万円程度でしょう。この程度の資金しかないのにどれほどのレバレッジを掛けたのかも全く分かりませんが1回のアービトラージ取引で11万円以上の利益が出るというのはあまりにも非現実的としか思えません。アービトラージ取引というのは取引所間のわずかな相場の差を利益につなげる取引であるはずです。この取引記録をそのまま信用する気には全くなれません。

そもそも仮に誰かが仮想通貨のアービトラージ取引で利益の出せるソフトの開発に成功しても、同じソフトを使う人が増えて、あるいは運用が成功して資金が膨らめば問題が生じます。すなわち運用金額が大きくなれば簡単に市場間の相場の歪みが埋まってしまうので利回りが低下することは避けられません。仮に少額の運用ならば月利14%とか年利で382%などという高利回りが可能であるとしても多くの人から大きな資金を集めて運用を行ってもその利回りが維持出来るとは到底思えません。また仮想通貨のアービトラージ取引でそれだけの高利回りが実際に可能ならば多くのトレーダーが参加して競争が激化する可能性だって充分にあるはずです。アービトラージ取引への参加者が増えれば当然市場間の相場の違いは縮小を続けて運用利回りが低下する要因になるでしょう。毎月14%といった運用利回りが3年にも渡って持続出来るとは到底思えません。

ちなみにこのシステムの代金は以下のキャプに示した様に120万円だそうです。1.5ビットコインから運用を開始すれば6~10ヶ月で120万円が回収出来るとなっているようです。

そしてこのシステムついて説明会での勧誘が行われているようです。以下も専用ページからのキャプです。

それからこの検証項目の最初に書いた様にクリプトトレードアルファ合同会社は仮想通貨のアービトラージ取引だけでなく、別サイト (cryptotradealpha.com/fx-system-lp) で外国為替 (FX)の自動売買システムも提供しているようです。以下はこのFX自動売買のサイトの冒頭部分ですが「月間平均40%を超える利益を継続する実績」があると称しています。

そして以下はこのFX自動売買システムのサイトの特定商取引法に基づく表記のページの冒頭部です。

販売会社名のクリプトトレード・アルファ合同会社、責任者の富田幸他、静岡市の住所、電話番号まで「暗号通貨アービトラージ自動売買」からリンクのある「特定商取引法の表記」のページ(cryptotrade-alpha.com/lp )に記載されていた連絡先情報と完全に一致しています。仮想通貨のアービトラージシステムとこのFX自動売買システムの開発販売を行っているのは同一の業者ということになります。

そしてこの自動売買ソフトを使えば「現在まで毎月40%を超える高いパフォーマンス」の実績があるとされており、月額利用料5万円が必要となっています。

しかし実際にこれだけの高利回りでの運用が可能かどうかについては疑問を感じざるを得ません。例えばこのFX自動売買システムのサイトはかなり新しいサイトです。以下はこのサイトのWho Is情報ですが、サイトの開設日 (Creation Date) が2019年2月20日と3ヶ月前でしかありません。

「現在まで毎月40%を超える高いパフォーマンス」の実績があるという主張の「毎月」はどれほどの期間に渡って達成された実績なのでしょうか?少なくともサイト開設以来の3ヶ月だけの実績では明らかに不充分でしょう。少なくともここで主張されている実績についてはもっと明確に示すべきだと思います。

さらに自動売買システムの提供については法的な問題も疑われます。すなわち以下のリンク先にある北海道財務局から出ている告知にもあるようにFXの自動売買ソフトを販売したりレンタルするには金融商品取引業者の投資助言代理業の登録が必要なはずです。

自動売買ソフトの販売・レンタル業者にご注意!

しかし金融庁のサイトで公表されている金融商品取引業者のリストにクリプトトレードアルファ合同会社あるいは同じグループによる他の法人についても該当がありません。下のキャプに示した通り、現在は「新規募集停止中」という告知が出ているようですが、既に利用している人がいるとすれば法的な問題がある疑いはかなり濃いと考えざるを得ません。

この検証の本命である仮想通貨の自動売買についてはFXの自動売買と異なり、金融商品取引業者 (投資助言代理業) の登録が必要であるかどうかは明確な判断が示されていないと思われます。但しつい最近、改正資金決済法が成立し、その一環として仮想通貨 (暗号資産)の証拠金取引についても金融商品取引法の規制対象とするということになったようです。以下のキャプは金融庁から出ている説明資料からの抜粋です。

FX (外国為替証拠金取引) の自動売買システムの場合と同様に仮想通貨の証拠金取引でも自動売買システムの提供に金融商品取引業者 (投資助言代理業) の登録が必須であるかどうかについてはまだ金融庁から明確な判断が出ているとは言い難いのかもしれませんが、少なくともFX自動売買についてはクリプトトレード・アルファ合同会社の事業なのですからこの業者の合法性、順法精神には疑問を感じざるをません。

それからこの自動売買システムを使うについては理由が分かりませんが、XM Tradingという海外のFX業者の口座を開設することが条件になっています。以下は「よくある質問」からの抜粋ですが、既にXM Tradingに口座を持っている人は一度口座を解約し、新たに口座を開設することまで必要とされているようです。

しかしこのXM Tradingという海外FX業者については問題があります。詳しくは本サイトの姉妹サイト、「危ない投資の備忘録」にあるXMの検証にまとめてありますが、日本の金融商品取引業者の登録を得ていない、海外でのライセンスや所在地情報についても疑問がある上にネット上にはトラブルの報告もかなり見つかります。個人的見解として安心して利用出来るFX業者ではありません。そして特に既にXMに口座を保有している場合には一度口座を解約して再度口座を開設する必要があるという点には強い違和感を感じざるを得ません。これはアフィリエイト報酬を狙って新規の口座開設を要求しているのではないかと疑わざるを得ません。

総合的に判断してクリプトトレード・アルファ合同会社の信頼性には疑問符を付けざるを得ません。この業者の利用は推奨しません。