スーパースワンの製作
・長年のオーディオ評論家であり、元祖BHの開発で慕われていた「長岡鉄男」氏が亡くなられました。私は'95 FMfanの記事を引っ張り出して、数年前にD-100を製作した時から、その凄さを理解しているつもりでした。ここは氏の足跡を振り返るつもりで、「こんなスピーカー見たことない」全2冊を求めてきました。その本を見ているうち、やはり最高傑作の「スワン」を作るしかないと思うようになりました。

・7月下旬の夏休みを利用して、コツコツ製作しようかと思っていた矢先、なんと7日間の連続休日出勤が飛び込んできました。毎日、蚊に食われながら、帰宅後の1~2時間を使い、必死で組み立てを続けました。

15mm厚のベニアを2枚購入し(約8,000円)、大まかな裁断をしてもらいました。ハタガネを新調しました。ユニットは、本来のFE-108Superが限定生産だったため、現在は入手できないので、D-100で使ってきたFF-125Kを使うことにしました。事前に10F20との音の比較を行ったところ、125Kの方がメリハリと荒々しさに勝っていると判断したこともありました。

首の長さは本来42cmなのですが、狭い部屋で聴くには高さがあり過ぎになるので、記事の中に10cm程度は短縮可能とあったのを信じて、思い切って30cmにしました。また内側に約40°ほど捻りを入れました。視聴位置を正三角形とするならば 30°で良いのですが、音場を均一にする方法として知識を仕入れたばかりのやり方を採用し、グッと内側に向けました。これで本体を壁に平行に配置して、後面のホーン出口からの低音放射をまっすぐ壁にぶつけることができます。

頭と首の部分は胴体から外して抜き差しできるようにしました。寸法調整がなかなか厄介でした。接着剤は通常タイプの水性ボンドです。直径1mmの釘で位置合わせをした後に、接着剤を塗りこみます。本番の釘は、鉄のスクリュー釘にしました。板と板が広い面積で合わせられる部分、あるいは少しでも「浮き」の出そうなところは木ネジでギュウギュウ締め上げました。水性塗料で仕上げるまでは、釘だらけの外観になりました。

上から見た箱の内部の様子

同じく上から透かして見た

下から見た写真

左の写真がそれまで愛用してきたD-100です。アンプは金田式Nr.139 バイポーラを使ってきました。MOS FET型の金田式対称アンプは、タンノイに良くマッチしていましたが、パンチのあるD-100にはパイポーラが最適でした。

友人達と共に、聴き比べを行いました。「スワン」は低音の再生領域がそれまでとは比べものにならないほど、拡大しました。そして大編成のオーケストラになるほど、その凄さを発揮してきました。全ての楽器が存在感にあふれています。

幻想交響曲第三楽章、凄まじいブラスの合奏とどよめきの中でも、美しい弦楽器の調べが同時に流れてきました。私達はお互いに顔を見合わせて、「アッ」と言いました。製作して、本当に良かった!!

今現在は、金田式MOS FETで聴いています。同じユニットにしては、D-100よりもかなり高音が柔らかい音になったので、少しメリハリを付けたかったからです。MOS FETのドレイン出力+電流帰還型のアンプも試してみました。ポップス系はこちらの方が良さそうです。しかし、コンサートホールの雰囲気や、コントラバスの存在感は金田式が勝っています。どうも、BH系の双山の低音部インピーダンス上昇部分に対してでも、金田式アンプはそれを補正した電流を送り込んでいるように思います。