デジタルアンプの製作

若松で購入したIC(TA2020-020 \1,800)を使ったアンプがなんとか出来上がりました。店頭で鳴らしている素晴らしい音に心を惹かれ、完成品(RSDA202)\9,800は無理としても、キット\4,800をよっぽど買おうかと思ったのですが、なんとかあり合わせのパーツを組み合わせて完成までこぎつけました。指定のパーツを使っていないため、本来の音が出ていない可能性もありますが、なかなか素性の良いアンプに仕上がりました。 特に音響パーツを使ったわけでもなく、デジタルならではの安価な構成が可能です。唯一、重要と感じたのがLPFのコイルです。単品で購入するのが難しく、手持ちのものを使ってみたり自作まで行いましたが、コアのQ値が高い事と直流抵抗を低めに押さえる事が重要であると思いました。 ヒートシンクはCPU用のアルファを使いました。いざとなればCPU Fanを取り付けるつもりでしたが、全く発熱なしで、触っても冷たいままで充分な音量が得られました。さすが、Dクラスアンプ、効率が80%以上と言う話は嘘ではないと思いました。 なお、使用したICの仕様や標準回路図などについては、Tripath Technology Inc.からデータを入手しました。

手持ちのパーツとユニバーサル基板で回路をレイアウトした。低周波発振器とオッシロで特性を見ながら、コイルを選定したが、緑色のものは直流抵抗が大きくてダンピング不足、手巻きのビーズコアはQ値が低過ぎて、音が歪んでしまった。

電源は最初にアナログのものを使ったが、安定化の必要を感じたため、思い切って外付けMO装置から外したデジタル電源に交換した。とても軽量で、また音質的にも問題なく使用できた。

ヒートシンクはCPU用のアルファ、これにIC基板を取り付けたあと、ケースにアルミアングルで固定する。

あり合わせのケースに組み込んだところを横から撮影した。今のところ、IC冷却ファン取り付けの必要は全く感じていない。

さて、問題の「音」ですが、とても素直で生き生きとしています。SATRIに匹敵するアンプだと思います。いろいろなCDを聴いてみましたが、特に低音が素晴らしいです。パイプオルガンの演奏では、スワンでこんな低音が出るのかと、驚いたくらいです(BTLの効果が大きいのかもしれない)。オーケストラは楽器の分離も良く、またソロバイオリンの再現も満足できるレベルでした。これは充分にリファレンスとして使え、極めて高性能な標準アンプになり得ると思います。なお、デジタルアンプの製品としては、シャープなどが100万円クラスで、数百万円の高級オーディオを凌駕するようなものを市販しているようですが、FLYINGMOLE社の「DAD-M1」と言う片チャンネル4万円のアンプがお薦めだと思います。これはAMAHAから独立した技術集団のベンチャー企業だそうですが、特に電源の構造に特徴ある回路を採用しています。スワンに一台ずつ乗っけて、SPケーブルを数10cmで接続し、アキュフェーズのプリアンプでドライブすれば、素晴らしいオーディオ環境が得られるような気がしました。以上は、2003/3/23時点

[後日談]

2号機を製作しました。今度は外付けHDDのケースとSW電源をそのまま使う方式です。もちろん基板は使わず空中配線、電源容量 35W、コイルはまず13.5μH 7Aのものを千石で見つけて使いましたが、現在はトロイダルコアに変更しました。64uH 5Aの市販品(カルボニル鉄)を巻きほぐして、10uHに調整しています。--2003/06/21--

1号機を空芯コイル型に改造しました。コイルは0.8mφのウレタン被覆線を単ニ電池に20ターンほど巻きつけました。場所を取るのが難点で、互いを90°の角度をつけて干渉しないようにしました。音は極めて高品位で、我が家のアナログアンプを含めても、これがベストなものになりました。--2003/06/28--