音質の維持について

GKシリーズの高音質を維持向上させるための"秘密"をご紹介します。また、みなさまからいただいた

アイデア/ご要望などについても、できるだけお応えしていきたいと思います。

機器の音質を決定する要因として、(1)回路構成、(2)素材、(3)評価方法(&良い耳)などが重要だと考えております。GKシリーズの場合は、40 : 30 : 30くらいのウェイトを占めているような感触を持っています。

1.回路構成

・NF型では各チャンネルに5石の半導体(Tr1:FET, Tr2-5:バイポーラ)を採用したディスクリート構成にしています。IC素子を使わない理由は、音の立ち上がりを良くする為です。アナログ用のICは、裸ゲインが100dB以上もあり、必要な帯域とゲインを確保するために、60dBを超える負帰還をかけてしまいます。これが音の瞬発性を損なう大きな理由です。

・Tr1が装置全体のS/N比を決定づけるポイントとなります。MM用イコライザでは電圧増幅、MC用は電流増幅型の回路構成としております。※NF型のみMM/MC切り替えに対応しております

・NF型の特徴はS/N比に優れることです。GKシリーズの電源電圧は、24Vと言う高めとなっておりますが、これにより真空管回路に相当するほどのレンジを確保できているものと思います。

・CR型は活き活きとした、伸びやかな音が特徴です。MM or MC専用タイプとモノラル型に採用しました。イコライジングカーブ切替にも対応できています。MC専用型にはSATRI回路採用。

2.素材検討

・アナログオーディオの世界では、フィルムコンデンサをよく吟味して高音質の実現を図っています。特に定評のあるものがスチロールコンデンサです

・当初は手持ち100本ほどのスチロールコンデンサでスタートし、生産終了のため同じメーカーの銅箔PPSへの切替を計画しました。しかしメーカー(サンリング)から、個人事業程度の相手には販売しないとの返事がありました。さらにメタライズドPPSコンデンサですが、音質に定評のある松下製を吟味しました。しかし手に入るのは表面実装用のチップ型コンデンサしかありません。ネットで調べたところ、リード線タイプのものが、米国、オーストラリア、香港に在庫しているのが分かりました。

・銅箔スチロールコンデンサ1,000本を入手できることになりました。もちろん現在は生産されていません。それをGK03D/Mなどに採用して、できるだけ多くのオーディオファンに使っていただきました。高音の歪が極めて少なく、また重厚な低音を再現できることが特徴です。他社には真似のできない素材でした。

・カップリングコンデンサは、ニチコンMUSEシリーズを適材適所に配置して、音造りを行なっています。

・固定抵抗器の音に与える影響も無視できません。現在はすべて金属皮膜抵抗器です。抵抗器の場合は全てを交換してみて音の違いが分かる程度の寄与率ではないかと思います。

※ご参考歴代のコンデンサ(イコライザ部)をまとめてみました。左から順に、ニッセイPP、アルミスチコン、銅箔スチコン、銅箔PPS、そしてメタライズドPPSの2つです・リード線付きのPPSは製造中止となっているため、米国or香港の在庫から取り寄せました・チップ型PPSは、予めリード線をハンダ付けしてから、基板に装着しています

3.性能評価 & いただいたアイデアの実現

・完成したイコライザは全て、私なりの評価装置とカートリッジでチェックしております。オーディオ歴は長いのですが、個人の特定システムに過ぎません。ユーザー様からの提案とアイデアで、日夜改良に勤めてまいります

・オーディオの世界は実に多様で、日頃から「良い音」と言う言葉ほど不確定な表現はないと思っておりました

・数々のお褒めもいただきましたが、いきなり返品を求めてくる方もいらっしゃいます。返品OKとしていた頃に、続けて3台もの返品を要求してくる方もおられました。新製品が出るたびに送金・返品の繰り返しです。それもあって、ご注文の時に初めて口座番号をお知らせするように致しました

・特注製作品の返品を要求される方も何人かおられました。オーダーメイドにはカスタマイズで対応できるのみです。カスタマイズについても、GK06SPUのMM対応など、実現不能なお話もいただきました

・音をデータのみで判断して返品要求されました。音楽性を追求されている方を大事にしたいと思います

・いろいろなやり取りがありましたが、情報交換は大変有難いことであり、良い製品にしていくための原動力になります。また一人の趣味人として、オーディオ談義、音楽談義のできる環境もご提供したりしております

※このページは、新しい事柄や情報があり次第、常に更新してまいります。ぜひご期待ください。