半導体ミニアンプの製作

真空管アンプと金田FETアンプの比較試聴会を、6/15に友人宅でやろうと言うことになりました。金田アンプの方は私が以前メインシステムとして使っていた、No.139のバイポーラによるダーリントン回路をMOS-FET(2SK1056)に置き換えて、若干修正した回路になっています。ところで金田オリジナルの対象型アンプに使ったことのある、K213/J76 MOS-FETが4組余っていました。そうだ、K213を4個使って、ミニアンプを作ろうと思い立ちました。回路構成は、2SK30A x2, Tr/LEDによる定電流回路, 2SB716 x2, 2SK213 x2、そして電源部はJA0KYBさんからいただいた、40V 3Aのショットキーダイオードをブリッジ接続にしました。

電源電圧はダイオードの耐圧制限により、今回は12Vとしました。出力は約17Vとなります。終段のK213は、アイドリングとして約50mAを流しました。出力はA級動作の範囲なら、0.3Wと言う小さなものになります。小型のケースがあったので、4個のFETをその底面に貼り付けました。ほんのり暖かくなる程度ですので、100mAくらいは流せるかもしれません。

配線は全て空中配線です。電源のケミコンは、25V 3900μF x3を正負それぞれに配置しました。調整は極めて順調で、K30Aに1mA x2、B716は2mA x2ほど流すことにして、中点調整ならびにドリフト安定度も満足すべきものでした。スワンに繋いだところ、低音がボワーとしてNG。そこでNFBを100Ω/4.7kΩ→220/4.7kと倍に増やして、まずまずの結果を得ました。いろいろなソースを聴いてみましたが、実に美しい音が出るアンプとなりました。バイオリンの擦れる音、伸びる音、広がる音のどれを取っても素晴らしい・・・。伴奏のピアノが、これまた実在感のある迫力で素晴らしい。

こんな簡単でミニパワーのアンプで音楽を楽しめるのは、やはり高能率のスワンがあるからだと思いました。しかし、まだ低音が出すぎて、不自然な感じが残っています。スワンはホーンにより、金田アンプは独自の出力インピーダンス操作で、いずれも低音を増幅します。2SK1056の時は、素子が低抵抗でダンピングがしっかりとしていたのだと思います。今回はSPの逆起電力に負けてしまっているのかもしれません。

ここにきて再度、MOS-FETと金田アンプの魅力を実感しました。バイアス電流の調整で、もう少し手を加えてみようと思っていますが、ミニアンプで聴く音楽もなかなか良いものです。

(後日談) 2002/06/04
アイドリング電流を、100mAにしてみました。発熱量からはこれが限界、ケースを放熱器にしているし、鉄製のため伝導率が低いのもマイナス要因となっています。音は全くボンツキのない、しっかりした音になりました。高音がグーンと伸びてきました。ミニアンプと言われなければ、まさか0.6Wのアンプとは誰も思わないでしょう。ただ、音の面白みが減ったように思います。特徴がなくなったと言うか・・・・。いつも感じることですが、「音が良い」と言うのは、実に主観的な見方ではないかと、今回もそれを痛切に思いました。