DACの製作

後日談(2003/04/20更新)

DACにSATRIを組み込みました。音は「素晴らしい」の一言に尽きます。友人所有のAUDIO ALCHEMY同等だったのが、数段上のレベルに達したと思います。高音の冴えだけでなく、低音がまた伸びました。別の友人のDP65と勝負できると思います。現在メインの高品位なBTLアンプの音質に、演奏者の実在感がプラスされたような感覚でCDを楽しんでいます。DACの音質に影響する主たる要因はI/V回路だ、と言う話は本当だと思いました。製作時のエピソードとしては、電流増幅後の電圧取り出し用の抵抗器が、音質に重要な影響を与える事が分かった点です。一見同じように見える金属皮膜型の抵抗器でも中身がどうも違うらしく、小型の新しい抵抗器に換えて初めてこの満足できる音に達する事ができました。

(ここからスタート)
友人からCDトランスポートを手に入れられることになりました。この7年くらい使ってきた私のPD-T06はメカがターンテーブル方式、DACは1ビットストリーム方式にレガートリンクコンバージョンと、なかなかの優れものと思っています。しかし、半年くらい前に別の友人宅でDP-65と聴き比べた時に、やはり値段の差を感じたことがありました。と言う訳で、まずはDACを買うか作るかしなければなりません。MJ95.6~7月号の記事を思い出しました。上ヶ平さんのシンプルDACです。18ビットのPCM58Pを使った抵抗一本のIV回路が、Niftyでも話題になっていた記憶もあります。果たしてこのチップを売っている店があるのだろうかと、フラフラと秋月に行ってみたら、ナント@300で置いてありました。お店の人に聞いてみたら、たまたま倉庫に300個くらい残っていたので、店頭に出したとのお話で、本当にラッキーでした。あとはCS8412CPとSM5843APですが、エイフルの通販で購入しました。正確に言うとCS8414しか見当たらなくて、こちらにしたのですが、若松あたりの広告では8412もまだあるみたいですね。届いたICを見てびっくり、DIPではなくてSOPでした。こんな細かな端子に半田付けができるのだろうか・・・。真空管アンプの製作なら、多少の老眼でも苦にはならないのですが。しかし、Zライトをふたつ接近させて、気力で28P-DIP変換基板に無事半田付けをすることができました。サンハヤトの小さな基板を二枚ほど買ってきて、8414+5843を一枚に、58Pの二個をもう一枚に取り付けて、二階建て構造にする事になりました。参考にした回路はMJ誌以外にも、WEBで二つほど見つけました。ひとつめのサイトでは+5V電源をアナログとデジタルに分離して、IVアンプはバイポーラのディスクリートを使っていました。ふたつめのサイトでは一箇所の信号反転にトランジスタを使い、PCM58Pまわりのコンデンサの容量にも気を配った、抵抗IV出力型の製作記事でした。

MJ誌の配線図と比べて、8412-5843間の接続などが微妙に異なる部分がありましたので、「ひとつめ」のサイトの図を基にして、他の回路の良い所を組み合わせる事にしました。PCM58P周辺の数個のコンデンサは、ごく普通のケミコンやタンタルを使いましたが、No.4ピンだけはOSコンにしました。土曜日の午前から取り掛かり、深夜2時ころには音が出るまできました。しかし、抵抗一本のIVではレベルが低すぎるので、なかなかCDP本体の音との比較が困難でした。しかし、荒っぽい中にもなかなか素直なところがあるように感じました。

抵抗一本のIVはそのままにして、2SK30Aの一段のアンプを組み込みました。30kHzカットくらいのフィルタも入れました。コントロールアンプとのカップリングには、セラフィンを使いました。そしてSM5843APのNo.27ピンはONにして、スローフィルタを効かせました。一言でこのDACの音を表現すると、「スッキリ・ストレート」な印象をもちました。そして、楽器の定位感が素晴らしいのです。PD-T06の音は品が良く、低音が豊かなのですが、何と無くこもった感じがしました。コントロールアンプの前面にSWを取り付けて、ワンタッチで切り替えができるようにして、何枚かのCDを聴きました。コレは素晴らしい!!、特にオーケストラなどの編成の大きな曲が楽しめそうです。早く新しいトランスポートを試してみたい。さらにCDを揃えて聴いてみたい、こんな気持ちで楽しく毎日を過ごしています。

※上の写真はコントロールアンプに組み込んだ後のものです。PCM58Pが二個見えますが、その下にもう一枚の基板が隠れています。さらにその上に小さな基板が見えますが、FET各1個のIV+バッファアンプです。今後はAD797を使ったIVアンプとか、音質に影響のあるIV部分のパーツを吟味してみたいと思っています。右上の2枚の基板は、そのあとに作ったイコライザアンプです。OP-Amp(LF357N)左右1個ずつの簡単なものですが、NF⇒CR型に変更して作り直しました。一段でゲインを55dBも取ったので、やや迫力に欠ける面もありますが、それまでのNF型に比べると数段上の音楽が楽しめるようになりました。