重荷(1997)詩集「呼動」より
知らない人だった。
ずっと見も知らぬ他人だった。
そこにいるだけの
無口なだけの貴方に
なぜ魅かれたのか――自問自答する日々には
他に何も存在しない。
いたずらな顔と
皮肉な目だけが
奇妙に私には泣き顔に映った
――泣いていたのは私かもしれない。
その笑顔の下で
貴方が泣いていたような気がして
心はシンクロナイズ・・・
噂が風のように耳を伝うのを感じながら
絶望的に貴方の記憶が脳裏をすりぬける・・・
――きっと、もう一度会えたなら
運命だったとあきらめてみるよ。
貴方の肩に背負った重荷のひしめきが
手にとるようにわかるから・・・
私は不幸にはなりたくなかったから
・・ずっと貴方を避けていた。
私の肩の重荷は
自分で処理するのには精一杯だったから
・・貴方の分までは背負えないと
思っていた。
けれど、思う。
運命の星がもう一度
私たちを対面させるならば
たとえ途中で倒れるかもしれなくても
進める所まであなたをおぶっていくだろう。