おすわりをして待っているヨークシャーテリア
揺れる泰山木の花の下で
二歳の男の子がくしゃみをしている
こんな風景、昔どこかにあった
私の願いの起こした幻か
絵画の中にあったような
そんな記憶を
ジグソーパズルのように
つなぎ合わせてみると
遠い山々から
ラッパの音が響いてきた
一度くらい騙されてみてもいい
そんな恋の行く末に
この風景があるのなら
それもいいのかもしれない
幸せなんて
私には計り知れない
「ただ あなたがいれば」
そんな想いが続くのならば
泰山木の大きな葉が落ちる
男の子は楽しげに笑う
私は青空のてっぺんを眺め
デジタルカメラを握りしめる