日向の匂いのする人に
恋をしました
タンポポの綿毛が
春風に揺られて
小川を渡ってゆくような
あの優しい人には
そんな匂いがしました
私はそよ風のぶらんこに
揺られながら
あの人の空気を求めて
太陽に手を伸ばしました
日のかけらは
私の鼻腔の奥をくすぐり
木陰にいても日向へと
連れて行ってくれました
私はあの人を愛しています
それはいつか歌になることでしょう
私の心の中を
果てしなく続いてゆくその歌は
きっと死を安らかなものに
してくれるでしょう
日向の匂いのする人は
ここにいます