「こちら独身」
と紹介されるのがとみに嫌だ。しかも女友達から女友達へ。
そう言われたところで共通の話題はない。
「私は高望みで・・・」
とさらりとかわした五十代後半と思われる女性はいたが、あれも何だか私がバカにされたようで気分は最悪。
他のところでは、一見して険が強すぎて結婚できなさそうな女性と一緒にされて、口を聞くのも嫌だった。
私を紹介する女性たちは既婚でそこそこ恵まれた生活をしている人ばかり。
どうして、
「独身」
と紹介するのだろうか。
「詩人の有澤さん」
と言えばいいものを。
「独身」と紹介する人は、
「結婚はして当然」
と考える人が多く、中には
「いい人がいたら紹介してやってね」
との一種の仏心もあるやもしれぬ。しかし、そんな風に出会った人からいい人を紹介されたことは一度もない。
離別・死別の人たちも、
「こちら独身」
と言われるのだろうか。
何だか「未婚の独身と区別して欲しい。それはあまりにも厚かましい」
とちらとでも思うのは私だけか。
ただどれも「独身」であることは間違いはなく、「バツイチ」「バツニ」だのというのは思いやりに欠けるから、たとえとして、「バツ十」の人がいたとしてもやはり、
「こちら独身」
になるのだろう。