風雪に耐えた男の顔を見る
二十歳の時に祖父に先立たれた父
その若さで実母と出戻りの姉を支え
世間の荒波に揉まれてゆこうなどと…
心細かったに違いない
不安もあったに違いない
その頃書き付けたメモが発見されると
そこには数々の「言葉」があった
哲学や偉人の言葉
それらを糧にして
頼りにならぬ家族を
たった一人で担っていかねばならなかった父――
定年の年も過ぎ
病も抱え
すっかり早寝早起きになってしまった体で
もうすぐ開業五十年
車を走らせると
次々と新しい店が出来ては消えてゆく
そんな中をひたすらに
その頭と体をフル回転して
家族を守ってくれた父――
毎日が父の日だ
いろんな素敵なお父さんはいる
だけど 私にはやっぱり
この父なのだ