月曜から始まった新学期の講義が始まった。私の熊本学園大の夜間部の2回目の生物学の講義を5/10に行った。なかには連休中、避難所にボランティアに出かけていたという学生もいる。
3週間もたち、避難所にいると何かと怒りっぽくなる、ストレスが溜まるからだ。それを避けて崩れかけた家に戻る人、車の中で過ごす人が多い。しかし、それでも別のストレスが溜まる。また、余震が続くので心が疲れこれもストレスになる。また、片付けで筋肉痛になる方が多い。
1) 漢方でストレスは「肝(漢方で言う肝(カン)」を痛め、炎症(虚熱)をおこす。この虚熱が上昇し、肝の上にある心(しん)に移動、心が「もやもや」する。さらに虚熱が上昇すると、頭(脳)に溜まる(頭は頭蓋骨があるので、虚熱が抜ける場所が無い)。頭に虚熱が溜まりだすと「イライラ」しだす。イライラがひどくなると「怒り」になり、虚熱を外の発散する。しかし、運動等で身体を動かす(筋肉を動かす)と虚熱は実熱にからり体外へ出て行くのだが、ストレスを溜めて動かないと。「怒り」「怒る」などとなり発散することになる。
そこで、漢方薬は「肝」の虚熱を除く処方を用いる。その処方の代表が「柴胡剤」の「抑肝散、抑肝散加陳皮半夏」である。西洋薬のように神経に作用するのではないので、身体がだるくなる等の副作用は見られない。しかし、寝たきりの方には絶対に用いてはいけない処方である。熱を除くので長期間服用すると身体を冷やし免疫力を下げるので。頓服での服用をお勧めする。
2)壊れた家の片付けなどを続けると、筋肉痛がひどくなり、そのために眠りが浅くなることがある。また、車等で寝ていても、腰痛等をおこす。このときも漢方薬の「芍薬甘草湯」が効果的である。「芍薬甘草湯」は、筋肉の痙攣を和らげる作用を持っている、芍薬+甘草の2つの生薬から単純な処方であるが、素晴しい処方である。「芍薬甘草湯」も「抑肝散、抑肝散加陳皮半夏」と同じように、筋肉・臓器・膜(横隔膜、筋膜など)が痛いときに頓服で用いる。
芍薬甘草湯は、故原田医師が、水俣病患者さんの「からすまがり(こむらがえり、足がつる)」の予防に用いていた。効果抜群である。
2016年5月11日 記載