セキショウ ショウブ科
今月の薬用植物は、セキショウです。4月分の掲載が小野田で農作業をしていて遅くなりました。
昔はサトイモ科でしたが、現在はショウブ科に分類されています。和名を石菖(せきしょう)と言い、清流の流れる谷川の淵などに群生していますが、庭で鉢で植えていても育ち、10年以上元気で鉢に密集した状態で生きています。
日本以外では中国~ヒマラヤの、温帯~暖帯に分布すると記されています。ショウブに比べて小型で、葉は20~50cm位で光沢があり剣状です。熊本市内では3月中旬、桜の咲き始めることに棒状の花を咲かせます。全体に芳香があり、葉を切ると気が落ち着くような香りがするので好きです。 薬用としては根茎を用います。生薬名を石菖蒲(せきしょうぶ)と言い、中国では、味は辛く、性は微温。痰を除く、気を整える、血を活(い)かす、風を散らす、湿を去る等の効能があるとされ、聴力障害、腸や胃を温め、健胃・鎮痛作用があり、四肢の湿麻を除く等に用いるようです。また、芳香性健胃、駆虫、鎮静、鎮痛を目的に、胃痛、腹痛、リューマチ等に用いられます。また、昔から頭が良くなる薬、健忘症に効くとして用いられました。
漢方処方で、枕中丹(ちんちゅうたん) 《備急千金要方》があります。 「石菖蒲、遠志、竜骨、亀板」の4生薬からなり、 心神不安、健忘失眠 の治療を目的に、心血虚による動悸、驚きやすい、不眠、健忘の改善に用いるようです 。
民間では、健胃、鎮痛、腹痛に1日量5g位を煎じ、1日3回に分けて服用。抗真菌性があるので、外用薬にも用います。浴剤として、足腰の冷え、筋肉痛、関節痛、ねん挫、打ち身等にも良いようです。薬用酒(1Lに100~150g)も作れます。
大分県の別府温泉の鉄輪(かんなわ)に、鉄輪の蒸し湯があります。普通の蒸気サウナではなく、 セキショウの葉を敷いた上に身体を横たえ、ジワジワと温泉蒸気とセキショウの葉の成分で体を温めます。2度行ってみました、身体が芯まで温まり良かったです。痛み、ストレス解消には大変良いのかなと思います。昔に比べ、鉄輪の蒸し湯の大きさが4倍になったようで、セキショウの葉の供給が追いつかないのが難点です。天然のセキショウが絶滅しないように願っています。栽培は以外と簡単かもしれませんが、谷川の淵に生息しますので、日光が当たり過ぎると生長が悪いようです。
5月の子供の節句の日(5/5)に、ショウブ湯の習慣がありますが、古くはセキショウの葉を用いたようです。しかし ショウブが身近で栽培できるようになってからは、ショウブ湯が主流になっています。
<今月の薬用植物園便り>
1)猫が、フェンスを乗り越え、中に入っている形跡が、フェンスに足跡がアチラコチラに残っているので分かります(入り口付近に沢山)
2)カラスも薬用植物園近くの法面、低空飛行で飛んだり、作業中に羽音が聞こえま、恐怖感を感じます
3)3/27に設置された、プレハブ&倉庫は、プレハブにカーテンを着け、中に、中古の机x2、ホワイトボードx1、整理棚x1を入れ、下の周りは猫避けのネットを張りました。倉庫は中に道具類を移動し、下はネットを張り、白の壁の目隠しに寒冷紗を張っていみました。また入り口に泥除けマットを敷きました。『ただ網戸、樋』が無いので、困っています(業者に付けて下さいとお願いしていましたが、見積り時に抜かれたようです。『現場を理解してくれませんね』)
4)倉庫&プレハブにビニールハウス内に置いていた道具類を移動させたので、棚が空き、普通に使えるようになりました。『5月からの植え付けのため、ビニールハウスで30種位の種子を蒔き、3月末に蒔いたのは、一部発芽しています』
5)4/7(日)から、お手伝いをしてくれる方(Mr Hさん)の契約が成立し、まず寒冷紗の日陰区の傷んだ所の補正&整備をして下さいました。また、私が不在の4/8〜12の間は、4/21の江汐公園のツツジ祭りに向け、周りの草刈り&整備をして下さいます。
6)私は、熊本に帰って居ない時でも、ビニールハウスの温度管理、潅水、除草等の管理をきちんとして下さる方が出来、私の心身のバランスが普通に近い状態で生活できるようになりました(一歩前進)
7)3月始めにネパールのAITM大学のSaiju教授が、今年始めに採取してくださった「ヒマラヤ桜の種子」を3月30日に播種、4/14に確認したら、二葉が10本位出ていました。一度乾燥しても、発芽します。これは乾季と雨季の2季しか無い地域の植物の特徴のようです。(日本のサクラ等のバラ科植物は、種子が乾くと発芽率が極端に下がります)
2019年4月7日撮影 薬用植物園
2019年4月7日(入学式、薬学部145名入学、2018年は120名)