ベニバナ(紅花) キク科
ベニバナは、一般には越年生草本ですが、2月頃種子を蒔くと1年草になります。紅色の花びら(管状花)を薬用で「紅花(こうか)」といいます。6月に黄色い花をつけ、6月下旬〜7月にかけて花が枯れかけると花びらが紅色になります。江戸時代に山形県の最上地方での栽培が盛んになり、品質の高い紅花として非常に珍重されました。紅色の花びらは「通経、駆瘀血」などの作用があり、一般用漢方製剤294処方のうち、通導散(つうどうさん)、葛根紅花湯(かっこんこうかとう)など11処方に配合されています。
民間薬としては、産前、産後、腹痛など婦人病一般には、紅花を1日3~5g 煎じて服用します。 また、昔から、浄血薬として、婦人の血の道に用いられ、月経不順、冷え性、産後の腹痛、更年期障害などに、また、血行障害による瘀血(おけつ)、腫瘍、打撲傷(打身の青あざ)などにも効果があるとされています。生薬は紅色が鮮やかで黄色色素が少なく香りのよいものが良品とされます。
薬用の他、天然色素原料として食品や化粧品(口紅など)にも用ていました。管状花を発酵させていくと化粧品などの原料になる紅餅にして、江戸時代はハマグリの貝殻に紅餅を入れて口紅に用いていまいました。
ベニバナ酒:ガーゼなどに、紅花 30~40gを包み、ホワイトリカー1.8 L、砂糖300~400gを漬け込み、2ヶ月程度熟成させ、茶紅色のきれいなベニバナ酒が出来上がります。婦人病などの改善に服用すると良いでしょう。
また、ベニバナの種子を搾るとリノール酸(約70%)の豊富な紅花油が得られます。血液中のコレステロールの低下や動脈硬化予防に良いとして多量に用いられていましたが、偏った食用油の利用は身体に良く無いと言われていますので、注意が必要です。菜種油、米糠油、胡麻油、オリーブ油、ヒマワリ油等々多種な油があり、油は食として必要ですが、油(油脂)の取り過ぎには注意して下さい。
天ぷら、揚げ物などの料理は、苦み・渋味などの味をマイルドにして食べやすくなりますが胃で油分が除かれて、苦味・渋味の成分、例えばポリフェノールが胃に粘膜と結合して胃を弱らせることがあります。
胃の弱い人はポリフェノールの取り過ぎ、刺激のある香辛料の取り過ぎは夏バテに繋がりますので、注意して下さい。
夏バテのもう一つの原因は「冷たいモノの取り過ぎ」です、ホドホドにしましょう。