ムラサキ ムラサキ科
ムラサキは、根が紫の色素を含み、布(絹)を紫色に染色するのに用いられています。紫色は昔から高貴な色として愛されてきました。ムラサキは染料として、また薬用として用いられています。昔は熊本市内の帯山から東の丘陵に自生し「小学校の校庭にも沢山有りましたよ」とお年寄りの話です。帯山西小学校の校歌に「むらさき」の植物名が入っています。
現在、野生種はほとんど無く希少植物になり、栽培も大分出来るようになりましたが、根腐れも多くなかなか大変です。
薬用では、根を紫根(しこん)といい、創傷、火傷の傷口の新生をうながします。他に抗炎症、殺菌、抗腫瘍作用、解熱、解毒、消炎などが認められています。皮膚炎、湿疹、凍傷、火傷、切傷などに外用薬として用いられます。ムラサキから由来する紫根を”硬紫根”といい、中国産はほとんどが”軟紫根”で,植物が違い基源植物はネパールの3000m位にも生育するMacrotomia euchroma (=Lithospermum euchroma)です。
紫根の入った有名な薬に”紫雲膏”があり,火傷の良薬です。私も1年に一度位手作り紫雲膏(紫クリーム)を作っています。今年はネパールの大学で学生と一緒に作りました。日本では「ごま油と蜜蝋」に「紫根と当帰(とうき)」を用いますが、ネパールでは化粧品及び食品に用いる「チュールーバターとごま油」を用い軟膏の基剤を作り、「軟紫根と当帰」を用いて作ります。2016年、今年とネパールに出かけて作っています。昨年は病気で行けなかったので今年は学生・教職員も心待ちにしていました。
またもう一つ「黄色クリーム」(キハダ粉末とウコン粉末)を加えた軟膏も作ています。ニキビ、アトピー皮膚炎の痒み止めに良いと言っていたら学生が作ってすぐ使い効果があったのでしょう、もう一個下さいと先生にもらいにきていました。
この前、山陽小野田市の江汐公園内の薬用植物園の圃場を耕耘機で耕耘していて大きな石で耕耘機が跳ね上がり、ハンドルが眼の横をかすり切れ出血しましたが、手作り紫雲膏(紫クリーム)で止血・消毒しました。持って来ていて助かりました。他に蛭に噛まれた時の出血も良く止まります。スーダンのNPOロシナンテスの首謀者の川原医師がリーシューマニアの皮膚病になって困っているとき、私が差し上げた「手作り紫雲膏」で治ったと喜んでいました。それ以来の友人です。船乗りの女性が日焼けに手作り紫クリームを重宝してくれています。
現在山口東京理科大学薬学部附属薬用植物園で塩ビパイプでムラサキの栽培をしています。今年種子を採取し増やして行ければと思っています。