From the VIETNAM 

~冷戦下最大の”熱戦”~

(2023)

2023年度は、歴研史上初めて、第二次世界大戦後の戦後史、とくにベトナム戦争史に焦点を当てた展示が行われ、展示方式などに大胆な改革が行われた開橋祭企画でした。

第四代総帥である竹内氏の肝いりで進められたこの企画は、準備段階から熱量が凄まじく、過去一番気合の入ったロゴの作成当時の実物などを含めた史料品の収集、3Dモデルを用いた当日の展示室モデルの作成、さらには部員によるベトナムへの取材旅行などの大掛かりな準備がほぼ実施一年前から進められており、今までの「歴研の文化祭準備は直前に急いでやるもの」という観念を根本から覆すこととなりました。

準備と同時並行で、2023年度からは展示方式の見直しも進められ、今までの模造紙を使用した展示方式から、写真と印刷した説明文を多用し、より一見で得られる情報量を増やしたうえで手間のかからない「博物館方式」(竹内氏命名)を使用することとなり、これにより展示準備にかかる時間を大幅に削減しただけでなく、誤字脱字のチェックを数ヶ月前に済ませることが可能になったことにより、数年間付けられ続けていた「誤字脱字メーカーの歴研」という大変不名誉な称号を見事に返上し、チェックを担当した教員をして「今年は何があったんだ」と言わしめる結果となりました。

(「博物館方式」で展示される説明文と写真。展示する史料も、なるべく実物やそれに近いものを用意することを心がけた)


2023年度には、2022年度での大好評を受け急遽復活した企画「ヒストリー・アクト・リバイバルが行われ、2022年度から引き継がれた「明日を求めて(監督:X.K)」、「アナザー・サン(監督:三矢佳一)」の二作に加え、完全新作となる「エージェント・オレンジ(監督:三矢佳一)」も公開され、より一層上映の色が濃くなりました。

(2023年度に公開された三作品の様子と、新作舞台「エージェント・オレンジ」のロゴ)

早々の熱量あふれる準備と、緻密な計算により、2023年度は特に大きなトラブルもなく、無事に開催日を迎えることとなりました。

2023年度の開橋祭は、コロナ禍後初となる一般のお客様の入場が許可された記念すべき年であり、当日には事前に連絡をくださった部員の友人や関係者の皆様、そして多くの一般のお客様にご来場いただき、展示室では常に賑った声が絶えませんでした。

(来場した友人と語らう部員。部員の友人の中には、なんと2日間続けてご来場いただいた方もいた)

(映像上映の準備にとりかかる先輩部員と後輩部員)

今年初の取り組みは、展示や企画面のみではありません。2023年度には、代替わり以後一度も着用されたことのなかった(実は部員にも秘密にされていた)歴研レガリアの一つである統帥衣が初お目見えされ、来場者からは「これが手作りとはすごい」「凄まじい熱量を感じる」などの驚嘆の声が上がりました。

(統帥衣を着用して業務に望む総帥。画像上には、同じく2023年度に初お目見えされた部旗が見える)


2日間で特に盛り上がったのはやはり「ヒストリー・アクト・リバイバル」の作品上映時で、主役のすずきのサシミ。さんをお迎えして行った「エージェント・オレンジ」の試写会では席が満席となり、またある上映時にはなんと第三代総帥が来場し、さらに最終上映時には満席になっただけには飽き足らず、なんと25名を超えるお客様にご観劇いただいた後に大量の立ち見客まで出現し、急遽行われた主要キャストによる挨拶の後に万雷の拍手をもって上映が終了するなど、大変な盛況となりました。

「ヒストリー・アクト・リバイバル」には、多くの感想の声が寄せられており、「毎年素晴らしいクオリティの劇だ」「主人公が軍人だったり、焦点が”戦争”自体だったりするわけでなく、それによって生じた社会問題に焦点を当てているのは興味深い」「この作品を劇場(展示室)で見られるのをずっと楽しみにしていた。主役の声が良すぎる」「久々に泣いた」などの様々な感想が寄せられ、制作に関わったメンバーの大きな励みとなりました。

(退任の辞を読み上げる第四代総帥)

2023年度開橋祭をもって、第四代総帥を始めとする五年生(5期生)の部員が引退することを鑑み、「ヒストリー・アクト・リバイバル」の最終上映後には、総帥による退任の辞が読み上げられ、集まった方々の感動を誘いました。引退する先輩方の横顔を見つめつつ、部に残ることとなる部員たちは、退任の辞の「私を初めとした、我々五期生の部員は、本日をもって引退します。しかし、歴史が永久に語り継がれてきたように、我々の努力と熱意、功績は、消えることなくこの部活動の歴史の一ページとして語り継がれることとなるでしょう。そしていつの日か、私が一期生の先輩の姿を見て、部を率いてきたように、私達の姿を見た後輩たちが、この部をさらに発展させてゆくことを、私は切に願っています」という一節に、万感の思いを持って聞き入っていました。


2023年度開橋祭は、少々のトラブルに見舞われながらも、合計で521人の来場者を記録し、結果的に大成功に終わりました。2023年度に行われた改革の数々は、これからも歴研の気風として受け継がれてゆくことでしょう。