成人式について

皆様、お久しぶりです。はじめましての方ははじめまして。初代「歴史小ネタ帳」編集者の溝口です。

2023年です。新年ですよ皆さん。新年が始まると1月が来るわけですが、皆様は1月というと何を思い浮かべますか?羽つき、初詣、お年玉、寒い、凧揚げ、箱根駅伝など様々なことを思い浮かべられると思いますが、私は編集日の関係から、成人の日を連想しました。成人の日と言いますと、日本各地で成人式が行われ、新成人となった皆様が思い思いのスーツや振袖、特攻服などで出席されている姿が浮かびます。では、現在のような形の成人式は、いつから始まったのでしょうか?


イニシエーション(通過儀礼)

成人式というと、現代では上の文に上げたような、自由な雰囲気の漂う楽しい式典のようなイメージですが、本来は「その年度内に成人を迎える者を祝福する式」であり、民俗学などでよく挙げられる「イニシエーション(通過儀礼)」の一つです。つまりは、バヌアツのナゴール(バンジージャンプ)や、キリスト教における洗礼と同じような側面を持っています。

ところで、ここまでの説明を読まれた日本史好きな方の中には、ひとつ浮かび上がってきた単語があるのではないでしょうか?

元服の様子

毎日新聞 記事 「烏帽子授かり「元服式」 古式のっとり成人祝う 皇学館大」(2019/11/21)より借用

(2023年1月9日閲覧)

そうです、元服です。女子の場合は裳着と呼ばれる同様の儀式がありました。現在行われているような形の成人式がまだない時代、中世から近世にかけての、子どもから成人になる通過儀礼は、武士階級においては元服と呼ばれる行為が行われていました。当時はこの元服などの通過儀礼を経ることで、子どもから一気に大人として認識されるようになりました。しかし、大人といっても、元服や裳着で大人になったのは数え年で12〜16歳になった少年・少女たちでした。


20歳の成人式

現在のような形の成人式が初めて行われたのは、1946年に埼玉県北足立郡蕨町で行われた「青年祭」であると言われており、当時の青年団長が「敗戦の閉塞感が漂う時代で、次世代を担う青年たちを激励するため」に式典を開いたとされています。この式典が全国に広まり、有名になったことも影響して、1948年に公布・施行された「祝日法」は、1月15日を「おとなになったことを自覚し、みずから生きぬこうとする青年を祝いはげます日」、つまり「成人の日」として制定する事となりました。これにより、多くの自治体で成人の日に成人式を行うことが定着し、現在に繋がっています。

ちなみに、成人の日は、当初は1月15日と日が指定されていましたが、1998年の祝日法改正、いわゆるハッピーマンデー制度により、1月15日から「1月の第二月曜日」に日にちが移動されています。


おわりに

今回は執筆日が成人の日であったということで、歴史小ネタ帳にはあまり例を見ない時事ネタの投稿になりました。

成人年齢引き下げに伴う、成人式出席欠席問題など、毎年色々な問題が取り沙汰される成人式ですが、やはり日本の伝統の一部でありますし、何よりもこれまでの人生に区切りをつけて新たな人生を始めるという意味でも、いい行事だと思っています。

新成人の皆様、成年おめでとうございます。それでは、本記事はこれにて失礼させていただきます。