(画像提供:友人)
官帽に似た形ですが、この帽子は官帽ではなく、「学生帽」と呼ばれています。まんまですね()。なお、後述するように官帽にも多くの形のバリエーションがあるのですが、この学生帽にも多くのバリエーションが存在します。代表的なのは一般的な丸帽と、早稲田大学などで被られていた角張った形の角帽が存在します。写真のものは丸帽型で、帽子の天井の縁が波打っているので旧制第三高等学校型、通称三高型の学生帽だと思われます。丸帽には三高型以外にも、天井の縁を平坦に仕上げた旧制第一高等学校型、通称一高型の学生帽があります。官帽との違いはいろいろありますが、個人的には被ったときに帽子の天井が鍔のあたりまで出っ張らずにほとんど垂直になっているのが学生帽だと思っています。
官帽
現在では諸国の軍人や警察官、鉄道職員などに被られている官帽型の帽子。その歴史は、19世紀にまでさかのぼります。官帽の原型と言われているのは、19世紀の北欧の労働者達の被っていた帽子だと言われています。つまり、最初は軍用の帽子ではなかったのです。19世紀の時代の軍隊の帽子といえば、二角帽子(ナポレオンなどが被っていることで有名な帽子)やシャコー帽やケピ帽(シャルル・ド・ゴールが被っている帽子)などが主流でした。
官帽型の帽子は、ナポレオンがいろんなところでヒャッハーやっていた"ナポレオン戦争"時代の前後にロシア帝国やプロイセン王国に将校用の制帽として採用されたことから軍用の帽子として認知されるようになります。ケピ帽は誕生後多くの国の軍隊に制帽として採用されてきましたが、第一次世界大戦ごろからだんだんと各国で官帽型の帽子や独自の形状の帽子に更新され始め、現在では多くの国の軍隊や警察で官帽が制帽として採用されています。官帽というのは、意外と最近の帽子なのです。
ちなみに軍隊用語を多用することで知られているキリスト教プロテスタント系の救世軍のメンバーも、制帽として官帽を着用しています。
官帽にはさまざまな形があり、視覚的に見分けられる有名な物を上げると、
日本の警察や自衛隊などに採用される形の官帽、ニューヨーク市警などアメリカ警察で多く採用される縁の波打った官帽、ドイツなどでよく見られるトップが高く、鍔から正面の縁までほぼ垂直な形の官帽、日本の青年将校などがよく被っていたチェッコ式官帽、ソ連や中国、北朝鮮などの旧共産圏でよく見られるクラウン部分がものすごく大きな官帽など、さまざまな形があります。ちなみに、北朝鮮軍人の制帽はなぜあのような形をしているのかと言うと、単純に「自分たちが共産陣営だからソ連軍方式に習っている」、というのもありますが、一説によれば「欧米人に比べて体格が貧相なアジア人種が威圧感を出すため」らしいです。ようは帽子をデカく作って体をデカく見せようってことなのです。まあ確かに目の前に160cmくらいの人が立ってるよりも2m超えの人が立ってたほうが威圧感ありますし、人間自分より大きな物にはビビるので、結構理にかなってると筆者は思います。
国によって官帽の形やスタイルは変わりますが、大体がその国と繋がりのある国や連合に採用されている形の官帽のスタイルが採用される場合が多いようです。第二次世界大戦後の国の軍服を見てみると、大体東側ならソ連に、西側ならアメリカに習った軍服のスタイルをしていることが多いです。
ただなんにせよ、官帽その洗練された見た目や機能性から各国に採用され、現在では軍人や警察官など公的機関に勤務する者の象徴のような扱いを受けています。