『エージェント・オレンジ』のこだわり②

三矢監督が前作『アナザー・サン』の公開時メッセージでも語っていた通り、歴史研究同好会制作の舞台では、時代感を非常に重視しています。もちろん、今回の舞台『エージェント・オレンジ』も例外ではありません。

今回の作品でも、前作同様に服装の規定を行い、登場人物は1960年代に実在してもおかしくない服装を着用しています。

また、本作には、軍人や警察官などの制服を着用したキャラクターも多数登場するため、コストを削減しつつ、当時の制服・装備の再現にも気を使いました。

なお、本校のホール使用規定に従い、靴は全員、学校指定の室内履きを着用しています。

こちらの画像は、1968年の南ベトナムの警察官役の方が演技をしている場面ですが、撮影時には、なるべく本物の南ベトナムの警察官に近づけるべく、実際のものに近い形状の制帽を用意し、上下の服の構成にも気を配りました。

前作『アナザー・サン』に引き続き、軍人の再現にも気を使いました。今作の舞台は、ベトナム戦争中期ということで、軍人、とくに米軍人達の着ている服装は、当時の物に基本的に準じています。

違いが特に分かりやすいのは、今作の米軍人ラギオ大尉と、前作のイーサンでしょう。彼らは設定上は同じ形の服を着ていますが、イーサンは様々な色の使われた徽章の着いた軍服を着ているのに対して、ラギオ大尉の軍服の徽章はほぼ全て黒で統一されており、パッと見では徽章がある事に気づかないほどです。

これは、戦争の進行によって、より軍服に迷彩効果が求められるようになり、徽章の色は原色から全て黒などの目立たない色になったという史実を再現しています。もっとも、『エージェント・オレンジ』よりも『アナザー・サン』の方が時代が遅いのですが。イーサンの服は、恐らく外出着という設定なのでしょう。


歴史研究同好会と、監督である三矢佳一氏のこだわりは、作品の各所にちりばめられています。上映時には、ぜひとも二作の違いに注目し、こだわりをみつけてみましょう


執筆者:総帥